2016/08/03 のログ
セリオン > 「……最初からその姿で来てくれたのなら、もう少し上等のお酒を差し上げたのですがね」

手に持った、度数の強い酒瓶を、カウンターの角に打ちつける。
飲用物として適切なのかどうかも分からない度数の酒は、零れた端から揮発を始めた。
咽返る酒精の臭いの中、セリオンは漸く、カウンターから肘を放し、相手に正面から向き合った。

「魔族が、堂々と王都を歩く。これを以てノーシス主教は、形骸と化したと見て良いのでしょう。
 が――その後に続く教えは、いえ、先んじた正しい教えの一つさえ、この世には生まれてこなかった」

しかし、とセリオンは言い添えて、椅子から立つ。
軽く両足で跳ねて、踵を伸ばし――まるで今から、一走りでもするかのような動きだ。

「私は、この世界の堕落など、まるで望んでいないのですよ。
 真実、正義に満ちたこの世界は、これまで以上に美しい混沌の渦となるでしょう。それは決して、堕落ではない、昇華です。
 それに……単刀直入に、逆に聞きます。天に選ばれ、正しき者として生まれた私が、何故今から、他の何かに、力を恵まれねばならないと?」

視線を左右に走らせる。
倒れた人間の手足はどういう角度で広がっているか、財布は有るか、武器は有るか。
地上に足を着けて戦う女は、そういう要素を意識する段階に来たと、判断したのだ。

「誰かが、まるで道端に投げ捨てるように撒き散らす力を、這い蹲って拾い集めるのは、鼠の生き様でしょう。
 私は天に在る。天の如く雄大に、望む物を召し上げ、望まぬ物に雷霆を下すが、私の生き様です」

狂人は、どこまでも傲慢である。

「立場が逆ですよ、魔族。跪き、どうか力を受け取ってくれと懇願するなら、私は慈愛を以て検討をするでしょうがね」

力を与えたいというなら、受け取ってやらぬでもないが、願い方だ、と。
自分の存在の絶対性に、自分を根拠として適用する女の、堂々たる慢心ぶりであった。

アリュース > 「あらあら…」

戦闘態勢に入ったセリオンを見て、アリュースは考える。
どこまでも傲慢で…そしてある種の高貴さえ感じさせるこの狂人を説得するのは、とても困難のようだ。
無理やり力を押し付ける事も可能だが、スマートなやり方ではないだろう。
そして何より…。

「ふふふ、どうやら…我々が手を貸さなくても、あなたは甘美な混沌をこの王都に齎してくれるようですね にゅふふ」

アリュースにはある種の確信があった。
…この女なら、我が主が望む混沌を引き起こす事ができるだろう。
ならば、泳がせておけばいい。事の成り行きを見守るだけでいい。
それだけで、やがて王都は彼女の快楽に包まれ、昇華…とやらをするのだろう。
まるで身体に眠る一粒のがん細胞のように。

「私の不遜なる行いを、どうかお許し下さい。教祖様 にゅふふふっ」
地上に脚をつけて、セリオンに非礼を詫びる。

セリオン > 狂人は、他者の道理で揺らがぬ芯を持つ故に、狂人なのだ。
その思想が、世間一般に言う正道と合致した時、その狂人は英雄になるのだろうが――
この女は、決して正道と相容れぬ思想を、恐らくは死ぬまで抱き続ける。
それも、人のままで。

「気が向けば、貴女だろうが、貴女の主であろうが、力を奪って差し上げます。
 然し、それでも私は人。天の被造物でありながら、もっとも天に近い存在。
 魔と化すことも、聖と化すことも、同様にありえないことですよ」

唯我独尊――女は、自分に詫びる相手を、それが当然であると言うように見下ろした。
それで、満足気に見えた。
だが、周囲を見渡した時、自分の素であるラック・クラックの、心地良い喧噪が途絶えていることを思い出す。
眠らされているだけだとは知っている。が、彼らは自分専用の楽隊である。
その楽を途切れさせた相手、アリュースを――

「いいえ、赦しません」

――代わりの楽器に、なるか、ならぬか。
何時もの微笑を取り戻したセリオンは、カウンターに置いたままの小瓶の蓋を全て空けた。
先の、緑やら、黄色やら、桃色やらに加えて、血のような赤、寒々とした青、毒々しい紫、光を移さぬ黒、濁った白――
多種多様の薬瓶を、それがどの薬であるかも見ぬまま、幾つか掴み、

アリュースの顔へ、手を伸ばす。
届けばその口を抉じ開けさせ、口内へ、種類をどれと選ばず、小瓶の中身を流し込むだろう。
飲めば、どの様な効果が出るか。それはアリュースの運と、引き当てた薬によりけり、という所か。
一つ言えるのは、適量では無い、ということだ。
一瓶で、数人から数十人に対し用いるだけの薬。それを、相手が悪魔だということで、遠慮なく過分に注ぐつもりでいるのだ。

アリュース > 「あっ…」

不意に発揮されたセリオンの瞬発力に対応できず、アリュースは小瓶の薬を流し込まれる。
アリュースがいくら悪魔でも、適量でない毒を流し込まれれば、効果を発揮するようで。

「く、ふぅっ…」

アリュースの笑顔が崩れ、四肢から急速に力が抜けていくのを感じる。
やがて立つ事も侭ならなくなり、アリュースは地べたを這う事になる。
臀部を天井に突き出しながら、まるで犬のようなポーズで。
表情は引きつった笑顔を浮かべ、セリオンを見上げる。

「うふふ、ふ… やられちゃい、ました…ね?」

セリオン > 「私を、凡百の聖職者と同等に見た罰ですよ……ふふ」

這い蹲った獲物の背後に回る。
胸も尻も、滅多に見ぬ規格外の大きさ。鞭打ち、噛み付けば、さぞや楽しいことであろうが――

代わりに、臀部を覆う僅かの布に手を掛け、引き裂く。
露出される二つの孔、膣口と肛門の二つへ、それぞれ別種の瓶の口が押し当てられた。
何れも、酒瓶。後孔に差したものの方が、口が太く、中の酒の度数も強い。
アリュースが、尻を持ち上げた姿勢であるのを良いことに、セリオンは酒を、悪魔の体内へと注ぎ込む。
人間ならば、酔うどころか身体に危険を及ぼす酒量。魔族の強い肉体に、或る面では信頼を置いているのだ。

だが、そこまでだ。
媚毒が回った体が快楽を求めても、痺れた四肢では自慰に耽ることも出来ず。
二穴に酒瓶を突き刺した格好のまま――その内、意識を失った酒場の客達も目を覚ますだろうか。

「そーれ、一気、一気!」

酒場の男達が仲間を煽るように、セリオンは無邪気に両手を叩きながら、酒瓶の底を足で持ち上げる。

アリュース > 「ひあ、あぁあっっ…」

無抵抗のまま酒瓶を挿入され、甘い声を漏らしてしまうアリュース。
冷たい液体が腸と膣に流れ込んでいく感覚に身体を震わせながらも、常人ならば命取りになる度数のアルコールを直接体内に流し込まれれば、いくら悪魔でも唯ではすまない。

アリュースの顔や肌は忽ち上気してしまい、全身から珠のような汗が滲み始める。
それはとても淫猥な姿であり、ここまで来るとただの雌奴隷しかない。

「あ、あぁあっ… こ、こんなの… はあぁんっっ♪♪」

アリュースは先ほどよりも満面の笑みを浮かべ、身を捩りながら勃起した乳首を床に擦りつけ、なんとか火照りを抑えようとしている。
どうやら満更でもないようだ。

セリオン > 胸を床に擦り付け、快感を得ようとする目の前の悪魔。
これを、壊すも犯すも自由にして良いというのは、酷くそそられる状況ではあるが――

「生憎と今夜の私は、先約がありましてね。
 貴女のような無礼を働かず、私に傅き、その身の全てを捧げた、忠実な娘です。
 あの子をたんと、嬲ってやる約束がありますので――」

今宵はこれまでに、といいながら、セリオンは、アリュースの膣を埋める酒瓶を引き抜いた。
だが、その次の瞬間、アリュースは自分の膣口に、大きな質量が押し付けられるのを感じるだろう。
それは、両手を重ねて何本も束ねた指先だった。
それが、媚薬の効果があるのを良いことに、セリオンの体重を乗せ、みりみりと押し進められる。
アリュースの肉体が、受け入れるも拒むも意に介さぬように――
セリオンの両手は、拳二つを絡め合ったまま、アリュースの最奥、子宮口にまで、その指先を喰い込ませていた。
体ごと持ち上げるようなダブルフィストは、片道、たった一度の衝撃で終わり、腕の重さが逃げて行く。
首が動くのなら、倒れた周囲の者から服を剥ぎ取って行くセリオンの姿が見えるだろう。

「これ以上の責め苦が欲しいのならば……私の名を広めなさい。
 私の名が、淫蕩と陶酔の代名詞となるように。私の名を聴くだけで、達する者が生まれる程に。
 貴女が私の元へ導いた名が、十分な数になったなら、私も……貴女を奪う気になるかも知れませんから」

剥ぎ取った腕を即席のロープの代わりに、アリュースの右肘と右膝を、左肘と左膝を、縛り付ける。
M字に開脚したまま、前に倒れたかのような姿勢で、尻穴には酒瓶、膣穴はだらしなく開いたまま――
そんな姿にアリュースを貶めて、セリオンは、酒場を去って行く。
他の客は、夜の内には目を覚ますだろうか。
散々に注ぎ込まれた薬の効力は、何時、切れるだろうか。
それをセリオンは、見届ける気は無かった。やがて、誰かの口から伝聞で知らされるのが、楽しみでならなかった。

アリュース > 「くふぅううぅううっっ…!?!?「

まるで巨人の肉棒を捻じ込まれたような、腹が膨れてしまうような感覚がアリュースに襲い掛かる。
恍惚の表情で、それを受け入れていくアリュース…だが、

「あ、あ、あぁ…そんな…」

その刺激はすぐに、まるで一夜の夢だったかのように掻き消えた。
セリオンに両手、両足を縛られて、屈辱的な姿勢。
やがてセリオンが店を出て行き、誰も動くもののいない店内で、アリュースは笑いながら呟く。

「…ふふ、ふ… いいでしょう… 教祖、サマ…♪ 貴方の名前、王都中に… ひ、広めて差し上げましょう…。 その代わり… 王都に、こ、混沌を… うふ、うふふうふぅっっ…♪」

暗い店の中で、男達が起き上がるのを感じる。
…狂宴は始まったばかりだ…。

ご案内:「王都平民地区 酒場」からセリオンさんが去りました。
ご案内:「王都平民地区 酒場」からアリュースさんが去りました。