2016/08/19 のログ
リシェラ > 何処に何が在るのかを知るには其処へと入るしかない。
此の時間帯で入れる店と云うのも其れなりに限られている。

(知り得る為には身を投じるのみ、ゆっくりと進めて行くとしよう…何、時間は限り無く在る)

そう考えれば、明かりが灯る場所を探す。
どんな場所で在るかは入ってから考えれば良い。
歩みを進めていき乍、入れそうな店為りを探して左を、右をと顔を巡らせて。
疎らだが無人では無い、そんな事をしていればぶつかるかもしれないから其れなりに注意はしているが。

ソル・グラディウス > 「…飯でも食うかな。ここら辺の特産物ってなん、」

店を見渡している内に前を見るのを怠ったのか、金髪のドレス姿の少女とぶつかってしまう。

「っ、悪い。大丈夫か?」

完全に意識外だったため、動揺しつつぶつかった少女に怪我はないかを問いかける。
それと同時に少女の格好に疑問が生じ、少し目を細める。

リシェラ > 初めて来た場所では無いにせよ、永い年月が経てば初めてと何ら変わりは無い。
自分にとってはそういった環境と為った王都内、確りと前を向いていなければ避けきれぬ時も在る。
お互いに注意力散漫な為か、前からやって来ていた男性に気付けなかった。
体格差も在ってか、ぶつかれば此方は簡単にバランスを崩し地面へと尻餅を着いてしまう。

「痛っ…」

バランスを崩した拍子にか、フードやマントがずれて相手に顔を、服装を晒してしまった様だ。
怪我をする程の衝撃でも無い、立ち上がればポンポンと尻餅を着き汚れたマントを軽く手で叩く。

「何、気にする事はない。此方も不注意だった」

男性に言葉を返し乍、ずれたフードとマントを戻して顔を、服装を隠す。
此方もぶつかってしまった相手は気にするものだろう、どんな相手なのかと顔を向ける。

ソル・グラディウス > 「いやいや…服、汚れてないか?」

少女と視線の高さを合わせ、金色の瞳を向けつつそう問う。
一瞬だがその服装を見逃さず、そしてマントを被っているということを頭に入れて
なんとなくだが少女はその服装を大切にしているという予想を立てる。

「というか…こんな時間になんでほっつき歩いてんだよ?
普通のガキ…じゃ、なさそうだな」

少女の顔を見ようとジーッと視線を離さずに凝視する。

リシェラ > 服は汚れていないのか。答えはNOだ。
目の覚めた部屋に着替えは無く、其の格好の侭でこうして居る。
詰まりは一張羅の状態である。
只、其れを今答えてしまえば、汚れた原因がまるで男性の所為の様に感じるものだろう。

「案ずる事は無い、気にしてはいない」

なので、こう答えた。
今の服装が大切かは覚えていないが、永い眠りに為ると分かって着ていたのならばそうだったのかもしれない。
理由は如何在れ、一着では色々と問題なのだから別の衣服は手に入れなければならないだろうと考えていた。

「こうした夜の闇の下を好んでいる、其れでは駄目か?
其れに関しては其方の想像に任せるとしよう」

此方の身丈を考えれば、子供と思われるのは仕様が無い。
見られて困る訳でも無いのだ、向けられる視線は特に気にした様子は無い。
フードの陰に隠れた顔、逆に此方からも男性へと向けられる視線が分かるだろう。

ソル・グラディウス > 「そうかい。…ま、気をつけな。お前みたいな子供を狙ってレイプする奴は多いからよ。…でもまぁ、お前なら大丈夫か」

服が汚れているか否かの回答と夜に出歩く目的を聞くと
安心しつつ立ち上がり、一応そのように注意を促す。
だがその少女の正体を看破しつつあるのか、最後にそのように付け加える。

「それと、服もな。重要な時以外は出歩く用の普段着も買っておけよ」

彼女に少しアドバイスをした後、フードの上から子ども扱いするかのように頭をわしゃわしゃと撫でる。

リシェラ > 「永き年月が過ぎ去れど、世は変わらず流れ行くもの…か。忠告は在り難く受けておこう」

子供と思う為らば其れで良い、只、付け足された言葉に男性には少なからず力が在るものだと理解する。
成る程、此の地に居るのは普通の人間ばかりではないのだな、と。

「そう思うも中々に出来ない事も在る。
況してや此の地に来たのは昨晩、仕様が無いものとは思えないだろうか?」

其れはつい先程思った事、言葉を交わし乍も男性の手が頭を撫でるが気にはしない。
自分で想像に任せると言ったのだ、子供扱いの行為に文句を言うのも今更だろうと思ったから。

ソル・グラディウス > 「…ほーそいつぁ、何ともまぁ難儀しているな。頑張れよっ」

少女の頭を撫で終えると振り返り応援するように声を掛ける。
そのまま歩き出してその場から去ろうとする。

(久しぶりに見たな。…昨晩か。この街も中々どうしてわからないよな。)

帽子をかぶり直すと、楽しそうに笑って、夜の街へ消えていった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からソル・グラディウスさんが去りました。
リシェラ > 男性の言葉に、無言で頷いて返す。
後は何事も在る訳で無い、男性は語る言葉を語れば、其の侭歩き去って行くからだ。
チラリと一度だけ其の後姿を見、自分も又散歩を再開する。

(面白い出会いと云うものは、偶然の産物。次なる出会いは如何いったものか…期待しよう)

そんな事を考え乍、少女の姿も夜の闇へと消えていき。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からリシェラさんが去りました。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 実験区画」にユリゼンさんが現れました。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 実験区画」にルーミスさんが現れました。
ユリゼン > 好奇心は猫を殺すと人は言う。退屈は人を殺すとも。
いつかどこかで、とある人間が言ったそうだ。退屈と無関心こそが人を殺すのだと。

ならば、仮初の人たる器を得たこの身はまさしく死の危機に瀕しているのではないか。
元より一度は死せる身ゆえに、生に倦むことの恐ろしさには一定の理解を持っているつもりだ。

見ようによっては揺り籠にも棺桶にも見える装置に横たわり、目を見開いたままぼんやりと天井を眺める。
天井の染みのかたちさえ、とうに覚えこんでしまった。
錬金術師どもの牙城の奥深く、人も通わぬ薄暗い部屋にこれまで何度通っただろうか。
必要なことだ、と人間どもは言う。神ならぬ人の築いた肉体ゆえに、定期的な健診を欠かしてはならぬのだと。

だとしても。この時間はひどく退屈なのだ。
蒼白い顔をした錬金術師―――観察係の最後の一人がなにかの記録を書き記し、欠伸をしながら部屋を後にする。
翼としっぽを惨めに丸めて押し込まれたまま、こちらは微動だにもできないというのに。

「…………………。」

今にも壊れそうなか細い指を動かし、不安になるほど肉づきが薄い片腕を持ち上げる。
半透明の蓋に手をつき、力を込めて押しのけてみる。
身体じゅうに取り付けられた金属片をむしりとって上体を起こす。
得体の知れない薬液にまみれたつま先が、モルタルの床面にひたりと降り立つ。

廊下に出てみる。ひっそりと静まりかえって、人間どもの気配はない。
すなわち、最早このユリゼンの行く手をさえぎる者などいないということだ。

ルーミス > いつ来ても、つまらない城だと思う。
一世一代とも言えるプロジェクトの一員として尽力したは良いものの、最近はとんとご無沙汰になっている。
資料を片手に欠伸を零しながら歩いていると、随分と不健康そうな顔色の観察係とすれ違う。
向こうにはあと誰が残っているのか。気配は今のところ、感じないが―――

「…………なんだ?」

前方より物音。ざぶん、と波立つようなそれと、扉を開くようなそれ。
何事が起きたのか。好奇心を秘めながら、突き動かされるように足を運んだ先は。
以前も足を運んだことのある、定期検診の場だった。

ユリゼン > 錬金術師は目にすることだろう。空の器を。
そして、もしかしたら、のんびりと去りゆく龍人の背を。

「…………帰る。わしは帰るぞ!! よかろうな!」

人間どもに断りを入れてやったのではない。
薄明に浮かぶ無数の扉から、人とも獣ともつかない耳障りな鳴き声が返ってきた。

我がことながら、毎度毎度こんなに陰気な穴倉へ律儀に通っていることが信じられない。
誰が好き好んでこんなところに来るだろうか。
ここは人間どもの中でも特に変わったものたちの牙城。
じめっとしていて、黴臭くて、とにかく薄気味の悪い場所なのだ。

もはや一刻の猶予もならぬ。たった今そう決めた。
仄白く柔らかな人の膚から薬液を滴らせ、濡れて輝く黄金のしっぽをゆらめかせて。
ささやかな肌寒さを感じながら、裸足のままひたひたと帰路をたどっていく。
この身はしょせん仮初の器ゆえに、たとえ人目に晒されようと誰に恥じるものでもない。
あの不遜な錬金術師も言っていたではないか。誰に見せても恥ずかしくない仕上がりだと。

角を曲がった先に階段がある。
ふたつのぼって、中庭に出たらそのまま飛んで帰ればよい。
そこまで思い描いたところで、静寂を破って区画じゅうにけたたましい警報が鳴り響いた。

「………………っくしゅん!! 感づかれたかの?」

たくさんの靴音が頭上はるかに入り乱れる。
目当ての階段が地上部で封鎖され、隔壁が降りていく音が聞こえた。
実験区画の出入口はひとつではない。阻めるものならやってみるがいい。
きびすを返して、足早に駆け出していく。

ルーミス > 「――――………」

舌打ちをこぼす。目にしたのは既に空の器、そして広がる薬液と其処から続く足跡だ。
頭をガリガリと掻き、踵を返して振り返ったところで鳴り響く警報。
ついでに頭上から騒がしい、耳障りな靴音が幾つも耳に飛び込んできた。

「あぁ面倒くせェ……」

逃げ出したならばそれは観察係の落ち度、偶然居合わせた自分が関与するところではない。
とはいえ確保したならば教会に恩を売れるだろうとも瞬時に考えて、部屋を飛び出した。

見据えた先、地上に出る階段があった方面。
此方へと駆ける影が一つ。白く柔らかな裸体、揺らめき畝る黄金の尾。
何度か見慣れた姿が迫ってきていた。

「待て、待て待て。お前に逃げられると色々面倒なんだ、私が」

声を張り、前方の龍へ投げかけた。
これで止まるとは思えないが、一応言うだけ言ってみようと。

ユリゼン > 呼び止める声。足をとめずに声の主を見据え、口の端を吊り上げる。
警報を聞いて駆けつけたにしては早すぎる。偶然居合わせた者だろうか。

「はッ。そなたらの都合など知らんのじゃ」
「口を開けばおのれの都合ばかりくどくどと! この身を何と心得ておる、人の子よ」
「―――不敬であろう!!」

小手調べの挨拶代わりに衝撃のブレスを撃ち出す。
埃と紙切れを巻き上げて、行く手を遮る小娘に無色透明の猛威が迫る。
不運にも竜と合間見えてしまっただけの、見ず知らずの小娘だ。元より一片の害意もない。
とはいえ、竜の吐息は重層鎧に身を固めた偉丈夫さえ軽々と吹き飛ばす威力を秘めている。
まともに受けてしまえばひとたまりもないだろう。

やはり遊び相手がいると気合の入りようも違うというもの。
正面きって押し通るつもりでぐんぐんと加速していく。

ルーミス > 撃ち出されたブレスへ、明らさまに顔を顰めてみせた。
重層鎧の兵ですらひとたまりもないブレス。普通ならば必死で避けるところであろう。――普通であれば。


「不敬なァ。……定期検診を抜け出してる分際で、敬意も何もあったものじゃないだろうに」

懐より小ぶりな杖をつまみ出せば、ひょいと上に払うようにして振る。
するとブレスは寸前のところで軌道を変え、瞬く間に己の後方へと飛び去っていった。
受けるとひとたまりもないのであれば受け流す。
あまり力を使わずに対処するには一番の方法であろう。何かと十八番でもある。

「悪いな。おとなしくお縄になってくれ」

竜人の向こうからは、騒ぎを聞きつけた研究者たちが数人、駆けてきている。
いよいよ大事になってきたとばかりニヤつき、通路の真ん中に仁王立ちして両手を広げる。
次にこの龍がどのような行動を取るのか……それが楽しみだった。

ユリゼン > 実験区画全体に微震が走り、そこかしこでぱらぱらと粉塵が降りそそぐ。
この学舎は錬金術師協会が誇る中枢のひとつ。堅牢なつくりゆえに、万が一にも崩落の心配はない。
それだけに、出入りする者たちの技量はピンからキリまでさまざまだ。
この娘、判断が早い。遊び相手として申し分ないということだ。デキると見れば声が弾んで。

「ふふ。どうあっても邪魔立てせずにはおれぬかの?」

前髪が揺れて生じた、糸よりも細い間隙を貫き、わずかな一瞬光が漏れる。
それは生きとし生けるものたちに避けがたい死のさだめを約する、規格外の重圧の淵源。
五臓六腑を血に沈め、たちまちのうちに生命活動を消尽せしめる神代の邪視。
かつて若き地上世界を統べた巨大生物の眼が娘を捉えた―――かの様に見えた。

「……ならば特に許す。伺候せよ」

黄金の翼を広げ、力強く羽ばたいて弾丸のごとき加速を得る。
空気の塊が押し出された反動で、追いすがっていた錬金術師どもが尻餅をつき一斉に転がる。
障害物だらけの通路を矢よりも疾く貫き、黄金の残影を描いて錬金術師の腹まで一気呵成にぶつかっていく。
伺候といえば聞こえはいいが、要は人質のようなもの。地上世界まで一気に連れ去ってしまう魂胆だ。