2019/08/23 のログ
ヴィルヘルム >  
心地良い虚脱感。体中を覆う汗の感覚もなくなるほどの、高揚感。
そんな中で、灼熱の溶鋼のように沸き立つ心だけは、尚も燃え盛る。


「……ラグナ、ッ!」

飛び込んでくるその姿を、ただ受け止めた。
熱の塊のようにさえ感じる熱さは、現実か、あるいは…伝わる彼女の心がそうさせるのか。
握り潰しそうなほどに抱きしめ、ばくばくと内側から殴り付ける脈動をようやく自覚する。
普段の照れや遠慮などではない。…そんなものは、互いの体の燃え盛る熱に焼き切れて焦げ散った。


「………。」

ウルスラグナを抱き上げ帰路に着く彼を、部下はどう見ていたのか。
それを気にする余裕ももはや、脳に残っていなかった。

ウルスラグナ > 「――っ」

嗚呼、とても、強い力だ。体が軋む程の力で抱きしめられて、苦しくなるのに。
それすらも心地よい。このまま一つに溶け合ってしまうことだって、もう厭わない。
だから、相手が自分を抱き上げると、自分もまた素直に抱き上げられ、ぎゅっと身を寄せていた。
どう見られようが今はもう、どうでもいい。この熱が、醒めないうちに。
――この気持ちのままに、全てを打ちはなって。
相手と溶け合おう。


「……ヴィル、……お前のことが、こんなにも、愛おしい……っ」


戦いの中、裂帛の咆哮でボロボロに掠れた声が、
しっとりとした、甘い声で、そんな言葉を、耳元に囁いていた。

ヴィルヘルム >  

「ああ」

今の音は何か。誰の声か。そんな思考を巡らせねば辿り着けぬような、過度の消耗。
しかし意識は異様にはっきりと、くっきりと。
目の前の雌が、愛おしくて仕方ない。その感覚だけが、脳に深く深く刻み込まれて離れない。
…もう、何もかもどうでもいい。この熱情と胸のざわめきに、全てを投げ渡してしまえばいい。

「……俺もだよ、ラグナ。」

じりじりと焼けるような、焦げ付いた声。
しかしその声は何よりも、今までのどんな声よりも優しく…そして、まるで毒のように甘く響いた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区・騎兵隊駐屯所」からウルスラグナさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・騎兵隊駐屯所」からヴィルヘルムさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にソウレンさんが現れました。
ソウレン > ここは平民地区の居酒屋。
王都では珍しい引き戸の入り口に、脇につるされた赤提灯。
そこは今日も平常運転であった。

「ありがとう。またのお越しを。」

引き戸がからりと開き、出てくる男性二人組。
追従して出てきたのは店主の女性。頭を下げ、見送る。
外はあちーなぁ、と言いながらの二人組が去るまで見送り、店内へと戻る。
店内はどこかひんやりと過ごしやすい温度が保たれており、それと東方の酒と料理を目当てにやってくる客がいた。
先ほどの二人組もその手合いだが、いかんせん物珍しい為に数は少ない。
二人組が帰れば客のいなくなった店内を見て一息。

洗い物などは済ませているし、この間に食事をとってしまおうか…。
そんな風に思って調理場へ。
少し冷めた白飯と、刺身を切った後の端切れを少々。海苔と山わさびを添え、引いていた出汁を少々温めて…。
簡単なお茶漬けを作り、お銚子一本添えてカウンターへ。静かにさふさふとお茶漬けを啜り始めた。
店内にはほんのりと出汁とわさびのいい香りが漂う。

ソウレン > ゆっくりとお茶漬けを食べ終えると、冷えた酒をお猪口に注ぐ。
くい、と一杯を飲み干し、ほう、と息を吐いた。
ちょうどそこへ新たな来客。
艶っぽい息を見られたか、男性客は若干嬉しそうだ。

「いらっしゃい。好きな席へどうぞ。」

立ち上がり、食器を片付けていく。
酒飲み処の夜はまだまだ続きそうだ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からソウレンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 エステ店「オブシーン」」にモールドさんが現れました。
モールド > 平民地区と富裕地区の境目に居を構える、エステ店「オブシーン」。
清潔感が見て取れる店構えと、利用者の声、そしてその値段設定から平民、貴族を問わずに評判の良い店だ。

その実態は、優良店とは間違っても言い難いものであるけれど。
今日もまた、愛しの恋人や旦那の為、または自身の美を磨く為にとその身を嬲られる客が一人。
淫らで変態的な施術を受け、それでも認識上は「素晴らしいサービス」を受けて満足そうに店を後にする。
その胎には雄の種がたっぷりと仕込まれ、つい先ほどまでその証を魔導具に晒して記録していた事を知るのは今、店の主ただ一人だ。

店に一歩足を踏み入れれば、設置された魔導具の効果で認識に影響を受けてしまう。
エステの効果を宣伝するように店内へと飾られたパネル一つをとっても、それは美貌を喧伝するものではなく。
素肌を晒し、卑猥な落書きを施されて玩具を銜え込む姿であったり。
男のペニスを美味そうにしゃぶり、恍惚とした表情を浮かべているものであったり。
更には犬の様に首輪とリードをつけられて、屈辱的なポーズを取らされながらも矢張り蕩けた表情を浮かべるものであったりと様々だ。

女の、否、牝の美しさを象徴するという意味ではそれは一部で納得できる写真の数々であるかもしれない。
けれども、此処は表面上は普通のエステ。誰もが、それを見た途端に逃げ帰るだろう
――それも魔導具の効果で「ちょっと過激だが魅力的なスタイルを見せる女性」とでも変換されるのだろうが。

さて。今日は後一件、予約があるがそれまでにはまだ時間がある。
獲物となる客が来るか、それとも予約の時間まで暇を過ごすこととなるか。
のんびりと受付を続けながら、次なる客をどう料理しようかと、にやけているのであった。