2015/10/31 のログ
イア > (ヒステリックな女が少年の悪態に顔を歪めて、何事かを叫ぼうとした時。
 人垣を分けて声をかけてきた一人の女性。
 衛兵も、女も、少年も、視線を向ける。
 そして目にした女性の格好に各々が反応返す。
 鼻の下を伸ばした衛兵。
 顔を青くしながら無音で口を開閉する女。
 その淫猥な身体つきに、呆れと感嘆を見せる少年。)

……ああ。ったく店を出た途端これだからな、ツイてないよ。
もうしばらく邪魔していいか?

(訴えてくる目線を察してか、渡りに船と思ってか。
 ともあれ少年は女性の言葉に乗って、力の緩んだ衛兵の手から逃れ。
 何も言えずにいる女に肩を竦めて見せる。)

金さえ出せば相手してやるよ、オバサン。
……さ、店に戻ろうぜ。

(小声で女に告げた後、女性の腰へ手を添えて現れた方向へと進むことを促した。)

ユウ > 「ふふっ...ごめんねぇ?お楽しみはこれからよ?」
デレデレした男と、嫉妬の視線を向ける女の間を掻き分けて自分のお店に戻る。
回された手に、まんざらでもなさそうな笑顔を浮かべながら。


辿り着くは、どこにでもありそうな喫茶店だ。
昼間と言う書き入れ時に、閉店中の札を掲げている。
いつものように扉を開け、近くにあるテーブルに腰をかける。
従業員がいれば怒られそうだが、従業員はおろか、客人っ子居ない。

「いらっしゃい...『ゆうちゃんのおへや』にようこそー」
「さっきは災難だったわねぇ...。ま、とりあえず座りなさいな?」
そう言いながら、近くの椅子に手を向ける。

イア > (女性を促して、すぐにたどり着いたのは、喫茶店。
 奴隷の少年には縁のない場所だ。
 ただ、最も賑わうはずの昼日中に、閉店中の札がかけられているのには首を傾げ。)

……あ、ああ。どうも。おかげで助かった、けど。金ねーから、礼なら身体で頼むよ。

(女性がテーブルに掛けて示してきた椅子に遠慮なく座り、片足を膝の上に組みながら。
 少年の年頃には不似合いな、口角を片方だけ釣り上げた笑みを浮かべ。)

ユウ > 「あははっ...貴方が相手してくれるの?」
「私達淫魔に、ベッドの上で敵うと思ってるのかしらぁ?」
そう言いながら布をはごうとする...が。

「そう、そうそうそう!男の人を捕まえたらやりたいことがあったのよ!」
「仲間の淫魔達に聞いたんだけどねぇー?」
聞けば、男は脱がす瞬間にも興奮するらしい。
きている服も重要だ。
だが、常にほぼ全裸の自分達には服の概念と言うのが無い。
「セックスなんて所詮快楽のためでしょう?...男って面倒くさいわね。」
彼女の愚痴を纏めると、ようは買い物に付き合ってほしい。ということらしい。

「何なら、貴方の好きな服を着るわ?欲望丸出しでも構わないわよー?」
と、少年を後ろから抱きしめながら、耳元で囁いてみる。
布一枚越しとはいえ、やわらかい感触が少年の頭を挟む。

イア > ああ……って、いんま? え、魔族の?
うわぁ……こんな普通に人間の街にいるもんなのかよ。

(女性の頭の角も尻尾も、てっきり悪趣味な悪魔の真似事かとばかり思っていた少年は、うわぁ、ともう一度呟いて片手を額に当てる。
 そうして、不意に始まった彼女の勢い込んだ愚痴攻勢に、椅子の上でやや仰け反り。
 要点が掴めると、肩を竦めて苦笑浮かべ。)

美味い料理を綺麗に盛り付ければ、もっと美味そうに見えるし、プレゼントの包装だって綺麗な方が喜ばれる。
イイ女に綺麗な服も、同じようなもんだろ。まあ、いいぜ。俺でよけりゃ付き合ってやるよ。

(彼女に背後から抱き締められ、柔らかな感触を後頭部に感じれば、甘えるように頭を擦り寄せて。
 耳元に落とされる囁きに、愉しげにく、と喉を鳴らして笑い。)

……なに? やっぱ買い物より、俺を食う?

(死なない程度なら喜んで、などと誘い慣れた声をかけて。)

ユウ > 「...私の店に来るお客さんには周知の事実だったから。つい...ね。」
しょげた顔で俯いてしまう、が
「身体で払うわ。だから許してー?」
すぐに舌を出して、戯けた謝罪をする。

「あははっ、女を満足させるのは、ベッドの上でも買い物でも変わらないわよー?」
「まずは買い物で、私を満たして頂戴?」
外着のつもり、だろう。
煌びやかな光沢に包まれた服...いや、布を纏う。
少年の腕を取り、体を擦り寄らせ甘える。
「ここら辺でそういった服があるのは...あそこら辺ね?」
そう言ってお店の外に出る。


周りの視線を集めながらついた店。
ピンク色と淡い光が印象的な、「如何にも」な店である。

イア > 魔族と人間って確か戦争してんだろ? ……せめて隠せよ。ってか隠すとこ間違ってるし。

(呆れた調子でマフラーを示してやりながら、軽い謝罪に、はいはい、とおざなりな返事。
 着替えたつもりなのか、大差ない格好の女性に、わざとらしくため息を吐いて。)

まあ、そうだけど。……贅沢な女だな、あんた。

(くす、と笑い零して甘えるのに身を任せて。
 腕を取られて立ち上がり、店の外へ。)

(露出狂紛いの、否。紛いではなく本物の。
 女性を連れての道中は他人の視線が痛いほどだった。
 そしてついた店を見る。
 看板を見上げる。
 女性を見つめて、尋ねた。)

……マジでここ? 入るの? 俺……。

(嫌そうだった。)

ユウ > 「あらー?このマフラーの下も、大事なものが隠してあるわよ?」
からからと、本気とも冗談とも取れる顔で笑いかける。

「...別にいいわよ?ずーっとこの店の前で待ってて、集めた視線に晒されなさい?」
自分が視線をあつめていることを承知で、ニヤニヤとおもしろそうな視線を向ける。
ここで待っているとしよう。
奇異な視線を向けられるが、これ以上恥ずかしい思いはしなくて済む。
もし、一緒に入るとしよう。
男ではい辛い雰囲気に放り込まれるが、奇妙な視線からは避けられる。
「別に私は他の普通の店でも良いのよ?」
ここら辺で過激な衣装を売っているお店はここしか無い。
この後を「楽しみ」たいなら、この3択が分岐点になるだろう。

イア > あー、そーかい。そりゃ隠さないと大変だ。

(棒読みで返し。
 そして店の前で二者択一を迫られる。
 どちらを選んでも、居心地の悪い思いをすることになるだろう。
 はぁ、と少年は小さくため息を吐いて。
 降参したように両手を軽く上げて手のひらを向けてみせると。)

わかった、行くよ。ついていきます。
って、普通の服でもいいのかよ! だったらそっちだ。あんたの今後の為にもな。

(いやでも淫魔的にはこっちのほうがいいのか、などと考える少年。
 決めかねて、がりがりと後頭部をかきむしり。
 最終的に彼女に委ねてしまおうと。)

いいよ。あんたの着るもん買うんだから、あんたが好きな方で。

ユウ > 「それじゃあ、早速入りましょっか?」
普通の店と過激な店。
淫魔視点なら、つまらない店と、普通のお店。
迷わず目の前のお店に入る。

「それじゃあ、面白そうな服持ってくるわねー?」
...店の中で待たせないとは言っていない。とばかりに翔ける。
幸い、彼女は買い物が早い人間、もとい魔族らしい。
ほんの少しも経たないうちに戻ってくる。

「これと、これ。あとはこんなのもあったわ。どれが良いかしら?」
一つは、水着だ。
俗に言う「スクール水着」である。
なんでも異界から持ち込まれたらしく、数が少ないので高級品らしい。
一つは、奉仕服だ。
フリルがついたエプロンタイプである。
最後の一つは...一件普通の服のようだが?
「これねー...えいっ、『水球』ー。」
買っていない商品に魔法を打ち込む。
後で怒られる...のは置いておこう。
なんと、水球が当たった部分がぐずぐずと溶ける。
どうやら、水に触れると溶ける材質らしい。

「さぁ、どれがいいかしらー?」

イア > (即決だった。
 腹を決めて店に入る。
 着衣にこだわる客がいたことはなく、物珍しげに店内を見回して。
 そうこうする間に、彼女は喜々として風変わりな衣服の数々を持ってきた。
 一つ一つ眺めては、微妙な顔で眉を顰める。
 最終的に水球を放たれて溶けた元、服を見遣って。)

……とりあえず、説明は言葉でしようぜ。それは弁償モンだろ。俺のせいじゃない。
んで、その最初のやつはあんたの体型に合わない。ミスマッチがいいなら別だけど。
奉仕服なら、いいんじゃねーの?

(それでも真面目に受け答えて。
 ついでに目線を店内に吊るされた露出の多いドレスに向けた。
 胸元と背中がぱっくりとV字型に開き、体の線がくっきりでるロングスカートは両サイドに深いスリットが入っている。
 色は、彼女の瞳の色に合わせたような。)

俺は、あんたならあーいうの似合うと思うけど、な。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にユウさんが現れました。
ユウ > 「バレなきゃ良いのよ、バレなきゃ...」
と言うもの、溶かした服を片手に抱えたまま、示されたドレスに目を向ける。

「いつも来ている服より、露出少ないわね...」
何度も言おう。こいつがいつも付けているのは「布」である。
「男の人...いえ、貴方ってこういった服が好みなの?ふぅん?」
と、ドレスを手に取り会計に向かう。

会計2点で何Gになります。と淡々と進める店員。
「あら...意外に安いのねー?」
とは言うが、通常の服の3倍はするだろう。
衣装の殆どが一点物や高級品な以上、必然的に値段は高価になる。
水に溶けると言う特殊な材質で出来た服も。
彼が選んだ展示されていたドレスも例外では無い。

イア > いや、バレるだろ……。

(小さく呟くが、彼女がやらかした服を手にすれば肩を竦めて微笑み浮かべ。
 女性からの問いかけに項に手を当てつつ目を逸らす。)

好みっつーか、似合いそうだってだけで……別に。

(彼女が早々に会計を済ませながら口にした言葉には、僅かに驚いた顔で。
 少年にとって衣料品店は特に縁のない場所だったし。
 何より聞こえる価格帯がおかしい。
 自分には到底手が出せない世界。)

せっかく買ったんだし着てきなよ。

(と、ドレスの方を指差して。
 もちろん彼女が望むのなら水溶性の服でも……止めはするが。)

ユウ > 「うーん...それもそうね。ちょっと着替えてくるわー。」
覗きたいならそれでも良いわよー?と、意地悪そうなセリフを残し衣装室へ入っていく。



艶やかしい声や、胸が入らないなどと言った嘆きが聞こえるが
店員さんに手伝ってもらったのだろう。十数分した後に戻ってくる。
光に照らされ煌めく銀色の髪。
合わせて光る、銀色のドレス。
負けじと綺麗さを誇る、背中や谷間から見える雪のような白い肌。
.........そして、夜を司るかのような黒いマフラー。
「.........どう、かしら?」
若干不安げな表情を浮かべ、顔色を伺う。

イア > ああ。……覗かねーよ!

(からかうような女性の言葉に言い返し、しばしの間。
 衣擦れの音や、嘆きの声など聞きながら。
 一人、所在なさげに店内を見るともなく見ていた。
 ようやく戻ってきた気配に振り返ると。)

……いいじゃん。キレイだよ。似合う。

(銀髪を揺らし、銀色のドレスの裾を翻す姿。
 黒いマフラーとのコントラストで、白い肌がよく映える。
 上から下までじっくりと見つめてから。
 少年らしく表情緩めて、不安を払拭するように笑いかける。)

さてと。これからどうする? おねーさん。

(未だ名も知らぬ彼女へ、エスコートするように手のひらを差し出して。
 ひとまずはその衣料品店を後にしようと。)

ユウ > 「ん...そっか。よかった。」
「人間の服ってわからないから、困ってたところなのよねー。」
そう苦笑しながら、彼の腕を絡め取る。

「目的も達成したし、店にもどりましょっか?」
「『お礼』もしなくちゃいけないもんねー?」
腕に頬ずりして、ぐい、ぐいと、彼の腕を引っ張る。
「くすっ...どんなお礼が良いかしら?」
「あ、本番行為はダメよ?死んじゃうから。冗談でも比喩でも無く、ね?」
笑顔だが本気のトーンで、怖いことを口にする。
先程よりは減った視線に若干の不満を覚えつつ、帰り道を二人で歩いていく。

イア > (手のひらではなく腕を取られ、頬ずりされれば、くす、と可愛いものを見るように笑い。
 ぐいぐいと引っ張られるまま、彼女の店へと向かって歩く。)

ああ。どんなお礼がもらえるんだろうな?
……死なない程度で頼むぜ。

(笑顔で告げられた怖い言葉に肩を竦めて苦笑を浮かべ。
 それでも、きっと店内へ入れば少年は彼女を求めてしまっただろう。
 彼女がどこまで応えたのか、その内容は知れないけれど……。)

ユウ > すっかり夜が明けてしまった。
昨日彼に宣言した通り、「吸精」はしていない。
もう一度買い直す必要が出たかも知れないドレスを洗濯カゴに入れて、彼の寝顔を見つめる。
身体に負担がかかるとはいえ、男としては一番大事な部分を私は突っぱねていた。
だからせめて、と彼の欲求になされるがままになっていた...のだが。
未だにズンズンと響く身体の痛みに、一抹の不安を覚えた。

「おーい...おーい?生きてるかーい?」
冗談じゃ済まないような言葉をかけ、彼の身体を揺さぶる。
いくらなんでも、一夜を共にした人間が私のせいで死ぬというのは目覚めが悪い。

イア > (一晩中、望むままに振舞った結果の気怠さの中。
 身体を揺さぶられ、声をかけられた事でのろのろと瞼を上げる。)

……生きてるよ。ヤり過ぎて死にそーだけどね。

(くく、と喉を鳴らして笑い。
 彼女の後頭部へ手を伸ばし、叶うなら引き寄せて啄むような口付けをしようと。)

ユウ > 「これくらいでへたってちゃダメよ?...人間にしては、上等だったけども。」
淫魔を腰砕けに出来るのは、大抵が淫魔だ。
人間族で同じようなことが出来る人間など、そうそういないだろう。

「あむ...ん...ちゅ...ん.......」
クセで、流されるままにキスをされる...が。
「あらぁ...?今から発情してたら、私が満足する頃にはまた夜よ?」
「私もお店やらなくちゃ行けないから、また今度『遊び』ましょ?」
と、優しく笑いかける。

イア > こちとら成人前なんだ、妥協してくれよ。

(人間にしては、などと言われれば面白そうに返して。
 軽いキスを交わし、彼女に優しく微笑まれて渋々といった様子で離れ。
 寝台から立ち上り衣服を整えると、悪戯っぽく笑いながら。)

それは困る。俺も、食い扶持稼がねーと……あーあ。
っと……俺はイア。またの機会があったらな。

(冗談めかして残念そうに、大げさなため息を吐いて。
 今更の名乗り。
 そうして、彼女に背を向け、店を後にした。)

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からユウさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からイアさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にフェリルさんが現れました。
フェリル > 昼の光は穏やかだが、外では僅かに肌寒さを覚えるようになってきた。枯れ葉が一片、二片。乾いた石畳の上を時折、思い出したように転がっていく。
――秋の終わり。まだ明るい日の光に照らされた木製のシャッターが、その隣にある扉が開かれたことによって少し揺れた。中から、焦げ茶色の髪をリボンでひとつに結んだ女性が半身を覗かせる。

「ん……っ」

ぐ。と緩く握った左の拳を高く上げて、身体を伸ばした。
一緒に踏み出すと、自身の身体に押されてドアが大きく開いた。
そのままの動作で顔を空へ向けると、抜けるような青空が深い緑の瞳に映り込む。その頬がふわりと緩んだ。

「ふふ。いい新商品日和だわね」

言うと、シャッターへのんびり歩み寄り、調合中の貼り紙を剥がした。
かたり。かた、かたり…。
少しずつ引き上げられる、細い木製の板を繋いで作られたシャッターが、控えめな音を途切れ途切れに立てている。

フェリル > シャッターの奥から現れるのは硝子張りの窓の向こうに、やや雑多に並んでいる道具類。
白い滑らかな肌の鍋。そこから覗く木べらの柄。洗い桶の中から突き出ているのは、銀色の細い棒。
それらが並ぶ窓辺から店舗の奥へと視線を移せば、大きめのテーブルの上に、同じ大きさの瓶が逆さを向いて並んでいるのが見える。中に、ほとんど同じ分量ずつ入っている黒っぽい流動体が、わずかに透けて窓から差し込む光を受けて輝いている。

「…………今年はいい出来だわ」

瞼を伏せた。
この目で見ていない、野山の実りへ思いを馳せる。
野生がこんなに豊作ならば獣たちは常よりは楽に過ごせるだろうか。
深い森の中で薄くなっていく木漏れ日の奥に、冬支度を急ぐ大小の生き物の話し声。自ら望んで、今は遠い――。

「……ああ。広告を貼りに行かなくちゃね」

ふと瞼を開けて、はた。と動きを止めた。

「か、片付け全然してないっ」

ぱたぱたと、慌てて店内へ引き返していく。また出かけるからと、ドアは開けたまま。
調合の名残が残る、温められた果実の香りがほのかにみずみずしい甘味を湛えて、秋風の中を流れていく。

フェリル > やがて、洗い物を終えて女性がまた扉から出てくる。
施錠した扉を横目に通り過ぎる窓の向こうで、先ほど逆さまになっていた小瓶たちが元の向きに戻されて、大人しく並んでいた。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」からフェリルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にシュウさんが現れました。
シュウ > (陽も落ち、寒さが身に沁みる此の頃。平民達が身を寄せ合う地区の、薄暗い路地裏。
黒ローブを纏う占い師の様な怪しげな風貌の者が、朽ちた箱と水晶玉を翳して何か唱えている。
其れをしゃがみ込み、ぼんやりと見つめる男の姿。真白の着物を纏い、闇に映えている。)

………。

(着物姿の男は、終始無言だ。占い師は何かを唱えると、急に目を見開いた。
『………お客さん、あんた、ついてないね。』
只、其れだけ。たいしたことないものだった。)

シュウ > (突然声を掛けられ、突然占いをするだの言い出されて。有り余る時間だった故に、乗ってはみたものの。
突然また其の様な不穏煽る様に言われて。何時も変わらぬ表情が、やや、眉間に皺が僅かに出来る。)

……………………なんで?

(ぽつり。占い師に聞こえる程度の、緩い、低音が零れ落ちる。問いは些か変だったかもしれない。
占い師は『なんでって………兎に角、気を付けな。』と其れだけしか言わない。
何が起こるのか、等は言ってくれない。此の占い師が詐欺なのか、はてさて、言えない程の余程の重大な事件に巻き込まれるのか。
男は気に為って、水晶玉を覗き込むが、映っているのは朽ちた路地裏だけだ。)

シュウ > (占い師は更にやや慌てた口調で言葉を口走る。
『お前さんにとって、良くない事だ。用心しておく事だな。此れ以上は言えないが。』
そう言うと、占い師は小汚い箱と水晶玉をそそくさと持ち、焦燥を見せ乍立ち去って行った。
止める間もなく、だったので、男は其処に茫然としゃがみ込む形になってしまった。)

……………。

何を、気を付ければ………。

(不意に、当然の問いが零れる。只、もう答えをくれる者は誰も居ない。
あとは己が身をもって、体験するしか無いという事だろう。
仕方無いとでも言いたげに、溜息を一つ零す。吐息は真白く煙りの様に空気に浮かんだ。
とりあえず、立ちあがると、着物に付いた砂埃を両手でささ、と掃って。)

……………。

(辺りを軽く見渡す。特に、危険な香りは一見しない様に見える。)

シュウ > (何処か遠くの路地裏から怒声の様な声が聞こえる、が。此方からは関わらなければ良い事。
喧嘩か否かも見えないし、多分、其れの事では無いと、言い聞かせる。)

…………物騒。 

(ぽつり、独り言を呟けば、壁に寄り掛かる様に座り込んで。
こういうついてない時は、下手に動かない方が良いだろうと踏んで。
ふぅ、とまた溜息を1つ零す。昔、よく溜息を零すと幸せが逃げて行く、とか聞いたのを思い出したけれど。
吐息は白く漆黒の空へと上がっていく。ぼんやりと何も無い空を眺め乍。)

シュウ > (遠くの方で聞こえる怒声が広がっている気がするが、気のせいだろう。
其の姿すら見えないのだから。男はもう一度、辺りを見渡すが、特に何も無い。路地裏だから、人通りすら少ない。)

………こっちじゃ、ない。

………で、しょ。 

(ぽつぽつと呟く低音は、ややちょっと不穏の籠ったものだが、僅かなもの。とりあえず冷静を装い、
占い師の言う事を余り気にしないように、と心で唱えるが、やはり何処かで気には為っていた。)

シュウ > (気には為るが、とりあえず何か遭遇する覚悟で歩き出す。何か起こったか、其れはまた今度の話で―――)
ご案内:「王都マグメール 平民地区」からシュウさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にキーノさんが現れました。
キーノ > 「飴玉いらんかネー」

平民地区の通りの路肩に、ぽつんと座りこんでいる少年の姿。
手作りなのだろう籠の中には、蜂蜜色の小さな丸い飴玉が何個もある。

「1つ、5ゴルドだヨー。甘いヨ、美味しいヨー
 誰も買ってくれないネー…何が駄目なのカナ?」

通りかかる人達に声をかけてはいるが、買おうと言ってくる人はいない。
首を傾げて、頬杖を突いて考えてみる。

キーノ > 「うーん、場所が悪いのカナー?
 それとも値段カナ? …良く分からないナー。」

座りこんだままの姿勢のままで、あーでもないこーでもないと考えているが
商売のことなど分かるわけがない。結局、そのままで良いかという結論になる。

「甘い飴玉いらんかネー」

誰か買ってくれる人は居ないかな、と通りかかる人々に声をかけ続ける。

ご案内:「王都マグメール 平民地区」にフランネルさんが現れました。
フランネル > 白い月の浮かぶ初冬の冷たい夜気の中、それをものともしない元気な声が表通りには響いていた。普段はこの時刻にはほとんど見られない年齢の子供達が、今夜の通りには溢れている。普段は驚かれる黒いローブに目玉目隠しのいでたちも、それ以上に奇抜な扮装の人々が溢れる今夜は、誰にも恐れられることがなかった。

「ふう。さって、と……です」

誰に言うでもない意味のない言葉を呟くと、桜色の唇のそばで吐息が白く曇った。すうっと夜の闇に溶けていくそれを見送ってから、子供たちの高さにあわせていた目線を上げてゆっくりと立ち上がると、喧騒から外れたところに座り込んでいる男の子が目に入る。浅く首を傾げると、ゆったりとカールした亜麻色の髪がフードから少しこぼれた。
わずかに考えた後、彼のそばに歩み寄ると、長めのスカートを折りたたみながらしゃがみこんで目線の高さを合わせ、微笑んで。

「こんばんはですよ。ボクはお菓子もらいに……あら、ボクが売ってるんです?」

キーノ > 「オイラにも簡単に出来るって思ってたケド、そうでもなかったネー…
 あー、もしかして暗いからカナー?」

碌に明かりの無い状況なのがいけないのかもしれないと、
腰に提げたカンテラに火を付けて籠の中を照らすようにした。

「こんばんわダヨ。
 そうダヨ、オイラが売ってるんダヨ。とっても甘い飴玉、1つ5ゴルドダヨ」

籠の前にしゃがみ込んで微笑んでくる女性に、籠の中の飴玉を見せてから
ぎこちない笑みを浮かべて答える。

フランネル > 見せられた籠の中を覗こうと、しゃがんだままで膝を抱えると、ワンピースの上からでもわかるたっぷりとした乳房が膝の上に乗った。
そして、灯りに照らされた籠の中に転がる、シンプルで飾り気のない黄金色の飴玉を眺め、彼の笑みに返すのは、少し困ったような笑顔。

「そうなんですか……。うーん、でも、今日は売れないかもですねえ。今夜は、町の子供たちはお菓子もらえちゃうお祭りですし」

キーノ > 本日初めてのお客様である女性。まずは、第一の関門とも言える挨拶はちゃんと出来た。後は、この女性が飴玉を買ってくれるかどうか。しかし、こういう時に何を言うべきなのかを知らないので、何も言わずに女性の顔を眺めていた。

「………え。そうナノ?
 そっかー、今日は駄目なんだー…残念ダナー」

聞くまで知らなかったことだと間の抜けたような顔になる。その後でがっかりしたような落胆の表情を浮かべれば、溜息を吐いた。

フランネル > 「ええ、ちょっと。
 ……あん、そんなにがっかりしないでください。
 私がせつなくなっちゃいます」

がっかり顔で肩を落とす彼に、もう一度困り笑顔を向ける。
そして、ローブの中へ片方の手を差し入れ、探ること少し。

「はい、2個買っちゃいますから、元気出してボク。
 ……あとね、お菓子はもう少し明るい時間に売りに来たほうがいいですよ。
 普段、この時間には飴玉を買う子は家の外に出してもらえないですから」

言いながら差し出す手の中には、5ゴルドの硬貨2枚。

キーノ > 何分、王都にやってくるのは初めてのことだったので、その町の文化などは知らない事が多い。というか、知っていることが先ず無いという状態。飴玉は売れなかったけれど、今日はそういう日だったということを知れたのは、ある意味での収穫でもあった。

「大丈夫だヨ。オイラ、今日はちょっと賢くなったからネ。
 …ホント?やった、ありがとう、お姉さん!
 そうなの?じゃあ、今度から明るい時に来るヨー。はい、これ。」

女性の言葉にパッと表情が明るくなる。籠の中から飴玉を2つ摘まんで、硬貨を受け取ってから飴玉を手渡した。
そして、今度から明るい時間に来ようとも決めて。