2020/05/12 のログ
ご案内:「酒場 平民地区」にネメシスさんが現れました。
ネメシス > 平民地区の酒場で一人、アップルジュースを飲んでいるネメシス。

ここは騎士団の息がかかった店の一つで、顔見世がてらこうして客席を埋めてあげたりしているのであった。

実際には一人ではなく、ちらほらと護衛役の団員が少数のグループとして酒を飲んでいたりする。
そんな店で、カウンターで一人酒ですらないジュースを飲んでいるのはネメシスくらいなのだが。

「ん~~、よく冷えてておいしい~~。」

本来シャンパンを入れる様なグラスに入ったジュースを楽しんでいる。

店の店主はネメシスの為にどこかで仕入れてきたと思われるショートケーキを皿に載せて差し出す。

ご案内:「酒場 平民地区」にセリさんが現れました。
セリ > (ドアベルの音と共にふらりと、どことなくぼんやりと頼りない足取りで来店し、そのままカウンター席に突っ伏すように腰掛け)

「マスター……野菜とマメのスープにオートミール……食前にりんごのブランデーをストレートのダブル……で」

(かすれて今にも死んでしまいそうな声、非常にぐったりとした様子だが。マスターは何度か来たことのある客だとばかりに、その味気ない食事メニューをだす前に。無色透明の甘い香りただよう強い酒をショットグラスに並々と注いで出すのだ)

ネメシス > ショートケーキは苺から食べるタイプのネメシス。
フォークでぶっ刺し、苺の甘みを堪能する。

これが酸っぱいと少し機嫌が悪くなるのだが。
その点は店の主も気を使っている様子。

ドアベルを鳴らして入ってきた白衣姿の少女に視線を向ける。
白衣姿と言うだけでこの辺りでは少し珍しいのだが、子供のような見かけに関わらず
度数の高い酒を平然と注文してるのが少し魅力的で。

店の主の対応から、彼女?がこの店の常連であることを伺わせる。

「良かったわねマスター、こんなお酒に強そうな常連がいるなんて。
私からももう一杯出してあげて。」

アップルジュースを飲んでいるはずのネメシスは、素面でありながらテンションが高く。
白衣姿の少女の席に、ショットグラスがもう一杯出される。

店主があちらの客から、と紹介する先には、満面の笑みを浮かべたネメシスが。

セリ > (自分が注文した分のブランデー。すっと一息で飲み干し。悦に言ったようなほうけた顔で熱い吐息を吐き出す。商品の創作で軽く数日ほとんど飲み食いをしていなかった身としては非常に染み渡る。感慨深げに目を閉じて虚空を仰いでいれば)

「すまないけど、ボクがお酒に強いこととマスターの商売繁盛の関連性は、僕程度の飲酒量で店の経営に何かしら大きな影響を及ぼすとは思えないことを差し引いた上で、まぁわからなくもないが。
それで貴女に奢られるという現象への関連性がよくわからない。」

(首をかしげて、酒精と疲労にあてられた赤い顔。運ばれてきたスープとオートミールを。言葉こそ立派だが、逆手に持ったスプーンで口の端を汚しつつもぐもぐしているので、非常に締まらないこと請け合いだ)

ネメシス > 「……ん?」

茶色い瞳をぱちくりさせるネメシス。
見ず知らずの相手からいきなり奢られたらこんな反応なのだろうかと、店主を顔を見合わせて。

「えっと、とりあえずいいお客さんが居たから喜んでたのだけど。
気を悪くしたのかしら?
あと、奢ったのは私が今日気分が良かったのと、貴女の格好が珍しかったからなのだけど。
不味かった?」

残りわずかとなったケーキをフォークで突き刺し、口にするネメシス。
柄にもないことをすべきではなかったかと唇を尖らせ。

セリ > 「ん……いや……」

(もぐもぐガツガツとお腹が空いているのかがっついているから続く言葉がなかなか出てこない)

「それくらいの他意であれば遠慮なくいただくとするよ。
どうも僕は他人の感情の機微に疎くて、こちらこそ気を悪くしたのなら謝罪……もぐもぐ……しよう。」

(淡々と、非常にそっけないこと極まりないが。それでも、感謝を示しているのか。グラスを掲げて、それをまたクイッと飲み干してしまう。)

「ふへぇ♡……」

(それですごく美味しそうだ)

ネメシス > 「あ、そう…。」

なんだか圧倒されたと言うか。
不思議な人と出会ったなあと言った感想を抱く。

これが相手のいつものペースなのか、グラスを掲げた後の顔はなんとも幸せそうな顔をしていた。

「私飲めないから、呑める人にはちょっとあこがれるのよね。
あ、私はネメシス。 宜しくね。」

店主が二杯目のアップルジュースを差し出すと、今度は味わう様に少しずつ口に入れて。

セリ > 「ネメシス……よく神話に登場する女神。人間が神に働く無礼(ヒュブリス)に対する、神の憤りと罰の擬人化。ネメシスの語は元来は「義憤」の意であるが、よく「復讐」と間違えられる。………ふむ、認識した。」

(ボケーッと虚空を仰ぎながら呪文のようにつらつらと独り言の用につぶやき。いつの間にか最後のスープを皿を両手で持って、ズズーっと飲み干す。)

「もうひおくりぇた……僕はせんちゅりおふきゅーじゅーななひき……セリでいい……【魔道具工房"センチュリオン"(Centurion)】といえば……わかる人間には……」

(ゆーらゆーら。キチンと自己紹介しようとしているはずだが。揺れている。ろれつが回っていない。【魔道具工房"センチュリオン"(Centurion)】に関しては魔道具を仕入れている貴族関連の一部の組織には割と有名な、超高級魔道具技師の工房の名前だ。そして唯一の製作者の人物は、揺れている。)

ネメシス > 「へ~、私ってそんな凄い名前だったのね。
義憤ねえ……なんだか格好いいんじゃない?」

女神だの義憤だのと言われると、満更でもなかった。
自分は神の手によってこの地上を導く指名を授けられている。
そんな自分に似つかわしい名前ではある。

「う~ん、センチュリオン……わからないわ。
とりあえず、貴女はセリさんなのね?」

お酒に強そうな割には、酔っぱらっている?
いや、この状態になってからが強いのか?
船のように揺れる少女を前に、首を傾げる。

ちなみに、魔道具工房の存在については名前を聞いたことがあるかな?レベルであり、
実際にどんなことをしているのかは知らなかった。

ネメシスは今の所、この国では正式な貴族ではなく、
所属する組織もどちらかと言うと難しいことに精通する者がほぼ居ない集団であった。

セリ > 「そうだねぇ……僕はセリさんということだ。」

(カウンターに突伏した状態で、マスターから気遣いの水が出される。そのグラスを両手で持ってごくごく飲んで)

「これは美味い。まるで水みたいだ♪」

(水である。機械の身体故に、色々と鈍いせいか、強い酒を飲んで死んで寝てしまいたいタイプらしく。別にアルコールに強いわけではないらしい。)

「まぁ、魔道具を作る者ってことだよ……それだけさ……」

(そしてまた突っ伏しつつ、ネメシスの方を見て。今まで全く無かった表情が、少しだけ微笑むのだった)

ネメシス > 「セリさんって、あまりお酒に強くないのかしら?」

早くもカウンターに突っ伏し、水を飲んでいるセリ。
いつものことのように見えるやり取りは、セリがどんな風に酒と付き合っているのかが垣間見えた気がする。

「ふ~ん、魔道具ってのはどんなのがあるの?
お城で使われるくらいなら、便利なんでしょうね?」

あまりお会いすることのないタイプのセリに視線を向けて。
いい機会だし、この不思議な技術者から少しばかり話を聞いてみることに。

相手も機嫌は悪くなさそうだし、ひょっとしたら興味深い内容もあるかもしれない。
もしそうであったなら、作品の幾つかを買い取ってみようとするだろう。

セリ > 「つよくは無い……ただ、制作で火照った頭をリセットするために飲んでいる……マスター……とびきり甘い奴を……カルーア?ミルク?それでいい」

(このまま意識をすっ飛ばして寝てしまうのもいいが。どうも今日はもう少しおしゃべりに興じることになりそうだと。脳に糖分とアルコールを同時に補充することにしたらしい)

「どんな?……便利?……一言で言い表すには世界の言語というのは非常に頼りないものであるが……」

(ザラァッっと。白衣のポケットから取り出したのは。分厚い紙の束。そこに様々な魔道具のやたら緻密で専門的な設計図と文字が書き込まれている。あとついでに、やたら豪奢な装飾が施された大きなゼンマイを取り出し、立ち上がりながら首の後ろに指し)

「まず、この攻城用の魔導砲だが。基本となる燃料が水と土と石であり。少ない魔力を自然の魔力で補いながら高い威力を発揮するのだが……特に注目してもらいたいのが、この装飾の美しさであり……」

(ツカツカとネメシスの隣に座り。やたらと難しい設計図の解説を饒舌に始めた。その空いた手で、ギコギコと自分でゼンマイを回していると、だんだんと調子が戻ってきているようで)

ネメシス > 「その割にはさっきから強いのばかり頼んでるのよねえ。」

ミルクの名が付いているが、あれも結構度数があったような、と団員達が飲んでいる姿を思い出す。
頭をアルコールでリセットなど、ネメシスにはよく分からない理屈が展開されていく。

「うへえ、そんなに分厚い書類読めないわよ。」

図面だの何だのの束を持って隣に座ってくるセリに対し、眉の間に皺を作ってしまう。
いきなり始まった魔道具の解説?出張講義?をネメシスは聴きながら、時々首に差している道具が気になってしまう。

「ナニコレ、貴女人間じゃないの?」

不思議な器具を回すとどうやら体調がよくなるらしい。
どういう構造なのだろうと気になったのか。
両手を伸ばし、回そうとする。
無論、セリが途中で止めに入るならば、無理に回すようなことはしないが。

セリ > 「だから言ったろう?……さっさと酔ってさっさと寝るのが効率的……。」

(ズズズ―ッとストローのささった甘ったるいカクテルを飲みつつ)

「しょるいじゃないせっけいずら!!……次にこの静電気を圧縮し貯めることによって、伝説の勇者が用いたとされるイカヅチ魔法を再現することを目的とした魔導銃だが……まず充電するために300日ほど時を……ふひゃっ♡……」

(ややこしいことを解説している途中。不意にネメシスにゼンマイをまかれると甲高い声を上げてカウンターに突っ伏してしまう)

「……ん、まぁ……これでも人間では…ある……自分で体中改造してしまってはいるが。この通り、な。……」

(なんか気まずそうな顔で突っ伏したまま見上げ。このとおりと指差す耳の機械的な耳飾りが不規則に発光。)

ネメシス > 「何、貴女お酒を入眠剤か何かだと思っているの?
まあいいけど…。」

余計に眠れなくなるのではないか?と疑問が生じるが、
折角の常連なのだからと、頭に浮かんだ言葉を飲み込んだ。

「はいはい、設計図ね。 雷魔法いいけど、300日も待ってられないわよ?
……て、何貴女。 随分可愛い声を出すのね。」

首に何やら器具を差し込み、巻いてやるだけでまるで愛撫でもされたかのような反応を見せる。
設計図だの、充電だのとよくわからない話を聞かされていたネメシスは、新しいおもちゃをみつけたとばかりに
ゼンマイを回し続ける。 突っ伏したままであるのなら、尚の事である。

「すんごいわね~、自分で魔道具だかなんだかを身体に入れちゃったの?
それで何かいいことあったわけ?
あ、私はこのままの姿で良いから結構よ。」

セリ > 「っ~♡……ぁ……ちょ……ま……君の魔力……ちょっと強……っ♡」

(ゼンマイを巻くと微量ではあるが魔力が吸収され流し込まれる。その魔力が強ければ強いほど、いわゆる気持ち良いようで。手を添えてストップをかけようとするが、どうにも力が入らない。あとアルコールも悪い)

「自分の身体を……魔道具にしたんだ……理由は、忘れたが……おかげで、ずっと……何百年か、魔道具を作っていられている。」

(魔道具愛の行き過ぎた形。自らすらも魔道具として、そのまま延々と高性能な魔道具を生み出し続けている。高性能が過ぎて、実用的なのは全体の数割に満たないが。成金貴族達にはなかなか受けているから需要はあるようだ。それはさておき、突っ伏したまま。抵抗できていない)

ネメシス > 「え、なに、これ回すと魔力流れちゃうの?
なんだかなあ……そういうのは早く言ってくれる?」

団員達から魔力を分けてもらう体制が始まり、ネメシスの魔力は以前よりも強くなっている。
だからだろうか、最初は魔力が微かにだが流れていくことに気付かなかった。
ただ、流れていることを知ったとしても微々たる量。
それよりも、机の上で突っ伏しているセリの反応が面白かった。

故に、セリの首筋の上でキリキリと魔道具が回る音が聞こえ続けて。
抵抗できていなければ、このまま暫く快楽責めを楽しもう。

「へ~、随分と長生きなのね。
それより、何か戦闘で使えそうなのとかないの?
一個くらい頂戴よ。」

立ち上がり、両手で魔道具を握りしめ、ずっと回しているネメシス。
ニヤニヤと笑みを浮かべ、責め立てる姿は悪童そのもの。

セリ > 「ふぇっ?……っぁ♡……ふぅっ……ンンッ♡」

(ゼンマイを巻かれている様子は。突っ伏して、抵抗できないようではあるが。本人としては、気持ちいいのか。満更でもない様子で横目で相手を見上げ)

「まぁ……工房に戻ればそこそこ使えるものも……あるんじゃないか?……僕の……失敗作とはいえ……その辺で打っている粗悪品と比べれば天地ほどの。……んにゃっ!?」

(なんかこちらも悪の黒幕風に喋ろうとして失敗している。非常に、まんざらでもないご様子だ。)

ネメシス > 「なんだかこのままイっちゃいそうね。」

愛撫の次元を通り越し、本番でもされているかのような喘ぎよう。
店の主は流石に困り顔をしているし、店の注目を二人が集めてしまっていた。
男連中は二人のやりとりを酒の肴に盛り上がる。

「これ以上は流石にここでは駄目だし、工房とやらを案内してもらおうかしら?
そうね、良い品があるのならもっと可愛がってあげる。」

話している最中も喘いでいるセリに肩を貸し、抱き上げる。
店の主には団員かわ立て替えておくことを伝え、店から連れ出してしまう。

セリ > 「君の魔力が芳醇なせいだ……」

(くたぁっと抱き上げられると。酒精のせいかそれ以外か、赤くなった顔。で見上げつつ)

「あ~、どうだろうか。何が良くて悪いか、その辺りが僕にはいまいちわからない。」

(そんなことを言いながら。おとなしく連れ出されてしまうのであった。)

ご案内:「酒場 平民地区」からセリさんが去りました。
ご案内:「酒場 平民地区」からネメシスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアカリさんが現れました。
アカリ > 平民地区の中央付近にある大きな公園。
噴水の側にあるベンチに寛ぐように座る一人の少女の姿があった。
その傍らには紙袋に入った何個ものパンと果実ジュース。
散歩をしたついでに、気が向いて露店で購入してみたのだ。

「うーん、見た目はパッとしませんが、食べてみると結構美味しいですね。
ちょっと考えを改めた方が良さそうかもしれないって思ってしまいます」

ガサガサと紙袋に手を突っ込んでパンを取り出す。
蜂蜜を染み込ませたクリーム入りのパン。
それを、パクパクと美味しそうに食べ始める。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエレイさんが現れました。
エレイ > 「♪フンフンフフーン……っと。さて、ドコで食うかねえ……む。」

調子の外れた鼻歌を奏でながら、公園にのんびりと足を踏み入れる金髪の男が一人。
片手には中身がパンパンに詰まった紙袋。詰まりすぎて上からはみ出しているそれは、
ホカホカと湯気を立てる多数の白く丸い物体──饅頭だとわかる。

そしてどこかしらに腰を落ち着けようと軽く周囲を見渡せば、噴水近くのベンチに
腰掛け食事をしている一風変わった服装の少女が視界に入り。
ほむ、と小さく呟いてから、おもむろにそちらへと歩み寄っていって。

「──やあやあお嬢チャン。食事中のところ失礼なんだがお隣エエですかな?」

と、へらりとした笑みを浮かべながら、声をかけてみた。

アカリ > ハムッとパンを咥えたところで掛かる声に、そちらへと目を向ける。
咥えたまま目を右へ左へと向けるが、少なくとも側に他のベンチは見えない様で。
それを確かめれば、そのままモグモグとパンを咀嚼してゴクンと飲み込む。
空いてる手でカップを持てば、ズズズ…と果実ジュースを飲み。
コトンと自分の傍らに置き直す。

「まったく、礼儀のなってない方ですね!
ワタクシの隣に座ろうというのでしたら、もっと真摯にお願いをすべきではありませんか?」

どこか呆れた表情を浮かべながら、ハァ、とわざとらしい溜息を吐いて。
自分を示すように、偉そうに張る胸元へと手を沿える。
それだけ相手を待たせておいて、向けられる言葉がこれであった。

エレイ > 笑顔のまま彼女の挙動を楽しげに見下ろし、ついでにジロジロとその全身を
無遠慮に眺めておく。
そして漸く寄越された返事にはパチクリ、と瞬きをした後プッ、と思わず吹き出してしまった。

「──ワハハハ……いやこいつは失礼した感。真摯ねえ……オホン。麗しいお嬢様、
どうかそのお隣に座らせていただいてもよろしいでせうか? ……こんな感じですかねぇ」

ケタケタと笑った後、軽く咳払いをしてから妙に芝居がかった口調と腰を折る動作で改めてお願いしてみて。
顔を上げると、どうかな? というように笑みのまま首を傾げた。

アカリ > 自分の言葉に笑い始める男性を見れば、その表情はムスッとしたものに。
次いで何か言葉をいい掛けるのだが、芝居掛かったものとはいえど自分がいった通りにお願いをされれば。

「やれば出来るじゃないですか。
ワタクシにお願いをするのですから、今度からはちゃんとそうして下さいね?
ほら、いいですよ?」

その表情は一転して満足そうな晴れやかなものになる。
どうやら自分が悦に浸れるような状況になるならば、芝居だろうが何だろうが構わない様に思われるかもしれない。
そう目の前の男性へと伝え、ポンポンと隣を示すように叩く。
そうして新たに紙袋へと手を突っ込めば次のパンを。
粉砂糖を散らしたドーナツを手にすれば、再びぱく付き始めるのだった。

エレイ > 「フハハ、ありがたき幸せ。んじゃー失礼して、と……」

どうやら満足してくれた様子に笑みを深めつつ、許可を貰えば隣に腰掛け。
紙袋から饅頭を一つ取り出すと、もしゃりと大口で齧りつき。

「──ちなみにお嬢様は一体どういったご身分の方なのか差し支えなければ教えてもらえますかねぇ?
ちなみに俺は謙虚な旅人で冒険者のエレイという者なんだが呼ぶときは気軽にさん付けでいい」

隣でドーナツを食べる彼女を横目に見やりながら、へりくだった言い方で更に問いかけてみて。
ついでに珍妙な自己紹介をドヤ顔で付け足したりしつつ。

アカリ > 「ワタクシの隣に座れるんです、当然の事ですよ?」

隣に腰掛け饅頭を食べ始める男性に、言葉の通りさも当然といった感じにそう伝えて。
そして男性からの謙った様な問い掛けにはやはり気分を良くした様な様子を見せる。

「ふーん、冒険者の方ですか。
ワタクシは鳳凰のアカリ、アナタがこうして気安く話す事さえも憚られる程の存在ですよ?
まっ、ここの方では鳳凰といっても殆ど理解されないみたいですけどね!」

食べ途中のドーナツから口を離し、対照的に威張った様な態度で答えた。
言葉尻はどこか投げ遣りないい方になってはいるが。
それを分からない者には世間知らずな貴族か何かと受け取られるだろう。
それを分かった者からも世間知らずであるには変わらず思われるだろうが。

エレイ > 眉下げて笑いながら、調子に乗った様子の彼女を眺める男の目は、おしゃまな少女を
見るような生暖かいものだったが、果たして彼女は気づくだろうか。
しかしその口から漏れ出た単語には、またぱちくりと瞬きして眉を持ち上げ。

「アカリちゃんか、そいつは恐悦至極ですな。──て、鳳凰? シェンヤンとかで伝説になってるっていう
瑞鳥のかね? いや俺も知り合いにちょろっと聞いただけなのだが……ふむ、ちょいと失礼」

意外にもこの男は鳳凰の存在を知っているようだった。
男はおもむろに彼女の肩にポン、と手を置くと、改めて彼女の上から下までをジロジロと眺めていって。

「……ふぅむ。鳳凰っては初めて見るが……確かにキミはそういう存在のようだったな。
ああちなみに俺は触れた相手のオーラ……気とかっていうほうがキミにはわかりやすいですかねぇ。
ともかくそういうのが見える体質なんだが」

ひとしきり眺めた後、そんな事を呟く。
それからへらりと笑うと自分の能力のことも簡単に説明しておいて。

アカリ > 向けられる男性の目が自分をどう見ているものなのか。
それに気付ける程、少女は鋭いものではなかった様だ。
ただ、自分が名乗った時の反応には不思議そうに首を傾けた。
そして、次の言葉を聞けばパァッと表情を輝かせる。

「そう、そう、そうです!その鳳凰ですよ!
そうですか、アナタもちゃんとワタクシの事を分かってくれたのですね!?」

ちょろっと聞いただけ、といっているのだが、それでも自分の事を知っている相手であるのは嬉しい様で。
どうだ!といわんばかりに胸を張って自己主張をしようとするのだが。
肩を触れジロジロ見始める男性にジト目を向ける。
どこか品定めをされている様に感じられたからだ。
それでも次の言葉を聞けば、疑う事なくポンッと手を叩いて納得してしまう。

「えっと、何だか大雑把過ぎてよく分からないですが、ワタクシが分かるのであれば十分です!
そう!ワタクシが何者であるか、それが分かれば良いのです!」

どこか興奮気味に男性へと詰め寄ってはいるも、少し深呼吸をして落ち着こうと。
ベンチへと腰掛け直すと、開けていた紙袋の口を閉じる。
食べるのに満足したので残りは後で食べようと。

エレイ > 「──お、落ち着きたまえ。ってゆーか、あんまり大きな声出すべきではないと思った」

突然嬉しそうに詰め寄ってきた彼女の勢いに、さしもの男もちょっとたじろいだ。
やがて彼女も冷静になったのか深呼吸をし始める様子を、また眉下げた笑みで眺めて。

「俺は旅人だからそういう知識も時々入ってくるが、こっち(マグメール)は
シェンヤンとはどちかというと敵対関係だからなあ……あまりそういう文化の交流とかが
充分じゃないので知られていなくても仕方ないと思った」

なんて、此方側で鳳凰の存在が知られていないことへのフォローなども試みつつ。

「なんでその鳳凰のお嬢様がこんな所を一人でウロついてるのかとか、色々と疑問があるが……
まああそれは機会があったら追々聞かせて頂くとして。
せっかくそんなありがたい存在に出会えたワケだから、良かったら俺流のおもてなしなんぞ
させてもらいたいなーって思うのだが……如何ですかな? アカリお嬢様」

と、人差し指を立てながら唐突にそんな提案をしてみる。
普通なら明らかに怪しげな提案。加えて、男の目には邪な光がちらっと宿っていたりするが、
彼女はそれを察するか否か。
ちなみに男は、大量に抱えていたはずの饅頭をいつの間にやら平らげ終えていて、
既に空になった紙袋が傍らに置いてあるだけだった。

アカリ > そろそろ戻らないと。
そう思っていたのだが、何からおもてなしをしたいという。
紙袋を抱えて立ち上がれば少しだけ考える。

「そうですか、ワタクシにそんなにおもてなしをしたいですか。
良いですよ?仕方無いので、おもてなしを受けて差し上げます」

少女が出した結論は、これだった。
目の前の男性の思うところはさっぱり分かっていない。
その内容を知らぬまま、どこかに案内をされるのならばホイホイ付いて行くだろう。

エレイ > 我ながらちょっと雑な誘い文句だと思っていたので、世間知らずっぽい彼女と言えど
流石に怪しむか? なんて思っていたがそんなことはなく、あっさりと快諾されて
内心でちょっと心配になってしまった。
が、そんな内心は表に出さずに男は気を良くしたように笑みを深め。

「ンフフ、恐悦至極だぜ。じゃあ、手数をかけるがちょいとついてきて貰えますかな」

そう言って彼女の手を取ると、歩調を合わせてゆっくりと一緒に歩き出す。
果たして、男が彼女を何処へ連れて行ったのか……それはまた、別の話。