2021/01/05 のログ
■シルニア > 「私、この国に来てからそんなに経ってないのです。ゆえに、お宿を転々とー...
ゆくゆくはお家を借りたり、したいですけど、それ程稼いだり、信頼を得たりするのはとっても大変なのですよ。」
いまはあっちのほーのお宿を借りてるです、なんて、進行方向のやや右、南東の方を指差す。
「しょじじょーあって、同じ宿をずーっと借りる訳にもいかない状況なのでして...」
「......ティアさん、でりかしー、なのです...」
依然として顔は真っ赤のまま。恥ずかしさを誤魔化すために、彼女にちょっと不満げな、顰めっ面の視線で訴える。
「と、とにかくですっ。この辺のお店は分からないのですが、ティアさんせんぱいは、おてのものです?」
気を取り直して。ぺちん、と頬を叩いて今の失態は忘れることにする。
羞恥は晴れたものの、今度は空腹感が押し寄せるわけで。
彼女に、手近なお店はないかと尋ねてみる。
■ティアフェル > 「うーん、なるほどねー……それじゃあ大変ね。転移先にうっかり人がいるとオチオチ飛べないしねー」
公園とかにしてその場にいちゃついてるカップルとかよろよろしたお年寄りとかいたら結構な事故である。
ふむふむと首肯して、普通にしていた会話もつかの間。
KAWAIIコンボにやられて、ふぎゅ、とちっちゃい身体をハグるという、なんていうか訴えられたら立派な痴漢行為である。
「え、なにそれおいしいの?」
デリカシーを指摘され。真顔で聞き返しては。ごめんごめん、つい…と手を離して後頭部に手を当て笑って誤魔化しにかかる。
「んーとね、この時間だと飲み屋が多くなるけど……この先にカフェバーもあるよ。
フードメニューもそこそこあるからいいかも。しーちゃんそんなに食べないでしょ?」
がっつりこってりしたメニューの酒場などよりは、落ち着いた女性客の多い店の方がいいと判断して。
繁華街へ歩き進めていく途中にある小さなカフェバーを提案して。
問題なければそこで一旦腹ごしらえである。
■シルニア > 「むぅ...」
今ハグされているのも、彼女の反論もどきも、不満ではある、けれど。
頬をふくらませて、不満げな声を漏らすだけで、すぐに彼女のことは許せてしまう。
なんというか、憎めない人柄だから、だろうか。
...それに、彼女にハグされるのは初めてじゃないし。
「ん、じゃあそこでお願いしますですっ!
む、はい、あまり食べられない、のですケド...でも食べないとおっきくなれないのでいっぱい食べたいのです...」
なんて、身体を気にして手を置く場所は、頭と胸。身長も欲しいし、女性らしさがもうちょっと、せめて歳相応ほしい、なんて悩みのもと。
■ティアフェル > カワイイ生き物だな、わたしにはこんな頃なかったし今後もないだろうな。としみじみ実感。
頬を膨らませる所作も、自分がやったら実家で『フグorブタ』と貶されて終わるというのに、やだカワイイこの子ってば。
これが萌えという奴ですね。変なおじさんに掴まりそうだな……とリアルな感想を抱いて心配そうな視線を向ける。
わたしがエロ親父だったら餌食にするならここを選びたいと無駄な妄想を繰り広げていたが、勧めたお店に同意が返ってきたので、我に返り。
「んー…でも下手したら横におっきくなるからね……たくさん食べるのはいいと思うんだけど必ずしも縦に伸びてくれないという現実は意地悪よ……」
かくいう自分も成人女性にしては背は高くない。別に困るほど小さい訳ではないから気にしていないのだけれど。
背を高くしたい、と牛乳飲みまくった弟が全然縦に伸びずただの骨太になってしまった例など思い出して悩まし気な表情を浮かべ。
そうこうしていると、やがてくだんのカフェバーに辿り着き。
昼間はカフェ営業をしているので、余りアダルトな雰囲気ではなくバーにしてはかなり明るい雰囲気の小さな店。
席数も少なく、カウンターの他はテーブル席が3セットしかない。
入店してみると幸い混んではおらず、お好きなお席にと声を掛けられて、テーブル席にしよっか?と小首を傾げ。席に着くとメニューのフード欄を開き。
サンドイッチやパスタなど軽食が主なメニューを見せて。
「ここね、甘いものもおいしいよー」
■シルニア > 「うぐ、それは困るのです...
でも、ミルク飲んでもお魚食べても大きくならないのですよぅ...」
なんならお魚は大好物ですからいつも食べてますし、と。
食事と体作りは深く結びついているものの、必ずしもでは無い。現に私と同じ、あるいは似た悩みを持っている人も多くいるだろうし。
でもやっぱり、思い通りにならないし、コンプレックスが解消されないのはもどかしい。
案内されたカフェに辿り着き。漸く座れる、と、テーブル席に飛び付くように着席。
わくわく、体を揺らしながら彼女の開いたメニューを見て。
ええと、チーズトースト、サンドイッチに、サラダに──どれも美味しそうです。
前屈みに、文字通り食い入るようにメニューを見つめていたけれど。
「甘いものですっ!?
デザートのページが見たいですっ」
彼女の言葉に食いつき、軽食メニューのことは吹っ飛び、デザートのメニューを見たいとせがむ。
...こうしてきちんとした食事より甘味を優先してしまうことが低身長の原因のひとつであることは違いないのかも。
■ティアフェル > 「あー……それは骨太になってるヤツだなー。
大丈夫。それはそれでなかなか骨折もしないし、高齢になってモノを云うから」
生々しい上に何も求められてない例を挙げて。大丈夫、それはそれで正しいと真面目な表情で断言した。
わたしも魚も牛乳も好きだったし充分摂取した、が縦には大して伸びていないまま打ち止めであると嫌な生き証人。
疲れていてお腹が空いていたらしく席に着いてメニューをガン見している彼女は、ごはんよりデザートに強く反応した。
ええ、健康学的には間違っているけれど、乙女学的にそれでいいのです…と暖かな眼差しを注いで。
「いっちゃう? 夜の禁断スイーツいっちゃう?
君がいくならわたしも続くぞー。二人で太れば怖くない。
スイートポテトパイと、ミルクパフェ、冬苺ミルフィーユがやばいよ。
二巡できそうなくらい」
タルトやシフォンケーキ、自家製パイなど、甘くてふわふわさくさくした魅惑のデザート欄を大きく開いて。
なんならシェアしていろいろ食べちゃう?と誘惑開始。
■シルニア > 「むー、確かに骨折した経験もないですがぁ、求めてるのはそれじゃないのですよう...」
顎をテーブルに付けて落ち込む。
けれど、すぐにむくりと起き上がって。
─そんなことよりデザートなのです!
「いっちゃうっ!いっちゃうのですっ。
いちごっ!!私苺ミルフィーユと、この苺のタルトがいいですっ!
しぇあ...は、ティアさんと半分こ、ってことですよね。じゃあ、苺のパルフェもっ!
それと、クリームソーダもっ!」
欲望200%の注文。胃の容量の200%でもある。だけれど、おなかぺこぺこで大好物を提示されて、誘惑されたら誰でもこうなる...たぶん。
魔法陣の展開に使う、魔法の光で食べたいメニューに丸印を付ける程の食いつき。
■ティアフェル > 「いーじゃない……背が高くてムチムチバディでしょっちゅうボキボキ骨折ってるより……いいじゃない……」
論点が180度入れ替わって、何故かアンニュイな表情で述べていたが。
ええ、そんなことよりデザートです。
「よっしゃー。ええ意気込みや……。
わたし、栗のシフォン、オレンジムース!
しょっぱい入れなきゃだめだよ、しーちゃん! 甘いばっかりじゃしんどいからね。
酸っぱいとしょっぱいを取り入れて行けば無限にいける!
という訳で、モッツァレラチーズパイ! 紅茶ブランデー入りでー」
お願いしまーす、と店員を呼んで禁断の夜食スイーツにかかった。
注文を通すとわくわく待ちわびながら。へらへら嬉しそうに弛緩し。
「嬉しいなー。独りじゃさすがに罪悪感の余り夜にはお菓子食べれないもん」
不思議と道連れを巻き込むとイケてしまう。不思議な心理。やだなーいけないなー太っちゃうーと云いながらばくばく食べるという矛盾の世界に入り込んで悦々とする。
■シルニア > 「しょっぱいのを...なるほど、なんだか手練なのです...!」
なんて頷いて感心しつつ。
頼んだデザートの到着まで、足をプラプラ、ローブの下のしっぽをフリフリして待ち侘びる。
「私、ここに来てから女の子といっしょにご飯食べるの、初めてなので、とーっても嬉しいのです。
私も独りでお話し相手ナシじゃあ食べられ──あれ。
私、道連れにされてる気がするのです...。」
気付いてしまったものの、後悔なんて無い。既に私も同罪ですー、と開き直ってすらいる。
■ティアフェル > 「っふふ……結果食べ過ぎてもたれることも辞さないわよ、わたしは…!」
無駄に不敵な笑みを浮かべながら二人で食べる量としてはかなり多いオーダーをして、初めに何が来るかなーと待ち構え。
当然先に来るのは飲み物なので、クリームソーダと紅茶が運ばれて。カップを傾けながら。
「あれ? そうなの? 普段はごはん一人で食べるの?
わたしで良かったらたまにごはんしよー。お茶とかでも。
一人のごはんって味気ないよね―――ん?
………何云ってるの…? 破竹の勢いでデザートページに移行したのは……しーちゃんじゃないのよ。同志」
その瞬間から我ら一蓮托生。わたし悪くないもん。と居直り気味ににっこり笑いかけたりしている内に、注文の苺スイーツとかシフォンケーキが届いた。
わあー、とはしゃいだ歓声を上げ。即フォークを構えては、ご唱和願います、と息を吸った。
「はーい、いただきまーす!」
■シルニア > 「後悔先に立たずなのです。こーかいはあとでするのですっ!」
と、届いたクリームソーダのアイスクリームをほぐして、コップを傾ける。
...からっぽのお腹に炭酸が少ししみる。
「わー、するです、するですっ!私の登録してるギルド周りなら私からも紹介できるご飯やさんもあるのですっ。」
「...ぇ。た、確かに私から言ったですけどぉ...でもでも、それより先にこのお店のデザートが美味しいってすすめたのはティアさ──わあぁぁ...♪」
そんな反論も、甘い香りに塗り潰されてを
私は爛々と目を輝かせながら視線をふわふわ、やわらかそうなデザートに釘付けにされる。
フォークを構えるのも、彼女に完全にシンクロ。やはり反論はしていても同志であることには違いないのである。
「はい、いっただっきまーすっ♪♪」
真っ先につつくのは、苺のタルトに乗った真っ赤な苺。好物は最初に食べる派なのである。
さきっぽから齧るのが私流。
「んにい...しあわせです...♡」
苺をすぐに平らげて、タルト生地を掬い、口へ。
ふにゃ、と蕩けたお顔で、デザートに夢中である。
■ティアフェル > 「わたしは悔やまないよ…! 増量してももたれても翌朝ちょっとむくんでもニキビが顔にでちゃったとて…覚悟はできているからね!」
あとの祭りは全部網羅した上での夜スイーツという強行なのである。今の愉しみを引換えに明日のわたしに土下座する。
「いえぇー。楽しみー。じゃあまたゆっくりごはん行こうねー。約束ー。
いや、マジ美味いから。ぜーったい、食べた方がいいもん。ねぇぇ、おいしそうでしょ? やばいっしょ?」
サクサクしたタルトやパイ生地に甘くて酸っぱい鮮やかな色の苺や彩る見た目にもおいしそうなデザートたち。
同じ動きでフォークを構える所作に、鏡のような動きだと感じながら、いただきます、の弾んだ声を重ね。
そして、ケーキの苺を先に食べるのは実は妹や弟に多い傾向だという。何故なら好物は真っ先に兄や姉に横取りされる不遇だからだ。
実際彼女がそうであるかないかはさておき、こちらの姉属性は好物がどこに乗ってようと端の方からマイペースに食べ進んでいくのである。
ふわふわのシフォン生地を大きく一口頬張っては、ふにゃふにゃに表情を弛緩させ。きらきら目だけは輝かせながら。
「んくうぅ……沁みる~ぅ。超おいしー……至福……」
甘いうまいと幸せそうに蕩けながら、ふわふわ柔らかな生地と栗のまったりとしたクリームにうっとり。
「こっちもおいしーよ、食べて食べてー」
浮かれながらシェアである。あーん、と一口フォークで取ってそちらの口元に運ぶという真似をやらかすが。
■シルニア > 「...♡♡」
黙々、夢中にタルトを食べ進めて、空腹を埋めていく。
言葉は発さず、目だけで彼女に美味しい、と幸せ、と伝えながら。
「ぷは...♡おいしーのです...すーっごい濃い苺の甘酸っぱさと、甘々クリーム、サクサクタルトが最高のまっちなのですよぅ...♡」
空腹がある程度埋まれば一息ついて、しみじみと感想を。
そして、彼女が幸せそうに頬張る栗のシフォンケーキに目を奪われていれば、彼女がそれをフォークで差し出していて。
「...あーん...♪」
目を閉じて、お口を開け、猫ミレーの特徴の一つである牙すらも晒しちゃって、完全に甘えんぼ状態。スイーツの甘さにつられて自らも完全に甘々ふわふわ状態なのである。
「あむ、んぅ〜、おいしいれす...♡栗の良い香りがするですっ
ティアさん、私のもっ!」
お礼に、とばかりに、苺のタルトに大きな苺を乗せてフォークで突き、彼女の口もとへ。
■ティアフェル > 甘いものを食べて、幸福感を感じるのは女性ならではの現象らしい。男子には判らない世界に浸りながら、気持ちまでふわふわと浮かび上がるようで。
この一番太る夜に食べているというタブー感も堪らない。
幸せ、と伝えられて、こちらも、幸せーと伝えるという、第三者からしたらちょっと未知なアイコンタクトを交わし。
「食レポ秀逸だよ、しーちゃん。
こっちもふわふわで卵の風味がしっかりした生地に、コクのある栗のクリームたっぷりで……甘みの絹織物やー」
何故か深夜カフェでスイーツの食レポが勃発する。負けじと評価しては、そちらへ一口。
甘いお菓子を、お菓子みたいにふわふわした女の子と食べると、なんだか超和む。
口を開ける所作もKAWAII いっそズルイ。
「ねー。ねー。こっちもおいしーでしょ。――あ、わーい。あー…んっ」
お返しに苺のタルトをいただいては彼女の云う通りのサクサクした生地に苺の甘酸っぱさがよく合っていて、んくーと目をくの字に細めると。
「やばーぁい、苺やばい…! このタルト超さっくさくっ。クリームも濃厚だし……え、これわたしも追加しちゃおうかなっ…」
苺タルトやば過ぎ、ともうひと皿行けそうな気がして口走った。
そんな風に至福の極みで、次々にデザートを味わっていく贅沢時間。
■シルニア > 「えへへ、前に読んだ本を真似して食レポなのです...でも、すらすら感想が出てくるっていうのは、それほどおいしーってことなのですよ♪
わわ、ティアさんも食レポじょーずです!」
幸せなのは、ただ甘くて美味しいから、だけじゃない。きっと彼女と一緒に食べているからなんだろうな、なんて。
「でしょっ!このタルトは当たりなのですっ!はい、あとはティアさんの分なのですっ」
なんて、半分残った苺のタルトのお皿をすすす、と彼女に寄せて。
次は苺のミルフィーユ、その次はパルフェ。
とっくに満腹だけれど、まだまだ、食べられる気がする。
...こうして太るんですよね。
「ティアさん〜〜大変なのです〜〜
...おなかいっぱいになったら、眠くなってきたのですぅ...これだけデザート食べて直ぐに寝ちゃうのは一大事なのです...」
ぺしょん、と耳を垂れさせて、目を細め、うつらうつらと。
■ティアフェル > 「だね、一瞬旨さしか感じない無言の時間が流れてからは、口が感動を伝えようと乗り移った様に動いちゃうよね。
うふふ、このテーブル、ゾーンに入ってる……」
一体どこの何のゾーンだというのか。甘い幸せにとろとろへにゃへにゃと軟体動物のようになり下がりながらもそこから脱出の意思ゼロで、ひたすら味わい。
「苺もおいしいけど生地もバターが効いてる~。二人で分けるといろいろ食べれるし、何よりおいしいからいくらでも入っちゃう……ああ、なんて危険な」
おいしい、と笑い合いながらお菓子を味わう時間はいっそ尊い。しかしこんな時間にそんなことやらかしているもんだからもちろん睡魔が口を開けて待ち構えておられる。
ふわふわ、さくさく、とろり、と様々な触感と味を堪能して合間にしょっぱいも挟み、順調に皿を空にしていっていると、お眠な様子に。
おお、と軽く目を瞠って。
「それは大変なのですよ~~……絶対翌朝体重計に乗っちゃいけないことになってるよ~。
でも……分かるぅ~……わたしもねーむーいー……このまま寝たら絶対幸せだよ……いいじゃん、もう。帰って寝よう……明日の自分に土下座しとこ……」
五体投地みたいな勢いでベッドに沈みたい。明らか寝そうな様子に、取り敢えずベッドまでは耐えて。
それからは危険を承知で睡魔に身を委ねるといいよと、お菓子みたいに甘ったるい意見を推して。
――きっとそれは実行されることだろう。この時間にお腹一杯にしてしまったらもう、撃沈するしかない。
今日だけ自分を甘やかすことを推奨して、食べ終わってお腹ぱんぱんにしたらお会計をして、帰ってベッドに直行だ。
■シルニア > 「うぅ〜...ティアさんが言うから仕方なく従うだけなのです...
明日、一緒に後悔するのです...。」
なんて、うわ言のように呟いて。ウトウトしながらも、まだ残っているデザートをつつくのは止めない。
「でも寝るのはあとすこし、これをぜーんぶ食べてから、です...
しあわせ、なのですよぉ...♡」
眠たいのか、食べたいのか。
どっちもしたいです...。
そうして文字通りの夢見心地でデザートを平らげ、至福のひと時を過ごしたあと。会計を済ませ、とてつもない罪悪感を背負いながらそれぞれの宿舎へと向かうことに──
ご案内:「王都マグメール 平民地区 とある聖堂」からシルニアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 とある聖堂」からティアフェルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 訓練場」にクレス・ローベルクさんが現れました。
■クレス・ローベルク > 訓練、と聞いて一番解りやすいのは筋トレやマラソンといった基礎体力を増やすもの。
次に解りやすいのは、素振りや型稽古だろうか。
だが、男がやっているのは、そういう物ではない――何せ、ただ目を瞑って座っているだけなのだ。
「……」
いわゆる瞑想というものだが、何故それをわざわざ訓練場を借りてやっているのかは、傍目からは解らない。
ただ、彼としては真剣なのか、周囲で剣を振ろうが何をしようが、ひたすら目を瞑っている。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 訓練場」にソラムさんが現れました。
■ソラム > 「.........ふぁぁ」
寝ぼけナマコで目を擦り訓練所の辺りを見回す。
彼女が起きたのはついさっきであり、訓練所を訪れたのは散歩目的だったが、
「........クレス?」
訓練所でただ目を瞑ったまま動かないクレスがいた。
何故に動かないのかはさておき、気づかれないようにソロソロと近づき、ツンツンと肩をつつく。
■クレス・ローベルク > 「――」
瞑想というのは、基本的に自分の内側に精神を集中させる物だ。
言わば、集中力の訓練と言えるもの――逆に言えば瞑想中は基本的に周囲に対し警戒していない。
だからだろうか、多少気配を消していたとしても、彼女が近づいても、男は気づく事が無かった。
それどころか、肩を突かれても、
「――」
不動。
まったく動かない。
まるで肉で出来た人形のごとしである。
■ソラム > 「........おーい」
頬をぺちぺちと叩いて呼び掛けてもクレスに反応は無いだろう。
困ったものだと思いながらどうしたものかと考えていると、ひとつの案を思い浮かべるが、
「.....使いたくない」
すぐに却下する。使えばクレスに存在をアピール出来るが、ほぼ人外だと分かってしまうだろう。
ならばと彼女はその場にぽふんと座り込む。
十中八九クレス瞑想を終えるまで待つ気であろう。
■クレス・ローベルク > 目を開けると、目の前に少女が座り込んでいた。
見覚えのある少女だ――龍人の少女。
何故、こんな所にいるのか、と首をかしげたが、直ぐに思い至り、
「ああ、待ってたのか。ごめんごめん」
と頭を掻いて立ち上がる。
少し、深く入りすぎていたな、と呟きながら。
■クレス・ローベルク > 男と彼女は、そのまま暫く話をして――
ご案内:「王都マグメール 平民地区 訓練場」からクレス・ローベルクさんが去りました。