2019/06/13 のログ
ご案内:「平民地区・噴水広場」にルビィ・ガレットさんが現れました。
ルビィ・ガレット > 噴水の縁に腰掛け、夜風に当たっている女がひとり。
待ち人を待っている様子ではない。視線は遠く、行き交う人々を見るとも無しに見て、眺めており……。

それから手持ち無沙汰そうに上体を軽くひねり、街灯の明かりを受けてきらめくそれを偶然見つけて、紅茶色の目を見開く。

「……私の、国の。硬貨」

濡れるのも構わず、噴水の水溜まりに手を沈めた。
目的は、この国の硬貨とは違うデザインのそれ。王冠に蔓草が巻き付いた意匠の金。……久々に見た。

「――同国の者がいるのか……」

祖国の硬貨を掬い上げれば、安心したような……軽く泣き出しそうな表情になる。

ルビィ・ガレット > 換金もせず、自国の硬貨を噴水に沈めるなど。
いや、流通したものが誰かの手に渡って、それが今、自分の目の前にあるだけかも知れないが――、

前者だとしたら。願掛けの類いで噴水に沈めたのかも知れない。
効果の程は知れないし、まじないや気休め程度なのだろうが……。
手の中の硬貨を眺める。近況は時折、幼馴染が手紙で報せてくれるが、こんなところで望郷の思いに駆られるなど思っていなかった。

――本望を。まだ半分も果たしていないのに。

ご案内:「平民地区・噴水広場」にフィズルさんが現れました。
ルビィ・ガレット > 手の中に祖国の硬貨を握りこむと、噴水の縁に座りなおす。
目線は雑踏に向けられているものの、特に何も捉えてはいない。
冷えた硬貨の感触をどこか遠いものに感じながら、物思いに耽る――。

先日、酒場で出会った貴族。彼と賭け事をしたが……その際、彼の財力にものを言わせて、大掛かりな情報収集を頼んでも。
――いや、正確には。勝った際の報酬にしても、よかったかも知れない。

過ぎたことだから、思うだけで。
実際のところ、外野にこちらの事情を説明して、手助けを求めるなど……しなかったろうが。

フィズル > 「~♪、さぁて、今日は何食おうかな、っと…」

眺めている雑踏に、ふと、派手な色が目に付くだろうか。
上機嫌に何か硬いものが入った袋を揺らし…どこか酒場にでも行く予定なのだろうか、近道として公園を横切っている様子。

夕食にしては大分遅い時間だが、彼を知る物なら賭け事に夢中になっていたであろうことは予想がつくだろうか
その途中…ふと、彼の視線が噴水に向き…見覚えのある背格好を見つけ

「おー、ルビィどうした、こんなとこで。何かイヤなことでもあったのか?」

フードを被ってはいるが、そこから漏れる三つ編みにした金の髪と背格好を照らし合わせれば彼にとって個人を特定することは造作もない。
相手が自分の事を考えているとは知らず。
そこそこに大きな声で、少々離れたところから近づこうとしてみよう。
陽気な彼から見れば、噴水で物思いに耽るなど、どうしようもなく落ち込んだ時しか考えられないのだろう。

ルビィ・ガレット > 「………」

紅茶色の双眸を瞬かせる。雑踏の中に目立つというか、見知った顔があるような。
思索に沈んでいた頭だったが、まるで自分の思考が呼び水になったかのように
彼が姿を現したものだから……小さく頭を横に振った。いや、気のせいだ――知らない振りをしよう、と。

「先日、酒場で賭け事に負けて――その相手に
 セクハラ紛いのことをされたことくらいかしら。嫌なことと言えば」

無理だった。……だって、向こうもこちらに気づいて、距離を詰めてくるのだもの。
しかも、こちらの名を口にしながら。通行人の何人かは彼の声に反応して、二人をちら……と見遣っては雑踏に戻っていき。
仕方ないので、何でもなさそうな薄い笑みをまとえば、軽口を叩いて。

フィズル > 「はっはっ。あれは賭けの結果だ。文句が言いたいなら言えばいいが…
俺はきっちり覚えてるぜ。ルビィの髪の感触とか、紅くなった顔とかな。」

また撫でてやろうか?なんて言いながら
彼にとって人生でもある賭けの結果は、何年か経たないと記憶から風化しないほど強烈に一戦一戦が刻み込まれていて。

「んで、それ以外に嫌な事無いなら、逃げればいいじゃねーか。俺そんなに足速くねーし。
ルビィの方が早いぜ?きっと。」

どか、と隣に座ろうとしつつ。距離を空けられればそのままだが。
人外と徒競走をしたことはないが。きっと自分よりは早いのだろうという予想を立てて
自分との思い出が嫌なら逃げればいいのに、と告げてから

「まったく、素直じゃないねえ…。そうだ、せっかく今日勝ったんだ。一緒に呑まねえか?んでまたなんかヤろうぜ」

この相手と会話することは素直に面白い。
天邪鬼で読みにくく、どこに地雷があるかわからない。
相手の気分を晴らすため…ではないがたっぷり金の詰まった袋を掲げて少年のように笑い。

ルビィ・ガレット > 心情を悟られたくないので、誤魔化そうと適当な冗談を選んだつもりだったが。
相手は律儀に返してくる。……思い出した。自分と"似たような"タイプで、
なかなか怯んでくれない"やつ"だった。

澄まし顔を努めながら、

「そんなことは覚えておかなくていい。すぐに忘れろ。
 ――私が人から逃げる? ……普通、逆だろう」

隣に座られれば、若干の距離は置くものの。それはパーソナルスペースを守っているだけで。
彼を嫌がっているだとか、拒んでいるというニュアンスはなく。

「あなた相手に素直になったところで、私には特に利点がないだろうが……。
 ――確か、初めて会った時も勝ってたよな? それで、私との賭け事にも……勝ってさ。
 『ツイてるから勝った』とかほざいてたよな。――誰がやるかよ」

本心を覆い隠すような笑みを浮かべながら、気安い感じでまた、軽く言って。
乗り気ではない素振りを見せる。

フィズル > 「忘れろと言われて忘れられれば苦労しないんだよなあ
…そりゃそうだった。失敬。」

可愛いナリでも人外なのだ。
それは逆になろうというもの。ふむ、と顎に手を当てて訂正する。

拒まれなければそのままの位置関係を維持して。

「あーしまった、そうだった…。だが、わからないぞ?
俺が勝った、ってだけでルビィの方が運がいいとは限らない。
勝負になったらルビィが勝つかもな。」

などと言いながらまたしまった、と言って

「あー…酒は苦手だったな。
血以外で何かあんのか。好きなの。」

大げさに額に手を当ててため息を吐きつつ
酒が苦手なら飲みに誘っても意味がない。
何か相手の事を知れないか、と。

ルビィ・ガレット > 「……先日のことは、違うことでお前の記憶を上書きしたいものだが――、
 その場合、お前はその『違うこと』と『先日のこと』をちゃんと結びつけて
 長期記憶に移行しそうだから……なんか、フィズルって。本当に嫌なやつだよな」

薄い笑みを浮かべたまま、どこか感情をフラットに抑えた声でそう言い。
……とは言え、少し堪えきれず。のど奥が低く、愉しげに鳴る。
口先では悪感情の吐露そのものだが、内心は彼を憎く思ってないのだ。

「――賭け事をするのは別に構わないんだが。
 単純に、賭けるものがなかなか思いつかないだけだよ。
 ……抽象的なもの、定義が曖昧なものは賭け事の報酬にならないだろうし」

彼の言葉を遮るように、急に、声の調子を変えて言った。
ふざけてない、真面目な声音。紅茶色の双眸が彼を見ている。
相手の大げさな仕草には、小さな笑みをひとつ、漏らして。

「人の悲鳴。断末魔。……なぁんて、
 あまり"正直に"応えられてもそちらが困るだけだろう?」

歯を見せて笑う。……人の形を解いてないので、尖っていない、普通の白い歯だが。

フィズル > 「おいおい心外だぜルビィ。俺ぁ、賭け事に対して真摯なだけでなあ…
ま、そもそもそんな綺麗な容姿じゃ、賭けをしてなくても記憶の片隅には残っただろうがなァ」

周りの雑踏もあるが、相対している以上僅かな相手からの音は聞き逃さない。
わざとらしく両手を広げて困ったような表情を作る
ただ彼も笑みを隠せず。やはり、この相手と話すのは楽しいと
マゾの気はないのだが簡単にその奥を見せない相手に、話す気がどんどん湧いてくるのだから不思議だ。

「諦めるなよー、前も言ったが、俺ァ賭け事に対しては…条件によっては命すら差し出す男だ。
曖昧だろうと口に出してみな。それによって受けられるかどうかは決めるからよ。」

例えば世界が欲しいだとか
そういった願いなどはいくら彼でも無理だ。
けれど彼にできることならなんでも、賭けのテーブルには乗る。
声の調子が変わることは、何か相手にとって大事なことなのか
あるいは…ただの気まぐれか。気まぐれだったとしても、相手の要求を聞くことに損はない、と。

「おーおー。いい趣味してると思う。
酒ややべえ薬で体壊すよりよっぽど健全だぜ?…人を襲ってても別に俺ァ気にしねーしな」

彼にとってはその相手が賭けができるかどうかが大事であり
それ以外は些事に近い。

ルビィ・ガレット > 「……………」

途中までは、なんて言い返してやろうか考えていた。
だが、相手の口から「綺麗な容姿――」という言葉が出てきたあたり、思考が詰まって。
曖昧な笑みを浮かべ、黙ってやり過ごすことにした。

顔が赤くなりそうなのを、手元の硬貨に意識を向けて……なんとか堪える。

「――お前の『困った顔』や『焦った顔』は、なんとなく見れているしな……賭けずとも。
 それか、あれか? ……そちらが私に望むものを提示してくれたほうが、私も自分の望むものが思いつきやすい、か。
 ……ただ、実家の古城に財産はあるが、賭け事の報酬には使えない。

 曰く付きのものも多いし、家の財産を人間との掛け金に使ったら……私の立場がない」

先日、「化け物の財産に興味がある」ようなことを彼が言っていたのを思い出して。
その際、彼は「人間の貨幣に換えられないか」と諦め気味のことも言っていたのだが。
その上で、一応、念を押して言っておく半吸血鬼。

財産。仮に、彼女の好きにできるものがあったとしても、「周囲の目」というものがあるのだろう。

「……自分では悪趣味だと思っているけどね。
 ――あの時、あなたの血を『吸いたい』と思ったのも、末期的だったなと後から反省したさ」

軽薄な笑みを浮かべながら、どこまで本気かわからない声の調子でのたまう。

フィズル > 「…?」

前に会った時もそうだったが
容姿に触れた時に妙に反応が違うような
ただ、先ほどとは違い、音も、眼にも違いはあまり見られないが
一応頭の端に置いておこうと。

「なるほど。俺が決めるとちょっと極端になるんだよな…スリルを求めすぎてさァ。
古城とはまた…。賭けたくないなら賭けるなよそんなの、毒になるだけだ…
これも前言ったが、お互いがこれでいい、となるものを賭けなきゃ意味がねーんだ。
…アホな奴だと何の理由も特に得られるモンもなく、イカサマだらけの勝負に挑んだりするが、ルビィは違うだろ」

前の勝負なら、それほど大きな損害もなく、血と身体に少し触れる権利を賭けたのみ
賭けられない、というのなら彼に強要する意思はなく

「はっは。反省ってお前…、…欲望に忠実になるのも、たまには大事さ。
まして無理矢理じゃなく、俺は望んだんだから。…って脱線したな…」

ふむ、と真剣に考えて

「そうだなあ………、同じ賭け金はつまらねえし…。財宝が動かせないとなると…情報を要求してもいいが、喋ってればその辺は俺は要らないしな…。
あくまで例としてだが、ヴェーゼはどうだ?もちろん俺の口に。ルビィから。
あるいは身体ごと要求してもいいが……ふむ…それはちょっと重いか…。だが、ここには何か買えそうなものもないし…。」

それが相手の誇りに踏み込み過ぎていないか
また顎に手をあててぶつぶつと、色々と案を出し始める。
激昂するなりすれば、それは止まるだろうが。

ルビィ・ガレット > そちらは違うだろう、イカサマだらけの勝負に――、
そのあたりでため息を漏らせば、彼に向き直った。

「……あのな。私からすれば、望む賭け事の報酬を提示する時点で躊躇われるんだよ。
 ――わからないのか? ……本当に欲しいと思っていても、言い出しにくいものもある。
 欲望に忠実と言っても、だな……私の考えていることをお前に晒すの、は」

戸惑いの色を滲ませながら、しかし、真面目な口調で言って。
要は、求める報酬の内容自体に、こちらの内面を窺わせるものがある、と。
妄りに自分のことを話したくない、弱みも見せたくない彼女のことだ。

葛藤があるのだろう。

「……前から気になっていたが、なぜ私の体が掛け金になるんだ。
 先日、髪に触れたがったのは、もの珍しさから来ていると思っていたが」

口付けだの、体ごとだの、そんな単語が聞こえてきたあたりで、女の表情は僅かに硬くなり。
彼の提案に、そう、首を傾げた。内心の揺らぎを表に出すまいと努めてはいるものの、
僅かに染まった頬の色は誤魔化しきれず。……遅れて、熱っぽい吐息を少し漏らした。

フィズル > ふふん、と相手の途切れた言葉には鼻を鳴らすのみ。

「わかっちゃいるさ。何か抱えてる、って、ぐらいはな。
混血の話っつーのはいい話聞かねーし。ただそうなるとな…
その事情を無理矢理喋らせる賭けをするのもありだが、好かん。」

きっぱりと。
この…天邪鬼だが、賭けに負けたとあれば素直に撫でられる相手ならば
賭けの代価にその情報を乗せ、勝てば話すのだろう。
けれどその時の表情はどうなるのか。話したいときに話すのが一番いいのではないかと、男は思う
先ほどの、両方が納得する賭け金、という話にもつながっているのだろうか。

「恋に恋する…ってやつなら申し訳ねーが。
理由は2つ。1つはさっきも言ったが、ルビィがあんまり大金賭けれねーのとそもそも日銭以外でそんなに金に興味がねえ
酒に付き合え、って言う事もできるがそれも苦手なら俺はテーブルにそのかけ金は乗せられねえ
もう1つは単純に男として、だな。美人を抱きたいと思うのは当然だろ。」

照れもせず、いつもの笑い顔で。
駆け引きを繰り出す癖に、こういったところはストレートだ。

ルビィ・ガレット > 「………? ――あ、いや」

首を横に振る。

「私が言い難いのは、血筋や家絡みのことではなく。……っ、察せ!」

途中で言いよどみ、視線を彼からはずせば、無茶なことを語気強く言って。
俯いた顔は赤い。元より色が白いから、紅潮の気があれば、それはわかりやすく出て。
彼女が言葉を濁した内容は、おそらく性的なものだろう。

ありていに、掛け金として彼に内容を伝えてしまえば……、
自分の嗜好や性癖を知らせるようなもので。その時点で割を喰う気がしていた。
彼を面白がらせそうな情報に成り得そうなのも、避けたがる理由のひとつで。

「……単純なやつだな。まぁ、フィズルのそういうところ、嫌いじゃないけど。
 ――人気のない場所を選んでくれるのなら、多少、体に触れられるのは構わない。
 
 ……ただ、その場合。あまり変なところを触るなよ?」

顔の熱を夜風で少しずつ冷やしながら、努めて冷静に返す。

フィズル > 「――――…」

考え過ぎていた、と男は思う。
頭のどこかで、そういったことには程遠いのではないかと。
故にぽかん、と…少し呆けてしまったが

「ぷ、っ、く…、い、いえとか、たいぐう、とかそういうのかと
思って、たら…、見た目、通り…!」

彼にしては珍しく声を抑えて笑い。
悪いとは思ってはいても、自分の間抜けさにも笑いが止まらない。

「ひー…、ふー…、それこそ、言ってくれよ。
俺が見破るまで嘘をついてたルビィのことだ。ずーっと抱え込んでんだろ。他の奴にも言えずにさ。
親も知らないんじゃないか?
…もう笑ったりしないからよ。何なら場所移すか。丁度いいし。」

その後の言葉にも頷いて。
賭けをして、触るにしても触れないにしても。あるいは話しても話さないにしてもこの公園では目がありすぎる。
適当な宿屋や路地にでもしけこむか、と提案して。

ルビィ・ガレット > 「……っ! フィズル、貴様っ……笑うんじゃない!!」

むしろ、自分のほうが大きな声が出ていた。
人の気配は寂しくなったものの、通行人はちらほらといて。
こちらを遠目に見る者もあったが、「痴話喧嘩か」とすぐに興味を無くし。

彼の胸ぐらに掴みかかりそうになって、すんでのところでやめる。
力量差は元より知れているし……こちらが感情的になるほど、相手の思う壺だと思った。
……が、

「パパとママのことは出すな――、あの人たちは、関係、ない」

逆鱗に触れたらしく。……それでも加減しているらしい、
彼の首に伸びた手は右手だけ。片手だけで、成人男性の2倍近くの腕力を掛ける。
リミッターを外さすとも、日常的にこのくらいの力は出て……。

瞳に温度はなく、女の顔には確かに怒気が立ち上っている。
親を引き合いに出されたことが、相当頭にきたらしい。
……それこそ、ひと言二言では片せない、内情があったか。

フィズル > 「っ、……っ、……」

出せたのは、呼気だけだった。
吐いた息が言葉を紡ぐ前に、首を取られる
なるほど、これは地雷だったのか、とどこか冷静に。

今までも親を大事にしているような言葉はあったが…そこを見誤った

ただ、相手がその気なら、自分の首は既にへし折れているはずだ
そうなっていない、ということは…少しは、自惚れてもいいのだろうかと。

「―――――――す、ま」

「―――――――ね、え、…な…っ、だ、が…!」

にぃ、と…息が吸えない中でも笑う。
ようやく、自分を出してくれたかと。
腹の底から、残った息を全て吐き出し、音を紡ぎ始める
目はぎらぎらと輝き。命を握られているにも関わらず、楽しそうだ。

「――――ろ、す、な、ら……け、でこ、ろ、せ…!」

一音一音、絞り出すように。
謝罪の後…、俺を殺すなら賭けで殺せ、と。
でないといつまでも怨霊となりそうな気迫を見せつけよう。
相手の反応はわからないが、これが彼の信念。

ルビィ・ガレット > 「――ちっ、手間取らせやがって……」

急に手を緩めれば、投げ捨てるように彼から手を離した。
首を掴む勢いで落とした祖国の硬貨を、石畳の上で見つければ。それを拾い上げ。
裡ポケットにしまってから、彼の両肩を掴んだ。

……彼の肩に人外を思わせる、たとえば骨が砕けそうな負担はかからないものの。
有無を言わせない、言外の圧力は確かに存在した。微笑んでいるような、軽蔑しているような。
とても薄い表情で。……彼を見下ろしながら。

「言いたいことは、たくさんあるけれど。……………」

目が笑っていない笑顔を向けたまま、黙す。
無言の圧力を意図的にかけているのではない。
いろんな思考や感情が渦巻いて、ほんとう、咄嗟に言葉にならないのだ。

……とは言え。彼からすれば、永遠にも近い地獄の時間かも知れないが。

フィズル > 「―――――…か、は…っ」

首を離され、次に肩に負荷が来る。
喋れるようにはなったが…その手は男がどれだけ力を振り絞っても解けそうにない。
ただ、砕かれはしない。
一先ず、息を整えて。

「………。ゆっくりで、いいぜ。逃げやしねえ」

まあ逃げられないのだが。
その前に、と続けて

「すまなかった。笑っちまって。
…ルビィの気持ちを見抜けなかった間抜けさと、不用意に踏み込みすぎだった。
頭を下げられねえから誠意をみせられねえが…本当に、悪い。」

首だけを動かして、頷く様な状態だが、重ねて謝罪を

「――――…」

その後は、判決を待とう。自分の要求は既に伝えたが
結局は人外相手に逃げることもできないため、そうするしかなく。

ルビィ・ガレット > 「……結論だけ先に言うなら、殺しはしない」

当然のことだろうが、彼の肩から緊張や強張りが感じ取れて。
それに意味も面白みも見出せず、ひとまず、そっけなく。
こちらの意向を伝えた。……ただ、肩から手を離しはしまいが。

「……それと、私が『嘘を吐いてた』ってなんのことだ。
 確かに、誤魔化したり、煙に巻いたりした場面は多かったと思うが……、
 私が何か偽ったか? ――冗談や軽口をそう捉えるなら、そうかも知れないが」

気になることから話題にしていく。意思疎通に齟齬は付き物。
ゆえに、こうやって言葉にして、実際に確かめる作業が大切なわけで。

フィズル > 「…そうかよ。…賭けで死ぬなら本望だったんだがな。」

それは、自分の原風景にもかかわるものだ。
けれど、少し瞳に憂いを浮かべたのみで

「最初に会った時。嘘をついて、ずっと見てたことを偽ってただろうに。
だから、そういう隠し事が『日常』になっているのかと思ってな。
そういう奴は、家族にも隠し事をしていることが多い。…俺の持論だからな、怒るなよ。
…お前の…なんだ、顔が紅くなるような隠し事も、親にすら言ってないんじゃないか、と予想したわけだ。」

再び激昂されて殺されるわけにはいかないため前置きをして。
理由を淡々と話そう。
美人は無表情でも美人だな、などと…益体のない、思考も回しながら。
相手が応えるまで少しの間があるため、自然に考えてしまう。

ルビィ・ガレット > 「――今、ここで。殺害しないという意味だ。
 ……まぁ、お前の命を掛け金にするつもりもないが」

彼の表情に、遠い眼差しになる。
かける言葉が無い、と言った具合に。

彼の言い分を聞き終えると、両肩から手を離したと思えば、
相手の胸ぐらを片手で掴んだ。……ぐ、と顔を近づける。
口付けが叶いそうな程の至近距離。殺意の滲んだ笑顔を彼に向けながら、

「――家族って。お父様も、お祖父様も、そんなことを知っている必要が……ある?
 ………あなたに打ち明けようか考えあぐねていたところ、あなたが水を差したんじゃない。

 あなたに隠していたこと、強いて言うなら。――言う必要、ないか」

興が削がれた、とでも言いたげに。
急に彼の胸元から手を離せば、そのまま彼を解放した。
……黙ったまま、薄い表情を彼に向けている。

フィズル > 「―――興味を失われちまったか。辛いね。」

それは、彼にとっての毒だった
つまらない顔で話をする相手など見たくもない
ただ、その笑顔ですら、空虚に感じられた

肩まで解放されれば、上体を起こし。
赦されるなら立ち上がろう。
ただ逃げようとはせず。派手なコートについた土を払い

「そりゃ残念。美人の秘密を知れるところをフイにしたな。
で、明日にでも闇討ちするのかい?吸血鬼らしくさ。」

つまらないからこそ、面白くしようとする悪い癖。
今しがた殺されかけたばかりだというのに、挑発。
それは、相手の言葉を信じているからこそ、ではあるが。

「…だが、もう一度言ってみるか。賭けをしよう。
命は賭けにのせないが…俺からの提案は、その隠していること、だ。
ここまで来たら逆に気になってきた。」

殺されかけたことによる高揚、そして打ち明けようか迷っていた、と餌をぶら下げられれば食いつく。

「ルビィからは…まあ言葉を信じるなら、命以外ならなんでもいいぜ。…俺のできる範囲を多少超えてでも、叶えてやる。
これは『絶対』だ」

…まあ、興味が無いならこのままさよなら、だ、と。残念そうに笑うか。

ルビィ・ガレット > 「………」

興味は、失ってはいない。
ただ、早急に気が変わってしまった。
言いかけていたことを、言う。そのきっかけを見失っていた。

……彼に悪気がなくとも、嫌な気持ちになったのも確かであり。
だから、言いかけていた言葉はやはり言わないし、
「興味を失うほど、まだ嫌ってはいない」とも言わない。

後者の言葉で彼が気を取り直したり、元気になってまた
調子に乗られたりしても厄介だ……そう考え、口を噤み続け。

彼からあまり間を置かずに軽口が聞こえてくれば、
「ほら、見たことか……」と自分の判断が正しかったのだと、痛感して苦笑い。

「私にも好みがあるんでね……殺す相手やタイミングは自分で選ぶさ。
 ――あなたを殺して何になるの?」

酷薄な笑みを浮かべながらの挑発的な物言い。
遠まわしに「お前は私の獲物に値しない」という批判。
……尊大な口調や振る舞いに本心を隠す癖も長らくついてしまっている。

どこまでが本心か。それは相変わらず、曖昧で。

「……お前。どこまで賭け狂いなんだ」

冷えた笑みも失せ、彼の言葉に思わず後ずさる。
そこまでなのか。……その揺るぎなさに、衝撃や感動に似たものを覚え。
驚きこそすれ、呆れ笑うことはせず。

「――だが、『隠していること』だなんて、それこそ定義が曖昧じゃないか。
 私がどこまで話せばいいのかわからないし、打ち明けているうちに勢いづいて、
 元々話すつもりがなかったことも言うかも知れないじゃないか――私はそれでも構わないけどね」

訝しげな表情で話していたが、不意にそれが、底の知れない笑みに打って変わって。
しかし。……それがまた、真顔に変わった。

「天秤が釣り合うか判らないが、ヴィリエという男を捜して欲しい。
 ……彼の詳細は、私が勝った場合に話せばいいか」

掛け金に誰かの捜索願いを持ち出す。
つまり、賭け事をやるという意思表示。

フィズル > 「ほほう。それは知らなかった。俺を殺せば、気が晴れるぜー
ルビィと、ルビィの両親を引き合いに出した不届き物を…って感じでさ
……ま、そういうやつじゃないのはわかってるけどよ。」

相変わらずの軽口。
相手が…例え殺人衝動を持っていたとしても、抑えていることは今まで殺されていないことで明白だ。

「『どこまでも』、だ。俺ァ隙あらば、賭けをして死んでるかもしれない男だぜ?」

ふふん、とまた笑う。すっかりいつもの調子だ。
乱高下が激しいにもほどがある。

「納得してくれりゃ、この場合はそれでいい。話したいところまで…って感じだな。もちろん、嘘は無し。
…これは、俺の洞察力とかそういうのじゃねえ。プライドの話だ。
……ただまあ、やっぱり、ルビィは誤魔化しアリでも表情出してくれた方がいいぜ。」

表情を…ようやく思考が付いてきた表情を浮かべてくれた相手に笑いかけて
番外戦術か、本心か。

「ヴィリエ、ね。一先ず覚えはねーな…。
おう、それでいい。王都中…あるいは他の町に行っても探してやる。」

こく、と頷いて了承し。

「さて、肝心のゲームだが…どうする?前と同じでコインにするかい。」

一応それほど風も強くないため
カードやコインなどは使えそうだ。

ルビィ・ガレット > 「――気が晴れるなら問答無用で今頃貴様を絶命させてるわ。
 ………舐めるなよ、ガキが」

白い肌に青筋が浮かび上がる。まだ半世紀も生きていないこの身だが、
彼よりは生きている……と、踏んでの言葉。
目が左右、不均等に見開き、彼を視線で殺しかねない眼差しで。

……見る。

ただ殺すだけでは欲求不満でデメリットもあるのだろう。
それ以外の理由でも自制心が働いている。……としても。
殺害に至らないだけで、感情の吐露は抑止しないわけで。

「………………………」

こちらも乱高下が激しい。
彼の言葉には返事せず、重病患者を見るような目線を相手に寄越した。
先ほどまでのちりちりした殺意が一気に冷めた瞬間である。

「……『隠していること』を表に出すのなら。
 ――それは、表情だって含まれると思っているさ。
 第一、言葉は真で表情は偽りなど……そんな器用な真似ができるかよ。私に」

ため息交じりの苦笑で言って。

「とりあえず、お互い、賭け事の条件に異論ない……ということで。
 ――前と同じ、コインでいい。……ただ、コインはこれでいいか?」

外套の内側を手探りして、取り出すは祖国の硬貨。
表の面には、王冠に蔓草が巻き付いた意匠。
裏の面には、小額を示す数字が。

彼には異国の硬貨に見えるだろう。

「……一応言っておくが、噴水の水溜まりの底で見つけたものだ。
 少し前まで私の手元になかったし、細工は何もしていない」

言いながら、彼に手渡そうとして。

フィズル > 「その通りだ。だから、『信じてる』んだよ、お姉さま。」

小心者なら心臓が止まりそうなほどの視線。
ただ、彼は…身体が勝手に震えそうになるのを精神で抑え
視線を揺らさず、不均等に開いた目を見つめ返す。
ついでに軽口も添えて。

殺意が冷めるまで、そのぴりぴりした視線のやり取りは続くか。

「逆ならよく見たがなァ。まあ、それは置いといて。
言うまでもなく、賭け金は払ってくれると思ってるぜ。
そうじゃなかったらこんな不確定な条件出さねーよ」

苦笑に、また笑顔で答え

「ああ、…ってまた珍しい。ここ以外のヤツだな。…どっかで見たが…それはいいか。」

一応受け取り、ふむ、と見る
一瞬でバランスなどを確かめたことに自己嫌悪し

「信じちゃいるが、癖が出ちまった…。これでいいぜ。ほれ。」

噴水の底にあったにしては偶然、歪みも何もなく、公平な勝負ができそうだと。
自分の疑り深さにため息を吐いて。
そのまま、相手に返そう。もちろんコインはずっと相手の視線の上にあり、何かした様子もない。

「前と同じだ。そっちが投げて、俺が当てる、でいいか?逆でもいいが…。いいなら、投げてくれ。」

と言ってまた目を閉じる。最初の時と同じだ。
そのまま投げるなら裏表を当てるだろうし、彼女が投げるのが不服ならコインを受け取るだろう。

ルビィ・ガレット > 「やめろ。……気色悪い。――不出来の弟はひとりで十分だ」

彼の軽口に毒気を抜かれたか、つい……と視線を逸らす。
対峙しているのがバカらしくなってきたらしい。
続く言葉にはまた、彼のほうを見て、

「……私はただでさえ不誠実な生き物だ。
 約束した上で違えたら――自分で、自分が、許せない。
 だから、掛け金はちゃんと払うさ。……不正はしない。約束する」

表情と言葉、声音はおのおの一致しているように思われる。
返された異国の硬貨を受け取れば、首を小さく横に振った。
「気にしていない」と。

「形式上でも……そういうのはやっておいたほうがいいだろう。
 ――雰囲気も出るし。ああ、私が投げるから、フィズルが当ててくれ。
 
 ……当てられるなら、な?」

底意地の悪そうな笑みを浮かべれば、やや上空にコインを放り投げ……、
それを右の手の甲で受け止める。左手でコインが蔽い隠され――、
彼女が手を退けるまで、裏か表かわからない。

実際は――裏。

フィズル > 「へえ、弟がいるのか。…深くは突っ込まないでおこう」

興味を示したが今は賭けに集中しようと。
ただ、情報はしっかりと覚えて

「そうかねえ…。
覚悟決まってて、十分、誠実だと思うが…」

嘘ならば高確率で彼は見抜けるが…
誤魔化しなどは確かにあるものの、彼女からはドブ臭い本物の嘘つきの匂いは未だ感じていない。

「そりゃそうだが…せっかく賭けに乗ってきてくれたんだ。
これまでもイカサマが無かった以上、使われるまでは信じたいのさ…」

目を瞑りながらそう言って…
コインが跳ね上がる音を聞く
次いで、ぱし、という受け止めた音。
間を持って約5秒ほど待った後、眼を開けて

1d2
1 表と答える
2 裏と答える
(続)
[1d2→1=1]
フィズル > 「表、だ。」

相変わらず自信満々に
笑顔のポーカーフェイスを崩さず、そう宣言を。
―――実際は、負けているのだが。

ルビィ・ガレット > 「……お前の考える『誠実』と、私の考える『誠実』が違うんだろうな」

薄い笑みを漏らすのみ。

「……難儀な性分だな」

目を閉じたままの彼に、少し寂しそうな笑みを浮かべて。
なるべく平静を努めて、コインを蔽い隠している自らの左手を退かす。
ゆっくりとした動作で――裏の面が見えた。小額の数字の表記が。

「裏だ。……意匠があるほうが、表だったはずだから
 ――私の情けで、『違うこと』にしておくか?」

からかうような笑み。

フィズル > 「馬鹿言え。それを捻じ曲げちゃ、俺が俺で無くなるぜ。
イエスって言ったらどうするつもりなんだよ。」

賭けに負けたのは自分だ。
その結果は受け取らなければならない。
わかってるだろうに、と笑いながら噴水に腰掛けなおして。

「ま、また会えたってことは縁があるってことさ。その時の楽しみにするとして…」

さて、負けたからには賭け金を支払わないといけないが、相手の言葉によれば詳細を教えてくれるはずだ

「ルビィが意地悪で、何も教えないっていうならそれでも構わんが、フルネームがあるならフルネームと…
知ってる限りの情報を教えてくれれば、多少は見つかりやすいと思うぜ。どんな奴で何をしたのかも知らないけどよ。」

探している、と言う事は何かしらその理由があるはずで。
それもまた聞こうと。

ルビィ・ガレット > 「……一度くらいなら、別にいいかと思っていたよ。
 お前らしくない感じはするけれども」

噴水に腰掛ける彼を見下ろしながら。
コイン投げの際、女は立ち上がっていた。その体勢を保ちながら、

「お前みたいなのと縁があってたまるか。……呪われているような気分になる」

懲り懲り、と言いたげに。肩を竦めて、ため息。
彼を見る表情は、どこか柔らかいけれども。

「お前のほうが意地悪で性格悪いだろうが。

 ……すまないが、あいつの姓は忘れた。貴族なのは確かなんだが。
 実年齢は39から41くらいだったと思う。見た目が若々しいやつだったから、
 20代後半に見えるかも知れないが。

 少し長い銀髪だ。異色双眸(オッドアイ)という言い方をしていいのかわからないが……、
 あいつ、左目に炎を宿している。碧眼で、左目だけ炎が閉じ込められたように燃えている……。
 ――まぁ、実物を見ないとぴんと来ないか。

 ……あとは、背丈は180……近かったような。彼は、魔術師の家系で――、

 ああ、なんで探しているか言ってなかったな。ごめん。
 協力させたいことがあってね、彼に……」

『協力して欲しいこと』ではなく。『協力させたいこと』。
微妙な言い損じではなく、正確な言い回し。
捜索相手に選択の余地を与えていない……という、ニュアンス。

フィズル > 「だろ?さっきにらみつけてきたルビィが恥ずかしがるほどの秘密。
聞きたくないと言えばそれは嘘だが、賭けの結果を捻じ曲げちゃ意味がねえ。
それか、ぽろ、と零す、つーなら俺は聞くがな?」

好奇心が基本的に旺盛なため
諦めきれてはいないようで。

「おお悲しい。俺ァ、ルビィみたいな美人と何度も会えて幸せだっつーのに」

に、と笑いながら大げさに肩をすくめる
本心交じりのからかい、といったところ。

「俺ぁ、そんなことないぜ?なんてな…。
なるほど、貴族か…、となると、ここを離れるのはそう多くないはずだ。
それに、魔術師の家系…とまでわかってるなら上々。」

とん、と自分の額を指で突きながら特徴を覚える。
自分の家はそれほど大きな力を持っているわけではないが
同じ貴族ならば下衆を装って情報を得ることも可能だろう。

「謝る必要はないが…協力させたいこと、ねえ…。
聞いてもいいことかい?だめなら教えてもらった情報を元に動くが。」

今の自分は、この人探し、という面においては相手の言いなりだ。
言いたくないなら別に隠してもいい、というニュアンスを添えて。

ルビィ・ガレット > 「……恥ずかしがるほどの秘密ではないが。
 ――とうに1個、もう零れているじゃあないか」

それは何か。……日光を浴びても、自分が灰になって消滅しないことだ。
彼が文献を通して、吸血鬼のことを多少知っているのであれば、
太陽の日差しが弱点、ということくらい。知っていそうなものだが。さて。

「……私はもっと知的で、影があって、年上の男が好みなんだ。
 ――あなたは"どれも"該当しないじゃない?」

好みの異性については、嘘は言っておらず。
……ただ、話し相手として好む相手の傾向に過ぎず、
彼女の性愛対象を示したわけではない。

「彼単独で、『今』この国に来ているはずなんだ。
 ……あの野郎、逃げやがって」

後半の言葉の、低音。掠れた響き。呟くように短い言葉ではあったが。
……因縁のひとつや二つを窺わせて。

「……あなたが知ったところで、何もできないだろうから。
 別に言ってもいいんだけど――聞いて後悔しない?」

笑顔のまま尋ねる。

フィズル > 「その秘密じゃあ、恥ずかしがらないだろ、別にさ
情報に基づいて年上にも関わらず恥ずかしがる姿が見たいのさあ」

中々性格が悪い。
若干ではあるが、どちらかというとサドの気がある様子

「ルビィより年上ってそりゃあもう人類じゃ厳しいなア。
あの気迫は結構な時間生きてないと出せないやつだろ…、だが、知的ってところは該当すると思わないか?」

陰は、多少なりともある。
賭け狂いの部分がそれといえばそれだが
敢えて知的をピックアップして自信ありげに。
何ならび、と親指で自分を指してみたりもする。

「おうおう、穏やかじゃないねえ。単独か…ふむ。
特徴は覚えたから隠されてねえ限りは一発でわかるな…。癪だが、貴族を当たってみるよ。
どんな情報が役に立つかわからないからな。聞いておきたいところだ。隠してないなら教えてくれ、ルビィ。」

ルビィ・ガレット > 「……そもそも、あなたはいくつだ。――私は28だ」

彼の問題発言には、努めて反応しないようにしながら。
淡々と、言葉を紡いで。

「悪かったな、28年しか生きていない分際で"ああ"で。
 ……寝言は寝てから言ってくれ。あなたと話していて時折、
 知性の欠片らしきものを感じることは。……なくは、ないが。

 あるか、ないかで言ったら『ない』だろう。盛るんじゃない。
 誇張するな――イカサマ師が」

出会いがしらのほうからそうだったかも知れないが。
女の応酬が苛烈になっていくのは、絶対に気のせいではない。
……遠慮がなくなっている分、彼に少しは心を許しているのかも知れないが。

「――やつの左目の炎は聖火だ。それが要る。返してもらう。
 おそらく、癒着が酷いだろうから、左目ごと……奪う――いいえ、返してもらう。
 ……それを禁忌に使う。ここまで言えばいいか?」

フィズル > 「意外と若…いや、なんでもない。
俺は…22だ。見ての通り若輩者さァ、お姉さま。」

たった6だったのか、と驚きに満ちながらも
この相手は本当に退屈しない

「ひっでえなあ、結構頭使うんだぜ?、確率とかよ。
イカサマは仕掛けられるまでしない主義だから…賭博師、と呼んでくれ。
どうせ詰られるならそっちの方が気持ちいいぜ、吸血鬼さん。」

仲の悪い…いや、実際良いとも言い難い関係だが
それでも、どこか認めている節もあり。
むしろそういった悪口が、この相手が気を許した証拠なのではないかとすら思い始める

「ふむ。なるほどな。大体わかった。
まあ賭けの代償に眼やら何やら賭けるのはよくあることだ。気にしないぜ
で?見つけたらルビィにそいつの居場所を教えればいいのか?それとも、だまくらかして連れてきた方がいいかい?」

見つけるのはいいがそのあとどうするか、と。

ルビィ・ガレット > 「だから、その言い方やめろ。気持ち悪い。
 ……あと、聞こえてるぞ。意外で悪かったな……!」

日のある時間帯では、身体能力や知覚能力は確かに落ちるのだが。
彼とは近い距離で話している。だから、聞き取れなくもなく。
「お姉さま」という単語には露骨に眉を顰めた。

「お前に魔術学や心理学、形而上学などの話ができるのか?
 ……いや、賭博師である以上、心理戦は免れないから。心理学はいけるのか。
 ――ともかく、だ。あなたは知的ではない」

相手の部分肯定を展開したと思いきや、最後の最後で否定した。
しかも勢いで。特に根拠も無く。否定したいがゆえに、否定した。

……「強い否定は、強い肯定の裏返し」。
脳裏にそんな言葉が不意に過ぎるも、女はその言葉を頭から追い出した。

「あまり驚かないか。……ああ、いや。
 居場所を私に教えてくれるだけでいい。

 ――ヴィリエがお前みたいな間抜けに騙されるとは思わない」

ここにはいない、その者を想って。気安い笑みを浮かべた。
悪感情以外にも持ち合わせている感情があるらしく。

フィズル > 「わざとだからな。殺されかけたんだ、このくらいは許してくれよ、ルビィ。」

そもそも自分のせいなのだが。
それには触れずに、わざとらしく拝む所作を

「お、さっそく呼んでくれたな。嬉しいぜ。
ならこれからもルビィを探して、知的であることをアピールしにいかないとな。
もちろん、良い報告付きでよ。」

賭博師、と呼ばれたことに喜びを示して。
むしろ自分から探しに行く、とまで言う始末。
いくら詰ってもめげないのは性格故だろうか。


「まー…こちとら裏賭博もやってるもんでね。
腕が飛ぶ現場も見たことあるぜぇ、俺は好きじゃないがね。賭けの結果なら仕方ねえ」

人に危害を加えることを…賭けの結果以外ではよしとしない様子。

「ほほう、挑発かいそりゃ…。
そう言われると余計なこともしたくなるが…まあ、失敗したら俺が賭けの履行を破ったことになるからな。
ここは安全に、居場所を伝えるだけにするぜ。その後はルビィのやりたいようにやればいい。
だが、まあ、ちょっと嫉妬しちまうなァ…」

自分よりそいつの方が賢い、と言われているようなもののため
例え裏があっても、馬鹿にされ続けの…自分としては少々の嫉妬心が芽生える。

ルビィ・ガレット > 「私は狭量だから許さないし、根に持っておくよ……フィズル」

小さく笑いながら、静かな声で言って。

「……エリスが被検体、探していたんだよね。
 あなた、闇討ちしやすそうな風貌に格好だし。

 ――彼に『どうぞ』って、勧めておこうかな……」

知り合い男性の名前を持ち出せば、ぞっとしないことを言い出して。
暗に「自分に付きまとうな」と言いたかったのだろうが。

女の知り合い・友人など、彼女と気が合うことを前提に考えれば、
"ロクでもない"のが大半であろう。
また、めげない彼に好感を持っていたのは内緒である。……だって、調子に乗るだろうから。

「……あなたも修羅場を潜り抜けているのね」

これ以上、掘り下げる話題でもないだろう、と。
言葉少なに返せば、それきりにして。

「なーんか。……今までで一番堪えているように見えるのは。気のせい?
 ――あいつ。天才肌で強いし、性格も悪いから。……フィズルとは相性、悪いと思う」

苦笑を浮かべた。彼からすれば、女の地雷や逆鱗がどこにあるのか読みづらいのだろうが、
こちらからしても、彼が落ち込んだり気にしたり、傷ついたりするポイントも読めない時があって。

……そのへんはお互い様だろうか。

「ともかく、ヴィリエを見つけても仕掛けるなよ? 
 ……私はそろそろ行くから。

 ――あなたに気がないなら、そもそも欲情しない。顔も赤くならない」

不意に彼に近づき、耳元でそう囁いたかと思えば。
すぐに屈めていた上体を起こし、踵を返す。――陽光が、眩しい。
その中を、帰路について……。

フィズル > 「そりゃ怖い。…ぜひ、闇討ちするなら賭博で殺してくれ、と言っておいてくれ。
例え怖ーいむきむきの傭兵が出てきても俺はめげないぜ」

それは闇討ちというのだろうか。疑問は残るが
彼もまた、何度も伝えている通り嫌悪感など無く、このやり取りを愉しんでいて

彼女が心に思っていることを口に出したら、それは調子に乗るに違いない。予想通りだ。

「挑発されたら乗らなきゃいけない宗教なんだ。気にしないでくれ
ま、見つけたら教えるさ。順調にいくことを願っててくれればそれでいい。
わーったよ。賭けに負けたのは俺だから、手を出すな、と言われれば出さずに教えるさ。」

冗談を交えながらも、相手の言葉には素直に…賭けの結果だからか、こく、と頷いたが…

続く言葉に、声を失って。
ただ茫然と、陽光の中を帰っていく相手を見つめ
やがて、姿が見えなくなってから。

「――――やれやれ。まったく、天邪鬼すぎるぜ」

今度から表情を隠す為に帽子でも付けとくかね、と…
不意打ちで紅くなった顔を、太陽から隠しながら、その場を去っていった。

ご案内:「平民地区・噴水広場」からルビィ・ガレットさんが去りました。
ご案内:「平民地区・噴水広場」からフィズルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」に刀鬼 紫沙希さんが現れました。
刀鬼 紫沙希 > この日も鬼はいつものように屋台で蕎麦を喰いつつ、店の親父と雑談に興じるのであった。
内容は日頃の取り留めのない話題ばかりであり、それが鬼の日課である。

「で、またタナールの方が賑やかになってきたわけだな。
ほう、またキナ臭くなるってことか。」

蕎麦を啜りながら、親父から聴かされる情報に耳を傾ける鬼。
隣には酒が置いており、既にほろ酔い状態。

こういった所から新たな商いのネタが浮かぶこともあるので、こういった噂話を鬼は大切にしていた。

「となると、騎士団の連中もまた兵を送らねえとな。
また取って取り返しの再開か?」

刀鬼 紫沙希 > 「タナールも面白そうだけど、そろそろ夏祭りじゃねえか?
今年はどうするんだろうな。
うちか? うちはお声がかかったら当然参加するぜ。
そうなったらでっかい花火もあげてやるからよ。
期待しててくれ。」

鬼の一家は庶民の祭りに夜店だの打ち上げ花火だので参加することが恒例となっていた。
地域住民との繫がりもあるが、それ以上に派手好きな鬼の趣味であった。

「今年は公主も居ることだし、また色々状況に変化があるかもな。
折角だし公主達も参加してもらえば面白いかもしれねえ。」

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にミユさんが現れました。
ミユ > トントン響く足の音…今日はお暇ができたので、刀鬼邸宅に通いメイドに行こうと…
雑踏の中を素早く縫って走るミユ…

…と、途中で聞き覚えがある声に足が止まる。
そちらを見つめると、雑踏の片隅で邸宅の主がなにやら楽しそうに店主とはなしているようだ…
ミユは興味を示して…

「刀鬼様ぁ~」

と、駆け寄ってゆく…

刀鬼 紫沙希 > 「お?」

可愛い声が耳の届き、嬉しそうに振り向く鬼。
表情が滅んでいるのか、店主が笑い出す。

「よく来たなミユ。
今からうちに来るところか?
所で、その首輪は前にはなかったよな。」

箸を止め、ミユの首元に手を伸ばす。
所有者らしき誰かの名前を記された首輪は子供らしいミユとのギャップで淫らさを醸しているように見えた。

残った酒を飲み干すと、店主に代金を支払う。

「ミユは腹は減ってないか?
この親父の蕎麦でも、もっとお洒落なものでも何でも奢ってやるぞ。」

椅子から立ち上がると、ミユの腰に手を回す鬼。

ミユ > 「あっ…うん…今のご主人様が、悪い虫が付かない様に…なんて付けられちゃいました…
 あ、でも、刀鬼様のところに通いメイドしてる事は伝えてますので、大丈夫ですけど…」
鑑札を手に取られると、ミユは自然と顎をあげて…嬉しそうに語る刀鬼様に釣られて笑うミユ…

「あっ…えっと…お食事時間過ぎてるから少しお腹すいちゃってるかな…?」
いきなりのお誘いに少し立ち竦んでしまって戸惑うミユ…
腰に手を回されたのもその原因かもしれない…

「ミユにお洒落なお店なんて似合わないですよぉ~」
なんて、ちょっと声のトーンを落として…呟いて…

刀鬼 紫沙希 > 「ほう、それは大変だな。
しかしなんだな。 私は悪い虫に当たらないのか?」

観察を指で摩っていたが、ツンと突き出された顎を摘まむ。
そのまま、ミユと唇を重ねる鬼。
多少酒臭い舌が口腔内に入れば、ミユと唾液を交換しあうだろう。

口元がねっとりと連れた所で唇を離して。

「なら、まずは飯にしよう。
せっかくうちの来ることになったんだ。
遠慮せず甘えてくると良い。」

腰に触れる鬼の手は艶かしく。
抱き寄せながらも、愛撫の様相を見せて行く。

「ならうちで飯にするか?
それなら気兼ねなく食べれるだろう。
何か食べたい物があれば言うと良い。」

ミユ > 「当たらないですよ? たぶん?」
首を少し傾げてクスクス笑いながら言うミユ…

「あぅ…んっ…」
顎に手を添えられると…刀鬼様が何をしようとしているか察して、
ミユも目を閉じてされるがままに受けとめてゆく…
舌と舌を絡ませる…ディープキス…
ミユは少し公衆の面前で行われるこのキスに恥ずかしさを覚えて頬を紅くしてしまう…

「はふっ…はずかしいですよ~もぅ~」
口元が離されたところでちょっと怒り気味で言うミユ…店主の呆れた顔が見える…

「はあぅ…」
刀鬼様の艶かしいその手が…ミユの腰を捏ねる様に刺激する…
ミユは顔を真っ赤にして、少し声を漏らしてしまう…
一瞬、ここが公衆の面前である事を忘れてしまいそうになった…

「ミユも…刀鬼様のところでゆっくり食べた方が落ち着きます…
 外食はあまりしたことがないので…」
ミユは外で甘い声を出してしまったことで恥ずかしさを覚えながらも…
されるがままに抱き寄せられて…

「ミユにお食事の好き嫌いはありませんよ?
 刀鬼様の邸宅のお食事ともなれば、私にとっては多分…
 どれも高価な食材が使われていて…美味しいと思います…」
と…ちょっと背伸びをして、刀鬼様の頬に軽くキスをする…

ご案内:「王都マグメール 平民地区」から刀鬼 紫沙希さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からミユさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にリアさんが現れました。
リア > (人が行き来し合う賑やかな大通り。
その近くの公園は今は誰も遊んでおらずに静かであった)

「フンフフ~ン♪」

(そんな静かな所を利用し、リアは一人でベンチに座り、休憩しながら美味しそうにトマトジュースを飲んでいた)

リア > (しばらくすると紙パックに入っているすべてのジュースを飲み終わる。
さかさまにして中身を確認すると、それを折りたたんでポケットにしまう。)

「ん~…どうしよう…?」

(周りを見て足を振りながら考える。
戻るまでにはかなり時間があり、このまま戻るのも少し勿体ないと思い、何かないだろうかと周りを見渡す)

リア > (しばらくすれば休憩時間も終わり、そのまま仕事場へ戻るのであった)
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からリアさんが去りました。