2022/12/10 のログ
エレイ > やがて小さな公園の前に差し掛かれば、歩く足を止めて少し思案。
然る後、おもむろに公園の敷地内へと足を踏み入れる。

周囲には見える限りではやはりというか、誰の姿もなく。
フンス、と小さく鼻を鳴らしながら、公園の片隅にある東屋へと足を向け、
その屋根の下に入り込んでゆく。
そこには木製のテーブルと、それを挟むように同じく木製のベンチが設置されていて。

「──ふぃー。ここでちょいと一休みにしましょうかねぇ」

なんて独り言ちながら、傘を閉じつつベンチに腰掛け。
テーブルの上で頬杖ついて、雨に煙る周囲の景色を改めて目を細めて眺め。

「ふぅーむ……今日の雨はコレ、止まないヤツかな……別に雨は嫌いじゃねぇーんだが……ン?」

雨足はこれ以上強くなりそうではないが、止む気配もなさそうで。
フンス、と小さく鼻を鳴らせば、ふとパシャパシャとこちらへ近づいてくる足音らしきものが男の耳に届き、
顔をそちらに振り向かせてみて。

エレイ > 果たして、振り向いた先に男は何を見たのか……結局その日、雨は絶えず降り続けたらしく──
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 冒険者ギルド」にロイスさんが現れました。
ロイス > 「ええ、解りました。先輩。後は、こっちに任せてください。
……長い間、お疲れ様でした」

冒険者ギルドのテーブル席で、目の前の初老の男にそう言った。
初老の男は、腰に付けた剣と背中に背負った盾、そして鞄をテーブルに置くと、「じゃあな」と言ってギルドを去った。
恐らく、もう二度とこの場に来ることは無いだろう彼を見送って、男は嘆息した。

「やれやれ、中堅冒険者ってのも楽じゃないな」

そう言うと、テーブルに置かれた荷物を、一旦自分の側の長椅子に置きなおした。
これらは、つい数秒前に引退した先輩冒険者から譲り受けたものだ。
否、彼の望みは、『適当な若人にでも下げ渡してくれ』との事だったから、厳密には『預かり受けたもの』か。

「感傷に浸りたい気もするけど、その前にこれの処分を決めないとなあ」

長時間預かると、維持するための場所や金もかかるので、実利的な事だけを言えばさっさと処分してしまいたいのが実情だが。
かといって、預かり物を売り飛ばすような事も出来ない。
幸い、物は良いので、初級の冒険者に渡すこと自体は構わないのだが……さて、どうしたものかと頭を掻いた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2 冒険者ギルド」からロイスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 噴水広場」にリクトさんが現れました。
リクト > 依頼を終え、ギルドへの報告が終わった帰り道のなかで胃袋への魅惑的な誘惑を仕掛けてくる屋台通りにて戦利品たる紙袋と片手に酒を持って広場へと足を踏み入れる。

手に持った紙袋から伝わる温もりと相変わらず鼻腔を擽る匂いに、帰宅まで持ちそうにないと思えば、噴水が見えるベンチへと腰掛けた。
早々に紙袋から串焼きを取り出し、見た目や匂いを楽しむ前に一口で半分ほど食えば――

「空きっ腹に効くなあ、おい。」 なんて、好みの味付けに満足しつつ舌鼓を打った。

リクト > 行儀悪く串を歯で挟み咥えながら、鼻歌交じりに酒瓶の蓋を開けて――普段よりも少しお高めな蒸留酒を口に含み、若干焼けるような感触と鼻の奥を抜ける香りの良さに、

「うん、旨い。串焼きとも合うな、これ。」

飲む際に手に持ち替えていた串焼きを放り込み食べきれば、紙袋からもう一本の串焼きを取り出す。

リクト > 串焼きに舌鼓を打つ最中、何気なく広場へと目を向ける。
時間帯のせいもあって人の影は疎らだけれども、楽しげな気配を漂わせている人々の姿や噴水の近くに腰掛けて愛を囁き合っているであろうその様子に思うところが無いわけではないが。

「…まあ、平和で穏やかな時間っていうのは良いものではあるがね。」

片や、一人侘しく串焼きを頬張り、酒を飲む男。そんな自分を客観視してしまい、

「……………。」

若干表情が抜けた顔つき――死んだ目ともいう――になりつつ、そんな事実から目をそらすようにまた酒を一口飲んだ。