2021/02/07 のログ
■クレス・ローベルク > 「いや、確かに要点はそうなんだけど、その言い方は語弊が……」
一応、クレスの名誉のために描写しておくが麻薬に転用できる麻酔薬とか、そういうのは一切使っていない。傷薬を始めとした、生薬を幾つか垂らしただけである。
ともあれ、何か一瞬抜けた魂が見えたが、何とか持ち直したのか、こちらに声をかけてきたが。
「……」
その言葉を聞くと、より一層渋い顔をする。
だが、このままこうしていてもしょうがないと思ったのか、或いは後輩に気遣わせてしまったのが思いの外キいたのか、
「あー……。何ていうか……ごめんね」
と、彼女から顔をそむける様に、通りの方を見ながら言った。
照れくさいというか、本当に気まずそうな、そんな声の調子だった。
「犬が怖いってのは知ってたけど、まさか此処までとは思ってなかった。
だから、何ていうか……ちょっと馬鹿にした態度を取っちゃったからさ」
と、頭を掻いて謝罪の言葉を呟く男。
ただの犬相手に、あそこまで怯えている彼女が正直面白かったのは事実だが。
しかし、本気で怖がっている彼女を前にして、真剣味の欠けた態度を取ったのは正直、良くなかったと思う。
彼女を助けたという事実は別にして、本気で怖がっているのを笑うような真似は。後味が良くないし、彼女もあまりいい気分はしないだろう。
「だから、うん。ごめん」
と、珍しく笑顔ではない、口をへの字にした表情で言うのだった。
■ティアフェル > 「……それはすいません……?」
原材料は自分の所持品から調合されたのだがら、やばい代物だとは思っていない。不服そうなので、一応謝罪して。
それから、半死状態だったが、余りに渋面だったもので重ねて迷惑をかける訳にもいかないので、気にしないで行ってもらって大丈夫だから、と続けようとしたが、
「………え?」
不意に、どこかバツが悪そうに謝罪が零れると、きょとん、としたように双眸を瞬いて窺うような目線を向けて見やり。何が?と疑問符を浮かべていたけれど。
「……ぁー……。ああ、いや……いいの。別に……みんなそう思うからね。たかが犬に、とか、かわいいじゃないの、犬なんて、とか……バカにされるのは慣れてるわ。
わたしも悔しいけど……どうにもならないんだから仕方がないわ。……気にしないで、さぞかし、他人がみれば可笑しいものだろうから、恐怖症の人間なんて」
高所とか閉所とか尖端とか、様々な物に人は恐怖する。犬恐怖症もその一部だが、そんな恐怖症というのは、それが怖くもなんともない物から見れば滑稽に映るものだ。判らないでもないし別に気にせずとも好い、と微苦笑気味に口端を持ち上げて。
よいしょ、と上体を起こして、口を曲げて謝罪を重ねる声に、振る、と首を振って見せ。それから、手を伸ばして、くい、とそちらの腕を引きこちらへ軽く引き寄せるようにすると、頬に唇を寄せふに、と柔く触れさせようとし。
適えば小さく笑いかけて、
「お礼。ありがと、助かった」
■クレス・ローベルク > 珍しく、自嘲するような声に、反射的に違うと言い返したくはなるが、しかし今しがた自分がした事を鑑みると、反論の仕様がない。
男はこの手の悩みに対しては強いほうだが、しかし今回は流石にキツイなあ、とやや肩が落ち気味だったが、ふと、腕を引かれて、どうしたんだろうと思っていると、頬に柔らかい感触が。
「……む?」
待ちに待った、それもかなり長い間狙っていた女の子からの接触。
何時もなら、ガッツポーズでもして喜んで見せる男だが、このタイミングでのキスは何かこう、釈然としないものがある。
しかし、彼女の感謝もまた事実であるし、また気を使わせるのも違うだろうと思い、
「ん。ありがたく貰っておこう。そう、こうして徐々に距離感を縮めていき、遂にはお持ち帰りするのが俺の計画……!
既に外堀は埋められつつあるから後は本丸を落とすだけ……」
等と、戯けてみせる。
いや、当初はそういう計画もあったのだが、既にその計画は半分ぐらい形骸化されている。
何せ、下手すれば一年ぐらい外堀を埋めまくっている訳で。
その間に情が移りすぎて、逆に臆病になってしまっている自覚はある。
「まあ、そんな訳で。
次なる計画として、古典的な酔わせて送り狼作戦でも発動しようと思うんだけど。付き合ってくれるかい?」
あちらが気にしていないなら、こちらも気にしていない風に振る舞うのが礼儀と。
そんな感じで、お酒に誘ってみるのだった。
■ティアフェル > いつもは後衛の癖にモンスターをばかすか殴りに行く癖に犬が前を横切っただけで悲鳴を上げて、近づいて来られたたけでもベソを掻き出すという極端な性分。ただの犬嫌いよりは余程、揶揄の嵐を浴びせられることになっていて、正直本当に慣れっこ。
しかし、真面目に謝ってくる例は少数派だ。意外に律儀だと少し感心した。
お礼、と大分ショックから立ち直り血の気の戻った顔で律義さを賞する為にも少々おどけながら頬にキスをしたが。
「いや、自ら速やかに全バレしてどーすんのよ?
ああそうなんだ、外堀を深く掘ろう、壁を厚くしてやろうってなるでしょ」
ほぼほぼ狙われているのはお察しではなかった。がっつりお持ち帰りする計画を口走るところからしても、まあ、揶揄の一種であろうと肩を揺らしてくすくすと笑っていた。いちいち手の内を見せてくるのは、どういうつもりだよと、送り狼作戦まできっちりバラしてくれる声に、妙な安心感。
「はいはい、今さら酔ってどーこうとか、そんな手に打って出る気があったんなら、とっくの昔にねんごろよねえ」
割と酔いつぶれたことはあったと思う。だけど基本的に無事だった経験から安全パイのレッテルを貼っているもので、お酒には喜んで呼ばれる。
よいしょ、と立ち上がって手を差しだし。
「そーだ、前に話してたおいしいホットワインが飲めるお店に連れてってよ」
大分前の話題を思い出して、今日のように冷える夜には打ってつけだろうと要求。
■クレス・ローベルク > 「いや、これも作戦だしー。
こうやって安心させてから改めて襲う作戦だしー」
等と、嘯く男。もはや、自分からネタにするレベルの計画であった。
それこそ、本当に出会って最初の頃は、お酒みたいな露骨な物ではなくて、もうちょっと本格的に手篭めにするやり方も考えてはいたのだが……。
「(外見とかを褒めて口説ければ楽だったんだけどねえ……。
好きな所が外見から中身に移った上で、長い付き合いだと中々)」
ともあれ、あちらも"作戦"に乗っかってくれたのは幸いだった。
幸い、夜ではあるが、深夜というほどでもない。
今から店まで歩けば、十分ゆっくりとお酒を楽しむことが出来るだろう。
「オーライ。行こうか。丁度此処からなら近いしね」
繁華街が近いのが幸いした。
歩いて十分もせず、小民家風の、隠れ家的なレストランに到着することが出来るだろう。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にエレイさんが現れました。
■エレイ > 「──~♪」
雨がしとしとと降り注ぎ、普段に輪をかけて人気のない住宅街の路地を、
下手くそな口笛を奏でながら、傘布の部分に赤いラインが入っている以外は全てが銀色の蛇の目傘という
奇妙な物体を担いでのんびり歩く、金髪の男が一人。
そんな奇っ怪な傘を差している代わり、普段羽織っているジャケットの姿はなく。
食事を終えた後、暇つぶしを求めてブラブラと大通り、路地裏と歩いてきたが、特に何か特筆するものと遭遇するでもなく、
気がつけばこの場所まで辿り着いていた。
先の二箇所に比べると、余計に事件性の少なさそうなロケーションではあるが──
「……まああ人生ドコでナニが起こるか判らんもんだからな」
なんて、眉下げて笑いながら独りごち。
適当に視線を彷徨わせて住宅街の景色を眺めがてら、なにか面白いモノでも出現しないか、などと
雑な期待をしながら、ぱしゃ、ぱしゃとマイペースに歩を進め続け。
■エレイ > そのまま男はのんびり歩き続け、やがて姿を消して──
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からエレイさんが去りました。