2015/10/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場『黒猫のあくび亭』」にケイシー(猫)さんが現れました。
ティネ > 『ちょっと、鼠が出たわよ、鼠が!』

女性客が高い声を上げて叫ぶなか、
妖精もどきティネは椅子の脚の陰に隠れていた。

(やべ~)

ここに来る客は勘が鈍い連中ばかりなので暖を取ったり盗み食いをしたりと
わりと重宝していたのだが、今回ばかりは例外がいたらしい。
彼女の視界に収まったのは一瞬のことだったため、
鼠と勘違いされたのは、よかったのか、悪かったのか。

とりあえずテーブルの上から逃げるついでに拝借してきた
干し肉の欠片をかじる。硬い。

ケイシー(猫) > (ネズミ、ね)
昔から城内に忍び込んだ曲者を指して「ネズミ」と呼ぶ。
気づかれ憎いのを良い事に度々食べ物を失敬する妖精はまさしく曲者ではある。
ケイシーは妖精から目をそらし、思わず吹き出しそうになるのをケフンと咳払いで誤魔化す。

「もう!クツシタちゃん、鼠やっつけちゃって!」
女性客がややヒステリックに叫ぶ。クツシタとは、ケイシーのここでの呼び名の一つだ。
前後の足が白いので、そう呼ぶ客も割と居る。

 居心地の良い毛布籠のなかからのそりと立ち上がると、ケイシーはネズミを探すような素振りをしながら居るはずの無いその姿の幻を作り出す。
ティネの隠れた椅子の反対側から幻のネズミが飛び出し、ケイシーは「ナーゴ」と一声上げてそれを追いかけ戸口へと走る。

 とりあえず、殆どの人間の視線はそちらに向いている筈だ。

ティネ > (おや……)

すわ本物の鼠が、と思ったらどうやら幻のようだった。
それを追いかけていった見覚えのある猫。
干し肉をかじってる場合ではないな、とその場にポイと捨てる。
あまりおいしくなかった。

ケイシーへ注意が向いているスキに、そろりそろりと目立たぬよう抜き足差し足……
しなくても、ティネの足音はもともとほとんど誰にも聞こえないが。
ともかく、店の裏手の扉の隙間から抜け出すことは容易かった。

冷たい秋の外気に晒されながら、恩猫の姿を探した。

ケイシー(猫) > ぽい、ペタリ。妖精に見放された干し肉が床の上に寝そべった。
ゲラゲラ笑っている者や、猫の捕物を見ようと窓から身を乗り出す者。
やはり、小さな妖精に気がつく者は居なかったようだ。

 秋も深まり、日が落ちるのが早い。昼の間あんなに明るかった路地も、すっかり暗くなっている。
位中で、黒猫…真っ黒ではないにせよ、あの猫の姿を見つけるのはなかなか難儀そうだ。

 右か、左か。あるいは積み上がった樽の上か。
もしかすればキョロキョロしているうちに、黒い三角帽子がふわりふわりとティネに覆い被さろうとしているのに気がつくかもしれないし、
あるいはそれは矢張り黒い為に、ティネは帽子に気がつかないかもしれない。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場『黒猫のあくび亭』」からケイシー(猫)さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場『黒猫のあくび亭』」にケイシー(少年)さんが現れました。
ティネ > 次はもうちょっと気をつけたほうがいいな、とか、
河岸を変える必要があるのかもしれないな、とか、
ひょっとしてケイシーはもう行っちゃったのかな、とか
ぼんやりと考えながら路地を見渡していたら、
上から黒い何かすっぽりと自分の身体を隠すように被さった。

「ワナ!?」

青天の霹靂、ならぬ暗夜の帽子。
中から持ち上げたり揺らしたりして抜けだそうとするも非力すぎてうまく行かず、
外から見れば怪奇・動く帽子みたいな状態になってしまった。

「だ、出してぇ~」

情けない声が帽子の中に反響した。

ケイシー(少年) > 「おーう、可愛い妖精ちゃんつーかまーえたーっと。」
からかっているような、それでいて素っ気ないような、どことなく聞き覚えのある声がした後、帽子がスーっと持ち上げられる。
黒いブーツ、黒いマント。白いシャツの少年が直ぐ側にしゃがみ込んでいるのが、帽子から開放されていくティネの視界に少しずつ入ってくる。

 帽子を被り直したそばかす顔は、濃灰色の髪。キョロっとティネに向けられたその目は、あの猫の瞳にそっくりだった。

「犬はクー・シー、猫ならケット・シー、ネズミの妖精は何だっけな。
 あれれ、随分とファー・シー(羽妖精)ぽいネズミ妖精だこと」

ティネ > ぽかんと口を開いて。

「……ケイシーなの?」

その事実をわりとすんなりと理解した。
ついこの間、同じように猫に化けたミレーと出会っていたからだ。

「つかまえられちゃいましたー、……っと。
 えっと……さっきはありがとね、またお世話になっちゃった」

羽根を広げ、目線の高さまでふわりと浮き上がる。
ちょっと恥ずかしくなって視線をそむけてしまったが、礼は素直に告げておいた。

ケイシー(少年) > 「おう、よ。なんてこたねぇさ。
 にしてもアレだな、ほっとんど誰も気づかないとか、ここの連中も勘が鈍いよなぁ。
まぁ、身の危険を察知する方に比重が行ってんだろうけどさ。」
 あるいは、気がつきつつも敢えて取り合わない事にしている者も居るのかもしれない。

「腹、減ってんのか?ポケットにでも潜り込んで、もっぺん入るか?
オレっちもちょっと小腹空いちまってさ」

 片方の手はシャツの胸ポケットを広げて見せ、もう片方の手でクイ、クイっと今出てきた黒猫のあくび亭を指す。

「オレっちの店の方が誰も居なくて見つかる心配は無いだろうけど、喰うモンの買い置きも無ぇからなぁ…」

ティネ > 「見つからないのはいいんだけど、
 新たな出会いとかはあんまり起こらないな。
 信仰心が低いと妖精は見えにくいって言うしね……。
 ……あれ? 高いと見えにくいんだっけ?」

まあ、どっちでもいいか、と結論づけ。

「え、いいの? おじゃましまーす」
ケイシーに誘われれば喜々としてポケットへと身体を滑りこませた。

「ボクも猫に変身できたら堂々とご飯たかれたんだけどなー。
 ケイシーの店? ……魔法使いだから、魔法のアイテムでも売ってるの?」

ポケットの中から、黒の三角帽に視線をやって。

ケイシー(少年) > 「お前さー、ちょっとは警戒しろよー。
 俺が親切なフリしてちっちゃな妖精にヘンな事するアブナイやつだったらどうすんだよ。」
 ティネをポケットに向かえ入れると、マントの衿元を正して念の為に見え辛くする。

「猫な、さぞかし可愛らしい猫になるだろうよ。
 まあ妙な道具だの、薬だのな。滅多と開けねぇけど。」

 しれっと酒場に入り込み、カウンターの端の席に陣取ってホットミルクだの、サラダだのと適当な物を幾つか注文する。
カップやパン籠でちょっとした囲いを作り、カウンターの中に居る店主から死角を作った。

ティネ > 「キミはそういうことしない人でしょ。
 ……する人なの? それとも」

呆れたようなケイシーの言葉にも、あっけらかんとそう返す。
まるでそうであっても構わないというようだった。

「ふーん? 変なお店。
 じゃあ、もしお金が持てたらお客さんになるから店開いてよ」

店主や他の客から見えないように気を使いながらポケットから身を乗り出す。
たべさせてー、とばかりに乞うような視線を送った。

ケイシー(少年) > 「さーてね、どうだか。男なんざ大かれ少なかれみんな助兵衛だよ。」
 パンにクリームチーズを乗せたり、ハムや何やを乗せたりしては少しずつ胸元に。

 店内は賑やかになって来て、とくにこちらを気にする者も居ない。
店主が時折こちらをチラリと見たり声をかけたりはするものの、何事かと怪しんでいる風ではなかった。
「店はまぁ、気が向いたらな。なんか、欲しいモンでも有るのか?」

ティネ > 「へー、そうなんだー、ケイシーもえっちなんだー」

どこか愉快げに、ポケットの中から、脚でケイシーの胸を小突いた。
ニコニコと上機嫌な表情で、運ばれたパンを啄むようにして食べていく。

「いやー、単にどんな感じのお店なのか興味あったってだけだけど。
 しいて言うなら、大きくなったり、変身できたりする魔法が使えるようなのがいいなー」

そんなことをのんきな口調で言った。

ケイシー(少年) > 「そらそうだわ。みなそれぞれエッチなの。
 そういうのの方向性が色々違うだけでさ」

 食べ物をティネにあたえつつ、自分の口に運ぶのも怠らない。小腹が空いていたというのは嘘ではなかったようだ。

 「大きくなったり、変身出来たりか。…無くは無ぇけどな。お前にはちょっ…と、無理かも知らん」
 ちらり、胸元に視線を寄越す。別段、意地悪でそう言っている表情ではなさそうだが…

ティネ > 「えっ」

冷水を浴びせられたような表情。
掴んでいたパンの欠片は手から離れて、はるか下へと落ちていった。

「……な、なんで?」

へら、とした笑顔を作って、それだけを尋ねる。
見上げる視線は縋るようなものだった。

ケイシー(少年) > 「…なぁ、おい。それ、あれだろ。人間にちょっと憧れて、って顏じゃねえな。
 とりあえず無理かもしらんっつたのはな、魔法の煙管だ。さすがにお前にゃデカすぎるわ、背負えなくはないだろうけど。」

 チーズをハムとレタスで巻いてかじり付き、咀嚼。

「それに、それ吸って変身出来る姿ってのがクラウドジャイアントだからな。
 雲巨人になりたい訳じゃねぇんだろ?…」

 残りも口のなかに放り込み。もぐもぐと咀嚼する。

「もしかすると、ここじゃなくて店で話聞いた方が良かったかもだな?」

ティネ > 「……な、な~んだそういうことか~!
 ビックリさせないでよも~、アッハハ」

破顔して、必要以上に大きい声でそう言った。
周囲の客がちら、と二人へと視線を向けて、気のせいか、と戻した。

「……別に、なんでもないから。
 ちょっと、大きい姿が羨ましくなっただけだから。
 深く考えないで」

温もりを求めるように、身体を引っ込めて、胸ポケットの奥へと潜り込んでしまう。

ケイシー(少年) > 周囲の幾人かがこちらを伺ったのを見て、肩を竦めて暫く黙る。
自分たちへの興味が別に向いて暫くしてから口を開いた。

「だといいんだけどな。がっかりさせちまったんじゃ無いか?」

 初めて出会った時、この妖精はさほど元気満点といった感じではなかった。
今のこの振るまいも、どちらかといえば空元気的な何かにも思える。

 とは云え、あまり突っ込んであれこれ聞き出すのも野暮なのかもしれない。
ケイシーは手のひらで、ポケットごしにそっと妖精を包み込んだ。

 もし、呪いか何かで困っているんだったら…
いや、実際にそうなのだとしたら、自分ではどうにも出来ない類の物だってある。
場合によっては、迂闊に口に出して相談出来ないような事も。

 ケイシーはティネにかける言葉をあれこれ探していたが、特になにかを思いつく事もなく、
そっと妖精を手で包み込む事しか出来ないでいた。

ティネ > 「…………そんなことは」

そんなことはない、そう言いかけて布越しに触れる感触に、息を詰まらせた。
小さな手で、指に触れ返す。
ポケットの中に収まったりできるのは、この小さい身体の特権だ。
自分は、この身体だって、楽しいし、やっていける。なにも問題はない。

「やさしくしてもらっても、……
 ボクじゃ、何もかえせないから」

か細くつぶやいたその言葉が聴こえたかどうかはわからない。
包む手の指を、掌でぎゅっと押した。

ケイシー(少年) > その言葉を知ってか知らずか。
指先に妖精の手の感触を覚えれば、以前しっぽでそうしたように、小さい子をポンポンと寝かしつけるように触れる。

 暫くして店主に勘定を頼む声がした後、立ち上がって移動をする感覚が伝わってくる。
店内の喧騒が遠くなっていき、代りに秋の夜のほのかな寒さが布後しに伝わってきた。

 「寒くなってきたな。さて…」

ケイシーは、マントの中で身を縮ませる。

 「どうする?このままお持ち帰りされるかい」

ティネ > 「その提案は魅力的だけど……
 なにか支払えるものを用意してから行くよ、キミのところには」

ポケットから顔を出してにひひと笑う。昏さのかけらもない表情だった。
潜り込んだ時と同じようにするりと抜けだしてふわりと舞う。

「悪戯でもしたくなったら、また捕まえてよ。
 それじゃ」

シャツの胸元に小さく口づけを落とすと、
秋風に漂うようにして、どこかへと飛んで消えていった。

ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場『黒猫のあくび亭』」からケイシー(少年)さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区/酒場『黒猫のあくび亭』」からティネさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区・大通り」にウィルさんが現れました。
ウィル > 既に人影もまばらな夜の大通り。
意気揚々と歩む黒い人影。魔導機械の街灯に時折その姿が照らし出されても、やはりその姿は真っ暗な影の色。
胸元から除くシャツの白だけが、まぶしい程に白く感じる。
カツン、カツン、カツン、カツン、と。
石畳を打つ革靴の靴底。
それと共に響くのは、微かな口笛の音だ。

「――――――♪」

外套のポケットに両手を突っ込み、歩く。
こんな表通りであれば、夜の人通りももう少しありそうなものだが。治安の悪化が原因か、本当に人通りは少ない。まだ、深夜と言い切るには早い時間であるのに、だ。
時折すれ違う酔っ払いや、遠くに聞こえる飲み屋の喧騒。
男は上機嫌に、歩く。
たまに、見回りの衛兵とすれ違う事もあるが、男は気軽に会釈などして進む。
少しだけ、霧が出てきたようだ。

ウィル > すれ違う人影は、しかし疎らだからこそ一人あたりをよく見れる。
注意して見ていると、やはりいわゆる「一般人」はあまり多くない。
今夜がたまたまなのか、慢性的にこうなのか。
すれ違う者の多くは、酔った冒険者や傭兵、見回りの衛視、騎士の類である。
冒険者や傭兵に関しては概ね人それぞれである。基本的に酔っぱらって上機嫌そうなのが多いが、中には妙に沈んでいるようなのもいる。
殆ど同じような感じなのが、衛視や騎士である。
殆どの者が、やる気なさげというか、すぐにでも帰りたそうというか、職業意識に欠けるように思う。
これまた今夜がたまたまなのか、慢性的なものなのか。
実に面白い、と。

「――――――♪」

男はやはり、ほのかに口笛を響かせながら夜霧の大通りを行く。
少し遠くで聞こえた喧騒は、酒場の喧嘩だろうか。
向こうの民家からは、赤ん坊の夜泣きが聞こえて来る。

ウィル > もう暫く、街を巡ってみようかと。
上機嫌に思考を巡らせる。霧が、いよいよ濃くなってきた。
向こうから近づいてくる灯りは、見回り衛視の手にしたカンテラの灯だろうか。
白い霧に包まれていると、何だかランタンの怪異のようにも見える。
それならそれで面白いのだけれど。
魔物の類とはまた異なる、いわゆる怪異怪談の類は、多様で興味深い。その正体が魔物や魔族である事もそりゃああるが、それはそれである。

しかしまぁ、近付いて見ればそれは何という事もなく、やはり衛視の持つカンテラの灯。

口笛を吹きながら肩を竦めて、彼に会釈を。

「――――――♪」

夜霧の大通りを、男は行く。
そしてそのまま、霧と闇に解けるように、男は大通りの向こうへ消えて行った。

ご案内:「王都マグメール 平民地区・大通り」からウィルさんが去りました。
ご案内:「ゆうちゃんのおへや!」にユウさんが現れました。
ユウ > 「それにしても、お客さんも来ないねえ?」
そうぬいぐるみに話しかける姿が一つ。
光で煌めく銀色の髪。
対するように闇から生まれたかのような漆黒を纏うマフラー。
人懐っこそうな表情と柔らかい声。
見るものを惹きつける魅力がある。




「.........寒いねえ。」
それもそのはずだ。
胸や秘所を纏う布以外は、白い肌が出ている。
ほとんと全裸と言っても差し支えない格好が、魅力を台無しにしていた。

ユウ > 「世間では、はろうぃん?というのが流行ってるらしいよ。
君も仮装してみる?」
無邪気にぬいぐるみを着せ替えて遊ぶ姿。
布がズレて大事な部分も見えてしまっているが、本人は気にしていない様子。

ユウ > 「私も仮装してみよっかなー」
ふんふふんふふーん、と。
すこし外れた音程で唄う。


衣装棚であろう、クローゼットを漁る。
ところで、皆は服を着替える時、どういう順番だろうか?
上を脱ぐ、や下から脱ぐ、と言う段階では無く。
普通は、着替える服を持ってきてから、今着ている服をぬぐはずだ。
この女は、今着ている服を脱いでから、次に着る服を探す。
今は、一糸纏わぬ姿だ。.........もっとも、元々布2枚なので凡その違いはないが。

ユウ > 「お服着るの、面倒くさいなぁ...。」
駄々をこねるように、ごろごろと転がる。
毎日掃除しているので、床には埃一つないピカピカの状態だ。
なら転がっていい、と言うわけではないのだが...。

ユウ > 「ふふふ、今日は閉店だよ?」
閉店のふだを入り口にかける。全裸で。
もう夜とはいえ、勿論周りに人は居る状況だ。

「えへへー、どうしたんですかぁー?ジロジロと見つめちゃってぇ。」
「シたいんですかぁ?...そうですか。ふふふ。」
近くにいる男や女を引き連れて闇夜に紛れ、消える。
今日も闇の中で矯正が響く。
数日後、失踪事件が街を騒がせるが、真相は情報屋に聞いてもわからないだろう。

ご案内:「ゆうちゃんのおへや!」からユウさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にイアさんが現れました。
イア > (昼下がりの大通り。それなりの人混みの中、少年が衛兵に腕を捻り挙げられていた。)

知らねぇよ! 俺はスリなんかやってねえ!

(そこだけ人が避けて行くためぽかりと空いたその場所に、衛兵の他に女がいて、ヒステリックに叫んでいる。
 曰く、少年に指輪を盗られた。きっと仲間に渡したのだ、と。
 無論少年に覚えはない。
 そもそも、盗み集りはしない主義だ。
 しかし奴隷の少年の言葉を、衛兵は信じようとしないだろう。
 少年は憤りつつ周りを見回した。)

イア > (衛兵は華奢な少年の腕を背中に押し付けるようにして。
 「仲間の所へ案内すれば、お前は見逃してやる」と威圧的に言う。
 だが、そもそも仲間などいないのだから温情を受けることは叶わない。)

だから、俺はやってねえし知らねぇっつってんだろ!
誰か見てなかったのかよ!

(噛み付くように叫び、必死に周囲の野次馬と化した人々を見遣る。
 そこから声があがるのを待つが。
 ヒステリックな女がため息を吐いて、衛兵の腕に触れる。
 「もう結構です。指輪の分、この子に労働で返してもらえれば」
 そう言って少年へと向けた視線は、整った身なりと裏腹に下卑たもので。
 四十は下らないだろう女の言葉に、少年はうんざりする。)

誰が客でもないのにババアの相手するかよ。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にユウさんが現れました。
ユウ > 「お店の外が、騒がしいわねぇ...。」
野次馬根性で、見に行こうか。

そう呟き、大通りに出る半裸の女性。
何が起こったのかと男性にしな垂れかかりながら問いかける。
聞けば、少年が泥棒をしたのだとドギマギされながら返される。
お礼代わりのキスをした後、彼女は調べてみる。
「へえ...成る程ねー...。」

「そこの坊やは泥棒なんてしてないわよ?」
「さっきまで、ずっと私のお店で話をしていたもの。ねぇ?」
話を合わせろ、と目線で訴えながら少年に声をかける。
マフラーと、大事な部分を隠す布以外は何も纏っていない女が現れる。
これはこれで、憲兵物の問題だが。