聖バティスタ派騎士修道会の所有する大教会
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聖女が信託を賜る託宣の間や浄罪の間、複数在る懺悔室や懲罰房など
教会に必要な施設・要素を揃えている他、大型の孤児院を併設し子供達が祈りを捧げる光景も見られる
そして地下にはヤルダバオートの地下娼街に繋がる大型の地下施設があり、禁薬を精製する工場や拷問室など、とても表沙汰に出来ない場所も存在する
参加者(0):ROM(1)
Time:22:01:48 更新
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート ファルズフ大聖堂 孤児院」からヴィドさんが去りました。
■ヴィド > 食事が出来た。そう声が掛かる。
子を抱いて、服の裾を掴む少女と共に、穏やかな様子で食堂へと。
■ヴィド > 聖堂の奥、別の棟に用意された孤児の為の場所。
年端も行かぬ乳幼児から、そろそろ独り立ちを求められる子まで、
今は昼寝の後処理に奔走していた。
夕食の準備も自分たちの仕事であると理解している子らの動きは機敏で、
特にその行動をリードする年長者を慈しむように双眸を細め見守る。
まだ一つ、敷かれたままの布団の上で一人の赤子を抱き、膝には愚図る子を載せあやしていた。
「良いお姉さんになるといいな。 幸せになって、ここを忘れる位に。」
両腕で抱える赤子を胸元で、その心音を、体温を分け与えながら、
それを羨ましそうに見上げる、子供返りを起したような女の子。
食事の準備が終わるまでもう少しだけ、面倒を子等の代わりに。
「アナタも、良いお姉さんにならないとね? ほら……。」
すやすやと、眠る赤子を視界に入れてあげる。愚図っていたのが嘘のように立ち上がり、自分傍らへ寄りかかると一緒に寝顔を覗き込んでいた。
まだ庇護されるべき子らの穏やかな時間。いずれ、何かを選ばなければならないとしても
今は唯、何も考えず甘えて欲しいと、そっと身を寄せ合う。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート ファルズフ大聖堂 孤児院」にヴィドさんが現れました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート ファルズフ大聖堂」からアガタさんが去りました。
■アガタ > 暫く、その壮麗な伽藍の警備に立っていた女はやがてほかの施設の哨戒へと足を向けるのだった。
■アガタ > 「───」
いつもと変わらない姿。
常に同じ姿勢。
大聖堂に詰める従士として、その哨戒に当たる修道女姿の女。
手にしている長杖が、その役目を知らせるよう。
密度の濃い木製のその重みを知ると、身の丈より長いそれを軽々と扱っている女の膂力の強さを知ることになる。
女が佇むのは大聖堂の入り口そば。
今は少し礼拝の人々の流れが切れた間隙。
一つ呼吸するように、その壮麗な伽藍の天井へと視線を向けた。
精緻に施された天井画。
アーチ状の柱が計算された曲線でそれらを切り取り、ヤルダバオートの物語をそれぞれ象徴するものが描かれる。
───静かに、ただ勤めをこなす女ではあるが───信仰心が深いかといわれればそれは違う。
女にとってそれは仕事で、こなすべきものであるから従事しているだけ。
かといって、主宰たる聖女に心酔しているかといわれるとそれもまた違う。
元騎士らしく忠節を誓ってはいるが────この騎士修道会の抱えるもの、その両面を知っている女にとって彼女は市井で語られるように清廉潔白な存在ではありえない。
(───安寧を与えてくれていることに感謝はするけれど。)
……それでも女は、そこにいる。
祈りもせず、今はこうべを垂れることもなく。
職責にただ殉じるように。
果たしてこの胸中を───もちろん主宰たる聖女様は知っているだろう。
けれど咎められることがないのは、それでもこうして信徒として、従士としての役割をこなしているから。
それと、相応の私財はすでに修道会に譲渡してあるのも大きいだろう。
……その可憐な容姿に見合わぬ韜晦した彼女が己のような存在を面白がっている節もあると思われるが。
──壮麗である、とその感想以外を抱かない乾いた情緒から目をそらすように視線を下げると小さく息をついた。
大礼拝を終えたばかりのその場所は、人がまばらな時間帯であるということも相まってそんな呼気の揺らぎさえ響くようだった。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート ファルズフ大聖堂」にアガタさんが現れました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート ファルズフ大聖堂」からルーパスさんが去りました。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート ファルズフ大聖堂」からルヴィエラさんが去りました。
■ルーパス > どちらを選んでも、その末路は悲惨な物になるのだろう。
そんな予感は、どこか確信めいてはいて、
売られた頃より、自らに自由など無く、それは今後もきっと変わらない。
幾ら、主に助けを求めたとて、今の自分には主からすら奪い取らんとする魔の手と。
ただの駄犬としか見ていない、尊厳も何もない盤外に落ちた駒を拾うような手。
どちらの手も雌狼を歪ませ壊す手に違いは無い。
甘く誘惑する声はそれこそ、悪魔の囁きのように思え、
強引な命令は、自らの存在を強引にでも連れ戻そうとする占有の心地よさを思い出させる。
「あ、あ──嗚呼…… わから……わから、ない。」
身体も、爪も、牙も力だってそこらの従者や司祭に劣るつもりはない。
しかし一度壊され崩れたココロは容易にまた瓦解する。
そして、現れた裂け目からすらも、身を置くように狭い部屋の壁、
その隅に身体を押し当てるようにして逃げた。
が──、本能は容易に身体を、その背中を押した。
ミシッ、木製の扉が抉じ開けられる。その音に逃げ場を失った身体は、その手に縋るよう。
そうして、こじ開けられ光の差す小部屋の中には、小さな水たまりが一つ残るのみ……。
■ルヴィエラ > 唯一逃げ込む事が出来たこの場所で、己が来なければ
果たして彼女は、これ以上、何を祈ったのだろう
されど、きっと。 己が訪れなくとも、其れ以上は赦されない。
迎えに来た、と言う事なのだろう。 響いた、他者の声は、部屋の外。
彼女の、本来の主たる者の使いであろうか。
最早、逃れる道は無く、 抗う牙をも折られた、女には。
何方を選ぶか、と言う――そんな、選択の自由しか。
「……勿論、私に相応しい場所では在るまい。
だが、告解であると言う事に対しての、其れなりの尊重はした心算だ。
……そう、告解室へ、不躾に押し入ろうとする者よりはね。」
――告解室は、多少の防音は施されている。
告解を他者に聞かれぬ為、小声であれば、会話は届かぬ。
故に、この一瞬の、この言葉は、使いの者には届かぬ筈だ
「…………選ぶのは君自身、と言うのは変わらぬよ。
だが、今が其の時では在る。 ……攫われるならば、何方が良いか。
………望むなら。 ……来なさい、ルーパス。」
――懺悔室の、格子窓の部分から、黒き裂け目が生まれ、広がり
女の前に、人一人が入り込めそうな暗闇が生まれるだろう
そうして、声は、其の暗闇の奥から響くのだ。
その黒の中から伸びる、白く、滑らかな指先が、掌が、女の眼前に差し出される
――猶予は、きっと、そう与えられては居ない。
扉が開かれて仕舞えば、きっと、彼女を捉えに来た者達の手によって
女は、在るべき所に"繋がれる"事となるのだろう
だが、もし、其の前に。 目前へと差し出された掌を、選ぶなら。
使い達が、告解室に押し入った、其の時には。
女の姿は、まるで文字通りの、"神隠し"めいて、姿を消す筈だ。
■ルーパス > 「────」
静かな部屋に響く音、そうして……その奥より聞こえた声は、今一番聞きたくなかったもの。
不快感、嫌悪感、それと同じだけの、安堵感。
知った風に言葉を紡ぐそれが無性に腹立たしく、
そしてなによりその懺悔を聞かれたのであれば口惜しい。
「貴方には関係、ない──。 勝手に、覗くな……聞くな。そこは相応しい場所じゃ……ない。」
彼から逃げる事も、主人である娘から逃げる事も結局叶わなかった。
それは刻まれた刻印からも、外で待ち受けるだろう家の者の気配でも──。
最早絶望しかない。彼の手から逃れ放浪していたのも、
家の者に捕まる覚悟をしてこの場に来たのも。
結局は無駄足という事に成る。 逃げられない、抗えない──だから
その扉の中小さな部屋に籠るしかなかった。
外から力づくで開けられれば逃げ場も無いというのに……。
そうして、逃げた狼を捉えようと、聖堂に執事服を着た老人が顔を出すのだろう。
『いい加減、気が済んだでしょう。戻りなさいルーパス。』
そう、威厳のある、有無を言わさぬ命令口調。身体が自然と震え強張った。
そうして、抗いきれぬようにその扉を開こうとする気配が、薄い板一枚隔てた向側にも伝わるだろう。
■ルヴィエラ > かたん、と、小さな音が響いた。
告解室の向こう、其処に、誰かが着席した、気配。
だが、其処に誰かが来る筈も無いと、女は判って居る筈だ
なら、誰が。 格子窓の向こう側に居るのか。
「―――――求める者には与えられるのが、赦しと言う物だ。」
声は、穏やかに響いただろう。
知らぬ者であれば、心を落ち着かせる、優しい声音。
嗚呼、だが。 女にとっては、必ずしもそうでは無いやも知れぬ
其の声の主が、女が魅入られ、堕とされた魔、其の物なのだから。
こつり、と、格子の淵を指で叩く音が鳴る。
「もしも、赦されたなら。 ――心の安寧は得られるのかな?」
其処に居るのは、決して、司祭ではない。
なれば、これは決して、告解と言う形式足り得ぬであろう
隔たれて居る以上、女が厭えば、離れる事だって叶う筈だ
魔の言葉を、厭うならば。
ご案内:「神聖都市ヤルダバオート ファルズフ大聖堂」にルヴィエラさんが現れました。