2019/09/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシスター・マルレーンさんが現れました。
シスター・マルレーン > シスター兼冒険者である彼女には、冒険者ギルドと教会の、二か所から依頼が舞い込んでくる。
冒険者ギルドの依頼はいわゆる一般の冒険者と変わらないのですが、教会からの依頼は多岐にわたる。

屋根の修繕、畑の開墾、犯罪者の捕縛から遺跡の探索。
元より何でもやる、やってやれないことは無い、が信条だから、それはそれでいいのだけれど。

「………ここですか。」

平民地区の教会の隣の、いわゆる大衆食堂。………もっと露骨に言えば、酒場。
凄まじく分かりやすい言い方をすれば、この教会の地主である。
大きな土地を持っていた人間が、半分を教会に貸し出して、もう半分で酒場を経営しているというわけだ。

で、まあ、そこの店員が足りないという話を受けて、依頼が飛んできたのである。

「………昨日は農家で今日は給仕ですか。」

とほー、と肩を落として店に入るシスター。
ええ、経験はありますとも!!

シスター・マルレーン > 「いらっしゃいませー、こちらの席でお願いします!」
「はい、Aセット2つですねー。」
「ふふ、ありがとうございます。でも当店は給仕の持ち帰りはできませんから。」
「はいはーい、お触りをしたら反撃しますからねー!」

てきぱきあくせく。
流石の経験者である。両手にグラスを持ってせっせと歩き回る金髪の女。
胸の上部分を露出させた、可愛い系の衣装は最初は泣くほど恥ずかしかったけど大分慣れた。

ええ、それでもじっと見られると恥ずかしいし、手を伸ばされることが何度もある。
その度に冒険者としての身のこなしをバッチリ発揮するのだけれども。

シスター・マルレーン > そして彼女は知った。
恥ずかしいというのは、やるべきことで上書きできるのだ。
昔、そんな恰好でよく踊れるなあ、と踊り子を見ていたものだが、今なら分かる。
あれは「次にどう動き、誰に、どのように魅せるか」を考え続けた、いわゆる踊り子としての職務に殉じた結果なのだろう。

まあ、やってること給仕なんですけどね。

「ふー………ふー………っ」

今日も汗をかいて、ぐい、っと額を拭う。
まだちょっと背中は痛い。先日、屋根の上から一人バックドロップをした結果だ。
温泉にでも行きたいなあ、なんてぼんやりと思う。

人は減って、忙しい時期が過ぎれば、ふー、っと一息つく時間もできて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にカインさんが現れました。
カイン > 酒場の扉を押し開けて、また新しい客がひとり足を踏み入れる。
げんなりした様子を隠しもせずに、小さくぼやきながら開いてる席に付く姿は大分お疲れの様子であった。

「はぁ、今日はまた騒動ばっかり起きやがって…。
 あんまり面倒事ばっかり起こす連中は出禁にすればいいだろうに」

漏れ聞こえる言葉からも分かる通り、処理してきたのは対人関係の揉め事である。
もっと言うなら用心棒してる店のお姉さん方に言い寄る不埒な輩の処理なのだが、
これがまたなんとも面倒な事この上ないので精神的にやけに疲れる。
こんな時は酒に限ると手を上げて給仕を呼ぼうと声を上げ。

「とりあえずエールとつまみを頼…ン?」

はて、何処かで見たことがある気がすると小首を傾けながら給仕さんをまじまじ眺める失礼な客。

「おや、お嬢さん。…前にどっかで別の格好で出くわさんかったかな」

確証が持ちきれないまま、思わずそんなあやふやな問いかけが口をつく。
それはそれとして、酒の注文は改めてよろしく頼むと付け足した。よほど大事らしい。

シスター・マルレーン > 「……はい、エールとつまみを適当に、でいいですかね?
 わかりました、しばらくお待ちを………。」

ふわりと問いかけられれば、あははは、あはは、と笑って。
今はある意味、シスターである必要が無い、ふっつーのお仕事中である。
隠す必要も、名乗る必要も特には無い。

「わ、私は……その、………ど、どこにでもいる顔ですよ?」

なんて、てへ、と笑ってごまかそうとしてみる。
彼女自身よりもトレードマークと化している修道服も、長い棍も無いから分かりづらくはあるだろうが。

その上で、すぐに出てくる酒とつまみを更に並べて、隣のテーブルを布巾で拭く。

カイン > 「なるほど、何処にでも居るねえ。
 おう、とりあえずエールで良いや、酒が飲めれば贅沢はいわないよ、っと」

運ばれてきた酒を受け取って上機嫌に笑ってみせると、
露骨に怪しい反応を見せる相手の様子。
それに軽く悪戯めいた笑いを浮かべてみせると、
つまみをかじりながらエールを煽って肩を揺らし。

「この前のクスリは無事に片付いたかい?
 一応気を使ったけど足がついてないかどうかはちょいと心配でね」

前回の出くわしたときの騒動の事を、
隣でテーブルを吹き始めた相手を見やりながら問いかけてみせる。
半分はカマかけみたいなものだが、半分は実際に確認したかったことでもあった。
なにせシスターに粉砕された店主は随分と怯えた様子で、また報復されるんじゃないかと気が気じゃない日々を送っているようだ。
男に機会があったら様子を探ってきてくれと頼んで奥レベルだから一応は確認取って置かなければ可愛そう、と思う程度の情はある。

シスター・マルレーン > 「………あれから三か所潰しましたけど、薬をお渡しした方がまた横流しをしていたらしく、捕まりましてね?」

はー、っと溜息をつきながら、肩を落とす。
首を横に振って、バレていたなら気にすることも無く振り向いて。

「ですから、もう依頼は来ないんじゃないですか?
 片付いたかどうかは、私は分かりませんが。」

渋い顔をしながらも、この前押収した薬については、誰にも渡せず自分で抱えていることは口にはしない。
知っていたならすぐに言ってくださいよ、なんて、少し唇を尖らせるシスター。

今はかわいらしくも身体を分かりやすく露出したウェイトレス衣装であるが。

カイン > 「なるほど、そいつはお疲れさん。
 …というか、収拾がつかなくなってないかいそいつは」

話に聞いてる限りだとそのまま闇に消えていきそうなルートだとちょっと呆れが声に混ざる。
教会といえば清廉潔白なイメージが強かったが、
どうやらそれだけではないらしいという事が女性を見てれば判る。
ねぎらうように笑っていいながら、それならばとうなずき返し。

「あの店主にもそう伝えとくよ。
 いやあ、あのフルスイングは未だに夢に見るらしくてね。
 値引きしてもいいからその後の話を聞いてくれなんて言われるとは思わなかったとも。
 それはそれとして、よく似合ってるよ。
 こういう仕事は多いのかい?冒険者の仕事って感じじゃ無さそうだけど」

そういうことならばとこっちの事情も明かしつつ、
酒を飲みながら笑って褒め言葉混じりに問いかける。
これが常のバイトなら此処に通い詰めるレベルだと冗談めかして付け加え。

シスター・マルレーン > 「……これ以上は話すと怒られますからね?」

なんて、ぺろ、と舌を出しつつ。さも呆れた、と言わんばかりの顔。
清廉潔白から遠い場所で働かざるを得ない悲哀。溜息。

「とはいえ、真っ当な依頼であればどこへでも、また行きますけどね?

 ………あははは、ありがとーございまーす。
 これも依頼でーす。 ここの店長、教会に土地を貸してるので。」

あははー、とやる気のない声で笑いながら、お礼もまたやる気が無い。
じーっと見られれば、くるん、と背中を向けてしまって。

そりゃ、仕事がなくなれば恥ずかしいもんは恥ずかしいんですってば。

カイン > 「おっと、そいつは良くない。
 じゃあこの件について聞くのは此処までにしておこう」

舌を出す相手の様子に、そっと人差し指を口元に当てて笑って言い返す。
まっとうな依頼、と言う言葉に若干の悲哀を感じながらも緩やかに肩を竦め。

「そこでまたカチ合わないようには重々良い含めておくよ。
 まあ、逆に君が聞けばあいつはだいたいのことは答えそうな気がするけど」

それなりに顔が広い商人だ。脅して何とかなるものであれば、
使えるものは使うのもありだろうと聖職者相手にそそのかす男はさしずめ悪魔か何かの類か。
実際には魔族なのでそう間違ってないのかも知れないが。

「あー…そいつは…何というかご苦労さん、っと。
 その手合のしがらみで仕事させられるのはまた面倒だよなあ」

話を聴けば聴くほど世知辛い。
しかしながら、だからこそ親近感の湧く話ではあった。
そして後ろ姿を見せる相手にクスっと声を上げて笑い。

「ま、それはそれとしてマルレーンさんや。
 あんまり男に後ろを見せるのはオススメしないぜ?
 君みたいな娘さんは、後ろ姿も魅力的なんだから何されてるか解ったもんじゃないだろ」

それこそお尻を狙う不埒者も多かろうに、と笑い飛ばして言い放つ。
まあそれを男がする気があるかというと無さそうではあるが。

「で、まじまじと見られたくないってんなら席の隣が開いてるんだけどこっちで座って話すってのはどうだい?
 全身は見られなくなると思うぜ」

そんな塩梅に接客にかこつけたサボりを勧める始末。
勿論、仕事の込状況次第ではあるのだがと店内を見回し。

シスター・マルレーン > 「まあ、その時はその時で考えますよ。
 お仕事中は普通の冒険者と、何にも変わりませんからね?」

笑う。何にも、ともう一度繰り返す。元々誇り高いタイプではないから、使えるものは何でも使うタイプ。

「………まあ、無茶な依頼ではないからいいんですけどね。
 背中を痛めて無ければなおよかったんですけどねぇ………

 なーに、ダメと言ってもやってくる相手は「追い出してもいい」と言われていますからね?」

 後ろ姿に茶化すような言葉を投げかけられれば、こちらだってふーん、と鼻を鳴らしながら言葉を返す。
 実力行使をすれば、そりゃまあたいていの男は投げ飛ばされるであろう。

「………そりゃまあ。 いやでも距離は近くなりますよね?
 ……まあ、いいんですけどね。」

忙しくなければ客と話せ、はよく言われることだ。
客足も引いたことを確認して、す、っと席に腰掛けて。

カイン > 「確かに、気にして居られるような仕事じゃないってのもあるんだろうが。
 冒険者ってのはやらなきゃいけないことが多いのは大変だねえ」

男の仕事はどちらかというとシンプルなことが多い。
むしろ魔族という身の上、この国で生きていくことできを使うことのほうが余程多いのだ。
ぐいっと酒を煽って肩を揺らし。

「ん?背中?一体何があったやら、毎度大変なことに巻き込まれてんね。
 あっはっは、そうだろうとは思ったよ」

でなければもっと彼女に粉をかける男はさぞ多かろう。
だというのにその気配がないというのは、まあ男としても察するところがある。

「そりゃあ、口説くには近いほうが都合がいいし。
 今日はシスターじゃないってんなら、そっちはなおさら都合がいい」

下心を隠すつもりもまったくない様子でさらりと言い放ちながら、
隣に座る相手の事を改めてみやって酒を煽る。

「ま、追い出されない範疇でには務めるさ。
 それでなくてもいい女と酒が飲めるなら悪かないや、っと。
 …この場合、俺が酒を奢るっていうのもなんか変だよな?」

いっぱい奢るからそっちも飲んだらどうか、と言おうとしてふと思い至る問題点。
はて、と首を傾げながらなんとなく店主の方に視線を向けてみる。

シスター・マルレーン > 「ええ、まあ、これは自分のドジなんですけどね。
 ………まあ、この状態で遺跡探索とかやらされるよりかはマシですけどね?」

苦笑しながらウィンクを一つして、溜息をつきながら肩を竦める。

「シスターではないんですけど、シスターとして依頼受けてますからね。
 都合がよくはないとは思います、けど………。」

一緒になって店主に目を向ければ、親指を立てていた。
ホントあの店主依頼主じゃなかったら倒しますよ。

「………はいはい、わかりました。
 ご一緒に飲めばいいんですね、飲めば。」

もう、と不満げにしながらも席を立って、二人分の酒を持ってくる女。

カイン > 「あっはっは、お疲れさん。
 …そりゃ考えたくないな。もっと考えたくないのは森の中とかに行くことだけど」

相手の格好を改めて眺めると、露出の多さと相まって、
木々の間を抜けようものなら血だらけになりそうである。
以前出くわしたときの相手の格好ならいざしらずと他人事ながら同情の眼を向けつつ、酒を煽ると飲みきってしまい。

「そこはほら、シスターに戻るのは仕事が終わった後の話だろう?
 だったらそれまでは問題ないじゃないか。」

完全に屁理屈だった。だというのに言う男の顔には一変の曇りもない。
酒を持ってきてもらえれば、笑いながら一つを手に取り。

「それじゃあこの良くわからん状況に乾杯、ってね。
 …そういや言っててなんだが酒は大丈夫な方かい?」

そうすごく今更なことを相手の方に酒を翳しながら問いかけた。
男は凄い飲兵衛ではあるものの、それを強要することはあまりない。
飲兵衛としての最後の一線らしい。

シスター・マルレーン > 「本当につらいですからね。」

はー、っと溜息一つ。 本当にそれくらいは依頼として出しかねないから辛い。
何でもやらされる女は遠い目をした。何度目だろうか。

「……いやいやいや。
 というより、シスターでない時ってほとんどないんですよ。物心着いたときから、ずっとですから。」

もー、と相手に反論はしつつ。グラスを手に取って乾杯。
お酒を口にしながらも、気にする様子はなく。

「………んー、まあ、人並みですよ。
 疲れ切っていたら早いですけど、今日はそこまでではないですし。
 …なーんですかー? もう、酔いつぶれるまで飲むつもりはありませんからね。」

カイン > 「というか、そういう依頼だったら断るって選択肢だってあるんじゃないのかい?
 話聞いてる限りは無茶振りは断ってもよさそうなもんだが。
 何でそこまで全部やろうとするんだい」

ふと話を聞くうちに気になったことを問いかける。
あまりに無茶だと感じることは無茶だと文句を言える人間に見えるからこそ、そこが不思議でならなかった。

「ほとんどってことは少しはあるわけだ?じゃ、そこが狙いどきだな」

冗談めかして笑いながらもグッと酒を一口煽り。

「物心ついた頃から、か。確かにそいつはシスターが生き方として根付いてそうだ。
 んー?いや、酒飲みの矜持として酒が飲めないやつに酒を無理に薦めるってのは辞めたいんでね。
 飲めないなら変わりの飲み物でも、と思っただけさ。
 …酔いつぶれるかどうかはちょっと期待してるのは嘘じゃないけど」

欲望を全く隠さない男である。しれっと返しながら、
甲高い音をひびかせるグラスを引き寄せて酒を一口飲み。

シスター・マルレーン > 「困っている人を助ける依頼であるなら、断る理由はありませんから。
 それが、多少無茶であったとしても、全力で努力をした上で考えたいじゃないですか。

 まあ、………断らないように、ってお達しが来てるんですけどね。」

てへ、と舌を出して笑う。
断れないようにされているらしい。まあ、それでも「人のためにならない」なら断るのだけれど。

「……何年に一度ってところですよ。」

なんて苦笑をしつつも。グラスに口をつけて。
まあ、酔いませんよ? なんて笑う女。
ウェイトレスとなっても変わらずグラスを軽く空けてしまって。

カイン > 「なるほど、教会ってのは確かに色々と清廉潔白とは言い難いみたいだけど、
 マルレーンみたいなのが居るなら捨てたもんじゃないってのは解ったよ」

それでもやれることはやろうとする姿勢というのは、
何よりも大事で好ましいと感じて笑い飛ばしてみせる。

「そりゃ良かった、何年に一度なら何とかなる可能性があるな。
 何十年に一度だとアプローチの方法から考えなきゃならんし、っと。良い飲みっぷりだな。
 んじゃもういっぱいおかわりで…いや、ボトルお願いできるかい?」

言外に酌もお願いしてしまえという下心が透けて見える物言い。
ついでに先程の反応を見るに店主が断らないだろうという打算込である。

シスター・マルレーン > 「……そう、思ってもらえるならいいことです。
 街で働いている人々は、きっとみんなちゃんと人々のことを考えていますからね。
 私なんかよりもっとずっと。」

笑顔に、こちらも笑顔を向ける。
といっても、大きく笑うようなそれではなくて、少し何か考え込むような。

「……えー、ボトルですかー?
 いや、本当にこれ以上飲ませ続けて仕事できなくなっても知りませんよ?
 それを上に言われたら、本当に怒りますからね?」

もちろん、この発言は店主に向けてだ。
なんやかんや文句をつけながらも、最終的には渋々ボトルを持って席までもどってきて。
男のもくろみどおり、グラスに注ぐことになる。

「まあ、………注ぐのもやれって言われればやりますけどー。」

経験済みだった。割と手慣れた手つきで何でもこなすシスター。

カイン > 「そりゃあ、謙遜ってもんじゃないか?
 そう思う理由があるなら良けりゃ聞かせて欲しいけどね」

よそから持ち込まれた依頼とは言え、
ちゃんと自分の考えに則ってこなしているの出ればそこに差はなかろうと不思議そうに問いかける。
変なことを言ってもヨッパライの戯言で流せるぞと暗に言わんばっかりである。
まあ、酔っ払ってる風にも見えないだろうが。

「ん、ありがとう。…ほんっと手慣れてるな。
 冒険者もシスターも廃業することになっても困ら無さそうなレベル」

思わず感心しながら、そんな無責任な感想をのたまってみせた。
実際大したものだと思うのは本当なのだが。

「それじゃあ、こっちも一献と」

グラスを手に取る前に相手がボトルを置くのを見計らい、
そのまま相手のグラスにも酒を注いで退けようとする。
最も阻止しようとされたら至極残念そうな顔はしそうだが、
一人でグラスに口をつけ始めるだろう。

シスター・マルレーン > 「……私は、何があっても払いのけることは、まあ、それなりのことであればできますから。
 ですから、人のためと言っても危険を顧みず……というわけではないんです。
 あくまでも自分のできる範囲。 それが当たり前ですから、当然なんですけれど。

 でも、この町には、真っ当に生きるだけで辛い場所であるにもかかわらず、何の力も持たないまま他の人のために闘える人がいますからね。」

ふー、っとお酒を入れながら、吐息と共に言葉を漏らす。
まあ、それだけではないですけど、とつぶやいて首を横に振って。

「……いやー、確かにそれはありますね。
 自分で森を切り開いて開墾して農園を開いて生きていける気がしてます。
 困ったらどこかの島にでも行きますよ、私は。」

では、と素直にお酒を受け取れば、もう一度乾杯を。
飲むとなれば、素直に杯を重ねていく。 断ることもせずにころころと笑って。

カイン > 「なるほどなあ。…俺から見ればマルレーンの出来る範囲で、と言えるのがなかなか凄いと思うんだがね。
 やれる、とやる、は混同されがちだが全然違うもんだからならな。
 とはいえ、力を持ってるやつが我が身を顧みずにやり続ければ力を持ってる奴が力尽きた後の処理の方が大変だ。
 そこは適材適所ってやつ何だろうけど…そういう風にやってみたいと思うかい?」

酒を飲みながら、問いをかけて肩を揺らす。
存外良いペースの相手にクツクツと自然と喉がなり。

「そこまでかい、大工仕事も出来るって?
 確かにあれだけの怪力があれば…おっと、女性にいう話じゃないな」

げふん、と咳き込みながらクックと喉を鳴らし。

「ま、もしそうなったらひと声かけてくれ。
 祝いの品と、後はのんびりするのに良さそうな開墾地の宛の一つ二つは紹介するさ」

東方なんかどうだい、と言いながらそっち由来のつまみが無いかを店主に確認して注文し始める。

シスター・マルレーン > 「………分かりません。 正直、私が何をすればいいかもよく分からないまま、目の前のものをひたすらがんばっているだけですからね。」

苦笑を浮かべながらも、少しだけ視線が迷い、吐息をつく。

「誰が怪力ですか。別に力は普通です、普通。
 ちょっとだけ武器に特殊な力を付与できる程度で。 力は普通なんですよ?」

ほら、と手を差し出して。ぎゅ、っと握ってみても、確かに力はそこまで強くはない。
そこらの村娘よりはまあ、強いだろうけれど。

「…………あはは、まあ、それまでにやるべきことはたくさんありますからね。
 まだまだ、先の話です。」

微笑みながら、少し遠い目をする。 注文をしても聞こえていないような。

ここにとどまって、腐敗した教会に声を上げるべきか。
それとも何もかも忘れて生きていくべきか。

ふわりふわりと、彼女は迷う。 はた目には少し酔ったようにしか見えないだろう。

カイン > 「んー、なるほどなあ」

緩く息を吐きながら酒を煽った後、トンと音を立ててコップを机に置き。

「お嬢ちゃんより大分年を取ったオッサンの戯言として聞き流してほしいんだがな、
 何をすればいいのか、じゃなくて何をしたいのか、を一度考えたほうが気が楽だよ。
 旅の出かけ方なんて後で考えりゃいいんだから、何処に旅をしたいかを考えたほうがきっと楽しいぜ」

そう言いながらも差し出された手を握ると、
なるほど確かに相手の言うとおりである。納得した様子を見せながらも余計に多く握り返す辺り辺りがエロオヤジの片鱗。

「なるほど、納得っちゃ納得だ。あれが素の力だってんならホント凄いからな」

工夫でアレだだけ出来るのは大したもんだと感心した様子を見せる。
そのまま、注文をスルーする様子に肩を揺らしてゆるりと目を細め。

「ま、答えなんてそうそう出るもんじゃないがとりあえず今やってみたいことで思い当たる事なんてないかい?」

やることではなく、やってみたいことと敢えて言いながら話を向けてみせる。

シスター・マルレーン > 「何をしたいか………。」

小さく呟いて、少しだけ考えてみる。
ゆっくりと考えながら、握られた手を握り返して。ていっ。
まあ、小娘のパワーであった。

………………

「いろいろ考えたんですけど。
 ……頼まれごとを早く片付けたいとか、久々に教会の掃除をしたいとか、なんかこう、そういったものが次から次へと出てきて、……何にもないですね。」

割と困った顔で、うーん、と唸る。とりあえずウェイトレスはやりたいことではないです、と付け加えて、くすくすと笑って見せて。
やりたいことも無い女は、お酒に悪酔いをすることもない。
ほら、しっかりこれでもシスターのままですよね? なんて、歯を見せて笑う。

カイン > 「なら、それが今のマルレーンのやりたいことなんじゃないか?
 それこそ目の前から片付けていきたい、って欲求のほうが今は勝ってるんだろう。
 俺はとりあえずマルレーンを口説きたいのと酒を飲みたいな」

笑って応じた直後に、無駄にキリッとした表情で余計なことまで付け加える。
握り返された手の感触に笑いながらそれを左右に軽く振って見せ。

「確かにシスターなのは間違いないな」

そう応じて見せながらも、酒をぐいともういっぱい煽って笑い。

「たまにウェイトレスをしててくれると俺は眼福なので嬉しいは嬉しいんだが。
 シスターやってて楽しいんなら、それが一番にゃ違いないとは思うけど、実際の所どうなんだい?」

酒の席なのをいいことに言いづらそうな事まで突っ込んで聞いていく。
ごまかされたらごまかされたでそれはそれで有耶無耶にすればいいからこそ聞けることでもあるが。

シスター・マルレーン > 「そう、かもしれませんね。
 なーに言ってるんですか。 お酒は飲めてるんだから、それくらいで満足してくださいよ。
 というか聖職者ですって言ってから口説くんじゃありませーん。」

お酒でちょっぴり頬を赤くして、くすくすと陽気に笑って、額をぺち、と叩いておく。

「そうですね………楽しいとか、考えたこともありませんでした。
 それでいることが当たり前、って感じです。

 あ、でもウェイトレスは依頼でも無ければもう勘弁ですね?
 この恰好、恥ずかしいんですって。」

苦笑しながら、胸の部分の布をちょっと摘まんで。これ不安なんですよ、と。
相手の言葉には、あまり偽らずに素直に答える女。お酒もだいぶ進んできたようで。

カイン > 「だったら今思いつくことをやれるだけやってみなきゃ損ってもんだ。
 今思い浮かんだことがしばらくして思い浮かぶかって言うと、そんなことはないと思うからな。
 逆に考えるんだ、聖職者だからこそ尚良いと思って口説かれてるって」

しれっとやっぱり碌でもないことを言いながら、額を叩かれると肩を竦めて応じる。

「当たり前か、じゃあその当たり前についてちょっと考えてみたら新しい発見とかあるかもよ?
 俺も昔当たり前だと思ってたこと覆されて、全部放り出してたびに出たクチだからな、あんまり偉そうなことは言えないんだが」

どっちかと言えば放蕩側の人間だと笑い飛ばして腰に手を当てる。
つまみ上げる布の様子を見てクツクツと喉を慣らし。

「そりゃ残念。でも、そういう事言ってると余計な入れ知恵マスターにするやつがいるかもだぜ?
 俺とか。俺は似合ってて良いと思うんだけどな。
 あのシスターの衣装も似合ってるが、こういう格好もぜひやってもらいたいね。
 それとも普通のワンピースみたいなのが好みかね」

そっちも似合いそうだからぜひ、と欲望隠す様子もなく手を打って言い放つ。

シスター・マルレーン > 「おーこーりますよー?
 まあ、……褒められてると思っておきますけどね?」

不満げに頬を膨らませて怒る素振りを見せて、そのあと、ころ、っと笑う。
本気で怒っているわけではなくて、素直にダメだと思いつつも喜ぶ気持ちもある、といったところ。

「まあ、………確かに、そこから考えないとダメかもしれませんね?
 んー、まあ、格好という意味なら一年中同じ格好ですし、違う服っていうものも、試したい気持ちが無いわけでも。

 ………ああいや、これは別にもうお腹いっぱいですよ?」

んー、っと顎に手を当てて考える仕草を見せて。ついでに唇を尖らせて前置きをする。
こんな格好で外歩けませんよ。

「…そのうち機会があれば、まあ、そういったものを身に着けてもいいかもしれませんね。
 仕事中は、基本的にダメなんですけど。」

ぺろ、と舌を出して苦笑をして。
似合うと言われても仕事中はダメでーす、なんて笑って答える。
やっぱり、褒められて悪い気はしない。

カイン > 「酔っ払いのオッサンの戯言でいちいち怒ってたら体が持たないぜ?
 ま、それはそれとして当然褒めてるさ。そこは素直に受け取って欲しいね」

相手の笑顔を見れば男も笑って親指をグッと建てる。

「意外と原点って考えないもんなんだが、考えてみたら良くわからんってことも多いんだよな。
 何だったら衣装を少しずつ改造してみるとかどうだい?
 一張羅ってんならそういうわけにもいかないか。
 あの格好沢山数はありそうだが、潤沢に配ってるわけでもなかろうしなあ」

今の格好に関しては仕方がないと笑ってうなずいてみせる。
しかしながら続いた言葉には余計なことを思いついた様子でぽんと手をウチ。

「なるほど、仕事じゃなきゃ良いんだな。
 じゃあデートのお誘いをしてその最中とかだったら大丈夫かね?」

オフなら問題ないだろう、と思い付きで碌でもないことをポンポン言い出すオッサン。
親指を無駄にぐっと立ててみせる。

シスター・マルレーン > 「はーい、褒められておきまーす。
 ………ふふふ、最初の頃はそれで褒められても、ってずっと思ってましたけど、今はまあ、無いよりはいいかって思えるようにはなりましたねー。」

んー、っと伸びをしながら、ゆっくりと吐息を吐き出して。

「そうなんですよ。……いやまあ、何着かありますけど。
 それを改造なんてしようものなら、何を言われるか。」

苦笑しながら渋い顔。あれ、暑いんですよ……。

「………んふふ、そうですね? でも、オフはありませーん。
 きっちり毎日ですからね。会いにくるなら懺悔室にどうぞ?」

なんて、ろくでもないことに対してろくでもない職場環境で対抗するシスター。
楽しそうに笑って。だーいぶ酔ったか。

カイン > 「そりゃよかった。人生楽しめるようになってる証拠だな。
 まあ、自堕落になってる可能性は否定できないけど」

それはそれで良しと思える方が人生楽ではある。
楽なだけで良い方向に行ってるかと言えばそんなことはない気もするが。

「許可降りるかって言うとおりないだろうしなあ。
 そこは宮仕えのツライ所だな」

こっちはこっちで全部自分で用意しなければならないがその分自由ではある。
最も、おしゃれに気を使うなんて事はこの男全くしないんだが。

「おや、毎日懺悔室に通い詰めて良いのかい?
 そういう事言ってると本気にするやつは絶対いるぜ」

俺とか、と笑い飛ばしてクツクツと喉を鳴らしながらゆっくりと目を細める。
酔っ払った相手のグラスを見て、そのまま軽く外を眺めて肩を竦め。

「それでマルレーンさんや、今日は一体何処でお泊りの予定なんだい?」

シスター・マルレーン > 「ふふ、私がいる教会が分かれば、ですけどね?
 私、冒険者兼シスターだってこと忘れていません?

 私が素直にあの部屋で待っていることが何度あるか、ですよ。
 自堕落な私がどんな悩みも聞いて差し上げましょう。ええ。」

肩を竦めながら、ふふふーん、と、頬を緩めて笑う。
子供っぽい所作が増えているのは、お酒のせいか。

「……ん、ああ、そうですね。
 隣の教会にこのお酒の匂いで泊まるわけにもいきませんから、いつもの宿で一室空いてるといいなー、くらいに思ってましたけど。」

なんて、本当のことを素直に全て話して。

カイン > 「たしかにそりゃそうだな、
 シスターシスターいうからそっちの方が印象が強かったな。
 ま、そのうち教会に一度二度行ってみるのはいいかもだけど」

相手と話をするうちに少し興味が湧いたのはホントの話である。
笑って応じながら、機会があったらぜひお願いしようと笑い飛ばし。

「やっぱ大分酔っ払ってる気がするな…。
 ま、それはそれとしてだ。酒の切り上げ時ってのもあるが、
 その前に有言は実行しておかないとな。近くに行きつけの宿があるんだが、
 一緒にどうだい?風呂はあるから酒臭さは落とせるだろうさ」

当然同衾も示唆はするが、拒まれればあっさり諦めるだろうが。
肩をひょいと抱いてしまおうと手を伸ばしてのけようとし。

シスター・マルレーン > 「空いている部屋があるなら? まあ、行ってみてもいいですけどね。」

肩を抱かれれば、だーかーらー、と不満げに言いながら相手の鼻を摘まんでねじってやる。
力は程よく抜けていて。
暴れたり怒ったりはしないけれども、ダメですよ、としっかり言い含めてくる。
芯というか、根っこというか、それはお酒で緩んでも変わらぬ様子。

「………それじゃあ、……行きますか。 店長、後で洗って服は返しますね?」

んー、っと伸びをすれば。……まあ、宿くらいまではいいか、なんて。
あれだけ外は歩けない、と言っていたにも関わらず、そのままの恰好で荷物を纏めて。

カイン > 「むしろこの時間から部屋が空き始める宿だからな、大丈夫さ」

なにせ娼館の息のかかった宿である。
何で行きつけかと言えば仕事の都合でそこで泊まり込むことが多々あるに他ならず、
逢瀬を終えた後ろ暗い男女がそそくさと宿を後にするのを見た数は星の数ほど。
鼻を摘まれれば、ふっと軽く息を吐きながらもそれを受け入れ。

「…せめてこれくらいは羽織っておきな」

自分の身にまとった外套を取り外し、
相手の肩に掛けようと放り投げながら笑って見せる。
腰に手を当ててフッと息を吐きだし男も大きく伸びをするのだった。

シスター・マルレーン > 「……本当ですかー? 俺の部屋しか空いてないなー、とか言い出したら蹴りますからねー?」

ふふ、と笑いながら、外套を羽織って。
ありがとうございます、と………そこだけは礼儀正しく、穏やかにお礼を言う女。
確かに、前後不覚になるほど酔ってはいないのか、ウィンクをしながらも変わらぬ女。

「………では、行きましょうか。
 こんなお酒の匂いさせたまま、あの服は着れないですもんね。」

なんて。ちゃーんと自分のお金で一人部屋を取りますよ、それはもちろん。
……店主から後でセクハラめいた質問を受けて、若干イライラするのは別の話。

カイン > 「流石に命の危険を感じるからそれはしない」

冗談めかして笑って言い返しながらも、
礼を言われればどういたしましてとだけ返す。
とりあえず自分で立って歩けるらしいことだけ確認すれば、
後は外の問題だけである。日の差し込んでくる様子に息を吐いて目を細め。

「そうさな、世の中酔っぱらいを是とするシスターなんてのも居るらしいが…まあお前さんには似合わんだろうし?」

なんて雑談混じりに会話をしながら店を去っていくことになるのだった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシスター・マルレーンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 カフェ」にクレス・ローベルクさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 カフェ」にシュバルトさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 カフェ」からシュバルトさんが去りました。
クレス・ローベルク > 残暑は厳しいながら、良く晴れた空の下。
外に用意されたオープンテラス席で、男が一人、紅茶を飲んでいる。
昼時なのもあって、人は多いが、席と席の間が十分保たれているので、窮屈には感じない。

「紅茶も美味いな……甘さを引き立てるために、やや苦めだけども」

紅茶を飲みながら、男はメニューを見ている。
この店は、混んでくれば相席になる店だ。
そういう人の出会いも楽しいものだが、しかし相席になる前に、先客が既にメニューを決めておいた方が、後から着た人が頼みやすかろう。
故に、ちょっと急ぐ気持ちで、

「店員さーん!ちょっと注文良いかな?」

と店員を呼んでみる。
メニューはまだ決めていないが、店員が来れば強制的に決断できるし、おすすめを聞くこともできるからだ。