2019/10/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミンティさんが現れました。
ミンティ > 右に左にふらふらと危なっかしい歩き方。両腕を目いっぱいに伸ばして、やっと抱えられる大きさの荷物のせいで足元がおぼつかない。買い物客や仕事帰りの人たちが増える時間ではなくてよかったと思う。それでも、こんな調子で歩いていたら、いずれ人が多くなる時間になってしまうかもしれないけれど。
荷物の正体は自分の髪より濃い桃色で塗られた大きな壺。行商から強引に買い取らされたはいいものの、扱いきれないから引き取ってほしいと頼まれて、こうして運んでいる次第。
なにかしらの魔力がこめられているようだけれど、封印が施されているのか、商談の場ではうまく鑑定できなかった。一応その事も伝えてはおいたけれど、妙に気味が悪いものだからと、半ば押しつけられた形だった。
こちらのお店にも、そんなにスペースがないのだけれど、と溜息を吐いた瞬間。地面の凹凸に足を取られて。

「ふゎ…っ、ぁ、っと……」

そのまま数歩、前方へとよろめく。なんとか転ばずに踏みとどまれたけれど、すこしだけ背筋が冷えた。大きな壺は見た目どおり丈夫なつくりをしているようだけれど、自分の身体ごと倒れこんでいたら、さすがに割れてしまっていただろう。何事もなくて、ほっとする。
そんな一連の流れを見られていたのだろう。お嬢ちゃん気をつけろよ、なんて笑い声が飛んできて耳がすこし熱くなった。腕も疲れてきたところだから、一度どこかで休もうかと悩んで。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」に黒須さんが現れました。
黒須 > (訓練帰りの道。
体中が疲労に寄りだるく、歩くのもめんどくさくなりそうなぐらいの怠惰に襲われていた。
そんな気持ちを何とか酒で誤魔化そうと、片手にはウィスキーを持ち、時折飲みながら歩く。
酔っている様子は無く、半分は消えているのにずっと素面のままであった。)

「…ん?」

(ふと目の前の方を見ると、なんだかよろよろと動く小柄な存在。
あるいは壺に足が生えている様に見える者が居るのに気づき、目を配ってみる。
どうやら相当重い荷物を持っている様にも見え、そんな姿を見てしまえばため息を一つ吐き、めんどくせぇなっと呟きながら頭を掻けばそちらに近づく)

「…大丈夫かよ?嬢ちゃん…。」

(壺の下の方に手を当てて持ち上げるようにする。
上の方から声を掛け、ポーカーフェイスのその顔で少女に声を掛けながら様子を見る)

ミンティ > 休憩を取るにしても、これから混雑するようなお店は避けたい。もっと明るい時間なら、公園のベンチが一番よかったのかもしれないけれど、秋の夕日はあっという間に沈んでしまうから、などと頭の中で行先を考えている間も、足元はふらついたまま。
傍目にも自分がどれだけ危なっかしいかは自覚できているから、腕の疲れが限界にきてしまう前に、せめて荷物を下ろして手指を休めよう。
壺越しに前方を確認していた視線がちょうど横に逸れた、そんなタイミングだった。腕にかかっていた負担が急に軽くなって、すぐ近くから人の声がした。

「……ッ、ひ…?!」

たまらず息を飲んで身を強張らせる。自分がどれだけ不躾な応対をしたかを考える余裕もなく、怯えた視線を、また壺越しから前方へ向けて。
実際には壺が軽くなる前に聞こえていただろう気づかいの声も、認識するのが遅くなり。相手の顔を見上げてからようやく、あ、と小さい声をもらす。
だいじょうぶという意味で頷きながら、同時にぺこぺこと頭を下げるような仕草。

黒須 > 「ん…平気そうには見えなかったが?」

(片眉を上げて様子を伺った。
初めに臆病な声が出されたかと思うと、気の弱めな少女なのだなっと言うのはすぐにわかっていた。
そのまま、壺の下を支えたままゆっくりと受け取って持とうとした。)

「見た所…かなり長時間持っていたんじゃねぇのか?
近くにベンチがあったからよ、そこで休んだらどうだ?
俺は盗賊だとか、そう言う質のわりぃ人間じゃねぇから、荷物持ちぐらいはするぞ…。」

(壺が離れれば大きさが見てわかるだろう。
少女より明らかに大きな体格をした身長をしており、靴から頭まで全身黒い服装に身を整え、ポーカーフェイスの鋭い目つきと少し怖そうな顔をした男であった。)

ミンティ > なにか返事をしようとするけれど、口下手なうえに身が竦むほど驚いた直後だから、ぁ、ぁ、と意味を持たない声しか発せない。そろそろ指先の感覚がなくなりそうだった両手は、相手の目的がどうであれ、重たい壺をたやすく渡してしまう事になる。
口振りや表情からいって、悪意の行動でない事はわかる。騙して盗もうとするにしては不愛想だし、かといって強引に奪い取ろうとするなら、なにも言わずに実行しているだろう。そんな風に判断した結果、損をした経験もありはしたけれど。

「え、ええと、……では、そこの、ベンチに…お願いします…」

深呼吸をして、すこしだけ気持ちを落ち着ける。どうにか声を出せるようになったら、通り沿いのベンチを見つけて、指差す。これから通行人も多くなるだろう場所だから、あんまりゆっくりと休憩はできないだろうけれど、公園で休んで、あたりが暗くなってしまうよりはいいと判断して。

黒須 > 「ん、あいよ…。」

(そのまま少女の指さすベンチの方へ歩いて行く。
両手で持たなければ持てなかった思い粒は、男の腕力により片手で、しかもがっちり落ちないように肩に乗せて持っていた。
その顔には苦痛の表情は無く、荒い息も苦しそうな声もなかった。)

「ん、ここでしっかりと休んでおけ…それまで持っててやる…。」

(到着すれば、ひじ掛けの隣に立って少女を見る。
盗むようなそぶりがない事を示すため、歩いてきた道に近い方に立ち、進行方向側ではない方に立つ。
そうすれば、急いで逃げた時でも服は掴み事ができるため、少女に対しても有利で自分にとって不利な状況を作る。)

ミンティ > 先に歩きはじめた男性の後ろを、のろのろとついていく。相手からすれば、なんでもない事なのだろうけれど、自分にとっては重たい荷物だったから、軽々と担がれている様子を見ると、落とされないかと不安になったりもした。微塵もふらつく様子のない足取りを見ていれば、そんな心配もすぐ杞憂だったと思えるけれど。

「……すみません。ありがとうございます。
 あ、の、……重たいので、置いていて、くださっても……」

指差したベンチまで辿り着くと、自分だけ座るのを申し訳なく思いながらも腰を下ろす。荷物の重量分だけ、無理のある歩き方をしていたのかもしれない。腕だけでなく、脹脛のあたりもすこし痛い気がしたから、指の痺れが抜けるのを待って、そっと揉み解す。
傍らにはまだ壺を担いだままの男性。きっと重たくは感じていないのだろうけれど、人に荷物を預けたまま自分だけ楽をしているのは、やっぱり落ち着かなかった。おそるおそる、小さな声をかけてみる。

黒須 > 「ん…?
…ああ、そうか」

(横目で少女を見る。
気づかいをされるとそれに従うように行動した。
壺を少女と自分の間に置き、その横に座る。
長い足を組みながらふぅっと落ち着いた雰囲気を出して、革ジャンに仕舞っていたウィスキー瓶を取り出し、一口飲む)

「…なんで、んなもん持ってんだ?買ったのか?」

(少女が持つにしてはあまりに重すぎて大きすぎる。
そんなものを持っているのに少し気になったのか、片眉を上げて少女の方を見て、聞いてみることにした。)

ミンティ > 脹脛に指を埋めると、じんわり気持ちがいい。それだけ疲れていた証拠だろうと思い、痛みが後をひかないように、しばらくマッサージを続けてから姿勢を直した。
両手はまだ指先を白くしていたし、壺の底の形と同じように赤い痕が残っている。これだけで血の巡りが悪くなってしまう事はないだろうけれど、指を握っては開いて、すこしでも指先に血液が向かいそうな動きを繰り返し。

「……ぁ。はい、…ええと、買った…というか、仕入れたというか……」

私用のために買ったわけではないから、説明に困る。本当は自分だって持ち帰りたくはなかったかれど、必要な支払いのためにお金がいると頼みこまれてしまうと断りづらかった。
そんな事情を会ったばかりの人に説明するわけにもいかず、どう言ったものか小首を傾げて考えこんだあと、とりあえず無難だと思えた答えを返し。

黒須 > 「…お前、無理やり買わされたんだな…。」

(話しにくそうな所からするに言いにくい事情。
図星かどうかは知らないが、ただ単なる自分の観察眼故の推測で当ててみたのであった。)

「あ?よく見れば指先酷いな…。
…めんどくせぇな…。」

(少女の指先、かなりの時間壺を持っていたのか、指先がひどくなっていた。
それを見るとそんなことを呟いて指さす。
すると、黒須の手に白いオーラが現れ、手のひらにはとげとげしい時計の模様の魔法陣が現れる。
自分の手の平をくるりとまわすと、少女の手に同じオーラが纏い、指の赤い痕を消し、痛みを無くそうとした。)

ミンティ > 会話があまり得意でない分、よく考えて答えようとする。そうすると今度は黙りこんでいる時間が長くなってしまうから、一人で勝手に困って眉を寄せていた。
とりあえず、無理矢理買わされたわけではないだろうと結論を出すと、口を開くより先に首を振ってみせて。

「いえ、あの、そういうわけではないので…だいじょうぶです」

かなり強引に、押しに負ける形であったとしても、最終的には自分で納得して買った事にしておきたい。気が小さいくせに、商人としてのプライドを守ろうとしてか、そう答えて。
こんな大荷物を抱える事になるくらいなら、手袋でもしてきたらよかったと思っていると、不意に男性の手がかざされた。見慣れない白い光に驚き、なにをするのかと目を瞠っている間に、指に残っていた小さな痛みが薄れていく。それが彼の、なにかしらの術によるものだろうと察すると、またぺこぺこと頭を下げる。

「……すみません、お世話になってばかりで…」

そんな短い会話の間にも、大通りを歩く人の数が増えてきた気がする。道端のベンチに腰かけている以上、邪魔になる事はないだろうとは思うものの、周囲を気にしながら立ち上がり。

「……あの、ありがとうございました。
 あとは、自分で持って帰りますので…ええと、本当に、ありがとうございました」

手の疲れが抜けたから、あとすこしくらいは頑張れそうな気になってきた。暗くなる前に帰ろうと思いながら、男性を見て、どうお礼をしたらいいか考える。お金を渡して喜んでくれる相手ならいいけれど、そういう目的の人は、最初に対価を要求してくるかもしれない。
首を捻っていても、いい考えは浮かんでこなかったから、せめて、ちゃんと感謝の気持ちだけは伝えようと深く頭を下げて、壺に手を伸ばし。

黒須 > 「…そうか。」

(やはり推理間違いかっと自分で納得する様に納める。
時折、商人の中でも無理やり売っては強引に購入させる相手が居ることもあるため、そう言うのが一番めんどくさいと思い、そう言うのにあったのであるならば、残念だったなっと思うだけであった。)

「ん、そうか?
ああ、気にするな…ただの俺の気まぐれだ…。」

(そう言うと立ち上がりコキコキと首を動かして伸びをする。
道の端に浮くように大きな体を呼ばして、軽くストレッチをした。
その後、また横目で少女をじっと見ると、革ジャンの懐を探るようにし、そこから軍手を取り出して渡した。)

「また指傷つけたら面倒だろ?
これでも履いて運んでおけ、少しは違うぞ…。」

(また傷を付けてしまっては相手的にもめんどくさいだろうと思い、ちょっとした気遣いとして渡した。
その後は、これ以上の手伝いは不要と思い、そのまま目の前の人の波に潜るかの様に、自身もその中に入ろうとした。)

ミンティ > 指先が壺に触れるより先に、その間を割るように差し出された軍手。まばたきをしながら男性に視線を向けて、申し訳なさそうに眉を下げる。受け取るのに躊躇するほど高価な品物ではないだろうけれど、なにもかも、してもらってばかりだから気になってしまい。

「ぁ。……ぁの」

なにか他にお礼できそうな事はないかと考えて動きを止めていると、荷車にお酒の瓶を乗せて運ぶ商人が近くを通りがかる。顔見知りだったその人を呼び止めて、手短に、酒瓶を一本だけ譲ってほしいとお願いし。

「……あの、お口にあうかは、わかりませんが。
 今日は、本当にありがとうございました」

あまり高くないお酒を受け取ってもらえたかどうかはわからない。突き返されたなら、今さらすこしくらい重さが増えたところで気にもならないだろうと、酒瓶を壺の中に入れて、また歩き出す事になるはず。
どちらにしても、男性の姿が通行人の中に紛れていくまで、また頭を下げながら見送る事となり。それから、誰かにぶつかったりしないよう慎重に、自分も道の端をのろのろと歩いていって…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミンティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」から黒須さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にクレス・ローベルクさんが現れました。
クレス・ローベルク > 小ぢんまりとした家や長屋が並ぶ家を、男が歩いている。
表情はにやついてはいないものの、さりとて眉を顰めて歩いているというわけでもなく。
客観的な言い方をすればフラットな――やや悪意を込めた言い方をするなら、何も考えていない表情だ。

「……ふむ」

珍しい形の家や花壇を見かけては立ち止まり、また歩く。
仕事着――というか、名刺代わりの闘牛士服さえ見なければ、普通に昼間からぶらぶら散歩している若者という風情だ。
そして、それは実際正しい。
男は、たまの休日を使って、王都まで散歩に来ているのだ。

「いい天気だな……」

今日は快晴。
のんびり歩くには、良い日であった。

クレス・ローベルク > 男が、散歩の習慣をつけるようになったのは、剣闘士の仕事に慣れてきた時だった。
当時、男でも敵わぬ程の剣闘士に、強さの秘訣を聞いたのだが、その時に言われたのが散歩である。
最初はそんな事でと思ったが、騙されたと思ってやってみたら意外と効いた。

「考えてみりゃ、実家でも結構瞑想とかやらされたりしたな……」

勿論、実家の瞑想は香を炊いたりする本格的なもので、姿勢を崩す事が許されない程度には厳密なものだったが。
どっちもぼうっとするという点では、似たもの同士なのかもしれない――

と。

「ありゃ……?」

そんな懐かしい思い出に耽っていた所で、男は立ち止まる。
眉が上がっているのは、小さな驚きの表現だ。
男の視線の先には――?

クレス・ローベルク > 「……猫だ」

正確には、猫の集会というべきだろうか。
塀や地面に、猫が座っている。
首輪がない所を見ると、全員のらのようだ。

「……」

どうやら、人馴れしていて逃げたりはしないようだし。
飽きるまでは見てみようと、少し離れた所で見ていることにした。

クレス・ローベルク > ――男の休日はつづく
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からクレス・ローベルクさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に黒須さんが現れました。
黒須 > (ここはどこにでもある平民地区の通り道。
賑やかになる人々を眺めれるような高い建物の上。)

「はぁ…。」

(黒須は暇そうにため息を漏らして人間観察をしていた。)

ご案内:「王都マグメール 平民地区」から黒須さんが去りました。