2018/10/01 のログ
ご案内:「九頭龍の水浴び場 大浴場」にナイチンゲールさんが現れました。
ナイチンゲール > 「♪〜」

ご機嫌で鼻歌を軽やかに奏でつつ、大浴場へと入ってくる一人の女。薄手のタオルを申し訳程度に身体に巻き、その肢体を辛うじて隠す格好。しかしどう見てもタオル越しにツンと尖った二つの乳首が透けており、タオルの裾も足りないのか股の方も丸見えである。だが女はそれを気にすることも恥じることもなく、それが当然だと言わんばかりにタイルの床を裸足で歩いていく。歩く度にたぷん、たぷんと豊満な乳房が揺れる。

「……おや?先客がいたのか。なんだか具合でも悪そうな顔をしているな。のぼせたのか?」

ふと、先客が視界に入ったのか、そんなことを言いながらあなたの方へと歩いていく。きょとんとした表情を浮かべつつ、どうやら目の前の男性の心配をしているようだ。今彼が入っているのが媚薬に満たされた風呂だとは気付いていない。

クレス・ローベルク > 鼻歌が、聞こえた。
いや、彼にとって肝心なのは鼻歌ではなく、その性別の方だった。
すわ幻聴かとすら思った刹那、今度は明らかに自分に声をかけられた。
振り向く。

「……」

余りの刺激に、襲うことすら忘れていた。
薄布一枚、それすら満足に隠しきれていないその裸体。
何処か神秘的な緑の髪。そしてそれと同じ色の毛に包まれた性器は、タオルに隠れさえもせず――

そこまで認識して、ようやく、クレスは我に返った。
もう、襲っても良いと、そう思えるだけのシチュエーション。だが、それを押し留めたのは、こちらを純粋に心配する女の声だった。

「う、くぅ……いや、そういう訳じゃないんだけど……ただ、このお湯が、エロい奴で」

血走った目で彼女を見つつ、クレスは必死に襲うのをこらえる。
本当は、襲ってしまいたかった。しかし、それは自らの信念に反する。
此処で、自分を心配した彼女を襲えば、罪悪感が湧く。
そういう意味では、いっそ無視してくれた方が有難かったが、しかしこれは最低限のポリシーだった。『罪悪感が湧くような行為は、極力しない』という。

「ごめんだけど、余裕がない。襲われたくなければ、さっさと出ていって、くれないかな……!」

凄まじく女の胸や股間を凝視しながら、絞り出すような声で警告する。見様によっては凄まじく、矛盾した行為である。

ナイチンゲール > 「うおっと……ふむ、なるほど?」

いきなりギラついた目を向けられ少したじろぐも、何かを堪えるようにして歯を食いしばる相手の姿に、細い顎に手を当て。そして彼の入っている湯船に近付き、湯に手を入れ、ひと掬い。まず匂いを嗅ぎ、感触を確かめ、少し舐める。それだけで媚薬を扱う薬売りの彼女には、これが割と強めの媚薬だと確信出来た。少し手を入れて舐めただけでもちょっとクラっとくる程の。

「大丈夫か?君のそれ、結構キツイんじゃないか。ここで発散しても……って、ああ。そういうことを気にするヒトか。……まあ、そうだな……」

彼の言葉と表情に、自分を襲うことに罪悪感を抱いていることを察して。少し考えるように目を伏せてから……女は、そのまま自分の身体を包むタオルに手をかけた。しゅるり、と結び目を解き、タオルの覆いを外す。その途端零れ落ちる豊満な双丘、露わになる白い肌。生まれたままの姿になった彼女は、タオルをどこかに投げ捨て、にこりと目を細めた。

「そのまま我慢するのは身体に良くないだろう。大丈夫、君はこの旅籠がどんなところか……理解しているんだろう?」

甘い魔女の囁きが、浴場内へと響く。

クレス・ローベルク > 「……!」

タオルが、彼女の手ずからほどかれる。
一糸まとわぬ姿になった彼女を見て、保っていた理性が、いよいよぐらつく。そして、その危うい均衡すら、

彼女の許しで、壊れた。

「う、ふぅっ……!」

彼女の身体を強く抱きしめて、強引に唇を奪う。それは、彼女を逃すまいと、或いは奪われまいとするかのような。
その舌を受け入れるなら、女の身体を、舌によって味わおうとするかのような、激しいキスを以て答えるだろう。

そして、抱きしめた手は、そのまま彼女の腰に伸びて、やや強く尻を揉みしだく。そして、彼自身の腰にある性器を、どうにかしてくれと言うかのように、彼女の性器の辺りに擦り付ける。

ナイチンゲール > 「んっ……!ん、むぅ……」

これまで我慢してきたものが限界を超えたのか、男は一気に距離を詰めて自分の身体を抱き締め、唇を重ねられる。激しく口付けられ、舌さえも口内へと侵入してくる。彼の舌の熱さに思わず目を閉じ、こちらも応じるかのように舌を伸ばした。彼の舌と絡ませるように己の舌を動かし、擦り合わせる。お互い混ざり合った唾液が溢れ、細い顎を伝いタイルの床の上へと滴り落ちる。

「んんっ……!ん、ふぁ……!」

激しいキスに頭を蕩けさせ、鼻にかかった声を漏らす。ちゅ、くちゅ……と淫靡な水音が脳内に響き、更に彼女を興奮させた。尻を揉みしだかれ、下腹部の性器に彼の陰茎を擦り合わせられれば、堪らず腰が揺れる。彼女は細い腕を彼の背中へと回し、抱き締めるように両手を置いた。

ご案内:「九頭龍の水浴び場 大浴場」にナイチンゲールさんが現れました。
クレス・ローベルク > 「ん、んぅ……!」

彼女の舌を削ぎ、絡める。舌で味わう彼女の味と、柔らかい快楽が、脳を浸す。手から感じる尻の感触は柔らかで、それがまた、女体を貪っているという感覚を強くし、己を興奮させる。

堪能の時間は長く続いたが、クレスの身体がぶるりと震えると同時、男の方から顔を引き離された。余裕のないその顔は、彼の堪えが効かなくなりつつある事を示していて

「ごめん、挿れさせて、せめて出させて……!」

夢心地な、それでいて必死な声で、クレスは懇願する。
尤も、もしそれを断られたとして、既に自制が効くかどうかは怪しい所ではあったが。

ナイチンゲール > 「んんっ……ぷはっ。なんだ、そんなに我慢していたのか。いったいいつからあの媚薬風呂に入ってたんだろうなあ」

お互い貪るようなキスを交わし、唇を離す。二人の舌の間に銀糸が伸び、そのままプツリと途切れる。挿れさせてくれ、とまさに余裕のない表情で乞う彼の姿に、思わずクスクス、と笑い声を零した。とはいえ、ずっとひどい性欲を我慢してきた彼にとって、もう耐えきれない苦しみだろう。その表情と声で痛いほどわかる。
彼女はタイルの床へと腰を下ろし、そのままM字に脚を開き陰唇を見せつける。くぱぁ……と程良く湿った大陰唇を両手で割り開き、ヒクヒク蠢く膣口を露わにするだろう。

「いいぞ……♡ 好きなだけここを使ってくれ。今からこの穴は君専用のおちんぽしごき穴……そして精液便器だ♡」

こちらも隠しきれない情欲で瞳を熱く濡らし、彼と彼のバキバキに勃ち上がった陰茎を見つめる。早く挿れて欲しいと、まるで目で訴えているようだ。

クレス・ローベルク > 「解らないけど、自分からすれば永遠だったよ……!」

腰を降ろして大きく脚を開くその姿は、下品が故に何よりも劣情を煽る。
可笑しそうに笑うその表情すら、今の彼には欲情の対象にしかならず。
そして、言われた台詞に応える様に、彼女の身体に覆いかぶさり、

「言ってくれるね……。それじゃあ遠慮なくやらせてもらうよ……!」

そう言うと、彼女の身体に、最初はゆっくりと自分のそれを沈める。
まるで、ナイチンゲールの中を確かめるような動き。そして、それが奥に到達すると、

「それじゃあ、一気に動くよ……ッ!」

スイッチが入ったかのように、激しいピストンを始めた。
叩きつける雨の様に、何度も何度も。それは、快楽を貪る様で、それでいて角度を変えてナイチンゲールの反応を引き出さんとするかのように。

ナイチンゲール > 「だろうなぁ。君の顔、今獣のようだぞ。もう抑えきれないって顔だ……」

そう言いつつ、彼に覆い被さられ膣口へと陰茎の先を擦り付けられる。挑発的な言葉に乗った彼は、そのまま腰を進めて陰茎を膣へと挿れていく。

「ああっ♡ おちんぽ入ってきたぁ♡うぁあああっ♡」

ゆっくりと奥へと進んでいく。ナカはぬるりと湿って熱い程の温度があり、陰茎を凸凹した膣壁が包み込み締め付ける。肉を掻き分け、奥へ奥へ進んでいく度、彼女の身体はびくり、と跳ねる。そして、こつりと最奥が叩かれた瞬間、勢いよくずるり、と肉棒がギリギリまで抜かれ――そのまま猛烈な勢いで叩き込まれた。

「んぉおおおおおお!?お゛、お゛ぉおおおおお♡」

激しいピストンが始まり、思わぬ激しさに思わず仰け反り舌を突き出す。ごんごんとポルチオに亀頭が叩きつけられる度に、びくんびくんと白い肢体が跳ねた。膣肉がめくれ上がり、愛液と先走りが混ざり合った液が辺りに飛び散る。身体を貪られるような執拗な責めに、快楽を求める下品な雌のように喘ぐことしか出来ない。腰を揺さぶられ、彼の性欲を発散させるためだけに腰がぶつかる。

クレス・ローベルク > 「良い顔するじゃないか、さっきまでのお澄まし顔が、台無しじゃないか……ッ!」

言いつつも、しかしその変貌ぶりはただ己の欲情と支配欲を煽るものですかなく。激しいピストンと彼女の締め付けによって、自らの頭の中も真っ白になるが、それすらも足りぬと腰を振り続ける。

「ほら、折角だからこっちも攻めてあげるよ、ずっと寂しそうだったしね……!」

同時に、今度は仰向けであるが故に無防備であるその胸に攻めを加える。一方は激しく揉みしだき、もう一つはピンと立つその乳首を押しつぶすように攻め上げる。

とはいえ、ずっとお預け状態だったクレスのソレは、既に暴発寸前。
攻める勢いによってこらえていたが、それ直ぐに限界に達する。

「中に出す、出すよ、出す……ッ!」

最早、許可は取らなかった。宣言する様に叫び、堪えていたものを解放する。白濁は、殆ど濁流のように子宮口に叩きつけられる。熱い物に包まれながら出す快楽に、クレスの身体もがくがくと震える。

ナイチンゲール > 「おほっ♡ 奥っ♡ゴツゴツ突かれてるぅうう♡あ゛あぁあ♡」

ガクガクと揺さぶられ、欲望を思い切り最奥へと叩きつけられる。うねうねとまるで肉壺のように怒張を包み込み、紛れもなく彼に快楽を与えていく。ばちゅんばちゅん、と水音が浴場内に響き渡り、反響した。

「んぃいいいいいっ♡ ちくびっ♡ ちくびきもちいいぃいいっ♡」

今まで手を付けられていなかった乳房にも刺激を与えられる。揉みしだかれ、先端をこねくり回され。快楽に敏感に拾っていく彼女にとって、その責めも絶頂へと追い詰めていく種となった。

「んほぉおおおおおお♡ イぐぅ♡ イくイくイぐぅうううう♡」

暴発寸前の陰茎はもう限界とばかりに震え、膨らんでいく。そのままもう一度最奥へと叩きつけられたかと思うと、そのまま勢い良く精を放たれた。子宮を、膣を白濁で満たされる感覚に、彼女は脚をびくびくと痙攣させ絶頂する。大量の性は熱を孕み、胎内へと宿った。

「あぁあああ……♡ 出てるぅ……ザーメンたっぷり中出しされてるぅ……」

目尻を涙で濡らし、恍惚とした微笑みを浮かべる。震えは止まらず、最後の一滴まで精を注がれるのを鮮明に感じていた。

クレス・ローベルク > 「ふぅっ!ふぅ……!」

絞り出される様な射精は、長く、長く続いた。
その後、余韻に引き止められて、暫く繋がっていたが、やがてずるりと引き抜く。

ともあれ、良い身体で、良い性交だった。色々と言いたいことはあるものの、取り敢えず礼を言おうかと思ったが……

「あっ」

怒張が、全く収まっていない。それを見ると、さっきよりは落ち着いているものの、まだまだ自分の中には性欲が蟠っているのが自覚できる。
礼を言おうかと思った彼の頭の中は、再び性欲の発散を求め、

「……悪いけど、もっかいだけ、良いかい?」

と、再びお願いするのだった。

ナイチンゲール > 「……っふ、ははははは……」

そのまま陰茎をずるり、と抜かれれば、膣口から大量の精がどろり、と流れ落ちる。彼は溜め込んでいた欲を吐き出せてすっきりしたようだが、彼の気の抜けた声に股間の方を見れば、まだ陰茎は勃ち上がりこちらの方を向いていた。少し申し訳なさそうにしつつ、またもう一回させてくれ、とお願いしてくる彼に、思わず笑ってしまった。まるで子犬のような眼差しであったから、つい。

「……言っただろう?私の穴を好きに使っていいと。だから……思う存分、またおちんぽを挿れてくれ……♡」

恍惚とした表情で、再度くぱぁと大陰唇を両手で開き、膣口を露わにさせる。とろ……と粘度の高い精液が零れ落ち、タイルの床を白く汚したのであった。

……それから、思う存分、彼の陰茎が萎えるか彼の体力が尽きるまで、まるで獣のように交じり合うことだろう。彼の欲を思いっきりぶつけられ、彼女は満足そうに笑みを浮かべて絶頂をし続けるのであった。

ご案内:「九頭龍の水浴び場 大浴場」からナイチンゲールさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場 大浴場」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場 半露天風呂の一つ」にラエルノアさんが現れました。
ラエルノア > 今宵の「仕事」はこの宿の広間でのとある酒宴の席だった。
所謂コンパニオン的に席に侍り、或いは舞い、場を華やかに盛り上げる。
勿論その後のサービスも含めての仕事ではあったが、
気乗りしない為に早々に引き上げて数ある温泉の一つへとやってきたという次第。
木造の浴室の壁の一面だけがテラスとなり、半露天となっているお陰で月が眺められる。
浴槽も木製で、大人が数名入れる程度の広さを有していた。

「どうせまだ乱痴気騒ぎの最中でしょうし、見つかりやしないわよ」

悪戯な呟きを零しながらに透き通った湯の中に身体を遊ばせる。
出入り口には鍵もなく、テラスは恐らく中庭に通じている様子ではあるが、
こんな時間に散策をするもの好きもそうは居ないだろうとすっかりと寛いだ様子で。

ラエルノア > 鼻歌交じり、貸切状態の湯を堪能する。
欠け始めた月が眩しい程で、湯の中にもくっきりと影を落とした。
手足が湯を掻く度に影も不規則に揺らぎ、またもとに戻る。

「たまには手足を伸ばせるお風呂もいいわね。
暑くもなく寒くもなく、長湯に向いた季節になったし……」

機嫌の良い独り言は湯表に吸い取られて消える。
爪先を軽く跳ね上げて湯飛沫を飛ばす等、童心に返ったような一人遊びをしては悪戯めいた笑みと共に首を竦めて。

ご案内:「九頭龍の水浴び場 半露天風呂の一つ」にジャックさんが現れました。
ジャック >  
(たまには風呂に入ったほうがいい。
 そう知り合いに言われてやってきた、温泉宿。
 凍結で衛生面は問題ないとはいえ、まぁ彼のいうことも一理ある。
 とはいえならば楽しもうと言う性格でもなく、とりあえず目についた浴場へ。
 手早く服を脱ぎ、棺桶とともに脱衣所へおいて足を踏み入れれば。)

――ふむ。

(先客がいたか。
 あちらは女性だが、ここはそういうところだということは知っている。
 そうではないとしても対して気にもせず、湯船へと近づいて頭から湯をかぶる。
 そのあとざばりと浴室へ。)

邪魔をする。

(一応、先客の彼女へそう声をかけておこう。)

ラエルノア > 吹き込む風は秋の気配を感じさせ、火照った肌に心地よい。
浴槽の縁へと頬杖をつき、ぼんやりと空を眺めていれば、不意に感じた気配に其方へと首を廻らせた。

「―――お構いなくどうぞ。好い月夜ですし、此方にいらしてはいかが?」

一先ずは「営業用」の顔や口調を取り繕った。
何せ本来は「仕事」に来て居る身。
今此処へ訪れた存在が今宵のあの広間に居た可能性だってあるのだから。
湯船の中でもいわば特等席でもあるテラスに面した辺りを示し、自分は僅かに移動し相手へと譲る。

ジャック >  
(思いもかけずまともな返答。
 前髪の隙間からチラリと見る。)

――いや結構。
私は湯へ入りに来ただけだ。

(月を見に来たわけではないし、月見という発想もない。
 湯から右手を引き上げ、大丈夫だ、と示す。
 が、二度見するように彼女の顔を見る。)

む?
――ふむ。

(立ち上がり、無遠慮に彼女に近づき、目前でしゃがみ込む。
 そのままじろじろと彼女の顔と体を嘗め回すように観察。)

ラエルノア > 成人男性の裸等には一々反応をしない程度には花街慣れはしている。
可憐な乙女ならば恐らく、彼が近付いてきた段階で何らかのリアクションはあるのだろう。
が、まじまじと此方を見る相手の様子に、たじろぎも見せずに軽く見上げながらに笑んで見せる。

「どうかしましたか…? あまり見ては恥ずかしいですよ?」

言いつつも、恥じらいの気配はさほど滲ませず、此方も観察するような視線を返す。
あの宴席にいた存在であるならば此方からは迂闊なことは言えない。

「……お酒でも、お召しかしら?」

一先ずは、探るための問いを。

ジャック >  
――なるほど。
面白い混ざり方をしている。

(これでも一応医者だ。
 一目ですべてお見通し、という訳にはいかないが、じっくり見れば純潔のヒトかそうでないかはなんとなくわかる。
 「人と何かの混血」「二種族ではなく複数」ということぐらいしかわからないが、興味を持つには十分だ。)

基本は人か。
そこに――ミレー、か?
ほかには、ふむ、面白い。

(右から左からじろじろと。
 この国で混血といえばミレーだが、どうも特徴が合致しない。
 その他の血がうまいこと混ざってなかなか珍しい混血具合になっているらしい、と判断。
 見ているだけでは拉致が明かない、とばかりに右手を顔へ伸ばす)

ラエルノア > 「―――? 確かに母はミレーの血を引いてると言っていましたけれども、そんなのは別にここでは珍しくもな……」

言葉半ばにして相手の手が伸べられた。
ここが浴場で相手も自分も何も纏ってはいない丸腰の状態故、傷つけられる恐れは感じなかったが。
かといって相手の思うままに身を預ける理由にはならない。

「やっぱり酔っておいでなの?」

どうやらあの宴席の客ではない様子。
やんわりと伸べられた手を捕まえ、握りしめることで制する。
もう一度目許にのみ笑みの気配を滲ませて。

「いきなり触るのは少し失礼かもしれませんよ?
それとも、叫び声をあげて欲しい類の趣味をお持ちなのかしら?」

ジャック >  


(腕を掴まれ動きを止める。
 彼女が掴んだ腕は、人のものと思えぬ硬さ――というより、重さ。
 皮膚の下にギチギチに圧縮された高密度のゴムが詰まっているような、およそ人の腕とは思えない感触だろう。)

酒は飲んでいないが。

(酒の良し悪しなど知らないし、飲もうとも思わない。
 飲んだところで普通の酒で酔うような「作り方」もしていないのだけれど。)

わからんものを見ればそれを知りたいと思うのは当然のことだろう。
私はお前の在り方に興味を持っただけだ。

ラエルノア > 「在り方……」

まず耳にしないその言葉に、きょとんと瞬きを返してしまった。
酒気を帯びていないのならば猶更、今宵の「客」ではないだろう。
そうとなれば取り繕う必要もあるまい。

「随分と変わった人ね。
誰だってこの世の中には一人しかいないし自分とは違う生き方してるんだもの、わからないのは当たり前じゃない。
私だってあなたのことなんかちっともわからないもの」

口調を崩し、取り繕う表情も普段のものと変わっている。
改めて相手を見遣った後、値踏みするように僅かに目を眇めて。

「尤も、お客として通ってくれるんなら話は別だけど。
それなら、私に触れるのも興味を持つのもご存分に」

ジャック >  
生憎とわからないものをわからないままにしておけない性分でね。

(伸ばしていた腕を戻す。
 客、と言うからには娼婦なのだろう。
 命が関わることでなければこちらも無理に確かめるようなことはしない。
 今のところは。)

金か。
いくらだ。
一晩お前を調べるのにいくら積めばいい。

(言い値で払う、と。
 彼女の正面へ腰を下ろし、そう告げる。)

ラエルノア > 余りに呆気なく返って来た言葉に拍子抜けしてしまった。
商売が嫌でこの湯へと逃げて来たのだし、お客云々も相手を値踏みするための、謂わば方便に近いものだったのだが。

「―――随分と変わった人ね」

二度目の言葉は、しみじみ感嘆してる風に。
確かに店に通ってくれる相手が増えれば店子たちの前でも廓主の前でも大きな顔を出来はするが。

「そうね。この宿の一番高い部屋と同じくらい」

大層豪奢だと聞くその部屋は平民クラスならば半月は暮らせる程の値らしい。
或いはもっと高いと言う者も居るが、何にせよ自分には縁遠い話。
吹っ掛けておいて、余りにも呆気なく値を問う彼の様子を眇めた眼差しで見遣り。

ジャック >  
よく言われる。
私は私の思うままに動いているだけなのだがな。

(それが理解できない。
 やりたいと思ったことはやれるのならばやるというのが人間ではないのか。
 そうして人類は発展してきたのではないか。
 そう思うのだが、どうにも理解されないらしい。)

ふむ。
まぁ、払えんことはない。
わかった、払おう。

(多少厳しいが、それよりも好奇心のほうが勝る。
 所詮金など使えばなくなるのだ。
 あっさりと頷く。)

ラエルノア > またも随分とあっさりと承諾されてしまった。
足元を見るつもりで高めに吹っ掛けてしまったお陰で、それを受け入れられると返って此方からは取り下げにくい。
考えても仕方ないとばかりに軽く息を吐いた後、肩をひょいと竦めて見せた。

「見かけによらずお大尽なのね。
わかったわよ、お客様。なんてお呼びしたらいい?
私はラエルノア。今日はここでの宴席に来ていたのだけれど…まぁいいわ」

そうと決まれば何処へ行けばいいかと眼差しで問い。

ジャック >  
ジャックだ。
貧民街で医者をしている。

(医者は医者でも闇医者だが。
 とまでは言わず、名前と職業を告げ、右手で前髪をかきあげる。
 さっき頭から湯をかぶったので雫が垂れて鬱陶しい。)

場所を選べるのであれば、私の診療所がいいのだが。

(その方がいろいろと都合がいい。
 ダメならダメで彼女の都合のいいところを選んでもらうつもりではあるが。)

ラエルノア > 「ふうん…、お医者様……。
ご希望とあれば伺うけど、切り刻まれる被験体とかはイヤよ」

そういった物語を読んだことがある気がする。
無意識に鼻の頭に皺を寄せた表情を見せ、そんな顔は恐らく年齢相応か、もっと幼くも見えるやも知れず。
先に釘を刺すつもりで言いつつ、交渉が成立した以上は今宵の客である彼に従うべく、其方へと身を寄せていき。

ジャック >  
あぁ、そういうのはせん。
するとしても、痛みを与えるような下手な真似はしない。

(解剖したところでわかることなどたかが知れている。
 そもそもバラさねばなにもわからぬような藪でもない。)

命に関わるようなこともしないと約束しよう。
――ここで始めてもいいのか?

(こちらへ寄ってきた彼女へ手を伸ばす。
 先ほどのように止められなければ、そのまま顔を撫でまわすように触れるだろう。)

ラエルノア > 「なら、いい、けど……。……え? ここで? …そういうのが好きなの?」

買われた以上は今宵の客。
そして自分が客とすることなど決まっているのだから、思わず僅かに怯んでしまう。
が、先程と同じように顔へと触れる手はどうにも実務的なもので、仮初とはいえ愛を語らうそれとはどこか違うように思え。
どう反応していいのか分らぬままに顔を撫で廻されている図は、人慣れしない猫がそうされている様子をも思わせるものとなっていることだろう。