2025/08/27 のログ
狂信者たち > 寂れた村には似つかわしくない、一軒だけ妙に立派な小屋はそこだけが切り離された時空のように風変わりだった。

あちこちの家屋は腐朽が著しく、スカスカの薄い材木には無数の穴が開いて強風であっさり消し飛びそうな脆さだ。
村全体の地面も枯れており、雑草さえも生命力を失って細々としおれている。

しかし、小屋の周辺だけは明らかに生命感に満ちており、草木はたくましく生い茂っている。

表の村民たちは一言も発さず、何もない地面をクワで耕し続けたり、力なく大八車をけん引しており一見限界集落で懸命に生きるようにも見える。
しかし、まるでボケた老人のように日が暮れようとも雨風が吹き荒ぼうと同じ動作を全く止める様子がない。

時折、何かをきょろきょろ見回すような仕草をしているが、村民同士の目が合っても会話らしい会話すらない。
生きた者がそれを目にすれば明らかな違和感を感じるに違いないだろう。

歯車のように全く同じ動作を繰り返す村民たちは時たま思い出したように”天使様”とつぶやく。
抑揚のない、何の感情も読み取れない虚ろな祈りの正体は果たして……

ご案内:「狂った信仰の村(過激描写注意)」から狂信者たちさんが去りました。