2019/09/11 のログ
■アグネーゼ > 「ヴィルア様……」
教会の役に立ちたいと言う思いは、勿論ある。
正確には、神父の役に立ちたいと少女は思っている。
素性も明かせぬ怪しい女を、快く受け入れてくれた優しいヒト。
きっとこの男も優しいのだろう。
だから色々気にかけてくれている。仕事の練習をと声を掛けてくれている。
この教会を本当に援助してくれるならば、確かに、今後彼とは長い付き合いになるのであれば。
―――本来なら、一にも二にも是と答えるべきなのだ。
「………………父を……探しているんです。
何の手がかりもないけれど。この地の何処かに、きっと居ると―――」
だからせめて、理由くらいは彼に正直に話すべきなのだろうと。
無論、少女の正体は伏せる。神父にも誰にも話すつもりはない、海に居る母との約束だ。
「…ですから、その―――正直、お仕事をしている暇もないと言いますか。
その時間を、父の捜索に充てたくて」
自分勝手な理由ですみません、と。頭を下げない代わり、申し訳無さそうに眉尻下げて。
■ヴィルア > 優しさを見せつつ、その内には隠している思いがあるのが彼だ。
けれど、今はそれを出さずに少女と会話を続けていて。
理由を聞けば…は、とした顔になる。
「そうか。…それは逆に悪いことを言ってしまったね」
ぎゅ、と手を握り返しつつ。
逆にこちらが謝る。
そういった目的があることを考えなかったと。
「なら、無理強いはできないな。家族は…大事にすべきものだから。
…それなら代わりに、ここに打ち合わせに来た時には、アグネーゼに出迎えてもらいたいな」
暗に、定期的な打ち合わせの際に会いたいと告げて。
彼女を指定していることから、好意のようなものを向けられていることは気づくかどうか。
「あとはそうだな…引き留める理由としては、練習だからそれほど時間はかからない、というところか。
今日、私が神父さんと話していた時間と同じくらいだ」
それは覚えておいてほしい、と告げて。
何が何でも、というわけではないが…できるだけ考えてほしいようだ。
■アグネーゼ > 「っ、い…いいえ、そんな―――ヴィルア様が謝ることでは…っ!」
逆に謝られてしまって、少女はわたわたと慌ててしまった。
ぱっと握った手を離そうとするのだが、もし握り返した相手の手が
思ったより力強ければ、無理矢理引き剥がす事など少女には出来ない。
「えっ?え、ええ、はい。それは勿論!あの、ヴィルア様とは
今後とも長いお付き合いになるのでしょうし……。
私で良ければ、いつでもお出迎え致します!
あ、次回からは、私の方からお迎えに向かった方が宜しいでしょうか…!」
などと意気込んではみるが、思い出して欲しい先日の方向音痴ぶりを。
だから今日は相手の方からわざわざ馬車で出向いて来てくれたのだ。
若し傍に神父が居たら、それは止めておきなさいとやんわり窘められただろう。
「ま、ぁ……思ったより時間は掛からないのですね…。
あの―――私に体験してもらいたい仕事とは、どのような…?」
聞いても良いでしょうか、と少女はまた小首を傾げる。どうやら癖のよう。
■ヴィルア > 力はそれほど強くなく、わたわたと暴れればそのまま手は外れるだろう。
これもまた、特に怒ることはなく、慌てる様子を彼は笑って見つめて。
「…ああ、お願いするよ。
けれど、迎えに来てくれるなら、王都の地理をしっかり覚えてからだね。
アグネーゼが迷子になった方が、私が出向くよりも大変なことになってしまうから」
口元に手をやり、くく、と笑って。
神父と同じように彼も…すでに彼女が方向音痴であり、警戒心が薄すぎることもわかっており。
だからこそ、打ち合わせのついでに、と言葉を付け足したのだ。
できるだけ少女に…来てもらっている、という負い目を感じさせないように。
「そうだね。本人のやる気によっては、決められた給金以外にも報酬がある仕事だ。
簡単に言うと…」
とそこで…いくら無知でも、断られることを念頭に置いたうえで、顔を近づけ、耳元で囁く。
本格的に始まるまでは秘密だ、という言葉から…その練習も秘密にしたいのだろうと予測はつくか。
「宿屋の一室などを使って…疲れた人、あるいは不満を抱えた人を癒す仕事だよ。
少しスキンシップはあるが…、体の全てを許すことはない。…わかるかな?」
性についてはある程度知っているだろうと判断しているが…
それが仕事になると結び付けられるかどうか。
■アグネーゼ > 「―――、ぅ……は、はい。そうでした、私、方向音痴で…」
迷子、の単語にうっとばかりに少女がまた意気消沈とする。
そのお陰で彼とは出会えた。だがそれを抜きにして、土地勘などない少女には、
一度迷ってしまったら一大事だ。それこそ最初の頃は、神父によく心配もお説教もされたほど。
そうして、相手の貌が近づき、耳元で囁かれる簡潔な『お仕事内容』には。
きょと、と矢張り、よく分かっていなさそうに少女は目を丸くするのだ。
「お部屋で……ヒトを癒すお仕事、ですか?……マッサージ屋さん??」
性の知識は一応ある。一応。
けれど例えば娼婦だとか性奴隷だとかは、少女はその内実をよく知らない。
そんな存在、そんな職業など、少女が生まれ育った海にはなかったのだから。
そんな少女が、遠回しな説明で仕事と結びつける事なぞ、とてもとても。
■ヴィルア > 気にすることはないよ、と意気消沈する少女を励まし。
自分も、知識や度胸などはあるが…腕っぷしは全くだ。
人によって得意不得意はある。
そういうものだと、彼は思っていて
「ふむ…………。少し、違うね」
仕事を伝えた際の相手の反応を見ればうーん、と唸る。
以前軽く確かめたが、やはり俗世には疎すぎる。
外の国から来た、人間以外の存在ならば、仕方ないが…
さてどう伝えたものか。
結論としては、直接伝えるしかないが…一応、周りに人がいないかを確認して
再度、耳元に口を寄せる。
「…しっかりと決められたルールの中で、君の場合なら、男性と…
少しエッチなことをするかもしれない、仕事だ。もちろん、相手によるけれどね」
と告げて…いきなり叫び出したりしないようにだけ注意。
叫ぼうとするなら、ぱ、と手を出し口をふさぐ準備をする。
■アグネーゼ > 廊下は単純な造りで出来ている。周囲に人が居なければ、仮に誰かが聞き耳を立てようとしたところで、
少しでも身じろげばみしりと床が鳴るくらいには、オンボロだ。
それ以前に、彼には護衛がいるのだから、盗聴される心配もないだろうが。
「……エッチ…、―――と、言うのは……、あの…?」
性交の事でしょうか、と少女は騒ぎ立てるまでもなく、やっぱりよく分かっていなさそうな儘。
「…あの……ヴィルア様?ヴィルア様のお家の事は―――私、噂程度でしか知りませんが。
確か、生活雑貨類や食料を生産して輸送させる、お仕事では…?
それで如何して……その、エッチなお仕事?に繋がるのでしょうか?」
そもそもの疑問点は、そこらしい。
教会の子供たちにさせたい仕事と言うのも、それ関係とばかり思っていた。
違うのだろうか。自分だけに限ったお話なのだろうか。
いやしかし、アドバイスなど出来ればいいと言っていたし、などなど。
少女は地味に困惑の只中にあった。
■ヴィルア > 一応周りは護衛に確認させているが…
特に聞かれている様子はないことがわかり。
これなら、囁かなくとも…彼女が騒がなければ問題ないだろうと。
「ううん。そうだね、一つずつ答えていこう。
まず、性交はしない。例えば、体に触れあったり、口での奉仕が主だね」
手を挙げて、まず一本、人差し指を立てる。
想像できるかはわからないがこう伝えるしかない。
「そして二つ目。確かに、その通りだ。
私の家の主な仕事は、生活に必要なものを領民に生産、加工してもらい…
この王都の店に卸すことだ。
ただ…それが少し、滞ってきていてね。新しいことにも挑戦していかないと、商売というのは萎んでいってしまう」
二本目、中指を立てて…できるだけわかりやすく伝えようと。
此処にも少し嘘が混じっており…
確かに滞ってきてはいるが、それは一過性のものであると彼は、知識と経験からわかっている。
興味を引くには、少しこちらの事情を大げさに伝えた方がいいだろうと。
「だが最初から…性交、ということになってしまうと…そうだな…『人間』は基本的に嫌がる。
それに、拘束時間も長くなってしまうからね。…だから、軽いことなのさ。
それくらいなら、覚えれば…君も、教えられることも多い。
あとはもちろん、そういった仕事だけではない。普通の荷運びなども、紹介するさ」
敢えて人間、という言葉を強調して、差異を埋めようとしつつ。
相手がわかっているかどうか、わかっているならどんな反応を示すのか、見てみよう。
■アグネーゼ > 「…………………………」
相手からの説明を、じっと、黙って最後まで聞き。
―――そうして、長い事沈黙が降りた。
恐らく少女は彼の言っていることを何とか理解しようとしているのだ、と分かるだろう。
頸を傾げたり、眸を泳がせたり、といった仕草だ。
噛み締めて、噛み砕いて、磨り潰して―――そうして。
「…………す……すみません、理解が、遅くて―――。
な、何となく、本当ーに、何となくでは…ありますが……一応、理解は…しました。
つまり、ええと…私は……性交はしない、で、触ったり、ご奉仕、して?
……することが、お客様を癒すお仕事になる―――と」
それって結局マッサージ屋では。
喉まででかかった言葉は、『少し違う』と否定されたばかりなので、二度は言わない。
少なくとも性交ではないらしい。子を成す行為はしないらしい。
子供たちは人間だ。『人間は』、性交を嫌がる。
「(私はどうだろう。嫌だとか思う以前に、そもそも性交と言うものをよく分かっていないのだけれど―――)」
けれど。仮に今後、教会の子供たちにその仕事をさせる事になっても、何も問題はないように思われた。
少女自身、その仕事に就く事も。なにも。
「…とりあえず―――お仕事の内容は分かりました。
ヴィルア様。この話は……神父様には、まだ?」
■ヴィルア > 「ふふ。…まあ、わかりにくいだろうね。構わないよ
アグネーゼの例を使うなら、少し性交に寄ったマッサージの仕事。
そう思ってくれればいい」
完璧に説明するのは諦めて。
大体のイメージはつかんでもらえたかと補足する。
「ああ。少しずつ広めていこうと思ってね。この国では…
娼婦の仕事、というのは性交が主になっている。
だからこそ、神父様も戸惑うかもしれない。だから、秘密だ。
今までの方式では、少し女性の負担が重い。軽いものなら、その負担も軽減できる…
私は、そういった娼婦の形式を広めていきたいと思っている
だからこそ、アグネーゼに実際に体験してもらって、どう感じたかを教えてもらいたいとも、思ってね。」
つまり、子供たち限定ではなく。
より広くを見据えた話であるということ。
そのサンプルになってほしいと言って。
「ただ、短い時間とはいっても、時間の拘束があるのは確かだから…無理強いはしないさ」
爽やかに告げてから、ぽふ、と彼女の頭に手を乗せて撫でようと。
■アグネーゼ > 性交に寄ったマッサージ。
違いがよく分からないが、若し今後その仕事の練習を、少女が引き受けることになれば。
―――きっと、自ずと知れることとなるのだろう。
とりあえずは大体のイメージがついたので、少女の面差しは晴れやかだ。
「神父様には、秘密ですね。分かりました、ヴィルア様。
ヴィルア様は、貴族と言うより商人のようですね。
お仕事に意欲的なのは、素敵だと思います。
そういう事であれば―――私で良ければ、お手伝い出来ればと思っています。
ただ、ええ、先ほど申し上げた通り、私には父を見つけ出す目標があります。
……それが今、私がこの地上で生きている意味だと、言っていいくらい…。
ですから……やっぱり、直ぐにお返事は出来ませんけれど」
彼に頭を撫でられるのは二度目だ。
矢張り幼子にする仕草に似て、少女は気恥ずかしそうにはにかみ笑んで。
己の意志を尊重してくれる相手に、ありがとうございます、と心からの礼を述べた。
「とりあえず当面の目標は、王都の地理をしっかり覚える事、ですね。
次のご訪問の際には、私からお迎えにあがれるよう尽力致しますので」
そこはちょっと、照れくさそうに。
そろそろ陽も傾きかけてくる頃合だ。彼らにも仕事があるのだろうし、送り出さねばならない時だろう。
■ヴィルア > 「まあ、貴族というのは…何かしらの商売をしているものさ。
兵士を育てることで、儲けている貴族も多くいるしね」
商人のようだ、という言葉にそうだね、と返し。
確かに自分がやっていることは…商人と取られても仕方がない。
本来であれば自分は後ろでふんぞり返り、部下に指示を出せばいいのだが。
その方法はあまり好きにはなれず。自分から動くことにしているため、余計にそう見えるのだろう。
「ああ。それで構わない。君の時間を貰うのだから、君の意思が大事だからね」
少し撫でてから、手を離す。
「期待しているよ、アグネーゼ。私の家の場所は、富裕地区で聞けばわかるだろう」
誰かが努力する姿は、とても見ていて気持ちがいい。
甘んじることなく、自分の弱点を克服しようとする少女に微笑みかけて。
「…そろそろ、失礼しようか。話し込んでしまった…。扉まで、案内をお願いできるかな
仕事の返事は手紙か、あるいは直接訪ねてきてくれればいいよ。」
彼にもまた、別の仕事がある。
彼女に案内をお願いして。
扉の前までくれば…微笑みと共に扉を開け、馬車に乗り、教会を後にするだろう。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 街外れの教会」からアグネーゼさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 街外れの教会」からヴィルアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にルーシエさんが現れました。
■ルーシエ > 冒険者ギルドの広間に、銀髪の少女の姿。
長期間に及ぶダンジョン探索を終えて、報酬を受け取った所だ。
今回の仕事は非常に過酷で、何度も命の危険に晒された。
その分良い稼ぎにはなったし、
しばらく仕事はお休みして身も心も癒そうか……。
などと考えながら、ひとまず軽めの食事を取りつつ休憩中だ。
■ルーシエ > 「さて、と……。」
程よく腹がこなれたところで、ぐっと伸びをして立ち上がる。
久々に帰ってきた街だ、少しは浮世を楽しみたい。
日が傾き始めたら酒でも飲みに行こうか、
それとも、知り合いか好みの男性でも居たら誘ったり誘われたり…
などと考えながら、街の方へと足を向けた。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にルーミスさんが現れました。
■ルーミス > 「……だからさ。こんな風に壊れたのはお前の責任だろ?私の責任でも何でもない」
そう冒険者の男に吐き捨て、座っていた椅子から立ち上がった女が一人。
肩越しに振り返って呆れたような表情。
「私が作ったからって、そうホイホイと直して貰えると思ったら大間違いだね。
まぁ金をくれりゃ、考えてやらんこともないが」
その言葉だけ残すとあとは振り返らず、ギルドの出入口へと向けて歩き出す。
その途中、ふと立ち上がった銀髪の少女の方に目が向いた。
というのも、その滑らかな銀色に視線を引き寄せられたからだ。
「……男ばかりのむさ苦しい空間かと思ったら、そんなこともないんだな」
ぽつりと小さく呟く。
■ルーシエ > 「むむ……?」
ギルドから立ち去ろうとしたその時、
何か口論している様な声が聞こえる。
何事かと立ち止まると、
声の主らしき艶やかな容姿の女性が通り過ぎようと。
「………わぁ……綺麗な人……。」
ルーミスの言葉と重なる様に、
こちらも小さく呟くのであった。
■ルーミス > ふと、彼女も此方を見ていることに気づく。
首を傾ぎ、出入口に向けていた足を少し方向転換して、ルーシエの方へ歩み寄り…
「何か用?…今さっきのことなら、悪いな。騒がして」
そう問いかけながら、その銀色の髪を、つり目がちの緑色の瞳を覗き込むように眺める。
「あんたも出るところ?良かったらどうだ、途中まで」
そんなお誘いをかけて微笑み、反応を待つ。
■ルーシエ > その女性と目が合い、こちらへと歩み寄ってくる。
「あ、いや……
特に用という訳ではないよ。
気に障ったらごめんね?」
瞳を覗き込まれると、気恥ずかしそうに目線を逸らし……
「あ、はい、喜んで……!」
そして、誘われるままに共に連れ添い歩き出した。
「さっきのはどうしたの?
……何か壊されちゃったみたいだけど……?」
歩きながら、先ほどの件について聞いてみる。
■ルーミス > 「別に気に障っちゃいないさ」
目線を逸らすなら、瞬いて顔を離す。
ともに歩き出し、ギルドを後にして街中への道中を肩を並べ。
「ん? あぁ……ちょっとな。
作ってもらった道具が壊れた!責任取ってタダで直せ!って奴がいてさ」
やれやれ、とため息をついて肩を竦める。
ちら、と隣を歩く相手を一瞥して。
「名乗り遅れたな。私はルーミス。王都でちまちまと作った道具を売ってる錬金術士だよ」
■ルーシエ > 「ああ、なるほどね。
……僕も、その手のクレームはたまに受けるよ。
大腿は使い方が悪いんだけどねー……。」
「あ、僕はルーシエ。
へぇ、貴女も錬金術師なんだね?
ならば同業だね、僕も錬金術師なのさ。」
同業者に出会うのは久しぶりであった。
年頃も自分より少し上くらいと見えるし、色々と話が合いそうだ。
■ルーミス > 「へぇ、あんたも。私も、同業者に会うのは久々…というか、今まで殆ど会わなかったからなぁ」
よろしく、と挨拶を交わす。
ルーシエ、と彼女の名前を小さく反芻し…
「こんなところで同業者と会えたのも何かの縁だ。
折角だし、どこか寄っていかないか?」
どうだろう、と誘うように再びルーシエの顔を覗き込み、瞳を細める。
行き先は相手にお任せする風でもあり、特に思いつかないなら自分が考えるつもりでもあり。