2021/05/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/大通り」にセルマさんが現れました。
■セルマ > 「掘り出し物が見つかるとはついていました。これで仕事も楽になります」
日の高い時間帯の平民地区の大通り。
様々な人が行き交う中を購入した手という剣を腰に下げて機嫌よく歩く。
買った店の店主曰く、滅多に出回らないレア物という売り文句につい流されて安くない金額で購入。
貯えのほとんどを使ってしまったのだが後悔は全くなく。
「後でまたギルドに行って仕事を探さないといけないですが…」
それだけが少し大変だが今はやる気に満ちている。
何処までも頑張れそうだという意気込みに少々人目を集めながらも歩き角を曲がっていき。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/大通り」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 「……んー?」
大通りを暇そうな顔でぶらぶら歩く金髪の男は、ふと視界の端に意気揚々と歩く少女の
姿を見つけてぱちくりと軽く瞬きした。
やたらとご機嫌なようだがなんだろう、お上りさん的な雰囲気がすごいする。
そんな感想を抱きつつ目で追っていれば、やがて角を曲がり比較的人気の少ない方へ向かったのが見えて。
少し思案した後、その背を追ってみることにして。
「──やあやあコンニチハお嬢さん。キミ、剣を佩いているところを見るに冒険者かなにかかな?」
やがて追いつくと、やや離れた距離からゆるい笑顔を浮かべつつ声をかけてみて。
■セルマ > 角を曲がれば先ほどまで歩いていた大通りに比べれば人の数も少なく。
真っすぐに抜ければ先の通りに抜ける事は判っているので気にせずに歩き。
時折に感じる視線にもしおかしな相手に絡まれでもすればと一応の警戒。
そうして歩いていると声をかけられ足を止め。
「……こんにちわ。冒険者であっていますが貴方は誰ですか?」
振り返れば少し離れた場所に笑顔を浮かべる男性。
知り合いかと思ったがお嬢さんという呼び方と知らない顔に警戒を滲ませ。
誰だろうと思いながらも問い返して。
■エレイ > 此方に警戒を向ける少女に、男は気にした風もなく笑顔のままその位置に佇み。
「やはりそうだったかという顔になる。俺も冒険者でこの街には来てそこそこ長いんだが
キミの顔は見たことがないなあと思ったので最近ココに来たコかな? と思って
むくむくと興味が湧いたので声をかけた次第なのだよ」
フハハハ、と何が楽しいのか笑い声を上げながらそんな説明を。
「あとやたらご機嫌な様子も気になったしね。新人は結構みなぎるやる気が
オーラとなって見えそうになってることは稀によくあるが、キミはひとしおだったな。
ちょっと僅かに通りで注目まで集めるあるさま。なにか良いことでもあったかね?」
それから、自分の顎に手を当てつつ意気揚々とした様子だったことにつて訊ねてみて。
■セルマ > 「つまりはナンパってことですか?
そういうのは間に合っていますけど」
男性の笑い声をあげながらの説明。
それを聞くとつまりはと……そういう風に取ってしまい一歩下がり。
「冒険者ですからやる気がないとやれないですよ。
オーラになって見える?え、えーと……そういうものなんですか?
注目が……?それは失敗しました…目立つのは好きではないのに…少し良いことはありましたけど」
良い事、掘り出し物と言われた剣を手に入れたことではあるがそれは言わない方がいいかも。
そう考えて、言葉を濁しながらうなずいて。
■エレイ > 「ナンパ? んん……そういうことになるかな! まああそんだけ警戒心があるなら上出来だべ。
お上りさんは無防備なコも多いからのぅ」
ナンパか、と言われて少し唸るも、結局はいい笑顔で認めてしまった。
一歩引く様子にケタケタと笑いつつ、ビシッとサムズアップして賞賛したり。
「結構そういうものです。意図せずに注目されてしまっていたのが良い証拠という意見。
ふーん……新しい装備でも手に入れたといったところかな? その剣とか」
言葉を濁す彼女に面白そうな笑みを浮かべつつ、その姿をジロジロと眺め。
腰に佩いている剣に注目すれば、ご機嫌な理由はそこだろうと推理してみて。
■セルマ > 「この国に住んでるのでしたらこれぐらいは普通ですよ。
そこまで迂闊でないつもりですから」
ナンパという事を認めた男性を呆れたような目で見ては警戒を強め。
一人が気を引いて他に仲間がいるのではないかと周囲にも気を配り。
「注目を集めると大抵は碌なことになりませんから集めたくはないんですよ。
……っ…!そうですがおかしいですか?」
面白そうな笑みに変わり身体を眺めるような視線に身体を庇うように身を捩り。
推測がまさに的中し、もしかして狙っているのかと警戒を強める。
■エレイ > 「初歩の初歩と認めてはいるがどこもおかしくはないな。……フフ、別に周りに仲間が潜んでいるとか
そういうのはないからそこは安心していいぞ」
周囲へも警戒を向けているのが男からは丸わかりで、ますます面白そうにしながら
両手を広げてそんなことを言って。
「別におかしいことはないぞ? 新しいもの手に入れた時は誰だってウッキウキになって
しまうのは当然だからな。俺だってそうだし。
……とはいえちょっと気掛かりなところはあるので、ソレ少し見せてもらってもエエかな?
ああ別に盗ったりはせんよ。どうしてもイヤなら別に構わにいが……」
推理されてますます警戒を強める少女に眉下げて笑いつつ、片手をひらひらと振り。
それから少し真面目な顔になって、検分を申し出る。
盗む気がない事、無理強いはしないことも付け足すが、さて彼女はどう出るだろうか。
■セルマ > 「そう言われも直ぐに信用をするのは難しいです。
貴方もこの街でそこそこ長いのならわかりますよね?」
両手を広げれ告げられても直ぐに信用はできなく。
この街が長いのなら分るでしょう?と告げて。
「そうですか……?
貴方もそういう事があるんですね。
気がかりな事……?盗ったら訴えますから」
男性のいう事にほんの少しだけ警戒が緩むが見せて欲しいと言われると元通りに。
まだ使用もしていない剣なので見せる事に悩んでしまい。
もし奪われれば直ぐ近くにあるはず衛兵の詰め所で訴えればと考え、剣を鞘事腰から外せば柄を向けて差し出して。
■エレイ > 「ごもっともな話です。心構えがちゃんとできていて俺のほうが安心してしまう始末」
こちらへの不信と警戒を解くことのない彼女にハッハッハ、と心底楽しそうに笑い。
「誰の心にも童心はあるものだよ。
──サンキューだぜ。こいつは俺のナイフなんだが俺の挙動がおかしかったら
いつでも抜いて向けてくれていいぞ」
悩みつつも剣を差し出してきた彼女にふ、と穏やかな笑みを向けて礼を述べれば、
自分の後ろ腰から鞘に収まったナイフを取り外し、剣を受け取るのと入れ替わりに
彼女の手に渡して。
「いや何、お上りさん相手にあくどい商売をする商人ってのも少なくないからな。
例えば、一つしかない掘り出し物だから買うなら今、なんて言って高値でモノを
売りつけるなんてこともよくある話だし。これは幾らで買ったのかな?」
それから剣をすらりと鞘から抜き、刀身から鍔、柄まで目を細めてじっくりと検分しつつ
『気掛かり』と言った理由を説明。
……挙げた例が彼女の状況ずばりそのものだったということは、流石に男も知らぬことで。
■セルマ > 警戒を続け、その理由に楽しそうに笑う男性の姿。
油断を誘う演技なのか本当にそう思っているのかが判断できずに大きく息を吐き。
「子供じゃないです、だからそういうのはありません。
こんなのであなたを如何とかできると思わないのですけど…?」
剣を差し出し、代わりに渡されたナイフを受け取り。
もし挙動がおかしいとしてもどうにもできないのではと。
「そう言う物にも気は付けていますし…購入前に確認もしています。
似たような事を言っていましたけど、それと同じのは数本ありましたよ?
それですか?どうにかお願いして2万ゴルドにしてもらいましたけど…」
男性が剣を鞘から抜けば不思議な光沢の刃が晒され、一見すれば業物に見える一本。
切れ味こそ試してはいないがしっかりとした作りたっだのでおかしなものではないと信じていて。
■エレイ > 「いやあまだまだコドモでしょう。ソレは別に恥じることじゃあないべ。
ン、それでも空手よりはよっぽどマシでしょう? ソレを言い出したらこっちの剣だってそう変わらんしな」
ナイフではどうにもできない、と訴える彼女に眉下げて笑う。
確かにそのぐらいの実力差はあるので、言うことはごもっともではあるのだが。
「ふーん……確認を怠っていないのは良いことだが、2万か……駆け出しの冒険者には結構な出費だな。
生活費はちゃんと残してあんのかね?」
360度しっかりと剣を眺め回しながら、2万ゴルドと聞けば少し眉を寄せて。
やがて剣を鞘にぱちんと収め。
「ざっと見たところ粗悪品ではないようだったが……ちょいとふっかけられたな。適正価格は良くて1万と
言ったところかな。まああ俺は本職の商人ではないので信じるかどうかはキミ次第だが」
と、検分の結果を告げながら笑顔で彼女に剣を差し出し。
■セルマ > 「冒険者として独り立ちしているので子供じゃないです。
大して変わらないと思いますよ。その剣だとまだリーチがあるだけ気が楽ですから」
そう変わらなくてもリーチがある分だけ少しの安心感はあり。
剣でも変わらないと聞けばその実力差を感じてしまって。
「それでも命を守る武器ですし出す価値はありますよ。
数日分はありますから稼いで取り戻します」
値段に眉を寄せる姿を見るとナマクラなのかと心配が沸き。
鞘に納められた剣に視線を向けて。
「1万………気を付けたつもりでしたけど騙された訳ですね。
一応は信じておきます。勉強代と思えばまだ安い方です」
差し出された剣を受け取ればナイフを返し。
剣を腰に戻すと大きなため息を吐き、高い授業料だと肩を落とす。
命を落とした訳でもなく御金で済んだ、そう思う事にして…。
■エレイ > 子供じゃないとムキになる辺りがやはり未熟だなあ、とは思いつつも
それは口には出さず、生暖かい笑顔を向けるだけで。
「──そうだなモノを見る目を養うのは経験値を蓄える以外に方法はぬぇ。
こうやってちょいちょい痛い目を何度も見ながら覚えていくしかないのだよ」
返されたナイフを受け取って後ろ腰に指し直しながら、ため息をこぼす彼女に眉下げて笑い、
励ますようにポンと肩を軽く叩いて。
「まああ生きて身体が動けば金はいつでも稼げるからOKでしょう。
ところで、そんなキミにオススメの仕事が一つあるのだが……ああちなみに
お名前を伺ってもエエかな? 俺は謙虚な旅人で冒険者のエレイというのだが
呼ぶ時は気軽にさん付けで良い」
それから、彼女に仕事を紹介すると言い出し。
そしてふと思い出したように彼女の名を問いかけ、そして自らも自己紹介を繰り出して。
■セルマ > 「そうですね。でもこの剣が駄目になる頃には同じ失敗はしません。
今回はお金で済んだと思うと幸運ですし」
高い買い物ではあったが使える物という事実が救い。
次は失敗はしないと意気込み、肩を軽く叩かれると慌てて離れて。
「そういう事です。後は欲張らずに堅実にいけば自力もついていきます。
お勧めの仕事……?娼婦斡旋でしたら切りますよ?
……セルマです。エレイさんですね、覚えておきます」
初対面新人に仕事をなどと聞くとまた警戒を見せ。
名前を尋ねられ先に名乗られると答えない訳にはいかなく名乗り返して。
■エレイ > 「うむ。もしまた武器を新調する必要が出たらそん時は遠慮なく頼ってくれていいぞ」
なんて笑顔で言いつつ。
慌てて離れた彼女に、男は少し不思議そうな顔を向けた。
その態度に驚いたのではなく、なにか珍しいものをみた、と言った風情の表情で。
「この流れで娼婦斡旋とかないわー。セルマちゃんだな、ヨロシクだぜ。うむ覚えておくと良いぞ
怪しくて心配だってんなら今度ギルドで照会してみたまへ」
再び警戒する彼女に口を3の字にしてブー垂れつつ、名前を教えてもらうと
笑顔で復唱しつつサムズアップ。
実際に照会すれば、男が色々と実績を積み重ねた冒険者であることは容易に知ることができるだろう。
「まああ疑うのは当然だし堅実にいくっていうセルマちゃんの方針もおかしなことではないからな。
しょうがないからこの仕事は他の誰かに紹介するかなあ……そこそこ良い稼ぎになるんだが」
それから、明後日の方向に顔を向けつつそんなことを口にして無理に彼女に仕事をさせる気はないといった風情を出しながら、
横目でチラチラと彼女の反応を伺ってみることにして。
■セルマ > 「大丈夫です。自分の武器ですから自分で今度はしっかりと吟味します」
頼れば同じことはないかもしれないが、それでは自分一人で買い物をするとまた騙されるかもしれない。
そう考えると自分の目利きを鍛えるべきとやんわりと断り。
珍しいものを見るような表情を見返して。
「判らないですよ?それにいきなりお勧めと言われてもですし。
後でそうさせて頂きます」
初対面に仕事の斡旋も普通は怪しいものではと見返し。
笑顔を見せる男性に良い人なのか騙されているのかの判断が付きにくく。
後でギルドで確認しようと固く誓い。
「報酬につられて楽な仕事を受けた知り合いが先日娼館にいましたから。
……どういう仕事なのか話だけを聞いても?」
いかにも興味を引こうとする態度に本当にそんな仕事があるのかが疑問。
ちらちらとこちらをうかがう姿に話だけでも聞いておこうと問いかける。
■エレイ > 「そう? フフ、やっぱりしっかりしてんなあセルマちゃんは」
断られると眉を下げて笑いつつ引き下がる。男が見つけた彼女の何かに関しては、
また機会があれば聞こうと今は口に出さず。
「いたんだ……なるほどそりゃあ警戒もするという顔になる。
──フフ、実はそんな仕事は存在しない。セルマちゃんが得たばっかりの教訓が
ちゃんと活きてるか見たかっただけなのだよ」
話だけは聞こう、という彼女に笑みを深めると、両手をぱっと広げてその話が
虚構だったということあっさりと明かし。
「そんだけしっかりしてれば下手な事には騙されないとは思うが、この世の中には
更にハイレベルな口八丁手八丁も存在するからな、努々気をつけるべきだろうな。
じゃ、闇系の仕事が今からあるからこれで」
飄々とした笑みを浮かべつつそんな事を言って、くるりと彼女に背を向けると
男は表通りへと戻ってゆくだろう。
■セルマ > 「止めたんですけど……それはそれでいいです。
つまりは騙したと……そもそも今日あったばかりで信じるのが無理です」
仕事の話は虚無だったと聞くとあきれた視線を向け。
そもそも本当にあっても初めてあった人の紹介は受けないと。
「私は冒険者でああいう仕事はしたくないです。
ですから十分に気を付けていきます。
もしギルドで会えましたらその時は」
背中を向ける男性に声をかけて戻っていくのを見送り。
視線を戻せば速足に道を抜けて対面の通りへと向かって。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/大通り」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/大通り」からセルマさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にエリアさんが現れました。
■エリア > 「―――っふふ」
上機嫌そうに小さな笑声が零れる昼下がりの中央広場。
平民地区の中心に位置するそこには日に日に強まっていく陽射しが降り注ぎ、きらきらと陽光を照り返して飛沫を弾かせる噴水が据えられ、休憩のためのベンチが各所に設けられ、片隅には幾つかの露店が点在していた。
長閑に行き過ぎる人々に混じって、一人そぞろ歩くのは今一つ平民に混ざり切れていない貴族の女。ゆったりとした歩調と鷹揚な笑みを湛え、日差しに眼を細めながら、噴水の傍でぽつりと独りごちた。
「ああ、今日も話の分かる従者で助かりましたわ……。
お陰様でこうして自由に羽が伸ばせます」
おっとりと緩やかな声音での独白は、聞くものが聞けばお目付け役兼護衛としてついてくる従者を口八丁か賄賂か、或いは両方を駆使してかで上手く追い払って、一人自由行動と洒落込んでいるという裏事情が読めるもの。
けれど、そんな女の独り言を聞き咎めそうな者は平和な午後の広場には存在しておらず。
伸び伸びと清々しい様子で、道行く人々を眺めながら独白を続けるのだ。
「――さあ、一人は気楽……とは言えどやはり少し淋しいものですわ。
どなたか、お連れになって下さる方はいらっしゃらないかしら」
等と浮かれ調子で口にしては、富裕地区よりも早く、せかせかした様に見える通行人を注意深く観察し、ゆとりを持ち、急な声掛け――有体に言ってナンパ――に応じてくれそうな方はいらっしゃらないものか見極めようと広場の片隅で虎視眈々と狙っていた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にミシェルさんが現れました。
■ミシェル > 「ふん♪ふんふん♪ふん♪」
ミシェルは鼻歌を歌いながら平民地区を歩いていた。
彼女もまた爵位持ちの貴族であり、平民の中に混ざれば目立つような人間だ。
そんな女男爵が何用かと言えば、
冒険者ギルドに魔導機械の収集クエストなんかを依頼するのである。
彼女は自分でも果敢にダンジョンに赴くタイプの学者であったが、
研究と探検は同時には出来ない。なのでお金を払って冒険者の力を借りることもある。
今日は新たな依頼の貼り出しと、これまでの依頼の進捗状況の確認。
それとあわよくば掘り出し物を売ろうとする冒険者がいないかのチェック。
そして、魔法薬や魔導機械の店もチェックする予定だ。
「にしてもいい天気だね、冒険日和だ」
こんな天気になるのだったら自分も遺跡の調査に出れば良かったなと思いつつ、
彼女は中央広場を通る。
ここを横断すれば、冒険者ギルドへの近道なのだ。
■エリア > 風薫り、穏やかに微睡む様な心地よい日差しは遊歩にも打ってつけだったが、ナンパ行為にも最適だったらしく……同胞は結構周りに沸いていた。
「あら……、あらあら……、あらぁ……」
手慣れた連中はさっさと目ぼしい相手に声を掛け、或いは仕留め、或いは素気無く断られて肩を落としている。
そんな様子を思わず見守ってしまい、女は一人ゆっくりと頬に指先を添えて。
「中々ままならないものですわね……」
完全に出鼻をくじかれた形になってしまった。
手頃そうな方は熟練したナンパ師が粗方持ってってしまったし、残されたのは流石に対象外としか言えない様な小さな幼子か、日向ぼっこのご老人だ。
「まあ……今日は不発ですかしら」
そんな日もある、とすっかり諦観してしまいながら目の前を通って行くのは、どこか見覚えのある――
「あら……? エタンダル卿……?」
胸中で呟くつもりが思わず声に出ていたらしく、声を掛けるような形になってしまっていた。
■ミシェル > 「んん?や、これはエルセリア婦人」
いきなり声を掛けられ振り向けば、平民地区で会うには意外な…とも言えない女性。
ミシェルは改まって一礼する。
「もしかしてお忍びで来たのかい?その…サンドイッチなんかを買いに」
ミシェルは前回の出会いを思いながら聞いてみる。
それにしても、貴族の令嬢が一人で平民地区を歩くんじゃ危ないんじゃないかと、ミシェルは内心思った。
「何なら付き合おうか?一緒に」
自分にもここに来た目的はあるが、それは別に後日に回しても構わない。
何より、美女と歩くのはそれだけで心が楽しい。
■エリア > 「御機嫌よう。ご無沙汰しておりますわ」
軽く腰を沈めて礼を返すと鷹揚な笑みを湛えて、都内でも地区問わず闊歩しているらしい様子に自然と口元を綻ばせ。
「――ふふ、まあ、そんな所ですわ。今日は従者を上手くあしらえましたので羽を伸ばしておりますの。内緒にして下さいませね」
悪戯を白状する様な少々無邪気な笑みを向けて唇に人差し指を添えて口止めも一つ。そして、同行を申し出られれば一度ぱちり、と眼を瞬いてから。
「まあ、宜しいの?
丁度お連れを探しておりましたのよ。ですが今日は空振りかと思っておりましたの」
まるでそんな心情を見破られた様だ、ところころ口元に手を当てて忍び笑い。それから、悠然とした調子で手を差しだすと。
「お付き合い願えますかしら。エタンダル様」
■ミシェル > 「勿論、君の家にも、他の貴族にも内緒にするよ」
こちらも、人差し指を唇に当ててにこりと笑う。
そもそも悪評を広められることはあっても広めるタイプでもなく。
事がバレても、自分が連れてきたのだと言い張ればいいとすら思っている。
「ミシェルでいいよ。様もいらない。君のこともエルセリアと呼んでいいかい?」
どうにも、様と付けられるのも他人行儀だ。
そもそも古い家とはいえこちらの爵位はただの男爵だ。
同じ貴族同士で様付けが必要な格とは自分でも思えない。
「それで、どこに行く予定なんだい?」
ミシェルは広場の外を見渡す。
現在地は中央広場だけあって、
平民地区内ならどこにでもすぐに行ける距離にある。
■エリア > 「助かりますわ。知れたら次から篭絡しにくいお付きを宛がわれてしまいますもの」
そうなるとこうしてのんびりと平民地区をそぞろ歩く事も難しくなる。
秘密にしてくれると言う言葉に安堵したように笑みを深くして軽く首肯し。
「判りましたわ、ミシェル。それではわたくしの事はエリア、とお呼び下さいませ」
旧家とは違い成り上がりと陰口を叩かれる事もある身である。
基本的に爵位が下であっても平等に接してはいたが、相手次第でもある。
こうして気楽さを求められればにっこりと応じて。
「決めていませんの。今日は何をして遊ぼうか考えていた所ですのよ。
ミシェルはこの辺りにはよくいらっしゃいますの?
富裕地区にはない様な所か、美味しい物が食べられる所はご存知?」
従者を撒いた後は場当たり的にその辺をうろうろしようと思っていただけである。
中々来ることのない地区であれば、どこでも物珍しく。
■ミシェル > 「ははは…君の家は厳しいんだね」
成り上がりの貴族だからこそ逆に貴族らしさを徹底しているのだろうか?
自分の家では幼少期からかなり自由にさせてもらえた分、ミシェルにはいまいちピンとこない。
まぁ、自分の家も一般的な貴族とはあまり言えないのだが。
「んー、まぁよく来ると言えば来るけど…魔法関係か冒険者ギルドに寄るのが主だからなぁ」
美味しい食事屋を聞かれて、頭を悩ませる。
別に食事に無知なわけではない。
むしろ、女性を誘う時のデートコースとしてしっかりと調べ上げている。
ただし、それは富裕地区のレストランに限った話。
平民地区においては、美味しさより食べやすさや保存性を重視していて、
あまり味に関して気にした覚えは無い。栄養があれば何でも良かったからだ。
「そうだなぁ…僕がよく行く店でいいかな?揚げた魚と芋を出してくれるところ」
それなら、ここからも近かったはずだ。