2023/07/22 のログ
■ヴェルソート > 「うー…褒めてくれるのは嬉しいけど、頭お花畑みたいな結果にはなりたくねぇなぁ…。」
路地裏で一人でさみしそうに丸くなってたからウチくるか?って言って、買った。ちょうど懐が温かかったから、そんな偶然の流れが重なって今があって。
…いろいろ言い訳の言葉が浮かんだけれど…ぐっと飲み込み…ただ、危惧していることだけポツリと口にする。
言い訳を口にしても全部切り返される気しかしなかったのも、あるのだ。
「言ってたよ、覚えてるかは知らないけど…。
別に気にしないで好きにすれば良い、って言ったけどな。
義理堅いのは、認める、ちょっとおバカだけど…。」
そして、家族を褒められれば、萎れているのがだんだんとマシになっていくのだから、現金なものだ。
濃い目のメイクをされておもちゃにされる、そんな想像は容易にできるのは、経験があるからだ。
今度はこちらが「ひぇ」という番になってしまった、やだこわい。
ただこちらがぞんざいに返すと、あらぬところからキラーパスが飛んできた。
「ぐふっ!?…や、あのな、あれはその…無理だって。だってアレ、俺の前腕くらいあるんだもん。」
平気な面するのは流石に無理だって……と、思い出してブルっとしたのは、どういう意味かは語らない。
ただ、打って変わってジーゴの話になると…むしろ彼が何か眩しそうなものを見る目になるから…そしてその奥に揺らめく昏い光に…小さく、吐息を漏らし…にやりと、笑っておこう、引きずられて暗くならないように。
「はっは、俺の前だと大概ツンツンしたワンコなんだけどなぁ。
まぁ、あの子がアンタの助けになってるってんなら…今後も冒険者の先輩としてよろしくしてやってくれな。」
しかし、そこから覗いた憤怒の感情に…ゆっくり、コルボの頭に手を伸ばそう、隻腕が…ぽふ、と今度は柔らかく、髪に触れて。
「アイツのために、そこまで怒ってくれて、ありがとうな。
…どうせだ、お礼代わりに一曲、聞いてくれるだろ?」
目に怒りを燃やすほどに想ってくれる友がいる、それはきっとかけがえのない事で…彼の思う友が己の家族なら、感謝するべきだろう。
奢りは彼、言葉は尽くした、頭を下げた……ならもう、己を使ってそれを示すしか、ないだろうと。
席を立って、舞台のようになっている段差にトン、と軽く弾みをつけて飛び乗る。シャンッ、と袖や裾についた羽根のような形をした楕円の金属片が触れ合い、打ち合って、涼やかな音がなると…視線が、こちらに向いた。
■コルボ > 「何遍も言うけど、俺は持ち上げたり褒めたりしねえよ。
情報屋がおべっか使って事実と情報捻じ曲げてどーすんだ」
どこぞの貴族のように、過不足なく事実を告げる、歯に布着せぬ物言いで肩を竦めさえして。
何より、何を言い訳したとて、貴方達が家族であることに変わりないのだから。
「バカなぐらいでちょうどいいんだよ。
逆にあいつが物事難しく考えるほうがよさがなくなるってもんだ。」
何も考えず、何も気にせずあるがままに生きてる。だからいいのだと。
しかし貴方が別の話題でうろたえればニヤニヤ笑って
「何を想像して震えてんだか。……姫が気に入ると思って相応の”対価”にセッティングしたの恩に着てくれよな」
あの対価を仕向けたのは己なのだと、貴方の願望を満たす一助を示唆して。
「んだな。こっちも頼らせてもらうよ。
ま、半人前だが、有望だからな。価値も分からねえ奴に好き勝手されんのが気に食わねえだけさ」
何かを変えてくれる、この国に風を吹かせてくれるかもしれない。
それは淀み腐敗が広がるこの国に必要なことで。
ただ、そこまでの大きな話は貴方にも件の家族にも告げることはなくて。
「ここで飲んでるみんな当てに歌うなら、いくらでも歓迎するよ、姫」
行ってきなよ、と酒場のステージを指して、笑いかけて
■ヴェルソート > 「わかってるから恥ずかしいんだろ、おべっか使う奴だって思ってたらもっと雑に流すっての!」
ぐぬぬ、と唸る男…歌を軽やかに歌い上げる舌はあれど、弁舌で目の前のカラスには勝てず…別に勝ち負けを競っているわけではないのだが。
「…まぁ、確かに…あいつが眼鏡かけてクイクイしてるの頭に浮かんじまった、無理。」
どう考えても似合わなくて眉根を寄せた…うん、無理。
確かに彼は本能的に…というとアレだが、直感で動く方が、結果的に色々と良い方向に転ぶ気はした。
しかし、一転して己の動揺にニマニマとする彼…そのネタ晴らしに
「やっぱお前か!全く同じ着替え用意してあるの見てアレ?って思ったけど…思ったけど!クソ、おかげでえらい夜だったよありがとな!?」
と礼を言ったのは半ばヤケクソだが…己の礼を周囲に流してしまうのは、ちょっとだけ許せない。ならとっておきを唄ってやろうと…舞台、というよりはちょっとした台の用意されたスペースに立って、注目を浴びせる。
「さてさて、今日はちょっと良いことがあったので、幸せの御裾分けになればこれ幸いにございます…これより歌いますは、時間からも記憶からも切り離された美しく奇妙な森の歌……ガラスの森をお聞きください。」
そう言って、腰のタクトを引き抜き、軽く振れば、幻影の楽器の音色が響く。
吐息を整え…口から零れる甘いテノールが…歌を紡ぎだす。
『Lai Lai Son went to glass forest(息子はガラスの森へ行ってしまった)
Lai Lai Mom she's sad(母さん彼女は悲しかろう)
Lai Lai Gray Glass Century plant(灰色ガラスのリュウゼツラン)
Lai Lai We'll be Mad(私たちは狂ってしまう)』
まるで童謡のようなリズムで紡ぎだされる歌声、澄んだ声自体がガラスのように…人の心に灰色のガラスでできた不思議な森を想起させる。
■コルボ > 歌姫の歌が、酒場に広がっていく様を見ながらエールを呷る。
どこかここではない光景を見せるような歌。
どこかに大事なものが失われ逝くような歌。
(姫は、知ってるはずはねえんだけどな)
奇しくも、己の中に永劫燻ぶる憎悪、その元凶に思いを馳せる。
これほどに沁みる歌を聞きながら、浮かべるは妄執である。
そのことに己の威容さを噛みしめて。
ご案内:「王都マグメール 平民地区の大衆酒場」からコルボさんが去りました。
■ヴェルソート > 【管理者】以下、楽曲の歌詞の著作権に触れる引用がありましたので、運営側で貸部分を削除いたしました。
『――――』
そして、その不思議な旋律の歌は静かに聞き入る聴衆と…店の外まで響いて……人の耳に、不思議な余韻を残すだろうか…。
ご案内:「王都マグメール 平民地区の大衆酒場」からヴェルソートさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にヤシュムさんが現れました。
■ヤシュム > ■
王都、昼
陽光を遮る曇り空、涼し気な風が吹いて過ごしやすい天候
しかし人が密集すれば熱気も高まるというもので今は暑い
今日も平民地区の広場では、犯罪者が見せしめに奴隷堕ちする光景が繰り広げられている
若い娘から壮年の男まで、一体何をしたのやら
罪状を読み上げる声の通りが悪い濁音は聞くに堪えがたく、何を言ってるのかわからない
ワザとか?と勘繰りたくもなるというもの
夕焼け色の鮮やかな波打つ長髪をてきとうに緩く結った男も、その光景を眺める群衆の中にいた
艶やかな翡翠色の、切れ長でやや垂れ気味の双眸が広い視野で眺めている
腹筋を出す短いノースリーブの黒のインナー
その上から羽織るようにきた裾がひらつく幾何学模様の白いボレロ
濃藍の生地に金刺繍の入ったサルエルパンツと、歩く度装飾がシャラシャラ控えめに鳴るサンダル
高い上背に見合う男の筋肉質な腕や腹など、戦いを生業としていそうだと予想させる屈強さ
それらがよく映える衣装ではあるが、その首には"店"のタグがついたチョーカーをしている
歓楽街に詳しい者なら娼館の名もぱっと出てくるだろう
男は暇を持て余して歩き回るとある店の男娼である
「…………ふうん」
ああやって奴隷にされてから、奴隷商が卸すわけかと顎に手を当てながら思考する
男なら働き手、見目が良ければ男娼、女ならほとんどが性奴隷というところか
この国に来てまだ日が浅いので、こういう光景を見るのは初めてだった
■ヤシュム > ■
この国には奴隷制度がある
労働奴隷もりうようだが、多くは性奴隷として扱われているというから驚きだった
元よりそうだったわけではないらしいが、今はそれを当たり前としている国の民に
疑問を問いかけたとして、得られるものに男はあまり興味がなかった
そもそもどう思っているかも人次第
少なくともこうして見せしめに奴隷の焼き印を入れられる様を娯楽としている者もいるかもしれないが
男としてはまあなんとも悪趣味で……という感想だった
「……腹減ったなぁ。誰か王都を優しく案内してくれないものか」
広場から踵を返して、人込みの中を抜けて歩き出す
シャラシャラと控えめで涼し気な音を鳴らしながら、広場から遠ざかって別の場所を歩いていく
あてなどなく、むしろここら辺に詳しい人がいれば案内を頼みたい、そんな気持ちだ
■ヤシュム > ■
雲が晴れて青空が覗く
遠くで陽光が雲の合間から光線の柱が地上に注ぐ天使の梯子に、男は髪を掻き揚げて空を仰ぐ
「いやしかし、暑いねぇ」
そんな風にぼやきながら、ふらりと何処かへと姿を消した
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からヤシュムさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区中央公園」にヴェルソートさんが現れました。
■ヴェルソート > 【管理者】以下、楽曲の歌詞の著作権に触れる引用がありましたので、運営側で貸部分を削除いたしました。
『――――』
日の暮れた公園、木々に囲まれ噴水の水が月明かりにきらめく道をぶらりぶらりと歩く隻腕の男。
昨夜、大衆酒場で披露した歌を口ずさんで歩く声は、耳から腰まで響くような、低く甘いテノールを響かせ…公園に立つ木々が一瞬、ガラスで出来ているような幻想を抱かせる。
『――――』
そして一転して、まるでガラスで出来たベルのように澄んだ高い声に切り替わる。
同じ人物が出した声とは思えないようなそれが、噴水の手前で立ち止まった男からリン…とまるで木々に反響させるように高らかに。
声に含まれる甘やかな魅惑の魔力が…聞いた人の足を留め、聴衆を増やしていく。
■ヴェルソート > 『――――』
同じメロディを繰り返し、繰り返し、重ねるように唄い上げ。
隻腕の男が軽く体をゆすると、袖や裾にぶら下がる羽根を模したような楕円系の銀色が、シャリン、とこすれあって音を立て、歌に彩と…肌が粟立つような艶を添える。
■ヴェルソート > 『――――』
韻を踏み、メロディを繰り返し、二度三度と歌い上げ…そして音が遠ざかるように、歌は終幕を迎えれば…いつの間にか集まった聴衆に頭を下げる。
そっと目の前に置いた箱に、投げ入れられる銅貨や銀貨に目を細め、再び一度頭を下げて。