2022/06/22 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にジーゴさんが現れました。
ジーゴ > 昼下がりの市場。平民街らしく秩序もあるそこは
夏直前の十分暑い日差しの中で、行き交う人も多く活気に溢れている。
そんな中を野菜の入った紙袋を抱えた少年が値札を見比べながら歩いている。
野菜や果物。朝ご飯のための食材をメインに買い出しに来ている彼だが
果物のフレッシュなジュースやカラフルなアイスを売っている店が気になって
その店を遠巻きにして立ち止まっている。

「どうしよっかな…」
買うのを迷っているのか、ズボンのポケットから出した小銭を数え直したり
お店を遠くから見つめたり、何かを指折り数えたりを繰り返している。

ジーゴ > 「やっぱいいや…」
結局、ジュースやアイスを売っている魅力的な店に近づくこともなく、
買った野菜の入った紙袋を握りしめながら帰路へと。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からジーゴさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 商店街」にマツリカさんが現れました。
マツリカ > 夜、街灯が照らす通りを歩く少女は、布の包みを抱えていた。
主人に頼まれたお使いの帰り道。中身は切らした消耗品の類だ。
先の削れた羽ペン、無くなってしまった羊皮紙、空になったインク壺。
或いは、今後の実習で使う薬草に嗜好品の干菓子までが雑多に詰まっている。
お陰で結構な重さとなった袋は、両腕にずしりとその存在を誇示していた。

「――まぁ、私の分の消耗品も買い揃えられた、と言うのが唯一の僥倖ですね」

少女の立場はお目付け役だが、実質は側仕えにして奴隷で玩具だ。
そんな身分ではあるものの、こうして雑用をしている間は心が安らかだ。
肉体的な負担は多少かかれども、主人や取り巻きの顔色を見なくても良いのだから。
かつ、かつ。初夏の夜を進む。空気が孕む仄かな熱は、夏の兆しということだろうか。
少しばかり肌に汗を滲ませながら、少女は明かりを頼りに、寮までの岐路を進んでいく。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 商店街」にルヴィエラさんが現れました。
ルヴィエラ > (学院の方向へと続いている、小道
娘が向かう寮の方角とは、丁度交わる地点
其の向こうから、影が歩みを進めて来るのが、見える筈だ
別段不思議な事は無い、場所柄を考えれば、学院の関係者が通る事等ざらであろうし
そうでなくとも、人通りに乏しい、と言う訳では無いのだ。 ……無論、時間を考えなければ。

街灯と街灯の狭間、宵闇に隠れるような色合いのローブを纏いながら
影は、ゆっくりと娘と距離を詰める事と為ろう
そうして、果たして娘が、其の影の正体に気付くのと
――娘の胎の奥が、何かを気取ったかに、一瞬だけ跳ねるのと
果たして、どちらが先で在ったろうか。)

「――――――……ごきげんよう、お嬢さん。
おや、買い物の帰りかな?」

(声が、柔和に響く。
記憶で言うならばきっと、娘の中にある、古い方の邂逅と同じ響きで
街灯の明かりの中へと踏み込んだ折、娘へと気軽い会釈が向けられた)。

マツリカ > 急ぐ訳では無いが、その足取りは自然と早くなる。夜の闇が、少女の足を急き立てるのだ。
恐怖などない。だが、この場に長らく居て得られるものは、厄介事の方が多いだろうから。
無用な窮地に己を置くのは愚か者のすること。理知的な分別が、少女を先に向かわせる。

そうして幾度か路地を曲がった先の事、視線の端に夜色の何かが見えた。
蟠る闇とはまた異なる、夜天の濃紺に黒を混ぜたような色。深く光を飲む色。
刹那、腹の奥がずくんと熱を帯びる。本能が、理性より先にその存在の正体を掴んだ。
厭な熱だ。もどかしくて、狂おしくて、はしたなくて。そんな熱を嫌いじゃない自分が透けて見える。
掛かる声音に、敢えて今気づいたふりをする。どうせ見透かされているのだろうけど、無駄な抵抗。

「――こんばんは、です。ルヴィエラ様。
 えぇ、お使いの帰り、取るに足らぬ野暮用です」

彼への評価は、理解者である頼れる存在である他に、先日新たなものを得た。
己の粋までを食い尽くされた相手。少女が爪先を舐める程に屈服しきった存在。
腹の刻印が、ちりと僅かに瞬く。この場での淫蕩は無用というのに、自分自身が度し難い。

ルヴィエラ > (王都と言えど、確実な安心を得られる場所は少ない
其の足取りが急ぐ物であったのは当然の事だろう、何せ、荷物を抱えても居るのだ
此方へと気付いたらしき娘が、挨拶を返せば、向ける微笑
また、互いの距離が縮まって行く。)

「こんな遅くに御遣いとは…、……また、君も大変な物だ。
帰りならば、主の元か。 それとも、寮へと戻るか。
何れにしても、少々手持無沙汰でね。 良ければ、送っても構わないかな?」

(――娘を取り巻く環境は複雑だ。 学院の虜囚でもありながら、其の実、主は存在する
無論、娘に拒否権は或る。 有無を言わさぬ言い方は、するべき時でも無い。
けれど、少なくとも身体は。 本能は。 "其れ"を認識した刹那から。
"其れ"が近づくに従って、歓喜めく。 ――それが、刻まれたモノのせい、なのか。
其れとも、屈服した娘自身の、こころ、が望むからなのか
其れは、何よりも娘自身にしか、判らぬだろうが)。