2021/01/02 のログ
■ルイン > 「私の方が年上ですよ。なんといっても天使なんですから」
そういえばもう一度胸を張って威張り。
後ろからは『また言ってるぞ』『確かにある意味天使だよな』などとヤジが飛び。
「そう言う訳で見た目とは違うますからね」
ほほを膨らませる少女の頬を突いて宣言して。
■ソラム > 「......証明、反対。だけど、納得いかない」
ぶつぶつと呟くと席を立ち。
ある程度場所を取ると、
「.......へーんしん」
乗り気のない声でそう言うと宙返りして着地する。
そう、ただの法螺吹きなら変化はしない。
両腕には銀色の鱗が素肌を覆うように浮かび上がり、少し長めの尻尾がダランと下がっている。頭には少しだけ捻れた黒い二本の角が生えて、他人から見ればもはや人間などではなく、人外そのものだった。
「私の方が、年上。今はこの形態が、限界」
そう言うと自慢するでもなく業務内容を伝えるような口調でそういった。
■ルイン > 「納得できないのは私もですよ」
でも背も高いので年上ですと勝ち誇った顔。
そうして威張れば席を立つ少女。
何をするのかと思えば気の抜けたような声とともに宙返り。
そこまでは良いのだがその後が問題。変身したのか元の姿のかその姿は人外。
それを見た周囲は大変なことに悲鳴が上がったり逃げたりと大騒ぎになり。
「大馬鹿ですか!場所を考えない時点で子供ですよ!」
事務的な口調で告げる少女に声を荒げ、早く戻りなさいと怒り心頭に。
■ソラム > 「少しだけ、やっただけ、むー....」
少しのつもりだったもんと思いながら尻尾と角を引っ込め、ほら元通りといったポーズをする。
「.......私だって、子供じゃない、もん」
泣くことはないと思うが少し目が潤んでいた。
■ルイン > 「少しでも駄目ですからね。どうするんですか…」
少女が尻尾と角を引っ込めても周囲はざわついたまま。
むしろ警戒度が上がっているように見えなくもなく。
「そう言う所が子供ですよ。もう…ここでは飲めないですよ」
ミレー族や魔族ではない、いかにも人外という姿を見せた以上、店を超えた大騒ぎになるかもしれず。
その辺を考えなさいと呆れてしまって。
■ソラム > 「.......日常、茶飯事」
そう言うと店主に果実酒代のお金を机に置くとコートとハホルスターを身に付け酒場を出る、所で立ち止まりルインの方を見る。
「.......私って、馬鹿、なの?」
一言、ルインにそう言う。
答えはわかっているのに、何故か他の人に聞きたくなったからだった。
「」
■ルイン > こんな事を日常と言って、代金を払って店を出る少女を追いかける。
代金を支払うのはいい事ではあるが…。
「馬鹿というよりは街中で暮らす配慮が色々と足りてないですよ。
街中で角や尻尾を見せるのは危険なことですよ」
奴隷商人に追われますよと肩を落とし、もう少し考えてと。
■ソラム > 「あ、その商人って奴、私の家に来た。でもなんか帰っていったよ?」
ヅカヅカと入ってきてはそそくさと帰っていった一団を思いだし、首をかしげつつルインに聞く。
路地裏の座れるところで腰掛けると空へ顔を仰ぐ。
■ルイン > 「それは押し売りだと思いますよ。奴隷商人でしたらただで帰りませんから」
それは少なくとも奴隷商人ではなく押し売りか変なのだろうと。
もしそうなら今頃は無事ではないと告げ。
路地裏に移動して腰を掛ける少女を見て。
「とりあえずはもう少し色々と気を付けないと駄目ですよ。
今回は私がどうにかしておきますから……」
そういうと大きく背を伸ばして。
「そろそろ帰らないと心配をかけちゃうので私はいきますね。
ソラムさんもちゃんとした宿に泊まるんですよ」
そういうとまたですね、と告げて通りの方へと。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/大通り」からルインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/大通り」からソラムさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にティアフェルさんが現れました。
■ティアフェル > ――傷病患者に年末年始はないし、それを診る職種も準ずるしかない。
「………今年も帰れなかったなあ……」
寒風吹きすさぶ人気の薄い午後の通りを行き過ぎながら、自棄によく晴れた空を仰ぎぽつりと呟いた。
歳末に実家に帰る同業者も多く、自分も倣って帰省しようかとも思ったのだが、急に冷え込んだ気候に耐えられずに病人が多数出たもので出なばを挫かれ断念して今に至る。郷里にはここしばらく顔を出せていない。
しかし、そんな手合いも珍しくはないだろう。今日も年始だというのに朝から治癒術師として駆り出されて午後はようやく少し落ち着いて、ぶらりと目抜き通りを流れているが、閉まっている店も多く閑散としている。
いつになく静かな街並みを歩きながら、もうちょっと賑やかな場所に行きたいなと歩を進め。
■ティアフェル > ああ、広場の方は年始こそ稼ぎ時と露天商も多く出ていて盛況のようだ。
りんご飴やら綿菓子やら、露店ならではの菓子や定番の焼き栗、串焼きに揚げ物。こってりとジャンクだがいい匂いに惹かれて、そういえば昼食を食べ損ねていたので反応してお腹が鳴る。
「なんか食ーべよ」
おいしいものを食べようと思うと沈みかけていたご機嫌も持ち直す。相好を崩しながら、軽い足取りで通りから広場へと向かう途中――、
「げ……」
行く手を阻むように通りの真ん中でたむろしている――
わんっ
野犬が二頭。普通ならそんなもん、気にせずに脇を通り過ぎたり、なんなら追い払って退かせたりするものだが……。
「通れない………」
絶望したような声で呟く女は、大の犬恐怖症。この世の終わりのような気分を抱え、青白い顔で立ち尽くした。
犬が怖くて道も歩けないとは、お前は本当に冒険者かというところだが、ゴブリン程度なら蹴散らすことはできても犬だけは。犬だけは理屈抜きに苦手で、近づくことも傍を通ることすらできない。なんなら見てるだけで泣きそうになる。
「退いてくれないかな~……どっか行ってくれないかな~……」
情けない表情で眉を下げながら犬に近づけず大通りの途中で右往左往。
挙動不審な様子に勘付いた犬が、わん!と大きく吠えて来て、ひぃ、と半泣きで飛びずさる始末。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にロゴスさんが現れました。
■ロゴス > そんな右往左往している女性の背後から、金属音を伴った足音と、しゃりしゃりという何かを咀嚼する音が聞こえてくる。
「お姉さん、何してるの?」
如何にも挙動不審なその様子を見て声をかけてきたのは、ティアフェルと同じぐらいか、やや低い背丈の少年。
年齢は少し下回るだろうが、全身に纏った鎧とマント、そして剣と盾は、その年で立派な冒険者であることを明白に表していて。
何かを咀嚼している音は、リンゴだ。
頭頂部の猫耳と猫の尾部を揺らし、ミレー族と思しき少年は、リンゴを齧りながら話しかけてきたのであった。
■ティアフェル > 一声吠えられただけで怯え竦んで後退するとんだチキン具合。
あー、どうしよう、なんでよりによって今出没するかな野良犬よ……。
口惜し気に歯噛みしながら打つ手なく、終わったような顔をしてうろうろしていたが、そんな折にふと背後からかかる声。
「え……?」
わたし?とそれに反応して振り返り、そこに立つ見覚えのない少年、てゆうか――
「にゃん…?! にゃんだ、大変だ…! こっちは駄目よ、にゃん! わんがいるからね! わんが…!!」
猫耳を生やしているという点において彼は少年というよりも女の中では猫カテゴリに類された。
ので、慌てたようにまるで言語崩壊したごとく幼稚な言葉をわたわた発しては、この先は危ない!と野良犬二頭がたむろしている通りから離れるようにぐいぐい、とその肩を押して下がらせようとする余計なお世話がてんこもりで炸裂。
■ロゴス > 「にゃん? 大変? わん?」
どこか眠たげな薄目のまま、半ばパニック状態の女性に首を傾げ。
見た目よりも力の強い肩への一押しに、無抵抗な少年はズルズルと後ろへ後ずさっていく。
「わん……犬? にゃんが、僕で……犬がいるから駄目?」
押されながら状況を何となーく整理して、女性の肩越しに向こうを見遣ると、二頭の野良犬がウロウロと路地を彷徨いていた。
「お姉さーん、落ち着いて聞いて欲しいんだけど。僕は猫だけど、にゃんじゃないよ」
ずずず、と押されながらとりあえず発した一言。
踏ん張って立ち止まるべきなのかどうか、少年にはそれもわからない。
とりあえず落ち着かせるのが先決だと考えたらしく、結果的によくわからない会話となった。
■ティアフェル > 「マジこっちヤバイから、わんおるから、行ったらいけんってばっ」
ずりずりずり
その肩を押していたが、ついには背中を押して全力で下がらせる。犬から充分距離を取らせたところでようやく離すだろうがお蔭で最初にいた地点から数メートルは離された。
犬、猫見つける、猫咬まれる、死ぬ。
そんな強引かつ無理しかない図式を頭の中で組み上げている女は、猫は自分と同じように犬が天敵でつまり、仲間で同志で、犬が怖いよね、そうだよね。絶対そうに違いない、と勝手に思い込んでいて。
咬まれたら大変、可哀そう、痛い、と、悲壮な顔でふるふる首を振りながら、犬から退避させたところで、彼の言葉に小首を傾げて。
「……? うん? だから、つまり、にゃんでしょ? 危ないよ。死んじゃう死んじゃう」
猫=にゃん。
野良犬の出現によってかなり言語が退行しちゃった犬恐怖症。猫なら危ない。
犬危ないと。さっきからまったく噛み合わない会話を繰り広げ。
■ロゴス > 「……んー?」
やっと女性が手を離してくれた。
しかし相変わらず会話は要領を得ず、噛み合わない。
「それじゃあ、遠回りする?」
当然、少年は女性の思い込みには気が付いていない。
だが、とにかくあの犬が目の前の女性にとっては『ヤバイ』らしいことは理解した。
ならば犬から距離を取れば落ち着きを取り戻すのではないかと、そう思っての提案。
■ティアフェル > 「うん?」
何だかすれ違いコントみたいな状況に陥っているがこっちはほぼほぼそれを察していないので、納得しきれていないような様子にどうかしたかときょとんとする。
遠回り。面倒だか建設的な意見きた。
そうだな、それは無難だ。そうしようと首肯して。
「君も広場に行くとこだったのね。
よし、じゃあそうしよ。だ、大丈夫よ、わんがいたら、に、逃げれば大丈夫だから、お姉ちゃんがついてるから大丈夫よ……」
全然大丈夫じゃなさそうな蒼白顔で告げては、かなり無理をしたような笑顔。にこ、と浮かべたそれは大層ぎこちなく。
彼と同じくらいの歳の弟がいるもので、ついその感覚で、こっちだよとう回路を目指して手を引くが、実際こっちが犬怖いものでふるふる小刻みに震えて、お手々勝手につないでくという内情。
■ロゴス > 「お姉さん、わんがそんなに苦手なの?」
芯だけになったリンゴを片手でプラプラさせながら、もう片手で手を繋ぐ。
震えているのがはっきりとわかった。
「……僕はロゴス。お姉さん、良かったら名前、教えて」
そろそろ落ち着いたかな、と頃合いを見計らって自己紹介。
自分の名前を名乗れるぐらいに冷静さを取り戻せたなら、今の状況が何かおかしいことも理解してくれる……はず。
■ティアフェル > 「何云ってるの当たり前じゃない! 正味グリズリーの方が精神的に大分マシだよっ」
かなり食い気味に肯定して、何故かそこで、くわっと目を見開く。
新年一発目から犬を見た犬恐怖症の現場に居合わせるといろいろ理不尽な目に遭いますという好例。
「ロゴス君ね、わたしはティアフェル。ティアでいーよ。もしくはお姉ちゃんでもおっけー」
むしろそれで、と要求しそうな空気だった。自己紹介をしたところで犬恐怖症はこの状況の異常さを察しない。
何故ならこれは犬嫌いの通常運転だからだ。
「あの道使えないと広場までかなり遠回りねえ……えーと、こっちを曲がって……」
と、手を引いたまま口ずさみ、広場までの迂回路である狭い裏道を曲がった、その時。
「きゃあぁぁぁー!!」
不意に悲鳴を上げて手をつないでいるのをいいことに、そのままぐいいーと引っ張って前へ出して、曲がり角の先にいた無害そうな野良犬から少年を盾にしようとする――とんでもない女。
■ロゴス > 「苦手なのは分かったけど……何で引き合いがグリズリー?」
比較相手として色々と間違っている気がするが、何というかこういう人なんだな、と少年は半ば納得しかけていた。
「じゃあ、ティアお姉ちゃん。それで、さっきの……」
少年の言葉はそこで悲鳴によって遮られた。
ヨタヨタと力なく歩く目の前の犬を、半目で見つめる。
さっきは庇おうとしたのに何で今度は盾にしているのか、とかツッコミどころは快挙に暇がない。
だが、とりあえず少年は芯だけになったリンゴを野良犬の方に放り投げた。
野良犬は腹を空かせていたのか、夢中になって追いかけていく。
「……もう行ったよ、あの犬」
■ティアフェル > 「通常、『いやグリズリーの方がマシだろ!』って突っ込みがくるのよ……」
どんな通常だかだが。真顔で返答しては、お姉ちゃんとの呼びかけて大変気をよくして、ころっと上機嫌な顔を向け。
「えー? なーにー?」
と聞きかけたのもつかの間。曲がり角の先の野良犬に秒で恐慌して、わあわあ一人で騒ぎながら咄嗟に少年を前に突き出して盾にしていたが、野良犬が彼が放ったリンゴへ一目散になって駆け出していき、その場から遠ざかると。
「……ぇっ? え、ぇ、あ……い、いない? ほんと……?」
自分より年下の少年の後ろに逃げ隠れしていたが、声を掛けられてそろそろとその背から顔を出して確認すると、誰も居ない何もない狭い通りが広がっていて。
ほぅと大きく息を吐き出すと、
「や、やー……死ぬかと思ったねー…やばかったねー……………てゆうかごめん………」
安堵の声を発して流しかけたが、ナチュラルに盾にしてしまったのである。とても顔向けできなくてぷるぷるしながら顔を反らして震えた声で謝罪した。
■ロゴス > 「ん、んー……? よくわからないけど、ティアお姉ちゃんの場合はそれが普通なんだね」
徐々に話を相手に合わせていく少年。
しかし今度はさっきのことなんて忘れたかのように機嫌が良さそうになったり、その数秒後に自分を盾にして叫んだり。
「まるで嵐のような人だね……」
少年はそう思った。
「別に、僕は大丈夫だけど……ティアお姉ちゃん、理不尽とか不条理って他の人に言われない?」
少年がティアフェルに抱いた人となりは、まさしくそれだった。
恐らく理不尽な案件は、犬絡みに限らず他にも複数あるのだろうと。
■ティアフェル > 「……一般的に犬よりグリズリーの方が危険だからね……わたしには逆という……云えば云う程なんの話かという気になって来たわ。
わたしもアレだけど、君もマイペースな子だねえ……」
噛み合っているようで噛み合っていないような。むしろこの淡々とした少年とさっきからかなりすれ違いがちだ。なんだろう、近くにいるのに感じるこのディスタンス。
「………弟にはよく云われる……」
姉とは得てして弟にとって理不尽なゴリラなのである、けれど他者にはそこまで云われていないのは……自分のお友達は気遣い上手の親切さんばかりだからだ。
むしろそういうタイプじゃないとさざ波のように遠ざかっていく。
■ロゴス > 「マイペース……は、僕も良く言われる。でも良かった、ティアお姉ちゃんが落ち着いたみたいで」
ここに来てようやく会話が成立した気がする。
もしや、この妙な距離感は自分がミレー族だからでは? と耳をピクリと動かし。
「僕、ミレー族だけど、ティアお姉ちゃんはそういうの気にする方? にゃんとか何とか言ってたけど」
そして弟にはよく言われる、と聞いて彼女が姉であることを知る。
姉、自分には縁のない存在だ。双子の妹はいるが。
「んー……これ以上は何だか責め立てるみたいだし、いいや。弟さん達にもたまには気を遣ってあげてね」
弟に理不尽と言われるということは、きっと他人にもそう思われてはいるのだろう。
というか事実、さっきの対応は初対面の相手にしてはかなり理不尽なものであった。
とはいえ、謝っているのをいいことにグチグチ口上を述べるのは好みではない。
■ティアフェル > 「だろうね。いや、でも自分のペースを保つのは大事よ。周りに流されずに生きて行こう。
いやいや……犬さえいなければわたしは至極お淑やかなレディでしかないのよ」
犬がいなくとも何かあればそれなりに騒がしい女だが、みっともない所ばかりさらしているもので、取り繕うように口にして、おほほ、と取ってつけたように口元に手を添えて楚々とした笑い。
「え? んーん? 犬の…ならちょっとびくっとしたかもだけど……わたし王都生まれでもないし、そういうのないよ。
むしろ猫は好きだよ、味方だと思っている」
重複するが犬が天敵という点に於いては同志という扱いである。地方出身の為種族的偏見もかなり薄い。
ふる、と首を振って見せる。
むしろ猫のミレー族ならば謎の親近感が芽生えている。一緒に犬を怖がったりしないのは残念だが。
「は? それは無理。」
弟達をフォローする言にかなりはっきりきっぱりと断じた。うちはむしろただの猿山なので。気遣いだの遠慮だのが発生するような環境ではないと。
「よーし、気を取り直して行くかー。すまん、ロゴス君先、先歩いてね……お姉ちゃんはどうやらもう駄目なようだ……」
広場へと止まっていた進路を取り直すが、しかし、もう先に行くのは断念。最初から先導してもらえば盾にしなくて済むのである。
ゴメン、と手を顔の前で立てて謝罪の構えを取りながら。どうぞお先にむしろ先にと促した。
■ロゴス > 「お淑やか……レディ……」
さっきグリズリーの方がマシとか言ってなかったかな、と首を傾げる。
少年の脳内には、素手で灰色熊をぶちのめす淑女らしき人物の映像が浮かび上がっていた。
「猫は味方? よくわからないけど、気にしないならよかった。僕はミレー族の地位がもっと上がればいいな、と思って冒険者をやってるから」
この街は皆が皆、ミレー族に偏見を持ってるわけじゃなくていい。
もちろん、酷い差別や偏見に晒されることもあるが、日常茶飯事なので既に慣れっこだ。
そんな中で、ティアフェルのような人に出会えると暖かい気持ちになれる。
「……うわぁ」
でも『それは無理』には引いた。とは言え、少年は大家族というものを知らないので無理もない。
やりたい放題やるクソガキを黙らせるには鉄拳制裁しか手段がない、そんな家庭もあるのだ。
「うん? 別にいいよ。犬がいたら教えるね」
項垂れるように手を合わせて謝罪する様子に、気にしていないとアピールしつつ、広間に向かって路地を進んでいった。
■ティアフェル > 「……云いたいことがあったら云ってもいいのよ?」
己のさっきの戯言を到底納得いかない様子で反芻する声に、促す声は怒気もはらんだ気配はなかったが微妙な圧が含まれいたかもしれない。
表情こそ、にこ、と鷹揚なもんだったが。
「味方じゃなかったの……っ? たとえ猫側が味方と認識してくれなくても、わたしは猫の味方だ…!
――うん、すぐには難しいかも知れないけどそうなるといいね」
種族差別というのは見ていて気持ちのいいものではない。だからといって具体的な助力をできる訳ではないが、差別される側で向上を模索するのではれば応援くらいはしたい。
けれど、家庭内抗争については話はまた別である。姉弟とは互いに人権を認めてない連中である。飽くまでもこのご家庭はそんなカオスだ。
引いてる引いてる……と、うわあで表現された返答に慣れたもんなのか目を三のように細めて見遣った。
「おねしゃす、助かるよ……君も猫なのに悪いねえ、罪悪感はひしひし感じているので勘弁してやってください……」
猫の特徴を持つ種とは云え、別に野良犬に怯えている訳ではないようだが、しかし、盾役にすることには申し訳なさそうに云いながらも。
遠慮なく先立ってもらってその後ろをおどおど進むのだった。
■ロゴス > 「ん、何でもないよ。うん、何でも」
まだ見てもいないのに仮定で決めるのはよろしく無かろう。
そう思って少年は口を噤んだ。決して圧に押された訳ではない、はず。
「あまりミレー族を持ち上げると、ティアお姉ちゃんまで変な目で見られかねないし。個人的に味方でいてくれるなら、とっても嬉しいかな」
味方じゃなかったの、という発言にはそう答えて。
応援もしてくれている……けれど弟は別らしい。少年は訝しんだ。
「別に大丈夫だよ、普段から盾役を務めるのは慣れてるから」
それにしても、先程の自分の盾の仕方は動きがスムーズだった。
もしかしてこの人も、誰かを盾にするのは慣れている?
そう考えながら、道すがら自分の仕事について、話したり逆に尋ねたりすることだろう。
もしかしたら、彼女も冒険者の一人だということが、広場に着くまでに少年に伝わるかもしれない。
■ティアフェル > 何でもないと繰り返す声に、にこりとした表情のまま首を傾け。それから変な目で見られる、と危惧する言葉には、一層にこにこしたままはっきり云い切った。
「大丈夫、慣れてるから。
差別的思考のヤツとはどーせ話も合わないし。云いたいヤツには云わせておくわ」
そこら辺は自分の価値観でやってくので御心配なく。と割り切ったような思考を示しては、犬からの盾になってくれるというのは大助かりで。ありがたやありがたやと信心深いかのように手を合わせて拝み出す始末。
ともあれ、お陰様でその先は犬の脅威もなく無事に広場まで辿り着けたのだが……かなり時間がかかってしまいお腹と背中がくっついていたという。
途中で交した会話の中で相手が同業者だと知れば、「おー。今度冒険しよー」と非常に気安く声を掛けるのであったとか。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からロゴスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/街角」にミリシラさんが現れました。
■ミリシラ > (酒場からの注文を受けてお酒や料理の材料を届けた帰り道。
街の人達は我が家や酒場、あるいは娼館なんかに行っているのか人通りは疎らで。
夜の街を行くのは慣れたもので、小走りになるでもなくのんびりと夜の冷たい空気を頬に感じながら自宅兼商店への帰路を歩く)
「ふーっ、寒い寒い。夜の配達は割増料金が貰えるから歓迎だけど、この寒いのは堪えるなぁ。
もうちょっと厚着してくるんだったかな?ま、外が寒い分だけお家のお風呂が気持ち良くなるんだけどね」
(これくらい平気平気と寒さを心配する母に豪語したことを後悔して、もう少し着込んでくるんだったと次からはそうしようと決める。
ときどき酒場の前を通れば聞こえる賑やかな声に、色々と王国は大変らしいけど、自分達平民には関係ないよねと楽しそうに笑いながらてくてくと歩いている)
■ミリシラ > 「さーって、ここまではいいんだよね、ここまでは。
問題はここから、今日も無事通れるといいんだけど」
(てくてくと歩いていき、とある区画の前で脚を止める。
ここから先は日中でも薄暗くて身の危険のある場所で、夜ともなればその危険さは倍増する。
もっと明るくて安全な道や場所があればそこを通りたいのだけれど、帰宅するにはどうしても抜けなくてはいけない区画。
最悪、襲われたとしてもお小遣いをせびるくらいの気構えをもっているけれど、襲われないに越したことはなくって)
「お父さんの力を少しでも引いてたらなーって、引いてたら引いてたで厄介なことになってただろうし。
無い物ねだりは良くないよねー……ま、襲われちゃったらそのときはそのときってことで、行くぞっと」
(商品代は後日、割符を持っていくことで支払って貰うことにしてあるから、襲われて荷物を漁られても大したものは出てこないし。
夜のお使いの帰りに襲われることも良くあるんだからと、現金も持ち合わせていなくて。
結果として、それが犯される要因になっているような気もするものの、犯されてお金を持って行かれるよりはいいし。
この区画を抜けさえすれば問題はないんだから、ここは少し早足になって歩くことにする)