2020/09/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 公園広場 」に琵琶法師さんが現れました。
琵琶法師 > その日、琵琶法師は王都の囲われる貴族の場所から煙のように外出した
手持ちは路銀と布で包まれた背に背負う琵琶
身にまとう一張羅は別大陸の織物なだけに、染や柄は周りからすれば目立った
良い所の出というよりも、背負うそれが楽器と見えて楽師か
貴族か王族にでも気に入られた吟遊かと。

故に手は出しづらい
悪質な者も、掏りも、果てはタダの強姦魔も
しかし多少での悪の鼻が利くものは触らねば祟りは無しと、近づくことすらしない
故に、琵琶法師におもむろに近づき、何か弾いてほしいと強請ったのは、芸人に飽きが来ていた童だった

周りは、丁度いい切っ掛けだと目線が二つ、三つ
琵琶法師は断る理由もなく、適当な座れる場所を探してはハンケチを一枚。
拡げた其処へ腰を下ろし、敷物に包んだ琵琶をソッと出す。

「それで、坊やは何弾いて欲しいん?」

独特な訛りのある口遣い
子供はそれでも意味は通じており、うんうんと唸っては勇者の話をせがむ
吟遊詩人とでも思っていたらしい
勇者、はて、と琵琶法師はそんな話はいくつもある
撥を手に弦を伺い。

「ええよ、そんなら、うちの知ってるお話でええどすか?」

そう言って、
武勇伝なんてしてしまえば喉が枯れる
一時で区切るように、偽の王様から本当の王様を救った騎士の話を聞かせた

周りは幾人か集まりながら、琵琶の音色が響く。
竪琴とは違う音に、珍しがる者ばかり。

琵琶法師 > 普通の張り太皷や笛と違い、琵琶の音色は人を選ぶ
しかし言葉を伸ばし、ゆったりと物語を語る歌と音は暇つぶしにはなっているらしい。
元より琵琶法師、童に乞われただけに礼を求めるつもりもなし。

騙った王は暴かれ、退治され、元の国へ戻るまではもったいぶらずにあっさりと
過程で大事なのは、勇者がどう騙る王を仕留めたかだろうか
何時の時代も、物語の勝負事に目が行くのが世の常

終わっては、まばらな拍手と奇妙な視線
童がお礼にと小さく包まれた安菓子を渡してくる。
手に乗るそれにクスクスと袖で隠して笑い。

「おおきにな、後で大事に食べるさかい。」

そう言って袖の中に収めると、適当に弾いていてほしいという願いも。
歌を抜いた曲だけのもの。
適当と言われ、ゆっくりと弾いていながら、脚を組み、しばし奏でる琵琶の音が小気味よく響く。
弾きながらも時折会話を交えており

この身形と同じような衣を着た者を時折見るという
目を一瞬開き、同じような土地者がいるのかと、意外そうにした。

琵琶法師 > 音は小気味よく、耳の通りが良いものへ
一々厳つく、重い音を出すだけが琵琶でもない
他の楽器のように、軽く弾くだけで耳障りもよくなりながら、水面傍の気分で。
唯々気の赴くままに弾いている。

そうしていると、一人の道化師がひょこひょこ前へ。
無音 そう言えるように言葉も音もなく。
手を合わせるそれすら無音

琵琶を指し、琵琶法師を指し、そして自身を指して土下座で拝む。

「ええよ。」

一言、そうつぶやくと、両手を繋ぎ、感謝を示すように拝み倒す道化師。
こってりとした化粧と身軽な衣装
手であちらへどうぞと示すなら、琵琶を持つまま一つの樽椅子へ。

ふわりと道化師、自前の綺麗なハンケチを敷くのなら琵琶法師
そこへ腰を下ろし、脚を片方曲げては琵琶を支え、弦を伺う

周りを見つめる道化師
人が少し足りないように、琵琶法師の傍で泣き真似を
壁を叩くように悔しがるマイムで笑う人らが惹き寄るままに。

辺りを見てからはりきるように、向き直ってきては耳元へ。
内緒の打ち合わせと思いきや、ただ頬を動かし嘘話
要は適当に合わせろということだ

あとは好き勝手に、道化師を譜に見立てて奏でるだけだ
踊る相手に調子を外して転ばせ、時には最後まで調子をつかせる
法師自身も拍手をしながら、操り芸の最後、高く飛ばした物を受けきる姿勢が決まるそれ。
まさか道化師と共演するとは思わず、思いのほか楽し気に。

「ふふ、うちもほんま楽しかったわぁ
 あんさん、ようやりますなぁ
 ほれ、みぃんな、お礼があんなにありますえ。」

琵琶法師 > 切れ間もちょうどいい
奏でる気持ちも満足したように、法師は琵琶を敷物へ。
その間、頂いたおひねりを、道化師、あわやこっそり持ち逃げの真似を。
周りが笑いながら非難を交え、ささっと滑り込んでくるのなら
きっかり半分が手元へ。

受け取るままに、最後はポンッと飛び出た一輪華
それを手に、お後もよろしいようで
別れ、衆は散りながらやがて広場を離れる法師

それをついていく男が二人
身柄か楽器か
狙うのはいいものの、後日から二人を見かけないと仲間が聞いていたという

ご案内:「王都マグメール 平民地区2 公園広場 」から琵琶法師さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──~♪」

雨がしとしとと降り注ぎ、普段に輪をかけて人気のない住宅街の路地を、
下手くそな口笛を奏でながら、傘布の部分に赤いラインが入っている以外は全てが銀色の蛇の目傘という
奇妙な物体を担いでのんびり歩く、金髪の男が一人。
そんな奇っ怪な傘を差している代わり、普段羽織っているジャケットの姿はなく。

昼食を終えた後、暇つぶしを求めてブラブラと大通り、路地裏と歩いてきたが、特に何か特筆するものと遭遇するでもなく、
気がつけばこの場所まで辿り着いていた。

先の二箇所に比べると、余計に事件性の少なさそうなロケーションではあるが──

「……まああ人生ドコでナニが起こるか判らんもんだからな」

なんて、眉下げて笑いながら独りごち。
適当に視線を彷徨わせて住宅街の景色を眺めがてら、なにか変わったモノでも出現しないか、などと
雑な期待をしながら、ぱしゃ、ぱしゃとマイペースに歩を進め続け。

エレイ > やがて、男の姿は遠ざかり──
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からエレイさんが去りました。