2021/05/29 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミゲルさんが現れました。
ミゲル > 平民地区にある冒険者ギルド。
人でごった返す中、受付で採取した薬草を引き渡し報酬を受け取ればその足で次の仕事を探して掲示板の前に。
そこに並ぶ仕事を眺めては一人、ないしは少数で受けれそうな仕事を探す。

「これは……お手軽…。こっちは、少し大変かな……」

良く受ける薬草採取などはその気になればもう一回は今日中に終わらせることも出来るが、できれば指定量以上の採取でボーナスが出る物はないかと。
討伐は猪や狼程度ならば大丈夫だがそれ以上になれば少々厳しい。

そんな事を考えてできるだけ報酬の良い仕事を探していき。
最悪は一時とはいえパーティー参加も視野に入れるしかないと思いながら視線を巡らせる。

ミゲル > 「…これにしておこう……」

悩んだ結果に選ぶのはいつもお世話になる同じ依頼人の仕事。
確実に報酬を貰えてお手軽ならば選ばない理由はなく。
その依頼書を手に受付に向かって…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミゲルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にプリシアさんが現れました。
プリシア > 平民地区と富裕地区の境辺りに在る大通り。
もう少しすれば日の沈みそうな夕方前か。
散歩や夕食の買出し等で行き交う人々の中に其の小さな人影は在った。
緩やかなウェーブの掛かった背中迄届く漆黒の髪を風に靡かせ、フンワリとした緩やかな雰囲気を漂わせるゴスロリドレス姿の小さな少女。
背負った鞄のストラップを確りと握り乍、邪魔にならない様な通りの端を歩いている。

今日は学院でのお友達と一緒に近くの公園で遊んでいた。
家から近い公園なので待ち合わせをして一人で向かったのだから、帰りも当然一人。
心配をしているだろう家族を余所に、一人で大丈夫と張り切っての帰宅である。
何度か通った道だから迷う事も無い、夕食迄にはちゃんと家に着けるだろう。
何かしらのハプニングが起きなければ、だが。

「……あ」

そんな帰路の途中、前に向いていた眼が道から外れた建物と建物の間に動いた。
其処に見えたのは、影に為って確りとは見えないが何かしらの小動物の様で。
好奇心に擽られたか、チョコチョコと其方へと足先が逸れて行った。

プリシア > 大通りの人混みから少し離れた様な位置。
外れの裏小道へと入り込み近付くのだけれども。
有り勝ちなパターンで、近付いたら其の分だけ離れてしまう。
でも少しでも近付いたお陰で其れの正体は解った。
入っている影に紛れる様な黒猫。
威嚇とかはしないけど、警戒して距離を取ろうとしているのだ。

「あっ…待って、待ってなの。
こっち、こっち」

自分が近付いたら、もっと奥へと行ってしまう。
其れが解れば足を止めて、人に語り掛ける様に言葉を紡ぎ乍ちょこんと屈み込む。
手招きもしてみるけど、其の言葉が通じる訳も無く。
一人と一匹は一定距離を保った侭となるのだ。
お互いに、ジッとお互いの事を見詰める形で。
其の黒猫が何らかの動きを見せる迄、此方は頑張って待つ姿勢。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にラファルさんが現れました。
ラファル > トゥルネソル三姉妹、リスの妹である、ラファル・トゥルネソル。トゥルネソル一、自由な幼女と言われる幼女だ。
 外見的には、先にその場所にいる女の事、同じくらいの大きさで、隣に立つと丁度、同じくらいにしか見えない。
 身長なども、殆ど同じだから、友達といって良いぐらいの様子の女の子。でも、彼女の10倍は生きている。
 精神年齢は?彼女と同じだ。
 そんな幼女は、ぬるり、とプリシアの後ろから出てくる。
 別に最初からいたわけではない、うろうろしてたら、見た女の子が路地裏に入っていくので、好奇心だけで付いて行ったのである。
 お迎えとか全くそんなではなくて、寧ろ、お迎えが来る方の幼女でもあった。

「プリチー。どったの?」

 ラファルは、気安く名前を縮める。幼女なりの親愛の証でもあって、悪気は一切ない。
 フリフリのドレスの脇からにゅい、と顔を出して、眺めてみるのは、黒い猫。
 おいでおいで、しているプリシア、此方をじっと、青い瞳で見ている黒い猫。
 ふーむ、と、幼女は頚を傾ぐ。

「………おやつ?」

 はい、自由な理由、人間社会にいるとは思えないほどの、野生児。
 こう、ストッパーが居なければ、平気で服は脱ぐ、何でも、文字通りに食べる。
 家で、飼っている狼犬のグリム君の方が未だ賢くて大人しいと言われるまである。
 欲しいの?と姪っ子に訊いてみるのだった。

プリシア > 常に家と学院を行き交いする自分とは真逆で、家の外を自由に出歩いている母の妹。
母の妹との事だから立場上では叔母では在るのだが、見た目とかは同い年かほんのちょっと年上なお姉さん。
そんな存在が気が付けば傍らに現れる。

「あ、ラファルおねーちゃん」

そんな彼女だから顔を合わせる機会は少ないものの、確りと家族との認識はしている。
こうしていきなり現れても不思議がらないし驚かないのは、そうしたものがあるからで。
因みに叔母だが呼ぶ時はおねーちゃん呼びなのは、矢張り見た目の影響が大きいのだろう。
手招きしていた手を止めれば、彼女の方へと眼を向ける。

「おやつ?
おやつがあった方が、猫さん、来てくれる?」

其の自由人らしき発言を、自分の解釈で聞いてしまうのが此方。
其の発言を如何したら黒猫が此方に来てくれるかのヒントと受け取った様で。
コクンと小さく首を傾げ乍、噛み合っている様で噛み合ってない言葉を返すのだった。

ラファル > 一番家庭教師の恩恵をあずかっているのは、ラファルである。むしろ、家庭教師がメインに教えてくれるのか、彼女だ。
 絶対に学校に行こうとしない、と言うか、学び舎に興味を全く示さないし、その奔放さで、学び舎に行くことすらしないのである。
 そういう意味でも、似たような幼子ではあるが、真逆の位置にあるお姉ちゃんドラゴン。

「やっはー」

 右手をフリフリ―と、軽く振って、にぱぁ、と花のように明るい笑みを浮かべて見せる。
 家族として、認識もあるけれど、近しい姿に精神性なので、何方かと言えば、妹のように考えて居るのはラファルも同じだ。
 ラファルに関しては、叔母ちゃん呼びでも、全く気にはしない。むしろ、一つ上の姉の方が、危険である。
 自分の方を見る、姉と同じ色の瞳見ていると、空を飛びたくなるような色に、右と左で、ほんの少し色味が違うのもグッド。

「うん、お腹減らしてるなら、来るんじゃないかなぁ?
 と言うか、遊んで欲しいのかも、だし。」

 自分の手で捕ま体のだろう、判る。
 あくまで、野性的な思考のラファルは、彼女の質問に対して、答えを返す。
 根っこのところがすれ違ったままに、でも、ちゃんと会話が出来ているという状態で。
 背中のバックパックを卸して、ごそごそ、ゴソゴソ。

「じゃーん!」

 取り出すのは――――秋刀魚。
 ぴちぴち生きてるので、超新鮮。多分さっき海に潜って取ってきたと思われる。
 首を歩きっと遠慮なく折って。
 元気だった生臭い其れを、ハイ、と差し出す。

プリシア > 何分、此方への情報量の少ない彼女なのだ。
自分が知っている限りでは、名前と見た目程度しか知らないのである。
会ってお話をする機会が欲しかった此方としては、此の場に現れてくれたのは有り難いのかもしれないが。
中々に時と状況の都合が合わないもので。

「やっはー?」

其れが彼女の挨拶なのだが、此の瞬間ではまだ理解が出来ていない。
其の侭の言葉で返し、同じ様に手を振ってニコッと笑顔を浮かべるのだった。
薄着と云うのも薄過ぎる様な其の姿に対しては、大して気にはしてない様である。

「お腹が空いてる…じゃなくて、遊んで欲しいかもなの?」

其の意見に首を傾げた侭考えてしまう。
然し、自分依りも物知りだろう彼女の意見の方を尊重しているっぽい雰囲気を感じるか。
其の言葉は彼女寄りのものだった。
尤も、彼女自身はそうした意味で云った言葉では無いのだが、其処は気付いていない。
だが、彼女が次に取った行動はバックパックから秋刀魚を取り出すもの。
其れを渡されれば、キョトンとしてしまうのだ。

「あれ?あれれ?おやつ?
でも、ラファルおねーちゃん、このまま、大丈夫かな?」

おやつなのか、遊びなのかで混乱するも。
おやつっぽい魚が出たら、やっぱりおやつを優先するのかな?と都合の良い考え方をして。
そうは云っても小動物に餌を与えた事が無いのもあって。
自分は何時も調理された料理が出る為、其れと同じ様に考えてか心配そうに聞いてみるのだ。

そんな遣り取りを二人がしている中。
其の黒猫はと云えば確りと魚に反応している様で。
其の目を向ける先は魚の方に為っていたりするが。

ラファル > ラファルの方は、其れなりにプリシアの事を知っている、と言うのも、一応この娘はそう言ったことを主にする種類の冒険者なのである。
 ちゃんと冒険者としての登録を済ませて居るので、活動も出来る。ただ、師匠と一緒ではないといけないのだけども。
 前々から、見てみたかった、と言うのもあって、今回たまたま見かけたので、来たのである。

「ん!いいご挨拶!」

 にぱー、と笑いかける。満面の笑みで笑って見せて、あいさつは大事だね、なんて言ってみる。
 フリフリの服を見るモノの、うん、布面積多いし服着てるねと言う認識。
 着てくれと言われれば、絶対にぶーたれることは間違いない。こう、服を嫌がるペット並みの勢いだ。

「うん、確か、にゃんこは、遊んで欲しい時は、ある程度離れて、でも、逃げないんだ。
 プリちーの事、遊んでくれる相手だと思ってるから、かくれんぼとかすると、いいかもね!」

 野性だから、なのか、野良猫とか、野良犬の感情とか、動物の感覚は、それなりに理解している模様。
 猫が逃げていかないのは、此方を警戒しつつも興味があるから、だから、興味を強く惹かせれば、来てくれるはずなのである。

「プリちーが、如何したいか、かな?
 おやつ上げるのだって、良いし、一緒に遊んであげるのも良いんだ。
 ほら、にゃんこ、こっち見てる。お魚見てるよ。食べたいんだろうね。」

 捕まえる方法なんて、幾らでもある、遊んであげて警戒を無くすのも良いし。
 餌で釣るのも、また、手段である。
 なので、プリシアが好きな方法で良いんだよ、と言いながらも、猫が秋刀魚を狙っているのが判る。
 そのまますれば、屹度お魚咥えて持っていくだろう。
 きょとんとしている姪に、好きなやり方で良いんだ、ともう一度。

 にひ、と悪戯っぽい笑いを浮かべてからの、サムズアップ。

プリシア > 彼女の事は知りたいが、今目の前に居るのは黒猫で。
だから今回は黒猫に軍配が上がった事と成った。
後でも大丈夫か、そうでないかが分かれ目である。

「うんっ、ご挨拶、大事なの」

其の言葉に笑顔の侭で大きく頷いた。
家族間でも、学院でも、そうした教えは在るものなのだ。
只、流石に素っ裸だと心配はするかもしれないが、そんな状況とは為らない事を祈っておこう。

野生か如何かの関係が在るかは知らないが。
動物の仕草や動きの説明を聞けば、パァッと表情を尊敬の色に輝かせる。
知らない事を沢山知っている頼れる存在、そんな位置付けをしたらしい雰囲気を見せるだろう。

「ラファルおねーちゃん、ものしりで、凄いの。
えっとね、えっとね、猫さん、どうしたら、楽しいのかな?
あ、でも、お魚さん、先にあげた方が、良いのかな?」

自分としては、黒猫と関わりを持ちたかっただけなのだけれども。
楽しんで貰える事が出来るなら、そうしたいとも考える訳で。
取り敢えずは見ているみたいだから、魚をあげた方が良いと考え至ったか。
生臭くとも、其れを気にする事なく秋刀魚を両手で受け取れば。
両手に乗せた侭で差し出す様に黒猫の方へと向けるのだ。

只、其の侭にしていれば彼女の考えていた通りになる訳だ。
ジリジリとゆっくりとした足取りで黒猫は此方へと近付くも。
咥えられる距離迄近付いたら、パッと咥えて離れてしまうのである。
其の動きに此方は反応出来ず、あっさりと魚を奪われてしまう。
とは云えども逃げ去ったりはせずに、少しは距離は縮みはするが距離を取る訳だが。

ラファル > 黒猫は、この後はいなくなるだけかもしれないが、ラファルは一緒に帰れば家にいる。
 そういう意味では、プレシアちゃんの思考は――――優先順位付けは、間違いはないだろう。

「ボクの挨拶だからね?」

 頷く彼女、思い返してみれば、彼女の母親は、そんなあいさつはしてないだろう。
 とは言え、寧ろ、学校の友達とかがするような気軽な物のはずだ、だから、その内彼女も慣れると思われる。
 油断すると、ラファルの方は脱ぐので心配が、祈りが、届かないことも、有るのだろう。
 明るく成る顔に、ふふーん、と薄い胸を張ってどやぁ……と言う表情。
 自分よりも小さい子に向けられる尊敬の視線は、ラファルは嬉しいものだった、実は姪とかにも、ラファルちゃん、と年下扱いされることが多い。
 なので、純粋に見た目も年齢も年下の彼女に、お姉ちゃんぶりたい所があったのやもしれぬ。

「うん、お腹がすいていると、力が出ないよ。
 なら、お腹一杯になったら、屹度遊ぶ力も出てくるよ。
 眠くなるかもだ、けど、ボクは眠くなるかなー。」

 黒猫の様子。狙っているのは判るけれど、プリシアに任せる積りなので、手を出すことはしないで眺めている。
 もし、助けて、と言うなら、即助けるけれど、基本的には、姪の行動が見たいと言うのがある。
 果たして、プリシアの手から、お魚を奪った猫は、一心不乱で食事を食べている。
 矢張りお腹が減っているのだろう、だから、もう一本秋刀魚。

「お腹いっぱいになるまで上げれば、屹度懐いてくれるんじゃないかな?
 向こうから近づいてくれるようになったら、遊んだりとかもできるよ!」

 直ぐ、とは言わないけれど、と。首を傾いで見せる。
 そして、ここにきてようやく、プリシアが食べる積りでないことに、思い当たるのだった。

プリシア > 「ラファルおねーちゃんの、ご挨拶?
……うん、わかったの」

少しばかり考えた後に、そう答える。
おはよう、こんにちは、こんばんは。
挨拶と云えば時間毎に変わるそうしたもの。
彼女との会話で人に依っての挨拶も在るんだな、との認識をされるのであった。
其の内に彼女が思う様な気軽な挨拶も覚える事だろうが、今はまだ。

若し場所が場所で彼女がそうした格好をした場合。
屹度其の時の遣り取り次第では此方が影響を受けてしまうかもしれないが、其れは又、其の時の話しに為るだろう。
勿論、此の時点でも彼女に対する尊敬する部分が生まれたので、状況次第ではかなり彼女の優位な状況に為るだろうが。

「プリシアも、お腹が空いちゃうと力出ないから、猫さんも一緒、だね。
いっぱい食べたら、眠くなっちゃうのも、一緒だから。
うぅ…どうしよ…?」

一匹目の秋刀魚を食べる黒猫を見て、彼女の説明を聞けばちょっと不安そうに。
あの黒猫も食べて眠くなったら遊ぶのは悪いかなと思っているからなのが、手に取る様に解るか。
其れでも秋刀魚をもっと欲しそうにしたならば、貰った秋刀魚も渡してしまう訳で。

そうして迷っている間にも一匹目を食べ終わったか、再び黒猫は此方を見てくる。
そんな目で見られると渡さない訳にもいかないのか、同じ様に両手に乗せて差し出して、矢張り同じ様に黒猫に咥えられてしまうのだ。
只、此れも彼女の想像通りで、魚を与える度に黒猫との距離は縮んでいるのが伺えた。
二匹目を食べる黒猫との距離は、手を伸ばせが触れられる距離なのだから。

ラファル > 「そ!何時でもこれで挨拶できるんだ、便利でしょー。」

 にひ、とまた、悪戯っ子のような笑みを浮かべるラファル。
 もしかしたら、プリシアの成長に良くない物を与えてしまいそうだ、悪ガキとか、そっちの方面の話だが。
 其れを受け入れるかどうかは、プリシア次第では、有るのだけども。

「そうそう。
 おやつ上げるなら、ちゃんと挙げた方が良いよ、お腹いっぱいに誰だってなりたいんだしさ。
 あ、と。プリちー。」

 おやつを、秋刀魚をさらに上げるか悩むのであれば、上げた方が良いと伝える。
 何事も中途半端は良くないし、動物は、そういう事を察してくれない物である、すこしだけくれると言うのは意地悪でしかない。
 なので、上げると決めたら、お腹いっぱいになって食べるのを辞めるまで上げた方が良いと。

 そして、もう一つ。

「まだ、撫でちゃだめだよ。にゃんこが安心して、向こうから身を擦りつけて来て、初めて撫でて良いの。
 今、食事中だし、ご飯している時に悪戯されると、驚いて逃げちゃうから。
 プリちーの近くで寝たなら、安心してるから撫でていーよ。」

 徐々に近づいている子ネコとの距離、でも、慌てて撫でるべきじゃないと伝える。
 犬とかであれば兎も角、猫はとても警戒心の強い生き物だから。
 だから、彼らが自分から身を寄せるまでは、我慢してね、と。

 自分は音もせずに近くの木箱の上に腰を下ろす。
 立って覗き込むのに、飽きた。

プリシア > 「おはようも、こんにちはも、こんばんはも?
すごい、ご挨拶なの」

使い分けの必要の無い挨拶、そう考えれば便利かもしれない。
然し此れを普通に使う様になったら、日頃ちゃんと教えている人達からすれば複雑なものだろう。
其の頃には使い分けも出来る様に為っているかもしれないが。

「えと、えと、ちゃんとあげる、わかったの」

確かに食事はちゃんと取らないと半端にお腹が空いてしまう。
そうした考え方で受け取れば、素直にコクンと頷くのだ。
と、続きそうな言葉に耳は傾けた侭に。
そうすれば、其の後を如何すれば良いかの説明が続いた。
猫は直ぐに撫でては駄目、自分から寄って来たり、寝たりしてからでないと触れてはいけないらしいと。
二匹目を食べている黒猫を横目に、静かにもう一度頷いてみせるのだった。

二匹目を平らげれば黒猫も流石にお腹は満たされたらしい。
食事を与えてくれた自分の元へ寄って来れば、彼女の云った通りに身を摺り寄せる。

「わ、わっ、猫さんから、きたの。
猫さん、やわらかくって、温かいよ?
ラファルおねーちゃんは、いいの?」

そうなれば、云われた通りなら撫でられる。
撫でてみれば大人しく撫でられる黒猫に、嬉しそうな表情を浮かべて。
其れは無意識にパタパタと揺らす小さな翼や尻尾でも表現されている事だろう。
其の侭撫で乍、少し離れてしまった彼女へとそう聞いてみる。
協力があったから出来たのに、自分だけ撫でているのに気を遣っているのだ。

ラファル > 「でしょー?ボク、この挨拶が一番楽でいいんだー。」

 砕けたあいさつ、やっほぅ、と言えば、大体それで終わるのだから。ちゃんとした場でそれはまずいだろうけれど、今の様な所ならこれでいい。
 複雑に思う母親などはしかし、如何するのだろうか。
 時と場合さえ弁えるならば、ヤッホーと言うのは十分あいさつになるのだろうし、と。

「うん。」

 プリシアが、食事に関して理解を示すなら、ラファルは頷いてにっこりと笑う。
 美味しそうに黒猫がご飯を食べて居て、そして、プリシアに近づいていくのが判る、慣れてきているのだろう。
 と言っても、人に慣れるのが早いので、飼いネコか、それとも人に近しい所で生きているのだろうと推測できる。

「眠くなさそうなら、遊んであげるといーよ。
 ボクは良いよ、だって、近づいたら驚いて逃げちゃうだろうし。」

 ボクはその猫に食べ物をあげていないから。近くにいるだけで、何もしてはいない。
 だから、寄ればきっと逃げる、懐いているのは、プリシアの性質もあるのだろう、優しそうな雰囲気とか、ふんわりしてるところとかだ。
 なので、だいじょーぶ、と、にーっ、と口角をあげて、笑って首を横に振る。
 そして、くぁ、と小さく欠伸を零して見せる。

「そろそろ、ボク、帰るよ?
 プリちーはどうする?一緒に帰るなら、飛んでくよ?
 もう少しいるなら、迎えの人呼んでおくけど」

 姪っ子は竜になることは出来ないし、飛んでいくことも出来ない。
 場所も場所だし、置いていくのも忍びない。
 なので、一緒に帰るか、それともお迎えを呼ぶか、どっちがいい?と問いかける。

プリシア > 確かに挨拶が其れで統一出来るなら便利な事この上ないのだが。
そうする事の意味を、まだ理解していない。
今此の場では彼女に賛同の意を示す訳だが。
屹度家に帰った時、開口一番に母に其れを聞いてみる事だろう。
其れに因って色々と母に聞かれる事に為るのだろうが、其れは又後の話か。

特に首輪をしている訳でないのは見て取れる。
其処から飼い猫ではなく人に慣れた猫だと判断付くだろう。
気持ち良さそうに黒猫を撫で乍、同じ様に出来ない彼女にちょっと申し訳無さそうな素振りを見せて。

こうして撫でたりして接しれた事で此方の目標は達成している。
彼女の言葉に空を見上げれば日も其れなりに傾いていて。

「あ、あのね、プリシアも、お家に帰るの。
ラファルおねーちゃん、一緒に、帰ろ?

えっとね、猫さん、またね?
ばいばい」

そろそろ戻らないと夕食の時間に遅れてしまう。
彼女の申し出に頷き乍、立ち上がろうとするも。
まだ側に居る黒猫に気を遣い、手を離すと挨拶をして、手を小さく振って。
そうした後にやっと立ち上がる。

黒猫はまだ此方を見ているが、去るのを理解しているのか又擦り寄っては来ないみたいで。
其れを確かめてから、後は彼女に奥って貰うのだ。
家に帰ったら彼女にも食事を一緒にしようと誘うのだが。
自由気侭な彼女が付き合うのか、其の侭又出掛けてしまうかは彼女次第だろう。