2016/03/08 のログ
ロスキーリャ > 「ダイエット? はっ、贅沢しやがって」

せせら笑うと腰回りに視線の先を移す。
ふぅん、とどこか納得したように頷いた。

「ありがとよ。
 僕は見ての通り冒険者ってやつで、
 今日は隊商の護衛だったんだけど、魔物や賊には出くわさなくて済んだ。
 荷運びを手伝わされたから、むしろそっちが疲れたよ」

肩を回す仕草。
パトリックのものだった料理を口に運びながらも、
全然足りていないらしくちらちらと厨房のほうを伺う。
とにかく飢えているらしかった。

「おたくは何で稼いでんの?」

大して興味もなさそうに問いかける。

パトリック > そんな言い方するなよ……なんだよぉ…
(獣耳がぺたんと伏せられ、悲しげな表情で答える。
 ロスクはズボンが入らなくなる苦しみをまだ知らないのだろう。
 若者め!とか思ったが、いずれ行く道だろうから特に言わない。)

なるほどね、冒険者か。 年若いといろいろ大変だろうけど…
想定してないことをするのって大変だもんね、おつかれさま。
すいません。 黒パンとハムをお願いします。すぐに出せるでしょう?
じゃあそれで。 ああ、ぼくの仕事は…一応軍人なんだよ、これでも。
(よほどお腹が空いているのだろう、厨房を何度も見つめるロスクを見かねて、
 店員を呼び止める。 パンとハムぐらいならすぐに出せるだろうから、
 彼のためにそれを注文して。)

まあ軍人といっても、情報収集がメインで…
集めた情報をなんかするのは偉い人なんだけどね。
(下っ端だよ、とのんびりした調子で付け加えてから、飲み物を一口。)

ロスキーリャ > へらへらと笑って、伏せられた獣耳をフォークの柄でペシペシと触れる。

「労ってくれるのはいいけど、なんか言うことが微妙におっさん臭いよな。
 軍隊生活ってもっと引き締まるもんだと思ったけど、
 老けて肉付きもだらしなくなるの?」

やだやだと毒づいて、掌をひらひらとさせる。完全に侮っていた。

「あ、ちょっと……」

パトリックが店員を呼び止めて注文を追加すると、さすがにばつが悪そうな顔に。
豚のローストが届くまでにはもうちょっとかかるらしい。
わかりかねる、といった半眼がパトリックをねめつけた。

「別に催促したわけじゃねーし……。餌付けなんてされてやんないぞ。
 じゃあこうやって喋らせてんのも、情報収集の一貫ってわけ?」

おれは別に国家のなんかを揺るがす秘密なんて持ってないけどな、と言い添えて。
パトリックの役職をあまり信じていないのか、口調はからかうようなものだった。

パトリック > なんだよぉ、やめろよぉ…! いいから早くたべなよ…!
軍隊にもいろいろあってね。戦えばいいってもんでもないんだ。
その、色々あったんだよ。女の子になったりとか、そういう事が…
多分腰回りはそれの影響だとは思うんだけど。
あと老けてないし…まだ22歳だし…。
(フォークの持ち手部分で猫耳を叩かれる。悔しい。
 そもそも別に太ったわけじゃないのに。
 この子は完全に自分のことをただの弱い兄ちゃんだと思っている。
 間違いない。 でもなんとかして覆すのは難しい。
 とりあえずごにょごにょ弁明する。多分あの一件のせいで、
 腰がむっちりしてしまったのだ。そうに決まっている。)

いいんだよ、餌付けされてくれなくて。 君みたいなやつは
どんどん食べればいいんだ。 それで二ヶ月くらいして、
食事量が増えてる事に気がついて愕然とすればいいんだよ。
(口調こそ優しいものの、心の中では「ぼくみたいになれ~」と
 祈ったりとかした。 届いたピクルスをフォークでつつきながら、
 自立心が旺盛な…だけれどまだ子供っぽいロスクの反応を見る。)

ロスキーリャ > 「年長者が前途ある若者の足を引っ張るなよ、この老害!」

パトリックの優しげな言葉に秘められた意図に露骨に顔を顰める。
おっさん臭い兄ちゃんが一気に老害までランクアップ(ダウン)した。
とかなんとかやりあっていると黒パンと、それに続いて
ようやく豚のローストの皿が運ばれてくる。

「やっと来た……いただきまーす。
 とにかく(ング……)あんたが苦労してるってのは(モグ……)よくわかったよ。
 女になった(ガツ……)ってのは、陰険な魔族か妖精にでも目をつけられたの?
 あんたそういうのに(モグ……)好かれそうな顔してるもんな(ゴクン)」

ピリ辛のソースで口の周りが汚れるのも構わずに貪りながら、喋る。
ひとごこち付いて、一度フォークとナイフを皿に置く。

「腰回りがどうこうってのもそれ?」

座ったまま椅子を動かして、パトリックの近くに寄る。
実際に肉付きがどうなっているのか、触って確かめようと手を伸ばした。

パトリック > 老害…老害…!? 流石にひどすぎない? ねえ、僕達初対面だよ?
初めましてだよ? もう少しこう…穏やかに触れ合おうよ…!
(瞳に涙を浮かべ、縋るような視線で訴えかける。
 完全に立場は相手のほうが上だ。 悔しい。
 相手にいいようにされている。)

うん…うん…僕だってねものすっごく大変な目にあってるんだよ…
うーん、その、ちょっとこう……手ぇ出しちゃった子がいて、
どうもその子が魔族のお気に入りだったらしいんだよね。
そんで、びゃーって……えっ、そう?それって顔がいいってこと?
(食べながらあの相手の言葉にのんびりした調子で答える。
 好かれそうな顔、という言葉に表情を綻ばせるも、
 多分相手の真意としては”不幸そうな顔”とかだということに気づいた。)

そう、腰回りもたぶんね…ん、っ…!
(相手の手が腰に触れると小さな声を上げる。
 さっと頬に朱がさし、申し訳無さそうな顔で相手を見やった。
 むっちりと肉が実ったその場所は柔らかくて丸く、
 まさに女のそれと同じような質感を相手の手に返すだろう。)

その、食事中なのに変な声上げてごめん…
(どことなく表情が艶っぽくなっていることに気づかれたりしないだろうか。
 少し声が震えているのは、不安のためだ。)

ロスキーリャ > 「ばーか。行きずりの相手だから適当に扱ってんだよ。
 もっと敬いたくなるようなこと言え」

涙ながらの訴えにも白けたような表情は変わらない。
よく今まで無事で生きてこれたな、と思う。
話を聞くにどうやら無事ではないらしいが。

「大変なのはわかったけどそれ同情していい案件か微妙だな……
 顔がいい? なわけねーだろ。どんだけ頭ハッピーなんだよ」

むろん、少年の言葉の意図はパトリックの察したとおりだ。
甲斐性という概念からもっとも遠い位置にいそうなこの青年が
誰かに手を出すなんてことができる、というのがむしろロスキーリャにとっては驚きだった。

「うわ」

手に返ってきた思ったよりも艶めかしい感触、そして嬌声に二重に驚く。
バッと手を離し、まじまじとその掌を見る。
同性と思って、油断があったのかもしれない。

「あ……その、こっちこそ、ごめん」

ばつが悪そうにうつむく。なぜかパトリックの顔を直視できなかった。
ほんとに女みたいな身体だな、とかもごもごと呟く。

パトリック > 敬いたくなるようなこと…… 娼婦譲りのテクがあるから上手だよ、とか…?
(これ敬われるんだろうか。 自分でも疑問だから、とりあえず提示して
 意見を求めたりしたい。 なんだか相手の視線が、バカにしたものから
 同情とか憐憫とかに変わってきた気がする。)

だって、ミレーってこう、発情しちゃうタイミングがあるじゃない。
それでさ、その子困ってたんだよ…だから、助けようって思って…。
顔のことなんてわかってたもん…。
(さっくり言われるとやっぱりちょっと悲しい。 でも自分としては、
 その時はミレーの少年を助けるためにしたのだと訴えて。)

…あの、ロスクくん、その、罵倒してくれてもいいんだよ?
その、尻ばっか太ってるとか、男らしさが欠けてるとか…。
(急にしおらしくなった相手にますます羞恥が煽られる。
 別に罵倒されたいわけじゃないんだけど、いつもの調子を
 取り戻して欲しくて、所在なさ気に手を動かしながら
 相手に言葉を返した。)

ロスキーリャ > 「……それ何のアピールだよ!」

頭をはたく。完全にツッコミ役になってしまっていた。

「あー、そういう。わかるわかる。辛いわ。
 いやでも、それ自分が気持よくなりたいとか
 そういう欲望も結構あったろ……?」

うっかりと口を滑らせてそんなことを言う。
もっと罵って、などと言われると困惑したように目を泳がせる。

「えっ、何? あんたそういう趣味あんの? 僕別にそういうのはさ……」

咳払い。恐る恐るといった調子で再び尻に手を伸ばして掴む。

「……ほんと無駄な肉だよな。い、いやらしい。
 こんだけ柔らかいってことは、さぞかし揉まれてきたんだろ、この女男」

微妙にたどたどしい罵倒を並べる。
何やっているんだろう、と途方に暮れた様子で天井を仰いだ。顔がごまかしようもなく赤い。
唾を飲み込む。

「……ほんとは、女なんじゃねえだろうな」

まじまじと向き直って。

パトリック > ううっ、だって、だってぇ…!
(頭をしばかれると呻くように声を上げる。仕方がなかったのだ。
 でもそんな直接的にツッコミを入れてくれるほど、相手が親しく
 なってくれたのは少し嬉しい。)

勿論ないとは言わないけど…でもつらそうにしてたんだよ…。
まあ、ぼくもこう、発情してるの見て我慢できなくなったんだけど…。
(相手の言葉に小さく頷いた。 だって反論しきれないもの。
 しちゃったのは事実だし…ごにょごにょと歯切れの悪い回答。)

んんっ…! っはっ、はぁ…ご、ごめんね、その…変なこと、お願いして…。
(自分のおねだりに答えて、ロスクくんの手は柔らかな肉をつかむ。
 拙い罵倒が自分の中についた火を注いでいく。 ぎこちなく浮かべる笑顔は、
 頬が朱に染まり、瞳がとろとろと情欲の炎を宿した艶っぽいもので。)

っ… その、確かめてみる…? ううん、確かめてみますか…?
(向き直った相手の一言が、自分を打ちのめす。 ゴクリと息を飲む。
 甘い声色で問いかけ、媚びるような視線を向ける。なんだか身体が暑い。
 目の前の人を愛することを生業としていた頃を思い出してしまう。)
 

ロスキーリャ > 「…………この尻で、男とやったのか?」

揉む手の動きと罵りに示す色っぽい反応を、目を見開いてつぶさに観察する。
紅潮した顔が浮かべる艶やかな笑みに、目をそらしてしまう。
腰に沿わせていた手をそろそろと離し、肩をすくめ、自分の両脚の間で両手を合わせた。
見た目の歳相応な、性的な事柄に不慣れな少年、そのものの仕草。

「……う、うん……確かめてやっても、いい」

そんな期待の篭った様子で言われて、首を横に振れるわけがない、
そう内心で言い訳をする。
心臓が痛いほどにうるさい。

パトリック > 男性とも、女性とも、両方の方ともです…♥
ロスクくんがいうとおり、僕は、女男なのかもしれないですね…?
それならなおさら、女男らしくしないといけないかなって思うんですけど…
(熱のこもった視線を向ける。 少しづつ息が荒くなる。
 相手の手が両足の間に言っているのを見ると、表情がとろけた。)

ありがとうございます、ロスクくん…。
ぼくが男だってこと、いっぱい確かめてくださいね…♥
((相手にそう告げてから、店員を呼ぶ。支払いは全部自分が済ませ、
 ついでに2階の宿代も支払った。)

じゃあ、行きましょうか?
(今にも彼にくちづけ、奉仕したい。だけれど、まだその時ではない。
 必死に自分を押さえつけながら、相手に呼びかける。)

ロスキーリャ > 「あ、うん……」

完全に相手の――発情した様子に、呑まれてしまった。
視線から逃れるように目は逸らしたまま、しかし、逃げることは出来ない。
パトリックに促され、席の立ち際に、豚のローストの残りを
パンに挟んでまるごと食べる。ろくに味がしなかった。

「た、確かめるだけだからな……」

最後の抵抗、とばかりにそう口にする。
それで終わるはずはない、と内心ではわかっていながら。
あの柔肉の感触は、未だに手に焼き付いていた。
そうしておとなしく、パトリックに連れられるままに、一階を後にする……

ご案内:「王都マグメール ”硬い殻亭”」からロスキーリャさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール ”硬い殻亭”」からパトリックさんが去りました。
ご案内:「マグメール商店街」にイニフィさんが現れました。
イニフィ > 宿をチェックアウトして、やってきたのは商店街。
さすがというべきか、人も多くて歩くのもやっと。

右を見れば飲食店が立ち並び、名物と思わしき店が立ち並ぶ。
左を見れば装飾品が数多く立ち並ぶ店どおり。少し値が張るけれどもどれも煌びやかだ。
もう少し進めば、新しい旅行カバンを置いてある衣服屋などもある。
右も左も、ずいぶんと面白そうな店があるし、見ているだけでも飽きない。

「ん~………。さて、どこにしようかしらねぇ…?」

時刻はちょうど昼下がり。
この時間になるとイニフィの腹は何か食べ物をよこせとうるさい。
勿論そのあたりはイニフィもわかっているし、いい時間帯だ。
どこかの店で昼食を取ろうかと歩いているのだが……幾分決められない。
何せどこも美味しそうで目移りしてしまうのだ。

イニフィ > とりあえず気になっている店は3件。
1件目は肉料理が専門らしく、美味しそうな匂いが漂ってくる。
ただし席は満員らしく、少し待たなければ店には入れそうはない。
あいにく空腹は少し限界に達しかけているので、この店はダメだ。

2件目はパスタメインの店で、客の入りはあれど待つ必要はなさそうだ。
メインのナポリタンがずいぶんと具沢山でおなかは膨れそうだし、見た目も悪くはない。
ただ、問題は割りと家族連れがおおくて一人ではいるには敷居が高い。ここも却下だ。

「ん~、必然的にやっぱりここかしらねえ……?」

3件目はサンドイッチの店だ。客の入りは少しまばらである。
抱けど、品を見る限りタマゴサンドからハムチーズ、BLTに少しがっつりとカツサンド。
野菜も豊富にとれそうなものもあるし、なかなか美味しそうだ。
しかも割りと一人ではいっている人も多い故に敷居も低そうと来ている。
必然的に、一人旅のイニフィにはこの店に入るのがよさそうだが…。

「ん~………。」

それでも、迷っていた。

ご案内:「マグメール商店街」にリーゼロッテさんが現れました。
リーゼロッテ > コツコツと足音を響かせながら、少女は彼女が入るか入るまいかと悩んでいたサンドイッチのお店へと向かっていた。
背中には大きめのリュックサックを一つ、ライフルは町中では使わないだろうと、隼の背中に預けているので腰から下げた拳銃が唯一の頼り。
鼻歌交じりに薄茶の髪をふわりと揺らしながら彼女の隣をすり抜けて行くと、店の中へと入っていく。
カウンターへと向かうと、そこの店主と笑顔で雑談を交わしながらリュックサックをカウンターへと降ろし、中身を広げていた。

「お届けの食材…どうでしょうか?」

九頭竜山脈の一部に隠れるように作られたミレー族の畑、そこで採れた良質な野菜の売買の仲介も、組織のお仕事。
そして、講師の仕事が無い時の雑用も少女のお仕事。
どうやら満足いただけたようで、嬉しい言葉が帰り、ありがとうございますと微笑みながらに頭を下げていた。

「…客引きですか?」

何時もなら他の女の子にやってもらうのだとか。
代わりに少しの時間だけでもとお願いされると、組合長にお駄賃もらおうと健かに考えてから承諾し……5分後には、店先で声を張り上げていた。

「美味しいサンドイッチがありますよ~! ぜひどうぞ~!」

イニフィ > 迷いに迷っている最中、別の客かなと傍を通ったリーゼロッテの薄茶色の髪が鼻をくすぐった。
さらっとした髪はやっぱり少し憧れるけど、自分だって負けてないつもりである。
まあ、いつもナプキンで束ねているし、寝るときくらいにしかこれは外さないから自分の髪質なんてどうでもいい。
なにからカウンターで話し込んでいる当たり、運び屋の娘かなにかだろうと踏んだ。
自分には関係ないだろうと思いそのまま再び悩み始めた。

「ん~……。ん~~~……!」

周りを見ても、ほかの飲食店はあまり代わり映えしない。
おまけにこの時間ではどこの店も似たような人ごみでとてもではないが入れそうにはない。
必然的にこの店が一番いいんだろうけども、今日はちょっと融通普段。


「……ねえ、オススメはなにかしら?」

だが、リーゼロッテが客引きを始めて3分後。
その娘にこの見せのオススメを聴いているイニフィの姿があった。
やっぱり空腹には勝てなかったらしい。

リーゼロッテ > 客引きを始めると、女という点で引っかかる男もいれば、迷っていたところの後押しになって店内の賑わいも良くなっていく。
そろそろ店主も満足したかなと思っていたところで、かのzyに声をかけられればそちらへと振り返り。

「オススメですか? そうですねぇ…BLTサンドとかおすすめです、九頭竜山脈の畑で採れた美味しいお野菜を使ってるので、とっても美味しいですよ」

微笑みながらオススメの一品を宣伝していく。
説明の合間に視線が彼女の全体を確かめていく、街でよく見かけるような恰好に旅行かばんの組み合わせから旅人さんかなと思うところ。

「ここには旅行ですか?」

同じティルヒアから来た人かもしれないと思えば、どこか嬉しそうに微笑みながらこちらからも問いかけを一つ。

イニフィ > 見た目が避ければそれに引っかかる男なんて何人もいるだろう。
見た感じ、少し清楚な感じのする少女という感じだし、こんな女の子が客引きしたらお客も集まろうというもの。
店主も満足そうにしているが、むしろほかの客の相手をしていて、こっちは見ていない。

「九頭竜山脈の畑?……あんなところに野菜作ってるところなんかあったかしら…?」

まだ行ったことはない。むしろ治安が悪くていくなとさえ言われている。
まあ、いずれは行くつもりでいる場所だけれども、そんなところで野菜など作れるのだろうか。
少しだけ疑問に思うものの、おそらく作れる環境がどこかにあるのだろうと自己解決した。
余計な詮索はあまり好きじゃない。

「ん、じゃあそれとあとフィッシュフライサンドにしましょうかね。……ん?」

旅行カバンを持っているゆえに、確かに旅行者と思われるのは仕方がない。
旅行かどうか、解きかれたら素直に「そうよ」と答えた。

「気ままな一人旅をしてる根無し草なの。いろんなところに行ってるわ。…貴女は、学生さんかしら?」

にしては、見ない制服だ。まるでどこかの教会に属しているシスターのようにも見える。

リーゼロッテ > 可愛らしいデザインの制服姿で、コロコロと表情が変わる様子は良く言えば天真爛漫だけれど、ようは子供っぽい。
畑について問われると、少しだけ少しだけ視線が泳ぎながらほほ笑みを浮かべていく。

「け、結構ありますよ…? 温泉とか、あるところだと地質もいいですし」

ミレーの集落が知られるわけには行かないので、どことは言わずそれらしい答えを返した。
こちらの店と決めてもらえれば、満面の笑みでありがとうございます とお礼を述べつつ、ぺこりと頭を下げる。
どうぞと店内の席までご案内すると、店主へBLTサンドとフィッシュフライサンドのオーダーの声を飛ばし。景気のいい声で受諾の返事が響く。

「そうでしたか…女性の一人旅って危なくなかったり、しないですか?」

一人で出歩くと、武器を持っていても危ないと心配されることもある身からすると、彼女の安否が気になってしまう。
心配そうに眉をひそめて問いかけると、続く言葉に顎に人差し指を当てながら空を仰ぎ、暫し答えに悩む。

「……学生さん、というよりは、学生さんだったですね。この制服、お仕事で使うのにも便利ですし、可愛いから気に入ってるんです」

飾り羽が付いた茶色のベレー帽と、薄茶のラインと組合の紋章が入った大きめのケープ、少々手の込んだブラウスとベストにスカート。
甘ったるい雰囲気のデザインに満足気な微笑みを浮かべながら答える。

イニフィ > 「ふーん……。山脈に温泉かぁ…。………悪くはないかもしれないわね?」

どうにも何かを隠しているようにも見えるが、まあ余計な詮索はするよりも見に行くほうが早い。
畑があるならばきっとあるのだろうし、探せば見つかるかもしれない。
そういう不確定なものも、ある意味旅の醍醐味のようなものである。

「危ないたびはしないわよ、大体治安の通ってる陸路か馬車で移動するもの」

危ない道はそんなにわたることはない。そもそも馬車ならば護衛も付くから山賊なんかに襲われる心配もない。
本当に危ないと思ったときは護衛を雇ったりもするし、そもそも動かないこともある。
だから、基本的に危険なことは避けてるわよ、と笑みを浮かべながら答えた。
オーダーが飛べば、店長と思わしき恰幅のいい男性がレジより奥へとオーダーを再度飛ばす。
なるほど、手作りなのかと思えば確かに、美味しそうなのも頷けた。

「へぇ~、確かに可愛いものね。お仕事っていう事は、もう働いてるのかしら?」

こういう話はある意味女性の醍醐味、でもあったりする。
くすくすと笑みを浮かべ、香水と思わしき甘い香りの漂う女はオーダーの品物が通るまでしばし立ち話を決めた。
おなか?話してたら空腹は忘れられるくらい話好きである。

リーゼロッテ > 「えぇ…いろんな温泉がありますよ? 仕事場が傍なのでちょくちょくと行ってましたし」

こくこくと頷くと、どうやら畑の話はそれたらしくほっとひと安心するも、また一つボロが出る。
言葉の音は、最近入っていないような言い様だが…それもそのはず、姉に施された爪痕が恥ずかしいので堂々といけなくなったのが目下の悩み。

「なるほど~…ぁ、もし九頭竜山脈の方に行くんでしたら、麓の集落に寄ってください。腕利きのオジサン達が馬車の護衛をしてくれます」

話を聞けば、自分よりも確りとした動きで旅をしているようだった。
危険を避けての旅も出来なくはないんだと思うと、今度遠出をしてみたいなと、子供っぽく安易な欲が少しこみ上げる。
オーダーの声の後、店主が少女にもサンドイッチを出すから食べていけと、彼女と雑談している様子を見やって仕事から開放していく。
お客さんもいいだろう?と、店主が確認するように目配せしていた。

「ふふっ、ありがとうございます。 えっと…先程の九頭竜山脈の麓に戦うお仕事とかを主体にしている組合があるんですけど…そこで武器の講師をしてます。トレーニングがないと、こうして食材運びとかお手伝いとかの雑用もするんです」


店主のお言葉に甘える事にすれば、その間の問いかけに頷きながら甘い香りを吸い込んでいく。
香水かなと香りの正体に気付くことはない。
無警戒故に、それに何か混じっているのであれば、あっさりと体へと浸透させることになるだろう。

イニフィ > 仕事場があの山間の傍だというのにも少し驚いたけれども、その先。
武器を扱う講師をしているというならば、確かにあの山に行くのも頷けた。
然し、意外そうな顔が消えない。何しろこんな華奢な女の子が武器を扱うなど思えなかった。
てっきり、どこかの店でアルバイトでもしているのかと。

「あら、口利きがあるのね。それはありがたいわ、あの辺り結構山賊とかが出るって話があったし、行くのはためらってたのよ。」

いくら温泉があるとか、美味しい野菜の畑があるからといって危険を承知で飛び込んだりはしない。
抱けど、リーゼロッテの言う護衛が付くならば話は別だし、何より口利きがあるならありがたい。
格安にしてくれないかしらとの値段交渉などもしつつ、店長さんの目配せが出た。
どうやらサンドイッチをご馳走してくれる、との内容らしいが、相席でも構わないかとのことだ。

「ああ、私は勿論いいわよ。…ふふっ。話が弾む相手とならいくらでも。」

……などと、甘い香りをリーゼロッテに吸い込ませながら笑みを浮かべる。
この甘い香りは―――人の性欲を急速に煽るフェロモンのようなもの。
むけい買いに吸い込んでしまえば、リーゼロッテの身体には「ある変化」が始まる。
股間の疼き、心拍数の増加。そして何より本能に色欲が入り込んでくる。

「あ、そういえば名前を聞いてないわね。私はイニフィって言うんだけど、貴女は?」

だけど、そんなことはお構いなし。
右手を差し出し、握手を求めながら名を尋ねる。