2018/08/02 のログ
マニィ > 「場所次第じゃないかなあ。大通りに面してる所なんかだと私には飲ませてくれない所、結構あるんだ。
貧民街なんかだと、そういうのも無いんだろうけど品質とかがちょっと……。」

お酒の飲める場所。について何処と無く浮かれた声で歓談していると給仕が素早く、小さな樽のような容器を二つ運んでくる。

「でも知り合いに逢えて良かったよ本当。再会を祝して乾杯!……あ、支払いは私が持つから心配しなくていいよ。
あの網で蝉を沢山捕まえたら、奇特なおじさんが全部買ってくれてね。
依頼は……まあ冒険者ギルドにある奴で、私に受けれそうな奴を適当に選んだり、あとは調合した薬を売ったりかな。
杖は、うん。君の使うようなのじゃなくて、軽くて魔力の通りが良い奴がベストなんだけど、いい奴は高いんだよね。
君の所に不届き者が出るなら、一つやっつけて身包みでも剥いで換金してしまうのがいいかもしれない。」

容器を両手で持ち、一息にエールをある程度飲んでから酒精を含んだ息を吐き。
それからつらつらと言葉を並べて近況報告から、対策に悩むマリーへの助言へと言葉が長い。
ある程度まで喋ってからもう一度エールを呷って息をげふーと吐いた。

シスター・マルレーン > 「そりゃそうですよ、私も分かっていなければ断っていますしね。
とはいえ、毎回は難しいですね、いろいろ見られたら困る人もいるわけですし。」

溜息交じりに言葉を吐いて、さてさて、と容器を手にかんぱーい、と合わせて。

「……いいんですか? 蝉……が、売れたんですか? 珍しい依頼ですね。
まあ、そうですね。危ない依頼は受けない方がいいでしょうし。
実際、その体だと疲れが早くなったりするんじゃないですか。」

相手の言葉に苦笑しながらも、お金が欲しいというのは事実。

「………じゃあ、今度不届きものを二人で倒しに行きましょうか。
 そんなにいい物は持っていないと思うんですけどね……。」

倒して身ぐるみ剥ぐことを許容する辺り、こちらもちょっと酔っている。

マニィ > 「うーん依頼じゃなくて副産物というか…虹色の甲殻を持つ甲虫を採取してくれ。
って依頼を受けてメグ・メールの森林地帯に赴いたんだけど、行ってみたら当の甲虫が3mはあろうかって大きさでさあ!
そんなもの、今の魔力が落ちてる私じゃどうしようもないから帰るしかなくって、ただ折角きたんだしーってことで
行き掛けの駄賃に蝉をめいっぱい捕まえたら、欲しいって言われたんだよね。
なんでも揚げて食べると美味しいらしくて、そこそこ人気があるんだとか……本当かなあ」

苦笑を浮かべるマリーに唸って見せると、冷たいものを飲んだのに何だか頭が暖かい。
酔いの周りが早いかな?と他人事のように考えて、お水でも貰おうかと給仕に声をかけようと周囲を見ると──
なんということだろう。壁にかかった木簡に「本日入荷。珍味、蝉のフライ!」と描かれているじゃあないか。

「………………う、うん。不届き者、うん。君が闖入者を獣ではなくて人間だと目するなら、
つまりは泥棒って事だろう。それならやり返したって良い筈だろう。うん、良い筈だ」

見なかった事にし、何処と無く曖昧な笑顔で対泥棒対策に花を咲かせよう。

シスター・マルレーン > 「……それは、私が一緒に行っても無理でしたね。
追い払ったり退治ではじゃなくて、採取ですよね……それは無理。」

無理過ぎるのだが、そういう依頼が飛んできそうで少し目のハイライトが消える。
いろいろそれで悩むのは嫌だ……。

「………そうですね、では、その算段をつけましょうか。
次に来る日はもう大体目星はついているので……

でも、相手の人数次第ですよね。多い場合は大きな網なりあれば……。」

なんて、泥棒を叩く具体的な算段に入るシスターは、結構露骨な案を出しながら夜は更けていって…。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシスター・マルレーンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からマニィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/ギルド区画」に竜胆さんが現れました。
竜胆 > [お約束待です]
ご案内:「王都マグメール 平民地区/ギルド区画」に影時さんが現れました。
竜胆 > ギルド区画……それは様々なギルドが立ち並ぶ区画である。
 ここに行けば色々な職業のギルドに立ち寄ることができるのだ。
 今回は、商工ギルドに用事があったので立ち寄っている、母親の名代としてやって来ていた。
 先月一ヶ月の売上、それによる商工ギルドへの毎月の加入金。
 今月以降も加入したままという意向を書き記した書類をもってギルドの受付に渡す。
 ギルドでの登録の更新を待って終わらせてから、少女はギルドの外に出ることにする。
 夏の暑い時期、太陽の光を和服を着たまま汗も書かずにいられるのは、少女が己の能力を使い周囲の空気を冷やしているから。
 今、少女の周りは冷房がかかっているかのように涼しいのだ。

 少女周りの現在気温18度。

影時 > ――心頭滅却すれば火もまた涼し、とはいかない。

如何に人間離れする位に鍛えに鍛えたとしても、どうしても人間には限界というものはある。
刺されれば死ぬ。そして勿論、高温に炙られ続ければ死ぬ。
至極当然のことである。故にこんな状況で普段の装束をしようとするのは、非常に無理がある。
故に、久々に赴く街中で普段の装束をしてはいられない。
裾を絞った丈の短い藍染のズボンに白いシャツ、短い和服様の襟をしたゆったりした上着といういでたちで足を進む。
街中を歩むためのチョイスだが、腰に巻いたベルトの裏等、各所に最低限の仕込みこそある。

「……嗚呼、いかんねぇ。こいつは茹だる」

しかし、それでも暑い。射るような、或いは炒られるような。
如何様にでも形容しうる暑さに辟易しながら、近隣の冒険者ギルドの一つが入った建物から出て、商工ギルドの方に足を向ける。
特段何かがあるというわけではないが、情報収集の点で考えると定期的に覗いても間違いはない。
汗を拭いつつ、入り口を潜る。そして、ふと気づく点がある。

「――……妙な、熱の流れがあるな」

はた、と。大気の流動の気配に微かな違和感を覚える。
例えるならば、熱気が摘ままれたようにひょいと掻き分け、押しのけられているような。
其処だろうか? 好奇心のまま、視界を巡らせては見える和服姿へと足を向けてみよう。

竜胆 > その存在は、一言で言えば『判りやすい』と言えるだろう。
 和服を着た、半人半竜。和服の背中から竜翼と、竜の尻尾が見えている。
 真紅の髪の毛をしているその少女の顔立ちは、彼の知る姉妹と似ている。
 姉が黒を基調としているのであれば、妹は白を基調としている。
 姉のような重武装もなく、その動きは楚々としたものである。
 外見は似ているようでその動きは似ていなくて、やはり似ていると、纏められる。

 それが、その人竜である。
 商工ギルドの入口で、自分を見やる男の姿を認めた。
 生憎知り合いは少ないから、彼の事を見た記憶があるかどうかはすぐに検索できて。

 ――――失敗・彼に見覚えはなかった。

影時 > 一目すれば、成る程。実に分かりやすい。
何が具体的に分かり易いかと言えば、和服もそうだが、背に見える翼と尾だ。
いわゆる竜と形容できるその形質とそして顔立ちを見ると、まさかな、と思う点がある。
髪色こそ違うけれども、顔立ちに覚えがある。似たような顔立ちをしたものに覚えがあるのだ。

立ち振る舞いこそ、同一ではない。
しかし、類似点を心中で上げてゆけば、そして聞いた話を総合すれば、大よその確信を得ることは不可能ではない。

「……変わった熱の気配がしたから見てみたが、失敬。
 当てずっぽうで悪ィが、トゥルソネル商会の主の縁者とお見受けする。如何に?」

近づけば見えてくる様子に、より確信が強くなる。
初見であることは己にとっても疑いない事項である。
故に不躾に声をかける、荒げることなどは択ばず、まずは会釈を以て最低限のの礼儀としながら、声をかけてみよう。
携える品々を検めればまた他の観点の見当をつけることは出来るかもしれないが、恐らく間違いはあるまい。

竜胆 > 「……はい、私はトゥルネソルの次女ですわ。
 お母様のお客様……ですか?」

 トゥルネソルと言うのは自分の母が行っている商会である。
 が、その性質上いろいろな客が居る。
 主といえばリス・トゥルネソルで間違いはないだろうけれど、個人的な知り合いなのだろうか。
 それとも、知り合いではなくて繋ぎが欲しいだけなのだろうか。
 少女は考えて首を傾ぎ、問い返した。

 商工ギルドという所を考えると、商売に関係した誰かとも思えるけれど。
 なぜだろう、この人からお金の匂いがあまりしない。
 お金くれ、といいに来たチンピラ、に見えなくもない。

 見知らぬ男性に対し、少女は警戒の視線を向け、扇子を取り出して口元を隠した。

影時 > 風体、そして人相についてはよく自覚もしている。
傍目からすれば、上背のある異邦人のチンピラがかどわかしに来ている。
或いは強請りに来ている。そうも見えるだろう。
この構図ばかりは、如何に発する己の気配を抑えていても変えるには難があろう。
声を発するというのは、工夫しなければ自分が此処にいるということを示している行為である。

「嗚呼、やっぱり次女君か。道理で金髪のちびっ子――もとい、三女と顔立ちが似ているワケだ。
 
 申し遅れた。俺は影時。笠木・影時という。
 商店には顧客として伺わせてもらったこともあるし、三女殿に稽古を付けさせて貰っている者だ」

知己こそあるが、どうこう、というものではない。
寧ろ、縁者の一人を弟子として稽古を付けさせて貰っているという事の方が関係としては強い。
少なくとも、己はそう認識している。
当然の反応として、警戒を見せる姿に尤もだというように頷きつつ、名乗りと共に改めて頭を下げよう。

竜胆 > 直ぐに声を上げられないのは、単に少女も東洋の顔立ちを持っているから。
 母の内片方は、東洋の生まれの竜、人に変わったとしても東洋の顔立ちをしていた。
 故に、そちら方面での知り合いとも思われているのかもしれない、最初にトゥルネソルの名前を出してもいたのがいい方向に来ているのだろう。

「……ラファル。……おっちゃん。………あぁ。
 貴方がラファルの先生でしたのね。

 初めまして、私は、ジャンシアヌ・トゥルネソル。
 長くて言いづらいでしょう、竜胆、とお呼びください。」

 彼の言葉に得心が行った。
 なるほど、母親ではなく妹の知己だったか。
 今のところ、すごくなついてるので、食卓でよく名前を聞いていた。
 彼の言葉に、ストンと理解が追いついて、ぱちり、と扇を閉じる
 因みに、ジャンシアヌを東洋の言葉に訳すと竜胆なのである。
 こっちのほうが、短くて言いやすいからこっちで名乗っているに過ぎない。

「影時さんは……このギルドに用事があるわけではないですよね?
 もし、よろしければ、立ち話もなんです、移動しませんか?」

 ここで話しても問題はなかろうが邪魔にはなるだろう。
 それに、商売系の会話でもないのは確実だ、それなら移動したほうがいいと判断して。

影時 > 「――おっちゃん、かァ。いや、間違いじゃねェがそう呼んでくれているな、確かに。
 如何にも。教授させてもらっている身よ。

 以後、お見知りおきを、と。そう呼んでも差し支えないってなら、そう呼ばせてもらう」

おっちゃんと呼ばれるのは、慣れたものだ。
実際に重ねた年月を考えるならば、そう呼ばれても決しておかしくはないものと言える。
自覚もしていれば、尚の事である。
竜の眼から見ても、外面ではなく魂が経た年月を見通したのかもしれない。
名乗られた名前に併せて追加された言葉は、言うなれば愛称、なのだろうか。心得たと頷いて。

「情勢を多少は摘まんだ方が仕事がしやすいってのはあるが、特段の用事は無ぇなァ。
 同感だな。こんな所で立ち話し続けるにしても、邪魔になっちまう」

隅に移動するにしても、声が響きかねないのは否めない。
だから、移動する提案には素直に同意できる。何処に行く?と合わせて問おう。
近隣の場所で何か心当たりがあれば、ついていく心づもりで。

 

竜胆 > 「ふふ、彼女は凄く素直ですから。
 確かに、おっちゃんというよりも………。

 ええ、ええ。竜胆で構いませんわ、それで通していますので。」

 おじいちゃんと言わないのは、流石に失礼であろう。
 男性であろうとも10以上若く見えるとはすごい技術である、そして……初対面の相手にそんな失礼を言うほど浅慮なつもりもない。
 それに、妹の師であるなら、敬意を払うべきであろうから。

「それでは、少し歩いたところになりますが、オープンカフェがありますし。
 そちらで如何でしょう?」

 真夏の炎天下、オープンカフェと言えば頭おかしいと言われても仕方がなかろう。
 とはいえ、かの御仁であればわかるだろう、先程からの冷気の中心点がこの娘であるということ。
 冷気を出しているわけではないが、周囲は少女を中心として冷えている。
 楚々とした足取りで先を促すように歩き出せば、直ぐに見えてくるカフェ。

 誰もいない外のパラソルの下に陣取り、相手を手招き。
 蒸し暑いはずの熱はすぐになくなり、快適な気温へと成っていく。
 そこには円形のテーブルが置いてあるどこにでもあるカフェであった。

 ――――見ようによっては、大人のおじさんが若い子を連れ回しているあれに見えるかも知れない。

影時 > 「気遣いは有難ぇが、外面より歳くっているのは確かなんでな。
 承知した。おっちゃんでも何でも、好きなように呼んでくれていい」

外見年齢と実年齢が合致しないのは、培った練氣術と過去に服用した秘薬の影響だ。
万人に適用出来得るものではないが、副次的な作用として、まだまだ精力に衰えがないのは良いことだろう。
呑めば、より強いチカラを得る。しかし、生きるか死ぬか定かではない冒険の果てに今がある。

「……悪くないな。
 多分、竜胆――お嬢ちゃんと一緒にいる限りで有れば、良い提案だ」

こんな茹だるような、地表から陽炎が立ち上りそうな時世だとただ、聞くだけでは本気かと疑っただろうか。
しかし、良いねと頷くに足る所以がある。
自分のみならず、恐らく聡い人間であればまさか、と察しを付けられるかもしれない。
熱の動き、もっと簡単な事柄で言えば、彼女の近くに居れば涼しいという点だ。

――熱の動きを把握し、兵棋やチェスの駒を動かすが如く、動かせるのだろう。

自分や相当の知識を持つ魔法使いであれば、このように察し、定義するに違いない。
手招きに応じてついてゆき、対面の席に座せばふぅ、と。心底より快適そうに息をつこう。

外面なんて気にしていられない。
つくづく、悪態すらつく気になれない程の暑気である。

竜胆 > 「ええ、本来であれば現役を引退していてもおかしくはない年齢かと思いますわ。
 影時さん、でいいでしょうか?
 妹の師ではありますが、私のそれではありませんし。」

 40代といえば前衛で考えれば一線を引いてもいいだろう年齢、彼が何故若さを保っているかは分からねども。
 それは自分にとって興味のないことでもあるのでさらりと流してしまおう。
 彼が現役で居たいのかどうかは、彼次第、なのであるし。

「ふふ、冷房替わりに使おうと思うのなら―――こういう事もできますから。」

 分子の動きを自分で認識し、それを操る能力。
 つまりは――――彼の周りだけ温度を上げることもできる。
 今は18度、ゆっくり上がって彼の周りは22度。肌で感じることのできる温度に上げてから、また、元の温度に戻そう。
 今回は、こちらから誘っての事でもあるし、妹の師をもてなすなら、これもまたそれに当たるだろう。
 とりあえず、先に腰を下ろして、カフェオレを注文してみせる。

「影時さんは、何をお飲みになります?」

 メニュー表をそっと差し出しながら、少女は微笑んだ。

影時 > 「かもなァ。だが、俺のような――忍びの者というのは、死ぬまで現役よ。
 ああ、そう呼んでくれていい。
 もっとも弟子の、そして何かと世話になる店の縁者となりゃ、少なからず気を遣うさ」

由縁なんぞ、他者にとっては至極どうでもいいことばかりだ。
勿論興味もないのであれば、敢えてそれを自分から語らう必要性は欠片もない。
まして、隠居するために故郷から此処まで流れ着いたわけではないのだ。
平和に朽ちて錆びる刃ではなく、少なからず波乱を見届けて、毀れながらも在る刃で居たい。
幼少から叩き込まれた忍びのものとしての倣いよりも、その気質故に。

「っ、む。分かった分かった。
 其の侭さっきみてェに温度を抑えてくれると、非常に助かる。
 最近の暑さは俺のみならず、大概の奴らにも効く。

 ……ラファルにも聞いたが、鋼鉄の隙間も見通せるチカラがあるってのは、間違いなさそうだなァ」

そう、熱を移動させて涼しくすることが出来るのなら、その逆も然りだろう。
いずれも然りだ。過去にその手の文献や頭のおかしい錬金術師等にも聞いたが、頷けるものがある。
急激にではないとはいえ、じんわりと上がり出す温度の変化に参ったと両手をおどけるように挙げてみせよう。

「俺は、此れを頼む」

よく冷えた紅茶を。この品書きにあるミントを合わせて、清涼感漂うようにしたものが気になった。

竜胆 > 「あら。忍というものは、忍、と明かしていいものなのです?
 では、お言葉に甘えまして、影時さんとさせていただきますね。」

 忍は生涯現役らしいと、頭の片隅にメモをしつつく、質問をしてみた。
 忍というのはこちらでいうアサシンに似ている職業のはず、自分から公表して回るような職ではなかろう。
 自分は妹が今忍たまなので聞いているけれど、どうなのだろう、流石に声を通さない結界とか貼ってないし。
 大丈夫なの、という心配そうな視線。

「今日は、私がお招きしてますから。
 こういうふうに便利に使われるのは正直、腹が立ちますの。
 なので、冷房がわりに考えないでくださいましね。
 冷房替わりにするなら、そうですね、倍の暑さにしてしまいましょう。

 鋼鉄の隙間?あんなに大きな隙間を何言っているのかしらあの子。」

 分子を見通す視線あれば、鋼鉄さえも穴だらけの物体である。
 彼の言う言葉を肯定しつつも、姉の秘密を教えるなんて後でお仕置きね、と溜息。
 晒すのは自分の手の内だけにしときなさい、と。

「はあい、注文お願いします。」

 注文を受けて、少女は右手を上げて注文。
 ウエイトレス、急に涼しくてびっくりしてるが知ったことないです。
 視線を彼に向けて口を開く。

「で、ラファルは、どんな感じですか?」

 教えているもの、それの進捗具合を聞いてみた。
 そういえばこの間白に忍び込んで分身使っていたずらしてたとか、彼に言っていたかもしれない。
 会うたびに、覚えた技術を披露して褒めてもらいたがる傾向のある子であった。

影時 > 「明かさずして済むなら、其れが勿論いいなァ。

 だが、あの娘からどんなことやっているか聞いているなら、
 俺みてえな奴らが少なからずどいうものかは察しがつくと思う。」

本当は他言無用だぞ、と。わざとらしく自分の唇に指を一本、当ててみながら肩を竦めよう。
この国であれば、間者や暗殺者の類が一番近い存在の職であるが、今の装いならば自分から言わぬ限り分かるまい。
敢えてこういったのは、自分がどういうモノか、少なからず伝聞されている可能性を踏まえてのものだ。
呼び方についてはそれでいい、と。小さく頷きながら。

「はは、違いねェ。
 そりゃそうだ。そんな風に手前ェのコトとか考慮せずに好きに使われるってのは、嫌だわな。
 弁えているともさ。……しかし、本物だなァ。大きな、ときたか」

不躾なことを顔に出さず、心の中で思うならばこの夏場だと、抱き心地がよさそうな気がしてしまうのだ。
当人にとっては、寝苦しいコトこの上ないかもしれないが。
今は、涼気のおこぼれという厚意に預かるだけで、それだけで有難いくらいである。
しかし、嘆息する有様を見遣れば、慨嘆せずにはいられない。居る処には居るものだ、と。

「――元々、素地はあったからなァ。
 率直に言えば、筋が良い。良すぎる位に、いい。

 だから、併せて危惧しなきゃならんコトがある。
 俺が教えたのはいずれもこういう事が出来るという手段だ。

 遊び半分で使うとな、世の流れとして大概しっぺ返しが来ちまう。その道理も教えなきゃならんだろうなぁ」

そう聞いている。昔の己を見たような気分になり、少し複雑な思いがあった、と。
注文を受けたウェイトレスが遠くに行ったのを確かめて、テーブルの上で頬杖をつきつつ言葉を紡ぐ。

 

竜胆 > 「妹も、お母様も、そのような職業ですから、ね。

 それに関しては忌避感もありませんわ。
 そういう職業というふうに考えておきます。」

 他言無用というよりも、そもそも母親からしてアサシンを名乗るものなのである。
 苦い笑みが浮かびそうになって慌てて扇子で顔を隠す。
 母親からは、暗器の使い方の手ほどきを受け、この扇子がその暗器でもあるのだし。

「持ちつ持たれつとか、私が気に入った子を擁護するとかはいいのですけどね。
 
 ドラゴンですもの、人と同じものを見てるとは思わないでくださいまし?」

 本物という言葉に、軽く目を細めてみせる、妹と同じでも色の違う青の竜眼は、しっかりと目の前の男を見据える。
 本気を出さねば、詳しくは見えないだろうが、それを言うつもりはない。

 ちなみに抱きしめたらひやっとしている。
 それは空気だけではなくて自分の体温も一定に出来るからである、まあ、抱き枕なんぞにしようと思うなら人間の氷付けがひとつ出来上がるだろう……生死を問うことない感じでの氷の塊が。
 
「あの子の技はお母様直伝ですからね、色々と教えられてるみたいですわ。
 気配の消し方、走り方、殺し方……気配に関してはお母様も超えるのかもしれませんし、速さはお母様譲りというレベルですね、超えるまではいきませんが。
 ふふ、それなら、影時さんに任せていて大丈夫そうですね。
 あの子、お母様のお仕置きにも、あまりへこたれない子ですし。
 なついている『おっちゃん』がしっかり言って聞かせてくれるなら、ちゃんと聞くでしょう。」

 彼になら、妹を任せていて問題はないだろう。
 姉として、軽くなっとくしたのか、笑みを浮かべつつ言葉を紡ぐ

影時 > 「成る程? 皆まで言うまでも無ェ、という奴か」

だが、やはり少なからずこのような表で云う事ではない、と。
躊躇う、弁えているという思いがあるのだろう。
頬杖を突きつつ、口元を合わせて隠す仕草に釣られて口の端を釣り上げる。
貴人の持ち物の一つにこの手の扇子があるが、此れは隠し武器の一種として取り扱えるものだ。
己もまた、心得がある。少なからず技も含めて教授されているのだろう。そう見立てる。

「全く以て道理よなァ。
 ――ああ、今の言葉をもってよく分かった。長ずれば、もっと面白いコトもできそうだ」

同時に同じ竜の眷属でも、見えるものに違いがあると。
いつぞや聞いた際にも感じたポイントだが、その認識も再度得ることができた。
だから、こうしたい、こうしてみたいという働きかけを行いたいワケではないが興味深い事柄だと思う。
抱き締めてみたい、試してみたいと思う事もあるが、敢えて挑むようなことはするまい。
往来に変質者の氷像が出来上がるだけだろう。忍び云々以前に、末代の恥のようなものだ。

「……どれだけ速いってンだか、その御母堂の片割れは。
 筋の良さの由来はよく分かった。前もって叩き込まれていれば、あとは応用だなぁ。

 心得た。つくづく、教えるということは責任重大だな。
 教えた者である以上、手抜かりはせんよ。最後まで面倒を見るともさ」

いずれ、技だけではなく、気構え、心得の問題もかかろう。
改めて心に決める。それが少なくとも信に足ると認められた者としての、責だ。
 

竜胆 > 「ええ、そういう意味では、ご同業とも言えなくもありません。
 妹が、貴方の弟子になっている程度には。」

 この辺の話題はそろそろ止めておいた方がお互いに良いのだろう。
 打ち切るように、少女は言葉を放ち置く。
 ちなみに、少女の扇子はミスリルで作られた物であり、物理的にもそれなりに硬い。

「姉と、私と、妹。
 それぞれがそれぞれ違う目を持っておりますわ。

 面白いこと?」

 この娘の本領は破壊である。
 その目に捉え、分子の構造を把握しきればあとはそれを操作して破壊ができる。
 相手の防御を全て無視した破壊の一撃。弱点は、才能がないからこそ時間がかかる。
 逃げることが可能であるという事だ。
 しかし、時間さえあれば、破壊できない物質がない。分子の結合を全て……破壊してしまえるのだから。

「さあ?此処から、魔族の国の端まで、鼻歌交じりで行き来できるとのことですが。
 正確な速度を図ったことはありませんわね。

 妹をよろしく頼みますわ。
 そうね……、妹に嫌がらせされましたし。

 妹を、式条・焔をよろしく頼みますわ。」

 姉はクスと、笑いながら妹の名を告げる。
 ただの、東洋名、母竜の方の名前というだけであるけれど。

影時 > 確かに、と。響く言葉に小さく頷いては同意を示そう。
この位言葉を交わし、認識をしておけば十分だろう。
用いられる扇の素材を見立てるとすれば、単品で武器に出来よう造りであることも見て取れる。

「どうやら、そのようだな。
 三者三葉でそんな風になっているのも興味深いが、おうとも、面白いコトだ。
 
 ……俺が過去に紐解いた本によりゃ、ものの成り立ちまで深く見通せる目を持っているってことだ。
 故に、長ずれば壊すも創るにも、いずれにも力を及ぼせるかもしれねェなあ」

かける言葉については、絵空事かもしれないことは弁えている。
だが、敢えて声を抑えて言葉を放つのは、その程度はどうあれ、特に錬金術師の類が辿り着きたい境地であることだろうからだ。
仮に同様の眼を己が得たとすれば、より強力な、あるいは別の観点から攻める術を繰れるかもしれない。
それほどのものである。

「ははは、敵に回したら命が無ぇな。逃げられん。
 そういう名前も持っていたんだなァ、あの娘。――今まで通り、お嬢ちゃんやらラファルと呼んであげれば大丈夫か?」

いわゆるマナ、真名の類ではないだろう。
先程この相手が名乗った通りの、漢字で綴った場合の名前で有ろう。
音の速さを越えそうな有様の速度の予感に呆れながら、続く言葉に承ったと首肯し、問うておこう。
この名前を知ったからと言って、何か心構えやらを変えなければいけないということはないだろう?と。

竜胆 > 「ええ、三人とも違うのは、お母様の権能をそれぞれ分割して受け取ったものではないか、と。
 私は、一番弱いのですけれど、ね。

 ふふ、怖い怖い、そんなことができてしまえば、それは、神様ではないのでしょうか?」

 すべての破壊、すべての創造。
 竜でも無理であろう、自分は出来て破壊と、変質であるのだ。
 作り出すのは―――無理である、人竜でなければ、或いはと思うのだけれども詮のないことである。

「そもそも、お母様の大きさは、本来の大きさは山よりも大きいですわ?
 本気になられたら、国が滅びるのではないでしょうか?

 ええ。
 別にあれで縛られるとか、そういうわけでもありませんし。」

 音の速さは娘であるラファルで超えられるのだ。
 それ以上だというのだから、母の凄さは底知れない。
 別に、名前は自分を指す為の記号だから、どちらでもいい、好きな方を使っているだけ、と伝えておこう。

影時 > 「ふむ、そういう見方もあるか。

 一言で強い弱いは測れねェだろう。
 例えば直に手足を使って殴り合うための強さと、術――魔法等を使うための強さは別だろう。ン?
 他に細々したものがあるかもしれんが、一概に言えるものじゃァあるまい。
 
 ははっ、かもな。
 俺が過去に遭った頭のおかしい錬金術師は、そんな域を目指しているともいったなあ」

己とて周囲にあるものを気を媒介にして操作、変化等を行って御することはあっても、一からの創造はできない。
氣を練り上げ、固めたものを武器の代替とすることもないわけではないが、それも持続するものではない。
それでも、斯様な域を望もうとする者が出るのは、人間ならではの習性かもしれない。

「おお、怖ぇ怖ぇ。
 そんな時が来ないことを望みたいが、怖いもの見たさというのは……いかんなぁ、俺の悪い癖か。

 なら、安心して普段通りに呼んでやれるな」

巨山の如くなれども、己の徒手とこまごまとした装備、術が通じるか否か。
お利口ぶった道理ではなく、何処まで相対しうるか否か試したくなるのは、武術の使い手ならではだろう。
聞けばつい、面白そうと思ってしまう己を、いかんいかんと、拳で軽く己の頭を叩き、笑って戒める。
呼び方に対しては、いずれでも問題がないと言えば、安心したと頷き。

竜胆 > 「姉さまは、私より力が強く、私と同じく魔法を使うことができますわ?私に遠慮をして、使っていないだけで。
 ラファルとの場合は、私が魔法を使う前に私を制圧しますわ。

 そして、私の切り札は使うには時間がかかりすぎて、姉さま、妹には通用しませんの。

 錬金術とは、一を全に全を一に。
 ありとあらゆる学問を内包し、学ぶことにして真理を目指す学問です。
 神のようになることが、彼にとっての真理に近づく為の方法なのでしょう。」

 使うことはできないが、錬金術というものに関しての知識は得ている。
 彼の言う頭のおかしい錬金術師に対しての考察を一つ。

「私は、見てみたいですけどね。
 お母様の本当の姿……私にはできないこと、ですし。

 ええ、普段通りにしてあげてくださいな。
 名前を教えたのは、姉の意地悪と思っていただければ。」

 母に関しては、大体通じないと思う。
 まずは大きさが尋常じゃないので、攻撃してもダメージが小さすぎるはず。
 物理的な大きさも強さとなる。
 城のレンガの一つに引っかき傷をつけても城が崩壊することがないのと同じようなものである。
 人間でもそれこそ大規模魔術でようやくダメージを与えることができるかも知れないという程度だと思う。

影時 > 「んー、多分それは気にすべき処じゃねェな。
 そもそも、姉妹で相争うための強さじゃああるまい? 
 俺の勘違いでなけれりャ、他の姉妹との荒事の総合的な対処能力の差のように聞こえたな。

 いずれの場合、事前の準備さえ整えば対処の目途が立つだろう。
 自分でそのように捉え、認識していることこそが竜胆。お前さんの強さだ。

 巷じゃそう云うらしいなぁ、錬金術とは。
 真理云々より、事物の成りたちを極める事が面白いと言っていた奴だったよ。いや、それが彼奴にとっての真理だったんだろうなぁ」

引け目を覚える程のもの、だろうか。
この意識については思うに、己が少なからず力を持つが故の傲慢なのかもしれない。
しかし、己を知ること、分を弁えることで見えるものはあろう。
不足を補うことで対等に渡り合う術を得る。それもまた、戦い方の一つ。

「言われちまうと、余計に気になるなァ。
 いぢわる、か。俺は共に育った奴らは居るが、同じ血をした奴らは居なかったからなあ」

尋常の手段では通じないとなれば、尋常ではない手段を用意し、持ち合わせればいい。
硬い殻皮の裏に衝撃を徹す方法然り、大物殺しのための手管、手段を用意すること然り、だ。
「そういうもの」と分かっていれば、手段は如何様にでも湧くのが人間だ。

ただ、いずれも使わずに済めばいいものだ。
己にとっての忍びとは、無用な戦いを抑えて事を静謐に済ませることを貴ぶゆえに。

竜胆 > 「それでも、ドラゴンとしては強さの格は生きていくのに必要なのです。
 半分人間で、人の母が望むし、竜の母が同意しているから、同じ巣で生きているだけで。
 生粋のドラゴンであれば姉妹だとしても、ほかのドラゴンは争う相手になりえますわ。
 故に、気になってしまうのです。
 影時さんの言うとおりに、姉妹と争うためのちからではないのですけれど。」

 人間としてでも、優秀な姉がいれば比較されて気になるものであろう。
 人よりも強くても、同族の中では低ランク、それはコンプレックスと言えるものなのである。
 ただ、忍のような思考ができるほど、少女が達観しているわけではないというだけである。

 あと、錬金術のことに関しては、彼が言ったとおりなので、それで終わりであろう。

「それは……まあ、何とも言えませんわ。」

 いないから把握できないと言われてしまえば、なんと言えばいいのかはわからないので肩をすくめるしかなくて。
 その手段を鼻で笑うような存在だからこそ、ドラゴンは強大と言われるのだ。
 あとは彼の問題なのだろう。

 少女は注文した飲み物をすすりながら見やる。

影時 > 「ああ、なるほど。人よりも竜としての見方、ものの考え方、か。
 合間にあるものってのは、難しいな。どちらとも折り合いをつけなきゃならん。

 ――存外考える必要がない、かもしれねぇな。
 脅かすつもりもない奴に脅かされるように思う、危惧するというのは疲れるだろうに」
 
ああ、考えればドツボに嵌る事柄か。
他者と自身を比較することに由来する物煩いというのは。
年月を経たことで少なからず達観した、物の道理を弁えるまでに至るまでの悩みで済むか否か。
どう折り合いをつけてゆくかについては、己から言える言葉は多くない。
最終的に自分でケリをつけなければならないからだ。考えることを止めるか否かも含めて、だ。

「だが、共に育った奴ら同士との悪戯ってなら、同じ具合になるな。うん、なった」

兄弟はいない。血を分けたものは居ない。
しかし、近似する事項はあるのだ。共に育ったということは、兄弟同然とも言えるだろう。
懐かしいとばかりに目を細めつつ、思い出したように茶を啜る。

――何人ばかり、居なくなったことか。或いは末期を見取り、或いは介錯したか。

微かに、寂寥が瞳に過る。

竜胆 > 「人としてよりも、ドラゴンとして育てられている所がありますから。
 それでいて人に溶け込む……まあ、それができないから、妹は野生に走っているのでしょうけれども。」

 人として、竜として。周囲に居るのは人、物を教えるのはドラゴン。
 まあ、長寿で人をある程度知っているドラゴンが教えてくれるけれど。
 ある程度までで、あとは独学である。何が何やらという感じである。二倍の常識を覚えなければならないのだと。
 頭をパンクさせてしまいそうである。

「まあ、そんな感じ、というところですわ。」

 ずっと一緒にいればそういうふうのがあるはずだ。
 しかし、彼は彼でなにか思うところが有り、静寂が周囲を支配し始める。
 静かにカフェオレを飲んでから彼を見る。

「さて、そろそろ、お開き、でしょうか。」

 だいたい聞きたいことは聞いたし、相手にも聞きたいこととかがなければそろそろいい時間でもあろう、と。

影時 > 「……俺が云うのもナンだが、人の世に混じるならその教え方は不味かったんじゃねェかな。
 同時に二つの事を並び立てようとして、上手くできる奴はそう居ねェのに」

他所の親たちの教え方に口出しを出来る身ではなのは、分かっている。
云われてみて、ああと嘆息せずにいられないものはある。
子を持つつもりはない、作らせるつもりはないが、物事には順序というものがある。
思うものはある。しかし、これ以上はとやかくは云うまい。当事者ではない身として、弁えなければならない。

「そうだな。……嗚呼、もうそんな時間か。頃合いだろう」

自分が抱えるものは、他者にとっては他人事である。
道理ではあるけれども、由縁を語ろうとすればこれもまた長くなる。
この紅茶をまた、飲み干すよりも時間がかかることだろう。飲み干して、一息を吐き出す。

交すべきことは交わし、聞くべきは聞いた。そう判断して立ち上がろう。
卓の上に空にしたグラスと共に、自分が頼んだ分の代金と合わせて向こうの飲み物代も置こう。
謀らずとはいえ、涼のおこぼれに預かった身である。この位は埋め合わせとしてしておきたい。

竜胆 > 「お母様達の教育方針も……といっても、お母様たちだって手探りだし。
 そもそも、リスお母様は18……この年の子供を持つような年齢ではないわ?」

 そもそもの話が、状況的にありえないと言っていいぐらいにおかしい状況でもあるのだ。
 彼にも、誰にも口を挟める状況と言えるかわからないのである。
 母親の経験のある人、父親の経験のある人に聞ければいいのだろうけれど。
 子供としては親の判断に従おうというところである。

「あら?」

 彼が出したのは二人分の値段。
 妹からはいつもご飯とかに困っているようにも聞いていたけれど。
 それでも思い当たるところはある。

「今回は奢られますわ、どうもご馳走様です。」

 彼の意図にお礼を言って奢られることにする。
 そして、礼を言って、歩き始めよう。
 しばらくすれば、ここも元の気温に戻るだろう――――

影時 > 「その歳なら、先達の教えを仰ぎてぇ……というワケにもいかなかったか」

難しいものである。
山の如くという例えから察するに、相当の年月を経ている竜が片親で有る筈だろう。
少なからず蓄えてる知識も育児には向かなかった。その可能性もある。
くしゃくしゃと髪を掻きつつ、複雑そうな面持ちで息を吐く。

「どういたしましてってなァ。涼のおこぼれに預かった分だ。この位なら、な」

節約は日頃心掛けておきたい身でも、この位は出せる位には蓄財はしている。
そうしたいという気持ちがあったこそ、である。
先行く姿を見送り、気温の変化にうっすらと汗ばみだす肌を感じ、己も歩き出そう。

幾つかの店を巡って、次の「仕事」の準備をしておきたい――。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/ギルド区画」から竜胆さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/ギルド区画」から影時さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシンシアさんが現れました。
シンシア > 陽も落ちて、日差しがないだけマシな感じの夜市
昼間の市場よりも賑わって見えるのは
同じ考えで買い物に出てる人が多いからかもしれない
片手に抱える袋には、たくさんの果物を詰め込んで歩いてた

人を避けながら進むけど、重たい荷物を持ったままなので疲れる
少し休憩とばかりに、夜市の通りに所々置かれてるベンチを見つけて
ため息をつくように座って、荷物は横へと置いて

シンシア > 少し休憩して、夜市の人ごみを眺めてた
ちょっとだけ羨ましく思うとこもあるものの、ないものねだりと
困ったように笑ったあと…

立ち上がって腕を伸ばす
荷物を抱えなおして、夜市を通り家にと戻っていく

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシンシアさんが去りました。