2017/01/07 のログ
エルツ > 「おにぃさま」

(ここは乗ってみようと、後ろにハートマークがつくような甘え声で呼びかけた。彼が笑ったなら成功という、ウケ狙いの発言)

「マティアスさん…すごい、薬作れるんだ?エンチャントも出来るなら、魔法全般って感じ?」

(自分も魔法を使うが、あくまで生活を便利にする程度のレベル。ある意味それを売りにして長期遠征のパーティーについて行ったり、迷宮探索に混ぜて貰ったりする身。だから、明らかに異国風の彼が使う魔法には興味があった。軽くでいいから聞き出せないかと話題を振ろう。
彼が割と手広く依頼を引き受けている事を知るのは、一度解散した後になるだろう。気になる相手ならそれとなく周囲に噂を聞いたりして情報収集も欠かさないのである)

マティアス > 「……――は、ははは。いやいやいや、此れは此れで良い気分になるね!」

良いノリっぷりにお兄様もご満悦だ。
そう呼ばせることも出来なくもない肉親も居るが、如何せんノリが大変宜しくない。
ぱんぱんと、手を打ち合わせて、ローブの布地に包まれた肩を揺らす。
ひときしり、笑いの衝動が過ぎ去るまで一人で刹那の悦に浸ったのち、表情を戻そう。

「うん、作れるとも。傷薬から毒消し、惚れ薬以外なら割と色々とやる。やれるね、僕は」

元々は子供の頃から、只管に体力作りも兼ねた武術の手ほどきと共に多系統の魔術を詰め込まれた。
今でこそ家系から離れているが、異邦への旅で自力で学び得たものも多い。
腰に帯びた剣もまた、そう。下地はある。其れを実家の者からすれば、呆れた方向に進んだのが己だ。
腰の剣の鍔を軽く触れ、少し思い出した風情でポケットを漁ろう。

「お近づきのしるしに、御一つどうぞ?」

取り出すのは、小指の先ほどの小さな水晶だ。
形状はカットされてない原石のままだが、刻まれたルーンに金色の彩色が施されている。
「防護」の意を持つ線刻文字は、使い捨てだが所持者に対して護りの加護を与えるものだ。
そんな力を込めたものを、さながら飴玉の如く手を差し出してもらえれば、その上に乗せようと。

エルツ > 「そこまで笑ってくれたなら、芸人冥利に尽きるよ」

(うんうん、とこちらも満足そうに頷く。愛想の安売りは得意だしよくやるけれど、相応の反応が返ってくるなら売ったかいがあるというもの)

「おお、すっごい!ボクは原料は取ってくるけど調合までは出来ないんだよね…今度、手荒れの薬と打ち身の薬作ってもらっていいかな?値段は、応相談で」

(ここでがめつい商人なら、安くでというところだけど。初対面の相手だし、調合が繊細な手先と豊富な知識の両方がないと成り立たないと知っているから、応じてくれるなら相場通りの値段でお願いすることになるだろう。商人…ではないが、商家に出入りする人間として、適正価格での取引は基本と心得ている)

「わわ?!いいの?水晶…かな?魔法文字…えっと…これ、なんだっけ」

(反射的に掌に受け取った石。店で見かける輝きはないけど、こういった品も荷運びで見かけるためすぐに素材の判別はついた。いや、素材はともかく、刻まれた文字と込められた魔力が問題だ。少なくとも、飴玉代わりに配るものじゃないと自分でも分かる)

「え、えっと…えっと…何かお返し…何か、なにか…」

(町中を歩く軽装で来たのがある意味仇となる。お返ししたいけど、適当なものが…そんな困惑中に降りた天啓にハッと顔を上げて丸盾の裏を探る。取り出したのは、投擲用のナイフ)

「はい、お返し。普通の投げナイフなんだけど…鞘とか細く作ってるから、隠し持つには丁度いいよ」

(投げて使うのもいいし、普段使いのナイフにしてもいい。いざというときの隠しネタにも使える。名品でないから失くしたところで心も痛まない代物。どう使うかは、彼次第)

マティアス > 「うん、有難う。久方ぶりにいい気分だ。
 いいとも。その話、請け負った。手荒れと打ち身の……軟膏が良さそうだね。

 エルツさん、で良かったね。材料の預かりとお届けの際は、何処に伺えばよろしいのかな?」

調合も数重ねれば慣れだが、如何せん毒と毒を混ぜて薬とすることもある。
故に難しい。素人知識でやるようなものでは、けしてない。
材料と相応の時間を貰えるならば、きっちり仕上げたうえで納品して見せよう。
その位は、脳内の知識だけで事足りる。

「そう、水晶だ。一回だけだが、致死同然の痛打から君の身を護って、砕ける。いわばちょっとしたお守りだよ」

石質は悪くないが、カットと研磨を面倒臭がるとこのように仕上げることがある。
事前に魔力充填している証として、その石は微かに内側よりわずかな光を放っているように見えよう。
如何なる用途の品かを、簡単に説明する。気休めだが、ないよりはいい。
死地に喜んで飛び込む類の者には無駄だが、堅実を地で行きそうな彼女ならば丁度良いだろう。
要らぬ不幸でふっと消える生命とするには、いささか惜しい。

「おっと、すまないね。
 有難く頂戴するよ。此の手のナイフは幾らあっても足りないものだ」

受け取る投げナイフをしげしげと検分し、取り出す手拭きの布で包んでポケットに納めよう。
このバランスなら、ちょっとした作業用にも良いだろう。
宿に戻ったら、魔力付与を施しておこう。そう心に決めて。

エルツ > 「うん、店のみんなで使おうかなって。打ち身はボク用なんだけど。
えっとね、このギルドのある通りを南に歩いて最初の十字路を左に行くと、ロバートの店って看板が見えるんだ。雑貨屋と食堂が一緒になってるトコなんだけど。そこにお願いできる?」

(指定するのは馴染みの店。手荒れの軟膏はこの店の人向けのものだし、自分の安宿は人を招くには狭い。だったら、最初から店に招いて納品と交流を深める交流を一緒にしてしまおう。ついでに、お店にも利益が入る一石三鳥のアイデア)

「身代わりになるんだ…これ、ほんとに貰っていいの?あ、返さないけどね!」

(こんないいもの返すわけがない。石こそ原石のままだが効果は抜群。冒険者をやっていれば致死同然の痛打なんてよくあることだ。防げるアイテムがあるなら手放さない。今はポケットにしまい込んだそれは、革紐と針金を使ってネックレスへと加工してしまおう)

「マティアスさんは剣も使うみたいだけど。用心はしたほうがいいでしょ?」

(流石に寝込みを襲われるような事は稀としても、遺跡に入れば探索中に武器を手放さざる得ない事とか、町中でも物騒な場所に潜り込むことだってあるだろう。そんな時、ちゃちなナイフでもないより有った方がいい。
尤も、盾にブーツにと何本も隠しナイフを持つ少女は、やりすぎと言えなくもないが)

マティアス > 「であれば、量は多い方が良いだろうね。
 その道順だと、確か……あそこかな。日を改めて、近いうちにお伺させていただくとしよう」

使い込んだ風情が見える手帳を取り出し、細い黒鉛の石筆で備忘録として用事を書き込んでおく。
相手がいう道順は、覚えがある。恐らく、あの店であろうという算段をつける。
あとは、予め材料の用意だけお願いしておくよ、と言い添えて。

「勿論だとも。遠慮なく貰ってくれると僕も有難い。
 この品は沢山持っていると、危ない一発を貰ってしまったら全部纏めて砕けるものでね」

実は、こういう事情もある。口元を皮肉げに歪めては大袈裟に肩を竦めてみせよう。
身代わりの品を沢山持っていれば、大丈夫ということにはならない。
致死に至る因果を誘導して、魔力を込めた品の自壊という事象に置き換えているのだ。
数だけ持っていても、それらは同時に有事に作動してしまう。

「その通りだね。備えはとても大事だ。

 ――さて、僕は少し出歩くよ。そのうちにまたお会いしよう、将来有望なお嬢様」

もちろん、と。貰ったナイフを収めた辺りを軽く叩いて、窓の外の様子を確かめる。
そろそろ食事等も考えておきたい頃合いだ。
では、と。自分なりに小洒落たセリフとともに小さく一礼をし、ローブのフードを被り直して踵を返す。
とりあえず、近場の食事処でも見て回ろうか。そう考えながら、ギルドの外へ――。

エルツ > 「材料なんかの都合もあるだろうけど、大量に定期購入可能だと嬉しいかな。今回はお試しってことで…
あの店はボクの庭だからね。お得でおいしいメニューも教えるよ」

(事実、店の紐付きとも言える身。護衛や荷運びなどの依頼も店のものを優先して受けるようにしているので、かなり融通が利くのである。お守りに関しては思わず納得した。同じ効果なのだから砕けるタイミングも同じなのかと…ストック出来ないならいくつ持っていても同じだろう)

「事故は起きるものだから、せめて準備は万端にってね。ギルドで最初の依頼を受けたとき言われた言葉。
うん、またね?マティアス」

(気が付いたら結構話し込んでいた様子。先に踵を返した彼を見送ってから、自分もどこかに入ろうか…それとも、安宿のキッチンスペースで自炊か…市場通りをふらつきながら決めることにして)

ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」からマティアスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/冒険者ギルド」からエルツさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にリトさんが現れました。
リト > 今日もまた暇を持て余して抜け出してきた城。
いつものこととなった平民地区でのブラつきの中途、何やら細い路地道に迷い込んだ。

両脇に立ち並ぶ塀を興味深く見上げながら暫し歩いていると、大したものも置かれていない小さな広場に出る。
その隅に置かれた古びた長椅子に座り、歩き疲れの休憩をしていた。

リト > 「………あ」

ふと、気の抜けた声がぽろっとこぼれ出る。最近部屋の掃除をサボっていたことに今更気づき、今度はどうしようかと考える間。
以前、友人と交わした約束は覚えているものの――面倒臭いことには変わりない。

専属メイドの問題までもが顔を覗かせてきた。
それさえいれば苦労をかけずに済むのに…と、サボる気満々の頭でひとしきり考える。