2020/10/12 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエンジュさんが現れました。
エンジュ > (早朝の裏通り、秋の麗らかな日差しが照らし出すのは、閑散たる路地の石畳ばかり。
 何処ぞの安酒場から追い出された酔漢が、道端に寝転がっているでもなく、
 冒険者たちが夜明けと共に出発した後の安宿は、束の間の静けさの中に在り。

 通りに面した扉へ板切れを打ち付けて、明らかに営業放棄をしている店も多く建ち並ぶ中、
 同様に古びてはいるものの、取り敢えず普通に開け閉て出来るようにはしてある扉を開けて、
 黒いワンピースを着た女が一人、ぬるりと気だるげに姿を現した。
 しどけなく流していた翡翠の髪を両手で掻き上げて後頭部で緩く留め、
 羽織ってきた薄物のストールを肩から胸元へと掻き寄せて、
 ―――まずは、小さな欠伸をひとつ。)

「ああ、……今日は、良い天気ねェ……」

(平日の朝、さあこれから働くぞ、という風には、どう見ても思えない。
 どちらかと言うと、このまま二度寝も辞さない、といった風情の女だった。)

ご案内:「王都マグメール 平民地区」に影時さんが現れました。
影時 > 仕事が明ければ大概、このようなものだ。
何もせずに座を組んで瞑想することもあれば、浴びるように酒をかっ喰らって寝ることもある。
明日がどうなるかどうかは、それこそ窮している時に悩み煩えばいい。
馴染みの酒場が店仕舞いと同時に叩き起こされ、出されては生欠伸と共に裏通りを逍遥する。

片手に抱えるは、会計ついでにこれもと買い上げた陶製の酒瓶。
余分な荷物はなく、腰に帯びた刀と共に揺らしながら、秋めいた風を受ける。
場所柄か、妙に生臭い薫りが混じっているのはご愛敬だが、なるほど。

「――……目ぇ、覚めるにゃ足りるが、今一つこう、足りんなぁ」

この辺りでは見慣れない意匠の装いに纏わり付いた埃を払いつつ、嘯いて顎を摩る。
宿に戻るか。少し歩くが、表通りの冒険者ギルドに顔を出して仕事の有無を尋ねるか。
少し、思案げな面持ちで歩きながら、思考を巡らせる。
身に酒気の匂いが抜けないが、その足取りは不思議と隙なく、また秋風の涼やかさに紛れるように気配は薄い。
そんな中、視界の端に止まった姿に微かに首を巡らせ。

「――よう、やってるかい? と言っても、何の商いかは知らんが」

と、そんな声を投げかけてみるのだ。
店と思しい場所から出てきた女に対してだ。
何かの商売をやっているのであろうが、今から仕事を元気よく始めよう!という風情ではない。
怠惰というか、億劫というか。見目は良さにそぐわぬ様が、ふと、気になったのだ。

エンジュ > (近づいて来る、足音、ひとつ。
 ―――恐らく意識するしないに拘わらず、手練れの者のそれは抑えられており、
 そんなものを敏感に察知出来る程、この女は神経細やかではない。
 ただ、ほんの少しばかり強く、酒精の香りを嗅ぎ取っただけだ。
 それすら、この界隈では珍しくもないものだが―――。

 だから、男が声を掛けてきた時。
 瞬きひとつで首を巡らせ、やや据わり気味の眼差しを声の主へ宛てる、
 そんな反応は存外俊敏であったと思う。
 僅かに開いた紅色の唇が、声を発するべく息をスウ、と吸い込むのは、
 穏やか、と呼ぶには凪ぎ過ぎた双眸が、じっくりと男の風体を、
 頭の天辺から足の爪先まで、眺め終えた後のことだ。)

「アンタのお望みがお宿なら、空いてる部屋のひとつぐらい用立ててやっても構わないよォ。
 ベッドは狭いし、だいぶ傷んじゃいるけどねェ……」

(ふあァ、とそこでまたひとつ、大口開けて欠伸をひとつ。
 流石に右手で口許を隠して、その手の甲でひと掬い、目許の潤みを拭い去り、
 でも、と声のトーンを更に低く落として。)

「……ベッドじゃなくて、抱き枕をご所望だ、っていうンなら。
 あたしはそういう商売ヤってないから、他、当たンな、って言っとくよ」

(にんまり、口角を上げて笑いかけたが。
 言葉の中身はいささか、剣呑にも聞こえたろうか。)

影時 > そう。特にこの時間帯のこの界隈で有れば、酒気を帯びたものなぞ、吐いて捨てる位在ろう。
その中にて、気配を自ずと減じる術を身に弁えたモノが混じっていても然程目立つこともあるまい。
ともあれ、気紛れついでに心中に湧いた言の葉を舌に出し、訊いたものの動きを見遣る。

「……ふむ」

寝惚け気味かと思いきや、思いのほかその反応は早かった。
値踏みするというにはその色を見出せず、されども感情というトーンを感じるには平坦な目が気になる女だ。
ひっくるめて思うとなれば、確かに見目はいい。
服の上から伺える躰の起伏も、それこそ男好みする位だろう。
廓抜けした女の類であれば、斯様な風情でもするか? 己もまた、向こうの所作より思考を巡らせ。

「屋根と壁がしっかりしてンなら、寝るには困らねえなぁ。濡れなきゃいい。
 ――そういうのも良いし大好きだが、その気になんねェ奴をどうこう、ってのは面倒過ぎだ」

続く言葉に、は、と息を吐き出して、口の端を釣り上げる。
成る程、少なくとも商売女が生業というわけではないのだろう。
もとより、そういうものがこんな風にその手の店を出すというのも、少々奇異が過ぎる。
かといって、何の店かというとその疑問は晴れない。
今すぐ晴らしたいワケではないが、かといって晴らすと晴らすで、存外一言で終わるのもどこか惜しい。

「お前さんが酒呑んで二度寝キメ込むついでで良けりゃぁ、部屋の世話に預かりたいな。
 見ての通り、持ち合わせがある」

故に、こう問うてみよう。左手に抱えた甕のような陶製の瓶を持ち上げ、示して。

エンジュ > (こちらが男へと宛てた視線の無遠慮さ、不躾さを、巨大な棚へ放り上げる代わり。
 男がこちらを観察する、というのなら、その視線を厭うことも、警戒して身を捩ることも無かった。
 肌の露出と言えば、そもそも顔と、デコルテライン程度のものだったが、
 ストールの合わせ目から覗く胸の谷間すら、隠す心算も無さそうに。)

「そうだねェ、取り敢えずここ数日、雨漏りはしてなかったと思うよォ?
 少なくともあたしの寝てた部屋ではね、……貸すのは、廊下隔てた隣の部屋だけど」

(まあ屋根は同じなのだから、廊下一本隔てた位で、建材の朽ち加減が大きく違う、ことも無いだろう。
 空惚けた調子で肩を竦ませ―――どうやら、宿屋でも娼館でもない、とは、
 理解して貰えたようだと判ずるも。
 では何の店なのかと問われたならば、素直に答えるかというと―――

 そんな捻くれ具合が通常運転の女であった、ので。
 酒瓶を掲げて示す男の誘いに、初めて、ぱしりとはっきり瞬いた。
 奇矯なものを見た、と言わんばかりの眼差しが、数秒。
 それから、くふり、喉を鳴らして)

「二度寝する、なんて言った心算は無いけどねェ。
 けどまあ……酒は好きだよ、フツーに飲ませてくれるンならね。
 おいで、―――…足許、気をつけなよォ」

(大きく扉を押し開けて、先んじて屋内へ立ち戻りながら。
 細い肩が可笑しげに揺れているのは、恐らく外からの光で知れるだろう。

 扉の奥、一階部分は恐らく、かつては何かの販売スペースだったのだろう、
 ショーケースと思しきものにも、その奥の作業スペースと思しき場所に置かれた机や椅子にも、
 埃塗れの白い布が被せられている。
 女が向かうのはその更に奥、幅の狭い階段を上がり切った先にある、
 こじんまりとしたキッチン兼居間、といった風情の部屋である、が。
 ―――来客のために窓を開けるだとか、灯りを点けるだとかいう発想は、どうやら無いらしく。
 あれ程外を満たしていた朝の光に再会出来るのは、ささやかな水場とテーブル、椅子ふたつ、程で構成された、
 小さなベランダに面した、二階の部屋に辿り着いてからのことであろう。)

影時 > 「そいつは重畳。……と、思いてェなぁ」

大丈夫、だろう。きっと。恐らく。唇を震わせ、肩を竦める。

相互に初対面であるなら、視線の無遠慮さなど、気にするに値しない。
そもそも当地の装いに身を包んでいても、肌色や髪色などで奇異の目などは幾らでも向けられる。
どうせなら、そう。金でも取りたい位に。そうやって仕様もない商いをすると、目立つのが考え物だが。
男の性質――サガとしてついつい目が向く相手の胸の谷間への視線も、気にしない素振りは逆に有り難い。

「嗚呼、そりゃ勘繰りが過ぎたか。すまんすまん。
 逆に普通じゃねェ飲み方があるなら、聞きてえ位だ。ともあれ、お邪魔するぜ」

もとより、気になるものに目が向く生き方だ。
急ぐ旅でも勤めでも何でもない。好きに生きるには儘ならないが、自己責任が及ぶ範囲で気儘ではありたい。
故に、向こうの応えに忝い、と頷いては屋内に入る向こうの姿に続こう。

そうして、扉の向こうに見えた風景に、僅かに眉を顰める。
ある種よくある商家めいた――、それこそ長く店を閉めているという但し書きが付くが、ともかくそんな風情が此処にある。
埃の体積を吟味するなら、覆い布は長らく払われずに久しいか。

足元には危なげなく、だが、余分な足音はさせずに狭い階段を登り切った先が、生活空間なのだろう。
換気されていない風の其処を抜けた先が、件の部屋か。暫しの別離を超えて再び逢えた朝の光が、妙に眩しい。
片目を眇めつつ、盃はあるかね?と問いつつ携えてきた酒瓶を卓の上に置こう。
体積もあるぶん、ずしり、と。目方の重さを音で知らせる代物を。

エンジュ > 「大丈夫だろォ、流石に廊下に黴でも生えりゃ、あたしも気がつくさ」

(多少の雨漏りなら気づかない恐れは充分に、然しここ数日降り続いた雨ならば、
 廊下にも、最悪階下にだって、異変は感じ取れた筈だ、と。
 
 その程度の管理能力しか発揮していない女が、普段使いもしない階下の部屋に、
 空気の入れ替えだとか清掃だとかを行っていないのは、ある意味、道理と言えた。
 ただ、使われていない、構われていない割りには―――整然としている。
 まるで明日の朝、するりと身ひとつで出て行くことも叶いそうな程に、
 生活感、というものが希薄な状態で。

 けれども階段を上がった先には、多少なりとも、女がそこで暮らしていることを示す彩が在る。
 家具調度の類は少ないが、綺麗に片付けられているし、
 ベランダに面した窓辺には、小さな鉢植えの花さえ在る。

 窓に向かって左手に水場、右手にある扉の先は、更に上階へ向かう階段へ続く。
 朝日の恩恵を存分に受けられるテーブルと、向かい合って置かれた二脚の椅子。
 そちらを目顔で示しつつ、家主本人は壁に造りつけの食器棚へ向かい)

「止しとくれよ、朝っぱらからアンタみたいな色男相手に、
 フツーじゃない酒の飲み方なんか指南したかないよォ。
 ―――――そうだ、ツマミの好みはあるかい?
 生憎ウチにゃ、チーズとか、燻製肉位しか置いてないンだけど」

(コトン、コトン。
 酒瓶の置かれたテーブルに、白い手が運んで来たのは硝子の杯。
 飲み口から底面へ向けて、次第に深く蒼い色がついた―――手に取れば不思議と馴染む、
 見た目よりは少しばかり、値の張りそうな品であったりもするのだが。
 差し出す女の表情にも態度にも、躊躇いやら気負いやらは皆無である。)

影時 > 「直ぐに目につくトコに生えてりゃぁ、と付かんかそれは」

水も金も高きから低きに流れる。
概して気づくときは思わぬところに生えているのが、黴やら茸やらだ。
翻って考えるなら、然程意に介していない。考えていないとも言い換えることもできるだろう。
使う処以外は手を入れない反面、先ほど見た階下については、散らかっていない。

もし明け渡したら、憂いなく次に渡せるような。直ぐに使えるような。
後先考えぬ雑然ではなく、この整然とは如何に説明をつけるべきか。
部屋の在りようとは、心の在りように似たる――とも云うが、さて。
このはっきりしなさ、知れなさを己は面白き、と思う。女とはこの位謎めいているくらいが良きと。

暮らしている場所、生活がある場所を見遣れば、物は少なくとも整っている。
鉢植えの花に目を細めつつ、示された場所に足を向けては物を置こう。
腰に帯びた得物は今は用はなきと外し、椅子の近くの壁際に立てかけて、勝手に椅子を引いて座す。
座れば不思議と、小さな息が出る。

「色男たァ、言ってくれる。嬉しいねえ。
 指南してくれるならそれはそれで愉しそうだが、嗚呼、乳酪の類よりは肉がいい。

 ちょいと強めだからなぁ。ついでに水も持ってくれるンなら有難ぇ」

言の葉にからからと笑い、置かれた硝子の杯に、ほほう、と吟味するような目を遣る。
よく見るまでもない。少なからず値がつく良いものであろう。
であれば、注がれる酒も莞爾と笑って匂い立つだろう。そう思いつつ、手を伸ばして酒瓶の封を切る。
中身は麦を素材にした蒸留酒だ。焼酎めいた味わいと値段が手ごろなのが、懐具合に有難い。

エンジュ > (男の物言いに、女の方はあっけらかんと笑ってみせた。)

「あはァ、そりゃそうさあ、……見えないモンは気付かない、
 気付かないンなら、無いも同然、って考える方が諸々平和だろォ?」

(世の綺麗好きたちが聞いたら、怖気を振るって逃げ出しそうな。
 ひょっとしたら目の前の男だって、とは思えども、敢えてそんな言い方をした。
 それで断ち切れる縁ならば、所詮はその程度のこと、なぞと、
 格好をつける心算は無かったが―――取り敢えず。

 少なくとも階下の在り様よりは、他人を招くに足る空間で。
 男が壁に立てかけた得物を物珍しげに見遣る間がほんの少し、
 けれどそれも、男自身の風体とはしっくり馴染むものでもあったから、
 特に何か尋ねるでもなく、身を翻して元の棚へ向かい)

「あたしの主観だからねェ、妙な自信持たれても困るけど。
 まァ、これでも人並みの審美眼は持ってる心算だよ、でもさ、

 ……酒も、ツマミも、オトコもさ。
 すこォしばかり、癖のある方が、味があって良いと思わないかい?」

(くすくすと、忍び笑いを交えつつ。
 揃いで買い求めた硝子の水差しに水を満たし、燻製肉のスライスを盛った皿と共に、
 再びテーブルへと戻ってきた。
 差し向かいの椅子に座って緩く脚を組み、当然のように手に取って、
 男へと差し出す杯は、酌をしてくれるものと信じて疑っていない挙措である。
 勿論男の分の杯へは、女が手を伸ばして注ごうとするだろう。
 ―――それが互いに名も知らぬ、奇妙な酒宴の始まりだった。)

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエンジュさんが去りました。
影時 > 「そりゃご尤もだ。見えてねェなら、ないにも等しいわな」

これは、気にするものは気になってしまう案件ではなかろうか。
そんな感慨を抱いては、呆れ混じりに口元を緩める。
仮に付き添いでも居るのであれば、甲斐甲斐しく掃除に性が出るのかもしれない。
考え方は共感、理解はできるが、忍びとしての培った習い性として、気になる。
つまりは、仮と言えども自己の生活の拠点の管理は徹底しなければならない、ということだ。
そうしなければ、万一の際に痕跡から諸々を悟られてしまう。そんな小心めいたものも共に。

「なーに、それ位で自惚れやしねぇわな。
 嗚呼、其れを言うならオンナの方だって言える。

 ちょいとばっかし癖がある方が、いい。俺としては好ましいし、愉しい」

ツマミまで用意してくれてすまんね、と座しながら会釈をしては、差し出される盃に当然、とばかり注ごう。
琥珀色の匂い立つ酒を相互に注ぎ合えば、杯を掲げて酒宴に興じたことだろう。

互いに名も知れなくとも――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」から影時さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にグラスシエルさんが現れました。
グラスシエル > 平民地区の小さな公園
平民地区と言っても、過疎化した住宅地の片隅にある石畳と、生け垣、後はベンチぐらいの簡素な公園である

そのベンチに、細身の濃紺の軍服を着た少年が寝転んでいた。まだ成人には程遠く、顔立ちも整っている。が―――その目つきだけは非常に悪い。
まるで野良猫のような目つきをした少年は、寝転んだまま雲の多い空を睨むように見上げてる

「くぁ―――なにもないのは、退屈だな」

平和は結構。命のやりとりのような殺し合いを楽しむ趣味など微塵もない。【狂犬】と呼ばれ、魔族を殺し続けてきても、殺していても、殺し合いに喜びなんて見出したことはない。
ただ、自分が死ねば他の天使が戦場に出る―――それは嫌だっただけだ

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にグラスシエルさんが現れました。
グラスシエル > 「ふーむ……」

多少腹が減った。ベンチから起き上がると、腕を大きく上に伸ばす。コキコキと首を回しながら、商業地区の方へと歩いていき

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からグラスシエルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 バザー」にエイガー・クロードさんが現れました。
エイガー・クロード > バザー。時々この平民地区では見られる催し物。
人々はそこそこ賑わい、いろいろな品々を見ていく。
それは編まれた布であったり、衣類であったり、あるいは珍しい家庭料理もあるかもしれない。

貴族としてはあまり行ってはいけないという暗黙の了解があったが、自分には関係がないことだ。
どうせ誰も気にすることもなし、好きなものを買ってしまえ。

「~♪」

鼻歌まじりに、そう思いながらその男……女のような化粧を施した騎士は周辺の警備も兼ねて歩き回っていた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区 バザー」にユンファさんが現れました。
ユンファ > バザーなどがあれば先ず出かけるのがこの少女。
掘り出し物を探すだけでなく、こういうのが売れるというめぼしも付けることができるので。

何かないかと眺めて歩けば編んだ布やこの辺りや故郷の衣服、魔導機械があったりと見る物に困らない。
ただその分前方不注意になってしまうのは仕方なく…。

「わとと、ごめんね。大丈夫?」

おそらくは警備、お化粧をした長身の騎士と思われる男性にぶつかり。
一歩下がると頭を下げる。

エイガー・クロード > 歩いているうちに、こちらへと近づく影に気が付かなかったのは、不注意かそれとも……。

「おっと、大丈夫よ。あなたこそ、平気?」

優しく微笑みながら、頭を下げた少女の身を案じる。
シェンヤン風の衣装に身を包んだ、おそらく冒険者であろう少女だった。
様子を見るにここに来て楽しく見ていたのだろう。

「怪我はないようね。よかったわ」

ふむ、と少女を少し観察する。
今も他の品へと目を移ろうとしているのを見て、商人気質か、はたまた何か珍しいものを探しているのか。

「どう?結構賑わってるでしょ。いいものみつけられた?」

ユンファ > 「私は大丈夫よ。そっちも大丈夫で安心したよ」

この国の衛兵は何かあれば無茶難題で絡んでくる印象があり。
笑みを浮かべて身を案じる姿を珍しそうに見てしまい。
立派なマントに気が付くとお偉い人なのかと上から下まで何度か見てしまい。

「ちょっとぶつかっただけだから本当に大丈夫よ」

何でもないというように腕を軽く曲げてアピールしてみせ。
男性越しに何かあった気がしてついそちらを見てしまう。

「凄くにぎわってて面白いよ。いい物?勿論よ」

その言葉に満面の笑みを見せれば袖からよく判らない棒のような魔導機械を取り出して見せて。

エイガー・クロード > 「ん、それなら安心ね。……どうしたの?」

まじまじと、こちらを上から下まで見てくる少女へ不思議な目を向ける。
確かに珍しい存在として見られることは多いが、あまり気のいいものでもない。
最も、慣れてるからすぐにまた柔らかい笑みを浮かべたのだが。

「それは……へぇ、魔導機械なんて売られることもあるのねぇ。
どんなものなの?それ」

魔導機械の知識は自分にはあまりない、元々勉強してもわからないものが多いし。
よくわからないその魔導機械を指さして、どんなものか疑問を投げかけた。

ユンファ > 「何でもないね。立派なマントと思ったのよ」

不思議な目を向けられると首を横に振って何でもないアピール。
ただ珍しいと思ったのはお化粧ではなくマントとその態度。
なので勘違いされない様になんでもないと言いつつ理由を告げて。

「あっちで見つけたのよ。どんなのかはさっぱりね」

面白そうなので買っただけ、自分も詳しくはないのでさっぱりと簡単に告げ。
見てみる?とその棒のような魔導機械、味方によっては剣の握り手に見えるそれを差し出してみる。

エイガー・クロード > 「そう?まぁ、確かにそうね。
貴族なんて普段からこんなところに来るわけもないし」

くすり、と自嘲的な笑みを浮かべて、自分のマントをちらりと見た。
しかし、自身の口調や化粧について触ってこない辺り、文化の違い……だろうか?
そのようなものを感じた気がする。

「へぇー……さっぱりなのに買ったの?すごい行動力ね……」

感心したようにその魔導機械を見つめながら。
いいの?と差し出されて目線で聞いた後、そっと手に取る。
自分にはただの精巧な棒にしか見えないが……。

「……これ、どう使うのかしら……」

ユンファ > 「そうよ。よくうろついてるのはマントしてないね。
貴族だったの?」

まさか貴族とは思わずにほんの少しだけ縮こまる。
口調や化粧は特に気にする事でもないと口にはせず。
男がお化粧して何が悪いのという考えを持っていたりして。

「珍しいし欲しいと思ったから買ったね。そんなに凄い事?」

次にはもう見ないかもしれない。
それならば買ってしまえという突撃精神に似た行動力。
手渡せば変なのでしょうと楽しそうにしたままで。

「わかんないね。ちょこっと弄ったけどさっぱりよ。
何か面白い仕掛けがあると良いと思ってるのよ」

男性を見ては自分と同じで判らない様子だが使い方がわからないのだから仕方ない。
これから剣が伸びたら面白いのにと言いながら男性の手からその棒を返してもらうとくるくるとまわして。

エイガー・クロード > 「ん、えぇ、まぁ。よくそんな風には見えないって言われるけどね」

縮こまられて、苦笑する。
そんなにかしこまらなくていい、と手を軽く上げて伝える。
別に取って食ったりはしない、むしろ守る方なのだから。

「私は一度本当にいるかどうか考えちゃうわねー。あ、でも可愛いものや美味しいものは別よ?
あなたもおひとつどう?」

ごそごそと、さっき買った棒に包んである水飴を一つ差し出す。
歪な形だが、なかなか大きい。
舐めれば、かなり甘いが、まぁ市販に出せる程度には美味しい。

「ふーん。……仕掛けね。何か、魔力とか通して使ったりするのかもね?」

そんな風にぼやいて、魔導機械を見つめる。
どうしたらそんな風な機能が着けられるのか、全く分からない。
だが、珍しいものでも、使い方がわからなければこういう所に売られたりもするのだろう。

「今一人?よかったら一緒に行く?」

まるでナンパのような文句だが、まぁ何かの縁だ。

ユンファ > 「見えなくはないけど……なんか面白そうな人ね」

苦笑する姿に直ぐに姿勢を戻してそんな事を言い切る。
どうやら細かなことは気にしない様子に良かった良かったと最初のような笑みを見せて。

「ワタシは見つけたら即買うのよ。考えるのは後ね。
可愛いのや美味しいのはワタシもそうよ。
いいの?それならありがたくいただくね」

差し出された水飴を見ると躊躇いなく受け取る。
意外と大きな水飴を迷わず口に運んで舐め、その甘さに頬を緩めて。

「甘くておいしいね。ワタシは魔法使えないから試せないのよ」

それはあるかもしれないとは思うが試しようがなく。
気が変わって売らなければ帰国後にガラクタコレクションに仲間入りする魔導機械。
よく判らないからこそ売られていて、面白く見えるのだという考えで。

「一緒に?…せっかくだからいいよ。案内お願いね」

ナンパかなと思いはするがそれはないだろうと考えて。
少しだけ考えてOKすると男性の腕を取って案内をお願いする。

エイガー・クロード > 「ふふふ、面白そう、か。ありがとう」

すぐに元の笑顔を見せて、切り替えが早い子だなぁと思う。
だがまぁ、そういう子は嫌いではない。

「そういうものなのね。でも時にはそういう勢いもあったほうがいいのかもねぇ」

自分も優柔不断な方だと思ってるが故に、そういう行動力が少し羨ましく思う。
水飴を舐める少女の姿に、自然と平和を感じて、また笑った。

「それならよかった。……あら、そうなのね」

ちょっと意外と思ったが、すぐに別に魔法が使えない人など珍しくはないと考え直す。
なにより、そういう偏見は抱かないように自分を心の中で叱った。

「ん、いい……わよ?」

思わず、腕を取られて鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする。
そしてすぐに気を取り直して

「それじゃあとりあえずは……そうね。あっちに家庭料理系で美味しいのがあったからそっちに行きましょっか」

ユンファ > 「あなたみたいに面白い人に会ったのは二人目ね」

ぶつかったのが面白い人でよかったと笑い。
もしこれが小うるさい相手ならば迷わずに逃げている。

「迷って後悔するなら勢いね。買えないで後悔より買って後悔よ」

水飴を舐めながらそんな考えを告げる。
この男性の傍にいれば何となく安全だろうというのがわかりのんびりと飴を舐めることが出来て。

「ようよ、ワタシ魔法は全然駄目ね」

才能がないと飴を舐めたままさらりと告げ。
あなたは使える人?と好奇心に満ちた視線を向けて。

「これならはぐれないね」

豆鉄砲を食らったような顔に理由を告げてしっかりと腕を確保。

「あっちはまだ行ってないね。美味しい料理は好きよ。案内お願いね」

それを聞けばまた目を輝かせ、早く早くとせかしてしまう。

エイガー・クロード > 「へぇー、その二人目になれたのは光栄よ」

にこり、と微笑み。強かだと思う。
おそらくあんな行動力を持つのだ、相手への目利きも悪くないのだろう。

「ふむふむ、ちょっと、勉強になるわ。私も今度からそうしようかしら」

女性的な仕草で顎に手を当てて考える。
次からはもっと衝動に身を任せてみようかな、と。

「そっか。……あ、あたし?まぁ、出来なくはないけど。
でも実際に魔法は習ったことはないわ、槍働きしか期待されてなかったしね」

学問も訓練も、地獄のようなものだったのを思い出して、ちょっと遠い目をした。
魔法の類は、自主的に調べるしかなかった。

「あぁ、そういう。驚いたわ、いきなりボディタッチしてくるんだもの」

ふふふ、とその理由に納得して歩き出した。
向かう先にはいろいろな屋台がある。

「これとか美味しいわよ。小麦粉である海の生き物を焼いた丸い食べ物。
熱々だけどそれが美味しさの一つで、独特のソースがうまみを引き立たせてくれるわ」

あえてどんなものが入ってるかを言わずに、その丸い粉物―――タコ焼きを買って差し出した。

ユンファ > 「ワタシもそう思うね。それにみんな親切だから助かってるね」

今まで運がよく悪意を持つ相手に会っていない。
そんなこともあり、この男性はあった中で面白い人認定をしてしまい。
失礼かもしれないがそう思ってしまったので。

「あなたも後悔したことない?だからワタシは後悔しない様にしてるのよ」

不思議と様になっている女性的な仕草、自分よりも女性っぽいのではないかと見る。
そして勢いは大事と持論で勧めていく。

「出来るの?凄いね、尊敬ね。
槍働き?なんだかもったいないね」

遠い目をしてしまった男性を見上げて何かまずい事を言ったかなと。
謝った方が良いのかなと大真面目に悩んでしまいつつ…。

「ボディタッチ?へ、変な意味で掴んじゃのじゃないよ!」

その言葉に大慌てをしてしまい。
そんなじゃれあいをしていれば色々な屋台が見えてくる。

「これね?丸い饅頭?中に海鮮物入りなのね?
んー…食べてみるね」

受け取った丸い物体、説明を聞けば美味しそうだが見た感じ饅頭。
ソースで食べるという事に不思議そうにしながらも一つをぱくり。
その暑さにハフハフとしてしまうが美味しく、一つ食べるともう一つを口に運んで…。

エイガー・クロード > 「そうねぇ、意外と親切な人が冒険者の方が多いのかもね」

悪意渦巻くこの国において、みんな親切と言える幸運は相当なものだと思う。
その中に自分が入るのは、なかなか嬉しく思う。

「後悔…そうねぇ。生まれてきたこと――――なーんてね?」

冗談めかして、自分を見る少女の眼を見る。
すぐに冗談だとくすくすと笑った。

「ま、家の務めだからね。それに体にもう染みついてるから、大丈夫よ」

悩んでる様子に笑い、そっと気にするなと言うように左手で頭を撫でてあげた。
とても、温かかった。

「ふふふ、慌てちゃって可愛いわね。
えぇ、どう?美味しいでしょ?」

ハフハフしながら食べる姿が面白く、さっきからずっと笑みが絶えていない。
さて、そろそろ種明かししておこうか。

「ちなみに中に入ってるのはタコよ」

ユンファ > 「剣闘士だったり冒険者だったりメイドだったね」

出会った人を思い出すようにしてあげていくがメンツが中々に濃く。
そして親切な貴族の騎士がその仲間入りをして。

「そういう冗談は笑えないね。
でも…あなたは今は輝いてる気がするのよ」

さすがにそれは笑えないと口元こそ笑っているが目がじとりとし。
初めてあったのだが今が凄くいいと告げて。

「そういうの大変ね。ワタシは気楽が一番と思うよ」

冒険者もやってはいるが、本業は行商で気ままな旅人。
家の務めと聞くと自分には耐えれそうになく。
不意に頭を撫でられると猫のように喉を鳴らして。

「揶揄うのよくないね。
これ、不思議だけどおいしいよ。
タコ?あれは茹でて焼くと美味しいね」

中に入っているものを聞いても驚かずに次を食べ。
それ処かほかの食べ方を勧める辺り食べ慣れているという様子を見せ。
3つ目を頬張ってから動きが止まり、一つを彼に差し出していく。

エイガー・クロード > 「……(剣闘士ってもしかして……いや、まさかね)」

一瞬思い描いたある将軍を思い出したが、いやいや別だろうと思い直す。

「ごめんなさい。ちょっとセンチメンタルな気持ちになったりするのよ。
まぁ……その言葉はありがたく受け取っておくわね」

じとーと見つめられて、素直に謝る。
どんな時も素直が一番だし、その輝いているという言葉がうれしい。

「そうかもねぇ。ま、もうその生き方にすると決めたからね。
私はもう気にしてないわ、別の人にそうして欲しいとは思わないけど」

まぁ、自分のような生き方をするのは自分独りだけでいいとは思う。
もしかしたら他にいるかもしれないが、かもはかもでしかないのだ。

喉を猫のように鳴らすのを見て、ちょっと面白くて続けたくなった。

「ごめんなさいね、結構これ嫌う人が多いのよ。私は好きだけど」

他の騎士達が、タコと聞いて忌避したのを思い出す。
目の前に差し出された一つを、素直に頬張った。

「ん、美味しい♪」

ユンファ > 「そう言う時もあるね。
言っとくけど嘘もお世辞もないのよ」

素直に謝る男性にある事と頷き。
自分は本当に素敵だと思っていると告げて。

「その大変な道を進むと決めたのは凄いのよ。
それならいいね。ワタシはあなたのその心意気、いいと思うのよ」

大変な生き方を決め、それを自分でという姿に凄い人だと素直に感じ。

撫でられている間、そうなっていたが…。
我に返るともう終わりと告げて。

「なんで謝るの?変なもの入ってた訳じゃないね。
ワタシも好きだから問題ないのよ」

これは新しい食べ方とむしろご満悦。
男性も食べれば美味しいね、と笑いかけて。

エイガー・クロード > 「んーん、嘘もお世辞も気にしないわ。そういう人間じゃないって、初対面だけどわかるもの」

だからありがとう、とさっき会った時に浮かべた笑みを見せた。

「そう言ってもらえると、うれしいわ。
こういうこと、あんまり話せなかったしね」

思えば家の事情を初対面の人間に話すなどどうかと自分でも思ったが
まぁ、また会うこともなくはないだろう。
それに、嘘はつかないが隠し事はできるタイプだろうし。

おっと、とすぐに手を離す。

「ついつい謝る癖があるというか……ねぇ。
まぁでも、好きならよかったわ、私も撫でてて気持ちよかったし」

うんうんと頷き

「甘いものやお酒もどう?あっちにもいろいろあるのよ」