2023/06/12 のログ
クリスティーヌ > 「っあ! うん、ティナです。うちのギルド使ってくれているんですね。」

 仕事の笑顔に切り替わりながら、男のことを思い出そうとしてがんばっている。なんだか、見たことがあるような気はするんだけど、背が高くて戦士タイプで頼りになりそうな人。騎士団の人。騎士団だったらときどき、へらへらしている人がきているけど、ちょっとタイプが違うからなぁ。

 夜、薄暗いなか、ケストレルの顔をはっきり認識できないで、少し興奮しているせいもあって、頼りになる戦士の人と思って胸の中はドキドキしてしまっている。

 「見たところ戦士の方だと思うから、こんどいい討伐系の仕事があったらとっておきますから受付に直接来てくださいね。それと名前を教えてもらっていいですか。」


 頬を赤らめながら仕事の顔とは変わった普段の笑顔で彼を見上げて、話しかける。

ケストレル > 「ああいえ、そこまでは……それに、別に名乗るほどの事もしてないんで……
 それより念のためギルドの近くまで送りますよ。 そこからは誰かと一緒に帰ってくださいね」

此方の顔が割れてないのであればこのまま通り掛かりの親切な騎士のままで居よう、そうしよう
このままこの場で別れたのでは、件の男がまた一人になった隙を見て狼藉に及ぶ可能性もあるからと、彼女をギルドへ向けて歩き出す様に促しつつ

「今夜はお仕事上がりですか? 災難な目に遭ったっすね、ティナさんお綺麗だから。夜道はもうちょっと気を付けた方が良いすよ……」

そんな風に雑談を交えつつ、結局最後まで名乗らずに彼女をギルドへと送っていく事だろう
その後持ち場を離れてたという事で騎士団の先輩方から散々に罵倒されるのは今は知る由もない

クリスティーヌ >  「ありがとうございます。これからは気を付けます。 名前おしえてくれないんですね。わかりました。」


 冒険者の人たちは結構自分から名乗ったり、功名心というか、目立ちたがり立ったりする人が多いから、目の前の戦士の評価を上げた。この人って結構鍛錬とかしてそうだし、自分の手柄にしないでまわりの人たちにも好かれたり信頼されるタイプなんだきっと。そう思うともう一度顔を忘れないようにじっと見ている。

 「じゃ、わたしの騎士さん。お願いしていいですか。わたしをギルドの寮まで送り届けてください。これ、クエスト依頼にしますから、明日お昼過ぎてギルドに来てもらえれば、ちゃんとクエストの料金も払いますからね。今夜はお願いします。」

 そういって、月明かりの中、彼の右手に抱き着いて、そのまま送ってもらいました。

 帰ったら日記にこのこと書いておこう。。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からクリスティーヌさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にクリスティーヌさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からクリスティーヌさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からケストレルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/魔導具店」にサウロさんが現れました。
サウロ > (王都の平民地区、冒険者ギルドも近い魔導具を専門に扱う店に、二人の男女がいた。
 自由騎士の印章が刻まれた白いジャケットを揃いで着て、片や鎧に剣盾を装備し、
 片やスカウトやレンジャーなどが纏う肩当てと胸当てが繋がる革鎧を身に着けている。)

『これとかどう?』

(黒髪を後頭部で一つに束ねた女性が、サウロにアミュレットを見せてくる。
 デザインとしては魔石を中心に、シンプルながら女性に好まれそうな意匠がこしらえられていた。
 同じ自由騎士であり、非戦闘員ながら目利きの利く仲間の彼女の選ぶものなら、性能としては間違いない筈。
 そこが魔導具店でなくアクセサリーショップなどであれば、年の近い男女の同僚がデートでもしているように見えるが。
 あくまで二人は仕事のついでだ。)

「ちょっと可愛すぎないか…?」
『つけるのは女の子のアンタなんだからいいでしょ。着飾りなさいよ、可愛いんだから』
「身を護るためのもので着飾ってどうするんだよ……」

(聞き耳を立てれば、意味が分からないおかしな会話をしているのがわかるかもしれない。
 しかし二人はいたって真面目である。
 非力な女性でも最低限身を護るための護身用魔導具を求めて、各店を回っているのだ。
 効果が強いものほど値が張るのは常であるが、女性向けというだけあってデザインも良いものが多い。
 仲間の女性はショッピング感覚で楽しんでいるようで、サウロははぁ、と息を吐く。)

サウロ > (二階も見てくるわね、と言って上階に上がっていく彼女を見送り、サウロは一階に展示される魔導具を見る。
 日常的なものから戦闘用のものまで、魔導技師たちによる技術の結晶。
 古い時代の魔導機械などから着想や素材を得て作られているものもあるようで、魔力のない者でも扱えるらしい。
 女性や子供が身を護るための装身具タイプのものは多く、効果や性能が書き添えられた板を見る。
 こういうものに頼らねば安全が約束されない、頼っても安全とは限らないというのがこの国の現状というのは、言葉にし難いものがある。)

「……学ぶことはまだまだ山積みだな」

(とは言え、戦う術を持たない者の戦い方というのも、学んでいかなくてはいけなくなった。
 戦う為に装備を整えるのは騎士も冒険者も変わらないだろう。
 これらの護身用魔導具は、そう言う人の為にあるのかもしれないと改めて実感する。)

ご案内:「王都マグメール 平民地区/魔導具店」にアレンシアさんが現れました。
アレンシア > 「こんにちは……ってあれ?」

お店に入ってきたアレンシア。適当な道具でもないかと半ば冷やかし程度ではあった。中にいるお客様を見てちょっと首を傾げ声をかけてみた。

「どなたかへの贈り物ですか?」

護身用の物を見て子供、という年にも見えなかったから彼女さんとか妹さんへの贈り物なのかななどと勝手に見当を付け気さくに話しかけるのであった。

サウロ > (他にもいくつかの魔導具の性能などを見ながら、他店にあった物と比較して真剣な表情で考え込む。
 そんな中で不意に声を掛けられれば振り向き、そこにいる学院の制服をきた女性徒に僅かに碧い目を瞬かせた。
 美しい黒髪に年若い少女性の残る整った顔立ち、ながらややアンバランスにも思える大きな胸元が自然と目に入ってしまい、
 失礼のない程度に目線を反らしつつ、微笑を浮かべながら応え。)

「いえ、まぁ……そうですね、妹……そう、妹へのものです」

(まさか自分用だと言うわけにもいかず、咄嗟に思いついた方便を伝える。
 「色々あって、迷っていまして」と少し困ったように眉尻を下げ、苦笑を浮かべて正直なところを告げてから、彼女に軽く首を傾げて見せて。)

「君は学院の生徒さんのようですが、君も何かを買い求めに?」

アレンシア > 「……?」

相手の反応に微かに戸惑った表情を浮かべるアレンシア。なんで言い淀んだのかな?と思ってしまうも他人様の事を詮索しても仕方が無いと思い直した。

「そうですか、私で良ければ多少は相談に乗れるかもですが」

迷っていると言われると少し近づいた、近づくとアレンシアが愛用している魔法による柑橘類の爽やかな香りがするであろう。

「あ、私ですか?出物を探しに。と言うと聞こえはいいですが半ば冷やかしですね」

きちんとした力量があればアレンシアが剣士としてもそれなりの腕であることはわかるだろう。少なくとも姿勢をきちんとする程度の体幹はあった。

「あ、アレンシアと申します。そうお呼び頂ければ」

生徒さんでは呼びにくかろうと自己紹介をして人懐っこい笑みを浮かべた。

サウロ > 「ありがとう、参考にさせて貰えると助かります」

(気さくに声をかけてくれたように、どうやら相談にも乗ってくれるという彼女に、サウロは微笑んで礼を言う。
 距離を縮めて隣に立つ彼女からは清涼な柑橘類の香水めいた香りがする。
 それが魔法であるという識別はサウロにはつけられないので、香水と判断しているが、
 おしゃれに気を遣うとか、可愛く着飾るとはそう言う面もあるのかと真面目に考えていた。
 同時に、体幹の良さを感じる。あまりじろじろと女性の体を見るわけにもいかないので、
 今の段階では詳細までは判断することはないだろう。)

「アレンシアさんですね。私は自由騎士団所属のサウロと言います」

(人懐っこい笑みにつられるようににこ、と穏やかな笑みを返して名乗りを返す。
 彼女に目的のものがあるわけではないのなら、少しばかり相談に乗って貰おうと。
 顎に手を当てて、事情────をいくらかの方便に置き換えつつ、説明する。)

「えー……妹なんですが、戦うことに不向きな、普通の子、ですね。
 けれど、まぁ、職業柄というか……ちょっと危険なところへ行くこともあるので。
 一先ずは、護身用に装身具を、と。
 例えば、戦えない女性が暴漢から逃げ切るには、どういうものが良いと思いますか?」

アレンシア > 「サウロ様ですね?よろしくお願いします」

礼儀正しくぺこりと頭を下げたもののサウロ様の要求を聞くと怪訝な表情を浮かべてしまった。

「えっと……普通の女の子が危険な所に護衛も無しに。ですか?それはもうちょっと詳しく伺わないと状況の想定が……」

生真面目なアレンシアはそう答えてしまい。護身にしても状況が想定できないと何とも言い難いし、そも普通の女の子をどういう状況に放り込む想定なのかがさっぱりわからなかった。

一般論として普通の女の子は危ないところに行っちゃ駄目。なのだがそういう答えを要求されているわけでも無いのだろうし。

サウロ > 「様なんてなくていいですよ、私もただの平民ですから」

(丁寧に敬称をつけて呼ぶ彼女に軽く首を振る。
 それが彼女のスタイルであるなら無理強いはしないが、様を付けられるような身分でもないのだから、
 気さくに声をかけてくれたように、気さくに応じて欲しいとは伝えよう。
 そして生真面目に考える彼女のさらなる説明の要求に、サウロは困ったように口元を覆う。
 一般論として、危険な場所に近づかない。当然のことだが、そう言うわけにもいかず。)

「そう……ですね、重要なお使いで路地裏を通らねばならない、とか……?」

(以前、路地裏で小さなエルフの友人と出会った時のことをふと思い出して。
 平民地区でも複雑に入り組んだ路地裏は、普通の少女にとっては十分に危険な場所だ。
 そこを通らなくてはいけない。それを前提として、暴漢に襲われた時、
 十中八九その少女では撃退など出来ないだろう、と。言っていて段々胸が痛くなってきた。)

アレンシア > 「ではサウロさん。でどうでしょう……で、お使いで路地裏ですか? そういう場合はその道具を買うお金で適当なギルドに依頼を出してしまえばいいかなとは。頻繁に起こるようでしたら流石に人を雇うことを考えられては?」

事情が分からないアレンシアはアレンシアなりの答えを出して。少女にそんなところに行かせるぐらいなら多少のお金を払ってお使いクエを出してしまえば済む話。駆け出しの冒険者はそういう仕事をして食べているのだから。と思うのだ。

その条件なら少女を無理に危険にさらす必要はない。という当然の判断が根底にあった。

「詮索する気はないのですが、何か他の事情でも?」

明らかに反応が変なのでそう聞いてみた。ちょっと条件が余りにおかしい気がするのだ。その程度の話ならサウロさんがその用事をしてしまえば済むはずの話で。

サウロ > 「それは、まぁ普通に考えたらそうなるんですが……。
 そうだな…日常生活の中で、暴漢に襲われた時の為の護身用に、と思って頂いたほうがいいかもしれません」

(彼女の回答はまさしく正論だ。どうにも事情の説明が難しい。
 そういう特別な事情で、というよりは、この国ならではの日常的に付きまとう女性への危険性から示唆した方がいいかと考え直す。
 日常生活なら常に護衛をつける、ということはないだろうから。
 そう考えていたところで、事情があるのではと問いかけられて、言葉を詰まらせる。)

「……少し、まぁ、特別な事情が」

(非常に言い難いことだし、そう簡単に信じられるような話でもない。
 ましてや行きずりの少女に伝えるにしても、非常に恥ずかしい話なので、言えないというのが正しいか。)

アレンシア > 「うーん……求められている返答とは違うのでしょうが、日常生活で妹さんをそんな危険にさらすのはやめられては?という答えになってしまいますよ」

事情がわからなさすぎて流石に困った顔になってしまうアレンシア。特別な事情があると言われると気分を切り替えた。

「言われた状況だけでお答えするなら、何か適当な攻撃魔法を込められたものが良いかなとは。筋力を増強させても無駄なんでしょうし暴漢の類が相手なら魔法抵抗力は無いでしょうから。眠りの魔法とか麻痺の魔法が無難なのかなとか」

女性の護身用として定番なものを口にした。

「後は女性とばれないように服装を工夫するとかでしょうか?体型的に大丈夫だと仮定しての話ですが」

アレンシア自身は胸が大きすぎて駄目という冗談のつもり。そういうことを言うと相手を意識させてしまうという程かっちりと身を守る必要は無くなっているそこそこ強い系な娘であった。

サウロ > (どうにも伝わらないなとなってしまうのは、前提で方便を使ってしまったせいだろうと反省する。
 真面目な彼女なりに、心配してくれているのだろうと。ある意味サウロの常識を疑われている可能性も否定しきれないが。
 かと言って、日常生活で常に襲われる危険があるわけでもないとサウロ自身は思っているのだが、
 仲間の女性陣は「マグメール王国なめんな」と口を揃えて言うのだ。
 サウロ自身も何度も襲われている女性を助けてきた経験から、護身用の装身具が必要不可欠だと思っている。
 そうしていくつか候補を上げてもらったものを思案する。)

「やはり相手を無力化するものの方が優先度は高いか……。
 服装については、しっかりとしたものを用意してあるので大丈夫ですよ」

(それらに絞った方がいいかと思いながら、彼女の言う通り普段の装備についての工夫はすでに構築済みだ。
 体型的に考えても問題はない。というところで二階から降りてきた仲間が「サウロ~」と呼ぶ。
 それに気づけば、彼女の顔を改めて見て微笑み。)

「相談に乗ってくれてありがとうございます、アレンシアさん。
 私はこれで。君も引き続き、買い物を楽しんでください」

(冷やかし、なんて彼女は言っていたけど、良い物が見つかりますようにという意味を込めて。
 丁寧に一礼した後、仲間の女性と共に会話をしながら、店を出ていっただろう──。)

ご案内:「王都マグメール 平民地区/魔導具店」からサウロさんが去りました。
アレンシア > 「いえいえ。お役に立てなくて済みません」

ぺこりと頭を下げるとアレンシアも店を出て。今日は少し疲れてしまったようですぐに学院に戻ったのだとか。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/魔導具店」からアレンシアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にトーベさんが現れました。
トーベ > 午後3時ごろの商店街。猥雑な通りの中に設けられた緑地には休憩用のベンチが設えられている。
出店で購入したココヤシの実を手に、長身の女がベンチの1つへと腰を下ろした。

「ふぃ~。配達業務・昼の部、無事終わったッスね」

慎ましやかな胸の前に抱えるは、空になったボディバッグ。昼飯の後に請け負った分の王都内の配達を今しがた完了したところ。
トーベはその健脚でもって街中を駆け回り、急ぎの荷物を届ける仕事をしている。
それは当然、疲れるし汗もかく厳しい仕事。夏の近づいてきたこの時期は尚更。
王都は海が近いことから湿度も高く、一度汗をかくと自然にはなかなか乾かない。
肌着はもちろんブラウスもズボンも汗を吸ってしっとりと湿り、日に焼けた肌もくまなく潤って艶めいている。
そんな身体にカリウム豊富なココナッツジュースは実に心地よく染み渡る。トーベは仕事終わりに飲むこれが大好きだ。
ライ麦茎のストローをぢゅーっと吸い、端の切られたココヤシから濃厚な果汁を吸い出して喉へと導いていく。

「むぅ。さすがに半日履きっぱなしだと靴の中もびしょびしょッスね。
 外で脱ぐのははしたないかもだけど……知らないッ! 我慢できないッスよ!」

ココヤシを左手で把持したまま、トーベはブーツの靴紐を右手で器用に解いていく。
革製のブーツを脱ぎ、汗を吸って重くなった靴下をも取り去る。
覆いを取り払われた足には、ちょうど靴下の形に日焼けの境界線が刻まれており、本来の白い肌があらわになる。
他の部位と同様にそこもまんべんなく汗に濡れていて、むわっ、と足指の間から酸っぱい香りの湯気が漂う。

「あ~~、気持ちいッス~~」

風に晒されれば、火照った足全体に気化熱の涼が駆け抜ける。普段通り家の玄関で靴を脱いだときには味わえない快感。
ベンチの上で生足を晒し、サラブレッドめいて引き締まった長い脚は軽く開き気味で。
人目もはばからず、トーベは全力でくつろぎ始める。湿った靴下は脱いだブーツの上に置いておいて。
十の足指をウニウニと蠢かせたり開閉したりしながら、蕩け顔でジュースをまた一口。

トーベ > 実1つ分のココナッツジュースを飲み干してしまえば、汗で失われた水分とミネラルが急速に身体に補充されていくのを感じる。
ここから追加の配達業務が入ってももう一走りは耐えられそうだ。
とはいえ休息は大事。空のココヤシを足元のブーツに並べて置くと、より深くベンチへと腰を落とす。

――ちなみに新しい仕事が『マレゾン・スウィフト・デリバリー』の店舗に入った場合、笛で合図がかかる。
犬笛めいて可聴域外の音を数kmの範囲に響かせる笛であり、トーベも『聴く』ことはできないが『感じる』ことはできる。
その呼び出しがかかるまでは自由時間だ。と言ってもこのまま日が落ちるまで自由時間となるケースのほうが多いが。

「ふあぁ……あ。おやつ食べたら眠くなって来たッスね。
 30分だけ。30分だけ、ここでお昼寝ェ……」

ひとつ大きなあくびをする乙女。朝から結構な距離を走り続けていたトーベの肉体にはかなりの乳酸が溜まっている。
ベンチに腰をおろして休息の体勢になってしまえば、疲労は睡魔となって襲いかかる。抗うことはできない。
ぐにゃり、しなやかな長身の肢体は粘土人形めいて脱力していって。目もトロンと伏せられていって。
大人が3人余裕をもって座れるサイズのベンチを2人分占有し、日焼け少女は肘掛けを枕に寝そべってしまう。
この道数年の仕事人間であるトーベ、30分と決めたら30分ほぼきっかりで目覚めるようにお昼寝ができる。

「……………………………………すぅ…………すぅ…………」

生足を投げ出したままで。唯一の貴重品である仕事カバンだけ大事に抱きかかえた体勢で。
トーベは道端のベンチにて寝息を立て始める。年頃の乙女にあるまじき無防備っぷりである。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にレザンさんが現れました。
レザン > 人里に積極的に出向いてはいたずらを繰り返す悪い妖精は、今日も王都の上空を偵察中。
ふと見下ろすと、いたずらしてくださいといわんばかりに、ベンチで寝ているうら若い少女の姿があるではないか。

「王都の人間ってよこしまな奴が多いからなあ~。さらわれたらどうするんだ!
 よおし、親切心を発揮して起こしてやるとするか!」

聴いているものは誰もいないというのにわざとらしくひとりごちると、急降下してぴょいんと露出したおなかの上に着地する。
小鳥サイズの妖精なので、重さはほとんどない。
ひとしきり小さな足の裏で、引き締まった腹部の筋肉の感触を踏みつけて堪能すると、
軽くステップを踏んで無防備にさらけ出されている生足のほうへと向かう。
敏感であろう足裏やつまさきをくすぐってやろうというのだ。

トーベ > 「んむぅ…………??」

疲労から早くも深い眠りへと落ちているトーベ。
お腹へと落ちてきた小さな生き物の重み、それがずけずけと柔肌を踏み荒らすこそばゆさに、訝しむような唸り声を上げる。
しかしそれだけでは目覚めるには至らない。
小人が歩いた跡を追うように手が伸びるが、無意識の反応ゆえに掻痒感の発生源を掴むことはできない。
そのまま脚へ向かうことも、あるいは途中でズボンに悪さをすることもできるだろう。
もっとも、それは汗でしとどに潤った肌の上で小人が滑って転んだりしなければだけれど。

「………ん、くぅ…………むにゃ………」

わずかに身じろぎ。ベンチから落ちない程度のささやかな抵抗。
じわりと全身から追加の汗がにじみ、乙女特有の甘酸っぱい香気を生暖かい初夏の大気に放つ。

レザン > 「ふふふ……うおっととっ!」

おなかのくぼみに出来た汗溜まりというぬかるみ。
そこでバランスを崩して、べしゃ、と仰向けに転んでしまう。
手をついて起き上がるが、口の中にまで汗が入り込んでしまった。
全身を包む甘酸っぱい香りに、めまいがしそうだ。

「うう……良く見りゃ汗だくじゃないか。
 だから休んでたのか……」

なんとか立ち上がったところで再び身動ぎされ、その拍子にまたべしゃ! と転ぶ。

「お、おのれ~!」

毒づくが、自分で勝手に転んでいるだけである。
汗で重たくなった身体を引きずってぴょんぴょんと飛び、初志貫徹とばかりにつま先へと降り立つ。

「はしたないぞ~お嬢さん! ほれほれ!」

手始めに爪の内側や指の股に手を突っ込んで、くにくにと指を蠢かせていじり始める。

トーベ > 走るのが仕事のトーベ。足指の爪はきちんと短く切られ、手入れされている。割れなどもみられない。
足の裏は靴下との間で日頃から磨かれ続けており、まるで赤ちゃんの肌のようにすべやかで柔らかい。
とはいえ、さすがに仕事直後の足である。お世辞にも清潔とはいえない。
指の間を潤す汗の香りは人によって、劣情を誘うものとも、鼻をつまみたくなるものとも感じられるだろう。

「ん、んっ………ぬぁ…………くすぐっ、たい……ッス…………」

我が物顔で乙女の日焼け肌の上を練り歩く小人。
途中転びつつも脚先の方へと跳ねていく感触には、さすがに眠りも浅瀬へと引き戻されていく。
閉じていた目がうっすらと開き始め……。

「………な、何なんスかさっきから。虫でもいるんスかね……まだ大きい虫の時期には早いッスよ……」

それでも蓄積した疲労から、身体を起こすのはおっくうで。
異物感のある足先に何がいるのかを確かめるべく、脚をもったりと持ち上げて、両の足裏を合わせようとする。
トーベの足先でいたずらしているレザンが回避しなければ、小人は彼女の足裏でぎゅっと挟まれてしまうだろう。

レザン > 「ふーん、結構きれいじゃん。でもにおうな……
 顔はかわいいのにこれじゃあな……いひひひ」

あえてつま先に顔を近づけて、うええとえづくような仕草。
芝居がかった所作は天性のものかもしれない。
レザンはこういう汚いとされている部分に触れるのは、嫌いではない。
どんな美しいものにも生物である以上汚れが存在する。
それを見つけ、暴くことには背徳的な喜びがあるのだ。

「ま、馴れてくれば悪くないにおいかも……
 て、あ、やべ!」

持ち上がる足に、地面に落とされないように反射的に指にぶら下がってしまう。
それがよくなかった。
そのまま足の作る影に覆われ──体長10cmばかりの妖精は、簡単に全身を足裏で挟まれてしまう。

「おぶっ」

透き通った翅はひしゃげ、肺がぎゅっと押しつぶされる。
妖精の細腕では、とても足裏の圧迫を押し返せない。
圧縮された濃密な臭気が鼻を刺し、涙が滲む。
悲鳴をあげようとして開いた口に、汗が流れ込む。

(やっ、やめっ……)

足指の格子の向こう、ぬるついた熱い檻で、苦悶に喘ぐしかない。

トーベ > 足裏で掴むように捕らえた異物は、この時期の虫にしては大きく、そして柔らかい。
ネズミか小鳥か? しかしそういう超小型の野生動物はこんな容易には捕まらないものだろう。
ともあれ、このままトーベが自慢の脚力で圧迫してしまえば潰してしまいそうな感触。
それはそれで後で靴を履くときに困るな……と夢見心地に微妙に力を加減しつつ、しかし捕らえた謎の物体は逃さぬよう指を絡めて。

そして、ようやく本格的に目が覚め始め、体を起こして目を開き、足の間にいる小動物をその視界に捉える。

「……………んあ………小人さん?」

白い脚の間でもがくのは、あきらかに人型生物。スケールこそ大きく異なるが。
小人か、あるいは妖精か。妖精なんて神秘的なものがこの都会にいるとは考えづらいけれど。
どちらにせよ、この地域にこのような小人が存在することは噂話や伝承レベルで聞いたことはあるが、実際に目にするのは初めて。

「な、なに、誰ッスかあんた。ボクの脚で何やってたんスか?」

いまだ眠気で重たい瞼をパチクリとまたたきながら、トーベはとぼけたような声で問いかける。
小人を両足でぎゅっと把持したまま、座った彼女の腰よりもやや高い位置までぐいと持ち上げる。
大きく股を開いた大変にはしたないポーズになるわけだが、今のところそんな体勢を顧みるほどにはまだ正気は戻ってない。

レザン > 「ぐえ~!」

レザンのあずかり知らぬところでギリギリ潰される運命を回避し、
挟まれたままはるか上空に──というほどでもない高さに持ち上げられる。
その拍子にさらに力がかかって妖精の身体はみしみしと軋んだ。
生命に別状はない。
戸惑う相手から誰何の声を受けて、呼吸を落ち着けて──
相変わらず匂いがキツかったのでむせた。

「はぁっ、はあ……おれは妖精のレザン。
 三度の飯よりいたずらが大好き……けほっけほっ。
 あんたがくさ~い脚を晒してのんきにイビキかいてたから
 ちょっ~とくすぐってやろうと、思って、さ……
 そしたら、捕まっちゃったってわけ~……」

絶体絶命の立場なわりに、挑発的な口調の返事。
しかし全身を包み込む足指の体熱と、少女の汗の香り、ついでに大大股開きで強調された股間を目の当たりにして、茹だった妖精の声にはさすがに精彩がない。