2020/12/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」に燈篭さんが現れました。
■燈篭 > 夕暮れを過ぎるのが早い 嗚呼、早い
鬼は逢魔が時の過ぎた夜の帳が下りる宙を見上げる。
少し気を逸らすだけで辺りはもうこんなにも暗い。
鬼にとってはそれは好都合なものだった。
夜が早いということは、それだけ夜に群れる者がいる 光灯の蛾のように。
鬼は敢えて物騒な道を選ぶように、綺麗に片付けられてしまっている目貫通りを過ぎて裏の路地へ。
裏口や壁で作られた細い道筋から、裏通りの流通を作るために太く作られた場所まで様々なもの。
太い道のりを、裸足の裏腹へ布を巻き付けただけの足取りでべたりべたりと歩いている。
手には愛酒とは違う、雪水のように透けた穀物酒。
横に太ったガラスのボトルは、まるで中に何もないかのように向こう側を映している。
味もまた、度数を利かせたそれ。 味わいよりも、喉に灼ける感覚を楽しむためのような酒。
故に味わうという流れはない。
流し込むように、女童の大きく開けた口の中へと注がれる。
がぼっがぼっがぼんっ
「―――くっはぁぁぁ……♡」
鬼は幼い体つきや顔立ちながらに、四肢は肉質は逞しく
鬼を表すように右の肘に一角
左側頭部に一角が後ろへ向けて生えていた。
頬を酩酊で染め、瞳はトロンとしながらも、鬼の気配は酒を飲むたびに濃密になる。
身なりも決して悪くはない。
酒とその体をいただこうとする輩、この国にいないはずはない。
―――最も、それも鼻の効きが悪いサンピンばかりとなるが。
故に、事態が収まるころにはこうなる。
「おいおいおい、数人がかりで鬼退治しにきたんだるぉ?
もっと私を楽しませろよぉ。なぁ~。」
酒を片手に、そこらに転がる若者ら。
壁に叩きつけられたと思えるそれや、足蹴にされたこれを含め
鬼は久しぶりの街見遊山だったというのに、呆気無い。
「私を私って知ってたんじゃないのかい。
全く、理性があれば獣だって逃げるもんさ。」
うぃっく、としゃっくりを一つ。
そう、鬼を鬼と知っていれば、獣でも人でも刃向かわない。
それすらしないのならばそれは畜生と同じことだ。
■燈篭 > 危機感のない畜生でなければ、敢えて向かってくる者は益荒男
鬼はそう信じて疑わない
故にがっかりといった具合だった
手元の酒がなかったら今頃は何をしていたことか
しかし、足蹴にしていた男を鬼は足で仰向けに。
苦しそうにする男の胸元へ足をおっぴろげて尻を乗せようか。
最も、勢い余ってドスンと沈んだ強さは、男に嗚咽させるには十分なものだった
そんな酷い嗚咽を利かせた男 鬼はまだ加減が効いていたらしい
酒を片手にグビリと飲むと、右手は準備はできている。
「おらっ起きろっ
私はまだ楽しんでないぞ おらっ。」
鬼のおうふくビンタ
男は弱り切って動けない!
びしっべしっべちっばちっゴキッ
5回当たった
「ぁ、やっちった。」
そして男も潰えた。
やれやれ、とつまらなさげに、男を腰掛け椅子にしたまま酒を揺らす。
先ほどまでの、味気ない一幕を慰めるように酒の揺れる音を聞いて楽しむかのよう。
じゃぼんっだぽんっと揺れるその音の響きは、酒好きにはたまらないものだろうか。
酒を呷るたびに、鬼の臓腑で温もった息が白く染め上がってもわもわと漂い。
■燈篭 > 躯らを一度見るものの、その時の鬼は全くそそられなかった
有象無象を酒に変えてもつまらない
今飲んでいる酒よりも味が悪そうだと、その場を離れるだろう
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」から燈篭さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にロイスさんが現れました。
■ロイス > 「……仕事が無くても、此処に来てしまうのは職業病だよな」
そんな事を思いながら、カウンター席に座って酒を飲んでいる。
どうやら、一人の様だ。
周囲の喧騒を肴に、酒を飲もうという事らしい。
サラミとチーズを食べながら、エールを流し込み、
「……いい加減、酒と仕事以外の楽しみを見つけるべきだよな」
我ながら、と思うが遊ぶのが下手なのは半ばあきらめている。
賭博も、あまり楽しいとは思えない。
冒険者としての技能を磨いたり剣術を鍛えるのは楽しいが、それは何か違うだろう。
「うーん……難しいな……」