2016/10/10 のログ
■砕華 > (だが、まだやることは山のようにあった。
まず、商人組合に顔を出し、正式に店を構えたことを、報告しなければならない。
説明された話だと、登録して上納金を納めれば、様々な利点があるらしい。
シェンヤンでも、似たような規律はあることだし、そのことは苦にはならない。
登録せずに、所謂モグリとして、商人組合に目をつけられでもしたら、せっかく持った店が台無しになってしまう。
準備も整ったことだし、あとで顔を出しにいくとしよう。
次に、今世話になっている、下宿先を引き払わなければならない。
ご飯も美味しかったし、世話をしてくれている老夫婦が、どこか両親にかぶって見えていた。
平民地区の片隅で、宿を経営している老夫婦。)
「……あ、そうだ。いいことを考えた。」
(あの老夫婦と、業務提携というわけではないけれど、定期的に薬を届けるようにしよう。
そして、その見返りに金銭を払ってもらえば、初めての常連、と言う形がとれそうだ。
宿という事から、薬に関しても、最低限常備しているはずだ。
それを、砕華が提供するということにすれば、彼らは薬代を、安くすることも出来る。
うん、我ながらいい事を考えたと、砕華はキモノの裾で、口元を隠して、また笑う)
「さあ、そうと決まれば、まだまだ忙しいね。」
(開店したばかりの店の入り口、其処から砕華は外へ出る。
軽やかなステップをふみながら、まず向かった先は、商人ギルド。
これから、どんな薬屋にしていこうか。
砕華の頭は、そればかりを考えていた。)
ご案内:「王都マグメール 平民地区」から砕華さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 宿屋兼酒場」にディン・タウロスさんが現れました。
■ディン・タウロス > (2階が宿屋になっている酒場。
その酒場のカウンターの隅の方でひっそりと弱めの酒の入った
酒を飲みながら、酒場にいる客を眺めて。
夕方だというのにそこそこの客数で賑わっており、人のことは
言えないものの、早くから飲んでるのが多いなと感想を抱いて)
「でも面白いよな、これだけ人がいるのに顔見知りが誰もいな
いって。街中を歩いててもなかなか出会うことってないし、存
外、広いようで狭くて狭いようで広いもんだな」
退屈そうに酒を飲みながらときどきつまみを摘まんで。
一人酒をつまらなさそうに続けている。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 宿屋兼酒場」にカリーネさんが現れました。
■カリーネ > 【きゃあ!無人かと思ったので…失礼!】
ご案内:「王都マグメール 平民地区 宿屋兼酒場」からカリーネさんが去りました。
■ディン・タウロス > 「ん?何か今…まぁ、いいか」
(今、一瞬酒場の入り口に何か人影が見えて入りかけたのが
見えた気がしたものの、その影が遠ざかれば興味を失った
かのようにグラスを傾けて)
「あんまり飲みすぎても駄目だし、ほどほどで上がらないと
だな…まぁ、あんまり酔っぱらうってことも出来なくなって
るんだけど」
触手達のせいなのか、酔うと言うことがなくなってきている
身体。
色々と便利な代わりに不便も出てきてるなと一人溜息を零す。
■ディン・タウロス > 「さて、と…あんまりここでくだを
まいてても仕方ないな。部屋に戻って寝るか」
カウンターの上に代金を置いて、部屋へ戻る旨を告げて。
部屋へと危なげない足取りで階段を上がり、戻っていった。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 宿屋兼酒場」からディン・タウロスさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 墓地」にリンジーさんが現れました。
■リンジー > 今日が命日だったわけではない。
店に飾っても余る綺麗な花が手に入ったから、
という感傷も何も無い理由ではあったが、当人にとって墓参りは
友達の顔を見に行く感覚だったため、そんな俗っぽい理由で充分だった。
繊細な花弁が傷つかないよう丁重に持ってきた花束を畏友の名が刻まれた墓へと、そっと置く。
その後は屈んだまま、会話は心の中で交わして過ごしていた。
「―――――――……。」
今夜は鳥の声も少なく、この場所だけ切り取られたように静寂で、
呼吸音さえ少し邪魔になるような夜。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 墓地」にフォークさんが現れました。
■フォーク > (どうにも墓参りは感傷的になっていけねえや)
男は小さな花束一つぶら下げて、墓地にやってきた。
墓地の片隅にある、碑銘の無い墓。
それは、今まで戦場で男が殺めてきた者たちの墓だった。
「恨むなよ……とは言わないよ。俺がそっち行ったとき、恨み言でもなんでも聞いてやるからな」
花を墓に供えた後、懐にしまっていた酒を墓にかけた。
「普段、俺も呑めねえようないい酒なんだぜ。これで少しは気を鎮めてくれや」
戦場以外で人を殺めたことはない。だから男には悪びれた気持ちはなかった。
しかし、それと死者を悼む気持ちは別である。
「ん……?」
墓地から去ろうとしたら、墓の前で祈りを捧げている女性を見つけた。
誰の墓を参っているのか、何を想い死者に祈りを捧げているのか。
男はそんなことを考えながら、側で女性の祈りを眺めていた。
■リンジー > 哀願や切望とは違う、穏やかな様子だったことだろう。
しかし場所が場所だけに。時間が時間だけに。
見る者によっては感傷に耽っているようにも見えてしまうのだろうか。
いずれにしても、墓の前で屈んでいた女はふと思い立ったように立ち上がる。
「――――――…あら。」
いつから見られていたのだろう。
やましいことは無いが、やや気恥ずかしげに薄く微笑んで返した。
こんな場所に対する要件は互いにわかりきっていること。
余計な言葉はかけづらく、笑顔の他に交わせるものといえば――――
ぺこり、会釈でも。
■フォーク > 「ああ、こりゃあどうも」
会釈をしたので、こちらも挨拶を返そう。
いつもなら、馴れ馴れしく迫る男ではあるがさすがに場所くらいは弁えている。
「まさかこんな時間に先客がいるとは、思いませんでしたぜ」
夜の墓地ほど人気の無い場所もない。だから墓参りをしていたのだ。
昼間堂々と墓参りをするのは、どこか面はゆく、くすぐったい気持ちになってしまう。
彼女が祈りを捧げていた墓に視線を移す。
「随分と熱心に祈ってましたね。恋人……それとも伴侶かな?」
少し突っ込んだ質問をしてしまった気もする。
■リンジー > 一瞬ぽかんとしてしまったのは、自覚が無かったせいだ。
亡くした恋人に逢いにきたように見えてしまうほど、切々としてしまっていたとは。
そうでないことは、能天気にも見える笑みが一番表している。
「ふふ、そう見えました?
…そうだとしたら、もう少し萎れた顔になっていると思います。
友人です。――――私も、この時間は何方もいらっしゃらないものかと。」
こんな時間に訪れる相手にも、相応の理由があるのだろうかと細めた眸が問い。
小柄な己の視線は、どうしても身長差でかなり上がってしまい、
まるで子供が大人を見上げるような姿勢となってしまう。
■フォーク > 女性の笑みに、一瞬心を奪われる。
なんと朗らかに笑う女性だろう。
濡れた犬のように大きく左右に振れば
「俺、フォーク・ルースって言います!」
夜の墓地に、男の声は実に大きく響いた。あまりによく響いたので
「俺、フォーク・ルースって言います」
身を乗り出して、今度は囁くように自己紹介をした。
どうにもこの男、年齢の割に子供のような所がある。
「この時間、一人で帰るのは危険ですぜ。人の多い所まで同行しましょう」
下心がないとは言えないが、とりあえずの人情である。
ご案内:「王都マグメール 平民地区 墓地」にリンジーさんが現れました。
■リンジー > 静かな夜を切り裂く豪快な声に目をしばたたかせたが、不愉快という意ではなく。
巨漢であって少年のような印象に今にも笑い声を零してしまいそうだ。
彼なら失礼だと怒ったりはしなさそうだが、まだ一言二言交わした仲なのだから
気遣いげに笑い声噛み殺し―――逆効果だったらこれまた申し訳無いのだが。
「………っ、…。リンジーです。」
仄かに震える声で自己紹介を返しつつ、親切な申し出に逡巡する。
確かに見るからに頼り甲斐があるのだが、今少年のようだと感じてしまったせいか
年下に甘える気分になってしまい、申し訳無さが先立つ。
見るからに己よりは年を重ねているとはいえ。
「…よろしいのですか?
フォーク様のご用事はもう済まされました?
とても有難いお申し出なのですけれど、…初対面の方に
護衛をさせてしまうだなんてなんだか…。」
言いながら、新鮮な花を添えられた友人の墓を一撫でして別れの挨拶。
護衛を頼むにしろ遠慮するにしろ、己の要件はもう済んだということで。
■フォーク > 「なーに、俺はもう墓参りは済ませたし、墓は逃げませんし!」
明るく笑いながら声を元の大きさに戻す。そして、自分の分厚い胸板を親指でさし
「なによりあいつらは墓ではなくココにいます。そうでしょ?」
と、ウインクを飛ばした。死者は墓にいるのではない。その死を悼む者の心の中に生きているのだ、と言いたいらしい。
「そうかい、リンジーさん。あ、そう。いい名前だね~」
元来、男も脳天気な方なので女性の肩に手をかけて、墓地を出て行こうとする。
「ところでリンジーさん、お住まいはどちらへ。せっかくだから送ってさしあげましょ」
少しずつ人通りが多くなっていく。それでも簡単に別れるのは惜しいと考えて、
時間を延ばしているのだった。
■リンジー > 「まぁ…随分ロマンチックなことを仰るのですね。
そうですね…ふふ、私は考えたこともありませんでした。
女って意外に現実的でつまらないところがあるんですよ。」
勿論女の代表とは言えないが、この辺りは経験則も込みで。
もしも本当にそう考えられる柔軟さがあれば、死者も生者も救いとなるかもしれない。
哲学的な意味ではないものの、ぼんやりとそう考えながら歩く様子には
肩に置かれた手を嫌がる素振りは見えなかった。
どうやら本当に護衛をしてくれるらしい男性を無下に扱うほど冷たくはない。
申し出より先に己の住居―――この地区の、小さな店舗が並ぶ通りへと
向かってしまっているところは女特有の図々しさを表しているかもしれないが。
まだ数ブロック先、角の建物を指差して。
「あの辺りです。
レストランなんですけど…今夜は流石にもう店仕舞いですから、また今度いらして下さい。
今夜のお礼にサービス致しますよ。
何かお好きな食べ物とかあれば…。
あまり凝ったものは…ちょっと…どうなっても責任持てませんけれど。」
■フォーク > 「それでいいんですよ。女がリアリストじゃないと
男が馬鹿をやれなくなっちまいますから」
帰れる女の胸があるから、男は存分に外で働くことができるのだ。
戦場に出る以外は呆れるほど働かないこの男が言うのはおこがましくはあるが、それはそれで一つの理屈だ。
「ははは、今日はなんだか妙に夜空が眩しいぜ!」
普段よりも街が明るく見える。
これは決していつもより街灯が強くなっているわけではなく、美人と並んで歩いているからに違いない。
気分一つで景色はがらりと変わってしまうのだ。
「強いて言えば、肉ですね。肉ならなんでもいけます。へへへ、この手が作る飯がマズいわけないでしょう」
女性の手をそっと握って、そんなことを言う。男の手はごつくて無骨極まりない。しかし握る力は非常にソフトだった。
「ねえ、リンジーさん。今日はもう店じまいなら、よかったら今から俺と呑みませんか。
なんとなく今夜はそんな気分なんですよ、俺は」
墓参りで少し感傷的になったこともあるが、この人と呑みたいと思ったのだ。
近所の酒場にでも、と誘うのである。
■リンジー > やはり“リアリスト”な女には、彼の言う眩しい夜空が実感できなかった。
そうですね、なんて適当な言葉で合わせて笑むだけだが、それは決して面倒でそうしたわけではない。
豪快な男のあっけらかんと明るい空気を心地良く分けてもらっただけで、
そんなバランスの取り方もまぁ良いのではないかと。
優しく握られる手は性差を表すように華奢で―――指先は冷たかったことだろう。
近頃の夜の散歩は冷える。
淡く紅を引いているからごまかされているが、唇の色も本当は少し薄くなっている。
表情は特別寒さを訴えていないものの。
「イメージで物を申してもいいですか?
フォーク様ならお肉を焼いて、少し塩をかけただけでも喜んで頂けそう。
豪胆そうなお方ですもの。」
道端で、手を取り合ってそんな話を交わす男女は異端だが時折通る人々は気にしていないようだ。
呑気に話しつつ、誘われて視線を外した。考える間を作るために。
「………。私、お酒は出す方ばかりでいいお店には疎くて。
素敵なお店、紹介して下さいます?
それと明日の仕込みは早いので、酔い潰さないで下さいね。」
冗談混じりに。
それでOKが貰えるのなら、案内を頼もうと。