2017/05/06 のログ
■キニス > この街に何があるか、その探索のために平民地区を歩いていた時のこと。
九頭龍の水浴び場と呼ばれる温泉宿を見つけた。
看板や店の雰囲気を見るに、この街から古くある…所謂老舗と呼ばれる温泉宿だ。
ガラッ
大浴場のガラス戸が開く。
脱衣所から高身長の男が入ってくれば、洗面器を手に取り、湯船へと近づく。
湯船に波を立てながら湯を掬えば、それを体に掛ける。
掛け湯、というのはこうだったかと思い出しつつ、それを実行した後、湯船へと入っていく。
つま先から湯船へと波紋を広げながら入り、ゆっくりと脚、腰、腹の順に浸かり
最終的には肩まで浸かって声を出す。
「はぁ~…」
感じる湯の温もり、疲れた体が癒されるような感覚。
体の隅々まで温められながら、腰のタオルを取っ払ってその感覚に浸る。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からキニスさんが去りました。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」にキニスさんが現れました。
■キニス > 大浴場全体に響くほどの声を出しても本人は全く意に返さずに目を細める。
この時間は人が来ないのか、幸い大浴場には自分一人。
好き勝手とはいかないが、それなりに自由に振舞える。
湯船の壁に寄りかかり、天井を見上げる。
かけ流しされる湯の水音のみが残り、しばし、一人の時間を味わう。
酒場や街中の喧騒も良いが、たまには広い空間で一人になるのも悪くない。
ゆったりとし、目を閉じていればふと昔の事を思い出す。
遺跡探検をして生計を立ててた頃、新人だった自分。
灰の聖剣に触れてから人生が変わったこと、それから…
■キニス > 「…」
暫くして、静かに瞳を開ける。
胸元に手を当てればバクバクと鼓動が鳴り響いており、体全体にその振動を伝える。
大浴場全体が静かという事も相まって、彼にはその鼓動が爆発音のようにも聞こえた。
「気付かない内に眠ってたのか。…危ない危ない」
旅の疲れか、仕事の疲れか。
何にしろ、あまり疲れが溜まってないにも関わらず眠ってしまったという事はこの温泉が一級品である証拠だ。
しかし、温泉が一級品であると理解すると同時に自分の顔色の悪さも自覚する。
変な夢でも見てたのだろうか。
それはそうだ。心地よい夢を見るには、流石に暑くて寝苦しすぎる。
■キニス > 高鳴る鼓動を落ち着かせていれば、すっかりと体が火照り、のぼせていることに気付く。
外したタオルで顔についた汗と水が混じり合った液体を拭う。
小さくため息を吐けば、湯船の水面を一瞥した後にゆっくりとした動作で脱衣所へと向かう。
「おっとっと…」
視界がぼやけ、奇妙な模様がちらつく。
立ちくらみだ。久しぶりの感覚に少し戸惑いながらも、近くの壁に手を付く。
下を俯き、ちらつきが治まるまでじっとする。
「…まだ、人間だな」
自分の意思ではどうにも出来ない生理現象。
それを体験すれば、フッと小さく笑う。
腰にタオルを巻きつけ、脱衣所へと向かう。
変な夢、のぼせたなどハプニングはあったものの、しっかりと疲れは取れた。
老舗の温泉宿であるこの場所を記憶すれば、自分の所在へと帰宅していった。
ご案内:「九頭龍の水浴び場」からキニスさんが去りました。