2018/09/10 のログ
セレーネ > 微かに雨が滴る平民地区大通り、夜も通行人もまばらなその道に建物からでて来たシルエットが1つ加わる。

「そう。じゃあ、何かあったらまた。…………はぁっ…」

形式じみた挨拶を終え入口の扉に背を向けると同時に自ずと溜息が漏れ出る。
原因は言うまでもない、例の魔導機兵の大量発生だ。
複数のギルドや騎士団を周り状況を聞いて回るもののいずれも芳しいものではなく事態の収束の目は見えない。

遺跡近辺ならまだしも王都付近の平原でも目撃情報は増加しており、それが王都内でも大きく不安を煽る原因となっていた。

「どうも後手後手なのよね…」

国も冒険者達が無能という訳ではない。実際に破壊や討伐例も耳にする機会が増えたのは事実であり、一部では残骸の研究も行われていると聞く。
ただ、全容が掴めないまま増え続ける機械達は戦闘力を持たない市民にとって恐怖かさでしかなく、その膨大不安が押しつぶすように王都全体に蔓延していることはピリピリと肌で感じていた。

セレーネ > 「まぁ、立ち止まってても仕方ないわね……」

鬱陶しげに空をチラリと一瞥し、軒下から雨が石畳を打つ大通りに身を乗り出す。
同時に地面から巨大な手甲のような形が浮き上がり、手の平を下に向けて雨を防ぐとなった。

自らの身体が濡れない事を再確認すると改めて歩きはじめる。目的地は富裕地区郊外、自らの住まい。

天候の影響かはたまた例の騒動のせいか、どことなく人が少なく寂しさを感じる通りをゆっくりと歩きはじめて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にボルフライさんが現れました。
ボルフライ > 人通りの少なくなった平民地区の大通り。
そこに面する大衆向けの居酒屋から、一際大柄な男が姿を見せる。
仕事としてある村を襲い、奴隷をしこたま捕まえて依頼人に売り渡した報酬を盛大に使ったのだ。
高い酒でもいいが、こういう安っぽい店の安い酒を大量に呷る方が性に合っているというもの。
たらふく飲んだがまだほろ酔いといったところ、明日の仕事に差し障るのでそろそろ帰るかと店の外に出たのだが。

「クソ、雨かよ…」

どんよりとした空模様は夜の暗闇をより深くしている。
雨まで降り湿気と肌寒さを感じれば、せっかく酒を楽しんだいい気分も台無しだ。
それになにより、傘とか持ってない。
どうしようもないので、寝泊りに使っている安宿へ足早に向かうとする。
するとずいぶんと変わった手段で雨を凌いでいる女が目に付いた。
いい女だと、一目見て思ったし、高値で売れるとも考えた。そういう男だ。
ともあれ、視線は合ったかもしれない。

セレーネ > この時間帯は元々富裕地区側へ向かう人というのは少ない、こんな事態であれば輪をかけてである。
周囲を歩いている人間はポツリ、ポツリと道を外れて、気付けば自分以外の人間を視認出来なくなった、そんなタイミングだった。

前方の酒屋から一人の大男がこちらに歩いてくる。

「…………」

チラリと一瞥しただけでその男が只者ではないこともまともでは無いことも理解出来た。
その身体付きも纏う雰囲気も冒険者のそれとは明らかに違う、そして何よりこちらを見る目が違う。

変に避けて通るのも逆に不自然と思い、歩く速さはそのままになるべく目を合わせないようにしながら通り過ぎようとし

ボルフライ > 既に遅い時間、ましてや弱くとも雨も降っていれば人気は自然になくなっていく。
視界に映る女の雨を凌ぐ術を考えれば、相当な魔力を持った実力者か。
しかし、女はこちらに対して視線を反らして見せた。
それだけでこの女の性格が大雑把ながら判断できるというもの。

早足で宿へと向かっていた大男の足は、女に近づくにつれスピードが緩まっていく。
視線を反らしている女には、足音のリズムがだんだん遅くなっていくのが聞こえたか。

「奥さん、便利な術だな」

もう少しですれ違う、その直前にそんな他愛のない言葉を掛けてくる男。
だがそんな一言につい女は視線を男に向けてしまうだろうか。
そうなれば男の鋭い眼光から放たれる、実に初歩的な淫術によって、肉体が発情し始めることになる。
本来であればこんな単純な淫術など、容易く防がれてしまうレベル。
それでも、ものは試しだ。

セレーネ > 男への意識は極限まで反らしていた、否反らし過ぎていたせいか。
すれ違い様ボソリと呟かれた言葉に反応し、思わず男の方へと振り向いてしまう。

突き刺さる様な視線を放つ男の目を覗き込んだ瞬間、小さく体がはねる。
やられた、と後悔を感じる前に相手の術に身体が反応した。

「ッ……そ、そうかしら?貴方の分の作ってあげたいところだけど…その…生憎魔力が足りなくて。で、では失礼するわね」

甘い声が口を突くのを必死に堪え、捲し立てるように無難な挨拶を返す。
不幸中の幸いか障壁が防いでくれた為か
術の効きは多少甘い。急激な身体の疼きを悟られないよう、わざとらしく雨を気にする素振りを見せて男から離れようと早足で進み始める。

ボルフライ > やはり、思ったとおりだ。
この女はこんな初歩的な淫術にすら反応を示す。
富裕層であれば魔術の素養が無くともアイテム等で身を守ったりするにも関わらず、彼女は余りにも無防備だった。
こちらの目を見た女の僅かな反応を、目ざとい男が見逃すはずは無く、獲物を見つけたとばかりに口角を上げた。

「そうか、そいつは残念だな…
なら…補充してやるよ、奥さん」

先ほどから言う奥さんという呼び方も、女の指に光るものを認識しているからの呼び方。
淫術を受けて身体を仄かに疼かせ、逃げるようにその場を立ち去ろうとする女へ、大男はさらに言葉を投げた。
単純に更なる淫術をぶつけてやるだけでもよかったが、女の反応を楽しみ弄びたいと考えたこの男は、足早に去ろうとする女へ接近し、逞しい手の平を彼女の肩へと置こうとした。
魔力が足りないのであれば喜んで恵んでやろうと、手の平から直接人魔たる濃厚な魔力を流し込み、肉体を激しく発情させてしまうだろう。

セレーネ > 上からへ押し付けるような力で肩を抑えられれば今の力では振り切ることも難しい。ならばせめてと護身用のゴーレムを生み出そうとした瞬間、全身を強い衝撃が迸った。

「ぅっ、くっ、ぅ、あっ、あっ、あ、あ、あ、あっ!」

声が上がるのを抑えきれず、さながら雷にうたれたかのように小刻みに震えながらへたり込む。
太腿の間からは明らかに雨によるものとは違う湿気を感じるようになり、膝立ちの姿勢のまま反射的に股を閉じた。


「あ、貴方…いい加減に…」

声を震わせながら、地面からもう一対、反対側の手形ゴーレムを生み出し、男を睨む。
しかしそれは男へ攻撃する溜めのものではない。すっかり力が入らなくなってしまった足の代わりに自らの身体を載せ、逃げおおせる為のもの。
あたふたと新しいゴーレムの平に座る頃にはどこかで目の前の男、魔の存在には勝てないという心理が肉体を支配していて。

ボルフライ > 「くはははっ!
なんだその情けない声は」

男の手の平から放たれる濃厚な魔力による術は、女の面白い反応を引き出してくれた。
だらしなく声を出し、崩れ落ちる熟れあがった肉付きの良い肢体。
その身体はすっかり出来上がってしまっているが、やはり能力は高いのであろう、精神はまだ反抗を見せている。

「まぁ、そうだな…いい加減トドメを刺してやるか」

どこかへ連れ込みたっぷり仕込むつもりであったが、ちょうどよく女の手形ゴーレムが傘とソファのような状態になっているので、移動する手間が省けた。
ましてや騒ぐような人影すらも無くなり、雨によって声など聞こえなくなるのだからなおのこと。
ゆっくりとにじり寄る大男の肉体は、圧倒的なまでに逞しく、それでいて魔術にも秀でてもいた。
そのまま男は、再び女と視線を交わらせ、精神支配の魔法を女の魂に刻み込んでいくだろう。
もう決して目の前の男に逆らうことのできなくなる術を。
そうなれば最早抵抗もなく、火照った身体を鎮めて欲しいと自ら強請るように変貌するか。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からセレーネさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からボルフライさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にククィさんが現れました。
ククィ > 陽はすでに傾きかけているが、まだまだ蒸し暑い残暑の昼下がり。
立ち並ぶ住居の軒先を借りるように露天の荷車がぽつぽつと並ぶ、王都の通りの1つ。
ここにこの時間に露天を出す者の事情は様々だが、多くは朝のうちに売り抜けられなかった商品の処分市のようである。
安い食べ物がよく売れるこの場所を昼以降の商売場所として選ぶ者は少なくない。
客層が客層だけに、トラブルに対処できるだけの腕っぷしと度胸のある者に限られるが、それゆえに競合相手も少ないのも旨味。

そんな中を、一人の少女がトコトコと歩いている。
エキゾチックな褐色肌は日焼けではない、地の肌の色。ハニーブロンドの髪を柄物の一枚布で軽くまとめている。
薄手のワンピースの下から浮き出る輪郭は、若い少女と言うには若干太め。むしろ人妻の色気さえも感じられようか?
そして、腰回り同様に丸い輪郭を帯びた胸部、大胆に覗くデコルテを隠すように乳の上に置かれたのは、大きな籠。
中には洋ナシが10個ほど。こぼれそうなほどに山と積まれ、これまた太ましい左腕でしっかりと抱きかかえられている。
右手には齧りかけの果実。旬に入りたての洋ナシだが、追熟が進んでおり、断面は蜜のようにみずみずしい。

「ん~~~まっ♥ 果物はぁ、このくらい熟してたほうがおいしいですよねぇ~」

皮ごと喰らいついた果肉を頬の中で丹念に咀嚼しながら、少女は誰に話しかけるでもなく一人感嘆の言を漏らす。
食べ歩きはなんとも下品な振る舞いであるが、周りを気にする様子もなく。
移ろう視線は屋台から屋台へとせわしなく動くが、周囲への警戒が足りてるとはいえない。

ククィ > ごくん、と喉が蠢く。首から鎖骨へと垂れるネックレスがその蠢きにつられて揺れる。
小粒なれど丁寧なカットが施されたサファイアが一粒あしらわれた装飾品だ。
綺麗に芯と種だけになった洋ナシを胸の籠の中に戻すと、ククィはその流れで躊躇なくもう1つの果実を手にとった。

「……んふふー、もう1個たべちゃお! あ~~ん…」

先程飲み込んだ果肉がまだ胃の中に落ちきらないうちに、ククィは次の果実を口元に近づける。
桜色の唇に縁取られた口腔が大きく開く。ガパリと……そう形容するしかないほどに、大きく。
チリチリと毛羽立った洋ナシの皮に、真白な歯が無残に突き立てられ、食い破られる。

「…んふっ」

夏の気温によって熟成が促されていたこともあり、柔らかな果肉はいともたやすく少女の歯型に切り取られていく。
ただの一口で、彼女の手に余るほどの大型の果実はその体積の4割近くを失った。
少女の口に入りそこねた果汁が歯型の谷間に沿って流れ、手を汚しながらボタボタと垂れる。
その豪勢な食いっぷりはやはり、上品とは言い難い。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエズラさんが現れました。
エズラ > 「おやっさん、こんなにもらえねぇよ……つうか、食い切れねぇってば」

露店に並べる品物を、誤って往来へぶちまけてしまった店主がたまたま顔見知り。
たまたま通りかかった男は見て見ぬふりをすることもできず、拾い集めるのをひとしきり手伝った。
それが終わって別れ際――いいから持ってけと、腕の中にあれやこれやと果物を載せられてしまったのである。
仕方なしにそのまま通りを歩いていたのだが――向こうから歩いてくる少女の姿に、思わず足を止め、ポカーンと口を開ける。

「ありゃまぁ……すげぇ食いっぷりだなオイ……――」

このあたりではあまり見かけない褐色の肌に、艶めくハニーブロンドの髪が眩しい。
もりもりと頬張っているのは梨のようである。
ふっくらむっちりとした肢体にも納得せざるを得ない、いっそ清々しいまでの食べっぷり。
しかし、それは豪快な割に、どこか可愛げもあるのであり、何より――

「――……お嬢ちゃん、これもどうだい、よけりゃ少しもらってくれねぇか――」

もっと、食べさせたいという、奇妙な欲求。
思わず声をかけてしまう――

ククィ > あれよあれよという間に、2個めの果実が芯だけの無残な姿にさせられてしまう。
それを丸い籠の底に落とし、一息つく間すら設けずに3個めの果実を取る。
先程と同様にその洋ナシを口へと運び、がぶりと齧りつくククィ。うっとりと細まる目は、まるで飽きなど知らないかのよう。
……そこに。

「………んー?」

正面から突然声をかけられ、つかの間細まっていた瞼が再び大きく開く。
ルビー色の瞳が声のする方を見れば……そこには、まるで見上げるような巨体の男。
その威圧感には本能的に警戒心を覚え、肩がぴくりと震える。
しかし、掛けられた言葉と、その男がククィ同様に大量の果物を抱えている様とが合致すれば、少女の顔はほころぶ。

「……ん! いいの? おにいさん、果物もらっちゃっていいの? タダで? ほんとに!?」

人通り少ない通りに、甲高い嬌声がキンと響く。
いまだ口の中に果肉を残したまま、褐色の少女は男をまっすぐ見上げながら捲し立てる。
当然、果肉のかけらが口から何個もこぼれ、幾つかはエズラの方に向けて飛んでくるだろう。大変はしたない。
真紅の瞳もキラキラと輝き、大変嬉しそうだ。今や偉丈夫に向かって警戒心の欠片も見せていない。

「あ、でもー。タダでモノを貰うのは良くないってパパ言ってたんだよねー。パパ商売人だもん。
 どうしよー? おにいさん、お金いる?」

未だ視線を男から(あるいは彼が持つ果物から)外さないまま、少女は問いかける。

エズラ > 「おわっぷ、こらこら、口にモノ入れながらしゃべっちゃいけねぇ――」

そこまで言って、はて、自分はこの少女の保護者か何かか――?という何ともいえない気分に。
しかし、彼女の喜び様は想像以上のもの。
感覚で分かるが――きっとこの少女は果物が好きというより、食べることが好きなのであろう。

「いいよいいよ――あんまりたくさんもらっちまって困ってたとこだ、こいつらもオレなんぞよりお嬢ちゃんに食われた方が幸せってもんだ――」

ほいほい、と彼女の腕の籠の中へ、自分の腕の中の果物を放り入れていく。
しかし――その時、男の目に確かに映ったのは、その籠がまるごと乗っかりそうな、たわわに実った二つの果実。
思わずむむ、と視線がそこへ注がれて――その後。

「あー……うむ、そりゃ確かに親父さんの言うとおり――いや、流石は商売人、世の中のこと良く分かってるなァー……――」

最後の一個まで、すべて少女に差し出してから――ムフフ、と笑みを浮かべつつ顎に手をやる。

「カネはいらねーがよ……ちょっと食いたいものがあるんだが、それを食わしてくれるか?」

ククィ > 「えっ? ……わ、ちょ、ちょっとぉ……おにいさん、勝手に入れないでぇ…!」

未だ歯型のついていない果実が何個も入っている籠の中に、さらにエズラの手持ち分が放り込まれていく。
ククィは焦るような悲鳴を上げながらも、体は籠ごと彼の方へ身を寄せ、果物を受け止めていく。
しかし徐々に籠の重みに耐えられなくなったようで。
ククィは右手に持っていた食べかけの洋ナシを咄嗟に口に咥えると、果物が山に盛られた籠を両手で持ち直す。
乳房の上に載せるように運んでいた籠をへその高さまで下げ、腰を突き出し、骨盤も動員してその重荷を支える。
当然、これまで籠に隠されていた胸の谷間もエズラの眼前へと曝け出される。幼い言動と振る舞いの割に、その谷間はとても深い。

「ふご……」

重くなった籠を無事支え直すと、今度は口に咥えた食べかけの果実の存在に気が向く。
両手はふさがっていて、落とすことなしに口から離すことはできない。このまま咥えっぱなしでは呼吸もままならない。
ククィはしばし逡巡したのち、意を決して唇の力を緩め、ふっ、と軽く息を吐く。
果実は桃色の唇から零れ落ち、彼女の胸の谷間へとストンと落ちる。柔肉に挟まれ、半分を埋もれさせたところで止まる。

「……ふぅ。もー……おにいさんがいきなり籠に果物入れるから、ククィ、焦っちゃったよ!
 で、なぁに? 果物以外に食べたいものがあるの? ククィ、そんなに料理得意じゃないよ?」

ようやく落ち着いたククィは、相手の要求に対し、その内心を何ら疑う様子も見せずに問を返す。

エズラ > 「お、おお~……こりゃすまねぇ、重かったか――?」

心配するようなことを口にしてはいたが、男の視線はすっかり少女の胸元へと注がれている。
こちらからも手を伸ばし、その籠を横から支えて重量を幾分肩代わり。
その拍子に互いの距離が近付き、ふぅわりと漂う少女の香りに暫し魅せられていたが――

「ああいやいや、料理して欲しいっつぅわけじゃねぇんだ――むしろ料理すンのはオレの方っつーか――ああ、どーでもいいなコリャ」

おそらく少女にとっては何が何やら分からぬことを呟きながら、本格的に少女の抱える籠を代わりに自らの方へと引き寄せつつ――

「そんな難しいこたねぇのさ、ほら、荷物はオレが持つからよ、チョットこっち来てくれよ――ククィちゃん、だな?オレはエズラってのさ――」

そう言いながら、それとなく路地裏の方へと足を向け――少女を誘うのである。