2019/02/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にアケルさんが現れました。
■アケル > 空に出ている星に紛れて、ちかちかと煌めき揺れる光。
それがやがて地上へと近づき、降り立ち――
「着いたわ! 着いた! 人の街よ!」
――ぽんっ、と光がはじけて現われたのは、ほんの小さな子供だった。
金糸の髪も青い目も、纏うドレスの意匠までも、まるで人形のような。
小さな手足をめいっぱい伸ばして喜びを示すそれは、小さな女の子だ。
「飛んだらまたお腹が空いちゃったわ、美味しそうな人はいないのかしら。
……お食事できるお店なんてないのよね?」
尤も、この夜も遅くに、単身で、空から降り立ったような。
そんなものが〝ただの子供〟であろう筈もないが――兎に角〝子供〟は周囲を見渡す。
■アケル > 「そうね、こういう時は……えいっ」
ぱちん、と指を弾く。途端、虚空から現われる一冊の本。
分厚く大きな本をキャッチした少女は、軽くよろめきながらも踏み止まる。
小さな手と身体に比して大きすぎるページを捲り呟くには……
「えーと、〝人の街でのオススメな食事場〟は……っと。
……路地裏? そんなところがオススメなの?」
周囲を見渡して――路地なら幾つか見つかる。
再びページに目を落とし、声に出して読み上げるには。
「〝暗く、表通りから遠く、隠れる場所が多い路地が最適です〟……なるほど。
それじゃあ、あそこなんてどうかしら。悪いひとがたくさんいそうだわ!」
少女は意気揚々と、路地の一本へと、歩幅も広く歩いて行く。
尤も、それでも常人がゆっくり歩くのと変わらぬ速度なのだが。
■アケル > 本を開いたまま、とことこ、とことこ歩いて行く。
やがて辿り着くのは、行き止まりの袋小路。
表通りからたっぷりと離れて、声も足音も届かないほど。
「本当にこんなところでお食事が――あら?」
袋小路で少女は、誰かの気配を感じて振り向いた。
見れば〝非力でいたいけな少女〟を毒牙に掛けんと近付いて来た男が数人。
下卑た笑顔でナイフをちらつかせ、抵抗するなと警告する彼らを見て――
「あら。本当だったわ! この本、ちょっと役に立つのね」
ぱちん。指を鳴らすと、分厚い本は虚空へ消える。
そして少女は、男達に何を言われる前に、その場でドレスを脱ぎ落とすのだ。
「私、お腹がすいたの。いっぱい御馳走してくださいな?」
怯えもせぬどころか、欲望を喜び迎えんとする少女。
異常に気付いた男達だが、いぶかしんだ時にはもう遅い――。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からアケルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/繁華街」にカインさんが現れました。
■カイン > 騒々しい平民地区の繁華街の真っただ中、
露店で買ったらしい飲み物を片手に道行く人を眺めている男が一人。
誰も彼もが随分と忙しそうに立ち回っていく様子を何処か他人事のように眺めていた。
「そろそろこの騒がしさも落ち着いてくるかと思ったら…そんなことはないな。
真っ昼間からみんな元気なこった、仕事で来る分にはこの騒々しさが面倒ごとだがオフなら気楽なもんだな」
どこか上機嫌に漏らしながらもどこかで騒動が起きたのだろう、
聞こえてくる怒声の方に視線を向けてヤジを飛ばす始末。
仕事らしい仕事もなくたまには休みと位置付けての散歩の最中だけに、
普段用心棒をしてる時の飯のタネも気楽に楽しめる余裕がある。
■カイン > 「ん。とりあえずまずは酒飲める場所を探しに行くか。」
何を飲むかなと居並ぶ酒場を一瞥してから雑踏に紛れていく。
軽い足取りを隠すことなく酒の勘定をしながら去っていくのだった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/繁華街」からカインさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にイルザさんが現れました。
■イルザ > 次の標的が決まった時、組織の指定する密談の場所は毎回違う。
今回は平民地区の真ん中に位置する宿の一室で、それを終えると建物から出た少女は息を吐いた。
毎回陰鬱とした雰囲気の中で、どこでどう決行するか話すのは息が詰まる。
「どこか寄っていこうかな」
この辺りは若者の姿が多いようだ。
並ぶ店舗も若者向けで、流行りがよくわかる。
昔から東国由来のものを与えられてきた己にはピンとこないが。
だが、とある店の前で立ち止まった。
そこは言うなればカフェで、同じような年頃の娘達がデザートを食べている。
半分凍った果物にアイスクリームか生クリームか、なにか掛かって
炙ったナッツが散りばめられたそれは、なんだかとても魅力的な食べ物であった。
美味しそうだ。だが、こういった明るい店に入るのに慣れていない彼女は、店の前で眺めるだけ。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にメンシスさんが現れました。
■メンシス > 「何かこう…最近つまんねぇな…」
そう小さく呟くのは背中に両手剣を背負い、平民地区を歩く青年。
深緑のコートのポケットに手を突っ込んで退屈そうに街を眺める。
冒険者ギルドでの依頼は安定しているが、安定しているからこそ、少しばかり刺激が欲しいと考えている彼。
アンニュイ気味にため息を吐けば、カフェの前でデザートを眺めている女性を目にする
「…食べたいのか?」
そう、完璧に気まぐれで声をかけてみた
金がないのか、一人で入るのは気まずいのかどうかは知らないが
少しでも楽しい展開に転がらないか、と少女の返答がどう来るか目を細める
■イルザ > 通り過ぎる人々が大勢いる中で、男性に声を掛けられて少女は顔を上げる。
東洋の血が感じられる眉目だが、髪や瞳の色は黒くないため、混血であることがわかる顔立ち。
「えっ? いや…………お金はある!」
物欲しそうに見えたのだろうと気付き、慌てて首を振った。
この歳になってお金もなく涎を垂らしそうになりながら店を見ていたと思われるのは、恥ずかしかった。
実際に、暗殺業を請け負う少女には十分な報酬が支払われている。
だが異国の旅人風情といった様相なので、金満家には到底見えないはずだ。
■メンシス > 見上げる彼女の顔を見て、眉を潜める。
明らかにこの国の出身ではない顔立ち。
旅人の類だろうかと、彼女の腰の得物を見て考えていれば
「いや…『金がないのか?』とは一言も言ってないんだけどね…」
ジト目で慌てる彼女を見据える
確かに少女のような見た目で旅人となればこの街では金欠の者が多い
だがそれは彼女の風貌などを見てすぐ判別できることだ
ただ、確かに金持ちにも見えないのだが
「それじゃ、なんで入らないんだ?ここのパンケーキは絶品だぞ
ホイップクリームとシロップが混ざって絶妙な甘さが舌に絡みついてしっくりと来る」
ワザとか否か、カフェの方を向いて商品紹介を始める
かくいう彼はこの見た目で甘い食べ物が好きという何とも似つかわしくない性質を持ち合わせており
そのせいか、この街のスイーツはほぼすべて、彼の口に含まれているのだ
このカフェも例外ではない
■イルザ > 生まれて18年。
異国めいた見た目でありながら、実はこの国から出たことがない。
だというのに、この国の文化には疎く、日陰者という微妙な存在。
こうした若い女性が集まる場所はどうも苦手で、足が進まないのだが。
相手のまったりとした説明に眉を顰めた。
勿論、不快に思ったからではない。何故そんなに誘惑する……!といった気持ちから。
平静を保つため、こほんと咳をすると、店内の彼女達と男性を交互に見る。
決して酷く粗野に見えるわけでもないが、甘い匂いを漂わせた店とは縁が遠く見えるだけに。
「じゃああなたはここに食べに来た人?私はこういう場所は苦手。明るいし、綺麗だし」
いっそ薄暗くて小汚いくらいが入りやすいという、悲しいかな日陰者の習性。
パンケーキ自体は食べてみたいのだが、この雰囲気がどうも好かなくて、結局足は動かない。
■メンシス > 眉を顰める彼女に此方はきょとんと首をかしげる
彼としては興味ありげに見てたから軽い説明をしただけなのだろう
しかし、それが彼女にとっては甘い誘惑に堕ちるように唆す言葉に聞こえたのだろう
彼女が自分と店内の客を交互に見比べてる。恐らく、何故そんなに詳しいのか疑問が浮かんでいるのだろうか
「いや、俺はただの暇してる冒険者だ。でも…丁度甘いもんが欲しかったし、食うのもアリかもな
…ん?根暗で陰鬱の方が好みなのか?…俺としては、店内にいる女の子もお前も、大差ないと思うけどな」
頬を搔いて、思ったことをきっぱりと告げる
彼女の事をまだ詳しく知らないから言える台詞を難なく良いのければ
何を食べようか…と看板のメニューを見つめる
■イルザ > 歳や背格好はたしかにちょうど己と同じ頃の少女が多く、大差ないのかもしれない。
だがこの少女、残念女子的な部分も強いため、彼女達に溶け込める気は全然しないのであった。
「う~~~ん……陰鬱というか、キラキラしてて、女の子っ!って感じの雰囲気は
くすぐった過ぎるというか。それに今のところ女の子の友達はゼロなので、入りにくいっていうのも」
中性的と言うほどやんちゃだという自覚はないものの、あんまりに眩しい世界は背中が痒くなる。
だが目の前の男性は、そんな己よりずっとこの世界から遠く見えるのに堂々と入る気満々。
驚きを通り越し、いっそ尊敬すらしよう。
メニューに目を通すことを邪魔しないよう、口を噤んで少女も遠目にメニューを確認していたが。
「これ!これが1番人気のはず!」
果物とナッツがトッピングされたものを指差す。
少し前から運ばれてくるメニューを確認しては数えていた。
どんだけ見つめていたのか。
■メンシス > 「ま、確かに俺もそれはちょっと入りづらいんだけどな
女の友達とか居れば入りやすいんだろうが…生憎俺も居ないんでね」
苦笑いしつつ、彼女の言葉に同意する
しかしまぁ、一度入ってしまえばあとはこちらのもの
苦手だと思ってることなんて、いざ蓋を開けてみればどうって事もないのだ
それに気付いたのは最初にこのカフェに入った時だが
「おぉ!?いきなり声出して来たな!?…あぁ、期間限定のフルーツナッツパンミックスパンケーキだな。
たしかに人気そうだ」
彼女の指差したメニューを見つつ、その勢いに驚く
フルーツナッツミックスパンケーキ。やけに長い横文字をスラスラと告げれば、彼女の目をチラッと見る
その瞳は何処となくキラキラしているように見えるが…気のせいだろうか
■イルザ > 「女性の友達がいなくても入れるその勇気があれば、怖いものなしな気がする」
あの甘い店内に、この体躯の男性が独りで……と想像すれば、見物だと思った。
幸いにもここから店内はほとんど見渡せるので、その貴重な図を見られるのだろう。
ちょっと楽しみでもある。
「そんな長ったらしい名前とは。というか……く、詳し過ぎる」
期間限定だということもすぐに把握しているし、どうやら彼は本物のようだ。
キュートな世界観の店内から、初めて来たと浮かれる女性達が多かったように見受けたので、
もしかしたら彼女達より彼のほうが、この店に相応しい人物なのではないだろうか。
――――うっかり一瞬テンションを上げてしまった。
視線を逸らし、再び口を噤もうとしたが。
「……食べたら……どんな味だったか店内からジェスチャーで教えてくれないかな。
すっごおぉく美味しいのなら……いつか、挑戦してみる。期間限定が終わらないうちに」
今はやっぱり勇気が出ない彼女、男性に無理難題をお願いしてみる。
■メンシス > 「こういうのは一回飛び込めば慣れるもんよ」
確かに見物だろうが、彼は全く気にしてない様子
寧ろそれだけで甘いものが食べられるなら本望である
彼の甘党はそこまで極まっていた
「だろう?崇拝してもいいぞ?」
腕を組んで、ふふんと調子良さそうにドヤ顔を決める
伊達に甘いもの好きを自称してはいない
何処かの蜜だけに踊らされる女性より、よっぽどスイーツの修羅場を潜り抜けてるのだ
「え、えぇ…そんな無茶な…
さっきも言ったけどよ、お嬢さん。こういうのは『今』挑戦しないとダメなんだぜ?
いつか、ってのは『今』だよ。
…何なら、俺と一緒に行くか?ワンチャン、カップルと思われるかもだし」
勇気が出ない彼女の背中をパシっと叩けば、彼女にその様な提案をする
下心や他意はないが、カップルとしてカフェに来るのであれば、多少は一人で行くよりハードルは下がるだろうかと考えて
■イルザ > 「悪魔崇拝はちょっと……」
酷い言い方で断っておく。
それは冗談だとしても、なかなか気さくで年の差を感じさせない男性には違いない。
彼の嗜好からしても、同性でなかったことが悔やまれるほどだ。
初対面では人見知りしやすい少女が、あまり緊張せず話しているので。
「えぇっ……カップル?良くて兄妹……悪くて変な2人組じゃないかなぁ」
こちらから店内が見えているということは、向こうからも見えているということだ。
カップルという甘い雰囲気ではなく、妙な男女が妙なやり取りをしているのが丸見えだろう。
背中を叩かれて前のめりになりながら、ぼやいた。
だが、男性が優しさからそう言ってくれているのはわかっている。
「じゃあ……行く!初めてだから、お兄さんが先に……あっ、私はイルザっていうの」
ド緊張して店内に入ろうとして、今頃‘カップル’であるはずの相手の名を知らないことに気付いた。
こんなにもよそよそしいカップルは、やはり不自然だろう。
■メンシス > 「誰が悪魔だ!ちゃんとした人間だ!!」
彼女の言葉に鋭いツッコミを入れておく
それにしても初対面の少女にここまで気安く話しかけてよかったのか少し不安だったが
彼女のこの様子を見れば、杞憂に終わったようで
こちらとしても安堵のため息をつく
「くっ…確かに、歳の差がアレだからな…四捨五入すれば俺30歳だし…
ってそれは良いんだよ!それは!」
彼女の言葉がぐさりと突き刺さり、がっくりと項垂れる
確かに、カップルよりは兄妹の方がしっくりくるし、せめて旅仲間とかの方が良かったか
とも思ったが、彼女の次の言葉を聞けば、口元が綻び笑顔を見せ
「決まりだな。…あぁ、俺はメンシスだ。さん付けとか要らないからな
よろしく、俺の彼女」
そう言って彼女の手を取る
恋人繋ぎ。普通のカップルなら当たり前だが数分前にカップルになった二人。
この店で食事するまでだが、とりあえずは形から入ろうとカップル定番の手の繫ぎ方を彼女に仕掛ける。
■イルザ > ツッコミ入れられて慄いたが、そんなことより気になったのが歳の話であった。
「えっ、本当に!?……そんなお兄さんだったとは。いや、そういう意味じゃなかったけど」
四捨五入したことも災いして、相当年上に感じた。
なんだかノリが良いので、そこまで年の差を感じなかったのだが。
彼を傷つけた気もするが、少女が心を許し始めている証である。
「メンシス。宜しくね」
少女もにっこりと笑顔を向け、さあ入ろうとしたところ。
手を握られたのは想定外だったようで、驚いたように顔を上げ、彼を見る。
兄妹設定でもなく、当然妙な2人組でもなく―――カップル。
今頃面映ゆくなってきた。絡まる指がそわそわと揺れ、なかなか力が入らない。
そんなことをしていると、スタッフから声を掛けられるのだろう。
2人の様子を見て、すんなりとカップルだと認められたように見えたのは己だけ、なのだろうか。
席に座り、少女は例のメニューを注文する。
切望していたそれを口にすることが出来て、終始ご機嫌であった。
その様子は本当にカップルに見えたかどうかは、周囲の者にしかわからない。
ただ、己はとても楽しいひと時だったというだけで―――。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からイルザさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からメンシスさんが去りました。