2022/11/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/公園」にヴァンさんが現れました。
ヴァン > 「……飲み過ぎた」

ふらふらと公園を歩く壮年の男。熱い息をつきながら、時折額に手をやる。
解毒の魔法を使えば酔いなど一発なのだが、それでは何のために飲んだのかがわからない。
心地よい酩酊感と悪酔いのシーソーが後者に傾きかけたので、男は周囲に視線をやる。
長ベンチがあることを見つけると、よろよろと向かう。どうやら横になるようだ。

「少し休めば楽になるだろ……」

日増しに夜も冷えてきており、眠らないかだけが心配だった。ぼんやりした頭で考えるも、なんとかなるだろうと横になる。
それなりに身なりがしっかりした男が横になっている姿は、スリをはじめとする不届き者にとっては格好のカモに見えるだろう。

ヴァン > しばし横になっていたものの、酔いが醒めてくると夜の冷たさをひしひしと感じる。
むくりと起き上がり、溜息を一つ。
難儀そうにベンチから立ち上がり、ねぐらへと戻っていく。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/公園」からヴァンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 とある飯屋」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ > 貴族という身分でありながら、いろいろな店に出没するメイラ。
戦場から一時離れている今も、行動は変わらないように入店すれば
適当な一つの丸いテーブルを占領し、椅子に腰を下ろし、目の前で安く仕入れている野良肉
言わば家畜という 食の目的でおいしく育てられた代物 とは違う
狩りで得ることのできた もしくは素材目的の狩猟副産物で卸されてくる肉の塊を前にしている。

黒い鉄板の上の4枚重ねのステーキ肉
添え物も無し 精々が塩とソースが別で置かれているだけ。
戦いがなければ王城か 肉か 女か はたまた“運が良ければ”王都の中でも
暴れている機会があったかもしれない。

しかし行動範囲はこうしてみれば狭く、無趣味に近いかのよう。

ガチガチと銀製とは違う攻撃に転用できそうな先の鋭いナイフでやや硬めの肉を切り落とし
二本歯のフォークで押さえつける姿は、周囲から少し浮いている。
黒い身なりと長く手入れされた髪 しかし腰から外した武具は剣というよりも凶器のような姿で
テーブルに寄りかかりながら常に主の右手の届く場所にある。
この食事処での光景はそんなところだ。


「―――(がもっ)」


小さな口 とか 菓子と紅茶を食む茶会の口元 とは違う
ギザ歯の生え揃うそれで刺し込んだ肉を押し込み、グジッと噛み砕く姿。
飲料も酒場で用意されているものとしてはまだマシなそれ。
エールではなくレッドラムの注がれた樽ジョッキ
傍には傷だらけの再利用されている霞仕上げみたいになっているフラスコボトル。


「ふん。」


―――硬い肉だと、わたくしの感想
―――でも悪くはないと思う 適当に切り分けではなく、しっかり筋も脂も取り除かれている。

メイラ・ダンタリオ > 4枚重ねはメイラが店主に厚みを要求したせいだ。
店主は 来た客に対し、粗末なものを出せば罰せられると思ったか
手間を掛けて高い金をとる予定だったやや薄いものの
純粋な赤身の塊を4枚重ねて出した。
メイラがそれを黙って口にしている様子を、カウンターから見ては
その口ひげに隠れた唇 ぷふゅ と安心する息を漏らしただろうか。


「(がぶっ)」


メイラは肉を食らいたいだけで店を訪れたものの
選ぶ店とは違い人種性別入り混じった店内の中
メイラのような立場という言葉から螺子が数本折れているような存在
周りは知己がいる様子も今はいない。

偶に轡を並べていた傭兵や剣使いが会釈をすることがある程度があるものの
始めて入った店のせいか、此処にいる全てが他人。
しかし、メイラからしてみれば 上も下もなく あの方以外全て平等
威張りも我儘も 文句も罵声もない。
肉に取り組み続ける姿勢 口に張り付く脂をラムで洗い流す作業。

まるで血と肉を補給しているかのような姿と共に
満腹で眠くなるどころか、その四肢 特に腕から覗く七分丈の肌は
活きがよくなっていくかのように筋を盛り上がらせているようにすら思える。


「―――ふぅ。」


ガチリと、空の鉄板の上にナイフとフォークを置いた。
口の中で溶けるよりも、咀嚼が応えた肉は戦場で食べるそれよりも幾分もマシ。
歯も顎も喜んでいると実感できたように、両手にはめ込まれた手指の黒鉄
顎を撫でながら、白いギザ歯は三日月を描いて満足げに吐息を漏らす。


「ラムをもう少しくださる?」


そう言って、食後の余韻と共に、赤い々いラムを
グビリと口の中でもう少し注ぎ込む作業に入るだろうか。