2019/02/07 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にフラニエータさんが現れました。
フラニエータ > 一日の終わりを迎えようとしていた女は、何時もの様に平民地区の酒場でホットビールを飲んでいた。
干した棗を肴に、ただ黙々と酒を喉に流す。
其れもその筈、女の気を引くような客は他に居らず、店主も小太りの冴えない男。
今、一番女の興味を惹いているのは、目の前の干し棗だった。

「…偶にはこういうのもいいかも…ね…」

ため息混じりに独り言を吐く。またひとつ、干し棗が女の口へと運ばれた。

フラニエータ > カウンター席に座り、頬杖を突き、脚を横に投げ出して組む。
指先で摘まれた棗は赤い舌に巻き取られ、ゆっくりとした咀嚼を得ると女の喉を揺らし、踊るように下っていく。
時折口角が上がり妖しい笑い顔を見せるのは、何かを想像しているのだろうか…
誰も居ない店、誰に見せる訳でもないそんな行動、女のそれは煩わしい程に艶かしく、扇情的だった。

「…ふぅ…おいし…フフ…」

口に塗れる微量の泡。それを舌先で拭った後、ビールの入ったグラスの淵をそっと撫でる。
そして女は店の外、その様子に目をやる。――寒そうだ。

フラニエータ > 女の目に店の前を通り過ぎる青年が映った。
襟を立て、背中を丸め、早足で歩くその姿を見て、女は呟く。

「…ああいう子…暖めてあげたくなるわね…ククク…」

言葉と同時に妖しく嗤う女。それを見た店主は、またかと言わんばかりの呆れ顔だった。
何度か訪れた事のあるこの店。女がどういう人間か、薄々気づいている様子。

次に通り過ぎるのはうら若き女性。先ほどの青年を追う様に足早に通り過ぎていく。
喧嘩でもしたのだろうか、強めの‘待って’の声が店の中まで届いている。

「…ああいう子も…暖めてあげたくなるわね…」

眉を下げ、訝しげな表情をする店主。女もかよ、と言いたげなのが目に見えて分かる。

フラニエータ > 次に通り過ぎるのは子供を背負った父親らしき人物。
疲れて眠る子の安らかな表情、仕方なさそうにも嬉しそうな父親の顔。微笑ましい光景でもある。
しかし女は…

「…ああいうのも良いわね…癒してあげたいわ…」

店主が苦虫を噛み潰したような顔になる。どっち?と聞きたいのを堪えているようだ。
続いて通り過ぎるのは…足取りも遅く、見ているだけでもはらはらしそうな老人だった。
それを見た女はまたもや口を開く。

「…フフ…可愛い…いいわね…」

目を丸くする店主。節操なしかよ、と突っ込みそうになるも堪えているのが丸分かりだ。

フラニエータ > 暫くしてビールが空になった。女は乱雑に代金を置くと、身支度を整え、席を立つ。
歩き、店の扉を開き…そこで店主に振り返り、告げる。

「…嘘、よ…フフ…色々想像しちゃったかしら…愉しめたのなら嬉しいけれど、ね?」

女は微笑み、店を出る。
どこからどこまでが嘘なのかは定かではないが、ひとつだけ事実がある。
今夜の肴はどうやらこの店主だったようだ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からフラニエータさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2 酒場」にジードさんが現れました。
ジード > 平民地区の繁華街近くにある一件の酒場。
冒険者の宿と呼ばれるあらくれものたちの根城にするタイプの宿の一つである。
流石に昼間とあって人気の少ない酒場のカウンターでマスターから書面を受け取れば、
ボードに自分の依頼分――薬品の材料の採取依頼を張り出し、一歩後ろに下がって様子を確かめ。

「よし、とりあえずこれでいいかな。
 ついでに他になにか小銭が稼げるような話があればいいけど」

そう漏らしながらざっと掲示板を眺め始める。

ジード > 「残念ながらこなせそうなのはないかな。
 仕方ない、自分の出した依頼が誰かの目に留まるのを祈ってようかな」

少し名残惜しそうに掲示板から視線を外すとそのまま脇目もふらずに出口へと去っていく。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2 酒場」からジードさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にシシィさんが現れました。
シシィ > 平民地区、いくつもの酒場と宿の集う通り。
夜の華やかさを孕むその場所を、冒険者、というには線の細い人影が人の波を縫う様に歩いていた。

荷物の大半は貸し倉庫屋か、あるいは卸で捌いているために今は身軽。
とくに当てもない足取りで向かうのはこの夜の帳が降りてからが賑わいを見せる酒場へと。

とくに足しげく通っているでもない、馴染みでも何でもないが、焚かれた松明の灯りや、人の声、あるいは賑やかな楽曲に心惹かれて、なんていい加減な理由でいつも足を踏み入れる店は変わっていた。

今宵も、そうだ。

「どうも、ああ、独りだから、どこか隅の方でも──?」

静かに飲むのも無論嫌いではないが、今は食事もかねて。
扉をくぐって、ぐわん、と聞こえる音の階層が一気に増えたような錯覚を覚えつつ、愛想の良い給仕の女の子にとりあえず席を求めて。

どうやら一仕事終えてきたらしい集団の横合いをすり抜けながら、店の奥に歩を進めた。
外套を緩め、片腕にまとめながらカウンターに居場所を求め。

食器を片付けて回っているらしい給仕にとりあえず果実酒を求めておいた。

その合間にもそこかしこのテーブルで聞こえる笑い声だとか、武勇談だとか、聞こえる言葉の欠片に少しだけ耳を傾けて。

シシィ > 運ばれてきた木製の杯を受け取って、先に代金を支払う。
摘まみに何か、干した果物を所望しつつ、聞こえるリュートの音に混じって───

少し離れたテーブルで、自分と同じ商人たちらしいグループの会話、に、其方に視線は向けないまま、盃を撫でる指先が軽く爪を立てた。

先ごろからの魔導機兵の話、それからシェンヤンの動き。
とぎれとぎれに聞こえてくる会話に、瞼をそ、と伏せ。

「───……」

手の中の小さな杯を揺らしつつ。
積極的に其方の商人達へと言葉をかけるわけでもなく、ただ静かに杯を傾けた。

シシィ > 舌の上で渋みと甘みを混ぜるように楽しんでから、こく、と喉に通す。
味は、大衆向けの酒場だからそれ程良い酒というわけでもないが、好きな味。

軽く足を組んで、とりとめもなく思考を遊ばせるように、聞こえてくる会話や、音、雑多なそれらに耳を傾ける。
先ほどの商人たちのような少しまじめな会話もあれば──、娼婦の甘えた声音なんかも。

己が本来本拠にしているダイラスの酒場であれば、ここに船乗りたちの会話も加わるのだろうな、なんて考えながら。

カウンター越しに漂ってくるいい匂いに釣られたり。

「あ、その茸の油煮私にも」

大蒜と唐辛子の辛くて旨みのある匂いがふわりと漂う。
干した柑橘と、じゅうじゅう音を立てる器が置かれて口元を少し緩め。

先の尖った木串で熱い茸をつつく。

口に入れると、先ずは熱さが伝わって、ハ、と熱のこもった呼気を吐き出す。
舌の上で転がし、咀嚼すると、じわ、と旨味がしみだしてくる。
塩気と、辛み。
てろ、と油で濡れた唇を舌先で拭って、満足の吐息。

「んん、美味しい……」

小さな呟きもまた、毀れて。

シシィ > ───それから暫し、酒と料理を楽しんで、ふら、とまた夜の雑踏の中へと消えていった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からシシィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にヴァルブルガさんが現れました。
ヴァルブルガ > 寒風吹きすさぶ中、仕事から戻ってきたヴァルブルガ。王城に借りた一室はあるものの
この時間にはいろいろと手続きが面倒くさい。転がり込んだ酒場は、ムーディーな暖色のランタンで照らされ
男女が楽しそうにあちこちで相槌を打っている。落ち着いた雰囲気の店だ。

膝ほどの高さ地面より低くなっている半地下の店の壁は分厚く、店内は熱気を感じるほどだ。
今夜はもうここで夜明かししようか、なんて考えながらカウンター席にすわる。

ヴァルブルガ > 「ホットワインを。」

ダルマ型のストーブで、コート越しに背をあぶりながら、店内を一瞥し、カウンターに
並べられたアンティーク調の食器や数十年前に流行った人形にため息を漏らす。
どれも自分が若いころ。実年齢で20成るかならないかのころに流行ったものばかりだ。
このチョコレートの空箱なんてまだ学生だった。媚薬入り、なんて噂がたって意中の相手へのプレゼント
にしたりしたものだ。カウンターの向こう、マスターらしき初老の男性をちらりとみやる。
本来なら、同年代、といったところか。昔を思い出しながらくすりと笑ってチョコレートの箱を手に取り眺める。

ヴァルブルガ > そろそろ腰が痛いだ膝が痛いだ言うはずの年齢であるが、こうして夜更かししてワインを楽しむ
ことができるのはうれしいばかり、とはいえどうも物忘れも激しくなってきたような
気がする。こういう昔のことはすぐに思い出せるのになぁ、なんて苦笑いしながら
チョコレートの箱を戻す。

これが流行った学生時代は正直これにお世話になるような機会はなかった。成人
してからはそれなりに経験がある、ましてやこの身体だ、一般的な人間の女性よりは
付き合った男性も、肉体だけの関係も何倍もある。とはいえ、本気の付き合いはここ数十年
ないが。なにせ原因は見当がついているものの仕組みがわからないのだ
ある日起きたらおばあさんになっている
なんてことが起きたら目も当てられない、いっそ白骨のほうがいい。
老いを受け入れるには緩やかな時間が必要なのだ。

「してませんねぇ、恋。」

もう最近はおっくうになってきた、時折一晩熱く過ごす相手を探す、それで十分だ