2016/03/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にフィンさんが現れました。
■フィン > 冒険者ギルドから出て、ため息一つ。
すっぽりと身体を覆うフード付きのマントに身を覆い、城門の方へと歩を進める。
少々怪しい格好なのは自覚があるが、あまり見られていい風貌ではない。
そもそも城門の中には用でもなければあまり近寄りたくないのだが――――。
以内の内容自体は単純な採取依頼。王都で入手しづらい、数種の真っ当な薬草類の納品。
納期には余裕があったはずなのだが、予定外の事態に巻き込まれて予定が狂った。
結果として納期には間に合ったものの、再収集だなんだと予定な手間を随分と食ってこの時間。
「――」
もう一度ため息。予定外の事態、その中身はあまり思い出したくない内容だ。
日用品の類を補充しておきたかったが後日、だろうか。
■フィン > 通りに面した酒場や食堂には灯りが灯っているが――寄る気が、起こらない。
露店か屋台でもあれば軽く食べるものでも買う、くらいだろうか。
城門はまだ、遠い。王都というだけあって広く発展している。
普通ならよいのであろうそれも、今は面倒くさいことこの上ないだけだ。
ご案内:「王都マグメール 平民地区2」にロレンスさんが現れました。
■ロレンス > 今日も人のふりをして王都の中をゆったりと歩きまわって散策をしていた。
騒々しい平民の世界も、荒々しくも旨い料理や酒、くだらなさが一層楽しく感じる見世物だのと、人間の世界を理解しつつも楽しんでいく。
適当にほつき歩いていると、少し喧騒から離れてしまったのだが、そこで奇妙な姿を見つける。
全身をマントに包み、フードで顔を隠した人影だ。
見た目から『見られも触れられたくもない』といった様子に、人間も変わった者がいるものだと悠長に思うだけだったのだが…どうみても怪しい彼女へ王都を巡回する甲冑姿の兵士達が寄って行くのが見えた。
『そこの奴、止まれ』と声をかけ、それから『何処に行くつもりだ?』だのと、疑いの気配満載の声を掛けるだろう。
(「人間同士ですら衝突があるのか、大変なものだ」)
魔族よりも人間のほうが血に飢えている様に見えれば滑稽で、思わず嘲笑の笑みを遠くから浮かべつつも夜の闇に溶けこむように身を潜めた。
怪しい輩と何か欲望を感じさせる兵士達、一悶着あるだろうと考えて高みの見物である。
■フィン > 「――」
何度目かの溜息。
耳の端で――此方に向かう騒々しい足音。一人ではなく、場所柄武装しているとなれば冒険者か衛兵か。
態々向かってくるということは、後者。目敏いのも居たものだ、と思う。
――撒いてしまおうかと一瞬思うが、揉め事を起こすのも面倒だった。
静止の声が聞こえる。渋々といった様子で立ち止まり。
「――いや、帰るだけだが。」
嘘は、言っていない。
体型を隠すマントの下から聞こえる声は女性のもの――となれば衛兵はどういう反応をするだろうか。
■ロレンス > (「…? ふむ、女か。確かにこの都は腐れ果ててるとはいえ、体を隠すほどのことではないと思うのだが」)
夜闇の中から見物を決め込んでいると、予想外にも聞こえたのは高い音色だった。
更に興味を感じさせられたのは彼だけでなく、彼女を呼び止めた兵士達もそうだ。
隠すほどに、隠されたものが見たくなっていく。
世に言うカリギュラ効果というものだが、それに踊らされる兵士達にニヤリとした笑みが張り付いていた。
『それだけなら何でそんな格好をする?』『怪しいやつだ、顔を見せろ』と、言葉を捲し立てながら彼女に正体を表すように迫る。
言葉での命令というだけではない、そう裏付けるように彼らは剣を抜いた。
『騒いでも逃げても無駄だぞ、すぐに応援が来るからな』と、自分たちの仲間は未だいると脅しかけるが、それは仮に彼らを殺しても、追手が現れるという意味合いでもある。
警備というお題目で強制力を振るう男達と彼女を交互に見やりつつも、影から影へと彼は移動していき、気配を闇の中に沈める。
大分近くなった場所、積み重なった木箱の影に溶け込みながら様子を眺め続ける。
■フィン > 「……」
往来のど真ん中で止められた所為でちらほらと足を止める人間も見て取れる。
酔っぱらったような性質の悪い絡み方は面倒くさい事この上なく――撒いた方が良かった、と思う。
とはいえ。立ち止まってしまった以上、指示を無下にすれば余計に面倒なのは火を見るよりも明らかなこと。
「このところは厄日が続く……此れで満足か。」
溜息しか出てこない。
フードを取れば整った顔立ち、褐色の肌。そして人間とは異なる、長い耳。
なまじ珍しい外見という自覚はあるだけに隠しているのだが――そういう道理を説いたところで無駄だろう。
■ロレンス > 通りを歩く人々が兵士の集まりを見ては、あぁ、またかと、関わるのは面倒だといった視線を投げかけては歩き出すものもいれば、野次馬となって足を止めるものもいる。
フードが落ちると、端正な顔立ちが目に映り、ほぅ と感嘆の声を小さくこぼす。
褐色の肌に長い耳こそ人とは違うが、そんなものは彼にとっては瑣末なことにしか感じられず、何故これほど美しいものを隠したのかと闇の中で首を傾げていた。
『…こいつは』『ふむ…』と、男達の言葉が一旦止んだのだが、それはほんの僅かの間だ。
示し合わせるようにアイコンタクトをした後、兵士は彼女を取り囲むように広がっていく。
『なるほど、だから隠していたのかお前は魔族の手下だな!』『王都に魔族を招き入れる下調べというやつか、命が惜しくばおとなしくしろ!』と、大声が響いた。
周りにいた人々も見慣れぬ褐色肌に、魔族だの、悪魔だのと驚きと怯えの混じった声を返してしまう。
これで彼女を好きにできる理由は揃った、兵士達は彼女を取り押さえようと近づいていく。
捕まれば両手を後ろ手に縛ろうとするだろう。
(「…いや、魔族ではないのだがな」)
同族ぐらい、魔力の気配やらで簡単にわかるが、彼女が発する気配はどちらかと言えばミレーの娘達によく似ている気がした。
少なからず、魔の気配ではないと思いつつも、まずは彼女の出方をこのまま様子見することにする。
■フィン > 「あぁ、もう。」
外見的に魔族と間違えられるのは今に始まった話でもないが、こ奴ら何処まで脳味噌が足りてないのか。
目線で合図を送るのはいいとして――万が一魔族だったらその間に死んでいるだろうに。
つまりはわかったうえでやっている、と言ったところか。
「否定は一応するが――濡れ衣を着せる、というなら自衛はするけれど、よろしい?」
さて、と衛兵を観察する。手練れか――と言われれば否定。こんな所で暇つぶしに絡むような練度であることだし。
隊長格に視線は向けつつ、穏便には済みそうにないな、とあきらめた様子。