2017/10/22 のログ
イグナス > いつまで眺めていたところで暇が解消されるわけでもなし。
あきらめればすぐに、時計塔の中に引っ込んで消えていき――

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からイグナスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にアインさんが現れました。
アイン > 突然降り出した雨に、平民地区の大通りの露店は慌ただしげに店仕舞いをし始め、
客たちも一時の避難のために軒先へと逃れていた。
そのうちの一人、己も石畳に足音を刻み、大通りに面した店先に逃れたところだった。

朝から曇天、いつ降り出してもおかしくない天気だったのに、のこのこ散歩に出たのが拙かった。

何しろ「自由」で「暇」なのだから、そうなると部屋に閉じこもっていても仕方がないし、こうして外に出てきたものの。

「…止みそうにないな」

小さくため息を付いて、濡れてしまった肩口を払い、ついでに髪の雫を払うように手で髪を振るい。
気休め程度にしかならないが、一通り雫を払うと、大通りに視線を向けて。
雨が降ってきたから、足早に行きかう人々、忙しなく嘶いて走る馬車、そういった光景が広がっている。

アイン > 雨を逃れるのは、何も人間ばかりではなかった。
野良犬なのか、雨を凌ごうと通りを歩いているが、誰も彼もそれを見れば手で追い払っている。
人間が手を払う仕草をすると、反射的にその犬は距離をとり、結局雨を凌ぐ場所を手に入れられないまま、通りを歩いているから―――。

「………おいで」

なんとなしに声をかけて手招きをしてみた。
ついでに口笛なんぞも付け加えて。
初めこそ野良犬は気付かぬようではあったが、口笛の音に気付いたのか顔を上げてこちらへとやってきたから、
双眸細め、濡れた毛がべったりと張り付いたその犬の頭を撫でては、

「災難だったな。お互い、雨に降られるし、迎えに来てくれる主様もいないとなると」

言葉が通じないことは解っているが、苦く笑いながら、ぽんぽん、とその頭を撫ぜる。
当然返事などないし、折角雨宿りしたのに、いきなりその身体をぶるぶる震わせるから、
犬の方は身体が軽くなったかもしれないが、こちらは災難に災難が重なって水に濡れて。
とはいえ、犬の方はすっきりした顔をして、大人しく隣に座るから、苦く笑うしかなく。

アイン > 雨は相変わらず降り続いているし、雨宿りしている通行人も、中には諦めたように通りへと出て、
足早に家路へと向かう姿が散見できて。

「…それが賢いか。なぁ、お前も一緒にくるか?とりあえず、風呂とメシは提供してやれる」

ぽん、と犬の頭を撫でると、果たして解ったのかどうか、犬はすくりと立ち上がって、わふっ、と吠えた。
目を瞬かせその様を見つめたあと、小さく笑うと、よし、と頷き、その雨に濡れた身体を軽く撫ぜると、空を見上げ。
まだ大粒の雨が降ってはいる。
だが、もう半分は濡れたも同然の状況。
となれば、宿まで雨の中を走るのも同じこと。
石畳の通りへと足を踏み出して、宿の方へと走っていく。
その後を、案外利口な野良犬がついていく姿があった………―――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からアインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」にソラさんが現れました。
ソラ > 雨が勢いよく振り通りに人の姿や露店が見えなくなっても人の熱気が変わらない冒険者ギルド。
流石の天気のお陰か依頼は少なくなり、それを半ば奪い合う様に仕事を受けては向かう御同業。
そんな様子を眺めて依頼が張り出される掲示板の前が空けば残り物を探すように近づく。

「やっぱり収入がいいのは先に持ってかれたかな」

残る依頼を確認していけばどれも雨の日には受けたくないようなものか、
もしくは報酬の安い物ばかり。
先程の中に入り込み儲けがいいものを取るべきだったかと僅かに公開を見せるがまあいいかと流し。
数日の食事と酒代になるような仕事を探し出す。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「──ふへぇーい……」

雨の日でもそれなりに盛んな人の出入りに混じり、濡れ鼠になった金髪の男がギルドにやってくる。
身体を軽く振って水気をきると、スタスタとカウンターの方へと向かい。

「おっさーん、依頼片付けて来たんで報酬よろ」

そう言いながらバッグから小さな袋を取り出して差し出す。
おっさん呼ばわりされたギルド員はその中身を改めると一旦奥へ消え、報酬の入った袋を持って戻ってくる。
男もそれを受け取って中身を改めれば、うむ、と頷きバッグに仕舞って。

「──さーてと……おや? やあやあ、コンニチハッ。なんかエエ依頼あるかね?」

これからどうしようか、と思いながら振り向けば、掲示板の前に佇む和装の少女の姿が目に入り。
興味を惹かれ、のんびり歩み寄るとへらりと笑みを浮かべながら声を掛けてみる。

ソラ > 長期間は嫌、遠出は嫌、採取は得意な方ではあるが雨に濡れるのが嫌。
我儘な事を考えて仕事を探しても良いものが見つかるはずもなく。
最終的にはなぜギルドにあるかよく判らない店の店番や酒場のアルバイトという依頼書も眺めていく。

「やっぱりないかな、お手軽なの」

我儘さえなければ仕事はあるのだがそれのせいでこれというものが見つからず。
後ろから微かに聞こえた声に誰かが報酬を受け取った声が聞こえる。
やっぱり少しぐらい長くても…そう考えて最初から依頼書を見始めて。

「え、あ、うん。こんにちわ。良いと思うのは全くかな」

突然にかけられた声に驚きに肩を弾ませ、慌てて振り返り。
全くないという様に肩を竦めて見せる。

エレイ > 「おっととすまぬぇ驚かせてしまったかな。──ほむ、確かになんか残りモンみたいなのばっかりだな」

肩を弾ませるのが見えればケラケラと笑い、悪びれた風もない笑顔で謝りながら、
良いのがない、との返答には軽く掲示板を眺めてウンウンと頷く。
男としても、だいたい行ったことのある場所ばかりで食指が動くような依頼が見つからず、軽く肩を竦めた。

「まああこんな日もあるから仕方ないね。……ところでアレだ、そのカッコから見るに君は東の方から来たコかな?」

眉下げて笑いながら彼女に向き直ると、ジロジロと無遠慮な視線で上から下まで楽しげに彼女の姿を眺めながら笑みのまま問いかけて。

ソラ > 「大丈夫大丈夫、まさか声をかけてくる人なんていると思ってなかったから少しね。
こんな天気だからさっき我先にって持っていかれた残りしかないよ」

気にしなくていいからと少しだけ申し訳ないという笑みを浮かべて手を振って。
本当に安いか面倒な物しか残っていない掲示板を見る。
あまり土地勘があるとは言えないだけに遠出の仕事を省けば本当に選べるのも限られていて。

「最悪は出直すつもりなんだけどね。ん、そうだけど……やっぱり珍しい?」

声をかけてきた彼に改めて向き直り、この国でよく見る姿だと思い。
上から下まで見られるとこにやっぱり珍しい?とあまり気にした様子も見せず答える。

エレイ > 「なるほどなという顔になる。依頼は早いもん勝ちな所もあるからな。
雨が降ってなきゃ、ちょっと遠くまで一緒に足伸ばしてみないかにゃ? と誘ってみる所だったんだが」

自分の顎を指で撫でながら、楽しげにそんな事をのたまって。

「そうだな全く見かけないというわけでもないがどちかというと珍しいほうだろうな。
俺的にはもっと増えてほしいんだがな、東の方の娘は可愛くて俺好みだからよ。ワハハハ……」

特に気にしていないらしいのを良いことに、じっくりと姿を眺めつつケタケタと笑って。
それから不意に思い出したように彼女の顔に視線を戻して。

「ああ、ちなみに俺は謙虚な旅人で冒険者のエレイというんだが呼ぶ時はさん付けで良い。君のお名前は?」

ソラ > 「人ごみで取り合うのが嫌で空くのを待ってたらこんなのしか残ってかったの。
あはは、気持ちは嬉しいけど遠出は大変だから断ってた、気持ちだけ貰っておくね」

仕事を探してはいるが我儘も多く遠出と聞くと首を左右に振り笑って見せて。

「そういうもの?私もこっちについてから全くあってないけど…珍しいならそうよね。
大体はここまで離れる前に国に帰っちゃうと思わ、もしかしてナンパだったりする?」

じっくりと眺めて笑う彼に完全に振り返り珍しいという言葉に納得を見せて。
姿を見ていたと思う視線が顔にと上がれば何か?と見返し。

「あ、名前ね。謙虚な人はじっと見たりしないと思うけど?
ともあれエレイね、私はミナヅキソラ。こっち風だとソラ・ミナヅキかしら?」

エレイ > 「そうかまあ気が向いたら頼るべき。俺はこの国の地図は大体覚えてるし
実際にあちこち足を運んだからな案内ぐらいはチョロいこと」

断られれば素直に頷きつつも、ドヤ顔で自慢げにそう言って胸を張り。

「まああそこからこの国までかなり遠いからな。
──ン、そうだな。君もかなり可愛いしスタイルも中々良好っぽいので
ナンパしてみても良いかもしれん」

ナンパか、と言われれば悪戯っぽく笑い、すいと顔を近づけて見返してくる瞳を覗き込みながらそんな囁きを。

「失敬な……まあいい。ソラちゃんだな、よろしくだぜ。
で、どうするかね? もしナンパされてくれるなら、メシとか酒でもおごってやってもいいのだが」

謙虚という自称に突っ込まれれば唇を3の字にしてぶーたれつつ。
教えてもらった名前を復唱してから、笑みのままそんな提案を。

ソラ > 「どうしても困ったらそうさせて貰うかも。私はまだ地図が手放せないから。
地理を覚えてみたら私も歩き回ってみるのもいいかも」

ドヤ顔で胸を張る彼にその時はお願いするかもと笑みを見せ。

「遠い遠い、すごく遠いよ。だから今度は戻るのが大変なんだよね。
これでも無駄に育ってるからスタイルは良い方ね、
でもそういう話はパスするわ」

問いかけに悪戯っぽく笑う彼に胸の下で腕を組んで不敵に笑い。
近づき瞳を覗き込んでくる彼の額を指で突いていく。

「謙虚ならそこまでじろじろ見ないと思わない?
食事とお酒は魅力的だけど……どうしようかしら」

ぶーたれるのも気にせずに違う?と笑みを向けたまま。
提案には普通に悩んでしまう、奢られると一食は浮くのだからと…。

エレイ > 「おうその時はぜひ呼んでくれぃ。遠出はちと大変ではあるが結構楽しいぞ」

笑顔が見えればこちらもニッと笑い、ビシリとサムズアップ。

「ちぇー。しかし、その遠くまで君は何故わざわざ流れてきたんですかねぇ?
まああ俺もあまり人のことは言えないのだが……」

パスすると言われればまたブーたれて、額をつつかれ一旦顔を引っ込めつつ、
この国に来た理由を訊いてみて。

「謙虚だから見るだけで留めているとも言うぞ。
──依頼を探しているということは懐具合もあまりよろしくないのではないか?
なんなら一晩の宿の手配もつけてもいいぞ? 俺はちょうどさっき依頼を片付けて懐はあったかいからな」

こちらの提案に悩み始める彼女に、適当に懐具合を推測しながら畳み掛けてみる。
とはいえ、宿とまで言うと下心を気取られそうなものだが、はてさて。

ソラ > 「そうね、そういう仕事を受けると決めたらここで探してみるわ。
冒険者なんだからここに来ると会えるわね?」

本当にそんな気分になればここで彼を探すと口にして微笑み。

「それはいたってシンプルなのよ。乗る馬車を間違えてこっちに来ちゃっただけ……」

その遠くまで来た理由がまさに帰ろうとして馬車の乗り間違いを繰り返した結果。
まさに威張れる理由でないだけに眼を泳がせてしまい。

「私の国だとそもそも見るもしないけど?
………そ、そんな事はないのよ?ただ実入りが多くて直ぐに終わる仕事を探してただけだから。
一晩の宿も…?そ、その言葉に嘘はないの?言っとくけど食事とお酒だけなら付き合ってもいいけど?」

そこまで懐に余裕がある彼の言葉に気持ちが揺らぎ。
宿までと言われればその後もと考えるのが当たり前。
食事と酒だけならばと…欲に負けてしまう。

エレイ > 「うむ、遠出してなきゃちょくちょく顔出すから多分会えるし、なんならギルド員に伝言でもしておけばOKだ」

ノリ気な彼女に気を良くし、ウム、と笑顔で頷いて。

「えぇ……見事なシンプルさだと感心するがどこもおかしくはないな」

確かにシンプルだがあまりにもあんまりな理由を聞かされ、思わず呆れた声が漏れてしまう。
目を泳がす様子を見つつ、ドジっ子なのだろうか? と思ったがそこは敢えて口には出さなかった。

「あっちの国は謙虚なやつが実際多いからな。確かそういうのを──奥ゆかしい……って言うんだったかなそっちでは。
……ソラちゃんはなんちゅうか、わかりやすいすなあ。
俺は男だからなウソでそんな事は提案はしない。──よしじゃあ決まりだな、早速行こうず。
せっかくだからよソラちゃんの好きなだけ飲んで食っていいぞ」

露骨に気持ちが揺らいでいるのが解る彼女に眉下げてくつくつと笑いつつ。
こちらの下心に釘を差しながらも結局こちらの提案に乗った彼女に、ウキウキとして
そう言いながらごく当然のように片手を取り、一緒に出入り口へと向かおうと。

ソラ > 「伝言は苦手なのよね。でも見つけれなかったらそうしておくから」

あまり仕事を受ける身ではないがそれぐらいは大丈夫だろうと頷いて。

「大体国ごとに言葉が違うなんて面倒でしかたないのよ。覚えるのも毎回大変なんだから…」

呆れた声に言葉が違うのが悪いとそっち方面で言葉を荒げ。
つい言ってしまった隠しておきたかった恥を話してしまい恥ずかしそうにして。

「それは女性に使う言葉ね。男性に使うのは……何だったか忘れたわ。
え、私ってそんなにわかりやすい?
さっきの見てたのを知ってるからいまいち信用にし難いの。本当にいきなりね。
そんなに食べたり飲んだりしないから安心していいわ」

そんなにわかりやすい?と笑う彼を見て頬を赤くして。
下心にはくぎを刺し気をつけておけば大丈夫と、誘惑に負けて。
手を取られると少し慌ててしまうがそのまま一緒に出入り口へと。

エレイ > 「そうか? 言葉なんてその国にしばらく居たら自然と覚えるモンだと思うんだが。
それまではジェスチャーとかでだいたいイケるでしょう」

なんて経験豊富な旅人っぽい発言をしながらも、恥ずかしそうな彼女にニヤニヤして。

「中々好感が持てるレベルのわかりやすさだな。
善は急げと言うからな。それに物事ってのは全てがいきなりと言えなくもないべ。
──雨はまだ降ってるな。だがこの俺様に抜かりはない。
……そっちの傘はこんな感じだったな?」

赤い顔を見ながらいい笑顔で大きく頷き。
もっともらしいことをのたまいつつ、彼女とともに出入り口へ。
外の雨脚がまだ緩んでいないのを確認すると、おもむろに上着を脱ぎ。それを片手に、右耳のピアスをキン、と指で弾く。
すると上着がキュルキュルと音を立てて変形し、傘布の部分に赤いラインが入っている以外は
全て銀色、という奇妙な和傘が出現した。

「よし、じゃあ改めて出発だッ。濡れるといけないから、ちょいと失礼」

それを掲げ、断りを入れてからぐいっと彼女の腰を抱き寄せると雨の中、いわゆる相合傘で一緒に外へ──。

ソラ > 「勿論移動前に本を買ったり勉強したりするけど最初は通じないから大変よ。
それで何度か失敗してるのよね」

旅を経験はしているが路銀を稼いでは移動が多かっただけにそこまで言語を覚える事に時間は費やしていないと小さく告げて。

「それはそれで私が困りそうだから直さないと駄目ね。
それはそういうけどエレイは特に急ぎすぎって言われない?
……雨がやんでないと濡れるのが…少なくとも耳飾りが変わるなんてのはなかったわ」

これは早々に直さないと大変な事になりそうと直さないとと誓い。
間違ってはいないが急ぎすぎだと思うのは気のせいだろうかと。
外を見るとまだ続く雨に肩を落とし、ふと見れば上着を脱ぐ彼の姿。
何をするのかと思うと耳飾りを弾き、上着が変形して傘に。
見た目こそ和傘であるがそんな奇怪なものはなかったと。

「エレイは手が早いって言われるでしょ?」

流石の雨とはいえいきなりに抱き寄せられて驚きを隠せず。
相合傘になり雨の中へと。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」からエレイさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」からソラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にレイラさんが現れました。
レイラ > 小さな仕立て屋の店内の片隅で、これから寒くなる時期に着る自分用の洋服の
デザインを考えていた。

「これから寒くなりますものね、どのような上着にしようかしら」

自分が着るものなので、質素な色合いで質素なデザインでいいと考えていたので。
異性から見れば、とても地味でいろけもそっけもない上着が出来上がることだろう

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にエズラさんが現れました。
エズラ > 仕立て屋の扉が開く音がして、男が一人姿を現す。

「よっ、レイラちゃん――やってるかい」

男は小脇に布袋を抱えており、その中にはすり切れたり破れたりしたシャツや靴下がぎっしり詰まっている。
この仕立て屋の主人は年若いが、丁寧で確かな仕事をする――
そういうわけで、繕いの仕事はすべてここで請け負ってもらっていた。
そして――それとは別の理由も、あったけれど。

レイラ > 店内で、私用の用事をしていると扉の開くおとがして。
立ち上がり扉の近くまで行くと、それはよく見知った人で。

「あら、エズラさん。いらっしゃいませ。」

相手のそばにちかづいていくと、相手が小脇に抱えている布袋を受け取ろうと手を出して。
中身の見当は、ついているので。袋を受け取ったなら近くのつくろい場に持っていこうかと思っていた。

エズラ > 差し出された手に布袋を預けると、久しぶりに訪れた店内を見渡す。
小さな店舗ではあったが、主人同様美しく保たれており、ほこり一つない。
しばらくそうしていたが、先程まで主人が座っていた場所を見て。

「おっ……何か別の仕事をしてたのか?」

机の上にはデザイン帳と思しきもの。
新しい服を作ろうとしているのだろうか――

レイラ > 布袋を受け取って、店の片隅にあるつくろい場までもって行きふたたび相手のそばまで戻ってきて。

「自分用の上着をつくろうかとおもっていますの。春と夏と秋くらいの服しか持っていませんのよ。」

めぼしい服は、家族が消えてから全部お金に変えるべく売ってしまったため。
最低限の服しか持っていなかった。
もちろんそのときの服は、今とは違い飾りのついた煌びやかな服が多く、素材も上質だったために。
高く売れたのだが。

エズラ > 「なるほど……そろそろ寒くなってきたしな」

季節は秋から冬へと移ろいつつある。
それにしても、深い事情を聞いたことはなかったし、これからも無理に聞くつもりはなかったが、彼女の立ち居振る舞いや美貌は、明らかにこの場所に見合っていなかった。
たった一人で店を切り盛りする健気さには、常に敬いの念を懐いていた。
男はそれとなく相手の背中側へ回り込み――

「なあレイラちゃん……今日も泊まっていっていいかな――?」

そっと耳元へ囁きかけるのであった。

レイラ > 「ええ、突然冷え込んできたので驚いてしまいましたわ」

机の上に広げてあったデザイン帳をしまうと。
相手のほうへと、向き合って。
そして、背中側へと回り込んできた相手を目で追って。

「よろしいですわよ?でもエズラさん怒られたりしませんか?」

相手のとまっていってもいいかの言葉にほほ笑みつつうなづくが、冗談ぽく問いかけて

エズラ > そっと相手の肩を抱きながら、自分の身を寄せて。

「そいつぁ嬉しいな……ふふ、安心しろよ、オレはただのゴロツキさ――」

相手の冗談に付き合うように、そう告げて――
しばらく後、仕立て屋の灯が落ちる――

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からエズラさんが去りました。
レイラ > 「ごろつきなのですか?それにしてはおやさしいわ?」

相手とともに、店の奥に消えていって

ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からレイラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」にソラさんが現れました。
ソラ > ちょっとした縁で宿をとることになった酒場兼の宿。
部屋で荷物の確認を終えて寛いでいたのだが少しだけ小腹が空き酒場へと下りてくることに。

賑わう店内を眺めてカウンターに席を見つければ真っすぐにそこへと向かい腰を下ろし。
軽いつまみと酒を注文して早速に口をつける。

その動きは非常にゆっくりで軽いつまみを味わう様に食べて酒を飲む。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「ふーい……」

くきくきと首を鳴らしつつ酒場に足を踏み入れる金髪の男が一人。
ちょっとした理由で本日二度目の入店になるが、別段気にはしない。

「さーて、ちょいと小腹を満たすとしまひょ。席は……あんれ」

適当に席を探すべく周囲に視線を巡らせれば、カウンター席に見覚えのある姿。
テーブル席の合間を縫い、すたすたと歩み寄っていって。

「──おうソラちゃん。まだおやすみの時間ではないのかね?」

緩やかな動作で酒とつまみを口に運ぶ少女の名を後ろから呼びかけながら、笑顔を浮かべつつ隣の席に腰を下ろし。

ソラ > このつまみと酒でも持っているお金がほとんどなくなるだけに食べる速度は本当にゆっくり。
周囲の客や店主に不審に思われるのも何のそのと気にせずに。

こうして味わって食べれば旅の空の合間の食べ物に困った時をふと思い出しほろりとしてしまい。
しかしすぐにそんなことを思い出すよりもと酒に口をつけていたが。

「ひゃ!エ、エエエエエレイ?奇遇ね、戻ってきたの?」

人が近づいてくるのは感じていたが場所が場所だけに全く気にしていなく。
その近づく気配の主が今夜の宿を用意してくれた彼と判れば流石に一日にどの出会いに慌ててしまい。
隣に座ったのを見て今ここにいる理由、夜食を食べに来たことを告げる。

エレイ > 「うむちくと小腹がすいたのでな、馴染みの酒場に立ち寄ってしまうの当然のことだった。
もっかいソラちゃんと顔合わすことになるとは俺様も予想外だったがなッ」

彼女の慌てた声と様子にケタケタと笑いながら、とりあえずマスターに適当に肉料理を注文する。
料理を待つ間、彼女が此処にいる理由を聞けばふむふむと頷き。

「見事な偶然だと感心するがどこもおかしくはないな。
ンフフ、だけどまあ……こうして再びソラちゃんの顔を見てしまうと
今日は諦めると言ったのはやっぱ撤回したくなっちゃうなあ。
──ソラちゃんはどう? 時間を置いて多少は心変わりとかしてくれちゃったりとかしたかな?」

頬杖突いて彼女の顔を覗き込みながら、楽しげにそんな事をのたまい。
フフリと笑いつつ、彼女の方にもそんな事を問うてみたり。

ソラ > 「ここが馴染みの店だったの。どうりで慣れてると思った。
私もまさか会うなんて思ってなかった」

笑う彼の姿に情けない姿をまた見られたと顔を背け、肉料理と聞くと一瞬だけ反応を見せる。
そして理由を簡潔に告げて酒を口に運び。

「一日で二度会うとその偶然も必然って事?
……さっき少しは謙虚なって信じかけてたのに…今それを言うの。
このソラ、安売りはしていないわ」

顔を覗き込んで楽し気に告げる彼を見て胸を張ってないと告げ。
実の所明日からは急いで仕事を探す身分になっているがそれを隠す見栄でしかない。

エレイ > 「よく知らん店をオススメするわけがないという理屈で最初から馴染みの店である確率は100%だった。
……ソラちゃんもつまむ?」

ドヤ顔で言っているうちに運ばれてくる肉料理。
彼女の一瞬の反応を見ていたのかそうでないのか──ともかく彼女にもつまむよう笑顔で勧めてみた。

「……やはりキミはわかりやすいのぅ。
ってゆーか、それだと安くなければいい、というふうにも聞こえるが?
条件があるなら一応言ってみ?」

見栄だというのがバレバレな胸を張る仕草に、眉下げて笑いながらそんな返答。
そして彼女の言葉尻を取り、ニヤニヤしながら更に問いを連ね。

ソラ > 「……考えればそうね。食事と酒に引かれてうっかりしてたわ。
良いのなら一つだけ……」

普通は考えればわかる事だがそれが思いつかな程に食事と酒に引かれていたことに肩を落とし。
勧められれば一つだけと手を伸ばす。

「私は判りやすくなんてないわよ。
そ、そんな訳ないでしょ。体を売るほどまだ落ちてないんだから。
条件?条件って言っても……」

まさか見栄が見破られた?と彼を驚きの目で見てしまい。
条件と急に問われてもいきなりな事で何も浮かばず、条件を言ってしまえばその後は…と言う事に気が付かないで。

エレイ > 「ワハハハ……で、どうかね? 部屋はゆっくり寛げそうかな?
一つと言わず食えるだけ食っていいぞ」

肉料理は小腹を満たす、と言う割にはやたら大盛りであり、彼女が多少つまんだぐらいでは
さほど変わらない程度の量をしていた。
彼女が手をのばすのを見れば、自分も口に運びモシャモシャと食い始め。

「俺様としても別にソラちゃんを金で買いたいワケじゃないが、
キミには理由(いいわけ)の一つ二つ用意しないと素直に頷いてくれそうもないからのぅ。
どうするー? 特に無いなら俺様の方で適当に決めちゃうんだが?」

驚きの目を向けられてキシシ、と笑いながら、暗に彼女が素直な性格じゃない、という旨の発言をしたり。
迷っている様子をみれば、笑みのまま彼女がどう応えるにしろそっちの方向へ持っていくよう畳み掛けてみて。

ソラ > 「部屋は凄くいい部屋よ。高かったんじゃないの?
そんなに食べたらエレイの分がなくなるから」

だから一つでいいと言いながらも大盛な量を見れば誘惑に負けても一つと。
肉を口に頬張れば自然と頬が緩んで。

「お金で買いたいなら色町で芸者を買うといいわ、私よりもそっちの方が楽しめるから。
そ、それは……私は身持ちが固いの。
どうするって言われても…そんなに急に言われても浮かばないんだから…え、えっと…」

完全にペースを乱されて彼の言う言葉に目を丸くしたり顔を赤くしたりと忙しなく表情が変わり。
畳みかける様な追撃にどうすればと半ばパニックの様に手を振って。

エレイ > 「気に入ってもらえたようで何よりです。オススメした手前ダメでしたではガックリだからな。
何、ここはメシも宿も質がいい割に意外と良心的な価格だからな、心配はいらにい。
むしろ俺のぶんは俺がカカッと消費している最中だから食わないとすぐなくなるぞ」

更に一つつまんでは表情を緩ませるのが見えれば、こちらも笑みを深めつつ。
男の言葉通り、のんびりした様子に比して男の食べるペースは早く、既に半分がなくなっていた。

「確かにガードはちょっと固めではあるかなー。
──フフ、時間切れー。まあなんだ、ソラちゃんがさしあたり欲しいのは
仕事とカネでしょう? なので俺が早めになんかいい仕事を確保しておくので
それを一緒に片付ける。で、報酬はキミの全取りって」

表情をあれこれと変えてゆく様子を面白そうにニヤニヤと眺めつつ。
彼女の返答を待ってみたがすぐには出てこないようなので勝手に時間切れを宣告。
そして彼女の懐事情とかを鑑みて軽く思案した後、ぴ、と指差しながらそんな提案を。

ソラ > 「あんなにいい寝床で寝れるのは久しぶり。本当に良い所を紹介してくれて感謝してる。
さっきの食事も思ったけどご飯が美味しいのは良い事ね。
そ、それなら…後で文句は聞かないから」

肉の味に頬を綻ばせて食べていると彼の視線に気が付き頬が赤くなり。
あっという間に半分がなくなっていれば流石にもったいないと食べるペースが上がる。

「私の国では女の子は安くないの。
え、ちょ、ちょっと早すぎだから!
そ、そうだけどなんでわかったの?
それは助かるけどエレイに全くうまみがなくて大変なだけじゃない」

彼が笑っているのが判るが一度慌てれば中々に落ち着けず。
ようやく落ち着けだしたことに告げられた時間切れにえ?と顔をして。
そして告げられら提案にそれは流石に彼が大変なだけで得がないと聞き返して。