2017/06/02 のログ
■カルニーツォ > 夕闇の迫る中、扉を開けて店の前に置いたのはブラックボードの立て看板。
そこに書かれているのはあまり上手いとは言いがたいが、必死に色使いや言葉遣いを考えて書いたであろうことが伝わってくる本日のおすすめメニュー。
『本日のオススメ:
「ニガヨモギロールとペパーミントティーセット
ニガヨモギの苦みを包み込む濃厚生クリーム。
生クリームの後味をすっきりとさせるペパーミントティーとともにお楽しみください』
店の前のランプに火を入れるとそのまま店の中に入り、欠伸を噛み殺しつつカウンターへと入る。
カウンターに五席と2人がけのテーブル席が二組。それだけの小さな店。店の造りも古く、すすけた梁や柱が過ぎ去った年月を感じさせる。それでもこぎれいには手入れされており、不快感を感じることはないであろう。店主の態度を除いては。
「フワァァァ...ついつい、勢いで店を開いたものの、誰もきませんねぇ...」
しばらく、この街に腰を下ろすことを決め、居場所を物色していたところ見つけたのがこの店舗兼用の小さな家。元々、老人が一人で喫茶店のようなものを営んでいたらしいが、先日逝去。身寄りもないため、町が処分しようと売りに出したものを格安で手に入れたのである。
さらに長年染みついてきた貧乏性故か、せっかく内装まで揃っている店を放っておくのももったいないと、勢いで薬店兼喫茶店として開いたものの、店を開いた経験もないものには商売は難しく、閑古鳥が鳴き続けている状態。
ついには、小腹を満たすのに店の商品を摘まみつつ、暇つぶしに本を読む日々を送ることに。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にベルフェゴールさんが現れました。
■ベルフェゴール > 『………。』
(ふよふよと浮いて移動する幼女に足音はない。例えば本を読んでいたりすると、いつの間にか。席に腰掛けている幼女が居る。そんなことになるかもしれない)
『……………。』
(席について店の前のブラックボードの看板は見たけれど、他のメニューは無いのだろうかと視線を巡らせて。一瞬寝落ちしかけてから。口を開くまで。およそ1分ほどかかった。)
『……本日のおすすめ……ひとつ……。』
(そんなに大きくもない声で。視線は柱の樹の木目をジィッと見ていたりする)
■カルニーツォ > 「ふわぁぁ...いっそのこと、どっかの誰かが美人の店番オートマタでも格安で売ってくれないですかねぇ?」
商品のロールケーキを口に放り込むと、それをコーヒーで流し込んでは、ページをめくる。その繰り返しをしているところに突然聞こえる注文の声。
面倒くさそうに本から視線を上げると、ちょこんと目の前に座っている幼女に気が付く。サッと値踏みするかのように相手の全身に視線を走らせ、鼻を鳴らす。そしてゆっくりと立ち上がると、カウンター下の冷気の魔法を掛けた箱から濃い緑色のロールケーキをとりだし、さらにそこへホイップクリームをたっぷりと乗せる。続けて硝子製のティーポットに背後の薬棚から取り出した乾燥したペパーミントの葉を入れると、カウンターの背後で沸き続けているポットの湯を注ぐ。
「...一応、人間向けに味は作ってありますから、貴女のお口に合うかどうかは保証できませんよ?」
そう一言添えて、お茶とケーキを差し出すと、また椅子に腰掛けコーヒーを飲みつつ、無遠慮に少女の姿を見つめ続ける。
■ベルフェゴール > 『……君は違うみたいな言い方……』
(人間でないと暗に言われたのは理解しているけど、そこはあまり気にしてはいない。相手が人でも魔でもどちらでも良い。問題は、目の前のロールケーキだ。ジィッと見る事。十数秒。おもむろに長い袖から右手を出し。フォークを掴めば。生クリームを付けたロールケーキを一口分切り取り、口に運ぶ。咀嚼もゆっくり。)
『………斬新……』
(ポツリと呟いて)
『毒属性の魔族向け……。』
(ニンゲン向けに作っているとのことだが……酷い感想を述べつつ、ハーブティーのカップを両手で持って一口。)
■カルニーツォ > 相手の言葉にはムッとしたように目を細める。しかし、すぐに満面の笑みを浮かべて言葉を掛ける
「まぁ、確かにお子ちゃまには難しい味かも知れませんねぇ。芸術を愛した者達に愛されたアブサンを隠し味に入れましたからねぇ。あ、失礼しました。お茶にも甘みが必要でしたね」
また立ち上がると背後の棚から蜂蜜の入った小さな壺をとりだし、少女の目の前にやや乱暴に音を立てて置く。
「幻の岩ミツバチの巣から採集したという蜂蜜ですよ。滑らかなのに舌が痺れるほどの甘みを持つというものです。どうぞ遠慮なくたっぷり入れてくださいね?」
ニコニコと笑みを浮かべながらも目だけは射貫くようにじっと相手を見て。
■ベルフェゴール > 『ニガヨモギには……
幻覚や向精神作用があるとされるから人間向きじゃないかなって……。
まぁ、あんまり根拠はないみたいだからいいか……。
成分的にも、そんなに問題はないみたい……。』
(感想は、斬新と言った辺り、皮肉でもなくどうも褒めていたようだ。
フォークは割と進んでいる。お子様扱いには、むしろ「うん」と頷いた。
自覚はあるようだ。)
『甘いのに痺れる、これ如何に……。』
(そして全部入れた。ティースプーンでよく混ぜて)
『――――――――』
(一気に飲み干した)
『お代わり……』
(口元を袖でぬぐいつつ。ちなみに甘味に関してはものすごい大喰らいだ。普通の食事は、ある一定の者が作った食事しかとらないけれど、甘味にはとても寛容だった。)
■カルニーツォ > 「ム...」
相手の指摘には確かにと頷く。確かにこれでは客は来ないかと、溜息を漏らす。そうしている間に、本当に壺の中身を全てカップに入れようとする少女の姿に慌てて手を伸ばすが、すでに手遅れ。
「き、貴重な蜂蜜が...」
あの一壺のためにどれだけの代価を支払ったか。思い返すとまた溜息が盛大に漏れる。しかし、それ以上に驚いたのは相手の様子。人によっては歯が溶けていくような甘さとまで形容する蜂蜜をお茶に入れ...というよりは蜂蜜にお茶を垂らしたものを飲み干して平然としている姿に呆然とする。
「さすがにお代わりは...いや、これならいかがです?」
こうなれば実験台になってもらおうと、引っ張り出してきたのは琥珀色の水飴の入ったガラス瓶。中に入っているのは貴重な蔓植物の茎を煎じて煮詰めたもの。甘みだけなら先ほどの蜂蜜には劣るが、カロリーが低いために一部の女性受けが狙えるのではないかと最近、調合したもの。それをスプーンと一緒に瓶ごと相手に差し出す。
■ベルフェゴール > 『まず、苦いって言葉が入ってる時点でビミョーだよね。
商品のネーミングは大事。』
(何やら急に饒舌になった。口うるさいフードコーディネーター)
『おかわりないの?……』
(がっかりした様子。どうもある程度の糖分を補給していないと起きていられないらしい。大の甘党である。けれど代用品を頂ければ嬉しそうにスプーンを受け取って1すくい)
『察するに、植物の何かしらを煎じて煮詰めた天然の甘味料ってとこかな?』
(別に魔力も何も使っていないくせに、目と鼻だけでそんなことを言う、実の所とってもグルメさん。ヒョイパクヒョイパクとスプーンが進む。因みにロールケーキはとっくに無くなっている。)
『………(ずっ、ずずずずずずずず)…………はふ♡……』
(最後は結局同じ。両手で持ったガラス瓶の中身を一気に飲み干して、とっても幸せそうな顔になっていた。)
■カルニーツォ > 「ムゥゥ...ネーミングですか...」
指摘されれば確かにその通りとまた頷いては溜息を漏らす。しかしその溜息も相手の食べっぷりに開いた口がふさがらない状態に。
「...昔、カレーは飲み物という名言を残した有名なグルマンがいたそうですが...まさか甘味料として使おうとしていた水飴をそのまま飲み干すとは...」
再び、材料費を思い起こしてがっくりと肩を落とす。そして肩をふるわせ、口元から聞こえてくるのは不気味な笑い声。
「フフフフフ...分かりました、分かりましたよ。こうなれば、私も意地です...あなたにもう食べられないと言わせて見せましょう...白い悪魔と言われたあの試作品を投入しましょう...」
ニヤリと笑うと、一旦店の奥に引っ込み、持ってきたのは人の頭がすっぽり入るくらいの巨大な硝子製の丸い容器。
「準備に少々時間がかかりますから、少々お待ちを」
軽く頭を下げると、素早い動きで調理をはじめる。そこへ敷き詰めたのは乾燥させることで甘みを凝縮させた葡萄の実。その上からモモのペーストを流し込む。さらにその上には生クリームと砂糖と卵を混ぜた氷菓を敷き詰め、そこに国内一の甘さと唄われる苺を隙間なく敷き詰める。その上に蜂蜜を苺が完全に隠れるまで流し込み、その上には先ほどの氷菓に南洋の木の実からとれる焦げ茶色のペーストに大量の砂糖を練り込んだものを混ぜ合わせた氷菓を押し込むように差し入れる。さらにその上にはバナナスライスと焦げ茶色のペーストを交互に隙間なく敷き詰めていく。そして容器の縁まで達すると、生クリームを高さの限界までのせ、その上から黄色い蜂蜜をたっぷりと掛け、青く染色した粉砂糖をその上から振りかける。
「フフフ...これでどうですか?」
顔を真っ赤にして容器を持ち上げると、ぷるぷる震えながら、ようやくカウンターに乗せると、腰に手を当てて、少女を自慢げに見下ろす。
■ベルフェゴール > 『簡単なとこなら、グリーンロールとかアブサンロールだったら。
どんなものが出てくるんだろう?ってついつい食べに来ちゃうよね。
ボクとか、緑色好きだし』
(何度か自分で頷きつつ。見ての通り、好きな色は緑色だ。)
『…………ん?うん……悪魔?………』
(話のテンポがやたら遅い少女は。「少々お待ちを」と言われると素直に待つことになる。店主がせっせと巨大スイーツを作成しているころ、ぼーっとした様子で、テーブルの木目を見ていた。)
『………ぅぅん……もう食べられない……zzz……スピー……』
(どうですかの頃は、すでにテーブルに突っ伏して、涎を垂らして幸せそうに寝ていた。待っている間に眠くなったらしい)
■カルニーツォ > 「チョッ、何を寝ているんですか?早く食べないと溶けてしまうではありませんか」
慌ててカウンターからでると、首根っこを掴んで身体を無理矢理起こすと、ペシペシと平手で軽く両頬を叩く。それでも起きる様子が見られないと、少女の鼻を摘まみ、口を開かせる。そしてその瞬間に、蜂蜜と砂糖がたっぷりとかかった生クリームを一掬い、スプーンですくい取ると少女の口の中に突っ込む。
そして鼻から手を離すと、スプーンを抜き取り、じっと少女の彼の様子を覗う。
「クッ、これでも眠気を晴らすまでは至りませんか...」
■ベルフェゴール > 『……ぅぅん……やだ♡……そんな乱暴なの……ぁぅ……ん♪』
(一連の色々されている間の寝言である。やけに色っぽく、ちょっと笑みも浮かべていた。スプーンが抜き取られると、もぐもぐと咀嚼だけはして生クリームを飲み込んで。それから目が開いた。)
『ぁ……れ?……今ちょっとえっちなこと……してた?
駄目だよ?セクハラ……。』
(袖に隠れた両手で頬を押さえつつ、赤らんだ顔で店主を見る。あと口の端にはクリームが付いている)
『それなに?……大きいね?……君のごはん?』
(あと、そのデカい甘味は食べたい気分らしく、興味をそそられている)
■カルニーツォ > 「だ、誰がセクハラですか。私が本気でしたら、セクハラ程度で終えるような真似はしませんよ...我が媚薬と淫具の奴隷となって頂き...って、違うでしょ。ですから、貴女用に試作品のスイーツを作成したんですよ。」
少女の言葉に青筋を浮かべたが、すぐに持ち直し、自慢げにスイーツを指さす。
「ククク、サァ、ご覧なさい。赤・青・黄色で彩られた、試作番号78、白い悪魔を!さすがにあなたにも耐えられないでしょう、この甘味の粋を尽くしたこいつには。...いえいえ。私のものではありませんよ。これはあなたのために準備したものですよ。この威容に臆せぬのならば挑戦してご覧なさい」
そういうと少女に向けて、スプーンを差し出す。
■ベルフェゴール > 『へぇ~♪……視索番号78……幾つまであるの?……』
(巨大スイーツが自分の分だと知ると、表情が薄いながらも目を輝かせた。
ほぼ同時に、少女の両サイドに2体のゴーレムが転送される。通称ヒトガタと呼んでいる、人間サイズの機械人形だ。それぞれ大き目の銀のスプーンを手に持っている。)
『ぁむ……にしても…・…むぐ……あれだね……君……良い人だね……。』
(自分は口を開けて咀嚼をするだけ、合間合間に喋っているけれど。ゴーレムたちが交互に口にスイーツを運んでいくため、食べるスピードは、とても早い。無くなるまで、5分ほどしかかからなかった)
『いい人だから、せくはらくらいは許すね?……お名前は?
ボクは、ベルフェゴール。……あと、お茶。』
(流石に、満腹になったようで、お腹を擦りつつ、満足顔)
■カルニーツォ > 「いくつまでって、現状121まで...って...」
自慢げに話し始めたところに表れた2体のゴーレム。最低限の防御用の結界が張ってあるはずなのにと、目を瞬かせる。
いったい何をするのかと身構えたところに始めた作業は少女にスイーツを食べさせること。そのあまりのギャップに思わず腰が抜け、椅子に座り込む。
「ここまで怠惰な人間...いや、魔物を含めて存在は見たことがないですよ...それに大食らいなものも...」
ぼやく間にもなくなっていく巨大スイーツに呟くように言葉を漏らす。
「ですから、セクハラなぞしていないと行っているでしょう?冤罪ですよ。...名前ですか?カルニーツォと申します。お見知りおきを...って、お茶ですね?ハイハイ、少々お待ちを...」
完全に食べ尽くした様子にがっくりと肩を落としながらもカウンターにもどり、木の実のペーストをホットミルクでかろうじて流れるかという位の濃度に薄めたものを作って、少女の目の前に置く。
「一応、念のため申し上げますが、ここはあなたの神殿では泣く、私の店だということをお忘れなく」
ようやく立ち直ったのか、背筋を伸ばすと、エプロンのポケットから伝票とペンを取り出し、サラサラと請求書を作り始める。そして、少女の目の前に出された請求書に書かれた金額は家が一軒買えるくらいの金額で。
■ベルフェゴール > 『ボクは、怠惰っていう概念を背負ってるから……。
けど、最初の方は自分で食べてたでしょ?
ボク、美味しいモノしか自分で食べないから……君の作るモノが
美味だってことだよ。……』
(口元をテキパキと拭うゴーレム。擦っているお腹はそんなに膨らんでない。出されたホットミルクもゴーレムが飲ませている。お腹いっぱいなので動きたくないらしい。)
『うん、これも中々。……んじゃ、カーちゃん……。
ボクはこっちの国の貨幣はそんなに持ち合わせていないんだけどさ……。』
(そこで、テーブルの上に転送術式の魔法陣が開き。ドンッと、革袋が落下してくる。高さがあまりなかったのでテーブルを破壊するほどではないけれど。重量感のある音)
『それに色々入ってるから……貰っといて。』
(革袋の。総重量は、ざっと見て20kgほど)
『ゴチソーサマ。今世紀中にはまた来るよ。……』
(そう告げるとほぼ同時。座っていた席から、転送されるように姿が描き消える。残されたのは、革袋だけ。)
(ちなみに、中身を間違えたので、革袋の中身は全部何やら得体の知れない金属だ。怠惰の魔王は、ゴーレム作りの為にレアメタルをたくさん持っている。その一つ。貴重と言えば貴重なのだけど、レア過ぎてそれにお金としての価値があるかは、微妙な所だった。とりあえず加工すれば良質なマジックアイテムとかができる。)
■カルニーツォ > 「ハハハ...なるほど。お褒めに与り、恐悦至極。」
相手の言葉に吹き出すと、胸に手を当てて大きく頭を下げる。
しかし、テーブルの上に落ちてきた皮袋の音に慌てて、袋を持ち上げてテーブルの様子を確認しようとする。
「っと、これはなんですか?...と、それより、テーブルは...「」
カウンターテーブルが無事なことを確認すると安堵の溜息を漏らす.
それもつかの間、別れを告げる少女の言葉に苦笑を漏らしながらも再び深々と頭を下げる.
「またのおいでをお待ちしております...しかし、私も人間時間にすっかり毒されましたかね?今世紀中という言葉に永遠にも似た長さを感じるとは...さて、この中身はなんでしょうね?金貨だとしたら多すぎますが...」
相手の姿が完全に消えると、皮袋の中身を確かめる。一瞬、落胆の色を見せるが、すぐに笑みを浮かべる.
「ガラクタの固まりとはダマされましたか...とはいえ、私の料理を好んでくれる存在もあるということが分かりましたし、もう少し続けてみますかねぇ...」
そう呟きながら、カウンターの奥へと放り込んだ皮袋。その中身に気づくのは魔導淫具を発注したときに特殊な材料を求められるときで。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からカルニーツォさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」からベルフェゴールさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にカルニーツォさんが現れました。
■カルニーツォ > 店内で色つきチョークを手に、一人看板代わりのブラックボードに向かい合う男。少し描いては消し、また少し描いては消しと先ほどからもう相当な時間、ボードに描く絵と格闘している
「ふむ...とりあえず、こんなところで試してみますか...」
ようやく納得がいったのか、ボードを見ながら満足げに頷く。そこに描かれているのはたっぷりのホイップクリームを乗せた濃い緑色のロールケーキと湯気の立ち上るカップの絵。そこに配下のような説明が添えられている.
『本日のオススメ:
深き緑の森の妖精の椅子淡雪添えと草薫る草原の風セット
スッキリとした苦みを包み込む、優しい甘み、それらを包み込む爽やかなお茶をお楽しみください』
昨日の客に触発されたのかかなり病んでいる表現となっているが、それには気づかず、自信ありげな笑みを浮かべながら看板を店の外に設置する.
■カルニーツォ > 店内に戻るとカウンターに入り、新たなデザート...というより薬品の調合をはじめる。背後の薬棚から取り出したのは女性向けの精力剤やら媚薬やらの類。それらを煎じたり、すりつぶしたりしては、蔓草からとった液体を煮詰めて作った水飴に入れ、湯煎をしながら混ぜ合わせていく。
薬を入れる度に初めは琥珀色だったそれが、透明になり、澄んだ赤色になりと次々と色が変わっていく。
「フム。これくらい硬くなればあとは冷やせば固まりそうですね...」
カウンターの下から星形やらハート型の型を取り出すと、そこへ作った飴を流し込んでいく。そのまましばらく冷まし、固まったのを確認すると、花柄のついた可愛らしい包装紙をとりだし、適当な大きさに切る。そして固まった飴を取り出すと、一つずつ丁寧に包んでいく。
「あとは実験台が必要ですか...」
大きなブランデーグラスに包んだ飴を入れると、小さなカードを取り出し『試食品:ご自由にお召し上がりください。是非ご感想を』と描いて一緒にカウンターに置く.