2015/10/22 のログ
■魔王アスタルテ > (続くよ~)
ご案内:「平民地区 夜市」から魔王アスタルテさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール ケプラー商店」にエドさんが現れました。
■エド > 昼過ぎの時間。
多いとは言えない客が捌け静かになった店内をカウンターから眺める青年
帳簿に売れた商品を書き入れ閉じれば大きく背を伸ばし
「忙しい波が捌けましたね。しばらくは暇になりそうですね」
客がいない間にと、客が触れ場所が変わってしまった商品を元に戻そうとカウンターから出れば棚を見て回り商品を置き換え、並び替える。
減ったもので在庫があるものは補充し、売るには少ないものは取り下げてと回れば一息を吐き。
「売れるものと売れないものがはっきりしますね」
雑貨は売れるのだが武器 小さな店に置くようなものではない業物を見れば埃を払いカウンターへと戻り
■エド > 「あ、いらっしゃい。何をお求めでしょうか?」
カウンターに戻り帳簿を付けていれば扉が開くベルの音
慌てて顔を上げれば客を笑顔で出迎える。
また忙しい時間が始まりそうだ
ご案内:「王都マグメール ケプラー商店」からエドさんが去りました。
ご案内:「骨董屋”影の国”」にスーさんが現れました。
ご案内:「骨董屋”影の国”」にルカさんが現れました。
■スー > さて、今日もひっそりと。
今日のイチオシの品や、商品。それにお知らせが書いてある立て看板に、店内を覗けるか覗けないか程度の薄暗く。
扉を開ければ闇のような、所々にあるほんの少しのランプだけが灯る
そんな”影の国”で。老婆はゆっくりとうたた寝。
奥にあるカウンターの近くにおいた揺れる椅子に腰掛けてこっくりこっくりと
鼻提灯を作りながら、客が来るまですぴーっと。
しかし――
どこからどうみても熟睡で。起きそうに見えない微睡みの中にいるようで――
■ルカ > 「お邪魔します、と。……ふぅん、こんな所に骨董品屋ねぇ。」
ずいっと中へ無遠慮に入る。
見てみればそこは営業しているのかどうか微妙なほどに暗く、『影の国』の名に相応しい。
その影の国に差す光のように、銀の髪を靡かせて。
この店に入ったのは偶然である。
任務がキャンセルになり、やることもなくぶらぶらしていたところ、
持ち前の方向音痴が発動してこの店に迷い込んでしまったのであった。
「………もしもーし。おーい。」
眠れる老婆の前へ歩み寄れば、その姿を観察し始めた。
■スー > 来店して中に入ってみれば。
骨董屋の名前の通り、見ればなにやらがちゃがちゃしていて。
本やら、本当に役に立つのかわからないガラクタやら。
もちろん、鎧や武器も様々なものが置いてあって。ランプだけがそれらを移し、まるで輝いているかのようにも見えなくもない。
そして――声をかければ。
アナタの横を通り過ぎた、発光物体。
なにかと思って見てみれば、何やら”文字”のようで、それが老婆に張り付けば、ぱちんっと提灯が割れて。
「おんや、お客さんかい? 買い取りかな? それともお求めかな? それとも、お仕事かな?」
糸目はそのままなのか、寝ているのか起きているのかわからないが言葉が返ってきたところから起きているのがわかるような、そんな
■ルカ > 「…………。」
ランプの灯火を反射して鈍く光る刃を、興味津々に見つめる。
とはいえ、今の武器から買い換えるつもりは毛頭ない。ただ単に冷やかしである。
その他にもよくわからないガラクタや美術品なども見つつ、やはりよくわからないと言わんばかりに首を傾げた。
「?……あ、ドーモ。いや、ただ単に気になったんで入っただけで、特にそういうのは。
というか、仕事の斡旋もやってらっしゃるんですか?」
『文字のような何か』には首を傾げつつ、そんなものなのだろうなと呑気な感想を心に留めて話しかける。
「?」
目覚めた老婆のその姿を見て、何か違和感を感じるのであった。
■スー >
「仕事の斡旋とまでは、いかないけどね。お店で手伝ってもらう事があって、それを募集してたりするわけさ。見ての通りだからね」
しわくちゃな顔に、がさがさな肌に、みずみずしさの欠片もない髪。
壊れた鈴のような声が耳朶を揺すり、骨のような手足。
これでは重労働もまともに出来そうもない。
が、なにやらの違和感は間違いなくある。ただし、魔物とはちがってほんの。ほんのささいな違和感であった。
「おやおや、骨董品に興味があるのかい? 武器ならそっちだよ?」
しなやかな体躯を見てか、刃に一瞬視線を写したのを見ていたのか、それとも勘か。
そんなことを口にする。不思議な、老婆。
「なにかピンときたら言うといいよ。ガラクタが多いかもしれないけどねぇ。ここは暗いから、光るものは見つけやすいだろうさ。その片目でもねぇ……怪我かい?」
■ルカ > 「ふぅん……。どんな仕事なんですかね、やっぱり骨董品の調達とかそういうの?」
今のところ、受けるつもりは特に無い。
しかし、いずれこの国も魔族に占領されたり、逆に魔族を追い返したりすることになるだろう。
そうなれば、2つの形は違えど『平和』にはなる。そうすれば、自分はお役御免だ。
その時の食い扶持を探しておくのもいいかもしれない、と思った。
「………あー、……。」
それだけ言って、言葉に詰まる。
違和感の正体について言及しようと思ったが、上手く言葉が出てこない。
『違和感はあるのに、その違和感の正体が分からない』という状態である。
「……いや、武器の買い替えは今のところ。コイツだけで十分ですから。」
行き先を無くした言葉を押しのけるように、コンコンと背中の武器を叩く。
黒い布を銀の留め具で止めたような鞘の中には、燻銀の色を覗かせる刃。
その上には、ハンドガードのような楕円の取っ手が付いた柄。
大雑把に表現するなら、『巨大な鋏』。その姿からは、魔に携わる者なら嫌悪感を抱くほどの強烈な聖気が溢れ出す。
「いや、そういうわけじゃないですけど……病気、みたいなものなので。」
■スー >
「あぁ、調達はもちろんあるが。本当かどうか調べるのに、武器の切れ味確認とか。防具を切ってもらうとか。夜のほうなら、媚薬の効能や玩具の加減
実際使用してもらったときの感想文提出とかだね」
つらつらと、耳障りのような声が流れてくる。だがさほど不快じゃないのはこの老婆の人徳か、それとも――
「うん? どうかしたのかい?」
言葉に詰まる凛々しい女性の顔を覗きこめば、片目だけ
ひっそりと隠れていた瞳が顔を出す。
金色――だがその眼差しだけは、老婆に似合わない、生気のある――
「おや、すごいもんだね。なるほど、良いものだ」
こっくりこっくりと頷いて、その価値を理解したのか。
それとも商売のお世辞かは分からないが、何度も頷いてみせる。
「おや、病気かい? なら大変だったろう。伝染病とか囃し立てられやしなかったかい?」
よくあることだ。人と違えば、何かしらと騒ぎになる。
小さな村では特にそう。王都ではそういうことは少ないが――
■ルカ > 「……あー。そういう。まぁ試し切りとかくらいなら、ええ。」
全く以てこの国は無法地帯だな、と改めて思う。
まぁ勿論『そういう経験』が無いわけではないが、特段したいとも思わない。
本来ならあからさまに嫌な顔をしていたところだが、この老婆の声を聞いていると何故か笑い話に聞こえてしまう。
不思議な人だな、と感じた。
「………いや、何でも。
分かりますかね、この武器?あんまり価値のある物に見られたことはないんですが。」
そう言うと、背中から抜き取って目の前に晒す。
ランプの薄い灯火を反射して、布に織り込まれた聖銀がチラリと輝く。
「いや、そんな事は。まぁ、いいじゃないですかこの目は。大したもんじゃないですし。」
そう言ってへらりと笑う。
その目を覆い隠す眼帯は、全てを吸い込むような暗い黒に染め上げられている。
■スー >
「まぁ、ご高名な騎士様、もしくは魔族狩り、冒険者には縁のないことだろうさ」
ひっそりと笑みを浮かべれば、おや意外だという顔をして。
「その反応だと処女じゃないね。経験は豊富そうだ。お硬そうだけど、楽しむことは楽しんでるんだねぇ……」
ちょっと茶化すように。口にした後、ぎしぃっと椅子を揺らして。
「うん? 一応、骨董屋、だよ。ここは。目はいい、つもりさ
あんまこう、すごすぎるものとかはわからないけどね
名人ほどじゃないが――、道には入ってるって感じだね」
ほほぉっとため息を漏らす。その輝きはこんな夜でもまばゆく
ひときわ輝く、星に近いものだった。
「業物、だね。よく切れそうだ。それくらいだけだけど、よくわかるよ」
いいものがみれたと拝み始めて――
眼帯を見ていれば引きこまれそうになったゆえにそっと目をそらす。
「おや、触っちゃいけない話(もん)だったかい。すまんねぇ、好奇心だけが旺盛なもんでさ」
■ルカ > 「そう見えます?こんな恰好なのに。
……いや、1回だけ。小さい頃魔物に襲われましてね。ええ。」
ふっと自嘲気味に笑って。
だが、悔いてはいないし恨んでもいない。それがあったからこそ、自分はこの場所にこうして立っていられるのだから。
一介の町娘で終われば享受し得なかった体験を、心から楽しむことが出来るのだから。
「ありがとうございます。……見事、ですね。
間違いなく業物ですよ。見た目と鞘がコレですから、あんまり見向きされたりしないんですけどね。」
そう言うと、少しだけ刃を布から抜き出して。
その刀身には、彫り込まれた何かの文字。どうやら、布の中に隠れた部分にも繋がっているようだ。
彫り込まれた文様の中には青い塗料が塗られ、その塗料は何をするでもなくぼんやりと光を放っている。
「………。」
そこで、ふと気付く違和感の正体。
それは、ネガティブな何かを感じるが故。怒り、恐れ、そして妬み……そういった物を、何故か感じる。
当然、ルカがそのような感情を抱いているわけではない。
目の前の老婆がルカにネガティブな感情を抱いているのかもしれないが、そうも見えない。
つまり、これは。
「(どういう事だ?)」
わからなかった。
■スー >
「堅物と、いうか。そういうのに免疫がない子は大体今の話をすると
なにかしら羞恥とかそういった初なのが出るからねぇ」
しかし、一回と聞けば。
失言だったかと、目を伏せたが謝りはしなかった。
「おや、魔物に。なるほどなるほど」
うんうんっと頷いて話を聞いている。
なにやら話しやすそうな雰囲気がする老婆だと感じたか。
いや、もとよりこの老婆は聞き専というくらいにきくことが好きなのだ。
もっとしゃべっていいよと、流れで訴えているのかもしれない。
「見た目だけで見るようじゃまだまだだからね。特に嫌いなんだ、見た目で判断するのは」
ほぉっと息を吐き、そぉっと撫でるような視線で刃を見る。
「碧い……それに、文字。なにかのマジックアイテムかい?」
怪訝そうな顔に気づきつつも、それを咎めたりすることもなく。
やんわりと、ほほ笑みを老婆は浮かべていた
■ルカ > 「……出てました?」
ちょっと恥ずかしいな、と言いつつ頬を掻く。
「このご時世じゃよくあることですよ、ゴブリンやオークに襲われて、なんて。
まぁその時に今の職場の先輩方に救われて、拾われて。
それから先輩方に習って魔物狩りの仕事を始めましてね。
とはいえ、人間に過剰に危害を加えるようなもの以外には何もしませんけど。」
自分でも驚くほどするすると言葉が紡がれていく。
こういう店主なら、寂れたようにも見えたこの骨董品店もなかなか繁盛しているのかも、などと下世話なことを思いつつ、
会話に花が咲いていく。
「はぁ……。あ、刃には触らないでくださいよ?切れたら危ないんで。」
忠告しつつ、その武器の正体について聞かれれば特に躊躇することなく。
「神器ですよ。とはいえ、まぁ広義にはマジックアイテムの一種、なのかな?
私は魔物狩りの他に一応シスターもやってるんで、その教団の方々が鍛えてくれた武器です。」
その光は、老婆の視線に呼応して少しだけ強くなった、気がした。
その光に、老婆の影が照らされ……黒く揺らめく。
「!」
それを見て、何かに勘付いた。
■スー >
「おやおや……そうだねぇ、よくあることだ
そこから慰み者になるものも少なくないし
その時の快楽を忘れられず、”売り物”になるのもいる
幸か不幸か、恵まれているか恵まれていないかわからないが――あえていうならば……」
――アイオーンの導きってやつかね?
その名前が出てきたのは、それを信仰しているから、ではない。
ただ、ふと最近の悪友との会話を思い出しただけのこと。
あの、うんざりした顔は印象深く、なかなか愉快といえば愉快な表情だ。
「上手く制御、できてるんだね。すごいねぇ」
こちらは、まったくリップサービスに聞こえなかった。
本当に心の底から、過剰な魔物意外にはなにもしないという点に感心したような――
「触らないさ。綺麗な血が出るような身体じゃないが、命は惜しいしね。あ、私が魔物だから嫌ってるとかじゃないよ。武器の扱いは分相応程度だからね、無闇には触らないんだ」
そして、光が明るく瞬けば。
影が、老婆ではなく。長身の女性のように――みえた、気がして……
■ルカ > 「はは、まさか。ウチはアイオーンを信仰してるわけじゃないですから。
この国じゃ珍しいですかね、『ヴォルヴァドス教』。
火の神ヴォルヴァドス様を信仰してるんですが。」
言われてみればなかなかにマイナーとも言える宗教。
少なくとも、この国では信者を探すほうが難しい程度にマイナーである。
ノーシス主教の勢力が強いことと風土が違うことも相まって、この国では広まりが弱いようだ。
「魔物も一つの命ですしね。
私自身のルール、程度ですけど……。」
関心したような声色に、少し誇らしげに胸を張った。胸はなかった。
「それならいいんですけどね。……ところで、聞きたいことがあるんですが。
アンタ、何歳だ?」
じっとその姿を見据える。
人間には違いないだろうが、そう聞かずには居られなかった。
■スー >
「ヴォルヴァトス……知らない名前だねぇ」
聞いたことのない神の名を聞けば、ほぉほぉと頷きながら椅子を揺らす。
そういった、”知らない”ことには興味があるのか
今までよりも関心があるように、耳を傾けて。
「うん、えらいえらい」
きっと、近くにいて身長があれば頭をなでたろうが
あいにくとこの身体は身長があまりにも低い
ので優しく声をかける程度にして――
「おや、女性に年齢を聞くのかい? ふふ、何歳に見える?」
ぱちりと、糸目から再び金の瞳が覗く。
しらばっくれるつもりはないが――
どうしてそんなことを聞いたのか、見極めるような問いかけであった
■ルカ > 「あ、やっぱり。
まぁ布教に来たわけじゃないんで、勧誘はしませんけどね。」
そう言うと、そこで話を切り上げて。
「……今は、70~80。だけど、そうは思えない。
なんとなくだけど、なんか違うように見える。こういうのは、サキュバスなんかを討伐した時によく感じるんだ。
もし、違ったら悪いけど……私の勘違いじゃなければ、巧妙に人間に擬態した魔物か……
もしくは、老化の呪いをかけられてるか、かな。」
それだけ言って、金色の目を紺碧の瞳で見つめ返す。
その瞳は、まるで海のように深く冷ややかに、しかし雄大に金の瞳を映し出す。
こう、と鋏の青い光が強くなった。
■スー >
話を切り上げられれば、わずかながら残念そうに見えたかもしれないが。
魔族、魔物に向けているであろう”モノ”を向けられれば。
およしよ、とてをふらふらとふった。
「サキュバスなんて、そんな桃色なものじゃないよ
だとしたらアンタみたいなべっぴんさん、ほうっておくわけ無いだろ? それに店に媚香なりなんなりで満たしておくさ」
魔物なんてありえないと、それならもっと――警戒するよと付け足して。
「21だよ。老化の呪いでね。もうかれこれ十年近くになるかね
解呪の仕方は分からないが、ちゃんと若くなる条件はあるんだよ?」
さほど気にしていないように告げれば、立ち上がり。
「お茶、飲むかい?」
■ルカ > 「……そういうクスリは、ご遠慮願いたいかな。
それに、べっぴんさんってんなら私は除外されるさ。」
そう言うと、張り詰めていた雰囲気をふっと解く。
やれやれ、と言わんばかりに首をこきこきと鳴らす。
「まぁ魔物じゃないならいいんだ、それ以外なら私が裁く理由はない。
悪いことしてる人間なら相応の場所があるけど、そうも見えないしね。」
気にしていないような素振りを見れば、最後に残った一抹の不安も……
この老婆が、自分の呪いを解くためならなんでもするような人種なのではないか、という考えも掻き消えて。
「私は猫舌だから、冷たいお茶がいいな。」
■スー >
「いやいや、自分の価値をわかってないだけかもしれんよ?
だったら今度、ウチの仕事手伝うかい?」
からからと、壊れた鈴を鳴らしながら、奥からごとりと
何やら、ポットとグラス。それと透明な、お茶くみをもってきて。
「悪いことする理由も私にはないからね
小さな骨董屋でのんびりできればそれでいいさ」
そこに茶葉を入れていつものように温かい紅茶を注ぎ。
そして、文字。氷のルーンを刻み、透明なお茶くみを急冷したところに、紅茶を移せば――
透明感のある、アイスティーの出来上がりだ。
「これでよし。さぁ、どうぞ?」
グラスに注げば、良い香りが鼻腔をくすぐり――
「特に、呪いを解こうと必死になってるわけでも、ないしね」
■ルカ > 「ないない。他にもっと適任な人が居ますって。」
はは、と乾いたように笑えば出しっぱなしにしていた鋏を持ち上げ、背中に再びマウントする。
お茶の香りに目を細めながら、そんな老婆の声を聞く。
「……普通なら、必死になるもんだと思いますけどね。
だって、21って言ったら人生で一番美しい時期だ。老化の呪いってことは、掛けた相手は美しさか若さに嫉妬してたってことでしょ?
……掛けた相手が誰でも良かったなら別だけど。」
普通なら怒り狂うか絶望してるよ、と呟いてお茶を口に運んだ。
ふんわりといい香りが口に広がる。
■スー >
「……ふむ。なら今度依頼してみようかねぇ。名指しで」
冗談っぽく、金眼を覗かせれば。自分のも注ぎつつ、また椅子に腰を下ろして。
「そうかもしれないね。でも――見かけだけで寄ってくるよりは
ずっといいと、思ってるんだよ。こんな姿でも、好きと――
愛を注いでくれたり、戯れてくれたりする。ソッチのほうが――」
――嬉しくなっちゃって
最初は、必死になったし。なんでとも思ったが。
この呪いのことをちゃんと知る内に、そんな風に思って。
「あぁ、そういえば牛乳と、甘蜜もあるよ。今朝、知り合いがおいて行ってね」
そう言いながらそっと差し出し
■ルカ > 「……いやほんと、勘弁して下さい。」
若干心が折れたようだ。正直に言うと自分が嫌なだけである。
「……ふーん。そんなものですか。
私なら真似できない、かもなぁ。そういうの。
あ、両方もらえます?私甘党なもんで。」
そう言って、牛乳と蜜をたっぷり入れて掻き混ぜる。
そして、そのお茶を一息に飲み干して。
■スー >
「おやおや……」
くつくつと喉を鳴らしたように見れば、また別の意味で寒気がした。
「――そういえば」
ふと思い出したように、自分の鼻先に指を当てて
妖しく――老婆なのに――そんなふうに見えて。
「さっきは、勘違いで怖い思いさせられたから、お返し、しておかないとね?」
飲んだのを確認すれば、ぽっぽっと灯火が消えて、闇が深く深くなっていく。
「もう少し、お話に付き合ってもらおう、かな? 適正診断も、兼ねて」
■ルカ > 「………え?」
その言葉を聞く直前に、立ち上がろうとしていた。
立ち上がろうとしていたはず、なのだが。
ふらりとその体が傾き、床に倒れる。
「……っ!?……は、っ…!?はぁッ、はッ……!?♥」
ずきずきと、煮立つようにその体が燃え滾っていく。
まるで毒のように体の芯を溶かし、崩されて。
自らの身体に起こる異変を察知しようとするも、真っ先に溶け出した脳ではそれさえも叶わない。
自らの腕を股に挟み込み、太腿を擦り合わせるようにして悶え、床を這う。
「……あ、な…っ♥これ、はぁッ……♥」
ぞくん、ぞくんと体に何かが這い回るような感覚。
じわりと体中が湿り気を帯び、特に一部分は更に。
■スー >
「ほんの少し、店じまいとしよう」
そっと文字をソラに刻めば、看板が”ただいま準備中”に早変わり。
しゃがれた声は、何故かみずみずしい妖艶な声にも聞こえなくもなく。
そっと首筋に這う指は、カサカサと痛むこともなく。なでらかに。
柔らかに電流(えつらく)を流して
「――お相子ってことで許しておくれね?」
ふっと息をかければ。
店内の灯火は全て消え――
”夜”が、始まった……
■ルカ > 「………!!♥♥」
少し触れられただけで、体に雷が走るように。
汗でじっとりとした湿り気を帯びた体に流れるように触れる指は、その心に一つ一つ劣情の炎を灯していく。
そして、その指は、その声は何もかも変わり、歪み……
「……ぁ……」
唯一変わらない瞳だけを、その闇に浮かび上がらせて、二人は
ご案内:「骨董屋”影の国”」からルカさんが去りました。
ご案内:「骨董屋”影の国”」からスーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 平民地区」にテルヴェさんが現れました。
■テルヴェ > 平民地区、商店の建ち並ぶ区画にほど近い小さな公園。
こぢんまりとした噴水の備わった人工の泉のまわりにベンチを設置した、憩いの場である。
この季節にしてはぽかぽかと暖かい昼下がり。陽の照っている下で歩けば汗ばむほど。昼時も過ぎて人通りはさほど多くはない。
テルヴェはベンチに腰掛け、商店で買ったのであろうオレンジに指を突っ込んでいそいそと皮を剥いている。
その顔はなんともニコニコ顔だ。
「♪~~~」
どうやらハズレのオレンジを引いてしまったらしく、厚い皮に苦戦している。だというのに、鼻歌交じりである。
■テルヴェ > テルヴェは先程、商店街の眼鏡屋(金属加工屋)に行ってきたばかりだ。
冒険や依頼をせっせとこなして貯金した、ずっしり重いゴルドの袋を抱えて。そして、眼鏡とレンズ一式のオーダーをしてきたところ。
近眼のテルヴェは、自らの稼ぎで眼鏡を買うことが直近の夢だったのだ。
「ふふふ………一週間かぁ……待ち遠しいなぁ……」
レンズやフレームの加工には一週間かかると言われた。それまではおあずけである。
まぁすぐに欲しいアイテムというわけでもない。こうやって待つ時間もまた楽しい物である。
ようやく剥けたオレンジ一切れを、薄皮ごと口に運ぶ。
甘酸っぱい果汁が舌を濡らし、ふわふわ浮かれそうな心をひととき凛とさせる。
■テルヴェ > 依頼した眼鏡は、ちょっぴり奮発して4000ゴルド。飾り気のない、丈夫な鉄製の丸眼鏡だ。
生活資金を尽きさせないよう、8000ゴルドまで貯金できたところで眼鏡を注文。そのため、彼のいまの資産は4000ゴルド+装備。
……プー太郎暮らしでは1ヶ月も持たない手持ちである。倹約と貯金の甲斐あって、駆け出し冒険者にしては懐は暖かいが。
どんな小さな依頼だってこなしていかなければ、装備だって揃えられない。
「……ふぅ。さて、次はどうしようかな……」
空を見上げる。秋の空は雲も少なく、澄んでいる。
直近の命題である眼鏡は買えた。次の目標を決めなければいけない。目標なく冒険をこなしても中弛みの元だ。
■テルヴェ > 近視というディスアドバンテージを補う眼鏡を買った。では、次は。
順当に、冒険用の装備をバージョンアップしていくのが冒険者的には好ましいか。
「んー……質のいいショートソードに買い換えるか。
もうちょっと守る箇所の多い鎧に買い換えるか。
それとも、もっと軽くて丈夫な盾を探してみようかな……?
眼鏡を買ったから弓ももっと使うようになるだろうし、もう少し大きめの弓も欲しい……」
選択肢は多い。どこから補強していけばいいか、実戦経験に乏しいテルヴェでは決めがたい。
装備を良くしたからといって難しい依頼をこなせるかというと、テルヴェの地力では疑わしいところも多い。
技術はお金では買えない。少なくとも、お金を払うだけでは。
「……んー、どこかの道場に所属してみるってのもありなのかなぁ」