2022/11/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 とある飯屋」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 「~♪」
まだ日の高い時間帯。
ピーヒョロロとヘタクソな口笛を奏でながら、悠然と冒険者ギルドに足を踏み入れる金髪の男が一人。
賑やかな様子のロビーを軽く見渡せば、あちこちでパーティらしき数人の集団が話し合っている姿が見える。
そんな活気のある光景に目を細めて小さく笑みを浮かべながら、そのままのんびりと
受付カウンター近くの掲示板の方へと向かってゆく。その掲示板には依頼書や、パーティ募集の要項などが雑多に貼り出されていて。
「──今日もいっぱい来てますなぁ。さて、なーんか面白そうなのはありますかいのぅ?」
親指と人差指で摘むように自らの顎をさすりながら、他の冒険者らに混じって掲示板の前に立ち、
何かしら興味を引くものがないかと眺め回し。
■エレイ > 「……ぬぅ。コレといったモンがねぇーななんも……」
しばらくして、男の呑気な顔は眉の下がった困り顔に変わっていた。
他の冒険者達も似たりよったりのようで、一人、また一人と渋い顔をしながら妥協して適当な依頼を手にしてゆく。
結果、男の前に残された依頼は完全に『残り物』だった。
「……。まああこんな日もあるわな……俺も適当なやつをひとつ……どれどれ」
そうして男が手に取ったのは、掲示されてから数日経っている依頼書。
内容は植物採取と簡単なものだが──
「……遠いな。しかも必要量が地味に多い感。やってもいいが……せっかくだから
同行者が欲しいところだのぅ」
それは条件が少々面倒なもので。報酬は悪くないが、いささかその手間に見合っていない。
放置されていたのはそのためであるようだった。
それでもとりあえずはこなしてやろうと決めつつも、道中が暇になりそうなので
同行者の一人でも連れていきたいと考え、きょろりと改めてロビーを見渡す。
事と次第によっては、報酬は同行者に丸投げしても良い。
そう考えながら、身体の空いていそうな者はいないかと視線を彷徨わせてゆく。
「だーれか、ヒマそうな奴はおらんもんか……」
■エレイ > 「──おっ。やあやあそこのキミッ。暇かね? ちょいと相談があるのだが……」
やがて目についた一人の冒険者に近寄り、声をかける。
男の誘いに相手が乗ったかどうかは、また別の話で──
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/神殿図書館」にヴァンさんが現れました。
■ヴァン > 夜。神殿図書館の庭……というべきか。
敷地内、土が露出した地面に男は立っていた。
藁を束ね、成人男性の形にしたものを角材でできた十字架に括り付ける。
火あぶりの刑で行うように、立てかけた十字架の下に藁や木の枝などを積み上げる。
……もっとも、ここ十数年は人も財産であるとして、死刑が行われるよりも奴隷落ちとなる方が多い。
若い人達にとっては何が行われるかすらわからないだろう。
火が燃え広がらないように注意して周囲を歩き回り確認する。
周囲には誰もいない。そのことを確認すると少し残念そうにしながらも、十字架の下に火種の呪文を唱えた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/神殿図書館」にマーシュさんが現れました。
■マーシュ > 「────……?」
かすかに届く炊煙とは違うたぐいの、火を使った匂い。
小さく鼻を鳴らして、それからその出所を確かめるように視線を巡らせた。
視線の先には幾度か足を運んだ図書館があるのだが、そこからの香りに少し目を細めた。
興味半分、懸念半分といったところか。
静かな歩みは、それでも急いだものではなかったが───。
館内に足を踏み入れることなく、その周囲に足を向けることになっただろう。
■ヴァン > 藁はあっという間に燃え始め、周囲の枯れ木へと火が移る。
ぱち、ぱちと音が立つと男は後ずさりして、大きな藁人形を見つめた。
男は腕を組んで、やや上を向いている。顔は――笑っているのか、悲しんでいるのか。
やがて藁人形にも火が点いた。やや燃えにくいように作ったのか、人形の形が崩れることはない。
儀式を見守るようにしていた男はほっと息をついた。
周囲を見遣ると見知った顔を見つけ、掌をあげて会釈する。
「やぁ……マーシュさん。いい所に」
■マーシュ > 焚火、というには少々大きな───。
磔刑のようにも見えるが。ともあれ人形が燃やされている光景は、いささか不思議。
どこかで記憶が引っかかるもそれを引き出せないまま、揺らめく焔のそばに立っている人物に目を向ける。
見知った人陰のそれが、こちらに気づいて挨拶を手向けてくれるのに静かに首を垂れた。
「───こんばんは、……何かの祭儀ですか?」
しかしそういうにも一人きり、のようにも見えるし──。
訝しむような問いかけにはなっただろう。
■ヴァン > 祭儀、とオウム返しに答えるとうーん、と唸った。
「ラインメタルの伝統行事さ。200年ほど前、王族を狙った暗殺事件があった。城の一部を錬金術の薬で吹き飛ばそうとしたらしい。
なんとか阻止されて、実行犯は火刑。王族は暗殺阻止の記念日として、その日は篝火をたいて祝うことになった。
……ま、その王族はだいぶ前に途絶えちまったが、今でも記念日として、故郷ではこうやってるんだ」
そう語る壮年男性はどこか寂しそうに笑う。望郷の思いがあるのだろう。
とはいえ、神殿図書館は神殿の敷地内でもある。副館長とはいえ男が行っていることは公私混同にも見える。
神殿で男を好まない人物が見れば格好の攻撃材料とするような気がするが、男は気にした風もない。
「毎年ここでやっていて、『ザ・タバーン』や各所で宣伝しているんだけどね。
どうやら同郷の人間はこの街にはいないか、そこまで故郷に思い入れがないらしい」