2023/03/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」にシフォンさんが現れました。
シフォン > 王都の中心部に位置する冒険者ギルド
夕暮れ近くともなると、街の外から帰ってきた冒険者で賑わう場所も、少し時間を外せば比較的空いている。
日が傾き始めたそんな時間帯を狙って、カウンターへとひとりの少女が顔を出していた。

「あの……これ。」

発せられる言葉は、たったそれだけ。
それでも、多様な冒険者を一手に面倒見ている受付嬢からすれば、良客の部類に入るのだろう。
素材の買取だとすぐに察すると、てきぱきと査定に入る。

今日の納品は、近くの森で採れた薬草の類。
季節的にはまだ少し早いものだから、そんなに出回っていないはず。
効能が高い根っこの方も、しっかりと採取してあるから、良い値段になるはずで。
ただギルドであっても、以前にぼったくられたこともあるので、油断はできない。
難癖付けられないようにと、査定の様子をつぶさに観察していて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」にアルティールさんが現れました。
アルティール > 陽が傾き始めた時刻。そのタイミングを見計らったのは彼女だけじゃない。
とはいえ、此処に居る少女がこの時間を選んだのは、図書館の閉館時刻ギリギリまで読書をしていた結果――納品のクエストを忘れていた事に気づき、慌てて冒険者ギルドに向かったからなのだけれど。

「ふぅ……間に合ったか……と?」

じゃらり。と素材と錬金したポーションの入った革袋を揺らしながら視線を向ければ、小さな少女がカウンターからひょっこりと顔を覗かせ、恐らく納品の査定を行っている様子。
そんな様子を、気になる!と言わんばかりにひょこ、ひょこっ!と覗き込む、彼女より少しだけ身長の高い影。

「おお……? アレは薬草か……しかも採取状況も良い。ううむ……手練の冒険者じゃな……。」

彼女の納品技術はかなり高く見える。
選んだアイテムも、この時期は希少価値があり、高い換金が行えるだろうそれだ。
錬金術をかじるからこそ、素材のよし悪しは判断出来る。おおー、すごい。やるのう……!と、
何故か彼女からしたら後ろから、謎の絶賛が投げかけられる不思議な状況になっているのだけれど。

シフォン > 「…………?」

空いているとはいえ、カウンターは閑古鳥が鳴いているわけではない。
当然、他の窓口が埋まっていれば、後ろに並ばれることもあるだろう。
けれども、無遠慮にこちらの納品物を覗き込んでくる相手に、どうしても警戒を向けてしまう。
スリや詐欺の類―――そうでなくても、薬草の植生場所を教えろと言ってくるかもしれない。
正面の査定の様子も気にはなる。けれど背後で何やら褒め殺しにされているのも気になってしまって。

「……ちょっと、黙ってて。」

気が散って仕方がない、と振り返る。
自分よりも少し高い身長の相手をジト目で見遣り。
ただその顔を覗き込めば、少し頬がほんのりと色づいているのが分かるかもしれない。

そうこうしているうちに査定は終わり。
背後の少女のおかげか、きちんと査定してくれたのか。
相場よりも、少しだけ色が付いた値段が提示され。

アルティール > 勿論、他のカウンターに並ぶという事も出来た。が、可愛いもの好きの魔法使いとして、気になる少女がいれば、其処に近づいてしまう習性がある。
其処にいるのが可愛らしい少女で、其処にあるアイテムが品質のいいものだったりしたら、自然と目を向けるし、褒め殺しの言葉を向けてしまう。
もしかしたら、その鑑定眼が結果的に、査定に+があったのかもしれないけれど……勿論それには本人が気づいていない。

「……はーい。」

黙ってて。と言われれば勿論口を噤む。
けど、彼女は分かるだろう。査定を待つためにカウンターに視線を戻した後も――
後ろでひょこひょこと何かが後ろから覗き込んでくる気配に。

そして、査定が終わり、カウンターにいい感じの値段分の貨幣が並べられるならば、後ろで腕を組み、うむうむ。と頷く……。
黙っているが、行動が妙にうるさい。やかましい。

「良い査定結果ではないか。くふふっ。お主の頑張りが実を結んだのじゃな。」

シフォン > こちらの苦情に対して、何かしらの反発は覚悟していたのだけれど。
思いのほか、素直な返事に毒気を抜かれてしまう。

「え、えと……静かにしててくれたら……」

ごにょごにょと口籠る。
照れた顔を見せたくなくて、ちょうど終わった査定結果を聞くために相手に背を向ける。
提示された額は想定の範囲内。
がんばればもう少し値を吊り上げることもできるかもしれないけれど、欲をかいても良いことはないだろう。
むしろ黙ってはいても、ちょろちょろと背後から覗き込んでくる相手が、ややうざったく。

「これでお願い。
 ………ほら、空いたよ。―――その、褒めてくれて、ありがと……」

並べられた銀貨をそそくさと懐にしまい込む。
用が済めば、先程から纏わりついてくる少女に、さっさとカウンターを譲ろうとして。
想定の範囲内とはいえ、良い値段で売れたことは、素直に嬉しく。
それが少女の批評のおかげかどうか分からないけれど。
何となくお礼を言ってしまったのは、相手が自分同じ女の子で悪意などが感じられなかったからだろう。

アルティール > 「…………。」
少し大げさに。自分の唇の前で人差し指を交差させ、まるで絆創膏でも貼ってるかのようにして静かにしている。
こく、こく。と頭を揺らし、静かにしてくれ。という言葉を律儀に守っているのである。
なお、口を出さないからと言って他の場所が静かでないかというと、そうではない。
行動が喧しい。結果、なんだあいつ。って視線を後ろから向けられているが、気にした様子は微塵もなく。

「―――ふふ。
 人の頑張りを褒めるのは普通じゃろ?特に、此処では出来て当然って顔をする輩も多い。だからこそ、凄い!の一言や二言、言いたくなってのう!
 こう見えて、素材を取り扱ったりすることも多いのでな? ついつい気になってしまったのじゃよ。」

改めて、口を開けば、同世代かと思われる顔立ちとは裏腹に古風な口調。
彼女が横にずれてくれたのなら、軽く会釈をして――革袋から取り出すのは、ごとごと。と音を立てる試験管に入ったポーションが10本。

「ん、査定を頼む。呪い治療のためのポーションの納品じゃ。作りたてほやほやじゃぞ?」

猫みたいに眼を細め、カウンターに差し出せばそれらも査定が始まる。
何でも冒険者の中に呪いの武具のせいで色々と仕事が出来なくなったグループがあり、
その彼らが自分たちの呪いを解くための道具を急いで欲しがっていたという理由のために創り上げたもの。
市販のものよりもカスタマイズされており、恐らく彼女の薬草と同じように少しだけ色がついた報酬が貰えるはず、のもの。

シフォン > カウンターを譲れば、あとは自分へのご褒美にちょっと美味しいものでも食べようかと思っていたのだけれど。
ちょっとばかり鬱陶しかったけれども、ちょっと変わった口調で話しかけてきた少女が取り出したものを見て、足を止めた。

「―――ポーションなのに、呪い治療……?」

聞いたこともないと、ぽつりと漏らす。
呪いの治療といえば、神聖魔法や祈りといったものが一般的
ポーションでどうにかできるなら、わざわざ教会なんて場所に赴く必要もないわけで。
もしかしたら、自分が知らないだけで、ある場所にはあるのかもしれないけれど。

あいにくと呪いに悩まされているわけではないから、欲しいとは思わないにしても、どのくらいの価値なのか想像がつかない。
自作と言うからには、少女は薬師か錬金術師ということなのだろう。
改めて、少女のいでたちを眺めてみると、確かに魔術師っぽくも見え。

とはいえ、少女とは違って背後から覗き見るようなことはしない。
依頼の貼り出された掲示板の方へと向かいつつも、隠蔽した耳だけはぴくぴくとカウンターの会話を盗み聞くような格好で。

アルティール > 同じく、隠蔽した耳が横に移動した彼女の疑問を聞き取る。

そう、普通ならば呪いは教会に行って祈りを行えばいい。
だが、それが出来ない存在も居る。
例えば、所謂荒くれ者。聖職者たちに乱暴し、ブラックリストになっているような輩だったり。
例えば、呪いの対象がこの街に居ない場合。シスターを連れてダンジョンなどに再度潜りに行くなんてことは現実的ではない。
そういった"普通と違う状況"のための呪い解除(アンチカース)ポーションが、今回の納品アイテムである。

「ま、今回は呪いの武具によるもの。ということだったのでな。ソレに合わせたものを作っておいたぞ?
 ―――ええい。嘘ではないわ。何ならお主を呪った上で使って見せようか!」

と、先程の彼女と違い、少しだけ難航している様子。
なにせ彼女が疑問に思うのと同じで、一般的ではないアイテムであり、実用性は実際に呪い相手じゃないと証明できない。
ので、威嚇とかをしてみた。あんまり怖くない。
が……一応、そこそこの実績がある冒険者でもあるためか、渋々とカウンターの中で査定が行われる。

「まったく……人の道具をパチモン扱いとはなっておらぬ。
 錬金術はこのあたり、時々軽く見られがちじゃからなぁ……。」

――と、ため息なども。

シフォン > どうやら交渉は難航しているらしい。
耳だけそちらの方へと注意を向けながら、視線は掲示板の方へ。
呪いにしても、ポーションにしても、専門的な知識は持ち合わせてはいない。
何かできるはずもないから、関わらずにいようと。
特に「呪ってやる」的なことを喚くような相手には、近づかない方がいい、はず。

眺める依頼の中に、当然ながら呪いに関するものは何もない。
無意識に、そんなものを探してしまっていたことに唖然として。

「………次の仕事、探しておかないと。」

ぷるぷると、首を振って意識を切り替える。
どうやら苦労しているらしい少女には、何となく共感できるものもある。
だからと言って、何かするでもないけれど。
張り出された依頼へとひと通り目を通して。

「―――やっぱり、お肉、かな…」

冬場で供給の減った食肉の依頼が少し目立つ。
鹿は無理でも、野兎くらいなら狩れるかもしれない。
依頼票へと手を伸ばすころには、向こうの交渉も終わっているだろうか。

アルティール > 彼女の行動は間違っていない。
色々と怪しげな相手には関わら無い方が一番である。
――ちなみに、別に呪いは使えないので単なる脅しなのだけど、それはそれ。出来るとしても、おくすりでそういった属性を付与するぐらい。

数分して、戻ってくるギルドの職員。
トレーには少し多めの貨幣。先程の彼女のものと同じぐらいか、少しだけ多いぐらいか。
10本という数。品質は良かったかもしれないが、その後の売り言葉に買い言葉の反応がどうやら査定に引っかかった様子。本来ならもう少し貰えていたはず――と思うと、その眉が持ち上がり……。

「ぐぬぬ……。ええい、これで勝ったと思うなよ!
 次はもっと高いものを納品してあっと言わせてやるからのう!」

此処でもし、彼女が此方に視線を送っていたら。
不満そうに、悔しそうに、カウンターを睨んでいた少女の姿が目に入ったかもしれない。
しかも負け惜しみとしか思えないような捨て台詞まで残してる有様。
貨幣を納品を終えた革袋に収め、ふん!と、ぷりぷりしながら次の依頼を見に行くのは、彼女と同じであり―――。

「やー。あんまり良い結果にならなかったなぁ!……良い感じの仕事、ありそうかのう?」
と、小首を傾げつつ……依頼票に手を伸ばす彼女に、ふと声を掛けた。
理由なんてものはない。先程から此方を意識しているように見えたからである。
春先が近づき、モンスターだけじゃなく野生の生物も冬眠から醒め始める頃。お陰で依頼票の数は事足りない。
そんな状態でいい感じのものがあったか?と――世間話のように。

シフォン > 「えと……お疲れ様。残念……だったね?」

当然とばかりにこちらへと話しかけてくる相手に、ちょっとばかり逡巡したのちにそう返す。
向こうが出した金額までは見てはいないけれど、相手の様子からすれば不本意な結果だったのだろう。
短い労いの言葉を掛けてから、手にした依頼票へと目を落とし。
そうして、それを少女にも見えるようにと差し出して。

「お肉。……酒場で足りてないみたい。」

良い感じかどうかは、人それぞれの考え方次第。
討伐や護衛と違って狩りや採取なら、あまり人と関わらずに済むというのが利点で。
錬金術師らしい少女には、旨味もなければ、関係も薄い依頼だろう。
それでも、何となく少女がどんな反応を示すかと、顔色を窺ってみて。

アルティール > 「くふふ。労いの言葉、感謝するぞ。そちらこそ良い結果でなによりじゃ。
 ……もう少し高く納品出来ると思ったんじゃがなぁ……。もっと分かりやすいアイテムの方が査定も良いのじゃろうな。」

結局、そういうことだ。どんなものもわかりやすさは大事。
ギルドと言うのは結果がすべて。その結果がわかりやすければわかりやすいほど、査定も+に働く。
そういう意味では、目の前に居る彼女の納品は見事の一言だった。冬場に流通がまだ進んでないものを、根まで生かした納品を行ってたのだから。
彼女に向ける眼は好奇心と、ちょっとした尊敬。その眼が、差し出された頁に向けられる。

「あー。なるほど。特に冬場はどうやっても冬眠のせいで肉類が減ってしまうからの。
 それに、肉は美味しい。いくらでもあって問題ない。さっきの薬草といい、狩りや採取が得意なのじゃな?おぬしは。
 ……そんなおぬしに、ちょっとした良い話があるぞ?」

見せた反応は納得と、目の前の彼女の選択の方向性への思考。それと、顔を寄せ、わざとらしく小声で話す仕草。

「わらわはこう見えて錬金術師であるのだが~……狩りをするというのなら、罠餌や罠道具などを用意できる。
 もしよければ、どうじゃ?そういうアイテム、買ってみぬか?勿論、お安くしておくぞ!」

――まさかの、商売である!

シフォン > よく喋る相手の言葉を半ば聞き流す。
確かにお肉は美味しいけれど、食べきれないほどあっても、腐らせるだけで問題なくはない。
氷結の魔法を使えば、冷凍保存もできてはしまうけれど、それはそれ。

「……?」

良い話と聞けば首を傾げる。
こういうのは、大抵ろくでもないモノと相場が決まっている。
これが胡散臭い商人相手だったなら、話も聞かずにどこかへ消えるだろう。
話を聞くつもりになったのは、ほんの気の迷いというところ。

「……間に合ってる。
 って言うところだけど、どんなのがあるの?」

顔を近づけてくる少女の身体を押し返すようにして、すげない答えを口にする。
ただ少女が目を付けたように、狩りをするにも消耗品というのはあるわけで。
行きつけの店というところもなければ、商品を見るだけ見てみても良いかもしれない。
呪いの治療用ポーションなんて自作できるくらいなのだから、腕は確かなのだろうし。
間にひとり分の距離を空けてから、そう問いかけて。

アルティール > 自分の言葉の胡散臭さは重々承知の上。
然し、目の前の彼女は自分に少しでも興味を持ってくれていると判断した上での、距離感を少しバグらせたちょっとした打診。
なお、押し返された。

「むぇ。」

変な声も出た。不満そうに形の良い唇を尖らせ、つれないの~。なんて言う始末だけれど。
彼女が少しでも興味を持ってくれたというのならば―――。

「うむ。賢い冒険者は好ましい!
 間に合っていても、それがなくなる時もある。いざという時の次を見据えるのはわらわとしても好ましいぞっ!

 さて。」

その表情に冒険者らしく、少しだけ真面目さを含ませた。
同時に、ぐおんっ。とあらぬ方向に伸ばした右腕が、漆黒の孔へと飲み込まれた。
創り上げた暗黒空間をアイテムボックスのようにしているだけなのだが、傍から見れば異質な光景。其処から、ぶぽん!と取り出したのは、和紙に似たもので包まれた肉の塊である。

「基本、罠を混ぜた餌というのは、毒が回った結果味が落ちるとか、麻痺の効果があっても効き目がないということがあるじゃろ?
 ……これは魔物の神経に作用する毒を織り交ぜた毒でな。噛みしめるだけで、患部から脳にかけて痺れが起き、数時間は動けなくなる。
 しかも、薬を煎じて作った神経毒なのでな。人には無害。即効性と効き目を重視したものじゃ!」

――割と真面目なものを取り出した。

シフォン > 「―――褒めても、何も出ない。
 わゎ……っ!? ……それって空間魔法?」

相変わらず、褒めてくる相手に、表情が崩れてしまいそうになるのを押し留め。
普段、人と接しないせいで、ちょっとした誉め言葉にも反応してしまう。

伸ばされた腕の先が、奇妙な黒い穴へと消えると、驚いた声を上げ。
大丈夫なのかという心配をよそに、取り出されたのは謎の肉塊。
変わった魔法に、差し出されたものよりも、興味深そうに問いかけて。

それはともかく、件の商品
罠を仕掛けるならば、撒き餌が必要
それは確かにそうなのだけれど。

「弓、使うから、いらない。」

至極真面目な営業トークを、ぶった切る。
まぁ、それでもせっかく出してくれたのだし、肉の鮮度を確認するように覗き込む。

「こういうのは、獣害に困ってる村とかに需要があるかも。」

しげしげと観察するも、どうやら鮮度も問題ない。
となると、自分が買うよりも、狩人の数も少ない小村にこそ必要だろうと指摘する。
これがあれば、戦闘ができない村人であっても、狩りができるのだから。

アルティール > 「事実を言ったまでじゃ!
 ……うむ。実際には違うのだが、似たようなものじゃよ。痛くもないし、怖くもないぞ?」

ほれ。とそんないろいろなものが溢れそうになってる彼女に見せつけるのは、
自分の手の動きに合わせ、展開している黒い孔が形を変えたり、位置を変えたりしている様。
そして、其処から取り出したものは、たしかに。そういったものを利用する人にとっては、間違いなく良いものだった。

が。彼女には必要なかった。そんな寂しい事実に、思わずお肉を落としそうになった。

「む、ふふ。弓使いだったか。わらわの観察眼も足りておらぬな。
 ……ん、見るか?とはいえ、加工済じゃから、人が食べるものではないぞ~?」

覗き込む金色の瞳に写し込むのは薄茶色と微妙に変色したように見える肉の塊。
然し、そういった異臭はない。寧ろ薬を煎じてという言葉は恐らくハーブなどを利用しているのだろう。どこか香ばしく、食欲を唆る香りがつん。と訪れるもの。
この香りが動物を引き寄せる役割を果たすわけであり。
しかも、暗黒魔法によって隔離されてるお陰で鮮度は上場。

「……うむ。分かっているのだが。
 この色合いと、錬金術への知識のなさが重なって、どうにも売れぬのじゃよ。だからこうして、狩りメインの冒険者に売出しを、とな!
 ……おぬしになら、矢に塗る毒とかも向いていそうじゃが……既に持っていそうじゃな。」

その指摘は尤も。しかし、長寿の存在は既にそれを試してみたが、やはりこういう時に必要なのは知名度なのである。
流浪の錬金術師(魔法使い)がいきなりそれっぽいアイテムを出して受け取ってもらえるか。と、肩を竦め……。
ならば、目の前の彼女に向いているものがあるかと、提案そのに。

シフォン > 腕が動かされる度に、形を変える黒穴
話には聞いていたけれど、空間系の魔法を見るのは初めて。
変わった仕様を、興味深そうに見つめ。

「悪くはない、かな。
 獲物を誘うなら、使えるかも。」

すん、と鼻を鳴らす。
どことなく香ばしい匂い。それに釣られる獣がいるのなら、狩りには使えるだろう。
お試しに少しだけ買ってみても良いかもしれない。

「んー……確かに見た目は大事、かも。
 毒は持ってる、けど。あるに越したことはない、かな。」

こちらの指摘は、けれども既に試した後だったらしい。
確かに世の中、知名度というのは大事。
そうでなければ、如何にもな見た目というのも、商売には必要なのだろう。

そうやって話していると、他の冒険者が戻ってくる頃合いになる。
混み始めてきた様子に、場所を移そうと言い出して。
結果として、謎肉のほかに、ごく普通のポーションなどを買い求め。
それがお買い得だったかどうか知れるのは、狩りに出てからのことで――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」からシフォンさんが去りました。
アルティール > 「くふふ。そうじゃろ?
 何せ、獲物を捕らえるためのスパイスなども混ぜている。此処には素材は困らぬからな!」

鼻孔を刺激するその香り。それが獲物を引き寄せる役割を果たすというのならば、
本来の罠というよりも、獲物を引き寄せるための疑似餌みたいな役割も果たせるかもしれず。

「……おぬしのように品質が分かる冒険者ならともかく、
 傍から見れば腐ってるように見える悩ましさ、じゃからな。
 持っているとはいえ、毒性を持つ獲物を狙う場合などは使い分けも必要じゃ。――うむ、だからこう、な?」

そうして、いろいろな説明をし始める頃にはギルドの中も賑わい始める。
彼女の提案はそのまま素直に受け取り、饒舌に錬金アイテムの宣伝を行い続けるのだ。
最終的に彼女が結果を出せたかは、また狩りに出てからの話。
それはそれとして、楽しい時間を過ごして、少女自体は満足だったそうな……。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」からアルティールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──くぁーああぁぁ……」

まだ日の高い時間帯。
大欠伸を漏らしながらふらりと冒険者ギルドに足を踏み入れる、金髪の男が一人。
周囲を軽く見渡してみるが、すでにピークの時間は過ぎているようで人影はまばら。
現れた男に幾つか視線が向くも、特にこれといった用向きがある者もいないらしく、
程なく各々の用事に戻ってゆく。
そんな光景にフンス、と小さく鼻を鳴らしながら、とりあえず依頼の張り出されている掲示板の方へと足を向けた。

「さーて……なんかおもろそうな依頼とかはありますかいのぅ……時間的に、時既にめぼしいところは持ってかれてそうだが……」

顎に手を当てて独りごちながら、掲示板の前に突っ立ってまばらな掲示物を暇そうな顔をして眺めてゆく。
割の良い依頼は男の言葉通り誰かにすでに取られているだろうが、男にとって重要なのは
報酬の額よりも面白そうかどうか、である。

エレイ > しかし男の琴線に触れるようなものは見当たらなかったようで、頭をかきながら
掲示板から離れると、ギルド併設の酒場の方へと足を向け──

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にクレイさんが現れました。
クレイ >  
 訓練などを行う場所。本来ならその場所には冒険者や傭兵、騎士などしかいないはずだった。
 だが今日は違う。普通の人、ちらほらと貴族や王族なんかも来ていてある種のお祭りだ。
 なぜそうなっているか。理由は簡単だ。表向きは訓練の一般公開。だが裏はパトロンを探している奴らだったり逆にパトロンが自分の部下を見せつける為に集まっている。
 冒険者や傭兵だってパトロンがいれば便利だし、騎士が貴族に好かれていれば色々と動きやすいだろう。
 さて、そんなこんなで今若い騎士見習い同士がバシバシとやりあってる。それをじっと見て。

「……決まりだな」

 そうつぶやいた途端、片方が1撃を決める。
 男も一応は参加者。とはいえ、早々に1勝、その後絡まれたので相手を1合も撃ち合う事なく速攻で撃破。そんな事をしていれば目立ってしまい挑まれなくなった。
 まぁ自分はパトロンがいる側なので強さを見せつければ良いのでこれで正解といえば正解だが、理由も無いのに帰る事も出来ないので退屈だ。
 しかも表向き健全な催し。賭け事をする事も出来ない。

「……くあぁ」

 欠伸をする。退屈だ。