2018/10/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からリルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からルルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にルルさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からルルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」にぼたんさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」からぼたんさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」にぼたんさんが現れました。
ぼたん > 昼下がりの路地裏。何やら大荷物を抱えて、人気の少ない突き当りの方へと歩いていく
ぼたん > 辿り着くと、荷物を降ろし始める。
木くずの袋、金網、大きな空箱、火打石…
「ええっと…」
説明書じみたものを手に、何やら組み立て始める

ぼたん > 組み立て終わったのは簡易な燻し器。
食材を網に乗せ、いくつは中に釣って。少し深めの皿に木くずを空ける。
火打石で紙屑に火を付けて、木くずに引火するまでじっと待つ…

ぼたん > やがてぱちぱちと音がして、木くずから芳しい香りが漂ってくる。うふふと目を細めると、燻し器の中へそっと押し込む。
煙がゆっくりと立ち昇るのを見届けると、ふーっと息をついて煙が吸い込まれてゆく空を見上げる。

ぼたん > 良い天気だし、気温も丁度いい。この路地にも丁度陽が差してきたところだ「ちょいと、昼寝していこ…」独り言ちると、荷物を持ってきた袋を丸めて枕代わりに。ころんと横になって目を閉じる
ぼたん > やがて煙の棚引きも細くなり、香りも薄れてきたころ。日も陰ってきて少しうすら寒くなって「……さむ…」
ぼたん > まだぼおっとした目つきで起き上がり、枕にしていた袋から芥子色の襟巻を取り出して巻き付ける。
煙が止まった様子の燻し器に気付く。近づくと、少し扉を開けて中を確認する

ぼたん > 会心の出来だったらしい。芳醇なかおりに目を細めながら、燻し器の中から食材を取り出す。
先の手順と逆を辿って、片付けを始める。

ぼたん > 機材を畳み終わると、完成品は風呂敷に包んて。
ぼたん > 上機嫌でその場を後にする…
ご案内:「王都マグメール 平民地区 路地裏」からぼたんさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/練兵場」に影時さんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/練兵場」にラファルさんが現れました。
影時 > ――偶には此処を使うのも悪くはない。

軽く手ほどきする予定の技はその実、忍術に大きく係わるところではない。
知っている者は知っている。
若しかしたら、武器操法の一環として伝わっていることを考えるに、秘することに気を配る必要はないかもしれない。

ここは、王都の平民地区の一角に作られた広い空間。
俗に練兵場と呼ばれるここは大貴族の邸宅に見かけがちな大きい庭のような空間を柵で囲い、其処を訓練の場として供している。
白い砂を撒いて均された場所は小隊単位の兵士や騎士がぶつかり合うことに、然程手狭であるという印象はない。
箸に何本も突き立てられた太い木杭は、素振りや木剣などを以て打ち込みの練習をするのにも丁度良いだろう。

時間は空がすっかり明るくなった明け方。
今日も今日とて、という風情で訓練に来た駆け出しからベテランに混じって、片隅のスペースを借りて立とう。

「よォし。準備運動は済ませたか、ラファルよ?」

ここを訪れるにあたって、平時の仕事着である忍装束は避ける。
ある程度其れらしく見えよう茶色い長衣にズボン、そして先日手に入れたばかりの刀を腰のベルトに差して立つ。
身のそこかしこに普段使う道具のいくつかは忍ばせてはいるものの、今回は此れの出番はないだろう。
興味故の場のチョイスとはいえ、軽く稽古をつける予定のものは忍者に関連性が無いわけではないが、使うつもりはない故に。

ラファル > この間遺跡で刀を見つけた師匠に、その片割れをもらった。
 それを修理に出していたものの、漸く手元に戻ってきたので、訓練をするとの事。
 姉は刀を獲物としていたが少女は基本肉弾とナイフと飛び道具。
 刀のような繊細な武器の使用には慣れていないことを、師匠が悟ったのだろう。
 忍術とかそういうものではなくて純粋な刀術訓練。
 少女は初めてくるその場所をキョロキョロと見回している。

「あいっ!いつでもおっけー!」

 背後から掛けられる声に、したっ、と元気に右手を上げて返事をする少女。
 くるんと、全身で相手の……師匠の方を向き直り、小太刀の柄をを握る。
 濡れたような美しい刃金を見るたびに、少し背筋がゾクッとくるけれど、我慢する。
 それで、どうするのだろう、とじぃっと、冒険者のような格好をしている師匠を眺める。
 少女の服装は、いつもの通りに短パンに、胸を隠すだけのベルト。
 身軽も身軽な、大凡剣を使った訓練に向かないだろう。
 でも、この身はドラゴンであり、普通に剣で斬られても、剣の方が折れる肉体なのである。

影時 > 元は遺跡で発見した、姫武者と思しい武芸者の骸が携えていたものだ。
かの骸は丁重に遺跡の外に運んで葬った後、残った武具を整備に出して仕上げ直してもらった。
刀身自体は封じられた力が作用したのか、鞘や柄などと言った外装よりも著しい経年劣化は認められなかった。
付着した汚れの除去や油を塗り直すなどのメンテナンスが出来れば、後は外装を誂え直せばいい。
大小見つけた刃の内、大刀側を己のものとし、残ったものを弟子に譲った。

そして、修理から戻ってきたのが己の大刀側と遅れてつい、先日のことだった。

「元気よなァ。と、そう言っても大したことはやらんが。
 最低限の捌き方と使い方を軽く手ほどきをする。此れを押さえておけば、そうそう誤るこたァないだろう」

云いつつ、左腰に差したものをこれは鞘ごと引き抜く。
鞘に巻き付けた下緒を解き、鍔と鍔に軽く巻き付けて振り回す程度では鞘が外れ、抜けないようにする。
何故か。此方の大刀に籠められたチカラとは、竜殺しのそれである。弟子の特質を弁えて、慮るのは師として当然であろう。
普通の刃ではない。故に、迂闊に当てると傷をつけかねないことは避けておきたい。

「まずは抜いてみろ。右手で持って、俺がやるように構えてみろ」

長身にも不足ないものを、構える。右手一本で持つものを正眼に構えよう。
右足を前に出して、鞘の先端を切先に見立てて、前方に居る己と同じ背の丈の敵の喉笛を示す。
弟子がやるとすれば、抜いた刃の切先は師である己の喉笛を示すようにすればいいだろう。

ラファル > 修理がずれた理由としては、ドワーフの鍛冶師に頼んだのと、今は無き母竜に頼んだ、という違いがある。
 少女は見た目に反して力も人間よりはるかに強く、普通の素材の柄では握りつぶしてしまうのである。其れもあり、母竜に頼んだのだが……ようやく手元に戻ってきたのだ。
 柄は竜鱗で作られ、その上には、赤の飾り紐、もともと付いていたそれは、どういうしようかわからないが新品同様になっていた。
 少女専用に作り直されたのか、握りに違和感はなく、そして手に吸い付くようにしっかりと握れるようになっていた。

「元気でないときのほうが稀だもんねーボク。
 最低限、なの?」

 鞘ごと引き抜かれる刀、鞘に包まれているとわかっているのに、ブルりと震える。

 あれは、あの刀は概念である。

 今は鞘に収められているものの、それが抜かれれば、どうあがいても無傷では済むまい。
 そして、手元の刀が喜ぶように、鳴っているようにも思える。
 竜から護り、竜を殺すための一対二刀。
 珍しくも、少女の瞳孔がキュッ、と窄まる。

「あい!」

 とはいえ、訓練は訓練である、言われた通りに、右手で小太刀の柄を握り、引き抜く。
 ちぃん、と涼やかな音が響き刃が陽の光の元にさらされる。
 師匠の構え、その形を真似るように、喉笛に剣先を向け、右前の足を出し、構える。

影時 > 己はその枠から半ば外れているが、人間である。故にヒトが扱う武器は当然ながら特に工夫なく扱える。
自分のものとした大刀については、ドワーフの鍛冶師や細工師により、己の要求を込みで修復と共に手を加えられている。
しかし、片割れについてはそうもいくまい。不慣れさもあれば、力を込めてしまい柄等を砕きかけない怖れがある。
諸々弁えた上で誂え直されたとなれば、元々の刃金の工夫もあれば過剰な魔力や氣を籠めても損なわれることもないだろう。

「逆に言うとなァ、基本の内にこそ奥義があると識れ、だ。
 そして……そういった奥義とやらは自ずと気づくもんだそうだ」

昔会った武芸者の受け売りだが、と言い添えつつ右手一本で構える得物に氣を籠める。
鞘も十分に頑丈に作られているが、万一という事もある。
氣を纏わせたうえで十分な武器として耐えうるほどの格を重ね、即席の木刀代わりとする。

「まずは、小太刀の優位の一端を知らねぇといかんな。

 さて、俺が此の侭ラファルの頭を目掛けて撃ち込んでゆくぞ。
 この一撃はゆっくりとやる。ラファルは擦り足で一歩進んで、俺の右手の甲に刃を当てる――手前で止めろ」

云いつつ、刀を両手で握って振り被る。
間合いを詰めつつ、本気の速度でも何でもなく、宣言通りにゆっくりと鞘に納めたままの刀を少女の頭めがけて打ち込む。
ありきたりながら、両刃剣の類を使ってくる戦士、騎士を相手取る時の想定の一端だ。

さて、この段階で気づくかもしれない。
両手剣と片手遣いの得物の切先が描く円の長さだ。どちらが短く、より早く目指す終点まで振り切れるか。
きっと、仕損じらなければ先に少女が握る小太刀の方が己の右手の甲に至ることであろう。

ラファル > 「基本の内にこそ奥義があるとしれ……。
 ということは、教えてくれるのは基本で、その基本が、最低限ってこと?」

 師匠の言葉に、少女は首を傾いで問い掛ける。最低限というから、基本よりも少ないものだと思ってしまったのだろう。
 とはいえ、先ほどの言葉で、基本は教えてもらえるとわかったのでうん、と頷く。
 そして、意識を切り替えて刀の鞘を見つめよう。
 鞘に纏う氣は、攻撃力を上げるものではあるが……むしろ、鞘が壊れないためのコーティングであろう。
 ふぅ、と安堵の吐息を知らずに吐き出して。

「あい!」

 返答とともに、動き始める師匠、その動きはゆっくりで、少女の反応速度でなくてもよくわかる動き。
 摺足で前進し、言われた通りに右手の甲に向かい刀を振り――――直前で止める。

 両手剣の場合は両方に刃があるので、どちらでも使える。
 しかし、この刀は片刃なので、一方からでしか使えないということが分かる。
 そして、こちらの刀が短い分リーチには劣るが、取り回しと速度はこっちのほうが上であろう。
 なんとなくそんなふうに感じて……。

「ナイフに似た感覚だけど……使い方は、剣と同じく、切る動きがメイン?」

 うまく纏まらぬ感覚を言葉にして、問いかけてみた。

影時 > 「どういったように使えるかどうかで、最低限だ。
 足捌きや目遣い、呼吸の使い方等も含めて基本だなァ。

 ――振り回すだけなら、誰にだって出来るだろうよ。だが、どんな風にやればいいのかは最低限は知らなきゃならん」

基本を叩き込むならば、十分に時間を取ってやりたい。
まず最低限知っておくべきなのは、どんな風に、どうやって使えばいいのかだ。
知っていれば、足捌きや目遣いなどを知ることで、より精度を増す。
鍛錬と実戦の果てに、天啓の如く何らかのものを気づき、悟る――のかもしれない。

まずはデモンストレーションだ。
互いに打ち合わせた通りの動きで己が打ち込み、背丈の差に由来するリーチもあれば、先んじるように向こうの小太刀が走る。
リーチの差を踏み込むことで補えれば、旋回半径が小さい方がおのずと早く、己の手元を打ってゆくことができる。

「短刀の類よりも長く、ここの長剣や俺の刀よりも短い。
 刀は突き斬りより斬りに向いているが、この小太刀は今のように取り回しに優れる。

 ……故に攻めよりも守りを意識した使い方が出来る。それがお前さんの得物よ。
 お前さんの速さなら、敵が大ぶりの得物を振り抜くより速く、手首を斬り、がらあきになる脇腹を突くことができるだろう」

ナイフよりも長いとなると、具合としては中途半端な印象があるかもしれない。
大小の内大刀をメインとするのが常道であるが、サブとして十二分に鍛錬していれば使える可能性がある。
こんな風にとくるりと刀の鞘を右手で持ち、柄を小太刀の刃に見立てて使ってみせよう。
大きく振り被って打ち込んでくる相手の手元を差し上げる左手で押さえ、鎧で守られてない脇下を柄で突くまでの一連の所作だ。

ラファル > 「今回は、その、どういったように使えるか、を教えてくれるんだね?
 そのあとは、教えてくれるの?」

 いつでも、毎回訓練と言うわけにはいかないだろう、他の訓練もあるし、その合間合間に刀術の訓練も組み込まれるのだろうか。
 それでなければ、自分でも訓練をする必要も発生するし、確認をして置かないといけない。
 基本以前の状態の少女は基本を由とする師匠に意図を問う。

 小太刀の刃は、相手の動きもあって速度は速く彼の手の甲に到達する。
 取り回しやすいということは、これも又……自分の職業に噛み合う武器なのであろう。

「ナイフと同じような感じなんだね、ナイフが爪なら、こっちは牙。
 この形を生かすなら、狭い所での行動にいいんだね。
 あと、フェイントで幻惑し、小さな傷をいくつも作って血を流させる。
 そういう戦いも、出来るんだね。」

 少女の中で、中途半端という意志は生まれなかった。
 もともとの武器がナイフという補助武器で、小太刀もそれに似た武器である。
 長さや頑丈さ、それぞれ特徴は違えども聞いた話では使用用途はナイフに近いものがある。
 習得は、そこまで難しく考える必要はなさそうだ、と思ったのだ。
 師の動き、自分の手元を抑え、柄で突く動きをそのまま、その身で受け止めて、やっぱり、とうなづく。

「たしか、手の延長として使う……だったっけ。」

 ナイフも、そういう感覚で使えと言われていたので、これもそう?と問いかけた。

影時 > 「そういうこった。――あれだなァ。どんな遊びかをまず今日教えてやろう。
 んで、な。次からはどういう風にすればもっと良くできるか、もっとうまくなれるかの手ほどきをしてやる」

肝心なのは、如何に興味を持って継続できるコトにできるかどうかである。
少なくとも得たものが無駄にならないだけの鍛錬、そして修練を自分自身で気がけて行えるようになるまでに持ち上げたい。
この道に長じる達人たちが天啓の如く得て、体系化したものも決してない訳ではない。
曲芸の如き技が極まって、必殺の一手となることだってある。
しかし、それも曲芸だけでは終わらない技の冴えがあってのことだ。そしてその冴えは一朝一夕では得られない。
故にこの先の訓練としても、小太刀も含めた刀術、刀に見立てて振り回す棒術等の訓練を組み込む心算でいる。

「おお、良い例えだなぁラファル。そういった気づきが出来るのはイイことだぞ。

 俺の故郷だと、その小太刀や脇差は騎士じゃねぇ奴らも携えている場合が多い類の長さだ。
 故に珍しくない上に扱い易い長さだった、というコトもある。
 取り回しが良く、盾代わりの如く遣えて、尚且つ急所を突くのにも困らん類のが此れらの特徴よ」

弟子の気づきを我がことのように喜び、素直に褒める。
竜の爪がけっして弱いものとは言わないが、ナイフの類では強い勢いで振られる剣を受け止めるには不足過ぎる。
躱せないときに、いっそ踏み込んで鍔元で受け止める、相手の手元を切りつけに掛かることで速度を減じさせる――と。
攻性に偏らず、半端かもしれない長さを利した、攻防織り交ぜた使い方が出来る。
手の延長としての感覚は長剣よりも強いだろう。故に、そのとおりだと頷いて応えよう。

ラファル > 「あい!楽しみ!」

 遊び、というのであれば、楽しいことなのであろう。
 遊びでなかったとしても、学ぶことは、知ることは楽しいことである、できるようになるのは、褒めてくれるのはとても嬉しいことである。
 なので、少女は期待を胸にする、褒めて欲しくて、もっと、もっとを目指す。
 そのうち、それが変わるのかもしれないけれど、今は、それでいいのだと思っているのだ。
 基本があるから応用になり、応用があるから、奥義になる。
 それに、どんなに応用だのなんだのにしても、剣であるならば。
 切る動き、突く動き、そのどちらかに集約されるのであろう。
 だから、先程の師の教え、『基本の中にこそ奥義はある』に、つながるのであろう。

「わぁい!

 え、お師匠さんの国にも騎士いるの?
 確かに、これは馴染みやすいね、使いやすいよ。
 盾替わり………あ!」

 盾の代わりに使えると言われて、えぇ、と考えるも、刀を見て把握する。
 刀の刃のない方は十分に頑丈そうである。しかし、指摘されたように鍔元で受け止める。
 もしくは、剣が振れないほどの接近戦でも、十分に使える長さ。
 先程の教えのように相手の武器よりも先に手を切り裂く手法。
 この長さと重さならば、うまく使えば受け流しも十分できるであろう。
 なるほど、なるほど、と、自分の刀を見て、軽く二三度振ってみる。

影時 > 「おうよ。まずは打ち込んでやれなきゃなァ、愉しくならねえからなぁ」

義務感だけでは、ずっと続かない。何に対しても苦に対する楽がなければ、続くまい。
それしかない、そうすることでしか生かされないのも、苦に対する生という対価、報酬があるからだ。
モチベーションの維持というのは、何かと難しい。其れを保ちながら教えるのもまた、難しい。
師らしいことをやるのは、最近になるまでなかったが、教えを通じて今になって気づかされることもある。

「居るぞォ。聞いたことはあるかもしれねェが、侍というのがこの国で云う騎士に当たる奴らだ。
 ははは、そいつは善かった。……ピンときたな? 
 この位の格を備えた刃なら、氣を乗せた上ならばそうそう刃毀れは起こさんだろう。
 が、手首を切られると分かれば、大概の奴らはビビるぞ。
 その隙を突いて相手の剣を叩き落とし、組打に入って締め落とす、殴り倒すということもできるな。

 口で云うよりもまず、やってみた方がいいな。」

刃同士をぶつけ合うのは、刃毀れを誘発しかねない。業物の類でもその可能性は免れない。
故に切り込める場所を狙って切り込むことが、常道になるだろうが、此れもまた臨機応変だ。
説明しつつ、改めて鞘に納めた刀を構え直そう。今度は刃を肩に担ぐような八双のそれに構える。
騎士、侍が一撃のもとに敵を切り捨てよう――としている想定だ。

「今から俺はお前さんの左肩に向かって打ち込むぞ。
 これを防ぎ、あるいは受け流しながら俺に何がしかの一撃を叩き込む――マネをしろ」

その後に、先ほどのようにゆっくりと鞘に納めた剣を言ったとおりに相手の左肩に目掛け、打ち込む。
左肩から右腰まで抜ける袈裟懸けの一閃だ。防ぐ、あるいは躱さねば叩き斬られることになるだろう。如何にするか。

ラファル > 「侍……。侍……武士。聞いたことがあるよ!
 騎士と同じなんだ……。
 
 狙うは手首や、鎧の薄いところ……だね。」

 やってみたほうがいいという言葉に少女は頷いて剣を構える。
 八相の構えからの、上段からの袈裟切りの動き。

 対しての少女の行動は、まず身を屈めるように腰を落としつつ、左前へとすり足で移動する。
 今回は、師匠と自分であり、体格差は大きいので、刀をくぐり抜けるように、左前へ移動。
 そして、右手で持った刀で左から、右へとなぎ払いの動きで彼の右手の甲に一撃を与える流れで刀を止めることにする。

「いちおう、筋力は拮抗してると考えて動いてみたよ?」

 本来であれば、筋力が高いので、受け流しでも弾き返しでもできるが。
 それができないことを想定してみたと、少女は師匠を見上げる。

影時 > 「風習やらその他を考えりゃぁ、厳密には全く同じというワケじゃあないが。
 だが、立ち位置としては似ている。
 
 ――そうだな。狙い処はナイフと同じだ。鎧の隙間をぶち抜いてもいい。
 この格の刃なら、専用に作られた短刀の類と同じように氣をを籠めて穿てば、貫けるだろうなァ」

何事もやってみることだ。初めてであれば、やればやるだけ理解が深まる。
ナイフは戦闘以外でも使う場面は多いけれども、人間の姿では大型の敵と遣り合うには不足だろう。
如何に斬れる刃であったとしても、刃の長さ以上に分厚い甲皮を破るに困るだろう。
そういった時のために、大物狩りをするために身の丈程の大剣を振り回す冒険者は多い。

今は想定として、自分を仮想敵とした模擬戦闘をデモンストレーションとする。
己が一撃を掻い潜り、手の甲を一撃を与えて武器を落とさせる。その意図を善しとして頷こう。

「……だなァ。さっきの流れを弁えた動きだな。
 この流れなら、あれだ。
 相手の刃の根元を押さえ込んで捌いて、左手で敵の手もさらに押さえながら喉笛等を突くということもできるぞ」

右手で小太刀のみを持つとなれば、両手遣いの太刀と比べて出来ることは増える。
短い分だけおのずと接近することが重要になるが、手も届くとなれば片手で相手の服を掴み、押さえるということも重要だ。
柔術の心得でもあれば、ナイフと同じようにさらに相手の足を払ったうえで転がして急所を突くこともできる。
口にされる想定になるほど、と答えつつそういった遣り口の一端を示唆しよう。

ラファル > 「そっかー。一度見てみたいかも。

 小太刀の方が刃が薄いし、鎧の隙間は抜きやすいね。
 ふむふむ、氣を流す前提だけど。鎧も抜けるんだね!」

 大きさはやはり強さなのであろう事が分かる。
 この大きさなら、ナイフも小太刀も心臓に届く致命傷足り得るが、ドラゴンの大きさになればかすり傷にしかならない。
 だからこそ、攻撃のための刀は、もう一本は、大きいのだろうと、少女は鞘を見て考えた。

「うん。今回は刀の使い方だからやめたんだけど。
 例えば、小太刀とナイフで、剣を受け止めて。
 しっぽで金的とかも面白そうだって思ったよ。」

 人は案外ひとつのことに集中しがちである、だからこそ、武器を受け止められると、それを突破することを思考に強く残る。
 基本的にこの姿でいれば、尻尾という存在も認識はでいないだろう。
 自分の姿だから、いつでも変化は可能である、しっぽだけ出すということも。
 だから、不審な動きがない状態からの死角からの一撃は効果が高いだろう。
 どう?とニンマリいたずらな笑みを浮かべて問いかける。

影時 > 「こっから東の果てにでも行ける機会があれば、いずれ見られるかもなァ。
 俺が持っている大刀ではなく、この手の短い刃は概して突くという用法が多くなる。
 故に鎧を貫くに足る硬さも必要になる。そのための鎧通しという型の短刀もあるぞ。

 ……別の刃で同じ真似をやるなら、工夫が要る。氣を乗せるといった技がな」

刃の薄さと厚さは用法次第にもよる。
薄い方が軽くなるが、扱いは自ずと難しくなる。厚くなればより頑丈だが、重くなる。
故に鎧通しという型の短刀は刃の厚みを増し、硬さを重視した造りである。
同じことを別の刃でやるならば、狙いどころを見極めることもあれば、使い手によっては氣を乗せることもある。様々だ。

「――ッ、クク。そう来たかァ。
 いいぜ、そういう発想はとてもいい。喰らいたかぁ無ぇが、意表を突くのもまた兵法よ」

成る程、人に化けた竜ならではの発想だ。
忍びの先達として、いい考えであると素直に頷こう。
何よりも喰らいたくはないが、敵に使うのであれば何の問題があるだろうか。

そんな言葉を交わしつつ、今日の今のひと時はデモンストレーションを中心に教えを述べただろう。
明日からの修行には刃ではなく、手製の木刀などを使ったより踏み込んだ鍛錬、訓練法に移っただろうか。

ラファル > 「機会……。
 鎧通しは、むしろこっちのナイフにお願いするかな……こっちの方が硬いし太いし。
 でも、この小太刀もすごく使いやすいから、うん、いいね!」

 そもそも、竜の爪や牙を素材とした肉厚のナイフは元々鉄の鎧などを切り裂くこともできる切れ味と硬度を持つ。
 元々できるものがあるなら、無理に代替品として使う必要はあるまい、必要になった時のために、方法を学ぶことは吝かではないけれど。

「えへー。
 こう、蹴りとかじゃないから、姿勢も崩れないし、何より不意打ちできるよね。
 金的でなくても、足を叩いても、突き刺してもいいし。」

 人間ではないから、人間ではない発想で行動できる。
 それに、ツバゼリからのブレスとか避けようがないだろう。
 自分を過小評価させるための、子供の体である。

 精神年齢おこちゃまだからとか言わない、事実だけど。

 それは兎も角、動きの基本の基本を学びつつ。
 修行には刀術も含まれていくのであった――――

ご案内:「王都マグメール 平民地区/練兵場」からラファルさんが去りました。
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