2021/05/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にティアフェルさんが現れました。
ティアフェル > 「っきゃー!!」

 宵に沈み、賑やかに行き交っていた人々もそろそろ家路に着き眠りに就く、日付の変わって間もない刻限。

 大通りの端っこで響く女の悲鳴。そしてその後ろから派手に吠えたてながら追って来るくすんだ毛並みの野良犬が一頭。
 半泣きで迫って来る野良から逃げ惑い、人気の薄くなった通りを駆け抜ける女に、通行人は唖然としていたり眉をひそめていたり多様な反応ではあったが――そんな現場をなんとかしてやろうと一肌脱いでくれるような物好きは、今のところいない。

「ぃいやあぁぁぁぁあぁぁー!! やだっ、やだ、やだ…!! なんで追っかけてくるのよー?!
 やめてえぇぇぇッ!! ついて来ないでえぇぇ!!」

 大の犬嫌い、というか犬恐怖症の女。髪を振り乱して涙目でかなり必死のダッシュをみせているが……何分四本足の瞬足な追手を撒くのはこの健脚をもってしても困難だ。

 ぎりぎり追いつかれていないのは上手く障害物を飛び越えて時折蛇行し、時には通行人を利用し犬の走り辛い場所を選んで逃げているからで。

 しかしそれも時間の問題。

 がう、と一足飛びで間近に迫った距離を詰めるべく飛びかかって来られては打つ手なしで。

「きゃあぁあぁぁあぁぁあー!!」

 ひと際大きな、断末魔のような悲鳴が静かな夜の平民地区、大通り半ばで響いた。

ティアフェル >  犬が死ぬ程怖いのに、こうして追っかけられ飛びかかられるのは――犬からしたら手頃な獲物に映ってしまうからだろう。
 頭では分かっていても本能的な恐怖には打ち勝てず、今日も犬の影を見ては怯えてあからさまに逃げようとするものだから、これはイケル、と踏まれて襲い掛かられて……、

「っ痛い痛い痛い痛いー!! いやいやいやいやー! やめて、放して、放して!!」

 咄嗟に頭と喉を護る為に顔の前で交差させた右腕に食らいつかれ悲痛な叫び声がひと際大きく静かな宵闇を切り裂いた。

 犬もどこまで本気なのかだが、下手をするとそこら辺の仔猫よりも容易く襲える獲物が面白いのか、甚振るように咬みついて怯えるのに合わせて弄び始める。

「ちょ……! み、見てないで、助けて……! 死ぬー!!」

 遠巻きに眺めるか関りたくなくて足早に通り過ぎるかどちらかしか選んでくれない夜更けで数少なな通行人に訴える声が虚しい。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシルニアさんが現れました。
シルニア > 「あっ、ティアさ...ん?」

遅めの買い出しを終えて宿へ帰ろうというところ、見知った人影がひとつ。

しかし、本の山に埋もれたり、教会の像を割ったり、はたまたリンチの後だったり...彼女に出逢う時彼女はなにかのトラブルに巻き込まれていることが多い。

...今回も例外ではないらしい。
ただ、その内容は可愛いもの...犬に襲われているというものだった。

「ティアさん〜こんばんはーです〜、その子面白がっているだけみたいですよー?」

なんて遠目に大きな声を掛けながら近付く。
彼女に飛びかかる犬は尻尾をぶんぶんと振っていて喜んでいるように見える。きっと、過剰に嫌がる彼女を面白がっているのだろうと判断。

「ほら、そんなに興奮しなくても──きゃんっ!?」

犬の頭に手を乗せて宥めようとするが、犬の興味は私へと移ったらしく。勢いよく飛びかかられ、硬い地面にのしかかられる形で倒れることに。

ティアフェル > 「っへ………?」

 野良犬に咬みつかれ割とぐしゃぐしゃになった顔でこちらへかけられる声に向けて、反射的に顔を上げる。

 大通りの片隅で犬に襲われている光景は見方を変えればじゃれつかれているという見方もあったらしく、余計に救助は望めない状況だった訳だが、本人としては、死ぬ思いである。

「し、しーちゃ、もうだめ、わたし、助け………あ……」

 半分ほど彼女の気楽な言葉の内容は入ってきていなかった。顔面蒼白でがくぶるしていたからだ。例えて云えば毛虫が死ぬ程嫌いな乙女がめちゃくちゃでかい毛虫に襲い掛かられ刺されているくらい、怖い。
 自分の一番怖い物を思い浮かべてもらって、それに襲われている心情といえばいいのだろうか。他人にとってカワイイものであるから、犬恐怖症の苦労は誰にも理解されない。

「ぁ……い、今の、うち……?」

 犬でさえなければ、タゲ変更され、自分から彼女へと飛びかかっている場合など、迷わず助けに入るのだが。
 犬となっては話は別。身を挺してわたしを助けてくれたのね、くらいご都合なことを考えて、へっぴり腰な匍匐で逃げようと路上をずりずり。

シルニア > 「ちょっ!わぷっ!くぅ、擽ったいですよぉっ!きゃうっ」

彼女が這い蹲って逃げているとも知らずに、私は犬に好き勝手されて、顔を舐められ、前足で触られた顔も服も埃だらけに。
そんな私にとってのスキンシップの嵐が突如止んだと思えば。

「...?」

はっはっ、と舌を出して荒々しい呼吸をする犬は首を傾げて私を見つめていた。

...和解したっぽい?

「んっ、ワンちゃんさん。ティアさんにも優しく好き好き〜ってして、スキンシップなのですよ?」

なんて、彼女に指さしをすれば、犬は全速力で彼女の元へと駆けていく。

もちろん、彼女の犬恐怖症なんて私は知る由もなく。

ティアフェル > 「っふう……君の尊い犠牲を、わたしはきっと忘れないことでしょう……今度、奢るネッ! じゃ! そゆことで!!」

 ずりずりと這いずって逃げる途中、ちら、と振り返ってみたら。犬と戯れていたので。よし、生贄を捧げておけばわたしの身の安全は保障された、と生贄、と友達を躊躇なく犬に差し出して、わたしは逃げる。腰が抜けたからこのまま全力で、と匍匐を続けていたが。

「っへ? っは……?! な、ちょ…?! 何してくれんのよシルニアふざけんな!!!」

 普段、フレンドリーに気さくに呼びかける声とは正反対の、恨みを持つ相手へと向けるような怒気に満ちた声で、犬をこちらへ振って来る彼女を信じられないものを見るような眼で捉え、呪詛のごとく叫んだ。

「っきゃああぁぁぁあぁー!!」

 そして、全力で突進してきた犬に引き倒され――4レス前に戻る。

シルニア > さあ彼女はどんな反応を見せるか。今度はわんこと仲良く出来ればいいな、なんて呑気に考えていたけれど。

「...ひっ!?」

犬に飛びかかられる直前、私に向けられた声と、殺気さえこもっていそうな視線に悪寒が走る。

「わ、ワンちゃんさんっ!すとっぷ!すとっぷなのですっ!!」

このまま犬を放置していたら後が怖すぎる。彼女に嬉々としてのしかかり、甘噛みを繰り返す犬の首根っこをつかみ引っ張るが、びくともしない。

──そもそも私に甘噛みしなかったのに何でティアさんには遠慮なく噛むのでしょう?

「だーめーなーのーですっ!えぇいっ!
ほら、ティアさん、今のうちに、なのですー!」

彼女に対して怯えきっている私は必死だ。それでもやめない犬に対して、口もとに杖を突っ込み噛ませ、マズルを上下から抑え込み、声を上げて。

ティアフェル > 「うぅああぁぁー!! やめて、やめてやめてえぇぇー!」

 一度は助かったと思ったのに。再度地獄に叩き落とされた。助けてくくれたんだ、持つべきものは友、と思っていたのにそんな友に殺される……といった被害妄想に満ち溢れながら、犬にはぐはぐ咬みつかれ、唾液でべたべたに生臭い口臭に苛まれ、卒倒しかけていたが。
 死ぬ前に制止がようやくはいった。まさかまた、助けるふりして地獄に……と疑心暗鬼状態だったが。

「ぅ、っぅ……なんなの……どっちなの……わたしは何を信じればいいの……」

 助けるのかけしかけるのか。どっちだ。絶望的な表情で、圧し掛かる犬を退かそうとしてくれて、咬みつく口に杖の先を咬ませてくれて、とにかく、友情とは、とか果てしないテーマはさておいて、恐怖の大王、野良犬からまたしても這いずって半泣きで逃げるという。先ほど見たような光景を繰り返していた。

「うぅ……もうやだぁ……そいつ、こっちにやらないでよぅ……」

 情けない声で懇願しながら、ずりずりずり。

シルニア > 「ティアさん〜〜...ごめんなさいっ、ごめんなさいです...。ほんっとごめんなさい...
ワンちゃんが苦手って知らなくて...うぅ...」

小走りで彼女の元へと駆け寄る。もちろん、杖も回収済み。
彼女にとっての猛獣は、私が買い物袋から放り投げた干し肉の塊に夢中になっていて、今は安全なはずだ。

それはさておき、今でもフラッシュバックする彼女の殺気に震えながら、全力で謝罪。
許してもらわないと彼女似合うたびに『何してくれんのよシルニアふざけんな!!』が脳内再生されてしまう。こわい。

「ワンちゃんは多分もう来ないですから、早く離れるです、ほら?」

なんて手を差し出しつつ。

ティアフェル >  いくら明らかに怯えていようとも普段の行動と、さらに犬という愛玩動物相手では、どれだけ怖いかなんて他人には伝わらない。

「ぅ、ぅ……かわいい顔して鬼だと思ったけど……、いいよ…一瞬本気で恨んだけど、わたしこそ罵倒してすいませんでした……」

 自分にとって犬に襲われて死ぬ程怖い目をしているところで微笑ましそうに見守られることはたまにある。仕方がない、最終的に助けてくれたから、とにかくこちらも弱弱しい声で、相変わらずずるずる這い這い状態で謝罪した。

 餌を与えられると食べられそうにない人間よりも確実に食える肉に食らいついて一時こちらのことが眼中にない犬から、低速でも距離を取ることに必死だったが、

「はぅ、ありがとう……死ぬかと思ったぁ~……」

 犬の注意がこちらになく、少しでも距離が摂れてくればやや冷静さを取り戻して、その小さな手を取るとよろよろ力なく立ち上がりながら、足を引きずるようにして現場から逃走を図る。
 自分では必死で早足のつもりだが……腰が抜けてやっぱり低速気味であったという……。

シルニア > 「いえいえなのです...あれだけ怖がっていたならきっと咄嗟に言っちゃうですよね。
そうそう、ワンちゃんは動くものを追い掛けるですし、無視されると遊んでくれないと思ったり、目を見つめられると威嚇されてると思うのだそうです。
.....冷静になるのは難しいかもですが、ばたばた暴れるのは厳禁みたいですよー?...なんて、お節介な情報なのでした。」

彼女が落ち着くまで歩調を合わせて、時折ちらりと振り向いて犬が追いかけてこないか確認しつつ。

「それじゃっ、今日はお宿借りてるので私はあっちなのです。のでここでお別れっ。
またゆっくりお話したいのですようっ」

彼女もそれなりに落ち着いた頃合だろうか。ひょこ、と彼女の前に顔を割り込ませて、お別れの握手をしようと手を差し出し

ティアフェル > 「ぅ……心が広いね……でも犬だけは勘弁してね、まじで本当、お願いします……。
 ――うん、もう……知ってるけど……わたし、そんな域ではないんだ……。ナントカ恐怖症っていうのはね……理屈じゃどうにもなんない病だから……」

 頭では分かっていても、身体が全力で拒否してしまう。どうにも抑えが利かずに恐怖で支配されてしまう。
 気欝なそうな暗ぁい顔でぼそぼそと。振り返りながらというか……犬が追ってこないか、見たくないが目線はずーっとそっちに向けながらその場を離れ。

「……あ、はい、う、うん、じゃあ。じゃあ、またね、おやすみ……」

 キョドりが抜けない模様で。犬に襲われた恐怖をまだ残しながら。心細ーい顔で肯き。ぎこちなく握手を交わし。手を握ると若干落ち着いたのか、少し不器用ながらも目前に来る彼女の顔へ向けて笑みを浮かべ。

「また遊ぼうね」

 と、握った後の手はひらひら振って。今夜はそこで。また今度。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシルニアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に飛飛丸さんが現れました。
飛飛丸 > わしが王都マグメールに来てまず驚いたのは、人の多さと市場の賑わいじゃった
今まで我が国の首都より豊かな国はないと思っておったが、世界は広いものだ。

「やはりかわいい子には旅をさせよじゃのう、父上」

市場外れのベンチに腰掛けたわしは青空に向かって呟いた。もちろんかわいい子とはわしの事じゃ。
こうして空に語りかければ、故郷の父上の顔が青空に浮かぶ……ような気がするのじゃ。
しかしその父上の顔も、くれぃぷの旨さの前には霞んでしまうのう。
市場で売られている「くれぃぷ」なる菓子はこれまでわしが食べたどの菓子よりも美味かった。
「くりぃむ」なる牛の乳を練り固めたものは、我が国にはない食べ物じゃった

「うまいのう」

わしは改めてくれぃぷを賞賛した。

飛飛丸 > わしが指についたくりぃむを舐めておると、市場の方が騒がしくなった。
どうやら盗人が出たらしい。盗みに手慣れた賊らしく人混みの中を風のように駆け抜けていく
逃げているものを見ると追いかけたくなるわしの血がうずいた。

「いかねばならぬ」

わしは食べかけのくれぃぷを放り捨て……ようとしたが食べ物を捨てるのはバチが当たるのでちゃんと飲みこんでから走った。
向こうが盗みの達人ならわしは戦の達人なのじゃ。
戦場で敵味方の肩や頭を足場にするのは東国武者には散策のようなもの。わしは群衆の頭や肩を使い賊を追いかけた。

「盗みはいかんぞ。店の者が食えなくなるではないか」

八人の頭を踏み台にしたわしは、賊の両肩に乗っていた。
賊は何かを言おうとしていたが、その前にわしは両足で賊の頭部を挟み込めば、そのまま身体を捻って賊を地面に叩きつけた。

わしは気絶している賊を残して、手近の家の屋根に駆け上った。
善行は隠れてやるものじゃと、父上から教わっておる。

飛飛丸 > 王国の建築物の屋根は瓦や石で出来ているので非常に走りやすい。
我が国は主に木材を屋根に使っているので、風雨の影響で腐っていることもあり踏み抜けばそのまま家の中に落ちることになる。
あれは痛かったのう。

「さて次はどうするかの」

母国から持ってきた砂金のおかげで金子にこまることはないが、それはいつか尽きる。
その前に生業を見つけなければいくまい。
わしは大きく跳ぶと、また人の多い市場へと戻ることにした。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」から飛飛丸さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者酒場」にトランプさんが現れました。
トランプ > 冒険者たちが良く使う酒場。
久しぶりに一人の依頼を報告してから、立ち寄った冒険者酒場。
さて、何処が空いているかと長身の男は店内を軽く見渡してから店の隅の方のテーブル席を見つけそちらへと足を向ける。
その場所からは賑やかな店内が一望でき、非常口にも近い。
そんな場所が気に入り男は店員に軽く手を振り合図を送ってからその席へと進み、木製の椅子を引き腰掛ける。
男の筋肉で作られた体は重く、男が腰を掛けた拍子にギシと小さく鳴き声を上げたのであった。

トランプ > さて、ここ最近血を吸っていなかったなと、酒を頼みながら思う男。
注文を終え、店員が下がる背を見送りながら、店内に血の美味しそうな女性でもいないかと、視線を巡らせていく。
賑やかな店内。
依頼を達成し喜び飲むものや、何か失敗したのかお通夜のように暗い雰囲気の者達と、悲喜交々、賑やかな店内。
中々目を引く存在がいないことにため息を漏らしながらも男は目の前に出されたエールを受け取り、そのジョッキを持ち上げ一人酒を飲む。
舌を過ぎるのはやすっぽいやや酸味の強いそれ、ワインやブランデー等と言った者とは違う粗野な風味。
偶には悪くないな等と思いながら摘みのソーセージをフォークに差し口元へ。
茹でられた腸の皮は男の歯によってぷつりと弾ける音とともに敗れ、中から広がる肉汁。
エールの酸味の後ではその肉の味も強く感じ、ゆっくりとではあるが男の酒は進んでいく。

トランプ > エールも良いが、血も飲みたい等と考えている内に、ジョッキの中のエールは空に。
其れをテーブルの上に戻してから再び店員を呼び次は蒸留酒を注文。
そんな事をしながらも視線は変わらず店内に向けられている。
魔力量を見たり体の動きから腕前を吸いしたりしながら摘みをゆっくりと口に運んでいく。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者酒場」にシトリーさんが現れました。
トランプ > 冒険者たちでにぎわう店の奥、テーブル席の椅子に腰かけゆったりと酒とつまみを呑み進めていく巨躯の男が一人。

店内の喧騒に対し、男のテーブルだけは静かに時が流れている。
軽快をしているのか観察をしているのか、時折顔を上げる男、その鋭い視線で軽く店内を見渡していくのみで、誰に声を掛けたりも今までは無かった。

シトリー > 冒険者の多い王都にいくつかある冒険者たちが集まる酒場。
その中でも比較的荒っぽい人間が集まるという店の戸を開けて中に入り。

まっすぐにカウンターまで向かえばこちらを一瞥してどこか驚いた様子を浮かべる店主の前に革袋を一つ置いて。

「はい、約束の品。
 なに、そんなに驚かなくてもいいでしょ?
 死んでると思った?ちゃんと脚ついてるわよ」

通常の冒険者でも危険なエリアでの最終依頼に武器もほぼ持たない女が戻ってきたことに驚く様子を隠せない相手を見て笑みを浮かべ。
報酬の金貨を受け取れば代わりに安ワインを頼み。

グラスに注がれたそれを軽く飲みながら、面白い男でもいないかと。
店内を軽く見渡せば、時折顔を上げる屈強な男と目が合うだろう。

トランプ > 比較的荒っぽい人間が多くいても、男の席に喧嘩を売りに来るものはめったにいない。
しかしながら、新たに店内に足を踏み入れた女に自然と目が行く。

カウンターで店主との軽いやり取りと報酬を受け取り、安ワインを傾ける相手の視線と自身の視線がぶつかる。
男は其の視線を受け興味深そうに目を少し細めてから、手の中のグラスを持ち上げ軽く掲げ、隣を進めるように相手と視線を合わせたまま椅子を軽く引いて見せる。

シトリー > 相手が椅子を引きこちらを誘うのを見ればグラスを手にもって相手に近づき。

「こんばんは。
 よこ、いいかな?」

フランクな口調で話しかけつつ。
相手の返事を待たずにグラスをテーブルに置いて椅子に座り脚を組む。

その姿は今外から戻ってきたとは思えないほどラフであり。
細身で色白の身体からは到底冒険者とは思えないであろう。

「私はシトリー。
 見ての通り冒険者ってわけじゃないけど、まぁ好きに生きてるって感じかな」

最低限の礼儀を示すように相手に手を差し出して名を名乗り。

トランプ > 椅子を引き相手を誘えば、それに乗った相手がゆったりとこちらに進んでくる。

「あぁ、もちろん構わない。
私も君と飲んでみたかったからな。」

隣の椅子に腰かけ足を組む相手、自然と超区の男が見下ろす形になる。
その姿を見るに、一度宿により装備を置いてきたのではないかと思うほどラフな格好。
線も細いが、冒険者であれば様々な手管を持つものである。

差し出された手に自身の武骨で大きな手を重ね相手の名乗りを受けてから、軽く握る。
その握手一つで相手が武器を主に使うものではなさそうだ、少なくとも武に身を置く者ではないであろうことを察しながらゆっくりと口を開く。

「トランプという。
冒険者なんぞをやっているが、同じように好きに生きている。
ある意味で似た者同士か?」

楽しげに笑いながら、握った手を離すと、もう一度グラスを掲げ軽く乾杯のジェスチャーを送りながら、鋭い漆黒の瞳が感情を見せない白濁色の瞳を見詰めながら、口角を上げ相手を僅かに揶揄う様に言葉を続ける。

「しかし、こんな危なそうな男の所にわざわざ来るとは物好きだな。食べてしまうかもしれないぞ?」

シトリー > 「ふふ、そうかもね」

相手と軽く握手を交わせばその力強い手の感触を感じつつ。
グラスを向けられればこちらも手に取って軽く淵を相手のグラスに当て。
中身を一口飲めばゆっくりと息を吐き出し。

「誘ってくれたのはそっちでしょ?
 それに、どういう風に食べられるのについてもちょっと興味があったからね」

そういえばテーブルに残っていたソーセージを一本手に取れば口に運び。
相手に見せつけるように歯で髪切ったあと、咀嚼して呑み込み。

トランプ > 誘ったのは男だと言われれば、その言葉を受けて愉しそうに笑いながらグラスを軽く当ててから男は酒精の強いウィスキーを一口。

相手がソーセージを一本手に取り歯で噛み切るのを見やれば、男は手を伸ばし、親指で肉汁に濡れた唇を拭い、

「それもそうだな。
ふむ、先ずは美味そうな唇をガブリと、次に細い首の項にガブリ。
その後は肉の柔らかそうなところからだな、先ずは何も付けない素の味を堪能してからどういう味付けにするか考えないとな。」

ソーセージを飲み込んだ拍子に上下に動いた喉を指先で撫で、首後ろに手を滑らせ、相手が逃げなければ自身の方に引き寄せながら言葉の通りに相手の唇を食もうと顔を近づけていく。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者酒場」からシトリーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 冒険者酒場」からトランプさんが去りました。