2022/05/04 のログ
■グスタフ > 「同じ神に仕える者同士、というのでは納得できないかね。
なにより冒険者ギルドの正式な依頼に穴を開けるのは……よろしくない」
ギルド員にお願いされたわけではないが、営業の一環としては悪くないだろう。
彼女の背格好にしては扱う獲物も、気になる。見目も悪くないとなれば。
微笑んで、片目を瞑って見せる。
「実力があるなら、申し分ないね。獲物も似てるしな」
ギルド外にかけておいた、獲物の戦斧を担ぎなおして歯を見せて笑った。
■ノエニ > 「ふへ……。
神に仕える者……。」
彼は教団の関係者か何かなのだろうか。
確かに自分は聖職者の身なりはしている……
……が、その実、信仰心なんか当の昔に投げ捨ててしまっている。
むしろ神の教えなどクソ喰らえくらいには思っているのだが、
敢えて口に出す事も無いだろうと押し黙る。
「あ、はは……。
変ですよね、聖職者が戦斧なんか振り回して……。」
と、恥ずかしそうに、曖昧な笑みを浮かべる。
彼も斧を獲物とするとかなんとか。
「で、では……いいんですね?
……お願い……します……。」
老人と二人なら別に何も考えずに仕事ができるだろうと思っていた。
……枯れ木が着いてくるくらいに考えればいいと思っていたので。
しかし若く屈強な男性と二人……
相手の不興を買わないだろうか、何も問題が起きないだろうか、
そもそもこの人は信用して大丈夫な人なんだろうか……
色々不安を抱えつつもひとまず共に仕事に向かう事にした。
「あ、その……お名前……伺っても……?
わ、わ、私は、ノエニと、申します……。」
おずおずと、自己紹介を。
■グスタフ > 事情があるのかないのか。
妙に落ち着かない様子の彼女に表情は変えずに。
背信者かななどと疑念は浮かべども、おくびに出さずに。
「こちらが先に名乗るのが礼儀だったね。グスタフだ。よろしく」
手を差し出す。なにはともあれ、背信者かどうかを見極めるのは私の仕事ではないし。
気楽な気持ちで男は彼女を促しながらギルドを後にし始める。
担いだ戦斧を見せながら、街中で持ち歩くには物騒すぎる代物だ。照れたように髪をかく。
「確かに、神の使途ってよりは冒険者気質なんだろうな、俺も」
■ノエニ > 「ぐ、グスタフさん。
……その、よ、よろしく……。」
差し出された手を、さっと握ってすぐに手を引っ込める。
人に慣れる気配がどうにも無い。
軽く準備を整えると、早速出発する二人。
肝心の仕事の内容だが、近隣の村の近くに出現した大型の魔獣の退治だ。
一人では手に余る獲物、本来なら3,4人くらいで狩りたい相手だが、
まぁ二人でもなんとかなるだろう。
■グスタフ > あまり懐かない感じは、仕方ないなと思うが、軽く触れた手の感覚は、冒険者らしくはあった。
それなら依頼内容的にも、彼女の様子的にもサポートに回った方がいいだろう。
「ああ、そうだ。その魔物相手なら、いいものがあった。木登りは得意かい?」
軽く火を起こして、取り出した草をくべる。余っていて消費期限切れギリギリの代物だが、一応使えるだろう。
不思議な匂いが流れていく。魔物を呼び寄せる香だ。
「この匂いに釣られてでてきたところを、叩こう。囲まれないように、木の上にでも上っておくか」
一人でも登れるか、様子を見ながら場合によっては手助けして素早く陣取る。
上から一匹でも叩けば、何匹も囲まれることもないだろう。
■ノエニ > 半日ほど歩いて、件の村へと辿り着く。
獲物は近くの森に出没するとの事で、早速狩場に赴く二人。
「木登り……え、えと……
その、楽勝ですけど……?」
武器が戦斧であったり、握手から感じ取れる力であったり、
この娘、聖職者のくせに体力には自信がありそうだったが、
やはり木登りなども問題ないらしい。
グスタフの案に従い、獣寄せの香を焚きながら樹上で待つ。
すると……程なくして、香の匂いを上回る様な獣臭が辺りに立ち込める。
「……来たな……。」
樹上で戦斧を構えて潜む娘の目が鋭くなる……
それなりに修羅場をくぐってきた戦士の目だ。
そして……
近くの木々が音を立てなぎ倒されると、
鋭い牙を幾つも生やした、巨大な四つ足が現れた。
小山ほどもありそうな、猪を醜悪に肥大化させた様な獣。
樹上の二人にはまだ気が付いていない様子で、
焚かれた香を、執拗に臭いを嗅ぎつける。
「………っ!!!!」
グスタフに目で合図を送ると、
戦斧を振りかざして樹から飛び降りる。
狙うは、魔獣の脳天。
■グスタフ > 彼女の合図に、振りかぶったまま飛び降りて。
脳天を狙う彼女に合わせて、着地から掬い上げるように戦斧で弧を描いた。
喉か首か、戦斧を突き刺して仕留める。
その前に脳をカチ割った彼女の手柄だが。
「いやぁ、お見事。追撃はいらなかったか」
柄の長い戦斧を引っこ抜きながら、遅れて寄ってきた他の魔物を叩き潰しながら。
ほどなく夜は静けさを取り戻した。上機嫌で荷物をまとめ。
「さて、任務完了と。楽勝だったな。それじゃひとっ風呂いきますか」
彼女を連れだって宿に向かっていく。勢い、決定事項だと押し切りながら彼女と連れだって入った。
■ノエニ > 「………っ!」
斧で頭蓋をたたき割られた獣が、鮮血と脳漿をまき散らす。
直後、下からグスタフの斧が下顎を叩き割り、巨大な獣は一瞬で絶命。
ものの一瞬の出来事であった。
残るは、頭を失い怯え惑う雑魚どもばかり。
グスタフと二人、斧を振るい蹴散らす。
森が魔物どもの返り血で染まるのに、さほどかかりはしなかった。
「ふ、ふ……楽勝、でしたね……。」
聖職者の白衣を赤黒い血で濡らし、
満足気な笑みを浮かべる少女。
ともあれ仕事は完璧に済んだ。
今日はもう夜も暮れるし、村でゆっくり休んでから、王都へ戻るのが良いだろう。
グスタフと共に、村の宿へと……。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からグスタフさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からノエニさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 「──~♪」
雨がしとしとと降り注ぎ、普段に輪をかけて人気のない住宅街の路地を、
ピーヒョロロと下手くそな口笛を奏でながら、一部に赤いラインが入っている意外はほぼ全てが銀色の番傘という
奇妙な物体を担いでのんびり歩く、金髪の男が一人。
傘を携えている代わり、普段羽織っている銀色のジャケットは今はその姿は見えず。
食事を終えた後、暇つぶしを求めてブラブラと大通り、路地裏と歩いてきたが、特に何か特筆するものと遭遇するでもなく、
気がつけばこの場所まで辿り着いていた。
先の二箇所に比べると、余計に事件性の少なさそうなロケーションではあるが──
「……まああ人生ドコでナニが起こるか判らんもんだからな」
なんて小さく笑って独りごち、軽く肩をすくめて。
適当に視線を彷徨わせて住宅街の景色を眺めつつ、ぱしゃ、ぱしゃとマイペースに歩を進め続ける。