2016/03/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にリーユエさんが現れました。
リーユエ > この日も、平民地区と呼ばれるこの区間を散策する事に決めていた。
まだ来て日も浅い、覚えなければいけない場所とかも沢山あるのだから。
今日は宿からこちらの方角、と決めて散策を開始する。

さすがは王都というだけあって、施設や商店は多い。
ちょっと覚えるのは大変かもしれないのは困ったもの。
出来れば地図みたいな物があれば便利なのかもしれない。
裏路地の様な明らかに危険な場所は避け、大きな通りをメインにして歩き回る。

リーユエ > 何件目の商店だろう、何を売っているかを見てみると、どうやらここは衣服の類を売っているお店だと分かる。
そこで、ふと自分のドレスへと視線を落とした。
周りと比べると、やっぱりどこか違和感を受けるのかもしれない。
偶に、ちょっとした視線を感じるのはこのドレスの所為だろう。

少しだけ考えると、商店の中へと入っていった。
目的は決まっている、この場所に合わせた服を着る為。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にイニフィさんが現れました。
イニフィ > 「う~~ん、悩むわねぇ。こっちも可愛いし…。」

店内にて。
あれやこれやと服を見定めながらあれでもないこれでもないと目移りしていた。

確かにこの服は気に入っているし、変えの服もいくつもある。
だけれど、だからといってこればかり着ているというのも、それは其れで面白みにはかける。
やっぱり、たまにはおしゃれとかもしたいわよね、というわけでやってきた衣服店。
ただ何とはなしに立ち寄っただけなのだけれども、可愛い服が多くて目移りしていた。
現在はようやく4着まで見初めて、その中でどれにしようか迷っている様子。

リーユエ > 商店内へと入れば、何人かの店員と客人らしい方々。
入店に気付いた店員の一人がやってくるのだけど、大丈夫、と手を軽く上げておいた。
やっぱり最初は自分で決めたい、というのがあったから。

奥へと入っていって改めて見てみるのだけど、色々と種類が多かった。
勿論、同じ衣服でも色合いとかも考えれば、更に数は増える。
一つ一つを手に取って、広げてはどんな衣服でどんな色合いか確かめていく。
好みとしては…あんまり窮屈では無いものだろう。
後はあんまり色合い的に変でなければ、それ以上に拘りはなかった。
それでも、思ったよりも数は多かった。
同じように迷っている客人が何人も居るのを横目に、自分も同じ客人の一人として迷っていた。

イニフィ > 水色のワンピースも捨てがたいし、この季節ならば桃色のポロなんていうのも捨てがたい。
それに合わせたロングスカートとなると割りと限定されようものだが、チェック柄がいい感じ。
ミニスカは…まだ時期じゃないよなぁ、と一人ごちた。
そんな最中、迷っている間にまた客がやってくる。
まあ、確かにそれだけならばあんまり気にはしないのだけれども―――その格好は明らかに特異で。
それなら気になっても仕方がない、だろう。迷っている服をそのままにしておいてもらえるよう店員に頼み。

「珍しい服ね、この地方じゃあんまり見かけないわよ?」

そんな風に、社交辞令のように声をかけた。
いまだに言ったことのない地方の服ともなると、気になるのは仕方がないだろう。
後ろで両手を組み、少し覗き込むような格好でリーユエに近づいた。

リーユエ > 手持ちの衣服はどちらかといえば薄い色合いの物が多い。
あんまり派手なのは目立ち過ぎて好まない。
かといって、地味過ぎるのも色合い的に好まない。
そうなると自然的にそういった物になってしまうのだ。
今、まさに手に取っていた衣服も似たような色合いだった。
そうしていると、ふと横から声が掛かった。
言葉の内容から間違いなく初めての相手だろう。

「…あ、はい。やっぱり目立ちますか?」

どんな相手だろう、と思って顔を向ける。
目に入ったのは自分よりも少しばかり目上の相手っぽいか。
こうして、服装について声を掛けてくる相手は少ない。
それでも、気付く人には気付かれてしまうのは分かってしまう。
困った様な表情を浮かべ、自分のドレスを軽く摘んでみせた。

イニフィ > 衣服店に来るものは意外と、このあたりの人間が多い。
その中でもさすがに、異国の服ともなると少しどころかかなり目立ってしまうだろう。
おまけにドレスのような服装ともなれば目を引くのは仕方がない。
まあ、イニフィ以外のものはどうやら気にも留めていないところを見ると、やはり大きな町の人間はいろいろな人間を見ているのだなと思う。

「うん、目立つわね。……でも、その服もなかなかいいわね。」

等といいつつ、つまんでいるドレスを少しばかり拝見。
色合いは少し薄いけれども、葉で過ぎない。
落ち着いた色合いが少しばかり可愛いなぁ、と思ってしまう。
そういう服装の色もあり、かもしれない。

「さっきも言ったけど、あんまり見ない服装よね。
 貴女、もしかして旅行者か何かなのかしら?だとしたら、私と一緒ね?」

なんて、微笑みながら尋ね、ついでに自分のことも少しだけ触れておこう。

リーユエ > 自分は多分、旅をしている者とはまだまだ違うのだ。
些細な事も目に留まるこの相手の方は、よっぽど衣服に関して詳しい方なのだと思った。
それ以外でこういった事に詳しい人というのを分かっていない。

「…やっぱりそうですか?気に入っているのですが、その目立つのがあんまり宜しくは無いんです」

苦笑を浮かべて、摘んでいたドレスから指を離す。
目立つのは確かに困る、立場的にも、後は気分的にも。
だから、服を決めて変えるようにするのは仕方の無い事。

「…あ、それは多分、北方の物だからでしょう。
後、私はこのマグ・メールに医学を学びに来た医術師でして、残念ながら旅行者では無いのです。
すいません、変に期待をさせてしまった様で」

ちょっと複雑な表情を浮かべ、ペコリと軽く頭を下げた。
同じ旅行者と思って気兼ねなく話してくれたのだろうけれど、その期待に応えれない事に申し訳無さそうに。

イニフィ > まあ、気に入っているのは解る。どこと成しかきれいに整えられているからだ。
自分だって、今着ているこの庶民の町娘のような衣装が気に入っているからこそ、同じ柄の色違いを複数持っているわけだ。
だけれど、目立ちすぎると少し困ってしまうこともやっぱりあるもので。

「ん、そうなの?……へぇ、医学をねぇ…?」

そういえば、其方の方面に関してはあまり知識を伸ばしているわけではなかった。
別に病気をしても医者いらずで直るし、怪我をするような場所へは行かない。
そりゃまあ、傍観に襲われたらそうでもないんだろうけど、幸いそんなことは一度もない。
旅行先やその道中も、危険な場所へはあまり足を踏み入れないようにしているわけだし、あまり医学に関して興味を持つわけでもなかった。

――――性的な医学?それ以上はいけない。

「あ、ううん。いいのよ別に。謝られることじゃないわ。
でも、やっぱりこのあたりの人じゃなかったのね、どのあたりから来たのかしら?」

少しだけ、リーユエのことを眺めた。
顔立ちとかその辺、この地方のものとはどこか違うところでもあるのかな、と。

リーユエ > 「…はい。少しでも色んな国々の医学を学べば、より多くの人々を助けれる、そう思っております。
それ故に、この土地の医学を少しでも学べたらと思いまして」

これは嘘偽りなく、常に考えている事。
様々な術は確かに習得しているけれど、そういった力だけでは人々は助ける事は出来ない。
それはよく理解している事なのだから。

因みに性的な事も知らない訳ではない。
然し、それは生殖行為の上でのもので、ただ快楽を求めるそれとは違うのだけど。

「…そう仰って頂けると安心します。
その、先ほどの衣服の件もあります通り、北方の国より参りました」

両手を胸元に当てて微笑み、ほっとした様子を見せる。
着ているドレスの指摘で既に他国の人間だとは知られている。
下手に隠すと余計に怪しくなると思えば、そこは正直に答えた。

イニフィ > 「ふーん…?じゃあ、今度もし私が病気とかしたりしたら、あなたを頼ればいいかしらね?」

クス、と笑みを浮かべながらそっと背筋を伸ばした。
身長は女の中では高いほうだと自負しているが―――やっぱりこの服だと胸が目立つ。
まあ、このスタイルならばどれを着てもたいてい目立ってしまうので、そこはあきらめていた。

「まあ、旅行者なんて珍しいものじゃないしね?
あ、そういえばまだ名前を言ってなかったわね。私はイニフィ。よろしく?」

フルネームは長いから割愛である。そもそもなんでこんな名前にしたのかとは母親に聴いてほしい。
そう笑いかけながら右手を差し出した。

「北のほう……って、もしかしてシェンヤン?
へぇ、それはちょっと気になるわね…。ね、少し話を聴いてもいい?」

最近、国境が開放されたという話を聴いた。
一度どんな国なのか歴史書をあさってみると、少し堅苦しい印象を受ける。
自由が大好きなイニフィにとって、あの場所は少しばかり居心地が悪くなりそうなので、いくことをためらっていた。
ゆえに、その場所から来たというリーユエの話は、興味が湧くのも仕方がない。
ふわり、と香水のような甘い香りを漂わせながら首をかしげた。

リーユエ > 「…他の医術師の方々も居られるのでしょうが、私で宜しいのでしたら、でしょうか?
別に怪我や病気を為さっておらずとも、定期的に健康を診る様にする事もお勧め致します。
事前に対処出来る事があるならば、対処するに限りますから」

それもあるのだと軽く頷きながらも、その前々からの事も考えて言葉を付け足しておく。
どの様な相手であろうと、体の心配はしておくに限るのだ。

「…そうですね。確かに、どの国にも旅行者の方はいらっしゃるものです。
私はリーユエと申します。宜しくお願い致しますね?」

フルネームを割愛する相手に対し、こちらはフルネームというものが存在しない。
孤児院出の為にそういったものが無いけれど、それを気にした事はない、今までずっとこうだったのだから。
笑みを浮かべて右手を差し出す相手に、応えるように右手を出してそっと握る。
手に触れた瞬間、ほんの一瞬だけどピクリと反応を見せてしまう。
そこから起こる気配は戸惑い、相手は感じ取れただろうか?
握手を交わせば、ゆっくりと右手を離す。

「…あ、はい。その、そうですね。少しだけならば大丈夫ですかと」

右手を胸元へと戻し、なにやらドレスに触れる程度に軽く当てる。
正確には、その中にある何かを少し弄っているような感じだろう。
そうしながら、話し程度ならば特に問題は無いだろうと頷いた。
さすがに国の事を細かく聞かれてしまっては答えれないけれど、一般的に伝わっていたりする事ならば大丈夫。

イニフィ > 「自分の身体は、やっぱり顔見知りのほうが見てもらうときにいいでしょ?
ほら、やっぱり知らない人に体とか触られると恥ずかしいじゃない?」

まあ、それでなくても女医ならば別に構わないのだけれども、それは伏せておいた。
定期的な健康診断は、「まあ、気が向いたらね」とだけ伝えておいた。
あんまり面倒なことは好きじゃないから、というだけなのだが。

「女の一人旅って言うのはなかなかないのかもしれないけどね。
 ん、リーユエね?よろしく。もし病気になったら―――」

ただ、右手を握るだけなのに、一瞬だがリーユエの雰囲気が変わった気がした。
ん?と首を傾げるものの、結局そのまま握手を交すことになれば、そのまま微笑み返す。
ふわふわと甘い香りを漂わせ―――リーユエにある変化、性的な興奮が現れれば、大丈夫だろうと思えるが。

まあ、感がいいならばおそらく気づかれるだろうかもしれない。
そうなったらそうなったで面倒になりそうだけれども―――さて。どっちが先に折れるか。

「ん、其れで構わないわよ。旅行が趣味だからね、やっぱり知らないところは知りたいのよ。
ああ、そんな深く知りたいわけじゃないわ。美味しい食べ物とか、その辺だけでいいのよ。後は観光名所、とか」

何か、胸元に隠しているのだろうか?何かを弄るようなそのしぐさが気にならなかったわけじゃない。
だけど、いちいちそんなことを気にしているような性格でもない。
にこやかに笑みを浮かべながら、少しだけというリーユエに頷いた。

リーユエ > 「…はい、確かにそういった事もありますね。
分かりました、では何かありましたら何時でもいらっしゃって下さい」

そう言われれば、納得出来る理由だと思った。
見知った相手に診て貰うならば、確かに気が楽なものだろう。

「…如何なのでしょう?少し考えてみれば、私も一人旅と同じようなもの、ですので。
ええ、分かっております。私にお任せ下さいませ」

相手が首を傾げたのが分かる、自分がつい意識してしまった瞬間に。
勘付かれた、とは思うのだけど、結局これといった行動は起こしていない。
否、鼻を擽るような甘い香りが感じ取れる。

「…そうでしたか、その程度でしたら私にも答えれるでしょう。
それでは、まずは食べ物の事からですが…」

相手から見れば、何の変化もせずに受け答えをしている感じで問われ、答えてと続けていく。
もし本来は何かの変化があるようならば、効いていないのを知るだろう。
自分の国で相手をした事のある邪なる存在、そういった存在もこの手の類を使う事があった。
胸に隠して弄っていたのは、様々な種類の攻撃から身を守る護符。
まさかこんな白昼堂々と、しかも王都の中でそういった存在と会うなんて思わなかった。
故に手持ちはこの護符を数枚しか今は無い。
これ以外に何か手があれば、間違いなく対応は難しい。
ちょっとぎこちなくなっている笑顔を向けながら、緊張に少し身を硬くしてしまう。

イニフィ > ――――変化が、現れない。
いつもならこの匂い、まあ自分のフェロモンなのだがそれをかげば人間には必ず変化が起きた。
性欲の急上昇、そして意識が朦朧としてくるはずなのだが―――。
然し、それはこの街の中では力を抑えてある。何かしらの防御をされてしまうと手の出しようはない。
こんな場所で防御を破るような、大きな力を使えば確実に店の人間全てを魅了かさせてしまう。
そうなれば確実に摂取過多。後々面倒なことになってしまう。


―――さすがに、今回は諦めざるを得なかった。
くす、を笑みを浮かべるその表情と、「面白い子…」という呟きが、はっきりとリーユエにも聞こえただろう。
ずいぶんとぎこちない笑みを浮かべるようになってしまったリーユエに、普段と変わらない笑みを浮かべながら質問を重ねていく。


その時間は割りとあっという間に過ぎていく。
結局何も変化がなければ、リーユエも自分もそのまま宿に帰るだろう。
ただし―――イニフィの心にはむしろ、愉悦すら浮かんでいた。
面白い子を見つけた―――という。

「これは、しばらくこの町にい続けることになっちゃうわね……。んふふふ………。」

誰にも見られない場所で、淫魔はそうほくそ笑んでいた。
そう簡単に落ちそうにないリーユエをどうしようか。これはしばらく、あの子がお気に入りになりそうだ。

リーユエ > どうやら、そこまで無茶をするような相手では無かった。
何かをしてきていたのだろうが、護符の力で防げる程度のものだった。
緊張の中、少女は時間が終わるまで相手の問いに答え続ける。

結局は普通の会話だけで終わり、別れる形になるだろう。
笑みと共に呟かれる言葉、少女はそれだけには何も答える事が出来なかった。
ただ、なぜこうして普通に会話をするだけで満足してくれないのか。
今すぐにでも力を解いて、ただの冗談だったと伝えてくれればきっと許せれた。
…どうして?
お互いに在り方は違う、それを理解し切るなんてそう出来るものではない。
それでも、そう思わずにはいられなかった。
別れた後、相手の姿が消えるまで見詰め続け、結局は目的の衣服を買えぬまま宿に戻る。

次にもし会ってしまったら、どうすれば良いのだろう?
そんな複雑な思いが暫くは頭を悩ませた。
取り敢えずは、これからは出歩く時は油断しない方が良い。
準備万端とまでは出来ないが、それなりに対応出来る準備はしてから、そう考えて。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からイニフィさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からリーユエさんが去りました。
ご案内:「庶民地区公園」にイニフィさんが現れました。
イニフィ > 宿場地区より少し離れた、庶民地区にある小さな公園のベンチにて。
分厚い書物を手に、少し難しい顔をしているイニフィの姿があった。
本の題名は「シェンヤン・経歴と歴史」という。シェンヤンの歴史やその他もろもろのことが書かれているかなり分厚い本だ。

「…………あ~~~っ!!だめ、もうだめっ!」

かなり長い時間よんでいた成果、肩がこって仕方がない。
右肩に左手を置き、かこんっと言う小気味のいい音が出るまで回しながらため息をついた。
元々読書は得意じゃないし、進んで読みたいと思うようなものでもない。
せいぜい、寝るときに枕代わりにするくらいだ。硬すぎて寝苦しいのも否定しないけど。

イニフィ > そもそもこんな分厚い本を読まなければならないほどに古い歴史があるシェンヤン。
そりゃ、興味は尽きないけれどもちょっと堅苦しすぎていく気にはなれない。
だから、せめて卓上旅行だけでもしておこうかと思い、図書館から借りてきたがいいが。

「そもそも文字が細かいのよっ!あとなによ、全部で4000ページって!」

しかも上巻と下巻セットである。
どれだけ漬け込まれている歴史なんだとか、本を載せている膝がいたいだとか。
目が疲れただとか首がいたいだとか肩がこっただとか、もはや文句しかでてこない。

ご案内:「庶民地区公園」に魔王リュウセンさんが現れました。
魔王リュウセン > 昨日はうっかり貧民街を散策したら 暗殺者と鉢合わせをしてしまった。
結果? 全てを防ぎきれず 触手でチョメチョメされかけたが気合でその場を凌いだ―というか逃げた。
今日は怪しげな場所ではなく、どっちかというと…普通の公園を選んで来てみた。
黒毛の狐耳と狐尾は気分が落ち着いているのか ふわふわふよふよ揺れている。
見た目 ミレー族とか服装的にシェンヤンじゃないかと突っ込まれているが どれも違うと
言っているにも拘らず騎士には職質をされて。シェンヤンとマグメール 今全体何が起きているのか?と疑問が晴れやしない。

「…声が 聞こえる 様な…?あちらから????」

黒毛の狐耳がいやでもイニフィの叫びを捉えてしまっている。
4000ページ。大きい分厚い辞典レベルの鈍器?それを読んでいるのか将又、と ひょこひょことイニフィの方へと近づいていこう。

イニフィ > 「うん、だめ!明日はこの本を図書館に返しましょ。」

もはや鈍器とも言っても過言ではないその分厚い本を旅行カバンの中にしまった。
それだけでも結構な重量なので持つのも一苦労である。
まったく、何でこんなものを借りたのかとつっ込みを入れたくなるが―――。

だが、その表情が突如として一変した。
強大な魔力がこっちに近づいてきている。

これでも淫魔の端くれ(ほとんど人間として毎日過ごしているけど)、魔力には割りと敏感に反応する。
あまりにも大きなその魔力にあたりを見渡しながら、目をあったのは狐のような耳を生やしている女の子であった。
間違いなく、その子を中心に魔力が渦を巻いている気がする。
貴族―――じゃない。もっと上のクラスだと即座に察知した。

「…こんばんわ?どうしたのかしら、迷子さん?」

だけど、リュウセンも魔を名乗るものなら確実に、イニフィが人間ではないと理解できるはず。

魔王リュウセン > 近寄らなくても 音で大体何をやって居るかは分る。
狐耳はいやでも音を拾っている、主にイニフィの声を逐一。
鈍器を図書館に返却するらしい、ゴソゴソとどこかにそれをしまう音まで。

で、魔力を一切合切隠そうともしない 自分では囮と称していた全く忍ぶ気微塵にもない存在たる狐娘は
魔力の渦?いや、全部魔力じゃないんですが、という突っ込みはせず敢て目立って堂々としたまま適当な距離でもって歩みを止め。
魔王とは滅多に名乗らないので 相手に看破されるまでは一応…。

「こ…こんばんはです。…ちょっと散策に通りかかり…ん? 同朋の方?」

彼女 見た目完璧に人の姿をしているのだが 魔王の端くれとしては彼女は魔族では??と思って 
彼女に聞こえるか否かの瀬戸際たる呟きを発してから こてりと首を傾げて訪ねよう。

イニフィ > (あ、やばいすっごいかわいい)

心の中の声であった。
確かに自分よりも多分いろいろと強そうな感じなのは間違いない。
けれども、首を傾げたり狐耳が生えてるみみとか、いろいろともふもふしたい衝動に駆られてしまう。
うん、でも多分それしたら怒られるかなーとか思いながらも、衝動に正直なイニフィは耳に手を伸ばそうとしていた。

「……え?ああ、うん。…ま、さすがに解っちゃうわよね。」

いくら完璧にカモフラージュできたとしても、同属には簡単に見破られてしまう。
軽く頭を掻きながら、苦笑した。

「ええ、察しの通りよ。…でも、さすがにお譲ちゃんみたいな強い力はないと思うけどね。」

一応貴族種よ、と軽く名乗っておいた。

魔王リュウセン > (心の声は 残念ながら読めない。聞こえない 察せない。)
が、感情よりも豊かであろう狐耳と狐尾は揃って同じ方向にー小首を傾げた際に垂れた。
傾げた首を元に戻すとひょこひょこっと耳は立ち尻尾はふわりふわりと各々の尾が揺れたりふりふりしたり勝手気まま。
昼間は歩くとほぼ子供に吶喊され尻尾をもふられ放題だが、追い払いもせずにされるが侭が多い。
耳は………彼女の手つきが 何か、と 一歩後ろに下がって避けようと。

「でも そこまで完璧さは 中々居られませんので 流石です。」

何が凄まじいか。微かに魔の香りはするが、それ以外は服装や振る舞いがほぼ人の姿そのものだ。
直感というか 僅かな違和感で見破ったとはいえ、その素晴らしさに喝采、は送ろう。小さな拍手を。

「ただの …魔王です。強いでしょうか…子供にモフモフされ放題ですのに。貴族の方でしたか、…もしや 淫魔の方でしょうか?」

彼女は 貴族種のようだ、ただの魔族でもあるまいと思ってはいたが。
魔の香りは どうも サキュバス…系を捉えている気がするので 疑問を孕んだ聞き方を続けて。

イニフィ > 避けられてしまった。だけどいちいちひょこひょこ動く耳や、ふさふさの毛がすごく可愛くて仕方がない。
これ絶対もふもふしたら気持ちいいだろうなあ、とか思いながら一歩下がったリュウセンへと一歩近づきもう一回手を伸ばした。

「まあ、いろいろとね。食事とかするのに便利なのよ。…あ、耳は触られるのいや?」

出来れば触らせてほしいと手つきの説明をしつつ。
元々、よほど魔力が高くない限り悟られないまでに押さえ込むことの出来る技術と、
後は人間に近い体つきをしているので、ちょちょっと手を加えればほぼ人間になることが出来る。
そもそも何故この人間界にいるのかは―――聴かれなければ答えるつもりはない。
なんだか拍手されてしまったので、苦笑しながら頬を掻いた。

「ああ、なるほど。其れで威圧感を感じちゃったのね…。家柄、そういうのには割りと敏感なのよね。
あ、私はイニフィ。フルネームは割愛させてもらうけど、よろしくね、魔王様?」

王族種という事は、イニフィよりもワンランク上の種族という事になる。
子供にもふもふされまくりという事は自分もしていいのかな、とちょっと手をわきわきさせながら目を光らせる。
だってもふもふだもん、抱き枕にしたら絶対気持ちいい。

「ええ、純粋種のサキュバスよ。…あ、でも内緒にしてね?」

そうじゃないといろいろと面倒だから、と。

魔王リュウセン > いや、子供なら 別にもふもふされるのは嫌でもないのだ。
いやでも目立つ九尾の娘 迷子になったら子供は九尾の所でもふってろが暗黙の掟の様になっているようだ。
暇な日中は日向ぼっこをしているので 集られ易く一種の迷子保護センターと化して居るのは。
ただ 子供はいいのであって 子供ではない彼女が…

「耳とか尻尾とか隠蔽できれば 或いは。便利でしょうね…然し私はどうにも…隠せられないと言…いえ、その」

嫌でもないんですが…耳は敏感な部位だ。尻尾はもふられ放題で慣れているが耳は余り触れられる事を好まない。
魔力も高いがシェンヤンで使い手が多いとされる氣の使い手でもあるので、合計で高くて隠す技能が全くなかったとしては、
人になっているよりミレー族でいた方が、と諦めた節もある。
彼女に対する疑問は 今は利かないでおこう 仮にも初対面だ。礼儀としては二度目以降に会えば聞こうと。

「威圧?出してい無い筈ですが??…引っ込んでませんでしたか。隠すとか下手くそでして…。
貴族種でありながら フルネーム割愛。ああ、では、貴族種として見ずに、
1人の魔族として 1人の人として 貴女を見ましょう。
で、あれば 私は…魔王とは呼ばずに 出来ましたら リュウセンと呼んで頂ければ。」

し、しかたないですね!!もふりたいようなその手つきは、目力は怖いが、そろそろと彼女の座るベンチの空いている方にふわりと座ろう。
距離?至近距離になりましたが。そんだけ近ければ尻尾とかふわふわもこもこの物体が彼女の体に触れたかも知れない。

イニフィ > まあ、見た目からして普通に18歳以上は確定しているので、子供かどうかといわれると明らかに違う。
子供の迷子センターと化しているのはさすがに知る良しもないものの、その尻尾は触られた後がいくつもあるきがする。
まあ、だからこそ自分も別にいいよね、という短絡的な回答ではあるが。

「あー…、その様子からすると獣系統の魔族ってことね。確かに、それは隠すのは結構難しいってよく聴くわね……あ、やっぱりだめ?」

ちょっと残念である。耳は敏感だというのは知っているが、やっぱりひょこひょこうごく耳はどうしてもそそられてしまう。
いや、性的にではなくただ単に愛玩的な意味で。
とはいえ、触られなれていないとあればますますそそられてしまう。思わずちょんっと指先でつついた。

「……あ、毛並み艶々。」

ボソッとそんなことを呟きつつ。

「ああ、敏感なのよ。貴族種だと、やっぱり上垣になっちゃうものなのよ。だからあなたが悪いわけじゃないわ。
ん、そうしてもらえると嬉しいわね、私もあんまり堅苦しくされるより、そっちのが好き。」

じゃ、私もリュウセンと呼ぶことにするわね、と微笑み返した。
隣に座った尻尾――――もといリュウセンの尻尾が不和と足に当たる。
―――少しトリップ的な感じになりつつ、ガシッと両手で尻尾を掴んで遠慮なくもふった。

魔王リュウセン > 18歳以上は残念ながら子供では、ないと狐娘は思っている。
子供の定義をリュウセン並に思案したら、大体15位だろう、と。
いっぱしの自立と行動力と知能が備わった時点でそれは子供でなく大人だと。
尻尾は時折手入れをしているが 昼間はほぼ出歩くと触れられ放題なので―魔法でお手入れふわふわ魔法をかけたとて
自宅に帰ってからの念入りお手入れと比べたら全然。今日は…残念ながらまだ魔法をかけていない。

「妖怪の様な気がしますが。九尾の一族ですので。面倒ですので獣系統の魔族でいいです。 耳は初対面ではちょっとそのう」

耳は初対面でもふられたら 確実にカウンター攻撃出そう。
ひょこひょこ立ったり伏せたり動きは非常に豊かだ。何より尻尾より感度が良過ぎるから 触れられるのは本当に…突っつかれた。

「…ひゃぁん!!…っっ、っ、フー」

唸ってどうする。しかも本気ではないが 頬は羞恥で染まった。
こほんと態と咳をして落ち付こうと…威厳とか全く出ていない。

「喋りは直りませんので その辺は。…まぁ、敢て目立つ様に振る舞っているのもありますが…魔王達の中では一番 下手かも。」

魔王連合という集まりに属している身としては 末端なので一番実力は微妙かも知れないと思っている。
尻尾が彼女の足に当たった 痛くはない筈 ふわふわのもこもこだ。
しかも毛の生え代わりとしても感触は冬毛だからいちばんもこもこだろうと!
もふられている間は九つも尾があるから 触れられていない尾はゆらゆら揺れているー

イニフィ > それは全力で同意しておく。確かに18を超えているともはや子供ではない。
そもそも、15あたりで既に大人の仲間入りを果たしているのも少なくないと思うし、子供の定義って一体どこだろう、と。
まあ、そのあたりは人それぞれなんだろうし、気にしないでおくのが吉なんだろう。
手入れが行き届いているのは解るのだが、なにぶん触られ放題だとやはりもふもふはちょっとかけてしまうのは間違いなかろう。
其れでモ、モふもふの毛並みは十分すぎるほどに温かい。―――もちかえっていいですか。

「うーん、九尾かぁ、ってことはちょっと管轄が違うわね。……あ、すごい反応。」

本当に耳は敏感なんだなと。あんまり威厳のない咳払いを見つつ、その隙をみて耳をちょっと触った。
さっきの反応が可愛かったので仕方がないよね。

ともかく、サキュバスという種族なのでどちらかといえば悪魔とか、西洋を連想する。
リュウエンは九尾、という事は平たく言ってしまえば東洋、ならば少し自分とは勝手が違う。
ので、とりあえず獣系という事で人くくりにしておこう。

「んー、別に魔王種だからって威張る必要はないと思うけどねぇ。私だって、貴族種なんて言われてるけどただ単に好き勝手してるだけだし。」

もふもふの尻尾を抱きかかえながら、揺れている尻尾を眺めた。
うん、全部抱きかかえちゃっていいですか、いいですよねでは抱きかかえます。
両手一杯にリュウセンの尻尾を抱きかかえながら顔でもふもふ。すっごい気持ちいい。

魔王リュウセン > 大体15,6で大人ではないでしょうか?一旦大人の仲間入りをしたのであれば子供には戻れないと思う。
文化の違いはあれど 子供から大人になる際の儀式を受けた時点でそれは子供ではないと感じている。
って、考えたがその辺はもう気にしない方が良くなってきた。
もふもふの魔法この場で使っても…やめよう。周りに水分と熱気が飛び舞う。もちかえってもいいか、という謎の質疑に対しては -断ると!

物理的に 分解できませんし。

「九尾にも金色は別格です。あれは禁色王族の印でしたような…。…耳は 耳は駄目ですっ」

まともに反応した、耳は 耳は ダメなのだ。尻尾はその分 相当もふっても問題はない。もこもこもっふもふにして差し上げよう。

「魔王としては…今 栽培しかしてませんし…戦とか全く手も出さずに。…そのうそろそろ 帰ろうかと思うのですが。」

気付けば 全部のもこもこ尻尾かかえられてしまった。
各々尻尾を動かせられるので 存分に彼女の顔を毛だらけに…して居る様な。生え代わりのシーズン上 どうしようもない。
そしてそろそろ帰らないと、とするりするりと捕獲され状態から、ベンチから立ち上がってみようと―