2022/02/07 のログ
■エレイ > しかし、これと言ったものも見つからず。眉下げてかしかしと頭を掻きながらその場を離れ、何処かへと──
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にファイネアさんが現れました。
■ファイネア > 「あー、私はもうちょっと飲んでくねー。」
今日は仕事終わりの打ち上げ、のようなもの。
個人的にはお付き合いくらいの感覚ではあるが、お酒をいただく機会としては悪くない。
それもしばらく前に始めて、そろそろお開きと言ったところ。
他の連中は翌日仕事であったり、そろそろ酒量も限界と言う事で引き上げる様子。
自分はと言えばもうちょっと飲み足りない気分だった。
なので先の発言通り。帰っていく連中にまたねーと気楽な様子で手を振り、4人掛けのテーブルの一人残る。
給仕に目の前の空いた皿などを下げちゃってと頼み、ついでにつまみにナッツでも頼む。
そういう所で、広いテーブル席に一人。それなりに目立つかもしれない。
まぁ適当に飲んだら帰りましょうか、と思いながら…。
お酒付き合う人いないかなぁと視線を小さく巡らせる。
…何ならついでの『お食事』もできたらなぁと思っているだけに。
なかなかそんな都合の良い人物などいるわけもなく、小さく息を吐けばまたグラスを傾けた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にアルブムさんが現れました。
■アルブム > 今日のアルブムは酒場で給仕のバイト中。
愛用の杖は台所の裏に預け、宵の口のかき入れ時から客の散り始めるこの時間まで働き通し。
「ご注文のナッツ、お持ちしましたぁー」
それでも、接客業はそこそこの経験者であるアルブム。身体に疲労が溜まってても、発する声は溌剌さを保っている。
男とも女ともつかぬ変声期前の声色で、4人掛けテーブルに一人座るファイネアに声をかける。
そしてテーブルにコトリと木の皿を置く。炭火でよく煎られ、粗塩をふられたナッツがこんもりと盛られている。
「……なにか追加のご注文、あります?」
空色の瞳をまんまるに開き、白い歯を見せる笑顔を向けながら、問いかける。
■ファイネア > 元気な声で注文のナッツが運ばれてくる。
ありがと、と気のない様子で告げて視線を向ける。
あらかわいい、と思いはしたがそれ以上を思う事もなく。
「追加? ん-…今はないかしら。さっきまで食べてたから。」
お気遣いどうも、と愛らしい少年に微笑を向ける。
とは言えファイネアもそう歳をとっているようには見えないだろう。
少しだけお姉さんが少年に笑顔を向ける、という程度のモノ。
特にそれ以上もなく、さて、という様子でナッツを口に運ぶ。
さすがにまだ仕事も終わってない酒場の給仕に手を出す事はしないようで…。
■アルブム > 「はぁい。何かありましたらお気軽にどうぞー!」
ぺこり、深いお辞儀をするローブ姿の少年。後頭部で蜂蜜色のポニーテールが躍り、白檀の香りがほのかに漂う。
そしてまた別の仕事を探しに、台所へと戻っていったが、その折に店主から何やら耳打ちをされる。
「………ごめんなさい、本当にごめんなさい……明日はまたご用意できると思いますので……!」
ほどなくして、酒場のあちこちの席に出向いてはぺこぺこと頭を下げる少年の姿が目に入るだろう。
この遅い時間まで残っていた客たちはそんな少年を見て、次々に席を立ち、酒場から去っていく。
『しょうがねぇなー』としぶしぶ了承する客もいれば、少年にひとしきりの悪態をつく客も。
そしてやがて、少年は再びファイネアの席にもやってきて。
「あの、ごめんなさい。大変申し上げにくいのですが……。
店主が発注をミスしてたのと、今日の予想外の客入りとが重なって、お酒の在庫がなくなったそうなんです。
なので、お酒はもう今日はお出しすることができないのです。
お食事だけされるのであれば全く問題ないんですが……よろしいでしょうか?」
ぺこぺこと申し訳無さそうに繰り返し頭を下げながら、弁明をする。
その背後で、残っていた客たちは続々と店を出ていき、店内は急激に閑散としていく。
■ファイネア > ナッツを摘まみながら、お酒をちびちび呑む。
周囲をぼんやりと眺めながらそれを繰り返す。
そうするうちに、何か謝りに回る少年の姿が目に付くだろう。
何してんのかしら。と気のない様子ではあったが、やがて少年がこちらに来ればあぁそういう事と納得の様子を見せる。
「そ。別に構わないわ。貴方も大変ね。」
店内から客の姿が消えていく。
それもしょうがない。酒の出せない酒場にはあまり用事はないだろう。
帰るか、河岸を変えるか。そんな所だろう。
ファイネアと言えば、まだグラスには酒が残っているので座っているに過ぎない。
通常の食事をするつもりももうないので、グラスが空いたら適当に帰っても構わないのだが…。
「まぁ、もうちょっとだけいるわ。お酒、まだあるから。」
少年に告げて、小さくグラスを振って見せる。
酒を呑んでいた為か、ちょっとだけ艶っぽい笑みを。
■アルブム > 「そ、そうですか。わかりました。僕はまだお仕事してますので、なにかありましたらお申し付け……」
自分が悪いわけでもないのに、妙にへりくだった態度でしきりに頭を下げる給仕の少年。
だが、頭を上げたその時、ふと目に入った女性客ファイネアの仕草に、その動きと言葉が止まる。
自分(の実年齢)とそう変わらない若さなのに、妙に色っぽい所作。グラスを揺らす手指の細さ、瞳の美しさ。
ぽっ、と頬が赤く染まるが、薄暗い酒場の片隅では気づくのは難しいかも知れない。
『……客もほぼ掃けちまったな。おいアルブム、俺は裏に引っ込んでるから、なにかあったら呼んでくれ。
まぁお前ひとりでもナッツくらいのつまみなら用意できんだろ。あとは頼んだぞ』
「………は、はーいっ」
背後から店主の声がかかって、ようやく正気に返る、アルブムと呼ばれた少年。
店主が台所の裏のパーソナルスペースに引っ込んで、いよいよ広い店内に2人きりとなったところで。
アルブムはおもむろに、ファイネアのそばに1歩寄り、小声で話しかける。
「……あ、あの、おねーさん。実は僕、『お酒を作る』こともできるんです。魔法……に近い方法で。
お店の売上に繋がらないから店主にはやるなって言われてるんですけど。あと、どんなお酒ができるかは分からないですけど。
だから秘密にしておいてほしいんですが……もしおねーさんがお酒欲しかったら、作りますんで……!」
ちょっぴり苦々しい笑みを作りながら、また一つ小さな会釈。
■ファイネア > はぁい、と少年の言葉に小さく返事をする。
なんだか少しだけもじもじとしていたような気はするが…。
ふぅん、とグラスを傾けながら少年と店主のやりとりを見つめる。
如何せん他に客もいないのだから、他に目を向ける要素もない。
『食事』のアテもないし、飲んだら帰ろうか、と考えていたが―――。
「…あぁ、そうなの? ん-…どうしようかしらね。」
やってきた少年からお酒を出せると聞いて少し思案。
飲み足りない、と言えばそうなのだがあえてそんな事でお酒を呑む必要もないかしらと考える。
それよりは…。
「ん-…帰ろうかと思っていたけれど。」
す、と桃色の瞳が少年を見つめる。目を合わせ、艶っぽく微笑みながら。
『あとで部屋に来て?』
先程少年は照れたような、有り体に言えば初心な様子を見せていた。
魅惑の視線。甘ったるい誘う声音。効果は覿面、であればいいが。
心地よく従える誘惑の言葉。
そしてファイネアは返事を待つこともなく、店主に言って併設されている酒場の2階にある部屋をとるだろう。
ま、来なかったらそれで寝て帰る、というつもりで…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からファイネアさんが去りました。
■アルブム > 「あ、やっぱりそうですよね、もう遅い時間ですしお帰りになられますよね……あはは。
それじゃお勘定のさいにまた…………」
十分お酒が回っている様子の、妖艶な少女。
帰ろうかどうかと考えているのを見て、酒生成の術については余計な提案だったかと苦々しい笑いを上げていたが。
……続いて少女からつぶやかれた言葉は、アルブムを再び硬直させた。
「………………はい………わかり、ました………」
見た目相応に弱々しい精神の持ち主アルブム。この王都に来て数年を過ごしててもまだ、誘惑の類には弱い。
ましてや魔性の者の行使する術をもってすればなおさら。
ラミアの誘惑にかかったことは傍目にも明らか。もちろんその様を見ていたのはファイネアただ一人だが。
「…………あ、大丈夫です大丈夫です。ぼくが店主に話通して来ますんで。
今日はどの部屋も開いてるんで、一番奥の広い部屋に先に行っててください!」
ファイネアが店主に話をつけに行こうとすると、アルブムは機先を制し、先に部屋に向かうよう提案する。
……そんなわけで、数分後には。
この宿の一番良い部屋にて、アルブムとファイネアは2人きりとなってしまう。この後はたして……。
【部屋移動】
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からアルブムさんが去りました。