2019/10/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアニスさんが現れました。
■アニス > 昼下がりの王都の大通り
場所も平民地区となれば、人通りは絶えることはなく。
とっくに昼食の時間も過ぎているというのに、露店の前から列がなくなることはない。
お遣いを済ませたメイド服の少女は、木陰のベンチに腰掛け、そんな平和な光景を眺めていた。
自然と視線が向いてしまうのは、冒険者や旅人らしき恰好をした人たち。
金属鎧に巨大な剣を担いだ大男がいるかと思えば、自分と同じくらいの背格好の少女も見える。
何処からやってきて、何処に行くのだろう。
そんなことをぼんやりと考えていたりして。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にブレイドさんが現れました。
■ブレイド > メイド服の少女が眺める人の流れ
その中にはフードをかぶった冒険者の姿もあった。
少し疲れた様子。
屋台の列を見れば少し顔をしかめ肩を落とす。
食いっぱぐれたのだろうかとおもわせるような表情で、舌打ち一つ。
屋台からはなれ、また歩き出そうというところで
横目にメイド服の少女の姿がうつる。
ぼんやりとしたようすで…なにをみているのやら…。
■アニス > 少女の傍らには屋台で買ったのだろう、食べかけのパン。
幸いにも食事抜きで働かされるという過酷な職場でないのは、この身の上では稀有なこと。
主人が変わり者なのか、奇特なのか、それは一介のメイドに過ぎない少女には分からないけれど。
僅かな自由時間をのんびりと過ごすと言えば聞こえはいいかもしれない。
今の生活に不満こそないものの、それでもやっぱり自由に旅をする者を見れば憧れを抱いてしまうもので。
そうこうしていると、冒険者らしきフードの人物と目が合ったような気がする。
向こうはフードを目深に被っているから、気がするだけで、そんなことはないのかもしれない。
けれども疲れ切った様子に、どことなく苛ついたような雰囲気は、あまりお近づきになりたいと思えるようなものではない。
慌てたように視線を逸らすと、何でもありませんといった風を装うけれど、垂れた長い耳がぴくぴくと相手の動向を窺っていて。
■ブレイド > フードの奥から見える目は鋭いというか…言ってしまえばあまりよろしくない目つき。
少女と、食べかけのパンを交互に見て、ため息。
空腹と疲れ…そろそろ休憩の一つでもとらねば心身ともによろしくはないだろう。
座れそうな場所は…
「おい、ちょっといいか?」
ベンチに座るメイド姿の少女に声をかける。
こちらにいい印象を持っていないであろうということは、流石にあずかりしらぬところ。
「ちょっと、そこ、すわっていいか?」
彼女がかたわらにおいたパンを指差す。
パンに席を取られたベンチ。
可能であるのならばそこに腰を落ち着けたいのだが…
■アニス > 視線は明後日の方向ながらに、耳は相手の足音をしっかりと捕捉している。
こっちに来るというだけでがちがちに緊張してしまう。
こちらに向けられているらしい視線にも気づけども、それを正面から確認する勇気はない。
(何かしてしちゃったのかな。睨んだつもりなんてなかったのだけれど…。)
ぐるぐると頭の中でネガティブな考えばかりが回る。
そんなループを断ち切るように声を掛けられた。
「ひゃっ…!? は、はいっ!」
声からするとどうやらまだ若い男の人らしい。
けれど、そんなことに構っている余裕はなかった。
驚きに上ずった声を上げてビクッと耳ごと立ち上がると、わたわたとパンを抱えてベンチを空ける。
「どど、どうぞ…っ!」
パンはもちろん、自身も横へとずれて。
ベンチまるまるを譲り渡す。
雑巾でもあれば、しっかりきっちり磨き上げてから明け渡したいところ。
とはいえ、そんなことはできないから、せめてキビキビとした仕草を心掛け。
■ブレイド > 帰ってきた返事は…妙に怯えた様子。
なにかあったのか?
自分の顔になにかついてるか?
訝しげにしつつも、袖で軽く頬やらを拭ってみるが、汚れているとかなにか虫でもついていたとか
そういうことはなさそうだ。
不思議に思っていると、ベンチもろとも明け渡すような勢いで横へとずれていく少女。
「お、おいおい、べつにいいんだぜ?少し空けてくれりゃぁよ。
座らせてくれりゃそれでいいっつーか…あー…まさか、臭かったりしたか?」
今日は下水の仕事やら大汗をかくこともなかったと思うが…。
だが、少女のあからさまに嫌そうな?様子を見れば気になってしまう。
「別にとってくおうってわけじゃねぇんだ。
あんたが良けりゃ別に座ってたっていいんだぜ?」
目つきは悪いが声の調子は不機嫌というわけでもない。
■アニス > 何だか相手の表情がよろしくない。
怪訝そうな、その様子に余計に慌ててしまうけれど、どうやら怒っているとかではないらしい。
こちらを気遣うような言葉に対して、耳まで揺れるほどに勢いよく首を振る。
「そ、そんな滅相もないです。だ、大丈夫ですから…!」
とりあえず臭いとか、そういったことはないと全身を使って盛大に主張する。
座って良いと言われると、そのまま立っているのも、立ち去るのもどうかと思えて、ベンチの端っこにちょこんと腰掛ける。
チラチラと相手の様子を窺いつつも、何をどう話しかけて良いのかも分からず。
否、冒険者らしい風貌ならば、何処から来たのかとか、どんなところに行ったことがあるのかとか、訊きたいことは色々とあるのだけれど。
けれど、その鋭い視線にはやはり委縮してしまう。
結局は何も話せないままに、抱えたパンを小さく千切って口に運び始め。
■ブレイド > 「そうか?あー…まぁ、なんつーか…
気を使わせちまってわりーな。流石に昼飯も食ってねーのにそこらじゅう歩いてたもんでよ
休憩でもしなきゃやってられなくてな」
隅っこに座る少女の姿に、少し申し訳無さそうに。
屋台は行列が半分くらいはけた時点で閉店している。
あの状態で並んでもこうなることがわかっていた。だからこその舌打ちだったのだが…。
少女を怯えさせてしまっていたということには気づいていなかった。
食事がない分、せめて体だけは休めようと大きく息を吐く…のだが…
妙に落ち着かない。
パンを食べるメイド服の少女が、こちらを気にしているような…。
「ん?あー、あんた、メイド服ってことは…どっかのメイドなのか?」
すこしばかり気弱そうな少女にこちらから声をかけてみる。
■アニス > 「あ、あの………食べますか? 私の食べかけで良かったら…なんですけど。」
昼食を食べていないと聞かされると、しばらく手にしたパンを見つめてから意を決したように声を掛ける。
さすがの屋台の方も、大繁盛故に品切れになったのだろう。
いつのまにか列どころか店主の姿もなくなっていた。
差し出したパンは、何の味付けもない、素朴さと安さだけがウリの品。
トッピングでもあればまだ違うのだろうけれど、さすがに奴隷身分少女にはそこまでの余裕はなく。
訊ねられた言葉には、頷きをひとつ返してから。
「あっちの……富裕地区の、お屋敷で働いてます。」
家名まで答えて良いものなのかよくは分からなくて、とりあえず場所だけを答える。
街の地理に詳しければ、名前は分からずともそれだけでおおよそは分かるだろう。
とはいえ、数多くいる貴族のうちのひとつ。
逆に名前を聞いただけでは却って分からないかもしれない。
少なくともほつれのないメイド服は、少女がそこそこの家で雇われているということを示していて。
■ブレイド > 「別にそんなつもりで言ったわけじゃねぇよ。
あんただって腹減ってんだろ?気にすんなって。
まぁ、その…店がああまで混んでるってのは流石に予想してなかったがよ…ま、ありがとよ」
味付けもされてないパンを見れば、少女の立場も何となくわかる。
いいところの…ただの雇われメイドだというのならば、昼食にだってもうちょっといいものが食べられるだろう。
彼女の空腹度合いは知る由もないが
こちらの予想が当たっていれば、その食事を奪うのも気が引ける。
「あー…そりゃおつかれだ。
こんなところにいるってことは、なんかのおつかいかなんかか?
たいへんだな」
少女を労いつつも、彼女の姿を見る。
雇われではないにしても、その身なりはよく、方向から考えればだいたいどこの屋敷かはわかる。
■アニス > 「で、でも……私だけ、食べるのは………」
おどおどしつつも、差し出す手は引っ込めることなく。
お昼は自腹ではあるけれど、夕食は一応残り物とは言え賄いが出る。
だから大丈夫だと、つっかえつっかえ一生懸命に説明して。
目の前でお腹を空かせている人がいるのに、ひとりでご飯とかあり得ない。
いっそ押し付けるような勢いで。
「はい、お遣い…です。もう終わったけど、夕飯の仕込みまでには帰らないと。」
お日様の傾き具合を見れば、余りのんびりもしていられない。
普段なら買い出しなんてことは滅多にない。
今日に限っては、急な来客があるとかで、お酒や食材を急遽注文することになったというもの。
もちろん華奢な少女にそんな荷物が持てるはずもなく、配達なのだけれど。
そんなことをぽつぽつと話しつつ。
そろそろ帰らなきゃと立ち上がる。
■ブレイド > 「お、そうか…?なんかわりぃな…」
今度はむしろこっちが気圧されつつもパンを受ける。
受け取ったパンを齧ってみれば…
驚くほど普通のパンだ。
「このメシのぶんはまた今度返させてもらうぜ?
一飯の恩ってやつだ」
もっしもっしとパンを齧りつつも、メイドの少女に頭を下げる。
少女が続ける言葉には思わず日の傾き具合をみて。夕飯には急がないと間に合わなさそうだ。
「そっか、あんたも大変だな。
オレはブレイド、冒険者だ。なんかあったら頼ってくれ。
メシの礼もしたいしな」
パンをさっさと食べおえると立ち上がる少女に声をかけ
■アニス > 「そんな、気にしないでください。」
一飯の恩なんて大げさに言われると、首を振る。
空腹が辛いのはよく分かるから。とはいえ、手渡したパンは、元々少女の昼食サイズの更に半分ほど。
腹の足しになるかどうか。せめて腹の虫が収まる程度には役に立ってくれればいいのだけれど。
「ううん、お仕事だから。
私はアニス、って言います。
お礼はいいけれど……冒険のお話は聞きたいかも。」
立ち上がってから、もじもじとそんなことを告げてみる。
とは言え、今日はもう帰らないと夕飯の仕込みに間に合わない。
お客様の料理は専属のコックがいるけれど、下拵えは少女の仕事。
ぺこり、とフードの相手に頭を下げると、お屋敷の方へ向かって駆けていく。
途中、曲がり角で立ち止まると、振り返って小さく手を振って―――
■ブレイド > 「話ね…話くらいならいくらでも…っと、引き止めんのもわりいな」
彼女のおかげでひとまず空腹は収まった。
夜までは持つだろう。
少し照れたように告げられると、快く頷いて
駆けていく少女にひらりと手をふる。
振り向いて頭を下げる姿を見れば苦笑して
「はっ…律儀だな…」
自分は…もう少し休んでいこう。
せっかく空腹も紛れたのだから。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアニスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からブレイドさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にカーレルさんが現れました。
■カーレル > 大通りから路地に入り、娼館の裏口に回ると扉をやや乱暴にノックする
昼間は人も少なく娼婦や女衒たちも寝入っているからこれくらい乱暴にしないと戸口に出てくる事はない
しばらく待っていれば、顔見知りの女衒が中から出てきて顔を合わせる
「まいど、寝てた所悪いな、薬師のババアに頼まれた
ほら、精力剤と性病の薬だと…中、改めてくれや」
そう言って出てきた女衒の男に薬師から託された袋を手渡す
愛猫に纏わりつくダニ退治の薬を買いに行った所、薬の調合の間にちょっとしたおつかいを頼まれた
娼館の何軒かに薬を届けるのがおつかいの内容であった
「…最近の景気はどうよ?相変わらず?」
手渡した薬を確認する男に遠慮なしに話しかけるのは男が顔見知りであったからだ
煙草を懐から取り出し、一本銜える。男にも勧めてみたがやんわりと断られたから懐へと戻した
「なんか飯の種にでもなりそうな話を聞いてない?
………あ、興奮剤のたぐい、控えたほうがいいよ、顔色が悪い」
煙草を吸いつつ手渡した薬の数を確認する男と世間話に興じる
やれ、どこそこの貴族とあそこの貴族の娘が婚約した、とかあの商人が店でお大尽した、とか
どうでも良いような内容であったが、案外、こういう話が飯の種につながることも無くはない