2021/01/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル >  ――都に流れる運河沿い。都を割くように渡るそれは宵闇覆う時間帯では黒い水が滔々と流れているようだ。
 ぶらぶら、と急ぐでもない足取りでそこを通りかかると……、

「………?」

 ふと何かの鳴き声が耳を掠めて足を止めた。なんだろう、ときょろきょろ見回すが足元や周囲には何もおらず。気のせいかな…と首を傾げながら行き過ぎかけるが。やはり細く高い声が響いてきて。よくよく耳を済ませればそれは、運河の方から聞こえてくるようで――思わずその鳴き声の発生源を向いて立ち尽くした。

 まさかこのようなベタな現場に出くわすとは、と思わず茫然として。

「案外、ありそうでないようであるもんなんだな――……なんて悠長に軽い錯乱カマしてる場合じゃない」

 視線の先には、ゆらゆら流れる運河と――川岸に滞るがガラクタに辛うじて引っ掛かるように押しとどめられた格好の木箱。
 その中には、ぴゃあぴゃあと震えながらしきりに鳴き声を立てる子猫。
 ぼうっとしてる場合じゃない、このままじゃ流されちゃう――必死の鳴き声に我に返って、どうにかしなきゃ……でも、どうしよう、ときょろきょろ辺りを見回した。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にラファルさんが現れました。
ラファル > くんくん、匂いを嗅ぐと、近くに、居る事が判る。
 お家に居ないので、お外に居るのかな、と探しに来てみた幼女、竜としての能力を全開に、犬のように匂いを嗅いで、風の流れを確認して、するすると、裏路地だのなんだの、てくてく歩いて探していた。
 運河と言うのは水の流れる所、水と言うのは生きるのに必要なものだ、町は必ず、何かしらの水源の近くにできると言うのである。
 そんな運河の近くに、お姉ちゃんはいた。

「おねーちゃー!」

 ぴょーいんと、ジャンプして、その小さな体で、彼女のお尻にアタックを掛ける幼女。
 何故お尻なのか、と言うと、河川の近くであり、彼女の視線は河川の方に向いているからだった。
 取り合えず、背中から飛び込めばそのまま川に坊ちゃんしてしまうかもしれない。
 腰から下なら、どんなに驚いても蹴りを受けるだけで済む。

 でも、蹴られたくないから、大声あげて、どどどど、と突撃音を響かせるのであった。
 とりあえず、そんな風に音を立てているから、みゃぁ、みゃぁ、と鳴く近似性格で、異種類の存在―――お猫様の存在には、未だ。

ティアフェル >  辺りを見回したが何も見つからなくて、

「んー……困ったな…微妙に届かない……」

 川岸のぎりぎりに立って手を伸ばしてみるが……少しばかりリーチが不足。
 どうしよう……と悩まし気に眉根を寄せて、ひたすら助けを求めて鳴く声に焦燥が芽生え。

「あー、判った分かった、ちょっと待っててねー……って、んん?」

 言葉は通じないだろうが子猫に宥めるように声を掛けていれば後ろから、声と……疾駆してくる足音が聞こえてきて。小首を傾げながら振り向こうとした瞬間、

「う、わ……?!」

 臀部に突進して来られてぐらっと大きくバランスが崩れる。うわ、うわ、と手をばたばた振って崩れた体勢を立て直しつつ。目を向けて認めた小さな姿に軽く瞠目して。

「びっくりしたー……もー……いきなり後ろからぶつかってきたら駄目だよー?」

 ふーっと大きく息をついて身体を半分捻ってそちらに向くと、ぽす、とその頭の上に手を置いて微苦笑気味に発し。そうしている内にもまるで『忘れんとってーな』と云わんばかりに鳴き声を張る猫に、ああー。と気が付いてそちらを向き、と連続で身体を捻ってなんだか忙しない。

ラファル > 「えー?だって、ちゃんと声を掛けて、突撃したんだよー?ちゃんと、振り向く時間は―――ぉー?」

 いきなりと言う部分は違いますーと、ぷく、と頬を膨らませて幼女は抗議、ちゃんとわかるようにしたし、突撃してもゆっくり近づいたから彼女にはちゃんと対応できるようにしたつもりだ。
 ひとしきり、ブーブーと言ってみた所で、少女はふと、視線を彼女から話して、彼女の見る方に視線を動かす。
 河川の中、ごみ溜めの中にある木箱、その中に居る、小さな小さなお猫様。
 捨て猫なのだろうか?慌てる様子と、気にしている様子を眺めて、うーん、と首を傾ぐ。

「ひ……うん。違う。どうしたのあれ?連れて帰るの?」

 助けようとしているのは見てわかる、最初のひ……は、幼女の感覚でしかないと直ぐに思いなおしたので、飲み込んだ。
 ちゃんと飲み込んだの偉いと思う、と幼女は思う。察した場合は忘れてください。
 それは兎も角、だ。
 みゃー、みゃー、と鳴いているその子ネコ、助けるのは判るのだけれども。
 連れて帰って、家族にするのだろうか。おねーちゃんは優しいのは判るけれどと。
 ゆるり、とどいて、じぃ、とお猫様を見る。
 お猫様にしてみれば、其処に肉食獣が居るのが判るのだろうか、此方を見て固まる。
 食べられるのだろうか、と言う不安が見て取れる、食いでがないしそんなつもりはないが、お猫様には判らないのだ。

「とりあえず、連れてくればいいの?飛んでいくのと泳いでいくのと、ティアおねーちゃんが自力で何とかする方法と有るけど。」

 いくつでも方法はあるけれど、どれがいい?
 なんて、方法を提示して見せる。

ティアフェル > 「それでも。川岸にいる時は駄目だよ。それはラファルちゃんがそう思っただけでわたしの感覚では違うんだよ?
 それに落ちないとしても怖いんだから。ちゃんと振り返ってそっち向いてから」

 いや、充分いきなりだよ、自分の移動速度把握しなよ、と肩を落とし。ゆっくりした突撃なんぞ存在しない。ふるふる首を振った。あと、落ちる可能性はどちらかと云えば上半身よりもしたからのタックルの方が高い。重心を崩す。なお川岸に柵もないのである。
 自分は耐性があるからいいものの。それでも川岸で猫に集中している時に後ろから来られると困る。

「んー……うちは下宿だからね、ペットは飼えないけど……このまま流されちゃうのは忍びないし。
 とりあえず引き揚げようかな、と」

 それからのことは助けてから考える。見棄てるには子猫はカワイイので良心が痛む。これが子犬ならどうしたか判らないけど。
 そして、急に鳴き声をひそめ、硬直する木箱の中に、んー…?と訝し気にアホ毛を揺らし。
 それからいくつかの方法を提案されてそちらを向くと、

「と、飛ぶ…? 泳ぐのは濡れちゃうからアウトね、んー……と、じゃ、わたしちょっと乗り出して手を一杯伸ばしてみるから、ここ、腰のとこ持って落ちないように支えてくれるかな?」

 小さな身体で馬鹿力なのは良く知っている。自分ひとり支えることはきっと造作もないであろう。
 だから、手を貸してくれるように頼んだ。どちらか一方の力じゃなくて二人で、と。
 手を伸ばした時はぎりぎりのラインだったので、落ちる心配なく上半身をいっぱいに伸ばせれば届きそうで。

ラファル > 「むー……ん。気を付けたんだけどなぁ……。うん、わかったよ。」

 もう少し速度を落とさないとだめだという事らしい、首を横に振る彼女に、迷惑を掛けたくないし、掛けられないので、頷いた。
 彼女の言葉で、もう少し学ぶことが出来た、下からのタックルの方が危険らしい。

「え?」

 ペットは飼えないらしい。あそこ飼えないのかー。と考える幼女、とは言え、お猫様が流されるのは、全人類の損失らしい。
 なので、ちゃんと助ける積りらしい、其れに関しては納得できるし理解もできる。
 彼女が助けたいと願うなら、助けるのは在りかな、と思うのだ。
 考えている様子に、あー。と頷いて見せる。

「うん、空を飛ぶの。びゅーん、って。ボクは、別に問題はないけど……泳ぐのは。じゃあ、一寸待ってね。
 きゅ、と抱きしめていればいいのかな?」

 無茶なことは言わないし、方法は幾らかあるので大丈夫だ。
 おねーちゃんの身長なら、ちゃんとした支えがあるなら、大丈夫だと思われる。
 うん、じゃあ、と、おねーちゃんの腰に腕を伸ばしてきゅ、とつかんで見せる。
 その小さな体に反して、幼女は彼女の事をしっかりとホールド、彼女が乗り出しても全く動じることはない。

「もう、大丈夫だよ、ティアおねーちゃん。」

 準備は出来たよ、と。お猫様を見れば、やっぱりまだ固まっている。
 まあ、そりゃ怖いのだろうなぁ、と思う幼女だった。

ティアフェル > 「ラファルちゃんは自分で思うより大分動きがダイナミックだからねー……。
 よーしよしよしー、素直な子は大好きー」

 感覚の違いが大きいのだ、と呟くが理解してくれたので、わしゃわしゃわしゃと撫で繰り回した。
 うちのいもーとはいい子。反論で終始し最後は罵倒な弟どもとは違うと実感。
 
 ともかく鳴き声もやんでしまって、フリーズしている子猫の救助である。
 びゅーん……とぶ? 跳ぶ? 不可解そうに彼女の説明に首を傾げ。猫が驚いてしまいそうだとは思った。
 あのちっちゃい心臓がショックで停止してしまったら何のために助けるのか本末転倒だ。
 という訳で。

「うん。そう、しっかりつかんでてくれればー」

 こくこくと確認する声に首を縦にして。そして云った通りにがっちり後ろから腰を固定して貰えれば。
 うん、大分安定感と首肯して。これなら上体をぎりぎりまで伸ばしても問題ないと。

「ん、ありがとー。じゃしばしそのままよろしく」

 準備万端。猫の入った木箱に向かって、川岸ぎりぎりの位置で前屈みになりさっきは後一歩で届かなかった腕をぐいぃーと全力で伸ばした。

「も……ちょい……ん、ぅ――と、どい……った!」

 うんせうんせ、と指先を精一杯に伸ばすと人差し指の先がかかり、途中でガラクタに引っ掛かっていた木箱へと到達した。そのまま、縁をつかんで川岸まで引き寄せ。そして木箱の中から子猫を抱き上げると。救出成功して。

「よっし、おっけ。もーいーよー!」

ラファル > 「……ダイナミック。うん。……うん。コンパクトにまとめないとね!
 うにゃぁ…!」

 頭をなでられた、わぁい、と嬉しそうに幼女は目を輝かせて、ぐりぐりすりすり、貴女の掌に頭をすりすりする。
 おねーちゃんは、撫でてくれて、とても嬉しい。尻尾を振りたいぐらい、いっぱい振りたい。
 でも、残念ながらそれをすると、石の床が割れてしまうなぁ、と我慢我慢。

 首を傾いでいる彼女は思考が追い付いていない模様、空を飛んだことはないので、見せたことはないので……判らないのだろう。
 とは言え―――あれ?そういえば、冒険者として働いてること、教えなかった、っけ?
 幼女はさらに首を傾げることにした。

「はーい。頑張ってね、ティアおねーちゃん。」

 腕を伸ばし、体を伸ばして、木箱の先にいる子ネコちゃんへ。
 彼女の体が前傾姿勢になっていくのが見える、猫に手が伸びていくのだ、その体を抑える、おねーちゃんの体は軽いから、抑えるのも楽だ。
 そして、彼女は猫をつかんで戻ってくる。
 合図を聞いて、幼女は引き戻すのである。

「いぇぇーい。一本釣り―。」

 こう、釣り具でお魚さんを捕まえて引っ張り戻す様に、ぐいーっと引っ張っていく。
 川原の近くではあれだし、そのままに歩散歩、陸の方に移動して、安全を確認して下ろして見せる。
 子猫様は固まっていたから、直ぐに助けられたのだろう。

「そういえば、おねーちゃん、師匠に有ったので、おねーちゃんの事、言っておいたよー。」

 いまさら思い出したのでとばかりに、幼女は姉に伝えるのだった。

ティアフェル > 「時にはね。そういうことも必要よ。
 いいこいいこーいーいーこー」

 撫でると頭を擦り寄せてくる所作が懐っこくってまたカワイイ。存分に撫でまわしてご満足。
 冒険者だということは承知していても、飛べる云々の話はしたことがないので未だ、存じ上げないままだ。
 正直どこまでできてどこまで出来ないのかがよく判らない。まあ、なんにしろ今さら驚かないかも知れないが。

「うぃうぃ。任しときー。
 ――うーん、なんか違うよーな」

 声援を受けて軽やかに応じて、ぐいーんと伸ばした手が難なく子猫を救助すること適った。腕に抱くとひとまずほ、っとして。それから一本釣り…それはまた何かが違うようなと笑っているような疑問なようなな表情を浮かべていたが。危うげなく引き戻されて。
 しっかり陸地に下ろしてもらえば、まるで見計らったかのように足元へ抱いている子猫とよく似た毛並みの雌猫が、にゃーんと寄ってきた。

「おや、ぶち子さん?」

 この界隈を縄張りとする野良猫のお母さんである。猫好きな方なので見覚えがあり、体格も立派でそこそこ有名だったため、そう呟くと、『それうちの子ですわあ』と云わんばかりにスカートの裾をかりかりして訴えてくるので。

「そっか、木箱で遊んでて流されちゃったのね、この子……はい、良かったね。気を付けてー」

 冬の時期にまで子育てとは、なかなかバイタリティに満ちた奴だ。抱いていた猫を親猫の前に下ろすと『おおきにー』という感じに一声鳴いてから、ぶちの雌猫は子猫の首根っこを咥えて、すたたたっと夜の街に消えていくのであった。

 それから、師匠の話を振られて、猫騒動が片付くとそちらを向いて。

「師匠? ああ、えっと……なんだっけ、なんか教えてもらってるんだっけ。
 うんうん、そうなんだー。嫁に欲しいって? 気が早いなー」

 絶対そんな流れになってる訳ないので気楽に定番のボケをカマして。から、なんちゃってなーとけらけら自笑し。

「んで、なんだって?」

ラファル > 「にゃぁぁ、にゃぁぁぁぁっ!きゅーんきゅーん」

 犬なのか猫なのか、撫でまわされると嬉しさのあまり頭の悪い言語、とはいえ撫でられるのは大好きだし、なでなでしてくれる人は正義だ。
 もう、お猫様が居なければ、ギューッと抱きしめて、すりすりぐりぐりと頭を擦りつけて抱きつきたいのだ。
 とりあえずその辺りは、ゆっくりお喋りをしたいのである。

「ぶちこさん?あ。ニューフェイス。」

 子猫様の救助は終わった時を見計らって、新しいお猫様、今度は母猫らしい、でっかくて太々しい、幼女を見ても、ハン、と鼻で笑うような様子。
 丸々してて大きくて、こっちは非常食になりそうだけど、それは流石におねーちゃんも怒るだろうし悲しむだろう。
 ブチコさんと言う名前なしい事、最初の言葉に首を傾いで、直ぐにそれが名前だと判った。
 ティアおねーちゃんが子猫様を開放すると、子猫様は親猫様に擦りついて、ティアちゃんの足に擦りついてから去っていった。
 咥えられて去っていく様は―――うん、見覚えがある。
 昼寝してると、自分が良くやられるあれだ、グリム君が咥えて持っていくのである、トゥルネソル家の方に。

「うん、基本的な体の動かし方とかは教えてくれるそうだよー。

 ……師匠はエッチは激しいよー?ティアおねーちゃんも、うん。」

 嫁にとかそういう所で考えるなら、と幼女はじーっと姉の事を見る。
 体格は、ちゃんと出るところも出ているし、顔は綺麗だし、性格とかそれに関しては、幼女からすれば、お淑やかだ。
 うむ、そういう話になるのだとしたら、ちゃんと手を出してもらえる相手だと太鼓判。
 がんばれ、とにこやかに。

ティアフェル > 「あらあら、ここにもかわいい子猫ちゃんがいるわー」

 おーよしよし、と鳴き声を発する様子にめろめろしながらなでなでする。犬は嫌いなので犬っぽいとは思わない。正直似てたら怯える勢いだ。
 
 そして、まるで自分ではどうにもならないので静観していたが、首尾よく人間が助け出してくれた我が子をい頃合いに咥えて連れていく親猫。
 さすが強か。ボス猫の嫁と目されているだけある。
 ともあれ、助けだした後に困ったのでお迎えがあれば何より。一件落着。擦りついてご挨拶していく猫たちに手を振った。

「そっかー。じゃあまたその内。
 そっちは間に合ってますってことで夜露死苦」

 ふむふむ、と首肯して師匠の伝言を聞き届け。それから無理にもらい手探すほど飢えてねえし要らねえ。と後半の言葉には、首を振る。
 よく知りもしない相手は御免だ。むしろ師匠とやらもそんな困ってなかろうし、云われても向こうが困るだろう。

ラファル > 「えへへへへー。」

 メロメロなでなで皆具理解繰り、ああ、幸せな時間が幼女の脳内で、ばちぱちぱちぱちと、色々飛んでいる。
 ほわほわとした、てろてろ、てれてれ、そんな擬音が聞こえる位に幼女の顔はほにゃぁんと緩んでいた。
 もう、子猫様はいなくなったので、ぎゅう、とだきついて、すりすりと頭を擦り付ける。

「あいっ。とりあえず伝えておくね。
 師匠の名前は、カゲトキ・カサキだよ、東方の人で、サムライしてるよ。
 腰に、ボクと同じ作りのカタナを持ってるんだ。」

 腰から紅い柄の刀を鞘ごと外してこれと同じ八、大きい方だよ、とにこやかに伝える、これに関しては他にはない、一品ものだから、間違えることはないだろうし、と。

「うん、間に合ってると言うのを、伝えておくよ、夜露死苦、だね!」

 師匠は、最初からそんな話題は出してないのだけど、これは先生で釘を打つというやつなのだろう。
 まあ、取り合えずお伝えしておいてほしいらしいし、お伝えして置くことにする、たぶん師匠首をひねる。
 師匠自体は女性大好きだし、手を出す可能性も無くはないし、と。

「後、もう一個ね!
 今度、トゥルネソルのおねーちゃんの方が、ご飯招待したいって。」

 これは、まあ多分理由は判る。
 自分がお泊りで遊びに行って、ご飯とかいろいろとお世話になっているので、そのお礼含めてお伝えしたのだ、と。
 なので、今度遊びに来てよ、と、ティアおねーちゃんの腕をくいくい引いておねだり。

ティアフェル > 「んー、かわいいかわいい」

 大体身内以外のちっちゃいこには甘いが、こう懐いてくれるとより甘くなる。好々爺もかくやというような顔ででれでれして、子猫の代わりに抱き着いてくるので、ぎゅーと抱き返してはふくふくと笑って頭や背中を撫でまわし。

「カゲ……覚えにくいなあ、なんて呼べばいいのかしら。わたしも師匠、じゃおかしいしなー。
 ほー……なんだか最近急に東国に絡むことが増えてきたなー。移民が増えてきてるのかしら?」

 日出ると云われる国はシェンヤンよりずっと東の方でかなり遠方なのでそこの人も文化もなかなか流れて来ないのだが、最近になって接する機会が急に多くなった。そういう時期なのかなと考えながら、真打、裏打ち、と刀は二本打ち鍛えたりすることがるらしいので、そういうものなのか? いや、大きさに違いがあるらしいからまた別か。よく知らないが刀を見て、知識が薄いものでふーんと肯き。

「ああ、いいわ。勝手にそんな話をしてるのも失礼だから。
 ただ、よろしく云っといてくれればいいから。丁寧にね」

 聞く限り結構年長のようだし、無礼な物言いをすべき相手でもない。飽くまで冗談の部分は端折って無難に挨拶を伝えておいてくれるように話し。

「んー? ラファルちゃんのおねーちゃんが…?
 あらあら、それはありがたいけど悪いわねえ。いいのかしら……それじゃあ何かお土産を用意しなくっちゃ……」

 ほう、と頬に手を当ててどこかの奥さんみたいなノリで首を傾け。むしろ勝手なことをしているのはこっちなのだから、表面上はご招待だが、行ってみたらシメられたりとかそんなんだったりしてとよからぬ想像とする辺り、誘拐犯の自覚アリだ。
 うん、お邪魔するね、と腕を引かれてのおねだりにはこっくりと首肯して。

ラファル > 「うーん。おいちゃんとか、師匠とか、ボクは言ってるねー。なんていえばいいのかな。カサギ?
 シェンヤンの降嫁騒ぎもあるし、きっと、今は近寄りやすいんじゃないかな?」

 正直行ったことないので、どれだけ離れているかはわからないが、知識が来る程度には交易とかはあったし、店には色々な東方の食材もある。
 前々からの交易が増えた、と考えている程度、しか認識はしてないし。
 幼女に至っては、真打裏打ちとか、そんな知識自体が無かったりもする。
 これを見て、覚えればわかりやすいよ!と言うその程度の知識でしかなかったのだ。

「でも、師匠は女の人好きだし、ティアおねーちゃん可愛いから、手を出すかもだしね、言うのは在りだと思うよ!
 丁寧に、言って置くから大丈夫だよ!任せておいて!」

 年は確かおじいちゃんな年齢でもあるちゃんとした挨拶は、きっとしておいた方が良いだろうし、夜露死苦は止めておくことにした姉の判断にうんと頷く。
 素直過ぎるのも時には問題なのかもしれない。

「うーん、ボクの飼い主に、お礼言わないと、って言ってたし。お土産はもってきちゃダメ―、って。
 持ってきたら、お礼参りするよ、って。
 大丈夫、ボクが、守るから。全力なら、ティアおねーちゃんを連れて逃げることぐらいはできるから。
 それに、トゥルネソルは契約で、王都と、住民に喧嘩はしないってなってるよ、身を守るときを除いて。」

 そもそも、此方がお礼とお土産を渡すほうだって言ってたよ、と。
 それに、勝手な事、と言うならば、幼女も勝手に憑りついてるようなものなのだから。
 締めたりはしないし、良からぬ想像をする相手に、大丈夫だから、と。
 いざとなったとしても幼女の技術なら、彼女を連れて逃げることは可能だ。
 だからあんしんして、とぺふぺふおねーちゃんの腕をなでる。