2017/05/05 のログ
スヴェン > 半分ほどグラスの酒を飲み干せば、軽く息を吐きだす
再び、フォーク手に取れば、やはり慎重な手付きで、スープの入った器の油をなぞるようにして繋げていく
相変わらず賑やかな店内で1人だけ妙に、神妙な面持ちでスープの入った皿と向き合っていたが、しばらくすれば、
そっとフォークを持ち上げて置き、グラスに残った酒を飲み干した
器の中を一頻り眺めて満足そうな表情を浮かべれば、立ち上がり食事の代金を支払い口笛なんぞ吹きながら
店を出ていった

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からスヴェンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にキニスさんが現れました。
キニス > 陽は落ち、すっかりと夜の雰囲気が立ち込めた平民地区。
街灯と月明りが夜を照らす中、一人の男が赤い羽根の付いた三角帽子を深々と被り、通りを歩く。
夜になり、洋服屋や雑貨屋が閉まる中、本番と言わんばかりに酒場の明かりが灯る。

「この街は…夜でも随分と賑わっているんだな」

酒場から聞こえる喧騒。
笑い声や野太い話し声が通りに漏れ、彼の耳へと到達する。
フッと小さく笑えば、更に通りを進んでいき、広場へと行きつく。

「ふぅ…」

広場の長椅子へと腰掛け、深呼吸をする。
たまに吹く夜風が気持ちよく、心地よい気分になりながらその時間と静寂を味わう。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にエナーシアさんが現れました。
エナーシア > 「久しぶりだな。こっちに来ていたのか」

仕事帰り、どこかで軽く飲んで行くつもりだったが思いがけず見知った顔を見つけた。
名前は確か……、キニスだったか。
敵意がないのは分かっているので特に警戒せず隣に腰をおろす。

「変わりないようだな。王都には仕事でか?」

以前遠征先で一緒に仕事をした相手だ。
同業者とはいえ活動拠点が違えばそう何度も顔を合わせるものではない。
一応知らない仲でもないし、こうして見つけてしまえば無視などできないが生憎と私は話術が不得手だ。

「この間の礼、という訳じゃないが、仕事なら何か手伝える事があれば言ってくれ」

うむ、話題がない。
結局このように仕事の話しになる訳だな。
まあ同業者同士友好的にしておくのは悪いことではないだろう。

キニス > 暫くの間、夜風を浴びていれば足音が聞こえてきて視線を上げる。
その視線の先には、別の地域で共に仕事をした女冒険者が居た。

「あぁ、エナーシアか。そういえば、お前の活動拠点はここだったか」

隣に腰掛ける彼女に横目で視線を向けながら、そう発言する。
仕事中にした活動拠点についての話を思い出しながら、納得したような顔を見せる。
次の彼女の発言を聞けば、腕を組んで、広場を見渡しながら口を開く。

「いや、仕事もそうだが…しばらくこの街で暮らすことになりそうだ。
 美味い飯屋や酒場。その他諸々案内してもらえるだけで有難い。」

彼女の言葉に柔らかい顔でそう返す。
見知らぬ地に知った相手が居るなんて心強いと、彼女を頼りにしつつも
相変わらずお堅い彼女の言動を見て、少し吹き出してしまう。

「仕事…ははは、相変わらず話すのが下手糞だなお前」

彼女の発言を聞けば、笑いながらそう返す。
変わりが無いようで安心したらしく、微笑みながら彼女の頭をぽんぽんと撫でる。

エナーシア > 「エナでいい。まあ、案内の方はそれなりにな。だが他はともかく食事に関してはあまり私に期待するな」

質素でいいから食えればいいというスタンスだからな。
美味いところを案内するのは難しい。

「……確かに話下手だが、キニスとはそもそも仕事以外にそれほど話題がないだろう?」

確かに大いに自覚しているところだが、こうも歯に衣着せず言われると少しむっとする。
キニスの方は、随分と気安いというか愛想がいいな。
可能なら見習いたいところだ。
でも私ももう子供じゃないんだから、女性に対してそうやって頭を撫でるのは如何なものか。
相変わらずの仏頂面で軽く睨みつけてみる。

キニス > 「はいよ、エナ。…あぁ、そういやお前、食事には無頓着なんだっけか?」

仕事の時の彼女を思い出す。
何やら干した肉やら保存食やらを食べて食を繋いでいた気がする。
食べれれば何でもいいと言う彼女のスタンスを思い出しながら、食事に関してはとりあえず諦めよう。

「それもそうだが…仕事の話ばっかりっつーのもつまんねぇだろ?
 今はともかく、これからどんどん増やしていこうぜ」

むっとし、仏頂面で睨みつける彼女にそう告げる。
その理由が自分の発言と行動という事は知っている。
しかし、それを知ってなお、彼女の頭を撫でる手は止めない。

「そういや、挨拶のキスとかはしねぇのか?」

彼女の頭を撫でながら、体を少し寄せる。
最初に出会った時の衝撃、挨拶代わりにキスされたことを思い出せば
それはもうしないのかと、彼女に囁くように耳元で質問する。

エナーシア > 「必要以上に執着しないだけだ。それと酒もな」

酒は昔色々と失敗したからな。
全く飲まない訳ではないが、嗜む程度に留めている。
よってそういった店の案内も不得手だ。

「同業者と仲違いするつもりはないが、刃物を持った女への軽率な行動は謹んでおいた方がいいと警告しておこう」

私は確かに無愛想で話下手だが、別に人を嫌って仲違いしたい訳ではない。
むしろ友好的にやっていきたいと思っている。
だが、こういう子供扱いというのは仕事の性質上放置しておくのも問題だろう。
要するに周りからナメられてはいけないというやつだ。

「まあ、とりあえず今のところは見逃してやるが……。うん?わざわざそんな事がしたいのか?別にいいが……」

挨拶のキスぐらい好きにすればいいだろうに、何故そっちはいちいち確認を取るのだ?
おかしな奴め。
キニスに顔を寄せ、暫し唇を重ね合わせる。

キニス > 「そりゃ勿体ない。食ってのは探求すればそれはそれで奥が深いのによ」

彼女の言葉を聞けば、勿体ないと告げるも特に押し付けるようなことはしない。
本人が必要としていない以上は自分の行動は彼女への迷惑行為に繋がりかねないからだ。
彼女が必要とした時に教えていけばいいと考えつつ、広場へ目を向ける。

「おー怖い。はいはい、気を付けるよ」

頭を撫でる手を止め、それを引っ込める。
自分の今の行為が彼女にとっては子ども扱いされていると察すれば、悪びれる様子は無いが気を付けると言って謝罪をする。
そして、自分の『挨拶』の要望が通れば、にっこりと微笑んで近づいてくる彼女の顔を受け入れる。

「…んっ」

彼女の唇に自分の唇を押し当て、挨拶を開始する。
彼女にとっては挨拶程度の行為でも、こちらにとっては情事に発展する直前の行為という認識があり
少し、興奮しつつ…タイミングがあれば、彼女の口内へ舌を入れてみようか。

エナーシア > 「んっ、むぅ……」

差し込まれた舌を軽く噛みながら舌を絡み合わせる。
何故か時々こうして舌を入れたがる奴がいるので慣れたものだ。
少し長めとなった挨拶を終えて唇を離すと軽く口元を拭った。

「ふぅ。まあ、改めてよろしく頼むという事で」

再開の挨拶としては十分だろう。
さっきはああ言ったが、気安すぎるところ以外はそう嫌いな奴じゃない。
これからも仲良くしていきたいものだ。

「これからどうするんだ?私は適当なところで飲んでいくつもりだったんだが」

積極的に誘うのはやはりどうも気後れしてしまう。
だがこれで向こうが乗ってきてくれれば拒む気はない。

キニス > 「っ…」

舌を拒まず、絡み合わせて来たことに少し驚きつつ
少し長めの挨拶を終えれば彼女と同じように唇を離し、口元を軽く拭く。

「あぁ、色々と世話になると思う。よろしくな」

気を取り直して、これから接触が多くなるであろう彼女にそう告げる。
体を少し離してクールな彼女の顔を笑顔で覗く。
やはり、知り合いが近くに居るのは、心強い。

「暇だったから帰るつもりだった…が、俺もその飲みに付き合っていいか?」

彼女の言葉を聞けば、彼女の言いたいことが伝わったかのようにそう告げる。
特に断る理由もなく、寧ろ大歓迎といった形でどんな場所へ行くのか少し期待する。

エナーシア > 「ああいいとも。そう面白いものではないと思うが」

私の飲み方はつまみも取らずにキツイ酒を一杯、淡々と飲むだけのもの。
それを越えて飲む事は滅多にしない。
だがまあ、話し相手ぐらいにはなれるだろう。
キニスを連れて目についた適当な酒場へと入ると、さっさと注文を済ませる。

「まあ、私の事は気にせず好きに注文しといてくれ。私はこれだけで十分なんでね」

人のペースに合わせて飲むと大変な事になるからな。
付き合いが悪いと思われてもこれだけは譲れない。

キニス > 彼女の後に続き、酒場の中に入っていく。
案内された席へと座れば、メニューを見て、彼女と同じ酒と適当なつまみを注文する。
暫くして、注文した酒とつまみが来れば、彼女と乾杯をする。

ぐいっと一口。
豪快に酒を口に含めば、グラスをテーブルに置き彼女の方を向き直る。
彼女に案内してくれたことを感謝しつつ、ふと疑問に思ったことを質問する。

「…しかし、何故そんな酔う事を躊躇するんだ?
 酒なんて酔ってなんぼって所があるだろ?」

食事はともかく、酒に関しては執着が無いと言うより警戒しているように思える彼女。
過去に酒関連での失敗があったのだろうか?などと考えつつも
気になって気になって仕方がなく、返答を待つ。

エナーシア > 「……若い頃の失敗というやつだ。あまり聞くな。
いい年をして失態を繰り返さない為にこうして適度に慣らしている」

飲みながら過去の失敗を思い出すと、思わず頬が紅くなる。

「別に酔うこと自体は嫌いではない。酔いすぎ、飲みすぎないように気をつけているだけだ」

強すぎる酒のいいところはうっかり飲みすぎる事がない事だが、キニスは私より酒に強いみたいだな。
良い飲みっぷりだ。
本当に、私ももっと酒に強ければ良かったのだが……。

キニス > 「ふぅん…もしかして、いやらしいハプニングか?」

頬が赤くなった彼女に対し、そう問いただす。
酔い過ぎて顔が赤くなるほどの失敗と言えばそれぐらいしかないと
頭の中で決めつつ、どんなことがあったのか彼女から聞き出そうとする。

「はは、そりゃ確かに正論だが、今日限りは安心して飲めよ。
 なんたって俺が居るからな。」

酒を飲みつつ胸を張って彼女にそう告げる。
実際、彼女が酔ったらあんなことやこんなことをしようかなどと考えているが
それは口が裂けても言えず、あくまで善人ぶりながら、徐々にアルコールが回り顔が赤くなっていく。

エナーシア > 「……黙秘する」

こうは言ったものの、相変わらず紅くなったまま目をそらしてこれでは殆ど肯定しているようなものだ。
どんな不埒な想像をしているかは定かではないが、弁明しようとして墓穴を掘るのも馬鹿馬鹿しい。
藪蛇にならないよう、この話題は捨て置く。

「色々な意味であまり安心できないのだが……。
顔見知りを切ったり燃やしたりはしたくないから、本当に妙な事はしないでくれよ?」

仕事仲間としてはともかくプライベートでは人柄はよく分かっていない相手だ。
気さくというか気安すぎるのは良し悪しで、まあ嫌いという訳ではないし信用したいとは思っている。
聖人という感じでもないし相手は男だから最低限の警戒は残しておくが。

キニス > 「あぁ、言わなくても大体わかったよ」

紅潮し、目をそらしている彼女。
その動作だけで自分の読みが当たっていることを察すれば、ニヤリと笑う。
これ以上は彼女が可哀想だから、揶揄わないでおこう。

「大丈夫だよ。少なくとも今は怪しいことはしないから安心しな。」

彼女の言葉を聞けば、体の間隔を狭めてそう告げる。
少し赤くなり、二やついた表情で彼女の顔を見れば、『もっと飲めよ』と彼女に酒を薦める。
やはり強い酒を一気に飲んだからか、酔いが大分回ってきたようだ。

その後も彼女と共に酒を楽しんだ。
すっかり酔ってしまった彼に対し、彼女は薦められた酒を飲んだのか断ったのか。
そして、どうなったかは、また別の話。

エナーシア > やっぱりこうなったか!
これだから酔っぱらいは……。
いや酔っ払いといえば私も多少は酔ってはいるが、ともかくこうも露骨に絡まれると対処に困るな。
酔っぱらいに炎をぶつけたらどうなるか知人で試したくはないし、本当にそんな事をやったら街にいられなくなる。

「言っただろう、必要以上に飲む気はない……!」

穏便に済ませたいところだが、つい語気が荒くなる。
こういうところの付き合い方も覚えていかなくてはな……。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からエナーシアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からキニスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にタマモさんが現れました。
タマモ > くぁ…平民地区、その路地を歩きながら、少女は口元に手を添えて欠伸を漏らす。
己に刻んだ術式、それの効果の程を確かめる為に、程よい相手を探してやって来たのだ。
しかし、こういう時に限って現れない、そういうものである。

軽く考える仕草、なぜ来ないのだろう?と。
すっかりと頭から抜けているようだが、少女はこの付近では金色の悪魔だの何だの、変な噂をされていた。
そのせいで、付近の荒くれ者達は目に付いただけで逃げていってしまっているのだ。

「むぅ…どうしてなのじゃろうか…?
出来れば湧いて出てくれた方が、加減具合の調整に役立つんじゃがのぅ…?」

やれやれ、と肩を竦める。
他で練習とかも良いのだが、こういった事は、やはり実戦経験が一番なのだ。
その為に、こうしてわざわざ来たというのに…
はふん、溜息をつく。
まぁ、出会えないものは出会えない、仕方が無い。
湧いて来なさそうならば、散歩にでも切り替えるか…そんな事を考えていた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にカレリアさんが現れました。
カレリア > 路地裏の一角
誰も訪れないような暗い場所でまだ幼さの残る双子の姉弟が居る
金色の髪に赤い瞳、人の形はしているが人外であることを隠そうともしていない
赤く光る瞳が暗い闇の中に浮かぶ

「えぇ、ありがとう。あそこの家はもう駄目でしょうね」

富裕地区から戻った2人の報告に頷き次の計画を考える
欲で身を亡ぼす協力者なんて必要ない

ふと、双子の弟が背後を振り返る
何かに怯える様に瞳の色は濃く輝きを増して…

「……警戒の必要はないですわ。あれは知り合いです」

赤い目を手で覆って頭を撫でる
姉の方にもう帰る様に言い自身はよく知る彼女の方へ
平民地区にも居たりするのか…そんな事を考えながら

タマモ > ぴくりと耳が揺れ、歩いていた足が止まる。
歩いている先から聞こえる音、いくつかの二足歩行の足音に気付いたのだ。
声にせず、やっと見付けたか…そう呟いた。
これで少しは試す事も、そう考えて、少し足を速めて近付いて行くのだが…

「………なんじゃ、誰かと思えば、カレリアではないか。
一人で無いのは珍しい…?…おや、妾が何かあるのか?ん?」

その内の一人が、見知った少女だった。
さすがに、前に会ってそこまで日が経ってないので、今回はすんなりと名前が出た…ちょっと自慢気だ。
ひらりと挨拶代わりに手を振っているも…他二名からの視線に、すっと目が細められる。
軽く首を傾げ、普段通りにそちらにも声を掛けてみた。

「おやおや、帰してしまうのか…可愛らしそうな子達じゃったのにのぅ…?
と、冗談はさておき、こんな場所を連れ歩いておるんじゃ、何かあったんじゃろうな?」

帰るように双子に言う少女に、くすりと笑い、言葉を紡ぐ…こう、まるで獲物を狙うような…?
しかし、すぐに表情を戻せば、改めて聞いてみた。

カレリア > 「ちっ…」

と聞こえたのは気のせいではないだろう
知り合いにこの2人の存在を知られるのは避けていた
視線で下がっている様姉に伝え弟はタマモを見て明らかに動揺、怯えている

「私が常に独りぼっちみたいに言うのはやめてほしいですわ?」

タマモに目がどうにも怪しいが2人はこの場からは離れられた
ふぅ、と一息ついて向き直り

「可愛い子供なんですから家に帰るのが普通ですわよ。
何かあった…と言うのは貴女の方じゃないんですの?」

こんな場所を態々好んで散歩なんて誰がするのか
少なくとも自分と彼女は違うと思っている

タマモ > 「おやおや、見知った者を前にして舌打ちとは酷い話じゃ。
少しくらいは親しみを込めた仕草一つしても、罰は当たらないのではないじゃろうか?」

わざとらしく、おどけた様子を見せる。
ただ、弟らしき少年の動揺した様子に対しては、笑みを浮かべたまま視線を向けてみた。

「うん?仕方ないじゃろう?妾と同じように、一人で居るところしか見た事ないんじゃからのぅ?」

それ以外、どう考えようがある?みたいな、そんな感じに答える。
去っていった双子を見れば、残念そうにしてみようか。
何が残念そうなのかは、どう思うのかは相手次第である。
…良い方向には考えてくれないだろう。

「ふむ、家か………まぁ、良いじゃろう。
妾はいつも通りじゃぞ?別に変わった事はしておらぬ。
適当に歩いていただけじゃ」

人間でもミレー族でもなかった、そんな子供達が帰る家が、この王都に?
言葉の途中の間が、言葉にせずとも、そんな風に言っているような感じは受けるかもしれない。
が、あえてそこで止め、深くは追求しなかった。
続けての言葉は、それが当たり前の事だというかのように、さらりと言ってのけた。

ちなみに、もし思っていた事を言葉にしたり、読んでいたりしていたならば…
思いっきり否定されていただろう。いつも、会っているのはこういう場所なのだから。

カレリア > 「偶々そう言う時が多かっただけですわ。普段は最低でももう1人は一緒に居るんですから」

私用で出かけない限り1人で居る事はほとんどないと言い張る
笑みを浮かべるタマモにも少年は終始怯えていた
化け物でも見ているような目、そんな目をしていた

「えぇ。暖かい我が家…城と言った方がいいですかね?」

城に帰る、それだけ言って話題は変わる
散歩…流石路地裏の悪魔ですわねと笑う
今や貧民地区で路地裏に金色が見えれば即座に逃げろとまで言われている
噂を聞いて大人しくなるどころかむしろ精力的になっていないかと思いつつ

「一応王都でのミレー族の扱いは理解していますの?
貴女一見すればミレーなんですから。
異常な力を持ったミレー族が居るなんてお城の方にバレれば大変ですわよ?」

壁の向こう、富裕地区の更に奥の王城の方角を見る
奴隷として扱われるのが主なミレー族
圧倒的弱者の中に彼女の様なイレギュラーが居ると彼等が思えば…
楽しそうではあるが混乱は必至だろう

タマモ > 「ほほぅ…まぁ、そういう事にしておいてやるのじゃ」

その偶々が普段よりも多いのじゃろうか?そう思ったが、さすがにそれを言葉にはしなかった。
軽く肩を竦める、そんな仕草をするだけだ。
怯えるような少年の視線に、そこまで怯える事もないだろうに、とか思ったが…
まぁ、何かあったりされたりしていたならば、そう感じるのかもしれない。
深く考えるのを止めた。

「………そうか」

暖かな我が家、昔から…遠い昔から、自分には程遠いものだった気がする。
その言葉には、軽く視線を逸らし、一言だけの返答に留めた。
噂に関しては、以前会った人間の男子にも、己と程遠い噂で聞いた気がする。
しかし、あれだ…さすがに化け物扱いは勘弁して欲しいものである。
それを思い出せば、まぁ、いずれどうにかせねばならんだろうとは、考えなければ…といった感じか。

「王城の連中も、馬鹿ばかりではなかろう?
シェンヤンという国には、妾と同じような存在が居るらしいではないか。
そういえば、魔王にも妾と同じ九尾が居ったぞ?
それが分かっておれば、ミレー族との判別くらいは付くじゃろうて、のぅ?」

確信は無いが、実際にそうでなければ、この国の上の連中は本当に無能だろう。
それに、一部だけだが、己が異世界の存在である事を知っている者も居る。
そんな噂が広まろうと、ミレー族へと誤解は生まれないと言えるのは、そういう事があるからだ。

もっとも…もし予想外にそんな流れとなるならば、そうなる前にそれを広めようとする連中は消えるだろう。
今や、王城の内部も、ほとんどが己の式神の手中であるのだから。

カレリア > 「そこはかとなくむかつきますわね」

小ばかにされた感じが拭えず不満を露にする
我が家と言った時の反応が気になり首をかしげる
何か思い入れでもあるのか…あまりこの事については話題にしない方がいいだろう

「賢者が愚者に押し潰されている、それが王城での現状ですわよ。
あそこに居る方達は城の外なんてどうでもいいんですのよ」

思いは全てさらなる力を、地位を、金を
そんな連中ばかりだと見て来た様に語る

「そう言えば、最近妙な動きが多いんですわよね
王城でもシェンヤンでもないどこかの誰かがコソコソと…
おかげで睡眠時間がどんどん削れていきますわ」

シェンヤンの者でもマグメールの者でもない謎の集団
分かっているのは何かが居たという事実だけ
幽霊でも相手にしている様で気味が悪いと漏らす

タマモ > 「カレリア…前にも言うたが、何事でも変に気にし過ぎると剥げるぞ?」

不満な様子の少女だが、余り気にする様子も無く、ひらひらと手を振った。
まぁ、我が家云々については問われても答えようが無い。
もし続けようとしたとしても、そう経たず打ち切られていた事だろう。
賢明な判断であったようだ。

「ふふ…何時いかなる時でも場所でも、そういうものはあるものじゃろう。
じゃがな、そういった連中だからこそ…知らしめてやれば、大人しくなるものじゃ。
明日は我が身…そう思えば、下手なものに手は出さんじゃろうて。
そして、そんな連中に限って、そういう事には無駄に敏感なものなのじゃ」

ふむ、と思い出すような仕草をしつつ、言葉を返す。
どこぞで、歴史は繰り返す、なんて言葉を聞いたが…そんな感じだろうか?
違うのは、関わる者達が変わっているだけだろう。

「ふむふむ…妙な動きとな?
目的が分かれば、意外とどうという事も無いやもしれんが…何とも言えんのぅ。
で、何でそれで、お主の睡眠時間が削れるのじゃろう?」

別にすっとぼけている訳ではなく、単に、自分がその一つである可能性をまったく考えていないだけだ。
実際に、こちらの事を調べようとしても、まともな情報なんて入らないだろう。
片方は知られたとしても情報は改変させられ、もう片方は見付けようもないのだから。
…まぁ、その者達の主が一番目立っているのは気にしてはいけない。

カレリア > 「そうなる兆しはありませんので余計なお世話ですわ♪」

自身の髪に触れてドヤ顔である
忙しくても剥げたりしない
きちんと手入れされた艶のある髪を見るがいいとでも言いたげである

「今の言動が完全に悪魔のそれと自覚していますの?」

物語で言えば悪役まっしぐら
経験談で語っていそうな所が尚質が悪い

「妙な物を流通させたり様々な情報を集めている、と言った感じですわね
目障りな害虫を追い出すのも私の仕事の内なんですの」

まさかその親玉が目の前に居るとは思っても居ない
そもそもそんな頭を使う作業が出来ると思っていない節がある
自分の追跡から逃れやる事と言えば小さな事
そのアンバランスさが気持ち悪い
せめて何をしようとしているのかぐらいは洗い出しておきたいのだ