2016/11/30 のログ
シャルレ > 「じゃあ今度、スヴェンのお部屋に届けるね、この前はね
 ローストビーフのサンドイッチ作ってくれた」

切れ端や、残ったとこを混ぜたサンドイッチ、まかないで食べたもので最近のおいしいものを思い出して
ニコニコ笑いながら夜景に指さしてる時間も楽しくて

誰もいない公園で彼と楽しく過ごせるのが嬉しくて、はしゃいでると
夜風が吹いたのにブルブルと身震いして肩をすくめて
やっぱり本質は猫、寒いのは苦手、と…
隣の彼にこっそり体をよせて、くっつこうかと

「寒い…でも、耳ぺったんこでいるのも、窮屈なんだもん」

覆うもののない白い耳はクルクル回りながらピンと三角にたつたまま

スヴェン > ローストビーフのサンドイッチ…
数日前、自分が部屋で食事も取れずに部屋に篭りきりだった日の食事がローストビーフだった事を思い出す
自分が部下がこっそり差し入れてくれた焼き菓子を食べながら書類と向かい合って計算やら署名やらに
てんてこ舞いだったことを思い出せば、お願いします、と妙に丁寧な口調で彼女にお願いして

夜風が吹き抜けて肩を震わせる彼女をみれば、やっぱり寒いんじゃないか、と苦笑する
耳が窮屈、という感覚はちょっと判らなかったが、彼女がそういうのだからそうなのであろう
彼女が身体を寄せてくれば、仕方ないな、と苦笑を浮かべつつコートを脱いで肩に掛けてやり

「これでちょっとはマシだろ?」

と、笑いながらくしゃくしゃ、と頭を撫でようと腕を伸ばした

シャルレ > 「わかった、お仕事しながらでも食べれるものがいいね」

彼に頼まれごとをされるのが嬉しい
何を差し入れようかと考えるのも楽しくなってきた

「あ…でも、これじゃスヴェンが寒くない?風邪しちゃう」

肩にかけられるコート、厚い生地で寒気は感じなくなるけど
かわりに彼の体を心配するように頭を撫でられながら見上げて

スヴェン > 「そうだな…あ、人参は退けておいてくれ。好きじゃない」

思い出したように自分のあまり好きではないものは外すようにも頼んでおく
生はまだしも、火が入ったものは昔からあまり好きではない

「寒いよ…でも、こういう時はこうするのが正解なんだよ」

こうするとモテるんだ、とも続けて笑ってみせる
くしゃり、と彼女の頭を撫でていれば不意に吹き抜けた夜風にくしゃみが溢れて、すん、と鼻を鳴らす
しばらく我慢する様子でいたが、堪え性がないのか、よほど寒さに弱いのか…ええい、と声にして
コートごと、彼女を抱き上げれば自分の腿と腿の開けた間に彼女を座らせようと腕を伸ばす
彼女が抵抗しなければ、背後から軽く彼女の背中を引き寄せてくっつこうとする筈で

シャルレ > 「人参嫌い?わかった」

1つ1つ彼のことを知るのが楽しい
既に、厨房の人たちなら彼の好みは知ってそうだから
帰ったら相談してみよう

「でも……ほらぁ」

心配そうに見てたけど、くしゃみをする様子に
オロオロして心配になる
とその瞬間に抱き上げられて脚の間に座り背後から抱きしめられる
びっくりして顔を赤く照れてしまうけど、彼の体温を心配し
腕の中でモゾモゾ動き、一度、立ち上がればさきほどかけてくれたコートを
彼の肩にかけて返す、それから脚の間に戻り腕を目の前に回すように持ってきて

「これなら、暖かいね」

後ろから抱きしめられてると包まれるような暖かさにも幸せをかんじて

スヴェン > オロオロする彼女の様子を眺めるのは新鮮だった
夜の貧民街で一晩明かそうとする程、肝が座っているように思っていた彼女が、
自分のくしゃみ一つでオロオロしている様子を眼の前にすれば笑い声が自然と溢れる

腕の中で身動ぎされれば暖かいが擽ったく
自分の着ていたコートを彼女が肩に掛けてくれれば、格好がつかないな、と思いながら
彼女のお腹のあたりに腕を回して、彼女を胸板に寄りかからせるように軽く引いてやる

「格好はつかないけどな…この際だから、見栄より実利を取るか…実に傭兵らしいな」

自分に言い聞かすようにそんなふうに告げれば、身長差もあり、眼の前にある彼女の耳をこしょ、と擽る
なんとなく格好が付かなかったことを誤魔化すようなそんな雰囲気であった

シャルレ > 「だってスヴェンが風邪ひいて、寝込んじゃったら
 皆大騒ぎしそう、いろんなの持ち込んだり」

しばらくお世話になってる隊舎の様子
彼の身の回りのことも、よく見てたからなんとなく想像がついて楽しげに笑う

すっぽり収まると楽しくて
お腹のとこにある手に手を重ねて
背中がぴったりとくっついて体温が伝わり暖かくて

「うん、そのほうがいーね…んにゃぅ…」

猫耳をくすぐられれば、ピクンピクンと耳が、くすぐったそうに反応して動く

スヴェン > 「それなあ…ミレーの連中が妙な薬持ってきたりな…」

覚えがあるらしくぞわり、と肌を震わせた
希少なものを煎じた薬湯、と言っていたが一体あれは何だったのだろうか?
この世のものとは思えない色と匂いをしていたので、思い出したくない…恐ろしい
カタカタと寒さとは別の事に震えるが、腕の中の彼女は楽しげである
部隊の誰かが風邪を引いたら彼女もきっと笑ってはいられないだろうと思う…が、黙っておこう

「そういうことにしておこう…」

こくこく、と頷きつつもこしょこしょと彼女の耳を擽る
これだけ擽ってやれば、もう窮屈に思うこともないだろう、と思う…決して、反応が楽しいわけではなく、
窮屈な思いをしただろうから、という労いの気持ちでやっているのだ…と彼女が嫌がった際には
建前を振りかさず用意を整えつつ、思う様、満足するまで彼女の耳を擽った

シャルレ > 「じゃ私もイロイロもっていく!いつ風邪ひいてもいいよ?」

彼の部屋が、ごちゃっとする想像をして楽しむ
何を持ち込もうか考えながら
風邪をひいてたとしても、傍にいたくなりそうで

「んにゃぁ…ううーにゅうん」

耳がくすぐったくて、モゾモゾ腕に捕まるその囲いの中で
じわじわ身じろいで、耳をくすぐるものから逃げようともがいたり
その反応が彼を楽しませてることなんて、気づくこともなく

スヴェン > 「身体を心配してくれるのか…それとも、風邪をひいてほしいのか…」

むむ、と楽しげな声音に苦笑が浮かぶ
とはいえ、律儀で好奇心旺盛な彼女の事である。身体を心配してくれるのも本心だろうし、
風邪を引いたらあれやこれやしたい、というのもまた本心なんだろうと思う…そうだよな?

「シャル、猫語になってる…いや、猫語なのかはわからんけど…」

さわさわ、こしょり
腕の中で彼女は此方の思うがまま、身動ぎしたり逃げ出そうとしたりするが、そうはさせまい、と耳に触れる
しばらく彼女をくすぐり、満足すれば一仕事やり終えた表情で吐息を零し

「…愉しかったわ」

と、彼女に聞こえたかどうかは定かではないのだが、小さく零せばぽんぽん、と軽く頭を撫で
ようやく腕を引っ込めた

シャルレ > 「どっちもだよ、看病してみたいから、スヴェンに何かあったら傍にいるね」

何事もないのがいいのだろうけど、傍で世話を焼きたいらしい

「だってー…んにゃぁ…」

彼の腕の中で逃げ場もなく、くすぐったさに耐えて息もあがる
満足したのか、腕がひっこんだことに耳はペタンと伏せて疲れたとばかりに
暴れてたのからも大人しくなる

モゾモゾして、体を向き合うように変えれば
人の手だからできること
手を伸ばして外気に触れて冷たくなってる耳を両手を丸めて耳カバーのように塞ごうと

スヴェン > 腕の中で擽ったさに耐えて身じろぎしていた彼女が動かなくなれば完全勝利を確信する
ぺたん、と伏せられてしまう耳を見れば、満足感と共に勝利の充実感が胸に湧き上がってきた
何の勝負なのかは、ハッキリしないのだが、あまり深くは考えない

再び彼女がもぞり、と動き出せば、まだやるか?と勝手に二回戦のコングがなったのか、と
臨戦態勢を取ろうとするのだが、どうも様子が違う、と判れば首を傾げながら様子を見守る
彼女が此方を振り向き、耳を塞ごうとすれば、ん?とより不思議そうに彼女に問いかける

「…これはえーっと…?」

彼女のしたいようにさせながら、金色の瞳をじ、と見つめる
あ、睫毛長いのな…とか、どうでも良いことに気がついたりしながら、じっ、と動かぬままでいて

シャルレ > 「仕返ししょうとしたんだけど…耳、冷たそうだったから」

耳あてがないから、その代わりとばかりに
ただ、至近距離で顔を見合わせることになって
少し照れるように赤くなって

「あの…えっと…これなら暖かいかなと思って」

金色の瞳で彼を見上げながらも照れて何度も瞬きをして
後ろでは得意げに尻尾が揺れて、少し役にたってる感の自己満足をしてる

スヴェン > 「ああ……というか、仕返し考えてたのか…そうか…」

じんわりと冷えていた耳が彼女の手の熱で暖かい
照れているのか、彼女が少し赤くなるのを見れば、にやり、とほんの一瞬、悪戯な笑みを浮かべた
素早く彼女の頬へと手を伸ばせば、柔らかそうな頬をふにり、と摘み

「仕返しをしようなんて悪いヤツめ…両手を使えなくしたのが運の尽きだな」

ぴこぴこと動く尻尾に何処と無く、なんとなく感じる彼女の役に立ってるんだ!という満足感
そんなものをしっかりと察することが出来たかは怪しいが、仕返しを考えるような娘には仕置が必要だ、とか
なんとか、怒るではなく愉しげな様子でふにふに、と彼女の頬を思う様、好きなようにする

シャルレ > 「うん…ふぁ…なひふるの」

何するの?と言いたいけど頬を摘まれると、柔らかく伸びて頬が横に広がる
不格好でそのまましゃべるから言葉が伸びたようになって

「いひわる、ひゃめなの」

意地悪だめなのーと、言葉も上手く発語できなくて
その声に眉をよせて、首を振ったりしながら嫌いやをするようにして抵抗

耳を寒さから守ってるのは離さずに、つい爪を立ててしまうようなことになれば
傷つけちゃいそうで我慢しながら

スヴェン > 「お仕置きをしている」

ふにふにと頬を摘んで痛くない程度に引っ張ればどこか気の抜ける彼女の声に愉しげな様子でいる
意地悪じゃないぞ?とか優しげな声音で声音で語って返すが、その間もふにふにと頬を弄っているので
ちっとも説得力はなく……耳の時と、同じように満足するまで一頻り頬のふに感を楽しみ

「ああ…満足、満足。引っ張りすぎたかな…?」

むふー、と満足そうにしながら今度はそっと彼女の頬を撫で、頬のあたりに掛かった白い髪をそっと指先で
梳いてやるようにして

「さて…そろそろ、落ち着いたろうし、冷えるから帰るか…
 帰ったらホットミルク飲ませてやるからな」

くっついていたとは言え、流石に冷えたろうし、散歩という名の逃避に付き合わせもした、その御礼、
ということである……自分は、葡萄酒でも暖めて飲もうか、という腹づもりである

シャルレ > 「うー…」

怒るでも唸るでもないけど、少し拗ねたような声をあげて
頬を撫でられると機嫌も治る…単純なことで

「ホットミルクのむっ!」

大好きな飲み物を用意してくれるという
弾むような声で返事をして、ポンと姿を猫にと戻して…その腕の中に擦り寄る

「にゃーん」

これなら負担も少ないし、暖かいし甘えられるし移動も楽チン
抱かれて戻ろうとして、腕がダメでも肩とかに首巻きのように上るかもしれないけど

スヴェン > はっきりと怒るでもない唸るでもないような声を聞くと、これは拗ねてるな、と笑ってしまう
ほれほれ、とそれを察すれば宥めるように彼女の頬や髪に優しく触れていった

「…よし、それじゃあ帰るか」

一気に機嫌が治ってしまう。それが撫でた事からなのか、ホットミルクでなのか、
はっきりはしないが、彼女にへそを曲げたままでいられるよりはよほど良い
なんせ、食事を差し入れてくれる約束をしているのだ…山のような人参が皿に乗ってきたらどうしてくれる?

「…はいはい、抱っこな…多分だけど」

ぽん、と流石に慣れてきた彼女の変化
白い猫を腕に抱き上げれば、やっぱり背中を撫でるようにしてやり立ち上がり隊舎へ戻っていく……――

…帰宅後、隊舎の門前で待ち構えていた部下に捕まり、再び部屋に幽閉されてしまう
しかし彼女にはしっかりとホットミルクはご馳走されたのであった

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシャルレさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からスヴェンさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区:トゥルネソル商会」にリスさんが現れました。
リス > 「いらっしゃいませ!」

 元気で可愛らしい声が響き渡る。

 様々なものを売っているトゥルネソル商会。
 それは、店員に関しても、奴隷という名の売り物である。
 その中で、唯一の売り物ではない少女は、この店の若き責任者である、リス・トゥルネソル。
 店に入ってきて、思い思いの階に用事を済ませに行く客に、入口のサービスカウンターで微笑みながら来客を迎え入れたり、店員の質問に返答と指示をだしたり。
 合間合間に売上の帳簿をつけたりと、それなりに忙しくパタパタ走り回っている。
 今、少女が仕事をしているのは、一回のサービスカウンター。
 乗合馬車の手配、傭兵の斡旋、武器防具の修理等など、客の目的はさまざま。
 しかし人の波というのはあるようで取り敢えず、今いる場所は落ち着いて来たので、何か問題が起きていないか、休憩がてら店内の確認をしに行くべきだろう。
 近くの店員の少年奴隷に、別の階に行くから、何か手に負えないことがあったら呼びに来るようにと指示を出し、少女は最後にもう一度、問題が起きていないか、困っているお客様はいないか、一階を眺める。

リス > 困っているお客様は無く、何かしらの問題も起きてはいない模様だ。
 大丈夫だな、と一つうなづいて見せれば、2階へと上がる。

 2階は一般的な物が売られている。
 食料品やロープ、カンテラにロウソク、ポーションetc……。
 皿とかも置いてあるので、一番一般人が多い階層ではないだろうか。
 店内を見渡せば、いろいろな客層が見えるし、そこで店員をしている奴隷達もいる。
 問題は起こっていなさそうだが……ふと、楽しげなカップルを見つける。
 夫婦だろうか、同じカップを手にして楽しそうに話をしている。

「羨ましいわ……。」

 店を任された商人だけど、年頃の女の子でもある。
 ああいう可愛い女の人を組み敷いて、しっぽりと楽しみたいと思う。
 仕事に問題なくて相手がいれば今からでも行く。絶対行く。

 と、思っていても、相手がいないんじゃしょうがないので、仕事に戻るために視線を戻す。
 売れ行きもまずまずであるし、ここは大丈夫かしら、なんて様子を眺める。

 売り買いしてるところも、問題はないし、お客さんが多すぎてさばけないわけでもなさそうだと。

リス > 少女は二階の状態も問題はないし、と3階に移動した。
 3階は一気に人が減る。
 それは仕方の無いことだろうと思う。
 3階の品揃えは基本的に武器や防具などの危険なものである。
 ここは冒険者等、荒事を目的する人が立ち寄る場所であるから。
 この階には、特別に傭兵を雇い護衛をしているのは、扱うものが扱うものだから当然といえよう。
 奴隷たちにも護身術はある程度教えているが、それは無抵抗に殺されないように、最低限でも逃げられるようにとの配慮。
 もしもの時は、傭兵さんに働いてもらうことにしてある。
 だから、この階を護衛してくれる彼らには、この店の最高級品質の装備を使ってもらえるようにしている。
 魔法の武器ではないがどれもこれも一級品だし、うちの店の宣伝にもなろう。
 少女はそんなふうに考えながら、階段を上り切る。

 思った通りに人はあまり多くない。

 まあ、武器防具などはそんなに毎回必要とするものではないだろう。
 うん、と一つ。
 護衛の傭兵や奴隷店員に、問題はないかと確認する。
 在庫とかは把握してるし、ここが問題ある場合は一番騒動になるからわかりきった答えである。
 とりあえず、店長として見回りをすることにする。

 が、武器を見ても面白くはない。
 とりあえず所在無げに場違いな格好の少女が、武器防具の間をウロウロするだけの時間となる。

リス > 最後に4階に移動した。
 3階は暇で暇でたまらなかった。
 商売しているのだからそれではダメだと分かってはいるのだけれども、どうしても、暇という感情は浮かんでしまう。
 はふ、と軽くため息を吐き出してから、最後の階層。
 ここは、服飾を取り扱っている。
 貴金属や宝石も取り扱っている階層で、服も安価なものから高価なものまで。
 だからこそ、警備員のいる3階の上にある。
 飛び降りたらまず助からない、階段で登るしかない4階、その分思いっきり貴金属や宝石が煌びやかに飾られている。

 ぶっちゃけ自分も欲しいしつけたいけど我慢。

「お父様からそれは商売人じゃないからなと、教えをいただいてますしね。」

 年頃の女の子ならこういう宝石や、流行の服を気にするのは当然。
 でも、手に入れるときはちゃんと小遣い貯めて自分で買う。
 基本は直接買付けに行って、マージンなしで買うのだけれども。

 それはそれとして。
 この階は裕福な人が多い。売り物が売りものだから。
 偶にローブ姿の魔法使い的な雰囲気の人が来る。
 なんのために買うのか知らないけど宝石を単体で買う。
 贈り物なのかしらね、なんてそんな感想を。

 まあ、ここも問題はなさそうだ。

「……んー。問題はなさそうですし、あそこに立ち寄って、帰りましょうか。」

 最近良く行く温泉宿を思い出しながら、少女は階段を下りて一階へと向かう。

ご案内:「王都マグメール 平民地区:トゥルネソル商会」にリコシェさんが現れました。
リコシェ > 人気の少ない3階層
まばらに武具を眺める屈強な男達や戦士と思しき人影の中に一つ小さなものがある。

ローブを纏っているため体系等はあまりわからないものの
纏う雰囲気は戦士というより観光客といったほうが似合うようなもの。

「んー…なんだかこうしゅぱーんってかんじでぐっさぁ…っていうのばっかだなぁ…」

擬音の多い呟きと緊迫感の足りない空気を醸し出しながら、けれど自然とその場に溶け込み、彼女がいつ現れたのか誰も気が付いた様子はない。
最も本人はそれに一切気を払うことなく眉を八の字に寄せてナイフホルダーなどを見て回っている。
それはいかにも悩んでいますといった風で、手元には変わった形状のナイフ…くの字に近い形状で輪やピック等がついたツールナイフのようなものに指を通しくるくると回している。
よくみればそれは宝石などが装飾としてあしらわれており、知識のあるものであればそれが非常に高価であろうことがわかるかもしれない。

リス > 1階に向かう最中。
 3階に降りてきたちょうどその時に視界に入った一人のお客様。
 先程上がってきた時には居なかったが、ちょうど上を回っている時に来たのだろう。
 其れよりも、気になるのはじっと武器を見ている様子。
 なにか悩んでいるような感じであることが見て取れた。
 店員の奴隷は気が付いていないのか、視線をそちらに向けてはいない。

 それならば。

 と、少女はレンガの階段を下りて、とことこと、普通にローブ姿の少女に近づいて声をかけることにする。
 無論、戦闘経験皆無なので、気配を隠すとかそういった芸当は一切できないので少女もすぐに気が付けるだろう。

「いらっしゃいませ。
 何か、お探しですか?お困りのことでしたらご相談させていただきますが。」

 満面の笑みを浮かべて近づく少女は。
 ローブ姿の彼女よりも場違い感たっぷりの普通の町娘的な服装。
 視線の先を見て、彼女の手元を眺め。

 ふむ、と心の中で組み立てた思考は。

(いま手元に有るナイフに見合うナイフシースを探しているのかしら?)

 という所。
 とりあえずは、少女の反応を待つことにした。

リコシェ > 「はぃー、いらっしゃいました。
あー、えっと、この子に合うホルダーとかケースを探してて…
こうきゅるーんって感じのがいいんだけど」

近づいてくる様子に実に無警戒に少々ズレた挨拶と共にのんびり返す。
いくら武器を扱う店頭とはいえ抜き身のナイフで手遊びしているということは頭からきれいさっぱり抜けていた。
手元にあるものをつい弄ってしまう性格。半分無意識に近い。
くるくると回しながら声をかけてきた相手の全身にちらっと目を通す。
冷静に相手を観察しながらその様子は微塵も表に浮かばせないのは殆ど職業病。

(荒事好きな人って感じはしないから、店員さんかなぁ?)

とりあえず襲ってこないならおーるおっけー。

リス > 「ご来店、有難うございます。
 それでは、宜しければ、お召のモノを拝見させていただいても?」

 挨拶の言葉には、丁寧にお辞儀をしての謝意を現して。
 彼女の手元でくるくる動いている武器を眺める。
 武器を振り回す客は危険である。
 害意があるわけではなさそうだけれども、無意識だからと誰かが怪我してはならない。
 店員の奴隷だって、大事な大事な売り物なのだから。
 お客様に怪我をされてしまっては本当に大変。

 内心とてもヒヤヒヤ

 それは兎も角。彼女の求めるモノ、有るかどうかもあわせて調べたいので、その抜き身のナイフをよく見せてもらえないかと問いかける。

「既製品で、お気に入りの物がなければ、時間は少しいただきますが専用の入れ物をお作りさせていただくこともできます。
 素材とかのご注文も承れますよ。」

 特殊な武器というのは少ないようで多い。
 一般的な形でない場合のナイフシース、そそれの場合も提案してみせる。

リコシェ > 「はぁぃー。どーぞ?
大きくなって帰っておいでー」

謎の発言と共に自分がくるくると回していたことに気がついて。
器用に其の儘刃へと持ち替えながらあっさりと相手に持ち手を差し出す。
たまにこう言った少し頭の螺子が緩い子爵等がいるがここまでを見ると完全にその類。

けれどその手に持っているものは非常に繊細に装飾が施されており、刃部分に至るまで銀細工が施され、宝石すらあしらわれたようなもの。
けれど護身も兼ねたツールナイフとして、その機能を十全に果たすように頑丈かつ美麗に制作されており、その装飾の裏で機能性を突き詰めた実用を想定された熟練の技による品。
…だからこそその特殊な形状も相まってしっくりくるものが見当たらないのだけれど。

「それって刺繡とかデザインとかも個別でやってもらえるのかな?かな?」

専用の入れ物…プレミア感に溢れていてなんだか素敵な響きだ。
何だかんだ言って珍しいものは好き。
自分だけの物となれば愛着もわくというもの。
少し声を弾ませながらそう尋ねてみた。

リス > 「それでは、拝見いたします。」

 少女は差し出されたナイフを眺め、手袋をポケットから出して穿き、持ち手を受け取る。
 彼女の言葉には、刃物は普通は大きくなりません。
 突っ込みたかったけどぐっと我慢、商人は我慢が命。
 頭緩くても会話ができるならお客様だし、もっとひどいのは、会話にもならない人がいたりするし。
 雄弁は銀、沈黙は金とも言いますから。

「これは、素晴らしい細工ですね。
 刃には銀、持ち手には装飾に宝石……観賞用かと思えば実用性の高いもの。
 ふむ、ふむ。」

 少女も商人の端くれ、鍛冶屋とか、武器だけを扱う商人に比べると知識も経験も劣る。
 けれど、それでも色々なものを見てきた。
 初めて見る形ではあるけれど、実用品という所まではなんとか見抜けたようだ。
 そこで、降りかかる彼女の声。
 視線をナイフから外し、今度は刃の方を掴んで持ち手を相手の方に。
 失礼にならないように両手で差し出した。

「はい、刺繍もデザインも材質も。
 当店でご用意できる物であればすぐご注文はいただけます。
 当店にない素材の場合は、加工できる範囲の品物を、お客様でご用いただければその分のお値段の差し引きもいただけます。
 ただし、残念ながら魔法の道具にするなど、そういうご注文は対応できません、そのあたりはお客様ご自身でお願いいたします。」

 魔法化に関しては、出来る人間がいないで、ご了承くださいと。
 声を弾ませる彼女に、にこやかに返答してみせた。

リコシェ > 「でしょー?おきになんだよ?
恥ずかしがり屋でいざ使おうとすると何処に行ったか分からなくなるのが難点だけど」

ただ仕舞った場所を忘れているともいう。
返されたナイフを受け取ってそのまましまいこむ。
袖口の予備ホルダーに引っ掛けてしまっているのだけれど
相手が何も知識がなければ掌から突然消えたように見えるかもしれない。

「まほー化…ん、それはへーき。
材質は頑丈なものにお任せするね?
前のは取り出すときに引っ掛けて千切っちゃったんだよねぇ
貴方みたいにかわいいデザインだといいなぁ
あ、それからそれから…」

細かく、けれどあまり重要でないものから注文を付けていく。
なんだかんだ実用性は大事で、そもそも足が付かない既製品の方が色々便利だけれど可愛くないのはなんかこう…

「つまんないでしょ?
っと…注文はこんなところー」

注文は以上と漂わせつつそれらと加工費を脳内でざっと計算する。
大体の相場は実は理解していたりするけれど…

「お値段は…こんなものかなぁ?」

間の抜けた表情でそれよりはるかに安い、半額程度を提示してみる。
きょとんと首をかしげ、値段を口にするさまはまさに世間知らず。