2019/05/26 のログ
フラニエータ > 「フフ…お姫様、ね…。良いわよ?特別扱いして…甘やかして…可愛がってあげる…
…でも、強引に攫うのは苦手なの…貴女から攫って、と言わせてみせるわ…。」

己の手管に心地良さそうに身を震わせ、喜びにも似た表情を浮かべる彼女。
しかしその瞳はしっかりと己を見ており、気丈さすら窺える程。
扇情的な行動にもたじろく事も無く、扇情的な言葉を返してくるその唇に視線を向けて、続けられる言葉、蠢く唇ををじっと見ていた。

そうしている間に己の指を含む彼女の唇。

「…アデラ?それが貴女の名前なの?」

そんな言葉を投げかけながらも、爪を舌で擽られれば褒めるように舌を優しく掻いてやり、
舌が指の腹を撫でれば唾液を指で救い、わざと絡めて。
指と舌の交合をたっぷりと愉しんだ後、程なくして離れていく彼女の唇。、
彼女の唾液で指と唇に橋が架かり、それが崩れていくのを見詰め、彼女の動く唇を見詰め…。

「…気が変わったわ。」

彼女の扇情的な言葉、その表情に心臓が跳ねた。ある意味、今回の駆け引きは敗北である。
そんな口惜しさを誤魔化すように、女は軽く舌打ちをして乱暴に代金をテーブルの上に投げ捨て…
ガタリ、と音を立てて椅子から立った。

「――いらっしゃいな…攫ってあげる。」

彼女の唾液に濡れた指先、それを拭くことも無く、女は掌を差し出して彼女の掌が重なるのを待っていた。

アデラ > 言葉と表情による交わりは、指や舌の前戯にも劣らぬ快楽を生むものだ。
己の発する言葉にさえ酔いながら、少女は差し出された手を取るだろう。
酒の量はまだ僅かに二杯。それでも体温が高いのは――違うものに酔っているからか。

「お姉様、情熱的ね。……でもね、そういうの、好きよ。大好き。
 それでお姉様は、どんな場所に連れていってくれるのかしら。
 牢獄か拷問部屋か、それとも王様の寝室みたいなところかしら。
 何処だっていいわ、だって嬉しいもの! ええ、本当よ、歌いたくなるくらい」

彼女を追うように椅子を立ち、自分の分の代金は払い終えて――その作業の間も惜しむように、重ねた掌を基点に身を寄せる。
腕一本に両腕と身体でまとわりつく様子は、仲睦まじい姉妹と見えるか、あるいは恋仲のようにも見えるか。
その実、そんな生ぬるいものではない。
胸へと抱き寄せた腕へ高鳴る鼓動を伝えながら、少女は誘われるまま――否、攫われるままに歩むだろう。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からフラニエータさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からアデラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にエレイさんが現れました。
エレイ > 夜更けでも人通りの少なくない表通り。
そこに面した酒場の入り口から、突如として2つの人影が転がり出てきた。
比喩でなく、文字通り。ゴロゴロと転がされ、地面に倒れ伏す。

その人影──体格のいい男二人は赤ら顔で、酒に酔っていることが容易に想像できる。
そんな二人が体を起こしながら揃って睨みつける店の入口から、彼らを追うようにしてぬっと姿を表したのは、
面倒そうな表情を浮かべた金髪の男だった。

「──全く手間を掛けさせてくれるなという顔になる。ホレ、もう店じまいの時間なのだから酔っ払って暴れだすような恥知らずはとっとと帰るべきそうするべき」

しっし、と追い払うような仕草をしながらそんな言葉を酔っぱらいの男二人に投げかける。
男は、冒険者としてこの店の用心棒の依頼を受けていて、今まさにその役目を果たしている最中であった。

『く、くそぅ……覚えてやがれ……!』

非常にお約束くさいセリフを吐き捨てながら、男たちはフラフラとやや千鳥足気味の不安定な足取りで去ってゆく。
それを腕組みしながら見送った男はフンス、と鼻を鳴らして。

「俺的にはむしろそっちの記憶のほうが心配なんじゃが……まあいい」

あんな酔っ払った頭では、むしろ向こうのほうが覚えていられるかどうか怪しいところだ。
そんなふうに思って大げさに肩をすくめる。

エレイ > 仮に憶えているのであれば、彼らが後日報復に来るようなことはないだろう。

──彼らは店内で、その自慢の腕っぷしで無抵抗の男の顔を何度も殴りつけておいて、
それでも男の整った顔に傷一つ残せなかったのだから。
あまつさえその後殴り返される事もなく、襟首を引っ掴まれてポイポイと無造作に
店の外に文字通り放り出され──冒頭のシーンに至る訳である。

「──ハイハイ、他のお客サンもそろそろ帰る準備をするべきだろうな」

そうして店内に戻ると、残っている客にも帰宅を促す。
先述のようなシーンを見せつけられてなお、男に逆らうような者はおらず、すごすごと一人一人店を後にしてゆく。

「……さて、あとは……」

あらかた客が退店したところで、男はとある場所に視線を向ける。
カウンター席の端のほう、カウンターに突っ伏している女性客の姿がそこにあった。
泥酔しているのか、あるいは眠りこけているのか……ともかく正常な意識がないのは確か。
先程のトラブルはそもそも、さっき放り出された男達がこの女性に手を出そうとしたのが事の発端だった。
とりあえず男は、その女性にも退店を促そうと、その肩に手を添え軽く揺すって反応を確かめてみることにした。

「……おーぅい、お客サン? 大丈夫かえ? もう閉店の時間ですよー?」

エレイ > その後、──その後、無事女性客を帰宅させ、今晩の男の仕事は恙無く終了したのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からエレイさんが去りました。